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発達障害かもしれない、と自分や身近な人を疑ったあなたへ その3

noteを読んでいただいて、ありがとうございます。注意欠如多動性障害(ADHD)・精神障害者手帳2級で博士(生命科学)のred_dash です。

 このシリーズの前回では、天空の城・ラピュタのストーリーになぞらえながら自分や身近な人に発達障害の疑いがあることを親しい人に告白して協力を得る方法について記載しました。内容をまとめると
・天空の城ラピュタのヒロイン・シータを主人公・パズーが助けてくれますが、あなたにとってのパズーは誰でしょう? 
・敵役・ムスカがラピュタに向けて飛んで行った方向はどちらでしょうか? つまり、発達障害の疑いの解決に必要なことはなんでしょうか? パズーと一緒に考えましょう。 
という話でした。
 今回は「ムスカを追ってラピュタへ行く前に、まずは空賊連合を仲間に加えましょう。」というお話を書きます。


空賊連合のドーラは、お役所にいる

 天空の城ラピュタでは、パズーとシータが天空の城ラピュタへ向かうにあたって空賊連合の一味と共闘します。中でも赤毛の女性・ドーラは空賊の首領として、時に厳しく、時に優しくパズーとシータへ協力してくれます。
 あなたにとって、ドーラのポジションを担ってくれるのは誰でしょう? すなわち、あなたと個人的に親しい間柄ではないけれども、発達障害に由来する問題の解決に向けて、あなたのことを助けてくれる人は誰でしょうか。
 実は、役所が助けてくれるかもしれません。昨今、発達障害者に支援が必要なことは自治体レベルで認識されつつあります。具体的な支援体制としては、たいていの場合は都道府県レベルの役所が窓口となっています。例えば、「東京都 発達障害」でグーグル検索して東京都の例を見てみましょう。以下のようなサイトが見つかります。

発達障害 東京都福祉保健局

東京都発達障害者支援センター(TOSCA)


 前者は、東京都の「障害者施策推進部 精神保健医療課 生活支援担当」という部署が運営するサイトです。主に発達障害に関する情報提供を行っています。
 後者は都から委託を受けた社会福祉法人が運営する事業です。主に発達障害の当事者、疑いのある人および関係者と面談して無料相談を行っています(注1)。私は後者のような事業者さんへ相談した経験が2社分あります。専門の方が対応してくれるだけあって、説明が理解しやすかった印象があります。

 前者・後者のいずれでも、たいていの場合、まずは電話かメールで事情を話したうえで相談予約を取ることになります。予約の際に「発達障害の診断は受けていないものの、事情を鑑みればその疑いが強い」と説明してみてください。この時、その1で作成した資料を見ながら説明すると確実です。

パズーとドーラがいなくても、ラピュタへ行こう


 これまで3回かけて、発達障害の疑いがある人が取り得る方策について、まとめました。
その1. 情報収集をしてみましょう
その2. 身近な人に相談しましょう
その3. 役所に相談しましょう(←今ここ)
 これらの方策を通じて情報と勇気が溜まったら、心療内科や精神内科へ行ってみましょう。必ずしも、一度に悩みを解決する必要もなければ、病院へ行く必要はありません。少しずつでも、確実に問題解決に近づけてみましょう。

 自分や身近な人に発達障害の疑いがある、という事実に向き合うためには勇気が必要です。仲間を募り周囲へ相談するという選択を取った場合、それは自分の事情に周囲を巻き込むことを意味します。...うーん、ますます勇気がいりますね。怖いですね。すくなくとも、私は自分が怖くなりましたし、周囲を巻き込んでいいものか、すごく悩みました。
 でも、自分の事情に周囲を巻き込んでもいいのです。生きてりゃあ困りごとも生じますし、自分だけで解決できないことは当たり前にあります。例えば、エアコンから水漏れしたとき、どうしますか。私は自力でエアコンを直す技術も知識も持っていないので、電気屋を呼んで直してもらいます。同じように、自分の悩み事や困りごとがあったら周囲に相談する。解決してもらう。逆に、困っている人がいれば手助けする。お互い様、それでいいじゃないですか。

 ラピュタには、やっぱり一度行ってみましょう。できることなら、パズーやドーラと一緒にラピュタに行きましょう。パズーやドーラがいなくても、やっぱりラピュタに行ける世の中であってほしい、と私は考えています。もちろんラピュタに行かなくても幸せに暮らせる訳ですが、行かないよりは行ってみたほうが良い。そう私は考えています。

 それでは、良い1日をお過ごしください。


※次回に続きます。



※本記事は、red_dash が2020年5月20日現在までに収集した情報に基づき作成されていますが、情報の正確さを保証するものではありません。2020年8月25日に加筆・修正しました。

※発達障害には個人差があります。必ずしも紹介した全ての事項が当てはまるとは限りません。いくつか当てはまる症状があった場合は、心療内科や精神科に相談して医師の診断を受けてみましょう。

※リンク切れ、事実と異なる記載など、お気づきの点を発見された際はどうぞコメントからご連絡ください。

注1: 東京都発達障害者支援センター(TOSCA)の場合、発達障害の疑いがある人を受け入れる、と書いてある部分を見つけられていません。しかしながら、大概の場合、こうした事業者は診断がない人も相談を受け付けてくれます。
 例えば、以下のページにあるPDFに記載されている、千葉県の「相談支援対応可能事業所等一覧事業者」には、発達障害の疑いがない人も受け付けると記載されています。とにかく、まずはメールや電話で問い合わせることから始めてみてください。

発達障害に関する相談窓口/千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/shoji/soudan/hattatsu.html

参考

発達障害 東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shougai/shougai_shisaku/hattatsushougai.html

東京都発達障害者支援センター(TOSCA)
http://www.tosca-net.com/

発達障害に関する相談窓口/千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/shoji/soudan/hattatsu.html


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