見出し画像

アップするその前に 著作権を気にしてみよう

今月22日、タレント、モデルとして活躍されている紗栄子さんが、ご自身のinstagramにて、「著作権をしっかり学ばなくては」とコメントされておりました。下記URLのコメントを一部抜粋して引用します。

改めて勉強になったのは絵本の権利について。📚 音楽や映像に著作権が発生するのは広く知られていることだけど、出版物に関しても同様で、瞬間的にそれを忘れてついついSNSに挙げてしまいがち

著名人である紗栄子さんだから、というわけではなく、SNS等で情報発信をする誰もが気にしなければなりません。

例えばnoteクリエイター規約9禁止事項の1(1)(2)には、次のとおり規定されております。

以下に該当するデジタルコンテンツの掲載、サークルにおける投稿その他本サービスにおける情報の送信は禁止します。
(1) 盗作、剽窃など、他者の著作権等を侵害しているもの。
(2) 上記のほか、他者の財産権、著作権・商標権等の知的財産権、肖像権、名誉・プライバシー等を侵害するもの。

もっとも、「明らかに権利侵害」と感じるものをアップする人は少ないと思います。
多くの人は、少し立ち止まり「これくらいは大丈夫」と思い、アップされているでしょう。
今回は、SNSで著作権に関するトラブルを招かないため、「皆様が悩まれているかも」と私が思うポイントをピックアップして紹介します。

1. 引用する場合の注意点

他人の著作物を適法に利用できるケースがあります(著作権法30条~50条)。

例えば、「公表された」他人の著作物については、「引用」すれば利用できます(同法32条1項本文)。
「公表」されていなければならないので、オープンになっていない1対1のトーク履歴やメッセンジャー、写真等は他の人が見られるようにアップすべきではありません。

そして、引用の方法は、「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で」なければなりません(同法32条1項但書)。
また、引用により著作物を複製する場合、著作物の出所と、著作者名(無名や出所の明示で明らかになる場合を除く)を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければなりません(同法48条1項1号、2項)。

条文や判例を踏まえ、公表された著作物を引用する際におさえるべきポイントは以下の3点です。

① 出典・著作者名を明記。 
② 著作権者を害することがないように、引用の目的上必要最小限に。
 なお、要約は、著作権者の意図しない改変に当たるリスクがあるので、「そのまま」引用することがベター
③ 自分の意見をメインとし、引用部分と明確に区別できるように
 noteでは、引用や埋め込みを使うといいでしょう。引用は、引用した部分をドラッグすると表示される「"」、埋め込みは、改行すると左側に出てくる「+」をクリックして表示される「<>」にURLを貼り付け、でできます。

なお、裁判所でどのように判断されるか気になる方は、絵画の鑑定書事件(知財高判平成22年10月13日判時2092号135頁)、特に、判決要旨は短くまとまっていますので、一例としてご参照ください。

2. フリー素材の権利すべてがフリーとは限らない。

企業から「ネットで「フリー素材」というキーワードで検索してヒットした画像を広報に活用したところ、フリー素材であるはずなのに、著作権侵害であると警告を受けてしまった。」というご相談を受けることがございます。

フィルタリングせずに、フリー素材をキーワード検索しても、フリーでない素材や、一部の利用行為だけがフリーである素材がヒットする可能性があります。Googleで画像検索する場合は、検索オプションのライセンスでフィルタリングしましょう。
それでも何がフリーなのかわからない場合、使用しないことがベストです。

また、パブリックライセンスとして、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスが活用されています。詳細は下記URLをご覧ください。

3. 結び

誰もが情報発信できるため、そのリテラシーが問われています。
今回は著作権について(長くなるので、それもごく一部)しか触れませんでしたが、著作権に限らず、肖像権、パブリシティ権、商標権、プライバシー権等の権利侵害や名誉棄損にも注意する必要があります(先に挙げた利用規約を参照してください。)。
また、企業広告となると、景表法やそれぞれの業種ごとで留意すべき法律等の問題もあります。

炎上まで考えると、さらに難しいです。
風刺やパロディ等、個別具体的に見た場合、必ずしも権利侵害とはいえない表現であっても、炎上することがあるからです。
専門家と一般人とでは、権利侵害と感じるレベルに差があると感じております。
一般人の多くが著作権侵害と感じれば、炎上する可能性が高いです。
炎上リスクを背負いたくなければ、特にマイナスイメージを想起させるパロディや風刺はなるべく控えることが望ましいでしょう。

どれだけ注意していても、トラブルに巻き込まれるケースがございます。
ビジネスではその影響は深刻なものになるかもしれません。
法的リスクが気になる企業の方等、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
所長 弁護士 弁理士 西脇 怜史(第二東京弁護士会所属)
(お問い合わせページ https://nipo.gr.jp/contactus-2/)


この記事が参加している募集

noteの書き方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?