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【簡単あらすじ】四畳半タイムマシンブルース(微ネタバレ)【森見登美彦/角川文庫】

8月12日、クーラーのリモコンが壊れて絶望していた「私」の前にタイムマシンが出現した。
私は後輩の明石さん達と、クーラー(涼しさ)を取り戻す計画を立て、悪友をクーラーが壊れていない昨日へ送り出したところでふと気づく。

「過去を改変したら、この世界は消滅してしまうのでは……!?」

辻褄合わせに奔走する彼らは宇宙を救えるのか。
そして「私」の密かな恋の行方は。

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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

主人公は、京都・下鴨の幽水荘で下宿する大学生です。

作品の初めは、文明の利器クーラーが壊れたことについての愚痴や、壊れた原因の擦り付け合い、高価なシャンプーを誰が使ったのか、家賃滞納をどうするか、という、ある意味健全な大学生活についての話が進行しました。

しかし、私と明石さんは、下宿している学生を登場人物として撮影した映画の編集作業中に、ある人物が二人いることに気づいてしまい、そこから物語は急加速します。

突然、下宿にいる誰もが知らないモッサリ君が登場することから始まり、某国民的名作マンガによく似たタイムマシン?が幽水荘で発見され、そのタイムマシンを利用しクーラーのリモコンを直そうとします。

しかし、

リモコンが直ってしまう ⇒ 過去が変わってしまう ⇒ 未来も変わる ⇒ この世界が消滅する?

ということに気づき、何とか、過去と現在のつじつまを合わせようと奔走します。

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登場人物は、

1.およそ褒めるべきところが一つもない「ぬらりひょん」のような悪友/小津
2.私が「危険極まりない水先案内人」と評する、ボンクラ万年学生/樋口
3.傍若無人で豪快過ぎる近所の歯科医師勤務/羽貫

のように、良い感じでクセの強い面々であり、それぞれが、幽水荘や憩いの場:銭湯「オアシス」という、とても小さな場所に、何度もタイムリープする流れになります。

つまり、ある時点においては、そのクセの強い人間が小さな場所に二人も三人もいるわけで、当然そこで巻き起こる事件は、いつもの数倍めんどくさい内容になることは自明の理です。

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今作品を一言でまとめると、SF青春ラブコメディ、となってしまい、とても安っぽい作品に聞こえてしまうのですが、「私」や登場人物の口調、下宿などの舞台設定が少々古くさく感じられるところがあり、そのおかげで様々なものが中和され、読んで爽やかさを感じられるくらいのちょうど良いわちゃわちゃした作品になっています。

2022年9月にアニメ化が決定ということで、行きつけの本屋の目立つ場所に山積みされていたこともあり読み始めましたが、ページ数も手ごろで一気に読了しました。

前作にあたる「四畳半神話大系」を読まなくとも楽しめる作品だと思います。


「成就した恋ほど語るに値しないものはない」



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また、これは蛇足になりますが、「サマータイムマシンブルース」は、ヨーロッパ企画という劇団の代表的な舞台作品です。

この劇団は、「ヨーロッパ企画のゲームムービー研究所」というゲームも制作しておりますので、今作のような雰囲気を楽しめた方は、そちらのゲームプレイも如何でしょうか?





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