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詩のような。

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記事一覧

見えないもの

夜が暗いと怖いね
かつては大層暗かったらしいよ
わからないって恐いね
かつてはなんにもわからなかった
すぐ繋がれないと寂しいね
かつてはすべてが遠かったんだ
いつ死ぬかわからないってこわいね
いや
今も
いるんだよ
見えないだけさ
くらやみもこどくもしも
すぐそばに
見えないようにしたら
見えなくなっちゃった

加藤催青

欲望が(未完)

欲望が海のように
大きく寄せてくる
引いたかと思うと
また満ちてくる
舐めてみる
塩辛い
甘くはなかったか
やいのやいの

加藤催青

わからない覚えてない(未完)

死ぬってこと
死んだことないしわからない
生まれる前のこと
覚えてない
これから来る死のこと
あまり想像できない

加藤催青

本当の所はどうなん

ニワトリ・牛・豚
大量に生まれさせて殺される
モノも言葉も人間も
大量に生まれさせて殺される
その先になにがあるだろう
わからない
だけど時々止まって考える
遠くを見たり
ぼーっとしたりして
早く歩きすぎてやしないか
歩かされてはいないか
なにか生まさせてはいないか
生んでないか
なにか殺させてないか
殺してないか
生まされたり殺されたりしてないか

加藤催青

みえるものがみえるもの

見えないものが見える
見たいものが見える
見たいものしか見えない
見たくないものは見えない
見たくなくないものも見てしまう
見たいが見えるに
見えるが見たに
見えるものが見える
見えるものが見える

加藤催青

風はあなた(未完)

風はそんな気ないんだろうが
わたしの前をかすめてく
風はそんな気ないんだろうが
すこし勇気が湧いてくる
すこし前に進めた気がする
風はそれでも何処吹く風だ

加藤催青

どこへ帰れば

分かる
死が近づいてる
死へ
近づいていっている
のろのろと、のろのろと
遠回りをして
身体じゃない
魂が
堕ちていってる
落としめていっている
真っ直ぐに真っ直ぐに真っ直ぐに
曲がっていっている
標があれば
標を立ててさえいれば
知る由もない
散る花もない
見る影もない
はいはいから
今また地を這って
どうやって生きてこれたろう
月は遠い
時鳥が鳴いている

加藤催青

まともじゃない

まともじゃない
まともじゃない
じゃあ
あなたはだあれ
なにを見て
なにを聞いて
なにを食べてるの
右手にはナイフ
左手にはフォーク
頭上には月が
開かれている

加藤催青

まちがい

いつでも間違いがある
いつまでも間違いがある
だれでも間違いがある
だれにでも間違いがある
気づけない間違いがある
傷つける間違いがある
あらためられる間違いがある
あらためられない間違いがある
人の数だけ間があって
間の数だけ間違いがある

加藤催青

大人へなる(未完)

楽しかったあの頃を
記憶に抱いて大人へなる
現実だと言い聞かす
そんなのもうやめないか

加藤催青

ネギのにおい

家を出る
ふと
香ばしいネギのにおい
ネギのにおいが好きなんじゃなくて
ネギのにおいがするこの世界が
好きなんだ

加藤催青

たんちょう(未完)

短所は短い
長所は長い
長いものが入らない箱も
あるよな

加藤催青

気の(未完)


気が悪いな
天井から
死が降ってくる
降りそそぐ
わたしのもとへ
まとわりついたら
なかなか乾かないから
気をつけて
ほら心臓にも
降りてくる
包まれる

加藤催青