見出し画像

#2-人生100年時代におけるシニア社員のための実践的キャリアデザイン術

第1回:シニア雇用を巡る最近の動向(その2)

70歳雇用義務化の動き

65歳以外にもシニア世代の働き方に大きな影響を与える法改正の動きがあります。高年齢者雇用安定法改正の動きです。

コロナ禍の真っ最中の2020年3月、希望する高齢者が70歳までは働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正が成立しました。

これまでの3つの企業の選択肢(①定年延長、②定年廃止、③契約社員などでの再雇用)に次の4つの選択肢(④他企業への再就職支援、⑤フリーランスで働くための資金提供、⑥起業支援、⑦NPO活動などへの資金提供)を加えて企業に努力義務を課す法案です。

追加された4つの選択肢は、今まで企業の人事部が係わってこなかった事項ばかりです。

企業の人事部は、自社で雇い続けるための施策は扱ってきましたが、今回追加の選択肢のように、外部で働くことを支援する経験はありません。
「果たして人事部は何をすればよいのか?」 戸惑いを感じる人事担当者のかたも多いのではないでしょうか。

note70歳雇用(20200104)

IT・AI(RPA)投資により先細るシニア向け業務

日本市場の縮小ともにバックヤード業務(人事・経理などの間接業務)も大きな変革の荒波を受けています。

メガバンク等で業務効率化の推進ツールとして急速に導入が進んでいるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、それを象徴する動きです。

RPAとは、AI・機械学習といった高性能な認知技術を用いることによって実現する、業務の自動化や効率化に向けた取り組みやソフトウェアロボットを指します。

自動車組立などモノの製造や荷物の運搬といったブルーカラー業務をサポートする産業用ロボットに対し、RPAはデータ入力や情報チェックなどのホワイトカラー業務をサポートするところに特徴があります。
メガバンク各社が何千人・何万人規模相当の業務効率化が可能なのも、このRPA技術によるところが大きいです。

こうした動きは、シニア世代が今後会社内で担当しうる業務がどんどんなくなっていくことを示しています。現在担当している業務が今後とも社内に存在し続けるかどうかわかりません。

中長期の視野に立った人材育成は日本企業の強みとされてきましたが、デジタル化やグローバル化が進み、シニア世代が培った技能が急に使えなくなることも珍しくないかもしれません。

経団連指針が重点課題と掲げる 「年功型賃金や終身雇用を柱とする日本型雇用制度の見直し」 もこうした事情を反映しているのです。

このnoteで取り上げること

私は昨年2019年10月に2冊目の著書 「知らないと後悔する定年後の働き方」(フォレスト出版新書)を上梓しました。この本では、シニア側のマインドセットに焦点をあて、人生90年時代の65歳以降を見据えたキャリア戦略をシニア層に対して提言致しました。

このコラムでは、企業人事部がシニアの自律的キャリアデザインをどのようにサポートしていけばいいのか、具体的に読者の皆さまと考えていきたいと思います。

次回は、「人生100年時代のキャリア戦略~変わる企業の役割~」 というテーマで、この問題を掘り下げてみたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?