見出し画像

夢を見たいなら、宝くじなんか買わずにさっさと寝ろw


当選確率が256倍となった第1476回MEGA BIG

 日本列島の各地で被害をもたらした台風10号の裏で、スポーツくじであるMEGA BIGがSNS上で話題となった。

 このくじは、指定した12試合の両チーム合計得点数を、4択で予想するもので、4択はランダムで振り分けられる。通常の1等当選確率は1/16,800,000だが、4試合が中止(=当たり扱い)となったことで、確率が単純計算で4^4=256倍となり、1/65,625の確率で1等が当たる計算となる。

 肝心の4択の振り分け乱数が完全にブラックボックスな点で、疑義があるものの、1口300円で65,625通り全て買える金額となる、2,000万円弱を購入すれば、確率論的には1等が1枚含まれる計算となる。

 平時でも5億前後の売り上げがあるため、必然的に1等が複数枚出るものと考えるのが確率論的にはベターで、そうなるとキャリーオーバー61億円の山分けイベントとなる。

 このことから、1等の当選金が19,687,500円を下回らない限り、期待値が100%を超える掛け金の大きい資本家ほど有利な、資本主義社会万歳くじとなったことがSNSで拡散され、無事に成金ホイホイと化した格好だ。

 実際に蓋を開けてみると、1等は24,800,430円となっており、理論上、全てのパターンが網羅できるであろう2,000万円弱を賭けると、2,500万円弱に化ける可能性が渋めに見積もっても7〜8割程度あった。

 そう考えると、通常、売上金の半分が公共事業の足しになる意味で、「愚か者に課された税金」と揶揄される公営ギャンブルの中で、いかに2,000万円規模でベットできる人には有利な確率となっていたかが窺える。

同じ条件で繰り返し試行できる類の賭けではない点は留意

 無論、私はこの仕組みを購入締切前に理解していたものの、1円たりとも購入していない。そもそも今後も同じ条件で、繰り返し試行できる類の賭けではない点には、留意して然るべきだろう。

 一度きりの賭けに仮に3,000万円突っ込んだとしても、2割強の確率で全損するリスクを鑑みたら、いくら期待値が高くても紛うことなきギャンブルだろう。

 過去の類似事例を調べると、台風で3試合中止となった、第1252回MEGA BIGが2等以下300円となっていたことからも、台風で4試合中止となった今回も2等以下300円となることは読めていたため、1等以外はゴミとなる既定路線だと踏んでいた。

 大勝ち?するか、全損するかの究極の2択に、これまでの人生で質素倹約に努め、適切に運用して形成してきた資産の中から、最低でも2,000万円の大金を賭けた結果、全損してしまったら間違いなく惨めな気持ちになるだろうし、激しく後悔するのは目に見えている。

 確率論上、勝ち確するためにベットすべき最低金額が、一個人として擦っても良い金額の範疇を大幅に超えている意味で、リスク許容度を大幅に超過しており、カイジのざわ…ざわ…みたいなヒリ付く感覚を味わいたいギャンブラー以外は、安易に手を出さないのが賢しい選択というものだろう。

巨万の富を得なければ、手に入らないものって何?

 「漁師とコンサルタント」という”幸せ”とは何か?を考えさせられる話がある。

 小さな海辺の街で、明け方に漁に出ては、午前中で仕事を終えて、お昼から家族との時間をゆっくりと過ごし、夕暮れにワインを傾けながら寝る生活を繰り返す漁師を見て、コンサルタントがなぜもっと働かないのか?と問いかける。

 どうして?と思う漁師に対して、頑張って働けば売り上げが増え、設備投資ができて人が雇える。そうして規模を拡大したら都市に出て企業を経営し、IPOまで漕ぎつければ巨万の富を手に入れられると力説する。

 漁師は富豪になってどうするのか?と聞けば、コンサルタントは悠々自適なリタイア生活で、小さな海辺の街にでも引っ越し、家族との時間をゆっくりと過ごして、夕暮れにワインを傾けながら寝る生活が営める…と力説するが、漁師は「そんな生活なら、もう手に入れているじゃないか。」と一蹴するところで話が終わる。

 しばしば宝くじが当たったら…的な妄想という名の夢を見たいがために、買っている方が散見されるが、その夢は果たして宝くじで巨万の富を得なければ、手に入らないものだろうか?

 仕事を辞めたいなら今すぐ辞めれば良いだけだし、高級車や高級ブランド、タワマン、クルーズ船、プライベートジェットが欲しいなら、それらを買った後に何をしたいかまで発想を巡らせれば、別にそれらのアイテムでなければならない類の夢ではなく、旅行したいだけとか、足るを知れば今すぐにでも簡単に叶えられるものだったりする。

 結局のところ、何をやるにも本人の気の持ちよう以上でも以下でもなく、金銭の多寡は思っているほど大きく影響しないのが私の仮説であり、煎じ詰めると、何かを始める口実としてお金を欲している程度の願望でしかない辺りに、人間としての底の浅さが見え隠れしている。

 手前味噌ではあるものの、阪急東宝グループの創業者である小林一三氏が「金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である。」の名言を残していることからも、核心を突いた仮説だと勝手ながら思う。

 敢えてシニカルな表現をすると、ほぼ起こりもしない”たられば”を並べて楽しめるだけの、ご立派な想像力を既にお持ちなら、その能力を活かして宝くじなんか買わずに、さっさと寝てしまった方がゼロコストで、良い夢が見れる分、経済的には合理的だと思うが、いかがだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?