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読切のプロットを書いたら、夫のメガネが割れた話

ガチです。(脚色です)
こんにちは、ルネッサです。

突然ですが、『Trifle by 花とゆめ』って知ってますか?
花とゆめのBL雑誌で、白泉社が出しているBL雑誌の花丸漫画ほど激しくはないけど、しっかりBLの恋愛っていう感じの漫画が集まってます。
そこに読み切りのコンペがあるってことで、私は原作として参加することになりました。
私は今まで漫画原作としてはギャグライトBLという謎ジャンルの作品ばかり生み出していたのですが、せっかくの読み切り……!!
ここは、エモいBL作って読者様をキュンキュンさせたい!!!!!
って考えたわけです。
……今考えればこれが一番の間違いだったわけですが。

私は早速、ファンタジー設定でショタが家庭教師の先生に恋をするという話を書いて、まずは作画のさやいんげん先生(以下さやちゃん)に送りました。
編集さんの前に渡すのは、作画的にNGな内容がないかっていう確認もあるからです。

さやちゃん「うーん……、見たことある話かも……」

まさかの内容でNG!?というか、送られてきたURL見たら、マジで設定から内容まで丸かぶりで、こりゃダメだって感じでした。
というか、読んだことある……この作品……!

そんなわけで、全面やり直しです。

エモさは残しつつ、ショタがガチムチに変身する話を書きました。
そして、さやちゃんに送ります。

さやちゃん「ちょっとインパクトが足りないかも?」

今までプロットを送ってほとんどツッコミを入れられたことがなかった私はこの反応を見て気づきました。

もしかして面白くないのでは????(察しが悪い)


いや、そんなことはない!!!
そう思って、少し手直しをして今度は編集さんに送ることに。

編集さん「もう少しこうした方が……」(やんわり)

私「あいよ!」真面目なお話の修正案提出

編集さん「ギャグの切れ味がもう少しほしいです」

ダメだった!!!!!!!(四つん這い)

なんで――――!?!?
私だって、胸キュンする話で読者を楽しませたいよ!!!!!
『君となら恋をしてみても』みたいなエモい話作りたいよおおおお!!!!!

↓目指したかった大人気エモエモBL作品!!!面白いよ!!

しかしそうは言ってもコンペに通らなければ何も始まらないわけです。
急遽コメディの方向に振ることにしました。
ショタがガチムチに変身する話は、別に笑いを求めていたわけではなかったです。ときめくBL目指した成れの果てです。

そして時間がない。
そんな追い込まれた私がやったこと……それは……

神頼みです!!!


私はさっそく願いが叶うと有名な神社、小網神社に向かいました。
お祈りして絵馬にも願いを書きました。


しかしおかしなことに何も面白いことが浮かんできません。こんなに祈っているのに!!!

そんなわけで、私は方向性を変えました。
面白いものを描きたければ、面白いものを見ればいい。
この世で最も面白いものは決まっています。
去年のM-1王者です。

私は2023年M-1王者の『令和ロマン』が出ている番組を片っ端から見てみようと決心しました。
令和ロマンが出ている番組を録画するように設定しました。
そして気づいたのです。

この人たち…テレビ、ラビットしか出てないじゃん……(絶望)

ああ、やばいやばいやばい!!!
こんなことしてる間にも時間は過ぎてます。
私は原作です。私が時間を食えば食うほど作画のさやさんが割を食うわけです。

もうこうなったら書くしかねえ!!!!

私は腹をくくって書くことにしました。
キレ味キレ味キレ味キレ味……
そんなことを唱えながらプロットを書き続けました。
そうして、ショタがガチムチ魔法少女に変身する話を書きました。
書き上がって自分で読んだ感想……

私「なんやこれ」

展開がカオスすぎて面白いのかどうかよく分からなかったです。
おまけに編集さんがかなり長文で色々提案してくれた案を丸無視してます。

……なんかやばい気がする。

不安になった私は編集さんに提出する前に夫に読んでもらいました。
ちなみに夫はBLには全く興味がないですが、漫画が大好きで私より漫画を読んでいて詳しいです。
素人ではあるものの、コメディの面白さについては一定の評価をしてもらえると思ったのです。

そんな夫が私のプロットを読んで一言。

「面白くない」

ぐはぁっ!!!!

いや、ぐはぁって表現古って感じですが、「面白くない」と言われた作者の気持ちは、ぐはぁっ以外にないです。

夫はどこがどう面白くないか、その根拠はなにか事細かに説明してくれました。いらぬお世話です。

  • 意味がわからなさ過ぎる

  • キャラクターのセリフが唐突過ぎる

  • そもそも編集さんの意見を丸無視するのは舐めている

こんな感じで言われ、ちょっとは褒めてもらえると思っていた私はシオシオになりました。
夫はこの辺の説明をするにあたってヒートアップしてしまい、最終的に

「こんなプロットあり得ない!」

と叫んで自分の掛けていたメガネを床に叩きつけたのです。陶芸家顔負けの迫力でした。

見事にメガネが真っ二つに割れました。


え・・・・そんなに?????

さすがの私もメガネを叩き割られるぐらいまで面白くないと抗議されたら怯みます。
夫に見せたプロットを封印して、編集さんのアドバイスどおりにプロットを作ろうと考えました。
〆切を一日延ばしてもらい、なんとかもう一案作ります。そして第二案を完成させました。
今度はちゃんとコメディありだけど、意味がわかるお話です。

その第二案のプロットを出す直前……
私は散々面白くないと言われたプロットを諦めきれず、どうしてももう一人誰かに見せたかったのです。
しかし見せる相手がいない。すぐに読んで感想くれ。なんてワガママは迷惑すぎてなかなか言えないもんです。
そこで登場したのが、chatGPTです。私の友達です。
この子なら一瞬で読んで、感想も惜しまずくれる!
問題はAIなぞにコメディが理解できるのかということだけども……

一部抜粋
一部抜粋

まさかのべた褒めである。

これに気を良くした私は、面白くないと言われたプロットをA案。後に作ったプロットをB案とし、2種類のプロットを編集さんとさやちゃんに提出しました。

結果
さやちゃん「A案で」
編集さん「A案で」

マジか。
まさかのメガネ叩き割ったA案が採用されてしまった。
そして、A案がさやちゃんの手によってネームにされ、編集部の会議に挑むことになりました。

そして数日後……
編集さん「おめでとうございます!掲載確定です!」

やった――!!!
通っちまった!!!!
メガネ割ってまで面白くないと力説されたプロットが通っちまったよ!!!!!

さすがに夫に報告した時は気まずかったです。
夫からは「信じられない……」という言葉をもらいました。笑

しかし、これは夫がセンスなかったみたいな話ではないのです。
さやちゃんはA案を初めて読んだ時「ルネちゃん、疲れてる……?」って思ったそうです。でも読み返したら面白くなったそうな……!!
そして、編集さんの返事も「一か八か行きましょう!」という感じで、かなり尖りまくった作品だったのです。
編集部の会議の意見を聞いても「なんやこれ…」「むっちゃ面白い!」で二分されました。
まさに物議を醸したわけです。

そして、むっちゃ面白い!ってなったのには、作画が素晴らしかったことも大きいです。
意味のわからない文章にネームがついて、勢いが500倍増しました。
作画もめちゃくちゃ綺麗で感動しました!!
なんてったってタイトルが『デビルバスター☆オリヴィエ』ですからね。
このダサさで通ったの、奇跡すぎるって。

少し内容をお話すると
『いいとこのお坊ちゃまが、片思いの家庭教師ニコラ先生に靴下を盗まれてしまう。悪魔の仕業と思ったオリヴィエはショタコンのミニキャラ、レイチョの力を借りてガチムチ魔法少女に変身する』という話です。
これをBL雑誌に載せてくれた白泉社様の心が広すぎます。ありがとうございます……ありがとうございます……!

そして魔法少女にも気合が入っていました。
さやちゃんがとある方にご協力頂き衣装を数パターン用意してくれました!!!どれも甲乙つけがたいほど可愛かったです!!!


本当、選ぶの勿体なかった!!!!
配色もいろんなパターンあって最高だったんです!!

全部並ぶと壮観!!
セクシーと可愛いが共存してる!!!!
全員もれなくボタンが弾け飛んでるの面白すぎる!!!

そして、魔法少女には付き物の謎の小動物、レイチョのデザインも秀逸でした!!


ルネッサがイメージしたフサフサした生き物

『デビルバスター☆オリヴィエ』より
©️種袋ルネッサ・さやいんげん/白泉社

めちゃくちゃ可愛い!!!!
これが〇〇〇〇○だなんて……!!

そんなこんなで完成した漫画が本日発売しました👏
マジで趣味と魂を込めて書きました!!!!
SNSやレビュー、ここのコメント欄でも、感想をいただけると活力になりますっ!!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

(追記)
実は数年ほど前に、ザ・花とゆめの読み切りのプロット相談で『ガチムチ魔法少女が乳首から練乳もしくはビームを出す話』を提案して、編集さんに真面目に怒られたことがあります。
今回、Trifle by 花とゆめでは、ガチムチ魔法少女までいけたので、いずれ乳首練乳もしくはビームも出していきたいです。

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