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拡大するサブスクリプション型ファッションビジネス – 米国ファッションレンタル市場のいま

前回のnoteでは、国内のファッション分野のサブスクリプション事例を取り上げました。サブスクリプションの定義など、サブスクリプションの基本的内容については、こちらのnoteをご覧ください。

今回は、サブスクリプションの中でも「ファッションレンタル」に着目し、米国におけるその流れと事例を紹介します。

ユニコーン企業も現れ、先進する米国のサブスクリプション型ファッション

ここ数年は国内外問わず、シェアリングエコノミーに関連した事業や、アパレル業界のサブスクリプション型サービスが増えています。なかでも、よく耳にするのは「ファッションレンタル」。国内ではメチャカリやエアクロが有名ですよね。

米国では大型の資金調達でユニコーン入りを果たした「Rent The Runway」がリードしはじめました。今回は、先進的に市場を拡大する米国のファッションレンタルビジネスを、事例をご紹介しながら見ていきます。

米国でファッションレンタルが注目される理由

①SNSの普及で服の消費サイクルが短期化
SNS投稿のために安い服を短い期間で消耗していく傾向が顕著になり、モノを持つよりも一度着て楽しむ消費行動が加速してきているようです。

②モノを「共有」することへのニーズの高まり
お手頃に服を楽しむために、ファストファッションなどでたくさんの服を求める消費者はいます。しかし、近年はシェアリングのサービスも増加しているように、モノを「所有」するより「共有」することへのニーズが高まりつつあります。

③レンタルが環境に配慮した消費に
服の廃棄に対する課題が深刻化し、若年層の環境課題に対する意識の高さも見られるようになりました。サステイナビリティに関心を持つ人々が欧米では増えており、環境に配慮した消費の選択肢としてファッションレンタルが支持されているのではないでしょうか。

米国ファッションレンタルサービス事例

米国のファッションレンタルサービスの特徴はさまざま。セレクトのサブスクリプション型や自社ブランドのレンタルなど、それぞれの商品価格帯やターゲットのニーズに応じたレンタルの形式があるようです。

Rent The Runway
2009年に創業し、2018年にユニコーン入りを果たしたファッションレンタルサービス。月額159ドル(約1万8,000円)で一度に4つのアイテムをレンタルできます。「Marni」などのデザイナーズブランドを始め、450以上のブランドから好きなアイテムを選べるようになっています。
「Rent The Runway」公式HP

Gwynnie Bee
サイズ展開が幅広いファッションレンタルサービス。カジュアルなアパレルブランドが多く、普段着にも取り入れやすいアイテムを揃えています。1〜10アイテムを月額49〜199ドル(約5,300〜21,500円)でレンタル可能。アイテム数ごとに月額課金の金額が違うので、必要に応じて調整できる仕組みです。
「Gwynnie Bee」公式HP

ARMOIRE
2016年に創業したARMOIREは、2019年は「普段着使いのRent The Runway」と称されるサービスになりました。月額149ドル(約16,100円)で一度に4着借りることができ、借りた服が気に入れば、好きなときに返却できるのが特徴です。また、独自のアルゴリズムにより、ユーザーへのコーディネートの提案もしてくれます。
「ARMOIRE」公式HP

Nuuly
米国アパレル小売大手のUrban Outfittersから、2019年夏に展開された女性衣料レンタルサービスです。自社ブランドも含め、他社ブランドもレンタル可能。月額88ドル(約9,700円)で月に6着の服を借りることができます。
「Nuuly」公式HP

世界的拡大が予測されるファッションレンタル市場

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近年、サステイナビリティへの意識が高まり、便利で新しいモノがお手頃になっていることから、ファッションレンタルの需要の高まりが見られます。実際に、世界のファッションレンタル市場は2017年に10億1,000万ドルを獲得し、2023年までに18億5,000万ドルに達すると予測されています。(Globenewswireより引用)米国を始め、世界の市場成長が国内のサービスにどのような影響をおよぼすのか、今後の展開に注目です。

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(こちらの記事は、峰松 裕子さん@HirocoStella_mに寄稿していただきました。)

編集=中原 愛海