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◆1分で読める小説◆   雷鳴


[歴史ショートショート]

できることなら、逃げ出したい。しかし、そのようなまねは断じてできない。
果たし状を受け取ったからには、武士として卑怯な振る舞いはできないからだ。

果たし状の理由は、どうやら、お役目上のことで私が上役に報告した内容を逆恨みしたようだ。
使途不明金があったのだ。
とはいえ、果たし状を送りつけてくるとは、なんとも短絡的な男だ。というか、いい迷惑だ。

こんなところで、命を落としたくはないが、状況は、こちらのほうが分が悪いようだ。
相手は、皆伝の腕前だ。
どうあがいても、私が歯が立つ相手ではない。

果たし合いが始まって、かれこれ四半時が過ぎようとしている。
相手は青眼の構えで、間合いをとっている。
真剣勝負は初めてらしく、まだ、打ち込んではきていない。

周囲が騒々しくなってきた。
野次馬も増えてきたようだ。

小雨も降ってきた。
遠くのほうで、雷鳴も聞こえている。

いずれにせよ、そろそろ覚悟をきめなければならない頃合いだ。
相打ち覚悟で斬り合うしかない。

こちらの気合を感じたのか、相手も上段に構え直し、じりじりと間合いをつめてきた。

その瞬間、相手の刀先に向かって、天空から一筋の閃光が走った。
と同時に、すさまじい轟音とともに、相手は後ろに大きく弾き飛ばされた。

一瞬の出来事に、我が目を疑った。
どうやら、相手の切っ先に向かって、雷が落ちたらしい。

こうしてはいられない。
また雷が落ちるかもしれない。
土手の先にある桑畑に逃げ込むのだ。

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