《お仕立てと石留めの話》

私「先日の《お仕立ての良し悪し》で、石留めのお話の反響が良かったので、他にも話を聞かせてください(≧▽≦)」
社長「いきなり来たわね(ㆁωㆁ*)」
私「こういう話は旬があるんで!」

社長「じゃあ、オーダ時の話でもしましょうか。事故が多いのってここだから」
先生「結論から言うと、石留めに不安がある脆い石は、最初から受け付けない、ってお店は言うべき、なんだよね。実際、多いでしょ、そういうお店」
私「確かに、ゴメンナサイされることがありますね。それで私たち石沼の民は放浪することになるのですが」
先生「引き受けないのも誠意だと思うんだよ。リスクが高いから、事故を避けるために受けない。意地悪を言っている訳じゃないんだよ。だから、これはこれで問題ないんだ」
私「ドコかに問題があるような口ぶりですね」
社長「問題は「引き受けるお店の中」にあるの」
私「∑(°Д°)ノノ」

社長「引き受ける理由が「経験や知識が豊富にあるからOK」なら、問題ないの。経験に基づく技術はリスクが下がるから」
私「ふむふむ」
社長「問題なのは「まぁ大丈夫でしょう」って安請け合いする場合」
私「∑(°Д°)ノノ」
社長「(^^;; タマニ キクノ ヨネ」
先生「依頼時は「なぜ、引き受けてくれるのか」の質問をして欲しいね」
社長「「今までOKだったから」の理由が、前回の石留めで話した「きちんと爪を叩かないことでリスクを軽減していた」なんて場合もあるのよね」
私「∑(°Д°)ノノ」
先生「「それって、留めてないじゃん!」って僕は思う(^^;」

先生「お店は、知識と技術に基づいたリスクを十分に話してから引き受ける。お客様は事故について納得の上で依頼をする。お客様も、一般的な石以外はリスクが高いって理解して欲しいね。  職人さんが技術を持っている前提は「扱ってきた石それぞれの経験値」によるもので」
先生「だから「未経験の石」は、「扱ってきた石それぞれの経験値の応用」で対応するしか無いから。経験値の無い石を扱わせるのは、それだけでリスクなんだよ」
私「リスクを下げる方法、ってありますか?」
先生「あるよ(°∀°*)」
私「∑(°Д°)」
先生「お店に石を持ち込む時、持ち込んだ石をどのくらい扱った経験があるのか、を聞くことだね。扱った経験が多いほど、リスクは低くなるよ」
私「φ(..)メモメモ」
先生「同じ事が傷石にも言えて、傷石のセッティング経験があるお店と、無いお店だと事故率が大きく違うから、確認するといいよ」
先生「うちは、傷有りのロードクロサイトでもセッティングできるよ(°∀°*)」
私「ご依頼、確かに受けてましたね(^^;」
社長「自店で手に負えないレア石セットのオーダーをうちに回してくるお店あるんだけど、逆にそれは「自店の実力をきちんと把握している」っていうことでもあるのよね」
先生「それがお店の誠意なんだよね。出来ないことを出来るっていうのは、その後の事故を考えたら、ね(^^;」

私「とはいえ、私達にとってはドコに頼むのが安全なのか、判別しにくいです。お仕立てのお話を持っていって、「不安だからよそにします」とか、いいにくいですよ(^^;」
先生「中ちゃんのいう「石沼界隈」って、ミネラルショーに来ている業者が多いと思うんだけど、その業者が「何を専門としているのか」を見るといいよ」
私「(?-?)」
先生「石専門なのか、お仕立て専門なのか。レア石はお仕立て専門の業者がいいよ」
先生「お仕立て専門なら、自分が仕立てた作品がサンプルであるだろうから、そのサンプルにセットされている石とその石留めの方法、裏の始末が丁寧か。デザイナーがいるなら、彫金まで自分で出来る技術を持っていることだね。ペーパーデザイナーは避ける」
私「ペーパーデザイナーって何ですか?」
先生「造語に近いんだけど、デザインを紙の上だけでして、実際に自分で作らないデザイナーだよ。自分で作れないから《デザインの嘘》が発生しても、気づかないんだ。勿論、石留めの強度とか生の感触を実感として持っていないから、職人への指示も甘くなる」
私「《デザインの嘘》……紙(2次元)にかけるけど立体では再現不能ってことでしたっけ? 毛◯蘭ちゃんのヘアスタイルみたいなものですね(ㆁωㆁ*)」
先生「その例えはよくわからないけど(^^; ジュエリーは3次元だからね。どんなに実現できそうでも、実際には無理は、発生するんだよ」

私「じゃあ3DCADデザインが最強ですか(ㆁωㆁ*)」
先生「うーん。3DCADは便利な道具だと思うけど、僕は手を動かして、実物を触った経験の方を推したいかなぁ」
私「何でですか?」
先生「3DCADは、確かに立体的に見せてくれるんだけど、手で触った感触までは教えてくれないから」
先生「例えば、平打のシンプルなリングがあるとするでしょ?」
私「はい」
先生「内側にどの程度の丸みを付けたら、付ける際に気持ちのいいリングになるか、は3DCADじゃわからないんだよ」
私「あー(^^; ありますね、先生がこの間作っていたリング、指を通す時の感覚がもの凄くセクシーでしたね」
先生「そう。それが手の実感なんだよ」 私「アレは、なんというか肌感覚的にエロティシズムが有りましたね(^^;;
見てキレイ、身につけて引き立つ、装着時に気持ちがいい。これがジュエリーの真髄だと思うんだ(°∀°*)ドヤー」

私「ちょっと脇道にそれましたね(^^; 話をもとに戻しますね。 レア石の持ち込み先としては、
① お仕立て専門のお店で、デザイナーが彫金技術を一定ライン保持していること
② 持ち込むレア石(や同じ性質の石)を扱った経験値が豊富であること
③ レア石のリスクをきちんと説明してくれること
④ レア石の石留めがきちんとされている品を展示していること
って感じですかね?」

先生「ざっくり言うとそうなるね」
社長「宝飾業界って「餅は餅屋」っていう「細分化された専門職」の集団だから、専門外は弱いのは仕方ないのよね」
社長「カンティーユはレア石を多く扱ってきた宝飾店だから、お仕立ては得意なの。でも、大手ジュエラーのような超高級石の在庫があるわけでもないし、問屋さんのような豊富な在庫があるわけでもないわ。石屋さんのような幅広い石を持っているわけでもない」
私「だから、お持込歓迎なんですね」
社長「適度な硬度があれば、原石だってセッティンくするわよ(ㆁωㆁ*)」
先生「この前はご依頼でフローライトの原石でリングを作ったよ(°∀°*)アレハ ナカナカノ デキ ダッタナァ」 私「でしたね(^^;」
社長「宣伝するようでなんか恥ずかしいけど、他所で断られた場合も、一度はうちに相談してもらえれば、何かの解決策は探せるかもしれないわね」
先生「リング直しも±5号くらいは普通に引き受けるよ(°∀°*)」
私「その際は宜しくお願いします(^^;」 社長「(?-?)」
私「若い頃の薬指のリング、人差し指にはめたいんですよ(^▽^;」
社長「プラスいくつ?」
私「10くらいですかね(^////^;;;;;」
社長「∑(°Д°)ノノ」
先生「とりあえず、現物を見てから、だね(^^; 多分大丈夫だけど」
私「よろしくおねがいしますっ!」


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