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訪問介護の話し⑤

『胃にピアス~~。」って言えばよかったのよねえ。この人最後まで胃ろうにするのをイヤがってねぇ。。

私は米神に血管が浮き出て、込み上げる感情を押し殺しながら「そうなんですかぁ~」と答えた。
胃ろうを施されている、ご主人は接骨院の先生で徐々に体が動かなくなり今は食事は胃につながれているチューブからしか食べれづ、排泄はオムツにしている。
活発に手足が動く方で私たちは押さえつけながら胃ろう部分の洗浄や着替え。 シーツ交換 口腔ケア など行うのだけれども とても嫌がって手足をバタバタさせて、たまにパンチを食らう。
嫌なことをされているのだから、当然の反応で誰でも、押さえつけられて。下を洗われたり、胃に直接。食べ物を流し込まれたりするのは不快であろう。。。

始めに明瞭であった意識が嫌なことをされるたびに、怒りやジレンマに変わり、大抵の方は自分で胃ろうを引き抜いたり。罵声を介護者に浴びせたりする。
そうすると錯乱しておかしいからと言って精神を緩やかにする薬を処方される。
精神を緩やかにすると、肉体も緩慢になり。
排便が出なくなる。
地獄の連鎖 『胃ろうに敵便』が始まる。
敵便とは書いて字のごとく、便を手で摘出する
施設では4日便が出ないと敵便するような指導だったと思う、ごめんなさいねぇ。。と言いながら、assに指を入れ的確に出していく。たまに傷がついてしまうが嫌がるのを承知でださなくてはならないので。辛いでしょ~などと言いながら。
この地獄の連鎖は続く。

自宅で過ごしている場合は胃に食べ物を流し込む長い時間。親切な家族が寄り添ってくれるが。施設ではそうはいかない、次の部屋の人も転倒しそうだし。となりの部屋の人も大声を発している
寝たきりの動けない胃ろうの人は引き抜かないように両手をベッドの柵にやわらかな紐でくくりつけ、食事をとってもらう。。
拘束は罪になるから、私達は動いている以外の時間は全て意味のない『何時何分。誰誰様。胃ろうを引き抜いてしまうため 拘束』と名前と印鑑入りで書面化しなくてはならない。
全く意味のないお上の責任転嫁の為に次の部屋に行くのが遅くなる。
施設での優先順位は今すぐに危ない人の所に行かないと
大きなことになる。なのにこの書面に残さなければいけないのはややこしかった。
施設勤務を辞めるに至った、最大の、原因がある。

それは糞尿のたっぷり入ったバケツを頭からかぶろうが
利用者様につねくられようがなんとも思わなかった私が
唯一 耐えられなかったのは、胃ろうを施された。普段は精神を緩やかにする薬をのんでいるから、いつも空の誰かと話している彼女が。シーーンと静まり反った施設の冷たい空間で一か月にたったいちど自分を取り戻せて。
『死にたいよゝ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゝ死にたいよ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゝ死にたいよ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゝ』と永遠に丸一日地獄の底から響く声で鳴くとき私は施設の介護者を止めた。

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