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手元のお金がゼロにならないようにすることが資金繰りである

私の資金繰りの定義は、「お金がゼロにならないように入金・出金をコントロールすること」であるとしています。

中小企業の多くの社長は、会社のお金がなくなったら、銀行から借りればいいと思っていませんか?。
でも、銀行からはすぐに貸してもらえません。

それはなぜか?

なぜなら、会社の状況がわからないから貸せないのです。

計画書、試算表などを揃えて申し込みますが、本部の決済が降りなくて、慌てて知人などを回って工面するケースが見受けられます。

お金を借りられればその場は凌げますが、根本的な解決になっていないので、またしばらくすると資金繰りに困ることになるのです。

収入に合わせた支出に抑える

結論から申しますと、今の会社の収入に合わせた支出に抑えればいいのです。つまり、今のビジネスモデルではダメで、新しいビジネスモデルができるまでの時間稼ぎをするのです。

しかし、一度広げた風呂敷はなかなか小さくできないのです。
シンプルなことなのですが、これがなかなかできないのです。

昔、コンサルしていた顧問先の社長さんで、大英断をしていただきました。
出店した店舗が採算が合わないことが明らかになったことで一気に閉店をした花屋さんがあります。

この時の英断のおかげで、会社の規模は小さくなりましたが今も残って頑張っていらっしゃいます。

とにかく、お金の把握ができていない経営者が多いのです。
で、銀行員は日繰り表を進めます。
これは、入金・出金を認識してほしいためです。

これにより、お金を借りなくても済むようになるのです。

日繰り表

資金繰りを安定させる施策

資金繰りを安定させる施策には5つあります。

  1. 現状把握

  2. 不採算部門からの撤退

  3. 銀行の返済をリスケ

  4. 役員報酬は最低限に

  5. お金が回るか確認

5つの施策

現状把握

収入は売上です。

今の現状を客観的に見て、これから売上が上がるかどうか考えてみましょう。ほとんどの場合、期待値の売上を組み入れて資金繰りを組んでしまいます。

なるべくなら、現状の数値よりも下振れしたことも想定して売上を設定しましょう。この先、VUCAの時代で何が起こるかわかりませんから。

次に、支出です。
これは、仕入と経費です。

どの会社もこれが減らせないのです。
社長は何かにつけて言い訳をするのです。
人間の持つ現状維持バイアスでなかなか減らせないのです。

不採算部門からの撤退

採算が合わない部門や取引先はすぐにやめるべきです。
会社にとって大事なのは売上よりも利益です。

売上の大きさは、よく社長の器の大きさと言われています。
社長の考えが市場とマッチしていれば売上は大きくなりますし、
逆に、社長の考えが市場とマッチしていなければ、自分本位の考え方となり売上は小さくなります。

だから、数値化して客観的な判断をするのです。
この時に感情は一切入れないことです。
これは無駄なキャッシュアウトを無くすためなのです。

銀行の返済もリスケ

どうしても返済が厳しいのなら、会社をどうやって改善していくかの計画を作って銀行に返済猶予を申し出るべきです。

この時、金利は高くなるのはやむを得ません。
目的は改善するための時間を稼ぐことだからです。
そして、銀行からのモニタリングが毎月のように行われることを覚悟して下さい。今までのように自由にはできなくなります。

リスケしてもなかなか改善できない最悪の場合には、
”代位弁済”という制度があります。

これは債権者が銀行から保証協会に代わっただけのことです。
銀行よりも返済額の融通が効くのもメリットですが、
ここまで来たら二度と銀行から借りられません。
倒産するよりはマシですが、長い目で見たら得策とは思えません。

だから、しっかり改善してもらいたいです。

役員報酬は最低限に

銀行がリスケしたら一番突っ込まれる勘定科目が役員報酬です。
生活できる最低限にしないと銀行も納得してくれません。

だから、個人のプライバシーの部分も結構制約を受けることになります。
こちらの道理は、銀行から見れば不道理なのです。

だって、預金者のお金を預かって貸しているわけで、
それが返済条件を変更するのですから、返ってこないリスクが高まるわけなのです。

なので、役員報酬は生活費を賄える程度しか認めてもらえません。

お金が回るか確認

最後に、シミュレーションをしてお金が回るか確認します。

きちんと作った計画でも組み入れていなかった経費があったり、予定していた入金が全くなかったりするので、いくらか予備費をとっておくのです。

特に、リスケ期間中は精神的にもかなり辛いので、もしもの時のために予備費をとっておきましょう。

資金繰りが解決できる理由

現状把握

現状把握において、支出の削減ができないとお話ししましたが、
その支出は本当に必要ですか?

人間は切羽詰まらないと思い切った行動はできないものです。
人員の削減や業務の見直しなどリストラは、社長しかできないのです。

そして、あなたにとって一番大事なものは何ですか?
家族、プライド、愛人、車。。。

社長にとって大事なもの

ここで社長の価値観がわかるものです。

倒産した多くの社長は家族以外のものを大事にしてきたようです。

不採算部門からの撤退

大量生産・大量消費の時代は儲かるものと儲からないものの抱き合わせでも良かったのですが、今は個の時代で、一個でも採算が取れないとやらない方がいいのです。

安いものが良い時代ではなく、良いものをお値打ちにする時代なのです。安く作ることをすれば、どこかにしわよせがくるのです。

誰かの犠牲で成り立っている世界はおかしいのです。

この2つは社長がその気になればできることです。
できないのはその気がないからです。

まとめ

まとめますと、「現状把握は必ずやるべし」です。
早くやることで打つ手が多くなりますが、資金繰りが厳しくなると打ち手がどんどん限られてきます。あとの祭りにならないようにしましょう。

また、銀行はリスケで態度が一変します。優しくはないのです。
ビジネスですし、これは自分でできるからです。

人に甘えることはせずに、自分で行い、現状に向き合うべきです。
そうすることで未来の道が開けるものです。

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