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変わっていくことは悪なのか。

例えば、大好きな人がいて。
その人がある日突然、「今までの自分は本当の自分じゃなかった。これからは自分に正直に生きる」と言い出したら。


高校時代の同級生に、「出会ったとき、演技だと思った」と言われるほど、『いい人』だった。
初対面のとき、私も「わー、こんないい人いるんだー」と思った。
まっすぐで、ずるしなくて、やさしくて、にこにこして、どんな人たちとの集まりにも違和感なくふわっと入れる人。

けど。
それは、本当の自分じゃなかったんだって。
周りの人に嫌われるのが怖くて、否定されるのが怖くて、ずっと本音を隠して生きてきたんだって。

知り合って15年近く経って言われたときは仰天した。

私が好きだと思っていたのは、『偽りの自分』だったのか。
彼が演技派なのか。私がニブイのか。

それから、彼は少しずつ変わっていった。
学校を中退してまでやりたかった仕事を、20年近くやってきた仕事を、バカにするようになった。
転職して、「ニンゲンとしての成長」とお金の話ばかりするようになった。

そして、とても嫌だな、と感じたのは、選挙の時。
「なんかさぁ、『大人の義務を果たす』って感じがイヤなんだよね」とひねた口調で言ったとき。

ああ、もうなんか、違うんだなと思った。

生きていく中で、変わっていくことは悪いことじゃないと思う。
むしろ、当たり前のこと。

だけど、人にはやっぱり譲れないものとか、大事にしているものとかがそれぞれあって。

変わっていくことは悪ではないけれど。
誰かの大事にしていることを、自分と違うからといって、否定したくはないな。

と、東京都知事選に関する発言を見ながら、ふと思い出した。



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