100人の怠け者と100人の働き者

100人の怠け者が住む国

100人の怠け者が住む国がありました。国民は怠け者ですが、みな100万円のお金を持っていました。政府は橋をかけるために、税として1人100万円ずつ徴収しました。政府は1億円の予算で橋を架けようとしましたが、誰も働かないので橋をかけることはできませんでした。

政府は税収の範囲でしか支出できない/税収の範囲であれば支出できると考えている人は多いでしょう。しかし、どれだけ税収があっても、その国に生産力がなければ政府は支出することができません。怠け者しかいない国では、誰も働かないので、税を集めても橋をかけることはできませんでした。

100人の働き者が住む国

100人の働き者が住む国がありました。国民は働き者ですが、誰もお金を持っていませんでした。政府は橋をかけるために、税として1人100万円ずつ徴収しようとしましたが、誰もお金を持っていないので、税を徴収することはできませんでした。そこで政府は1億円のお金を発行し、国民を雇って橋をかけました。

逆に、税収がなくても生産力があれば、政府はお金を発行することで支出することができます。働き者が住む国にはお金がなかったので、税を集めることはできませんでしたが、政府がお金を発行することで橋をかけることができました。そして、国民たちは100万円の貯金をすることができました。

なお、租税貨幣説に基づけば、この1億円が価値を持つためには、政府が国民に納税義務を課す必要があります。例えば橋の通行税とか。国民が橋を日常的に使う必要があれば、橋の建設に参加して円を受け取る必要があります。もし100人の中に たくさん働いた人と、全く働かなかった人がいるとして、働かなかった人が橋を通るためには、たくさん働いた人に対して何らかの商品を提供して対価として円を稼ぐ必要があります。こうして通貨が対政府だけでなく、国民間でも価値を持つようになります。

1人の商売人と100人の働き者が住む国

1人の商売人と100人の働き者が住む国がありました。商売人は100万円を元手にパン屋さんを始めました。国民たちを1人1万円で雇い、パンを1万個作りました。国民たちは1万円の貯金ができました。商売人は1万個のパンを1つ120円で売り出しました。20円が商売人の儲けです。国民たちは1万円の貯金の中から9000円を使って、パンを75個買いました。貯金を全て使わず、1000円は今後のために残しておいたのです。商売人は、1万個のパンのうち7500個しか売れず、2500個が売れ残りました。売り上げは90万円でした。10万円の赤字です。これでは商売上がったりだ、と商売人はパン屋さんをやめてしまいました。

私たちは一生懸命働けばお金が増えると思っていますが、物を売り買いしたり、人を雇ったりするだけでは、世の中に出回るお金は1円も増えません。私が稼いだお金はどこかのだれかが支払ったお金だからです。そして、商売人は仕入れや給料に使った以上の金額で商品を売ろうとしますし、国民たちは稼いだお金のうち、全てを使わず一部は貯金しようとします。このように考えると、実は民間だけで経済を回すことは不可能であるということが分かります。経済を回すためには、外部から常にお金が供給され続ける必要があるのです。そんな奇特な人、いるわけがない!?

1人の商売人と100人の働き者が住む国(改)

1人の商売人と100人の働き者が住む国がありました。商売人は100万円を元手にパン屋さんを始めました。国民たちを1人1万円で雇い、パンを1万個作りました。国民達は1万円の貯金ができました。商売人は1万個のパンを1つ120円で売り出しました。20円が商売人の儲けです。政府は1万個のパンを買い上げ、1つ90円で売り出しました。国民たちは1万円の貯金の中から9000円を使って、パンを100個買いました。貯金を全て使わず、1000円は今後のために残しておいたのです。商売人は、1万個のパンを完売することができました。売り上げは120万円でした。20万円の黒字です。商売人は20万円の黒字のうち、10万円を政府に納税しました。商売人の資金は110万円になり、商売を続けられるようになりました。国民たちはパンを100個買うことができ、1000円の貯金をすることもできました。

奇特な人、いましたね。政府っていうんですよ。120円で仕入れたパンを、なんと90円で売り出してくれました。パン1個につき30円の赤字、合計30万円の赤字です。最後にパン屋さんから10万円の税金を受けとりましたが、それでも20万円の赤字です。でも政府が赤字を出してくれたおかげで、商売人は商売を続けることができ、国民もパンを100個買えましたね。ということで、民間の経済を回すためには、政府が赤字を出してお金を供給する必要があるのです。もちろん、お金を供給しすぎると世の中がお金であふれて、お金の価値がなくなってしまうので、適度に徴税をしてお金を回収する必要があります。

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