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【童話】おじいさんとカイツブリ
おじいさんは湖畔で、椅子に座っていました。空は穏やかに、お日様は柔らかな日差しを地上に降らせています。
涼やかな風が水面(みなも)をさらさら撫で、ときどきおじいさんが座る木陰にまでやってきて、そっと優しく触れて通り過ぎていきました。
湖の周辺にある葦原(あしはら)では、オオヨシキリという鳥がギョギョシギョギョシと鳴いて雌を呼び、岸の方ではオオバンという鳥が草を編んで可愛い巣を
【短編小説】アニと冬の子【童話】
もうすっかり、冬のただなかでありました。
どっしりと厚い灰色の雲から、雪が音もなく降りてきて、村の三角屋根に白く積もるような、静かな夜のことでした。
外は暗く寒いですから、人々は皆もう家の中に入っています。
十二歳になる少女・アニも、暖炉で暖まったお部屋で、おばあさんがセーターを編んでいるところを眺めていました。
ソファに座るおばあさんの足元に寄りかかりながら、アニは楽しい出来事
【短編小説】淡雪の遠吠え~狼と恋した娘の物語~
たかが薄紙一枚のこと。
――そう笑い捨てられれば、どれほどよかったことでしょう。
求婚の手紙が届きました。
お相手は、六つ年上の、南部でも名のある家の次期当主です。以前、この北の山へいらっしゃったとき、私を見初めてくださったようでした。
家の者は――父も母も兄弟も――皆、喜んでおりました。
食べ物が貧しいこの北の山からみれば、気候が温暖で人々の営みで栄える南部という
【小説短編】深海の星
こちらの小説は、下記リンクで朗読になっています!
よろしければ千員斗製薬さんの美麗イラストと共にお楽しみください(o^―^o)
【朗読】【睡眠導入】【男性】深海の星【字幕つき】
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深海に一匹、ヒト型をしたナニカがおりました。
七歳くらいの、人間の男の子のような姿をしています。真っ暗な深海で、プランクトンの死骸を吸い込みな