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不妊治療について書く理由

「私の不妊治療」の項目でマガジン作成しました。前回の記事でいきなりディープな現状から綴ることになりましたが、これから遡って”不妊治療”について、少しずつ書いていきたいと思います。

 学校では”避妊”については教えてもらいますが、”不妊”については誰も教えてくれません。不妊治療は精神的・肉体的・経済的にも、辛いことが多いので、経験を人に語る人も多くはない。人には話さず、こっそり治療に取り組む人が多いのです。

私も「不妊治療」に取り組んでいる人がいることや、年齢を重ねるほど妊娠が難しくなるという事は知っていましたが、どこか他人事でした。

結婚したら、すぐに子供が出来ると思っていました。ところが、現実は甘くなかった。


私が不妊治療について書く理由

 治療を始めたら、知らなかった事だらけの世界に驚きました。不妊治療専門のクリニックにいくと、驚くほどたくさんの患者さんが待合室にはいます。そもそも初診の予約もなかなか取れない。一回の通院に要する時間は3時間が当たり前です。世の中にこれほど不妊治療をしている方が多いのか、と驚きました。

そして、仕事ばかりを優先してきて「結婚や出産はそのうち」と何となくしか考えいなかった事をそれなりに後悔することになったのです。(夫と出会った年齢を考えれば、仕方ないことなのですが・・・)

ですから誰もが当たり前に妊娠・出産できるわけではない、「不妊」という可能性を一人でも多くの若い世代の方に知っておいて欲しいのです。知った上で人生を考えて欲しい。知った上で人と接して欲しい。無知が故に大切な人が知らず知らずのうちに傷つけていることもあるかもしれない。

不妊治療と少子化問題は切っても切り離せない問題です。社会や企業の制度も積極的に見直す時期に来ていると感じています。

これから不妊治療を始めようと考えている方や、現在治療中で1人で辛い思いをしている方の少しでも励ましや慰めになれたら、とも思います。


日本の出生率は?

ちょっと勉強っぽくなってしまいますが・・・
昨年の日本の出生率は1.36です。
1人の女性が生涯に産む子供の人数が1.37人ということを表す数字です。今年はコロナの影響で”産み控え”している人もいると言われていますよね。

一方、政府が打ち出している理想とする合計特殊出生率は2.07。

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/kigyo/k_1/pdf/s6-1-3.pdf

0.7ポイントも足りてないのが現状です。これでは人口は減っていくばかり。労働力、年金問題にもつながってきます。

「女性はどんどん子供を産んでください」と簡単におっしゃる政治家さんもいらっしゃいますが、産みたくても産めない女性もいることを忘れないでし欲しい。産める体の女性には、確かにどんどん産んで欲しい。ただし、それには社会的なケア(保育・産休育休などの会社の制度・経済的サポートなど)も必要ですからね。


なぜ少子化が加速している?

晩婚化や結婚しない人が増えているという背景が主な原因と考えられているようです。そりゃそうですよね。女性の社会進出も進み、自分で稼ぐことができれば、「養ってもらう」ことを目的とした結婚は必要がありません。ましてや家事分担をしてくれないパートナーであれば、「仕事も家のことも私が一人でやるの?」と女性ばかりの負担が増えてしまう。マイナスばかりが目立つ結婚ならしたくない、となりますよね。

また、折角築き上げたキャリアを、妊娠出産で手放さなければならないリスクもある。これは制度が整っていない社会や企業の今後の課題だと感じています。

男性の生涯年収も減っているので、家族を養っていく自信がない、結婚なんて無理と考えている方も多いとか。

社会の流れがそうなっている以上、「産まない」という選択をする人を誰が責められましょうか。人生の喜び、幸せの価値観はそれぞれなのですから。(と、私は思う。)

海外では、精子バンクなどを利用してシングルでも子供が欲しい女性が、その権利を手にすることが出来きたり、代理母に夫婦の受精卵を使って出産してもらうという事も行われていますが、日本ではまだまだハードルが高いのが現状ですね。


一方、産みたいのに産めない人もいる

子供は要らないと思っていても、人間ですから本能的に突然「やっぱり子供が欲しい!」と思うようになったり、ようやく「この人なら!」という人と出会って、結婚する。
さぁ、次は子供だ!と思ったら、あれ??なかなか妊娠しない。

そう、これが多くの人の不妊治療のスタートです。
一般的に1年間夫婦生活(排卵日での性交)を行っても妊娠しなければ不妊治療を始めるべきと言われています。

35歳からが高齢出産。不妊治療に取り組む方は35歳以上の方が多い。年齢に関係なく、様々な病気や体質で妊娠が難しいケースで若くても不妊治療に取り組む方もいます。ちなみに私が結婚したのは34歳。不妊治療は35歳から開始しました。

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女性の年齢と妊娠率のグラフです。(日本生殖医学会のサイトより)
37歳ごろから妊娠率は急降下、一方流産のリスクは上がります。

芸能人の高齢での妊娠や出産がニュースになると、40歳過ぎても、まだまだ大丈夫!いつでも産める!と勘違いしてしまいがちですが、現実はそう甘くない。確かに高齢でもサクッと妊娠できる方はいますが、一般的には加齢による妊娠は、どれだけ見た目が若くても、どんどん難しくなっていくのです。誰でも同じように卵子も精子も老化していくのです。

だから、読者の方で、出産はそのうちでいいや、と考えている方がいれば、ちゃんと現実を知った上でライフプランを立てて欲しいと思っています。


 治療を始めると通院回数や費用がかなりかかってきます。(その辺もおいおい書きますね。)すると、仕事との両立や家計が大変になってくる。子供が欲しいから治療をしたいのに、八方ふさがりの状態になってしまう。結局、仕事との折り合いがつかず、折角積み上げたキャリアを手放す女性も多い。会社にとっても、それは大きな損失です。

社会制度や職場の理解の充実が不妊治療には大きく関わってきます。

中には、「自分が若いころ好きなことをして歳をとってしまったのだから、仕方がないだろう」とおっしゃる方がいるかもしれません。でも皆が20代で生涯のパートナーと出会えるわけではない。

私の周りの不妊治療経験者は皆、口を揃えてこう言います。

誰も教えてくれなかった。不妊について十分に知らなかった。

だから1人でも多くの人にちゃんと知っておいて欲しい。不定期更新になると思いますが、これから私の不妊治療マガジンが誰かの役に立つことを願います。

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