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デジタルドーピング

私の仕事

最近建設関係の仕事をしているのですが、自分の仕事は建設業において、どんな役割を果たしているのだろうかと考えることがあります。
よくある状況としては、実施設計が終わった段階で、そのまま施工図を描けるわけもなく、施工の観点から作り直しが必要となる場合です。これは設計意図を踏まえながら施工が可能な建築へとすり合わせていくために、再検討用の3Dモデルを作るということです。

私はこの再検討するための3Dモデル(以後、再検討モデル)を作っています。少し話が前後しますが、このすり合わせていく業務を担っているのが大きく分けると生産設計という職能です。
(私がお世話になった生産設計の人たちは相当優秀だったので一緒に仕事をするだけで大変勉強になりました。ちなみに3Dでやり取りしているのはまだまだ少ない事例だと思います。)

生産設計という職能

実際、生産設計という職能はあまり知られてはいませんが、建築物を建てる上で要となる職能の一つです。
生産設計の業務は、基本的には施工図(建物を作る時に現場の人が見るもの)を作ることになります。一般的にはゼネコンの一つの部署として存在していますが、先にも話した通り施工図を描くだけの業務におさまらないため、さらにそれぞれに特化した業務を行う下請けの会社が存在しています。(現状、弊社もある業務に特化した下請け会社と言えます。)

では施工図を作成する際ですが、どうしているかというと、設計側にここがおかしいのですがこうしてもいいでしょうか?やここはこれで本当に大丈夫ですか?など実施設計図や設計図、構造図との不整合を調整していきます。想像しただけでも大変そうだなとういう感じがしますね。

なぜそんなすり合わせが必要なのか?ということですが、実施設計が終わった段階で彼らの手元にあるのは、複雑な形状にもかかわらず、2Dの図面のみだったり、整合性が取れていない3Dモデルだったりします。ようは何が正なのかわからない状態からが彼らのスタート地点です。そこで重要なところや基準になるものを少しずつ決めていき情報の正負をチェックしていきます。このチェックするのに必要なのが検討用モデルです。言い過ぎかもしれませんが、彼らは3Dのモデルさえあればどこを先に検討すべきか、どう施工が可能か?などがわかるわけです。そうしてせっせと私はモデルを作り、ダメそうな部分を報告しては、生産設計の人たちと相談して、また修正するということをやっています。
(実際にはデータの連携の問題があるので、生産設計の方たちだけと話しているわけではありません。)

ここでの修正が遅れると、どんどんスケジュールがきつくなっていきブラック労働上等になっていきますし、建築としての品質は悪くなるでしょう。
(修正が遅れるとブラック労働上等と書きましたが、これはあくまで一過性のものであり、基本的に建設業はブラック労働にならざるを得ない要素を孕んでいます。)

デジタルドーピング

話がそれましたが、要は私の仕事は生産設計の人たちの知識や経験をより効率的に生かせるようにデジタルの力を使ってドーピングをすることで、すり合わせの業務が従来より円滑になっていると思います。これを勝手にデジタルドーピングと言っています。
ということで、実施設計後の建設業的立ち位置としては、生産設計をドーピングするポジションだと感じています。

今回はここまでで終わりにしたいと思いますが、今後は無理なデジタルドーピングをすると当然副作用がありますし、そもそも生産設計という業務は円滑になっているが、建設のプロジェクトとしては円滑になっていないのでは?とかいろいろ感じたことを書いていきたいですね。

#白矩 #私の仕事



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