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プロダクトデザインでつなぐ、新しい関係性の形。<Re.ing Product Designer 太刀川英輔インタビュー> #5

デザインの世界で、社会や未来により良い変化をもたらすための活動を続けているデザインファームがあります。ソーシャルデザインファームNOSIGNER(ノザイナー)です。デザインだけで終わらない活動が世界中で評価され、国際的な賞も次々と受賞しています。

NOSIGNERは、Re.ing[リング]プロジェクトの立上げからコアメンバーとして参画し、各指輪のデザインを担当しています。
今回は、そんなNOSIGNER代表である太刀川さんへのインタビューです。

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太刀川英輔
NOSIGNER代表。慶應義塾大学大学院SDM特別招聘准教授。ソーシャルデザインイノベーションを目指し、総合的なデザイン戦略を手がける。建築・グラフィック・プロダクト等への見識を活かした手法は世界的に評価されており、国内外の主要なデザイン賞にて50以上の受賞を誇る。東日本大震災の40時間後に、災害時に役立つデザインを共有するWIKI『OLIVE』を立ち上げ、災害時のオープンデザインを世界に広めた。その活動が後に東京都が780万部以上を発行した『東京防災』のアートディレクションへ発展。(電通と協働)。
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− NOSIGNERは、どういったデザイン事務所ですか?


NOSIGNERはデザインの運動であり、デザインがこういう風になっていけばいいなという僕にとっての職業の実験なんですね。
僕のバックグラウンドはもともと建築の設計です。創業からはもう10年以上経っています。そこから独学でグラフィックデザイナーになり、プロダクトデザイナーになり、現在のような複数領域のデザイン事務所になっていきました。そういう流れの中で、統合的なデザインを志してデザイン活動しています。

発想が起こる仕組みを解明すること(デザインの知の構造化)
=発想と創造の仕組みを解明し、その仕組みを様々な領域の方に広く伝え、変革者を増やす。

を理念とするデザイン活動体、NOSIGNERの創業者。


▶︎クリエイティブワークを楽しむ人のためのツールを展開する新プロダクトブランド「PLOTTER(プロッター)

▶︎カンボジア発のライフスタイルブランド「SALASUSU」


当然デザイナーだから、いいデザインを作りたいと思うわけですけど、いいデザインを作るだけではなく、その背景を咀嚼し理解する力や、ステークホルダーを理解して、共創から新しいアイデアを具現化する力であるとか、マーケティング含めたブランド戦略とか、そもそもの経営戦略とか、そういったデザイン以前のところにコミットしながら進めないと最終的なカタチがズれたことになってしまうことってよくあるんですよ。
だからデザイン以前の、関係性の部分に深くコミットすることを目指すデザイン事務所であります。そんな流れで、今はデザインと事業戦略を担うデザインコンサルティングファームのようになってきました。


▶︎ガン患者の生活や尊厳を守るための施設「サチハウス」

デザインは美しさの話だけではなくて、その形が生み出す関係性の話でもあります。その関係が良くなることが究極的にデザインが目指すべきことと定義しています。だから、私たちは目に見えない関係性、つまりノーサイン(NO-SIGN)の部分を追求するぞ、という意味でデザイン事務所の名前をつけました。

▶︎NOSIGNER HP

一人のデザイナーとしても、形のプロフェッショナルであり、形にまつわる縁や関係を読み解いていきたい人でありたいと思っています。


− Re.ing [リング]
プロジェクトに参画したきっかけはなんだったのでしょうか?

お声掛けいただいた2人である、白木夏子さんと高木新平さんが、僕が注目していたクリエイターだったというのは大きいですね。2人とも、うっすら顔見知りだったですけど、遠巻きに素敵な仕事をしている人達だなーと思っていたんです。

ソーシャルでエシカルなジュエリープロダクトを作るという文脈において、大変意義深い活動をしていたHASUNAの白木さん。コンセプトデザイナーとして、かなり際立った仕事をしている高木さん。ふたりとも、とても魅力的な方々だと思っています。


最初は白木さんから相談を受けました。一緒に仕事をしないかと声をかけていただいたことはとても光栄だと思ったし、この時代に当たり前になりつつある、昔の価値観からすると新しい関係を、ジュエリーという手段で肯定していくこのRe.ingプロジェクト自体も、大変価値のある活動になるだろうと思いました。こういう新しい関係性からデザインを起こすことが、新しいデザインにつながるから、デザイナーとしてもテーマとして面白いなと。

例えば、指輪で夫婦が1対1で繋がるって言う形だけではなくて、人それぞれに自然な形の縁があると思うんですね。縁の在り方は千差万別。色々あっていいじゃん、と肯定されることって、その生き方を選ぶ人の尊厳にとって、とても大事なことだと思っています。


− 一番共感しているRe.ing [リング] プロジェクトのプロダクトはありますか?

今月末に第一弾として発表する予定の、生死を超えてつなぐリングは、デザインをしながら、その関係性から生まれた形にも納得しているかな。大切な人を失ってしまった悲しみと向き合う形として、そのデザインの指輪にしたのは結構しっくりきているんです。

指輪って円だから、永遠であり循環の象徴ですよね。だから結婚するときに交換するわけです。でも大切なパートナーが目の前からいなくなってしまった時、その永遠性をどう受け取っていいのか、わからなくなる気がするんですよ。だから別れの中に、希望があるんだよ、ということを示すにはどういう形があるかなと考えてデザインに落とし込みました。

そこで、切れ目のある指輪を提案しました。パートナーの遺骨や髪の毛から出来たダイヤモンドを、そのリングの断面に置くことで、いつも自分を見てくれている存在のようにならないかなって思って。もう天国にいるから、永遠にあなたを呪縛したいとは思っていないけれど、私はあなたをずっと見つめているよ、という、そんな関係性は素敵だなと思っています。 

あと、今はこれから先のプロジェクトとして授かり婚の指輪を提案しています。以前は、できちゃった婚、なんて言い方をされてしまっていたこともあり、世の中的に言うと昔の人にとってはポジティブかネガティブか微妙な所かもしれないけれど、現代ではカップルの当人と赤ちゃんはとっても嬉しい出来事だと思うんですよ。僕の親戚にもいるんですけど、僕もすごい嬉しかったんですね。そういったことを旧時代に争って肯定していくのはとてもいいなと思っています。

他にも気に入っているものがありますね。まあどれも好きなんですけど。 (笑)


− 白木さん/新平さんにはどういった印象をお持ちですか?

白木さんは、遠目からは社会起業家的なイメージがとても強かったんですが、会ってみると母性が強くてとても優しい人だなと思いました。逆に、高木さんも、いつも新しい挑戦をしていて、狩猟民族というか(笑)、父親っぽい人だなぁと思いました。

僕個人の考えで、女性はコミュニティを守る人だと思うんですね。男性は遠くのものを狩りに行くような、外との繋がりを構築するようなことに長けている、新しいものへの嗅覚があって新しい概念を勢いよく立ち上げていく。白木さんと高木さんは、そういう意味でチームとしてバランスがいい人達だと思っています。


− 最後に、Re.ing [リング] プロジェクトを通して社会がこうなればいいなといった、未来へのイメージはありますか?


人が生きてるとうまくいくこともあればうまくいかないこともあるし、いろんな人間関係が出てきますよね。関係性が自分にとって自然な形じゃないとしんどくなってしまう事ってよくあります。

そういう固定観念から解放されて、新しい関係を模索しつづけることは素敵なこと。解放のために、形を作り直したっていうのは自由を目指す上で正常な進化のプロセスだと思っています。
こういう更新をやり続けることによって、少しずつ人の常識は更新されていくと思うんですよ。
固定観念に対して、こういう可能性があるよ、ということを提案していくのは健全なことだし、それを言い続けることに躊躇しないですむような、そういう世界になったらいいなと思っています。

常識や信念の違いで争いになってしまうのは時には仕方ないことだと思うけど、それによって一方の可能性が潰れたり、多様性が失われるのは良くないことだと思っているんです。
このプロジェクトだけの話ではありませんが、何か新しいことを提案して、自然な方向に流れていったら、結果として常識や社会が変わったって別にいいじゃないか、そういう力が僕ら一人ひとりにあるぞ、ということを示したいし、僕はいろんなイノベーターに武器となるデザインを配りたいなと、いつも思っています。

*第一弾のプロダクトは、4月末にクラウドファンディングCAMPFIREで発表する予定です。Twitter、Facebookでは、日々の活動報告、最新プロダクトの情報などをお届けしていきます!宜しければ、是非フォローお願いします。

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全ての関係性は美しい。あるべき姿の正解なんて、どこにもない。性別問わず、ありたい自分を自由に選択するきっかけを作る #formepositive なコンテンツをお届け。/ →REINGのこと、ユニークな関係性を紡ぐ人のインタビュー、ジェンダーやサステナビリティにまつわるストーリー
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