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●オペラ座の感動を忘れる前に●

舞台を観に行って自分の席「03」がなかなか見つからないでいたら、スタッフの人に「オースリー、オースリー」と言われてそこでやっと「O3か!」と気づくくらいに間抜けな松木蓮です。

早いものでロンドンも最終日(明日は帰るだけ)となり、今日は残るミッションの「舞台を観に行く」をクリアしてきました。

舞台を観に行った経験がなくて当初は「レ・ミゼラブル」を観に行こう(映画版は大好きです)と思っていました。が、事前に全く調べていなくて当日チケットがあまりにも高すぎることを知り、結局オペラ座の怪人に決めました。

おそらくこの名前自体、多くの人が聞いたことがあると思うのですが僕はちゃんと内容を知りませんでした。予備知識がないままに行ってみたけど、蓋を開けてみたら大当たり。当たりというか僕が知ってるくらいに名の知れてる作品なので、そりゃ満足できる内容ですよね。

内容はさることながら、舞台というエンターテインメントに感動したので、それを備忘録がてら書き留めてみます。

まず会場がかなり作り込まれている点に驚きました。たぶん由緒正しい建物だと思うのですが、建物に入った瞬間にミュージカルの雰囲気に取り込まれました。金ピカのバーカウンターがあって、大人たちはワイングラスをくるくる回しながら開演前の会話を楽しんでいる。月曜の夜からなんとも贅沢な遊びだなぁと思いました。

舞台の中身でいくと、圧倒的に歌が素晴らしすぎる!ほんとに。初っ端から鳥肌が立ちました。どっから声を出しているんだろうと終始不思議でした。特に女性は衣装の関係で腰回りがキュッと締め付けられていた(コルセットかな?)ので、余計に声が出にくいんじゃないかなぁ、、舞台はもちろん観て楽しむものですが、耳でも十二分に楽しめるものだと思いました。

それからミスをできない緊張感。歌が素晴らしかったこと、演技が素晴らしかったこと。これ以上言うことがないのですが、ミスれない緊張感みたいなのに僕はソワソワしていました。これだけ沢山の人が観に来ていて、ミスなどできないけど、もしかしたら超高音のパートで裏返ってしまうことだったりとか、噛んでしまうこと、あるいは女性なんかがま纏っていた足元まで長いドレスに引っかかってしまうこともあるかも。映画やドラマだとやり直しができてベストなものを追求できるけど、舞台はそうはいきません。一発勝負という中で、どうやってベストを出すかというところが醍醐味かなぁと感じました。ほんとプロです。

次に舞台セット。カットごとに暗転して、ササっとセットが変わるのですが、その手際の良さとセットそのもののクオリティー。オペラ座の怪人って20世紀手前の話だったと思うのですが、当時の様子を巧妙に再現しているんだろうなぁと感じました。

そして会場全員でつくる舞台オペラ座の怪人。僕はあくまでも見物人で、しかも舞台初体験。右も左もわからず、とりあえずは鑑賞のマナーだけは守る意識をしました。上演中は、幕ごと(ソロパートが終わったあととか)に拍手喝采が起きて、見せられる側も舞台を作っていることを知りました。最後に怪人が消えてエンドを迎え、そのあと演者全員が出て来ました。カーテンコールというやつですね。その時の会場の沸き具合がすごい。脇役から主役へと徐々に拍手の量が増えて、最後に出て来た怪人の時はレンガが崩れ落ちるんじゃないかって思うくらいあちこちで拍手、拍手、拍手。一体感がえげつなくて、舞台は役者、裏方、見物客の三様が不可欠ということですね。勉強になりました。

能の世界で言う3つの目と似ていますね。演者自身の視点(我見)と、お客様さんからもう観られているかという離れた視点(離見)、そしてその2者のキャッチボールができるているかを俯瞰する視点(離見の見)。

興味半分と、少しだけ大人の遊び方をしてみたくて舞台に行ってみたのですが、明日にでもまた観に行きたいと思っている僕がいます。

ニューヨークのブロードウェイと並んで世界屈指のミュージカルの街ロンドン。きっとまたウエスト・エンドに遊びに来ます。今度は良い席でまた違った角度から見れたらいいな。

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