居村 玲里(Reiri Imura)

◆ 居村玲里(Reiri Imura)◇ 詩でも小説でもないものを、散文絵の具で描いています(※フォローやお返しいいね等しておりません)[Instagram,twitter,note,tumblr@reiri009]

朝が戻る

​   『朝が戻る』      深い霧雨だ。そこから先を見通すことが出来ない。音も、人も通さない分厚さで、そしてその奥行きの深さで、あの霧雨は町の境界壁になった。 …

行灯

『行灯』     「突き当たったら、左手に」  そう言われて部屋を出た。それからずいぶん長く廊下が続いた。  確かに、ずいぶん歩いていた。しんとして、暗くて細うて、…

初夏、雲を引く

『初夏、雲を引く』      縁側に面した端っこの席で、ひとり冷やし麺をすすっている。  胡瓜《きゅうり》を器の端に追いやり、汁と麺をかき集めてから、一度コップの水…

暗き猫ノ赤い舌

「暗き猫ノ赤い舌」       三日月夜     風、電線の弦を        弾いて 流れてゆく。     と。すると     ミス、ミス、などと      声のよう…

区切り画

夏の流氷

「夏の流氷」       夏の終わりに、     夜道を流れていったのは        今年などではないもの         今も凍っていましたか。      夜空の手前…