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「すでにあるものに価値を見出す」Renameというフィルターが実現していること -これまでとこれからの話-

今年もさまざまな方面で大きな変化がありました。SDGsは当たり前になり、事業環境も大きく変化しています。FINEがフォーカスしているアパレル業界も同様です。社会に配慮したものづくりはもちろん、残った在庫に対しても適切な対応が求められる。そんな世の中になりました。

さて、今年最後のnoteでは、昔ばなしと、来年の話を少しだけシェアします。

メーカーではないFINEという(今のところ)アパレル会社

まず、FINEは企業様からアパレルの新品在庫を買取し、それを再販売するというシンプルなビジネスをしています。その中でRename(リネーム)という、「ちょっと変わった売り方」もしているのが特徴です。

今年もおかげさまで売上は順調に拡大。お取引先や買取規模も大きく増えました。成長を目的にしてはいませんが、Renameをはじめとした弊社の取り組みへの理解や共感が、さらに広がった1年だったと思っています。

ただ、オフプライスでの流通(買取したブランドアイテムを値引き販売)でのお取引も非常に増えたため、Renameの売上はまだ全体の1割から2割程度。Rename工場は4箇所になりましたが、実現したいことはまだ1%もできていないという所感です。

Rename昔ばなし

Renameはブランドタグを付け替え、新しい名前、新しい価格、新しい人に服を届けることができる。FINEが提供している"新しい服の売り方"です。アパレル在庫は残ってしまっても、ブランドイメージ低下懸念があり、大幅な値引きや既存販路以外で拡販するなどが困難でした。結果、残ってしまった新品の服は廃棄されてしまうことも少なくありません。

タグを外せば、限りなく元のブランド名がわからなくなるため、イメージに影響を与えることなく自由に販売できるのがRenameの特徴です。今年もさまざまなお問い合わせをいただき、新しく賛同していただけるアパレル企業様も増えました。

Renameが生まれて3年。最初は小売店向けの卸売商材としてひっそり始まりました。卸先への価値は「コスパの良い商品」くらいただったかもしれません。

これまでの「作って、売る、残りは在庫として眠るor廃棄」

そんな構造を変え、途切れたループを閉じる。そのためには、企業だけでなく消費者にも変化を促す必要がある。なぜなら企業は消費者を見てビジネスをしているから。企業と消費者、どちらにも訴求していくという方針に変更しました。

単なる在庫課題の解決ソリューションという意味を拡張し、より社会へ貢献できる方法を考えた結果です。

その1年半後、ロコンド様と共同事業「ロコンドリネーム」ではじめてEC商材としての販売を開始しました。その後、自社のオンラインストアもスタートし、着実に売上も拡大しています。

ブランドタグを付け替えただけなのに、Renameというフィルターを通せば、ネガティブだった余剰在庫が新しい価値に変わる。ちょっと変わった服の新しい売り方になりました。

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新しいきっかけ、これからのこと

10月末、総合アパレルメーカー クロスプラス株式会社と業務提携をしました。私たちと同じ名古屋の会社です。目的は大きく2つ。

1つは、これは私たちの取扱商品を「クロスプラス様の流通網に乗せる」という、弊社の規模からすると非常に大きな取り組みです。

これにより、弊社のリソースでは当然開拓しきれない数の販路や物流機能をお借りして、両社で協力しながらRenameやオフプライス商材を多くの店舗へ供給します。

これは私たちの密かな野望「アパレル業界全体の在庫シェアリング構想」のきっかけにもなります。Renameであれば企業やブランドの垣根を超えることができる。つまり「Renameであれば(元)他社製品も取り扱いしやすいのでは?」というアイデアです。企業内だけでなく在庫は業界全体で最適化した方が「社会にとって良い」という考えです。

「リネーム クロスだから」という新しい選び方

2つ目は、廃棄される生地在庫を活用したアップサイクル「Rename X(リネーム クロス)」。

製品の在庫も大きな課題ですが、生地在庫や製造過程で半端に残ってしまった生地にも課題があります。

そして、工場の稼働率への貢献という意味もあります。納期に合わせて工場を稼働させると、どうしても稼働は安定しない。そこで、クロスは基本的に納期を指定しない。つまり、空いた時間で仕上げてもらうようにしています。それにより工場の安定稼働=労働の確保に貢献できるのではないかという考えです。

さらに、クロスプラス様で保有しているデザインを再活用した復刻デザイン。多少のカスタマイズを加えることもありますが。

表面的には新しいものを作っているようですが、その過程でさまざまなものを再活用しています。生地(クロス)を使って、つくり手とユーザーをつなげる(クロス)。そんな意味からリネーム クロスと名付けました。

試験的にリリースした「forカジュアル」というカジュアルシリーズ。すでに何種類かは完売しました。そして新たに、forチームを来年からスタートさせます。

チームとRenameの接点をつくる

企業や学生、スポーツチームなどにカスタマイズしたチームウェアを提供予定です。まずはよく見かける企業のロゴTシャツのようなものです。現在、4社進行中で、誰もが知っているスポーツチームとのコラボレーションも決定しました。

ロゴを印刷するTシャツは、どのブランドとは気にならず、見た目も価格も他社製品と同等なら、課題解決という背景を持ったリネームクロスは選択肢に入るのではないか。そんな仮説があります。

導入先はSDGsやサステナビリティへの取り組みとして情報発信することもできる。そして受注生産。当然、Renameとそのチームとの接点も生まれます。多くのメリットがあるのではと考えています。

余った生地から作るという特性上、大量生産はできませんし、するつもりはありません。儲け度外視という訳ではありませんが、世の中とRenameの新しい接点を目指しています。

そんな、コトが乗っかったモノ(服)。それが、Rename Xです。

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Renameは考え方でもある

タグを外せば、ブランドイメージを守りながら自由に販売できる。そしてユーザーはブランドイメージにとらわれずに自由に選べる。Renameの特徴です。そしてこれは、考え方でもあります。

私個人の考えではありますが、これは服に限らず私たちにも言えること。私たちには会社名や肩書き、所属コミュニティなどいろいろなタグが付いている。時にそれを理由に、何かに制約かけている自分がいるのではないでしょうか。
「そのタグを外してみたら、どんな振る舞いができるか?どんな可能性が生まれるか?」そんなことを考えみるのも、面白いかもしれません。


最後に、
FINEや協力会社の皆様、お取引様や弊社の服を手にとっていただいている方、いつも応援してくださるメディアや業界関係者の方々。今年も心から感謝申し上げます。

また来年もFINEならびにRenameをどうぞよろしくお願いいたします。
よいお年を!

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(執筆=津田 一志)