口蹄疫に関する国会会議録抜粋

口蹄疫

国会会議録検索システムにおいて、平成21(2009)年1月1日から平成22(2010)年12月31日まで「口蹄疫」で検索した結果、105件(2009年2件、2010年103件)が検出された。
以下は、105件の国会会議録より、「口蹄疫」関係の記録を抜粋したもの

第173回国会 農林水産委員会 第2号 平成二十一年十一月十七日(火曜日)    午前九時一分開議

○江藤委員 さすがに副大臣からは十分な御答弁がいただけて、大変私としても満足をいたしております。ありがとうございました。
 過去を振り返れば、もともとこれができましたのは、よく御存じのとおり、オレンジ・牛肉自由化、あのときにいわゆる牛関税を、あのときは牛肉の税金は七〇%台でした、それが入ってくるときに、この牛関税についてはほかには使わない、畜産関係に限って使うんだということで、これは仕分けをしたわけですよね。そのことによって、今まで畜産はいろいろ厳しい時代がありました、口蹄疫であるとかBSEであるとかさまざまな苦難の時代がありましたけれども、例えばBSEのときには、このALICから三千億、一気に金を投入して、一般会計には一切迷惑をかけずに、そして、早く国民の信頼を取り戻し、日本の和牛生産農家中心に崩壊の危機から脱したわけであります。
 ですから、ここで副大臣にお願いなんですけれども、また来週、これが議題になった会議におきましては、副大臣がぜひこの行政刷新会議ですか、御出席をいただいて、この事業についてはこうこうこうだから必要なんだと、役人に任せるんじゃなくて。副大臣、私は期待しているんですよ、私は野党になっちゃいましたから。皆さん方に頑張ってもらうしかないので、副大臣にその大役をぜひお引き受けいただきたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。
○山田副大臣 今、舟山さんが担当しておりますが、舟山さんと相談して、場合によっては私が行きましょう、大臣の了解を得て。
○江藤委員 ありがとうございます。
 政治主導というのが民主党さんの政治の金看板でありますから、これを示す意味でも、私は、非常に宣伝にもなると思いますし、やはり民主党政権であれ自民党政権であれ、畜産農家が守られるのであれば、政治は結果がすべてですから、それでいいと思っております。ぜひ前向きな方向で御検討をいただきたいと思います。

第173回国会 農林水産委員会 第3号 平成二十一年十一月二十五日(水曜日)    午前九時三十分開議

○伊東委員 ありがとうございます。
 それでは、最後の質問になります、時間もあと五分ほどでございますので。
 酪農、畜産業は北海道の基幹産業でありますけれども、この生産を阻害してきたのは、多くの感染症の侵入あるいは蔓延の危機にさらされてきたところでもあります。古くは結核、そして輸入牛に端を発しましたブルセラ病や豚コレラあるいはニューカッスル病、口蹄疫、BSE、高病原性インフルエンザ等々であります。耳新しいというか、ついこの間のような気もするわけでありますが、これらの病気に関しましては、獣医師を初め行政や家畜衛生関連組織挙げての真剣な取り組み、対応がとられてきたところでございまして、これを乗り越えてきたというこれまでの実績があります。しかし、いまだ国内に浸潤し、蔓延し、個々の農場の生産性を阻害する感染症が見られるのも事実であります。
 その多くは家畜伝染病予防法の届け出伝染病に挙げられるものでありまして、特に牛につきましては、全国的にも増加傾向にあります牛白血病、牛ウイルス性下痢・粘膜病、サルモネラ症などが重要視されているところであります。
 これらの伝染病の撲滅、とりわけこの中でも、ワクチンがなく撲滅に困難が予想される牛白血病の現状認識と発生状況について、まずお伺いをいたしたいと思います。

2

第174回国会 農林水産委員会 第5号 平成二十二年四月六日(火曜日)    午前九時開議

○江藤委員 お話はわかりました。
 平成十三年、覚えていらっしゃると思いますけれども、BSE、午前中の質疑でも出ました。このときにかかった金が三千億ですよね。一気に三千億どかんとぶち込んだ。あのときは、BSEで、もう日本の畜産、特に和牛文化はこれで終わりだと言われたんですよ。山田副大臣はよく覚えていらっしゃると思います。しかし、思い切って集中的に金を投資したから、あの危機を突破することができました。ですから、畜産の世界というのは何が起こるかわかりません。もちろん、三千億全部がALICの金じゃありませんが、大きく貢献したことは間違いありません。その前の年、九十二年ぶりに起こった口蹄疫のとき、あのときにも農畜産業振興機構のお金が大きく貢献しました。

第174回国会 農林水産委員会 第8号 平成二十二年四月二十二日(木曜日)    午前十時開議

○梶原委員 民主党の梶原康弘でございます。
 まず、口蹄疫の感染の疑いが持たれている問題でありますけれども、昨日、三例目が確認され、拡大が大変心配されているということでございます。これに対して万全の措置を講じていただきたい。
 平成十六年、鳥インフルエンザが京都府丹波町で発生をいたしました。私が住む兵庫県篠山市でありますが、移動禁止区域にすっぽりと覆われた。それで、養鶏農家あるいは関係の業界は大変な被害を受けたわけでございます。
 今回のことについても、早速、地元の道休議員、同僚議員から現地からの情報が寄せられているわけでありますけれども、消毒剤、石灰が足らない。そして、長期化が心配されるわけでありますけれども、えさ代がかさむ。そうすると、出荷ができないわけでありますから資金に詰まるということでありますから、ぜひ、融資の要件の緩和、こういったことが求められるんじゃないかというふうに思います。
 それで、都農町には牛が一万七千頭、川南町には牛が一万、さらに豚が六万頭もいるということでありますから、この資金需要というのもかなり大きなものになるんじゃないかというふうに思います。
 さらにまた、風評被害、消費者、市場に無用な混乱が起こらないように、しっかりと手だてを講じていただきたい。また、輸出がとまっているということでありますけれども、その輸出の再開に向けてはさらに長い期間が要るということでありますから、そうした実態をしっかりと把握いただいて対応いただきたいというふうに思います。
 まずは大臣から。
○赤松国務大臣 口蹄疫につきましては、平成十二年以来の例ということで、地元宮崎を初め皆さん方に大変御心配をおかけいたしております。
 けさも、宮崎県選出の与党の議員の皆さん、道休議員を初め、そういう皆さん方からお申し出もいただきまして、私どもとしては、平成十二年当時、九十何年ぶりということでいろいろ混乱もございましたので、この間、早急にとにかく対処をするということで、実は二十日の夜中に正式に口蹄疫だということは判明をいたしましたが、その朝一番で対策本部を設置し、私自身が本部長となって、できる限りの矢継ぎ早の対策をとらせていただいているということでございます。残念ながら、二例目、三例目が引き続いて出ましたけれども、それぞれ移動禁止等の措置もかけながら、そして殺処分ということも既にいたしております。
 そういう対策をとりつつ、今梶原委員から御指摘がありましたように、しかし、これだけの広がりを見せている中で、それぞれの生産者の皆さん方の経営といいますか、大丈夫だろうかというような御心配もございますので、そういうことについても、融資枠の拡大も含めて対応をさせていただきたい。
 そしてまた、今、緊急に指示をいたしまして、とりあえず宮崎県全域に薬剤を散布するということも決めさせていただきまして、これは十分の十すべて国費でもって措置をして、できるだけこれ以上広がらないようにということでそういう措置もとらせていただきたい、このように思っております。
 それから、もう一つやはり心配なのは風評被害でございまして、きのうもジャスコにお邪魔をしまして、現場の肉の売り上げ、牛とか豚とかどうですか、影響ありますかと言ったら、いやいや、幸いにして一切そういうことはございませんと。
 それからまた、屠畜市場等についても、これでもって急激に価格が下落するとかあるいは消費が一気に落ちるとかいうこともないということで、私どもが、大丈夫です、心配しないでください、しっかりとした措置をとっています、出荷も一切停止をしていますし、危険な病気にかかった肉というのは一切市場に流通していませんから安心してください、それからまた、そんなことはありませんが、万が一、人が食べても、これは一切人にうつる病気ではありませんので、その御心配もありませんということを、あらゆる機会を通じて、マスコミの皆さん方の協力も得ながらお伝えをしているものですから、比較的冷静にこの件については国民全体が見ていただいているのではないか。
 しかし、それは別に油断しているとか安心しているという意味ではなくて、やるべき措置はきちっとやり切るという思いでやっておりますので、ぜひまた先生方の御協力もお願い申し上げたいというふうに思っております。

○江藤委員 ありがとうございます。
 本当は、きょうは私も、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案、それから地球温暖化の防止等に貢献する木材利用の推進に関する法律案についての質問も用意をしておりました。しかし、緊急事態でありますので、お許しをいただきまして、ぜひ口蹄疫につきまして質疑をさせていただきたいと思います。
(中略)
 私は、二十日の朝から、国会の御承認をいただきまして現地に入りまして、昨日の夕刻までずっと現地に張りついておりました。残念ながら、川南町で、昨夜、新たに三頭の牛に感染の疑いがあることがわかってしまいまして、疑似患畜は合計で十二頭、三カ所ということになってしまいました。そこで聞いてきた声は、ぜひ早く国に我々のこの苦しい思い、悲痛な声を届けてくれという声がありますので、このことについてやらせていただきたいと思います。
 昨日は、宮腰筆頭にもお越しをいただきました。古川議員にも松下議員にも来ていただきました。そして、JA、それから市町村、そしてまた生産者の方々、関係者の方々にたくさんお集まりいただいて生の声を聞いてまいりましたので、ぜひ大臣にお聞き届けをいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 そこでまず聞かれた声、それは、十年前の対策と比べて非常に初動が遅いと。(発言する者あり)これは私が言っているんじゃないですよ。本当にうそだと言うんだったら、行って聞いてくださいよ。初動が遅い、不十分だという声が多く聞かれました。農水省は防疫関係とかこういうものに精通した人間を急遽派遣したということでありましたけれども、一体これは役に立っているのか、何をしているんだという批判の声が強く上がっておりました。
 大臣にお尋ねします。
 先ほど筆頭からもお尋ねがありましたけれども、百億円という金を最初はぽんと出しました。これは、つかみ金だったという批判はあるかもしれません。でも、これが、農家の方々、この人たちにまず安心感を与えたんですよ。それなら思い切って対策を打てる、頑張れる、そして再建ができるという希望を与えたんですね、地域の方々に。
 ですから、今、予算には心配していないというようなお話をされました。しかし、ALICのお金も、今回の畜酪対策で二十二年度末には二百億しか残らないでしょう。そういう状況になると、やはり心配ですよ。ですから、国として金額を明示して、これだけはきちっと用意したからと。余ったら余ったでいいじゃないですか。やはり金額を明示することが大事だと私は思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○赤松国務大臣 時代がもう違いますから。例えば、かつて平成十二年のときは、南九州三県の市場再開後のPRに使えといって、各ところに百万円ずつぱんぱんと渡してというのもあるんですね。では、果たして今、そういうやり方が国民に納得していただけるのかというところは、正直言って難しいと思います。
 ただ、私どもは、当時、その後の鳥インフルエンザのときもそうですが、消石灰その他が足りないとか、まきたくてもまけないとかいうようなこともあったものですから、そういうことはないように、少なくとも今発生している宮崎県については、県内の発生していないところも含めて全域に、これはもう十分の十、全額国費でまずまこうということで、これも、本日朝、財務省の主計局の了解もとって、直ちに取り組めるような形にさせていただきました。
 あと、細かなことはいろいろあります。これは後で副大臣、政務官からまた御説明をさせますけれども、こういうものについても具体的に、子豚に対してはこうしますよ、これについてはこういう対策をやっていますよ、融資についてはこれだけ融資枠を広げるようにやりますよ等々、これらのことについて、きちっとした対策をお伝えしておるつもりでございます。多分、まだ広報が足りない、きっちり生産者そのものにそれがしっかり伝わるようにやれという御指摘だと思いますので、その努力は早速やらせていただきたいと思います。
○江藤委員 十年前と事情が違うのは当たり前なんですよ、そんなことは。当たり前なんです。
 百万円を市場に渡すのは悪いと言いましたけれども、これは絶対要りますよ。一番市場が心配していることは、購買者の方々がいろいろな県から来られますけれども、次に市場が開催されたときに、ちゃんとまた宮崎に足を運んでいただけるかどうか。そういったときの運送賃とか、そういうものにも使ったんですよ。絶対必要ですよ。国民の理解は得られますから。それは、大臣、認識が違います。
 そして、十年前と確かに事情が違いますよ。言いますと、例えばえさの値段。今は建て値でトン当たり五万二千円ですね、非常に高いです。十年前は三万三千円でした。二万円違うんです。もっと細かく言いますと、牛一頭当たり、繁殖牛でいいますと約一万七千円、肥育では二万円だったものが、どんとはね上がっているんですよ、一頭当たりの負担が。そして、リーマン・ショック以来のいろいろな問題があって、枝肉の価格も低迷、子牛の価格も低迷、農家の体力はどんと落ちているんですよ。
 ですから、百億円以上の対策が私は必要だと思いますよ。まず、農家に安心していただく。我々は再建できるんだ、この困難に対しては十分な支援を国がしてくれるんだと。それは数字ですよ、大臣。数字です。やはりこれだけの金を確保したということをぜひ示していただかないと、私はだめだと思いますよ。
 そして、蔓延防止対策ですけれども、小林市、きょうが実は三日目の競りの予定でした。皆さん方は遠くから牛を引いてきました。八時半の時点で急遽、競りをやめました。移動制限区域ではありませんよ、小林市ですから。全然遠いところです。鹿児島でも、実は昨日から競りをやめることが決定されました。こういったところにも、制限区域に入っていなくても、手厚い支援をしなかったら生産基盤が崩壊してしまうんですよ。ちょっと取り組み方が緩いんじゃないですか。もっと腰を入れてやってくださいよ。私は、このことを強く申し上げたいと思います。
 十年前は、OIE、国際機関ですけれども、宮崎県は非常に高い評価を得ました。ちょっと読みますと、宮崎の初動防疫は日本の畜産、獣医の底力が世界に示された快挙である、関係機関が一体となって、延べ一千四百人を配置した防疫態勢は世界に例を見ない、こういう評価をいただいたんです。この背景には、やはり国が十分にバックアップをしてくれるというものがあったからこういう態勢が組めたわけでありまして、このことを御理解いただきたいと思います。
 そして、さっき、財務省との協議がどうたらこうたら言っていますけれども、そんなことではなくて、ALICの金があるじゃないですか、副大臣。そうでしょう。関係ないじゃありませんか。その金をすぐ持ってきてくださいよ。
 そしてまた、一つ申し上げておきます。非常に必要なのは防疫態勢なんですが、普通の消毒薬では口蹄疫には効きません。一番一般的に言われるのはビルコンSという薬なんですが、これが全くの品薄です。手に入りません。多分、ほかの県の人たちが、もし自分の県で発生したときにはすぐ必要になるだろうということで押さえたのではないのかなと思います。これは私の憶測ですけれども。
 ですから、ぜひ、国においては、まずは発生県、その一番被害を受けている県にこのビルコンSのような消毒薬がおくれることなく渡るように指導していただきたいと思いますが、副大臣、御答弁を求めます。
○山田副大臣 初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。
 最初の疑似患畜が確認されたのは夜中の十二時になったんですが、私ども、すぐ連絡を受けて、朝の八時に、大臣、副大臣、政務官、そろって対策本部の会議を開かせていただきました。対策本部長に大臣という形で、我々はすぐにその対策に入らせていただきましたし、何よりも、今、江藤委員がおっしゃっているように、畜産農家の方々に安心していただく、安心してこの防疫態勢に取り組んでもらえる、これは本当に大事だと思っております。
 ただ、百億金を持ってきたから安心できるとかという話ではないと思っていまして、十年前、十二年のときには初めてだったのでまだ何にもできていなかったんですが、江藤隆美先生、お父様のときに頑張っていただいて、そのときにできた制度等々、そのときの教訓といいますか、そういったものをもとにしたものが今あります。それを即座にやろうということで、今始まっているところなんです。
 まずは、御承知のとおり、疑似患畜となった牛についてはすぐに屠畜処分、いわゆる殺処分。それについては、委員も知ってのとおり、五分の四の手当はもちろん出させていただきます。同時に、当然のことながら、これからその畜産農家にとっては、経営的ないろいろな意味での大変な支障、もちろん、次にまた畜産を継続できるかどうかといういろいろなことが出てきます。そのために対するいろいろな低利の融資等々ももちろん今用意しております。
 同時に、前回のときに互助制度というのをつくり上げております。いわゆるALICが半分、生産者が半分、これでもって、これから屠殺処分したり云々したりしてもう一回新しく牛を入れるときの子牛の導入費用、雌牛の導入費用等々についての金額の助成とか、そういったものも、今回すぐにその予算そのものも用意させていただいております。
 また、予防法に基づいて町役場あるいは市役所の皆さん方の方でいろいろとその対策等々を講じておられると思いますが、その旅費とか費用等についても全額国の方で負担しますし、消毒についても全額国の方で負担して、万全の措置を今いたしているところでして、本当に、ゆめ心配、安心して畜産が持続できるように、私どもしっかり頑張らせていただきたいと思っているところです。
○江藤委員 対策本部を霞が関につくったってしようがないんですよ、正直言って。現場の対策本部が動かなければだめなんです。
 例えば、畜連で話をずっと朝から聞いていましたけれども、十年前は、発生した日の朝から農水省からファクスでいろいろな資料ががんがん届いて、いろいろな指示が飛んだそうです。きのうの昼の時点で農水省から児湯畜連にファクスはゼロですよ、ゼロ枚。何の御指示もない。そうしたら、現場の人たちが初動が遅いと感じるのは当たり前じゃないですか。一体国は何をやっているんだと感じるのは当たり前じゃないですか。これは私が感じているんじゃなくて、現場の人たちが感じている声ですから、しっかり受けとめてください。
 低利融資の話もありました。これはやるのは当たり前です。そして、導入の話もありました。これも当たり前です。しかし、当面の資金繰りは非常に大事ですよ。これは急がなければなりません。
 時間がなくなりましたのでどんどん行きますけれども、例えば繁殖農家について、種つけは今、中止しています、できませんから。人工授精師は収入がありません。これに対しても考えてください。
 それから、繁殖農家は、一年一産、これが基本ですよね。一年一産をすれば、大体経営的には回っていく。種つけができなければ、一年一産の生産計画は完全に狂ってしまいます。これも考えなければなりません。
 そして、今週末に行われるはずだった競りも中止になりました。そうなると、一カ月延び、二カ月競りが延びれば、体形はでかくなり、体重もふえてしまいますね、副大臣御存じのとおり。こういう牛は安く買いたたかれるんですよ、必ず。そして、えさ代もその間ずっとかかるわけであります。それも踏まえた対策を繁殖農家に打っていただかないと。今、ぎりぎりの状態でみんな頑張っているわけですから、十分考えてください。ゆめゆめ心配ないと言うんだったら、やはり私は総額を示すことが大事だと思います。
 そして、知事からもお話がありましたけれども、大臣はおっしゃっていただきました。すべて国費で、全額負担でやっていただきたいというふうに思います。
 肥育農家対策について申し上げますけれども、彼らが今言っているのは、今月までの支払いは何とかなる、しかし、来月になったら、もうにっちもさっちもいかぬというふうにみんな言っています、肥育農家は特に。そして、そういうことになれば、支払い猶予とか、そして制度資金、今お話ありましたけれども、早くやってください、早く。来月じゃ間に合いませんよ。もう連休明けなんという話をしていたら、これは間に合いません。早くやってください。
 そして、屠畜場であるミヤチク。これも制限区域内ですから、今、屠畜はできません。受け入れ中止になっています。これは全部、高崎の方に移さなければならないわけですが、そうなると、例えば椎葉とか高千穂とか延岡、日向は物すごく遠いですよ、牛を運ぶのに。この輸送費、こういったものを見ていただかなきゃなりません。
 そして、ミヤチクも頑張っていまして、休日は全部返上します、操業時間も延ばします、ゴールデンウイークも全部あけて屠畜をいたしますというふうに言ってくれました。非常に感謝しています。そうなりますと、都農町で働いている人たちを高崎の工場に、屠畜場にシフトしなきゃならないんですね。すごい遠いですよ。こういったミヤチクに対する支援というものも、ぜひ、副大臣、考えてください。専門家なんですから。
 それから、言っておきますが、新マル緊制度、この委員会で、新マル緊に移るときには農家負担はふえないことを全会一致で決議をしましたよね。そして大臣も、決議を尊重するとおっしゃいました。しかし、出てきた結果は、一頭当たりの積立金が三万二千八百円じゃありませんか。宮崎県は九千八百円だったんですよ、一頭当たり。一頭当たりの負担が二万三千円もふえるんですよ。四倍返しだからいいとおっしゃいますけれども、今この状況の中で、新マル緊のための金を用意しろと肥育農家に言ったって、絶対無理です。絶対無理です。制度に加入できません。やはりこの新マル緊は、委員会決議を尊重して、私は見直しをすることを強く求めます。
 本当は答弁が欲しいんですけれども、時間がありませんから、先に進めさせていただきます。声を伝えてくれということでありますから。
 酪農について申し上げます。
 ぬれ子は、御存じのように、六十日を超えたら肉用子牛補給金制度の対象にはなりません。ですから、これを超えても、例えば百二十日以上たっても大丈夫になるように、この延長を絶対してください。
 そして、ぬれ子のえさ、これは粉ミルクですけれども、これが今、一俵当たり一万円以上に価格が高騰しております。もし、酪農家が六十日を超えて自分のところで肥育するということになれば、えさ代が莫大にかかるんですよ。この分もちゃんと考えてください。
 それから、発生した酪農家、私、みんな友達ですけれども、もちろん、全頭屠畜です。しかし、政務官もいらっしゃいますけれども、北海道から今買ったら、六十万を超えますよね。六十五万ぐらいじゃないですか、一頭当たり。これを自分の金でやれということであれば、無理です。この間の委員会で、これからは農家に、無利子無担保でお金を貸すから、自分の金でやれという話をされましたけれども、それでは絶対無理ですから。酪農家の声としては、ぜひ、全頭屠畜する場合は、この導入資金は全額国で見てほしい、そうじゃないと立ち上がれない、もう離農するしかないとみんな言っています。
 そして、この農家はみんな後継者がいるんですよ。私よりもずっと年の若い、三十そこそこの。彼らの夢をぜひ奪わないでいただきたい。ですから、私は、百億とか、金額にさっきからこだわっているんです。
 そして、酪農家の皆さん方を手助けするヘルパーの皆さんとか、それから乳牛検定員の皆さんも、みんな今活動停止です。この人件費についてもぜひ見ていただかないと、非常に厳しいことになります。
 そして、非常に問題なのは養豚対策ですね。豚はこれは大変ですよ、どんどん生まれますから。
 そして、宮崎県の場合は母豚が五百とか千とかいる大規模な農家が多いんですよ。こういうところは今パニック状態に陥っています。豚価は安い、そして出荷はできない。大体、大貫物、副大臣はおわかりになると思いますけれども、八十五キロを超えたら、脂肪がつき過ぎて値段が安くなります。出荷ができなくなりますよ。しかし、えさ代がかかります。月一万二千円かかります。出荷はできない上に、一万二千円も一頭当たりえさ代がかかる。もうこれは倒産寸前ですよ、このままでは。
 だから、初動が遅い。そんなことはないと言いますけれども、遅いんですよ。もっと早くやってください。
 そして、出荷先が契約であった場合は、例えば二カ月間豚を出さなかったら、取引先をとられちゃいますよ。ですから、ここら辺も、なかなかこれは民民の話ですから難しいかもしれませんけれども、ぜひ、国もこれに対する指導力を発揮してもらいたいというふうに私は思います。
 密飼いをしたら死んじゃいますよね、豚というのは。できません。ですから、生まれた子豚を、ぜひ、どこか国が場所をつくって、そこで一時預かってくれるような施設をつくれないかと。難しいと思います、前回は全頭屠畜したわけですから。そういう声もありました。これは声としてお届けしておきます。
 そして、一番の問題は、行政の指導によりまして、いわゆる排せつ物、廃棄物、これが今農家で全部滞ってしまっています。
 おかしいんですよ。豚が生まれれば、死産もありますよね。生まれてから死んでしまうものもある。後産もあります、胎盤が出ますから。そして、ふん尿も出ます。そういったものを、今、養豚農家は自分の敷地から出せないんですよ。どうしてですか、行政の指導によって。これは絶対おかしいですよ。新富町の松本さんという人がこういう事業をやっていらっしゃるので、きのう電話して聞きましたけれども、やはりだめだと。一生懸命かけ合うけれども、行政指導でやれないと、きのうの夜の段階ではおっしゃっていました、松本さんが。
 これはパニック状態に今陥っておりますけれども、副大臣の御認識をお聞きします。
○山田副大臣 今、江藤委員からのお話を聞きながら、現場がまさにそういう状況であることを、よく承知させていただきました。
 私どもとしても、本当に、豚にしても、今回、移動禁止、二十キロ内になっておりますから、出荷もできないで、どんどん大貫物がふえていくであろう。いろいろなことを、けさもずっといろいろ畜産部と話しておったところですが、当然、それについて、これから大臣等も含めて対策を検討させていただこう、そう思っているところです。
○江藤委員 ですから、今初めて聞いたというのは一体何なんですか。そんなこともわからないで、八時に対策本部をつくったから初動は早かったなんてよく言えますよ。全然だめじゃないですか。私は農水省に確認をしましたけれども、家畜防疫員の許可をとれば搬出できるんですよ。前回は搬出しているんです。今もどんどん養豚農家にはそういう廃棄物がたまりにたまっているんですよ。何で指導力を発揮しないんですか、この政権は。もっとちゃんとやってください。私は怒っていますよ、正直言って。
 それから、感染経路の解明、これは前政権もできませんでした。いろいろな説がありました。韓国から風に乗ってやってきたんじゃないかとか、ヘルペスが突然変異したんじゃないかとか、いろいろな話がありましたけれども、わかりませんでした。しかし、鳥ウイルスも含めて、政府には蓄積された知識があるはずですから、ぜひこの感染経路の究明については、我々ももちろん協力もしますし、全力を挙げてください。
 そして、地域周辺の県に私たちは迷惑をかけたくないんです。そういった対策も、この移動制限区域だけではなくて、隣に鹿児島がいますけれども、決して鹿児島に行くことのないように、やはり、宮崎県だけじゃなくて周辺に対する対策も、今回はあわせて考える必要があると私は思います。口蹄疫は感染力が強いんですからね、御存じのように。非常に感染力の強い病気であるということを、大臣も副大臣ももう一度きちっと御認識をいただきたい。
 そして、もう一つ大事なことは、なかなか国の指導というのは難しいかもしれませんけれども、発生した農家に対するケアであります。経営再建の手助けをするのは、これは当たり前の話です。それだけではなくて、心の問題です。
 前回の鳥インフルエンザのときも、私は発生農家の方にお会いをしました。その方は、死を考えたとおっしゃいましたよ、周りに迷惑をかけてとてもみんなに会わせる顔がないと。もうそれを必死でみんなでとめるのが大変でした。心ない電話がかかってくる、マスコミが押しかけてくる、上空はヘリコプターが飛び回る。こういったことについても、被害者なんですから、加害者じゃないんですから、マスコミに対しても、自粛をせいというような指導をぜひしていただきたいと思います。
 地元では、みんなが一生懸命、その発生源の農家の方を囲んで、不測の事態が起こらないように、心を砕いて努力をしています。しかし、国もこれに無関心でいることは私は大変よくないというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。(発言する者あり)そのときは自殺者が出ましたね。
 それで、最後に申し上げますけれども、ウイルスには定則によって名前がつきますね。毎回毎回名前がつきます。前回は、O型/Miyazaki/JAP/二〇〇〇株、こういうようなネーミングがされたようでありますが、これはやめてください。それは定則であるから仕方がないと言われるかもしれませんけれども、宮崎県としては、こういうネーミングは非常に迷惑であります。つらいです、迷惑というよりも。これは、国が指導力を発揮すればできることだと思いますので、ぜひお願いします。
 かなりきついことも申し上げましたけれども、やはり与党がまず現状を十分認識していただくこと、そして、安心してほしいと繰り返しおっしゃるのであれば、これだけの金を用意したぞということをきちっと言っていただくこと、そして、今からでも、きょう夜にでも宮崎に入って、生の声を、自分の足で、自分の耳で、目で見て、聞いていただくことを三役にはお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○筒井委員長 この際、休憩いたします。

○谷川委員 自由民主党の谷川弥一であります。
 まず、大災害にも匹敵する口蹄疫発生に対して万全の対策をとるようお願い申し上げまして、質問に入ります。
(中略)
 それでは、何人かの方もお触れになりましたけれども、宮崎県における口蹄疫の問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
 事実関係等、また現地でのいろいろな御要望、御意見については江藤委員が詳しくお話しになりましたので、私はそれ以上は申し上げませんが、一つだけ私がお聞きをしたいのは、経営者に対する支援、そして拡大防止策、これについてお伺いをしたいんです。
 今回、口蹄疫にかかったという患畜、また疑いのあるものについては処分をしなきゃならない、殺処分だ、こういうふうになっております。しかし、それで生計を立てている人が、あなたのところの牛は病気だから、また、一頭かかっているから全部これは処分してもらわなきゃならないよ、こうなったら生計の糧がなくなるわけですが、これについて、殺処分にされたものに今の段階で国が支援をどういうふうにできるか、これをまず教えてください。
○山田副大臣 殺処分にされた家畜については、いわゆる手当金というのが支給されることになっておりまして、それについては評価額の五分の四についての支払いがなされるということになっております。
 既にもう殺処分された牛もかなりの数出ておるようですが、それについては、まずはそういう手続がなされるもの、そう考えております。
○石田(祝)委員 これは、評価額の五分の四、それに対して国が十分の十お金を出す、こういうことでありますが、私がいろいろお聞きしますと、殺処分をしなきゃいけない牛、それに国からお金が出る、そのお金に税金がかかるというふうに聞いたんですよね。こんなことがあるんでしょうか。そして、これはやはりもう一度買わなきゃいけないですよね、牛を。それを買わなきゃ、やめてしまえということになりますから。法律にのっとって、蔓延防止、拡大防止のために、我が子のように育てた牛を通常以外のことで泣く泣く殺処分しなきゃならない。これに対して国から金が出る、それに税金がかかるということを、恥ずかしながら私も初めてお聞きしたような次第でございます。
 これについては、現状と、それでいいのか、何かこれからの方針としていい方法はあるのか、このことをお伺いいたします。
○山田副大臣 確かに、ちょっと調べさせていただきましたが、農家にとってみれば、国からの助成金そのものも所得として課税されるということに形の上ではなっているようでございます。過去、鳥インフルエンザのときの所得についても、やはり同様に課税されたというふうにお聞きいたしております。
 私どももこれから考えなきゃいけないところだとは思っておりますが、私、今、政府の税調の委員もしております。今回、戸別所得補償については、いわゆる特例措置、その所得についてのある程度の減免措置が図られておりますので、そういう特例措置が必要なのかどうか、そういったことも、また私ども、大臣とも相談した上で、それが検討できるかどうかはこれから検討していきたいと思っていますが、今の段階では、確かに委員指摘のとおりの実情のようでございます。
○石田(祝)委員 これは、私が先ほど申し上げたように、牛を殺処分しなきゃいけない、その後、国からお金が来る。当然、次の牛を買うわけですね。ですから、これは、もらったお金をそのままほかの遊びに使うとか、そういうことじゃないわけですから、一種の準備金という形で、これは戸別所得補償も、一万五千円に税金はかかるんですかと私が聞いたら、大臣と副大臣はそのとき答弁が違っていて、いや、これはかからない、何とかの準備金という仕組みでやるんだ、かからないようにするんだ、こういう話でした。
 これはやはり、もう一度子牛を買って経営をし直さなきゃいけない。ですから、子牛を買うお金と、もとの、殺処分にするまでに、そこまで大きくするお金と、その間の運転資金ですか、こういうものに充てるという前提で、これはもう所得というよりも準備金として、次への準備金という性格のものとして、これは私は非課税にすべきだと。こういうものに税金をかけるということは、我々も前の政権で、では、あなたたちの政権のときはどうだったんだと言われれば、そのとおりなんですけれども、こういうことがわかった以上は、私は、ぜひ大臣、これは手当てをしていただく。さっき江藤さんも、心配ないようにはっきりいろいろな手当てをすべきだ、こうおっしゃっておりましたので、この点について、大臣のお考えをお聞きいたします。
○赤松国務大臣 この件につきましては、私も驚いたんですけれども、農業者が受け取る補助金は、原則として、所得税が課税される農業所得となるというのが税務当局の見解だというふうに聞いております。
 しかし、今委員御指摘のように、戸別所得補償制度の交付金のように、これは次の営農のための準備金なんだということで、そういう解釈のもとに課税されないものもありますし、ほかもそういう例がないわけではありません。
 そういう意味で、現時点でのそういう税務当局の見解でございますから、これは直ちに私が言って変えるというわけにはいきませんけれども、今後、税制改正その他の中で、あるいは財務省の方とも話をさせていただいて、この辺の御理解を得るような努力をしてみたいというふうに思っております。
○石田(祝)委員 本人に利益になることはさかのぼってもできるだろうというふうに思いますので、大きな課題である、こういう認識のもとで、ぜひこれは早急にお取り組みをいただきたいと思います。
(後略)

第174回国会 決算委員会 第7号 平成二十二年四月二十六日(月曜日)   午後一時開会

○大臣政務官(舟山康江君) 金子委員の御質問にお答えいたします。
 御指摘のとおり、長期預り補助金につきましては、平成二十年度末で約二千七百億円となっております。
 この長期預り補助金の内訳といたしましては、畜産関係と野菜関係に分かれておりまして、特に畜産関係については、価格変動がかなり激しいという事情は委員もよく御承知だと思いますけれども、この価格変動の激しい畜産の経営安定対策、それから、今回宮崎県におきまして口蹄疫が発生していると、こういった予期せぬ病気の発生などのときに機動的に対応するためにこういった預り補助金というものをつくっております。
(後略)

○山田俊男君 自由民主党の山田俊男であります。
 本日は決算委員会で機会をいただきましたので、赤松農水大臣始め皆さんに質疑をさせていただきます。
 まず、大臣、口蹄疫の発生の問題でありまして、相当に感染が拡大しているというふうに聞いておりまして、大変な心配をしているところであります。どうも中国で大発生している、さらには韓国でも大発生しているというにもかかわらず、我が国はちょっとその点、政権交代もあったことは関係していますかね、関係していませんかね、どうも注意を怠っていたんではないかという心配をしています。どういう発生原因によるものなのか、現段階ではどんなふうに判明しておるのか、お聞きします。
○国務大臣(赤松広隆君) 口蹄疫につきましては、二十日の未明に正式にこれは口蹄疫だということが確認をされ、その朝一番で私ども対策本部を設置をいたしまして、そしてまた、私どもの下に牛豚等疾病小委員会、そしてまた、その下に学者等による口蹄疫疫学調査チームというのを設置をいたしまして、早速、今委員御指摘の、原因は何なのか、感染源はどこなのかということについて調査を今しておるところでございます。
 これは平成十二年のときもそうだったんですが、追跡調査その他もやりましても、結局残念ながら感染源も原因も分かりませんでした。だからといって今回も分からなくていいということではありませんので、そういう平成十二年のときの教訓も生かしながら、どこからこうした感染源があったのか、感染経路はどうなのかということについて何としてもそれを究明したいということで取組をさせていただきたいと思っています。
 しかし、現時点で七例目が出たわけですけれども、極めて限られた地域のところに発生をいたしております。今、黒と出たところは少なくとも宮崎県内の限られた地域ということでありますから、一つは、ほかもないかというので白装束を着て調査に行くと、あそこももしかしたら口蹄疫が出たんじゃないかみたいなことで、別に病気が発生していないのにもかかわらず、いろいろとむしろ事を大きくしてしまう可能性もあるものですから、それであれば、宮崎県全体を薬を全部まいて、そして何とかその中に封じ込めるという形でこれはもう既に指示をいたしまして、蔓延防止のためのいろんな施策を今講じさせていただいておるところでございます。
 これは全額国費負担ということで消石灰等の消毒薬を散布をさせていただいているというところでございますし、それから、周辺農場における異常の有無の確認、発生農場における殺処分等の防疫措置の徹底ということもやっておりますし、それからまた、山田委員を始めいろんな先生方から御心配の意見もございますので、これは同じ地域に出るということはいいことはいいことなんですが、広がっていないという意味で。反対に言うと、これが出た、そしてまたちょっとたってそれが出たというと、全部二か月の制限がどんどんどんどん先延びていくということで、最初に出たところもそれ以降出ていなくても、すぐ近所でそれが出たら極端な場合は六か月も十か月もそのまま一切の移動、搬出ができないということになるわけで、経営の問題も出てくるものですから、ちょっと全部しゃべると時間掛かるので、融資の問題を始め、あるいは例の生産者拠出金、新マル緊のこれを免除するとか、考えられる施策のすべてをもう決めて具体的に動かしているというのが今の状況でございます。
○山田俊男君 大臣、十年前に発生しておりますので、その間の経験があります。ですから、その経験に基づきまして徹底した対策を取ってもらいたいということなんです。
 ただ、一番大事なことはともかく蔓延をどう防止するかということでもありますし、さらにまた、発生した農家は牛を殺処分するわけでありますし、また、大規模な、何百頭も殺処分するということになりますと、その埋却というんですか、どこに埋めるかということも含めて大変な心配です。当然経営に物すごい大きな影響を与えるわけですから、大臣、ともかくその心配を考えた場合、思い切った対策を打つこと、それから、そのために必要な財源も含めまして、思い切った財源措置も含めて心配ないぞということをおっしゃっていただくことが大変大事だというふうに思います。
 どうぞ、もう一度大臣の決意をお聞かせください。
○国務大臣(赤松広隆君) 既に法によって決められている、例えば殺処分でいえば五分の四を補てんをするだとかお支払いするだとかいうことに加えて、先ほど言いました融資についても二十億だったものを百億のところまで広げるとか、あるいは、先ほど言ったように生産者の負担金を免除するとか、またそのほかにもいろんな施策、考えられる施策すべてやり切っておりますので、そしてまた政策銀行にもお願いをしまして、これらのいろんな相談にもしっかり乗ってくれということもお願いをしましてやらせていただいております。
 平成十二年のときは百三十億ぐらいの予算を一応確保して、ただ、実際に使われたのは三十数億円しか使われませんでしたけれども、今回は、今のこの時点でこれでもう終息するのか、あるいはこれ以上広がるのか、これによって額も違ってきますので、今どれぐらいありますみたいな総枠予算を言うわけにはいきませんけれども、しかし、どんな形になれ、どういう場合であれ、とにかくしっかりと御心配のない形で対応、対策は予算も含めて取らせていただくということだけ私の口からこういう公の場で明言をさせておいていただきたいと思います。
○山田俊男君 これはもう世界的な常識なんですが、この口蹄疫は人間には感染しないということでありますので、是非、余り大騒ぎして、そして風評被害を起こすみたいなことはそれは避けなきゃいかぬと。これ大事なことでありますので、大臣がおっしゃることもよく分かりますが、どうぞ現地の不安を取り除く、農家の不安を取り除く、そのことについて全力を挙げていただきたいというふうに思います。
(後略)

第174回国会 農林水産委員会国土交通委員会連合審査会 第1号 平成二十二年四月二十八日(水曜日)    午前九時三十分開議

○中野渡委員 
(前略)
 さて、冒頭、赤松農林水産大臣に、口蹄疫と捕鯨の問題についてお伺いいたします。
 まず、宮崎県で発生しました口蹄疫の問題について、四月二十日に疑似患畜が確認され、即時に防疫対策本部を設置されるなど、緊急対応をしていただき、ありがとうございます。しかし、現時点でまだ政務三役が宮崎県入りをされていないということに納得ができません。
 確かに、三役が動くことでマスコミを含め大勢が動くことになり、口蹄疫を拡大させる可能性があるため自粛をされているということは十分に理解できますが、現場への立ち入りはせずとも、県庁や被害町役場へ訪問し、現状をその地元で聞くということが、地元酪農家、地元畜産家の皆さんの安心につながると思います。早急に対応をとっていただきたいと考えますが、どのようにお思いでしょうか。お願いいたします。
○赤松国務大臣 
(前略)
 さて、今御指摘のありました口蹄疫でございますけれども、あらゆる手だてをやってまいりましたけれども、残念ながら、けさも三件、また新たな口蹄疫が確認をされまして、実はきょう八時過ぎから対策本部も開催をしていたところでございます。
 そして、今委員御指摘のとおりに、なぜ政務三役は行かないんだというお話もございましたけれども、特に感染力が非常に強い病気なものですから、人体には全く影響ありませんし、口蹄疫にかかった牛肉、豚肉を食べても全く人間には影響ありませんけれども、ただ、動物同士の蔓延力は物すごくあるということで、今も、人が牛舎にいろいろ行って、それで広がったんじゃないかとか、あるいは、いろいろな飼料を配る車がそれをあれしたのではないかと。
 今、専門家の調査に付しておりますけれども、そういうこともあるものですから、マスコミの皆さん方にも、ぜひ、情報はどんどんとすべて早急にお流しするので、現地の取材はやめてほしいと。平成十二年も、マスコミの方がいっぱい行かれて現地は大混乱し、それが蔓延につながったとは言いませんけれども、そういうこともあったものですから、そういうことをお願いしている手前、私どもが、パフォーマンスとは言いませんけれども、そういうことでもって行くというのはいかがかということで、実は今まで遠慮しておりました。
 ただ、農水省としては、今、現地の九州農政局の部長を常駐させて対策本部で指揮をとらせておりますし、また本省からも、二十三人だったと思いますが、獣医師を初めとして、そういう者も現地に派遣をして万全の体制でやらせていただいています。
 また、各都道府県にも今お願いして、獣医さんと、九州は自分のことをやってください、そのほかの遠い地域はぜひお一人でもいいですから出してくださいということで人を送っていただいて、既に十名、他県から今、宮崎に入っていただいています。来週ぐらいには、全体で今二十八名まで確認ができていますので、そういう方たちも入ってもらうということにしています。
 しかし、委員からのそういう御指摘でございますので、私どもも、技術的にはアマチュアかもしれませんけれども、政務三役として、しっかり取り組みをしておる皆さん方を激励することも、これもまたプラスとも思いますので、今の御指摘を踏まえまして、あすにでも山田副大臣に、農水省を代表して、県庁なりあるいは対策本部なり、農場というんじゃなくてそういう本部のところに、激励と檄を飛ばしに行っていただこうというふうに今思っております。
○中野渡委員 ありがとうございます。
 ぜひ、地元農家の皆さんを安心させていただきたいと思います。お願いします。
 また、今後の拡大を考えたときに、牛の埋却地や豚のふん尿処理地の不足等が生じる可能性があります。拡大しないことが一番なんですけれども、万一に備えて早期に対応していただきたいと思いますので、重ねてお願い申し上げます。

○川村委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの川村秀三郎です。
 私の地元で口蹄疫が発生いたしましたので、口蹄疫について質問したいところではありますけれども、時間が短く限られておりますし、大臣にも二度お会いいただきまして、迅速な対応をしていただいておりますので、引き続きの対応をお願いしまして、早速、本題であります公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案、これについて御質問をさせていただきます。
(後略)

○赤澤委員 おはようございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 法案についての質問に入る前に、私も、実は口蹄疫についてちょっとお話を伺いたい。
 私、おりませんでしたけれども、大臣から、八例目、九例目、十例目が疑似患畜と確認をされたということで御報告があったというふうに承知をしております。特に、八例目の川南町については牛が千十九頭ということで、大変規模が大きい。加えて、九例目、これはもっと意味が大きいかなと思うのは、えびの市というのは鹿児島県の県境の方と近いということで、端的に言えば、前回の和牛全共は米子大会でして、私の地元でやりましたけれども、そこで日本一になった宮崎県と、前々回の岐阜大会だったと思いますが、日本一になった鹿児島県、その両方が口蹄疫に今襲いかかられている、こういう状況であります。
 我が国の和牛の生産にとっても、これは致命的な打撃を与える可能性もありますし、本当に深刻な問題だというふうに私は認識をしております。それで、十例目が出てきたということであります。
 二十日、第一例目が確認された時点で、とにもかくにも霞が関に本部が置かれたということは、これは防疫指針に基づいて行われたそうであります。
 私が思い出すのは、平成八年から十一年にかけて、私は、旧運輸省勤務のときに、北海道庁に交通対策課長で出向いたしました。その際、平成十年だったかと思いますが、口蹄疫の疑似患畜が確認をされたんですね。その当時のことは今でも鮮明に覚えていて、運輸官僚でしたから口蹄疫について深い知識もありませんでしたが、家畜の病気の発生で道庁を挙げての大騒ぎになったことについては、いまだに記憶に新しいです。こんなにインパクトがあるんだと。
 端的に言えば、北海道や宮崎県、鹿児島県のような大畜産酪農県にとっては、多くの県民の生活の糧が失われかねない、奪われかねない事態であって、見ようによっては、人間の新型インフルエンザの発生よりも大きな衝撃を持って受けとめられておかしくない、こういう事態であるというふうに考えております。
 言うまでもなく、感染の拡大及び再発の防止、原因究明も当然含まれてまいります。そしてもう一つ、疑似患畜が発生した農家及び移動・搬出制限を受ける農家の救済の両面で、政府に万全の対応を求めるものであります。
 過去に江藤拓議員初め関係の議員が質問をしていますので、お答えはもうわかっているところはあるんですけれども、初動が遅くなかったのかということについては、遅くないんだ、霞が関で本部は即日つくったし、こういう話なんでありますが、少なくとも、私も再度申し上げたいのは、初動が遅い。地元の畜産連盟なんかにも、国からあるいは国からの指示が県経由でといったものがなかなか入ってこない、何をやっているんだという現場の声は、現に、現地に足を運んだ自民党議員なども含めて、いろいろなところから伝わってきているわけであります。
 この点は、今、感染を防止することが一番大事な段階でありますから、この場で余りその点を追及してということはいたしませんけれども、これが一段落をして、しっかりこの件が終わった時点で、一体国はどういう段階でどういう指示を出したのか、それがしっかりしたものだったのか、防疫指針に従っていればいいのか、もっとマニュアルみたいなものをつくって国の初動を早くする努力をしなくていいのか、こういう点についてはきちっと再検討していく、今回万全だったのだからこれでいいという問題ではないと私は思っていますけれども、大臣の御認識を簡潔にお伺いいたします。
○赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 私どもは、今お話があったように、常に謙虚に、これで本当によかったのか、もっとやることはなかったのかという姿勢でこれらの問題に対処していきたいと思っています。けさも、実は、けさ五時ごろに判明したものですから、急遽八時過ぎから対策本部をやりまして、そして、今考えられ得るすべてのことを実施させてもらいました。
 発生そのものは宮崎県からほかへ行っているわけじゃありませんけれども、先ほど言ったように、十キロ以内、二十キロ以内で線を引くと、熊本、鹿児島の一部にそれが入ってしまうということで、万全の体制という意味で、本日、指示をいたしまして、九州の南全域、大分県も別に全く円も何もかかっていませんが、大分、熊本、鹿児島、宮崎という四県に対して、すべての農場で薬剤散布ということで、薬剤の確保もしてございますので、すべてのところに事前の策ということで、前もっての策ということで、そうした対応も直ちにとらせていただいた。
 人についても、常駐者、これは農林省の職員が常駐するのは当たり前ですけれども、全国から都道府県の応援もいただきながら、特に獣医を初めとする専門家をどんどんと今投入しているというところでございます。
 きのう知事もお見えになって、もうほかにやることはないですか、どんどん遠慮なく何でも言ってくださいよということをお話ししましたけれども、知事の方も、本当によくやっていただいています、もう何もありませんと。あと、強いて言えば、ふん尿がたまっていくので、その処理のところだけ、どこかきちっとしたところで処理ができるように、これを考えていただければということで、今後もいろいろなことがあるかもしれませんので、遠慮なく、また知事さんから、地元からおっしゃってくださいということも申し上げました。
 地元と力を合わせて、一体になって、とにかく今委員がおっしゃったように、これ以上広げさせない、何とかここで封じ込めるということに全力を挙げていきたいと思っております。
○赤澤委員 七例目が確認されたのが二十五日で、まだおさまっていないという話を申し上げようと思って来たら、まさにきょう八例目、九例目、十例目ということであります。拡大が続いているので、家畜の伝染病について言えば、これはもう本当に厳しい闘いでありますから、単に結果責任、結果責任というだけでは本当に酷な感じはいたしますけれども、現時点でとにかく抑えられていないということについては深刻に受けとめて、対応をお願いしたいと思います。
 先ほどおっしゃった薬剤散布ということですけれども、消毒に効くようなビルコンSとか、そういったものの確保を万全を期していただきたいということを改めて申し上げておきます。
 加えて、やはり私がちょっと心配をするのは、知事が足を運ばれて、万全で、これ以上やってほしいことはないと言うのは、ある意味非常にうかつであって、現場の農家の方たちが聞けば怒るような発言だと思うんですよ。それは主に何に関係するかといえば、感染拡大について初動が遅かったという声があるということに加えて、疑似患畜が発生した農家や移動・搬出制限を受ける農家の救済について、特に、まず経済的な面での対応は万全なのかということについて、懸念点を大臣としてお持ちでないのか、その点をお伺いいたします。
○赤松国務大臣 これは、法に従いまして、一つの農場で一頭でも出れば、そこにいる全部を殺処分するわけですから、それについては五分の四の補てんをする。それに加えて、融資関係についても、牛や豚を出せなくなるわけでありますから、その意味で、融資枠も二十億から百億にふやす。あるいは、新マル緊の拠出金についてもそれを出すのは大変でしょうということで、それも免除をするというようなこと。そして、そのほかのことでも相談があればぜひ遠慮なく言ってくださいということで窓口もつくりまして、今やらせていただいております。
 もうこれで全部やったんだ、やり切ったんだから、そういう意味ではなくて、私どもが考えつくものを今すべてやらせていただいておりまして、まだここが足りないぞという御指摘が委員からももしあれば、それは言っていただいて、どんどんやっていく。
 既に財務省とも相談をいたしまして、今三千頭を超える殺処分をしておりますので、五分の四なんということは、これをやっていけば当然資金が足りなくなるわけでありますけれども、追加の措置ということについても財政当局の御理解をいただいて、予備費等の流用をする、どれだけ金がかかってもやり切るということで準備体制は整えております。
○赤澤委員 大変力強い取り組む意思を表明されたので、その点は評価をいたします。
 今のお話の中でも、新マル緊の生産者拠出金を免除する、ここは評価を受けていい、そういう対策の打ち出しだと私は思っていますが、具体的に懸念点があればということをおっしゃったので一つ申し上げておけば、まず、五分の四ということでいうと、端的に言って、共済も上限八割ということですから、二割の部分については償える制度になっていないということは、当然、農家としてはつらい。そこは、金を借りて補うということであればこれは返していかなきゃいけないということがあります。
 もう一つ具体的に伺いたいのは、私は改めて互助事業のパンフレットをちょっと手に入れて検討しましたけれども、淘汰の互助金、経営支援互助金、焼却・埋却等互助金で、これは、基本となるお金は国が半分出して、残りは農家の方たちが積み立てたお金かと思いますが、出ていくときには全額が出ていくということであります。では、大臣に伺いたかったのは、十例あります。互助事業にこの十件の農家は全員参加をしていますか。
○赤松国務大臣 お答えします。
 きのう知事と話しましたのは、とにかく、補助の比率はそれぞれ決まっています。埋める方、殺処分したのを埋めるのなんかは、御指摘のように二分の一ですが、国が二分の一、県が二分の一です。しかし、その県の二分の一については全部特別交付金ということで、結果的には国がまた措置をしますので、実際上は県は負担がほとんどかからないという仕組みにしています。
 ただ、共済なんかは、これはもともとの掛金で本人の掛金分がありますから、共済制度というのはそういう制度ですから、その部分は御自身の負担ということはお許しをいただきたいと思います。
○赤澤委員 ちょっと細かな話になるので、今、大臣の答えが全くかみ合っていなかったので、こっちでちょっと申し上げますけれども、この互助事業について言えば、私の理解しているところ、宮崎の牛についても九五%の農家しか加入していません。当然のこととして、加入していない場合には制度の淘汰の互助金、焼却・埋却等互助金ももらえませんし、経営を再開しようとしたときの経営支援互助金ももらえないんです。
 こういった方たちは、再生産を開始するのに大変な負担を決断しないといけないということであります。ちょっと確認しただけでも、最初の七例の中でも実際に互助事業に加入していない方がいます。そういう入っていない方について、どういう対応を大臣は考えておられるんだということを具体的にお伺いしたかったわけであります。
○赤松国務大臣 風評被害その他の関係もあるものですから、なるべく個別の名前を出したりしないようにしております。
 ただ、私が理解をしておりますのは、殺処分した約三千頭のうちの多くのところは、ある一つの系列のところの頭数だというふうに理解をしていまして、今、赤澤委員御指摘の方についても、一件、二件これはあるかもしれませんが、それは確認をして、そういう人たちに対するどういう手当てができるのか、これは考えさせていただきたいと思っています。
○赤澤委員 今、考えてみるということなので、大変ありがたく、その言葉を重く受けとめます。農家の方も、大臣から前向きな検討結果が聞けることを大変期待するだろうと思います。
 その互助事業に加入していない方については、もう一回生産を再開するということは非常に負担があるんじゃないかと私は懸念しているので、その点は、今大臣からの前向きによく調べて検討するという話なので、確認をしてみてください。残り、きょう出た三例の中でもあり得るということだと思いますので、そこは見てみていただきたいと思います。
 それで、加入していない方の救済については、本当に東国原知事ともよく御相談いただいて、何とか再生産できるような道を探していただきたいということを改めて強くお願いしておきます。
 感染の拡大防止、これが非常に重要である、加えて、原因究明して再発防止も図っていく、そして経済的な負担を軽くするということが肝要なわけであります。ただ、私がもう一つだけ大臣に申し上げておきたいのは、農家の救済というのは心の面の救済というのが極めて重要だと思っています。再生産を開始しよう、あるいは生産を再開しようという意欲が何としてもわいていただかないと、要するに、日本の和牛の雄であります宮崎県が大打撃を受ける、こういうことなんですね。
 自分の経験を一つ言えば、鳥取県の私の選挙区で日南町というところで、二年ぐらい前だったと思いますけれども、二十分か三十分にわたって直径五センチのひょうが吹き荒れて、収穫間際のリンゴが全部落ちて、稲は全部倒伏をし、長ネギなんかは爆弾が破裂したみたいになって全部張りついて、その現場に片づけなどの手伝いに何度も入りましたけれども、もう農家は茫然としているわけですよ。要は、経済的な埋め合わせがあるかどうかの前に、自分が本当に頑張って育ててきたものがそういう目に遭って茫然としているという状態があるわけです。
 それをどうやって支えるのかというところが非常に大事なところであって、そういう意味で私が心から期待をするのは、やはり大臣あるいは少なくとも政務三役が現場に足を運んで、前回の和牛全共米子大会で日本一に輝いた宮崎牛を褒めたたえて、国民が本当に心配をしている、被害に遭われた農家の皆様による日本一の宮崎牛の生産の再開を国民が心から望んでいると伝えて励ます、できることはやる、こういうことをしっかりと伝えていただくことが必要だと思うんです。
 そういう意味で、御紹介すれば、我が党の農林部会長は一例目の確認された翌日にはもう現地に入らせていただいておりますし、きょう実は、谷垣総裁も現地に足を運んでおります。
 ということでありますので、その点、私の理解するところ、大臣含め政務三役はまだ現地に足を運んでおられません。先ほど、知事がこちらに来られて要望を言ったというようなことをおっしゃいましたけれども、私の好きな言葉では決してないですが、地域主権を標榜されるのであれば、むしろ大臣も足を運ばれて、主権者たる東国原知事では言い方がおかしいかもしれませんが、むしろ地元に足を運ばれて、我々ができることはないのか、心から心配している、こういうことを少なくとも県庁に足を運んで表明するとか、そこで、知事と力を合わせて農家の皆さんが心配ないように万全の対応をすると力強いメッセージを発するとか、心のケアをするという意味でやれることは幾らでもあると思うんですが、その点についてのお考えを伺います。
○赤松国務大臣 今お話あったような、風評被害を極力抑える、あるいは、例えば、残念ながらそうした牛を出してしまったところが周りに対して、自分のところがこれでみんなに迷惑をかけたみたいなことにならないように、いろいろなメンタルケアも必要だと思っています。
 それから、これは全国三千のスーパー等を千七百人の職員を使って当たらせたんですけれども、例えば、このスーパーでは宮崎県牛は扱っていませんなんということを書かせないように、チェックをしまして、多分ないだろうと思ったんですが、残念ながら九州で二件そういうところがございまして、直ちにその紙ははがさせるというような指導も今しております。
 それから、政務三役が行く問題ですが、先ほど申し上げましたように、マスコミの皆さんに、極力、行ってそう騒ぎ立てないでくれ、行くことによってまた病原菌が拡散するということもあり得るのでということをお願いしている手前、九州農政局の部長は責任者として常駐させ、獣医その他専門家は大変な数を行かせていますけれども、政治家たる我々が行って、何かパフォーマンス的にとられる、そういうのもいかがなものかというふうに思ったものですから、今までは正直遠慮させていただいておりました。
 しかし、そういう御意見も多いし、今、全国から都道府県の獣医さんたちにも来てもらって、各県から来ていますので、そういう意味で、あす山田副大臣に農水省を代表して行っていただくということの決定を、けさの対策本部でさせていただいたということでございます。
○赤澤委員 いろいろな配慮があったんだと思います。赤松大臣がパフォーマンスが嫌だというお気持ちは私も尊重しないではないですし、一方、マスコミをぞろぞろ連れて感染区域の近くを歩き回れば、それが原因で万が一広がることもあり得るので、一定の配慮があったことは私は認めます。
 しかしながら、ぜひ山田副大臣、県庁に足を運ばれて、例えば、知事と並んでメッセージを発して、前回の和牛全共で日本一になった宮崎の牛、本当に我々は万全を尽くして守るというメッセージをやはり発していただいて、そのことで農家に安心してもらう、それが、今本当に茫然自失しておられるであろう農家に何より大事なことだということは、ぜひ認識を共有していただいて、そういう方向でやっていただきたいと思います。
 私どもの総裁も、そのつもりで現地に入っておりますので、ここはもう、ある意味、与野党を超えてこの口蹄疫を克服し、宮崎牛、そして我が日本が誇る和牛を、しっかりともう一回発展の軌道に乗せるということをやらなきゃいけない、そういう思いでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 残り十分ほどで、今度は法案についてお話を伺いたいと思います。
 (中略)
 政治主導でありますから、そのかけ声のもとなわけですから、ぜひ、パフォーマンスは嫌いだと言わずに、これは大臣、副大臣が、口蹄疫について、宮崎の農家が、そして全国の畜産、酪農家が、よし、やってくれるぞ、よし、守ってくれるぞ、こう思うような力強いメッセージを発して、それに見合う政策をぜひ打ち出していただきたい。そのことを最後に強く申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○穀田委員 赤松大臣に一言、口蹄疫の問題についてお聞きしたいと思います。
 私どもも早速、私どもの農水委員である紙参議院議員を派遣しました。
 私は、二つあると思うんですね。一つは、今や、宮崎県だけではなくて広がりを見せる可能性がある。そういう意味でいいますと、やはり国が万全の対策をとらなくちゃならぬ、体制をとらなくちゃならぬということだと思うんです。
 もう一つは、やはり、今後起こるであろう、畜産経営が成り立たなくなる、壊滅的な打撃を受ける可能性がある、こういう点での損失補償という問題が出てくると思うんですね。
 その二点だけ、ちょっと簡潔にお願いしたいと思います。
○赤松国務大臣 今、二点について御指摘がありました。
 一つは、できるだけこれ以上広がらないような措置をするということで、先ほども少し申し上げましたけれども、まだ発生が確認をされていない周辺地域、大分それから熊本、鹿児島、そういう地域にも、すべての畜産農家に対して薬剤の散布をする。約五十万トンぐらいの薬剤を確保しておりますので、これは十分対応できるというふうに思っております。これが一つ。
 それから、あと、人につきましても、既に二十三人の本部の職員、そして、九州農政局、部長をトップといたしまして、これも対策本部に入れて現地で頑張らせていただいておりますが、加えて、さらに本部からの職員、それから全国からの各都道府県の獣医さんたちの応援ということをいただいて、今対応しております。
 それから、経営の問題でございますけれども、とりあえずは、法に従って五分の四の補てんということはできます。
 それから、あとは、埋めたときの費用だとか、あるいは、今後立ち上がるときに、今度は新たに子牛、子豚等を購入してということになりますので、そういうときの購入資金等のための融資ということで、融資枠も二十億から百億にふやしまして、これも万全の体制。
 そして、通常ですと新マル緊は、豚、牛を出荷して、その得たお金でもって個人の負担を払うわけですが、出荷できないわけですから、そのお金が入ってきませんので、その分については免除というようなことの対策。
 そのほかにも、細かなところの、原皮ですね、豚の皮や何かがあれですけれども、そういう原皮に対する補償等についても、額も決めて、今一枚百円だったですか、ちょっと額は正確にまたお伝えしますが、そういう形で、とれるところはすべて対策をとる。
 しかも、都道府県の、この場合は宮崎県の負担ということが大変大きくなりますので、それは特別交付金でもって措置をするということまでは決めさせていただいております。
○穀田委員 やはり畜産農家そして畜産業全体に大きな影響を及ぼしますから、国としての万全の対策が必要だということを改めて申し上げ、また私どもも、現地をさまざまな形で視察し、研究し、要請を次々と申し入れていきたいと思います。

第174回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 平成二十二年五月十日(月曜日)    午後一時開議

○小池委員 小池でございます。
(中略)
 二十一世紀に入って約十年、そしてまた万博が上海で行われ、ことしにも日本の経済の規模が世界第二位から中国にその座を奪われるというような状況、そしてまた環境なども中心として今世界が大きく動いている中において、国内問題もございます。宮崎の口蹄疫の問題もございます。諸々、我が国としての課題が山積している中で、この迷走ぶりを見ておりまして、国家としての形態を整えていないのではないか、このように諸外国から見られてもおかしくないような状況でございます。そういう中におきまして、きょうはこの沖縄の委員会でございますので、幾つかその情けない事案の件をお聞かせいただこうと思っております。
(後略)

○照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。
(中略)
 さて、宮崎県における口蹄疫発生は、沖縄の畜産農家の経営にも深刻な影響を与えております。
 沖縄県畜産課は、四月三十日、県内八カ所での競り開催の中止を決定しました。口蹄疫防疫のための競り中止は、沖縄県内で初めてであります。その結果、牛、豚合わせて約三千頭、約八億円分の取引ができなくなりました。
 前原大臣よくおわかりのとおり、沖縄の食文化の中で豚肉は必要不可欠のものであります。沖縄ではよく、豚は鳴き声以外は全部食べられる、こういうふうに言われております。同時に、沖縄の子牛は全国への供給源となっております。
 そこで、農水省に、宮崎県で発生した口蹄疫について、現段階での発生状況と処分された牛や豚の頭数について伺います。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 まず、口蹄疫発生農家及び関係者の皆さん方に心からお見舞いを申し上げ、さらにまた、防疫対策に当たっておられる方々に心から敬意を表するところであります。
 現在の状況についてお尋ねがございました。現在まで五十六例発生してございます。約六万四千頭、牛で約五千頭、豚で約六万頭を殺処分したところでございます。
 また、宮崎県における口蹄疫の発生を踏まえて、全国の農場に対して聞き取り調査を実施いたしておりますが、現時点では、宮崎県の農場以外の口蹄疫の疑いはないことを確認してございます。
 防疫措置についてでありますが、宮崎県に加え、隣接県、大分、熊本、鹿児島でありますが、ここには全額国庫補助による消毒の散布。それから、殺処分をしました後の洗浄、調査などについて、さらに迅速化を進めさせていただいてございます。さらにまた、農水省の幹部の現地派遣、それから、獣医師等の派遣、延べ八百六十四名を派遣させていただいてございます。
 さらに、五月一日からは、宮崎県知事の要請を受けて、自衛隊が防疫作業に出動しておりまして、一日百名程度の出動をお願いしているところでございます。
 五月七日の閣僚懇談会においては、官房長官から、各府省連携して万全の対策をとるようにという発言があり、農水省としても、これを受けて各府省との連携を強化して防疫措置を的確に実施しているところでございます。
 以上でございます。
○照屋委員 国を挙げての口蹄疫防疫態勢の強化は当然でありますが、沖縄のような離島県における口蹄疫発生予防とウイルス侵入予防の具体策、これを沖縄との関連でお答えください。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 沖縄県を含む各都道府県に対しましては、直ちに情報の提供を行いまして、早期警戒、衛生管理の徹底など、万全を期すよう要請をさせていただいたところであります。
 さらにまた、我が国への口蹄疫の侵入を防止しなければなりませんので、入国の際の消毒など、水際対策についても徹底をさせていただいてございます。空海港において、入国者の靴底の消毒、車両消毒を実施してきたところでありますが、本年一月、韓国での発生を受けて、本病発生国からの入国の消毒はさらに徹底をさせていただいているところでございます。
 発生を予防するためには、生産者の努力も必要でありますが、各都道府県を通じて、家畜の健康観察、異常を認めた場合の早期通報、部外者の出入りの制限、それから農場関係者の徹底した消毒、これも大変重要でございますが、野生生物や害虫の侵入防止など、周知徹底をさせていただいているところであります。
 また、沖縄を含む全国の牛、豚飼育農場に対しまして、聞き取り調査を実施させていただいてございまして、五月三日の時点では、宮崎県の農場以外に口蹄疫の疑いはないということを確認しているところでございます。
 以上です。
○照屋委員 先ほど沖縄でも競りが中止になったと言いましたが、競りの中止によって畜産農家は飼料代がかさむわけですね。それから、防疫態勢のための消毒用品代などが要る。そういう状況で、畜産農家を直接支援する対策はどのように講じるのでしょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 先ほど沖縄でも市場の封鎖、自粛をされているということで、三千頭、約八億円という市場がストップをしているというお話がございましたが、沖縄の家畜市場も、沖縄県からの要請を受けて市場の開催を中止したというふうに伺ってございます。飼育期間が結果として長期化するわけでありまして、今御指摘のように、えさ代等に特別な費用がかさむことになります。
 そこで、えさ代については、飼料購入に要する低利融資を用意させていただいてございまして、家畜飼料特別支援金、〇・八五から一・〇五%の資金を措置させていただいてございます。
 さらにまた、運転資金でありますが、これは農林業セーフティー資金、これも〇・八五から一・〇五でございますが、これの利用も可能となっているところであります。
 そのほかいろいろ対策は講じてございますが、市場自粛ということで対象になるのは以上の二点でございますが、家畜農家の皆さん方が心配されるようなことがないように、必要な措置に万全を期していく決意でございます。

第174回国会 農林水産委員会 第10号 平成二十二年五月十一日(火曜日)    午後二時十二分開議

○筒井委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、口蹄疫の発生状況及びその対応について政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。
○赤松国務大臣 お許しをいただきまして、宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告をさせていただきたいと思います。
 初めに、口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げます。また、私自身、宮崎県に伺い、宮崎県知事を初め、現場で防疫対応に従事されている方々から、現場における課題などについてお聞きしたところです。口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで、昼夜を問わず防疫対応に当たっておられる方々には心から敬意を表します。
 宮崎県において、四月二十日以降、六十八例の口蹄疫の発生を確認しております。農林水産省は、第一例目の発生を四月二十日未明に確認したため、同日九時に私が本部長である口蹄疫防疫対策本部を立ち上げたところであります。宮崎県と一丸となって、感染拡大の防止を第一に、殺処分等の防疫措置や、発生農家及び関係農家の経営再開、維持のための対策を実施しています。
 口蹄疫は、牛豚等の病気であり、人に感染することはありません。また、感染した牛豚の肉や牛乳を摂取しても人体に影響はありません。このことを国民の皆様にお知らせし、報道関係者の皆様にも冷静に対応していただいているところです。
 まず、防疫措置の実施状況について御説明いたします。
 これまでのところ、二十例については殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、七例については防疫措置を実施しているところです。
 こうした防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行っております。具体的には、農林水産省の幹部を宮崎県口蹄疫防疫対策本部に常駐させ、現場で指揮に当たらせるとともに、獣医師等を殺処分等の防疫措置に当たらせており、本日までに延べ九百五十二人を派遣しています。また、五月一日からは、宮崎県知事の派遣要請を受け、自衛隊が防疫作業に従事し、本日までに延べ約千百五十人が派遣されています。
 専門家から成る牛豚等疾病小委員会においては、現在のところ、本病の発生は半径十キロメートルの移動制限区域のうち、おおむね三キロメートルの範囲におさまっており、現行の防疫措置の徹底が重要であるとしています。
 感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる現地調査や、発生農場に関する情報の収集、分析、ウイルスの解析を実施しており、五月二日には、今回のウイルスが香港、韓国と近縁のものであることを確認しました。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
 また、宮崎県並びに隣接県である大分県、熊本県及び鹿児島県全域において、全額国庫負担により消毒薬を配布し、散布を行っています。本病の蔓延防止のためには、各農家等における消毒や衛生管理が極めて重要であることから、各農家等における散布の徹底をお願いしています。
 さらに、全国の牛豚等の飼養農場に対し、緊急調査を実施し、五月三日の時点で宮崎県以外に口蹄疫の発生は確認されておりません。引き続き、各都道府県を通じ、全国の農場に早期発見、早期通報の徹底を指導してまいります。
 なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止等が行われることがないよう適切な対応を求めております。
 各地方農政局、地方農政事務所等の約千七百名の食品表示Gメンの職員が、五月十日時点で、六千三百七十一店舗の小売店を巡回し、「宮崎県産の牛肉は使用していません」など消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された三店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
 次に、発生農家の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明いたします。
 今般の口蹄疫の発生に伴う家畜の殺処分の実施や移動・搬出制限により、経済的な影響を受けることとなる畜産農家の経営を維持するため、農林水産省としては、まず、殺処分した疑似患畜について、家畜伝染病予防法に基づき手当金を交付するほか、発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。
 これに加えて、四月二十三日に関連対策を発表し、また、その後の発生事例の増加及び発生地域の拡大に伴い、同三十日にはさらに追加的な対策を講じることとしたところであります。
 具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大し、融資枠を二十億円から百億円に拡大しております。
 家畜を出荷できない搬出制限区域内における畜産農家については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金を免除するほか、滞留する子豚の淘汰や出荷適期を超えた肉豚の出荷に対し助成金を交付するとともに、宮崎県、大分県、熊本県及び鹿児島県において、肉用子牛生産者補給金における飼養開始月齢の要件や肉用牛肥育経営安定特別対策事業における登録月齢の要件を緩和することとしています。
 このほか、出荷できない肉用子牛を農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する補助など諸般の対策を行うこととしております。
 農林水産省としては、引き続き、口蹄疫の蔓延防止を最重要課題と位置づけ、関係府省の御協力をいただきながら、宮崎県と一丸となって、防疫措置を的確に実施してまいります。
 また、口蹄疫に関する国民への正確な情報提供を徹底し、冷静に対処したいと考えており、国民の皆様には御協力をお願いいたします。
 さらに、地域経済への影響を最小限とするよう経営支援対策の円滑な実施に全力で取り組んでまいります。
 以上です。
○筒井委員長 以上で説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。
○道休委員 民主党の道休誠一郎でございます。
 きょうは、このような時間に口蹄疫についての質問をさせていただくということで、感謝しております。
 まず、私が質問をさせていただく前に、先ほど私の方へ送られてきた農家の方のファクスの一文をちょっと引用させていただきます。
 口蹄疫、今までは対岸の火事と思っていたことが実際に自分の身に降りかかってくることの苦しみを人に理解してほしいといっても、とても理解してもらえないほどのつらさ、苦しさ、悔しさ、悲しみが込み上げてきます。しかし、このままでは我が百姓人生のシナリオが中途半端になってしまいます。口蹄疫撲滅のために一生懸命頑張ってくれた方々のためにも、感謝の気持ちを持って必ず再起する。また、再起しなければならないという気持ちでいっぱいです。
 自分の牛群が口蹄疫にかからないように願い昼夜消毒を行っていましたが、その願いかなわず、大事に大事に育てて、ともに暮らしてきた牛たちに大変申しわけないことをしてしまいました。深い苦しみに打ちひしがれる毎日です。その思いと同時に、これ以上口蹄疫が拡散しないことを願っていますと。
 非常に、現場の苦しい現状を反映していただいている文だと思うんですが、赤松大臣におかれましては、昨日、宮崎の方へ行っていただきまして、知事を初め関係市町村の首長さん、そしてJA初め農業団体の方々から直接お話をお聞きいただいたと思いますが、現在の大臣の、そういう方々のお声を聞かれた心情をちょっとお聞かせ願えればと思います。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 昨日、宮崎にお伺いをいたしまして、知事、生産者の皆さん、農協の組合長さん、そして各関係、川南町を初めとする市町村の首長さんの方々、そういう方たちにいろいろお話をお聞かせいただきました。
 本当に、現実にそういう牛や豚を出した農家の皆さんの苦悩ということについては痛いほど感じました。また、ぜひそういうところにも来てほしいというお話も事実ありましたけれども、これは報道関係の皆さんも含めて、今はそういう疫病対策をする方以外はそういうところへ立ち入らないでくれと厳しく移動制限等をかけておる関係から、そういう皆さんの代表の方、ちょうど川南町の所管をする組合長さんもお見えになっておられまして、本当に悲痛な叫びにも似た声を聞かせていただくことができました。
 私どもといたしましては、四月二十日の発生以来、対策本部を立ち上げまして、できることはすべてやり切っていこうと。そして、現場でも聞いて驚いたんですが、いや、これはネズミが広めているんだ、感染させているんだとか、いや、空気で感染しているんだとか、いろいろなことを言われる方がいるんですが、正直言って、明確にこれが原因だ、これによって伝播したんだということはまだ明確になっておりません。そういう中で、対策本部のもとで、専門家の先生方、こういう皆さん方のいわゆる指示に従いながら、今まで第一弾、第二弾、そして、ある意味でいえば、昨日、また人等をふやすということで第三弾の対策を講じてまいりました。
 幸いにして、一つだけ、今のところは何とか助かっているなというのは、地域が、今の報告でも申し上げましたように、おおよそ移動制限をかけている十キロ以内、主に三キロ以内のところに発生が集中している、他県に広がりを見せていないということが一つ。
 それからもう一つは、これは報道関係の皆さん方の御理解の結果だと思いますけれども、この病気はBSEと違って人にはうつらないんだ、そして、すぐ移動制限をかけたのでそこからは一頭の牛も豚も出ていないんだ、万が一にも仮にそれが出たとしても、過ってその牛乳を飲んだり肉を食べても人体には全く影響がないんだということも、報道は報道として、ここに発生したということを書いていただいても結構ですが、ぜひそういうこともつけ加えて書いていただきたいということもお願いをしてまいりました。
 各報道機関の方々も、必ず最後のところには、人にはうつらない、食べても大丈夫だ、そういうものは全然出ていないよということを書いていただいているものですから、比較的、全国レベルで見ると、豚価が一番いい例だと思いますけれども、四百円ぐらいでずっと低迷していた豚価が今四百八十円ぐらいということで、事実上、風評被害というようなことは見られない実態になっているということは大変うれしいことです。
 今、今度対策本部のもとで各先生方の指示に従ってやれることをきちっとやり切っていく、そして、足らざる点、きのう聞いて、知事さんの方からは、これで十分と思ったけれども獣医さんが足りないとか、あるいは補助員が足りないとか、埋めるところを何とかしてほしいとか、そういう話もございましたので、そういうことについて、中身は後で説明しろということであればお話ししますが、概略的に申し上げれば、そういう新たな措置についてもお約束をしてきたというところでございます。
○道休委員 ありがとうございます。
 続いて、山田副大臣にお伺いしたいと思いますが、四月の二十日に残念ながら第一例が確認されていますけれども、現在、私の手元にある資料では、都農町、川南町、そしてえびの市に感染地域は限定されているという認識でおりますが、これでよろしゅうございましょうか。
○山田副大臣 今、道休委員からお話がありましたように、まさに制限地域内、ほぼ三キロの範囲内で、十キロの中、制限禁止の中にはおさまっております。
 ずっと連休中も毎日、道休議員から連絡をいただいておりまして、現地で大変御苦労なさっていることはよく承知しておりまして、不幸にして、牛、豚合わせまして七万七千頭という形になっておりますが、先ほど大臣もおっしゃっているとおり、万全の措置をして、農家にも、再生できるようにきちんと対応策をとらせていただくつもりでおります。
○道休委員 ありがとうございます。
 続いて、先ほど大臣も概略を御説明いただきましたけれども、佐々木政務官の方から、現在の関連対策並びに対応体制についてのお話をいただければと思いますが、よろしくお願いします。
○佐々木大臣政務官 対策については先ほど大臣からも触れていただきましたけれども、現状の対策についてお答えをさせていただきます。
 先ほど大臣からもありましたが、四月二十日に本部をつくって、二十三日に関連対策を発表させていただき、三十日には追加対策を発表させていただいてございます。
 具体的には、資金対策といたしましては、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を、先ほどもありました、移動制限区域内から搬出制限区域内に拡大をさせていただいております。融資枠は二十億円から百億円に拡大をさせていただいております。
 また、出荷できない搬出制限区域内の畜産経営については、滞留する子豚の淘汰や出荷時期を迎えた肉豚の出荷について助成金を交付させていただいています。そしてさらに、宮崎、大分、熊本及び鹿児島において、肉用子牛生産者補給金の飼養開始月齢や肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊における登録月齢について要件を緩和させていただいているところであります。
 なお、現在、現地において防疫措置の対策を実施しているところでございます。対策全体に係る予算額は、現時点で確たることを申し上げることはできませんけれども、大臣も現地を訪問させていただき、今後も、発生地域における畜産農家の方々に安心して経営を継続いただけるよう、必要な対策をしっかりと講じてまいる考えでございます。
 以上です。
○道休委員 ありがとうございます。
 今、御説明になられました中に、家畜疾病経営維持資金の融資の対象枠が、搬出制限域内という制限がついておるんですけれども、現状、とても厳しくなっております。ですから、この対象域を拡大していただくという可能性はないでしょうか。
 大臣、いかがでございましょうか。
○赤松国務大臣 お答え申し上げます。
 今、佐々木政務官から申し上げましたように、もともと移動制限区域内からであったわけですけれども、それを搬出制限区域内まで拡大した、額も二十億から百億に拡大したということでございますが、きのうもお邪魔をして、いろいろお話を聞くと、制限区域外でも、事実上、経営上非常に厳しい状況の方が大変多い、今まさに道休議員が指摘をされたとおりでございます。
 今、委員からの御指摘もございますので、できれば宮崎県全体にその対象を広げたらどうか。そういうことが、枠は今、十分ございますので、枠が足りなくなるということはございませんので、そんなことをぜひ前向きに検討させていただきたいと思います。
○道休委員 ありがとうございます。
 時間も大分押し詰まってきましたので、ちょっと質問を肝要なところだけやらせていただきます。
 続いて、現場で私どもヒアリングさせていただきまして、やはり埋却地の確保とか、消毒薬剤等の調達と散布、そして獣医とか、獣医師の指示に基づいて動くスタッフの確保、大臣に非常に前向きのお話をいただいたんですが、即戦力のある、即効性のある対応をしていただくために、この辺について政務官の方から御説明いただきたいと思います。
○佐々木大臣政務官 三点、質問をいただきました。
 埋却場所の関係でございますが、川南町では、掘削すると水や岩が出るなどということで、埋却の場所に大変御苦労をされているというふうに伺ってございます。宮崎県において、四十五例について埋却地、埋却候補地を確保しておりますが、残る二十三例についても宮崎県と川南町が調整を進めているというふうに承知をいたしてございます。
 埋却地の確保にかかわる必要な借地料については、例えば、国有地などの場合も含めてでありますが、国費によって二分の一を補助するということも可能でございます。さらにまた、その宮崎県の負担分は特別交付税の対象にもなるということであります。さらにまた、国有地の活用については、具体的な相談があった場合には関係する省庁にも協力を要請してまいるところでございます。
 さらにまた、防疫指針というものが前回の発生の後にできているわけでありますが、それに基づいて都道府県及び市町村等に処理の体制についても進めるよう指示をしているところでございます。
 次に、消毒薬の関係でありますが、宮崎県及び同県の隣接県、いわゆる大分、熊本、鹿児島、全域において消毒薬の散布については全額国費負担で支援をさせていただいてございます。四月二十二日以降、メーカー等について供給等の指示を行ってございます。メーカー等は、発生県への優先的な供給を行っているというふうに承知をしてございます。
 宮崎、大分、熊本、鹿児島県において改めて確認をしたところ、散布に必要な量の消毒薬は確保されているというふうに承知をしてございます。特に宮崎県においては、五月八日までに県内全域への配布を完了しているというふうに承知をしております。ただ、みずから在庫を有するような農家の方もおられまして、そのような方は、在庫で対応すると言われておられるような方もございます。
 なお、炭酸ソーダなど家畜農家でも入手が可能な消毒薬のつくり方と使い方を農水省のホームページにおいて掲載させていただいてございます。
 獣医師の確保でございますが、川南町それから都農町において殺処分等に従事する獣医師について、これまで七十名体制で対応させていただいてございます。
 先ほどもございましたが、昨日、宮崎県知事に対しまして、国や都道府県から獣医師約五十名を派遣しているところ、これを倍増させていただくこと、それから全国の地方農政局からの派遣職員を百名規模に増員すること。
 さらに、都道府県からの支援についても増員を要請しているところでございます。
 さらに、民間の養豚開業獣医師団体の方々も現地の防疫体制に参加をいただいているところであります。さらに、自衛隊の協力もいただきながら、殺処分等の防疫措置を的確に実施するために、人的支援も強化をさせていただいているところでございます。
 以上です。
○赤松国務大臣 この後も多分、御質問が出ると思うので、あらかじめ申し上げたいと思うんです。
 埋設地について、知事からも、あるいは生産者の皆さん方からも、みんな出るんですね。国有地をぜひ開放してほしいという話があって、私の方で、どうぞどうぞと。海岸線は全部、防風林は国有地ですから、私の権限ですから、御希望を出してもらえれば直ちに許可しますよと言っているんですが、反対に川南町長が、いやいや、それは水源に影響しますから、その国有地は困るんです、要りませんという話で、私どもとしては、では水源に関係ないところ、ずっと海岸線は全部そうなんですから、指定していただけるところはどこでもいいので提供するからと言っていますので、あとはむしろ地元の問題。
 生産者はここに埋めたいと言う、町長はいや、そんなところに埋めちゃだめだというようなことなものですから、ぜひそれは道休委員も、地元の議員でございますので、その辺のところは早く場所を指定していただいて、国の体制はもう十分準備はできていますから、いつでもできますので、お骨折りをいただきたいと思います。
○道休委員 承りました。しっかり連携をとらせながら、やらせていただきます。
 質問時間も来ましたようですけれども、最後に、汚染地域においては、移動、搬出等が禁止されて、本当に、家畜農家に限らず地域全体が生活に支障が出始めております。扱い方を間違われますと、社会不安に発展する可能性さえもある、非常に危機的な状況でございます。
 今回の口蹄疫の発生、宮崎で起こっていますけれども、これは畜産宮崎の危機ではございません。皆さんおわかりのとおりに、日本の畜産を我々は守っていく必要がございます。今回の口蹄疫の発生に一日も早くピリオドを打っていただきまして、二度とこういうような口蹄疫という名前が日本の社会に出てこないように、現行、行われている感染経路の厳格なチェック、そして感染ルートのチェックを行っていただき、二度と口蹄疫が起こらないように、関係の家畜伝染病予防法とかそういうような法律、あるいは指針等の見直しもしっかり行っていただいて、口蹄疫が一日でも早く終息するようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○江藤委員 昨日は、大臣、宮崎まで大変御苦労さんでございました。私は不覚にもちょっと体調を崩して入院してしまいまして、その場に出席できなかったことを非常に残念に、申しわけなく思っております。
 カワナミ、カワナミと先ほどから申し上げられておるようですけれども、カワミナミ町ですからね、せめて地名ぐらいは正確にお願いしておきます。
 まずは大臣にお尋ねします。
 四月の三十日に日本を立たれて、五月の八日に帰国をされましたね。そもそもこの外遊については、政府の口蹄疫対策本部長である以上、今回は見送るべきだという意見は与野党ともにありましたよ、自民党だけじゃなくて。しかし、予定どおり御出国をされた。このこと自体、地元で御苦労されている方々がどう受けとめたか。中には、我々は国から見放された、最高責任者が行ってしまった、そう言った方もおられました。
 そして、四月二十八日には県の畜産試験場で発生した感染が、一番恐れていた豚への感染。一般養豚農家への感染が確認され、帰国されました八日には、三十日には十二例目でありましたけれども、帰ってきたときには五十六例目という爆発的な蔓延になってしまいました。そのときにトップがいなかったんですよ、この日本に。これは皆さん、非常に心細い思いをされました。
 その状況は、外遊されていましても、当然農林水産省のキャリアを通じて逐次報告がなされていたでしょう。大臣はそれをお聞きになって、これはまずい、予定をキャンセルしてでも途中で帰国しよう、そういうお気持ちになったことはありませんか。お尋ねします。
○赤松国務大臣 四月の三十日から、議会の御承認をいただきまして、自民党、公明党その他の野党の皆さん方の全体の御了解のもとに、予定どおり行かせていただいたということでございます。
 ただ、私は、口蹄疫の対策について軽々しく考えていたわけでもありませんし、それについては、四月の発生以来、夜中に発生が確認されたんですけれども、その朝、直ちに対策本部を立ち上げて、そしてやるべき措置をし、知事とも、その二日後でしたか、議会の議長さん、関係の皆さんと一緒にお見えになって、いろいろ相談をし、いろいろな対策も講じ、正式には四月の二十三日の日に第一次の対策を発表し、そしてあわせて三十日に第二次の追加対策をまた行わせていただいたということでございました。
 また、こういう時代ですから、リアルタイムで、仮にメキシコに行っておりましても連絡がとれますので、随時連絡をとりながら、先ほども少し申し上げましたけれども、一定の範囲の中で何とか封じ込めることが今できている。しかし、その中で、数は残念ながら、特に六日、七日ぐらいからふえ出したという事実はございます。しかし、こういう場合にはこういう形でいこう、あるいはその前に、私がいるときですけれども、山田副大臣には現地へ行ってもらおう、あるいは対策本部は、こうなったときにはこういう形でやってほしい、あるいはきのう出たあれは、これが黒だった、これは白だったということは随時連絡をとりながらやっておりまして、そのことについて、私が一人いなかったからといって、いささかも支障があったというふうには理解をしておりません。
○江藤委員 最高責任者でしょう。最高責任者でしょう、あなたは。リアルタイムなのはわかりますよ、それは。何をにやにやしているんですか。最高責任者でしょう。その人がいないと、役所だって今どうですか、例えば鹿児島の先生方がこの期間中に役所の人を呼んで、こういった対策をお願いしたいといろいろ話をしましたよ。返事は何ですか。政務三役の御承認を得なければ、我々の判断ではどうにもなりませんと。あなたがいない間、そういうやりとりがなされていたんですよ、休みの間でも。これが現実。
 何でそうやって笑うんですか。どうして笑うんですか。(赤松国務大臣「笑っていないよ、別に」と呼ぶ)にやにやしているじゃないですか、さっきから。
 大体、民主党さんはよく使うフレーズがありますね。今、事業仕分けもやっていますけれども、不要不急のものであると。私、今回の外遊は、今行かなければならなかったものだとはとても思えませんよ。
 メキシコの、EPAですか、これはもう十六年に署名済みです、十七年には発効しています。そして、四年、五年には見直しを行いますけれども、これは事務レベルの話でしょう。大臣が行かなければ決着しない話ですか。キューバへ何をしに行ったんですか、カストロさんに会いに行ったんですか。コロンビアへ何をしに行ったんですか。それは国会の承認を得たかもしれない。でも大臣が、農林水産行政のトップとして、畜産農家と苦労をともにして涙を流して。狭い地域だからこれは悲劇じゃないんですか。三キロだからハッピーなんですか。
 私は、この連休中も毎日毎日足を運んで、私が行ったからといって蔓延防止に何の役に立つわけじゃありませんよ、それは。でも、畜産部長の前に座って、随時入る報告、口蹄疫が発生したというと、畜産農家はデジカメで写真を撮ってパソコンで送ってくる。それをパソコンの画面で見て、これは水疱じゃけんど、どげじゃろかい。口蹄疫じゃろかどげじゃろかは、まだわからぬね。だけれども、危ないから一応そういう覚悟をしてくれ。そういうやりとりをずっとこの連休中、見てきたんですよ。
 私は、農林水産大臣の資質というものは、農民、農村、農家、畜産家、林業家、水産業、何でもそうですけれども、この業界で働く人のために一緒に涙を流す、その気持ちを持ってくれないと、みんな救われませんよ。あなたが来てくれるのを待っていたんですよ、川南町の人たちは、私なんかよりも。大臣が来てくれて、そして、御苦労だね、大変だね、だけれども国はあらゆる対策、万全の対策を講じるから、くじけずに頑張ってくれと。
 私はこの間の委員会で言いましたよ、心のケアが一番必要だと。一番の心のケアができるのはあなたなんですよ。私なんかじゃないんです。大臣がお越しをいただいて、直接生産者の方々の声を聞いてくださって、肩をたたいて、一言、しっかり頑張れと言ってくださったら、今みんなの心はここまでは折れていない。川南町の人たちは今もう希望を失いつつありますよ、本当に。悲しくて悲しくてたまりません。
 質問をたくさん用意していましたけれども、木曜も金曜もやるそうですから、もう余り質問はしません。
 あるお年寄りは、うちの繁殖母牛、この子のおかげでうちは生計が成り立ってきた、孫にもお年玉をやれた、飯も食えた。でも、殺処分せにゃいかぬかもしれぬ。拓さん、そのときは、私は老い先短いんやから一緒に埋めてくれと。
 ある酪農家は、新聞でも報道されましたけれども、最後に一番上等なえさを食わせて、頭をなでてやって、乳房をふいてやって、そして最後の別れをして、それで目の前で殺処分されていくんですよ、大臣、目の前で。その悔しさがわかりますか。わかってくださいよ、大臣。彼は私に、大臣を連れてこい、大臣に鉄砲を持たせて一頭一頭撃たせろ、そうしたらおれたちの気持ちがわかるわい、そう私に訴えられましたよ。こんな話は枚挙にいとまがない。
 大臣、私は、地元からは物すごい怒りの声を聞いています。すぐにでも大臣の解任を求めてくれ、不信任を国会に提出してくれという声もたくさん受けとめましたよ。でも、私はそうは思わない。今はそんなときではない。あなたをやめさせたからといって、畜産農家が救われるわけじゃない、蔓延が防止できるわけでもない。今は、だから、休戦しますよ、あなたの責任を追及することはしません。
 だけれども、どうか政務三役の皆さん、民主党の皆さん、わかってください、現場の本当の苦しみを。家庭からは火が消えたようになっている。お父さん、飼料代を払わにゃいかぬけれども、もう預金はこれしかないよ、そげなことはわかっちょるわいと夫婦げんかになる。子供を学校に行かせたいけれども、もしかしたら口蹄疫のウイルスを持って帰ってくるかもしらぬ、学校にも行かせたくない、家庭訪問もお断りだ。飲みに行くなんてとんでもないと。修羅場ですよ、修羅場。本当に戦場ですよ。
 言葉がきつくて気分を害されたかもしれませんけれども、彼ら、ほとんどの発生農家の人たちは私の昔からの友人たちです。大変、地域のリーダーだった人たちもたくさんその中には含まれています。みんなまじめにやってきた。そして、川南町は特に、こういった家畜伝染病を撲滅することに九州でも一番努力をしてきたところですよ。なぜこんなことになるんだ、どうしてなんだ、夢であったら覚めてほしいと。そして、毎朝畜舎に行くのが怖い、牛の顔を見るのが怖い、そういう眠れない毎日を過ごしているということを、どうぞ大臣、副大臣、政務官、わかってください。この委員会一丸となって何とか助けてください。予備費でも持ってきてください。ALIC、年度末に二百億残るでしょう、副大臣。二百億を下さい。最初の委員会で百億と言いましたけれども、とても足りませんよ。
 副大臣は、この間宮崎に来られたときに、経営再建にも全力を尽くすとおっしゃいましたね。経営再建をするためには、今抱えている借金もあるんですよ。融資百億と言いますけれども、借りる人間なんかいませんよ、借金を抱えているのに。今もえさ代がかさんでいるんですよ。
 殺処分したくても、埋却処分地がないから殺処分できずに、どんどんどんどん豚舎の中で口蹄疫が広がっているんですよ。殺処分したいんですよ。埋める場所がないから。豚は一日で腐りますよ。すぐ腹がぽんぽこりんに膨らんでしまいます。それでも養豚家はそういったことの治療をするんですよ、どうせ殺処分しなきゃいけない豚も。かわいそうだから、少しでも苦しみを和らげてやろうと。そういった畜産家の気持ちになって、ぜひ議論しようじゃありませんか。
 ですから、国対にもお願いしました。不信任、とんでもない、今そんなことをしている場面じゃないと。とにかく我々は今の執行部体制のもとで一丸となってこのことに取り組んで、そしてけりがついた後、それは国対が判断することでしょう、私がどうこう言うつもりはない。
 大臣、ぜひお願いをいたします。私の気持ちは少しは通じましたでしょうか。御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほど来私が申し上げましたとおりに、私どもは、私個人の話ではなくて、農水省一丸となってあらゆる手だてを講じていこう、しかもこれは国が、県が、何々町が、市がと言っている問題ではなくて、まさに地域と国が一体になってあらゆる対策を講じていこうと。そのために何ができるのか、今何が足りないのかということで、私どもは第一弾、第二弾、第三弾ということでやらせていただいてきたわけでございます。
 昨日も、今お話がありましたように、知事はもう、五十人も獣医さんを送ってもらえればということが当初のお話でしたけれども、やってみたらそれでもなかなか足りないというので、では、獣医五十人を百名に倍増しましょう。あるいは、今度は獣医さんだけ来ても、なかなか補助員がないと獣医が仕事をすることができない、職員が足りないんですと。わかりました、では、今農政局から送っている人員については、十倍、人を送りましょうというようなことをやらせていただいた。
 あるいは、今生活資金が足りないということで、とにかく五分の四についてもできるだけ早く手元に入るようにしてほしいというお話がありましたから、書類さえ上げていただければ、仮払いで直ちに国がお支払いしますよ、ですから早く書類を上げてください、すぐ皆さんのお手元にお金をお渡ししたいんですということもきのう申し上げてきたところでございます。
 そういう中で、あと、大きな問題の一つとして、今もお話ありましたけれども、どこに埋めるか。早く埋めたいんだけれども埋める場所がないと言われるので、それについては、地域で、もし国が国有地を出せと言うんだったらどこでも出しますよ、ぜひ言ってくださいということも含めてお話をしてきたということでございます。
○江藤委員 先ほど、川南町長がぐずぐず言うから国有林に埋められないとおっしゃいましたね。水が出たら埋められないんですよ。三メートル掘って出たらもう埋められないんです。そんなことは地元の人間が一番よく知っているんですよ。海岸線の国有林でしょう。
 今何が足りないかって、何を悠長なことをおっしゃっているんですか。もう二十日以上たっているんですよ、二十日以上。今宮崎県で言われているのは、川南、都農では済まないだろうというのがほとんど通説になっています。どんどんどんどん近づいています、隣の町に。どんどんどんどん小丸川に近づいていっています。越えたら佐土原町です、その先は宮崎です。えびのなんというのは、隣は熊本です。熊本の先生もおられます。鹿児島だってそうですよ。今何が足りないかという議論をしていること自体がおかしい。
 私は、大臣と今までいろいろ議論させていただきましたけれども、私にいろいろ言葉をかけていただきました。大臣の、前の討論の中で、一緒にやりましょうと言っていただいたことがありますよね、与野党関係ありません、知恵を出し合ってやりましょうと。私は素直な人間ですから、それをまともに受け取りましたよ。ですから、すぐに、まず三十二項目、これが必要だと、地元の声を体した形で、宮腰部会長と一緒に提出させていただきました。受け取っていただきましたよね。その後、さらに四十数項目を追加で出させていただきました。五月に入ってからもさらに、これが足りないという部分も出させていただきました。私たちは一緒にやりたいという気持ちでいるんです。国有林じゃだめですよ、大臣。
 殺処分したら、なるべく移動距離の短いところに埋めないと蔓延の原因になるんです。できれば隣がいいんですよ。売ってくれるかどうかは別にして、金に糸目をつけずにそこを買ってください、国が。買ってくださいよ、国有林とかいう話じゃなくて。そうでないと、一部、長距離を移動させて埋却をしました、それが原因だというような説も流れています。原因はわかりませんよ、そうとはわかりません。
 時間がなくなりましたが、最後に一つだけ、どうしても確認させてください。あとはまた木曜、金曜にやらせていただきます。
 地元の新聞では、きのうの大臣の発言を受けて、全額国庫補償すると明言をされましたね、全額国庫補償すると。しかし、先ほどのペーパーを見ると、家伝法に基づいて交付するほか、「発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。」と。合わせて五分の五ということですか。これはちょっと話が違いますよ。確認させてください。
○山田副大臣 江藤議員も御承知のとおり、家伝法によって、殺処分する五分の四、これについては国が見ますよね。あと五分の一は共済で見てもらえる。ところが、その五分の一を見てもらえば、殺処分したものについては、本来、いわゆる牧場主にとっては全額その負担はないはずなんですが、共済に入っていない、そういう五分の一の分が出ない部分についてどうしたらいいのか、これは私が宮崎県に行ったときにも知事から言われました。
 それについては極力検討させていただきたい、私はそう言って帰ってきたんですが、今回大臣が伺いまして、その前の五月七日に、閣議でもって、閣僚関係会議でもって、総務大臣からも、五分の一の分については特別交付金等でできるだけの措置をしたい、そういうことを言っていただいておりますので、それを受けて、昨日大臣の方で、国として、十分な補償、特別交付金も含めて丸々損失を何とか補てんしたい、そういう主張をいたしているところです。
○江藤委員 それでは、結局のところ今までどおりということですね、副大臣。前回と同じでしょう、それは。前回と全く同じです。特別なことは何もしていない。
 共済に入っていない人、入っている人、特に大規模なところは入っていません。小さいところは入っていますよ。もう、五百頭、六百頭規模の肥育農家になったら入っていません。この人たちについて埋めていただける、これはありがたいですよ。では、共済に入っている人は、共済金も出た上で、上増しで下さいよ。だって、入っていた人がばかを見るじゃないですか。
 もう答弁は求めませんよ。また木曜、金曜にやりますので、時間も過ぎましたから、副大臣。(山田副大臣「委員長」と呼ぶ)どうしても答えたいなら、どうぞ。
○山田副大臣 前と全く同じではなく、きのう大臣が行って、五分の一のところも特別交付金で見ます、そう言っているわけですから、これまでとは違うわけです。
○江藤委員 用意したペーパーの二ページぐらいで終わってしまいましたが、また引き続きやらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○筒井委員長 次に、長島忠美君。
○長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美です。
 農水委員会に途中から入れてもらったもので、きょう、実は初めて質問に立たせていただきます。
 実は、質問を通告はしてあるんですけれども、今、先輩議員と大臣のやりとりを聞いておりました。私は、口蹄疫が発生したということを、やはり我々は重大災害だという認識を持って対応すべきではないか、そんなふうに受けとめて、先ほど大臣が、私一人ぐらいいなくても対策は十分だということの認識をぜひ改めていただきたい……(赤松国務大臣「一人でやっているんじゃないと言っているんですよ」と呼ぶ)いや、いいですよ、まだ答弁を求めていませんから。
 私も、自然災害でふるさとを追われました。そのときに、希望をなくして絶望の中にいる住民は、私のようなリーダーでも、顔を見せて手を握ってくれることを望んで避難所で待っていてくれました。
 私は、山古志村民をすべて被災させたときに、住民から、つらいときに希望を与えるのが政治家の仕事だと言われて、今日こうやって政治のお仕事をやっているつもりです。この宮崎県の農家の皆さんは、先輩が言ったとおり、多分、今絶望の中にいるんだと思います。あしたもわからない状況の中にいるんだと私は思います。大臣が先ほどからいろいろな意味で答弁をされているけれども、認識としては、私はこの災害を絶対克服してみせる、だからみんな安心してくれというメッセージを出すのが災害本部長の仕事であり、大臣の仕事じゃないですか。私一人ぐらいという認識は、私は改めていただきたい。そのことについてぜひ。
○赤松国務大臣 私は、私一人ぐらいはと言っているんじゃなくて、チームできちっと、農水省全体で責任を持ってこれに当たっております、安心してくださいということを申し上げているんです。しかもそれは、山田副大臣が行く、あるいは、事務レベルでも部長という立場の者が常駐してそこで頑張る、それぞれがつかさつかさで総力を挙げてやらなければ、こんな大きな問題に対処できるわけがないじゃないですか。
 そういう中で、きのう、今私が行くことが一番最適だということで私がお邪魔をさせていただいて、当該の農協の組合長さん、ちょうど川南町の、そこを所管するところの組合長ですよ、私と手を握って、本当に涙を流しながら喜んでくれましたよ。だから……(発言する者あり)いやいや、うそだと言うけれども、その場にあなたはいないでしょう。そういうことを言っちゃだめだよ。では、聞いてごらん、ちゃんと。
 そういって確認しながら……(発言する者あり)そういうことをちゃんとやるべきだよ、君は。
 それで、そういうことをきちっと僕はやってきました。ですから、それで何かをやっていないとかこれが足りなかったとかいうなら、これはこれで甘んじて御批判を受けますけれども、何が足らなかったんですか。何ができなかったんですか。あなた、それを言ってください、ちゃんと。
○長島(忠)委員 だから、災害を受けたときに住民が期待することというのは、平和なときには、やはり日本の法律だとか制度が国民を守ってくれますよ。災害を受けたときにだれが守るか。政治家が守る以外ないじゃないですか。前例にないことをやらなかったら、被災地を救うわけにいかないんですよ。だから、大臣が三十日から八日までお留守にされた間、私一人ぐらいという認識は甘いんじゃないですかと私は言っているんです。そのことはいいですよ、答弁は要りませんから。
 このことについて、私は同じ被災者として、私も、牛を飼っている農家があって、災害を受けて牛が孤立をしましたよ。避難をした翌日に、私のところに農家の人が来ましたよ。何と言ってきたか。おれは山に入る、とめるな、おれは家族を助けに行く、だからとめるな、そう言って、村長である私のところに来ました。私はとめるわけにはいかなかった。その思いは私は大切にしなければいけないと思った。とめるわけにはいかない、でも、牛と同じように私にとってはあなたも大切な命だ、気をつけて行ってほしい、出てきたら必ず私に一番最初に連絡をしてほしいと言いましたよ。
 農家にとって、今、口蹄疫に見舞われている家畜は、家畜という位置づけだけではなくて家族じゃないですか。その家族の命を国民のために提供して生活を支えているということを考えたら、やはりもう少し政治家として、さっき手を握ったとおっしゃったけれども、もっと、手を握って顔を見せて、私が来たから大丈夫だ、絶対再建できるようにしてあげるというメッセージをまず出すことの方が大事だったのではないかな、私はそう思うんです。
 そのことについて、見解をお願いします。
○赤松国務大臣 先ほどから申し上げているように、私自身は、どの時期にどういうことをしたらいいのか、どの時期にどんな対応が必要なのか、そういうことを総合的に判断しながら行動をさせていただいております。
 ですから、四月の二十日に対策本部を立ち上げる、直ちに二十三日に第一次の対策をとる。その間、野党の皆さん方からもいろいろな申し出がありましたよ。だから、そういうことも参考にしながら、三十日に第二次の対策をとる。その間、一定の地域に押し込むことができた、風評被害もない。しかし、その一定地域の三キロ以内では、残念だけれども、だんだん数は出てきた。特に六日、七日ぐらいから急激にふえ出した。そういう中で、私は、八日以降に早急に行こうということで、ほかの予定を切りかえて、そして直ちに宮崎県に飛び、第三次の行動として何をしたらいいのか、現地の希望は何ですかということをお伺いしてやってきたということでございます。
 それから、念のために申し上げておきますが、三十日から八日になぜ行ったんだという話がありますけれども、これも農林水産大臣として、JICAの農業支援がちょうど十月で切れるんです、それを延長するかどうか、これはキューバの話ですけれども。
 そしてメキシコは、EPAは五年前に終わったと言っていますが、それは実情を知らない人が言うことで、契約は五年前にしているんですけれども、農業支援の部分については積み残しがあるんです。それはもうことし決着しなきゃいけないんです。それの詰めの話をしてきて、ほぼ合意に至ってきたというのが今回の訪問の理由です。
 そして、コロンビアについては、ペルーの後の、もう今投資協定ができるかできないかのぎりぎりのところなんです。それができた後には今度はFTAに入るという前提のもとで、現地の大統領と私のもとで話を詰めてきたということで、決してこれは観光旅行でもいいかげんな単なる旅行でもありません。ちゃんとそれぞれの国々の、必ず大臣が行って決着をつけてこなければならない、そういう問題があったからそれをしっかりやってきたということですから、誤解のないように、その点はお願いします。
○長島(忠)委員 私は、外国の用務がどうだとか言っているわけじゃなくて、災害ですから、災害にやはり一番重きを置いてほしいというのが国民の願いじゃないですか、そう申し上げていることなんです。その議論は余りしてもしようがないんですが、例えば、その用務に副大臣をやって、大臣が顔を見せることは可能ではなかったのかな、私はそんなふうに思います。答弁は要りません。
 この災害を受けた農家に、先ほど議論がありましたけれども、五分の四は国費なんだ、五分の一はきちんと補てんができるような体制を組むんだ、特別交付税で見るんだという話をしましたよね。それで再生産が可能になるというふうに今は対策をお考えなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○山田副大臣 先にぜひ言っておきたいと思うんですが、今回、大臣が確かにその間いなかったんですが、絶えず私どもは大臣とは連絡をとり合っておりまして、私も一回、地元に行ってまいりました。その後もずっと、随時いろいろな情報は私どもに入ってきていましたので、それは宮崎の方に飛んでいって云々ということもあるんですが、蔓延防止という意味で、特にマスコミとかその他が現場についてきたり、いろいろな意味でのそういうところを私ども農水省のチームとしては非常におもんばかった。
 実際、本当に、消毒その他、例えば、発生した農家から、即、七十二時間以内はずっと、そこに通じる道路は消毒を徹底させるとか、いろいろな形で最大の対策をみんなに打っていただいてまいりましたから、幸いにして、先ほどから言っていますように、三キロ、ほぼ三キロの範囲内に今おさまっている。これはぜひ評価していただきたい、そう思っているところです。
 漫然としていたわけではなく、農水省を挙げてちゃんと、風評被害の防止も含め、万全の措置を大臣の指示のもとに我々はやってきたということを一言述べさせていただきたいと思います。
○長島(忠)委員 万全の措置をとられたと今御答弁がありました。私は違う立場ですよ、違う立場。今宮崎県は、家畜というものに大きな被害を受けた災害を受けている。私は、自然災害を受けた。万全な対策というのは、責任ある人がきちんと顔を見せてくれることもやはり万全な対策のうちの一つだと思うんですよ。わかっていただけませんか、そのことは。
 さっきから、私が行かなくてもとか、万全な対策をとったからとおっしゃるけれども、被災地とか被害者、あるいはこうやって被害を受けた農家の皆さんというのは、本当にわらにもすがっても生きていけない、可能性のないところにいるんだと私は思うんですよ。災害本部長がいつもそこにいてくれて、何をしなくてもいいとは言いませんよ、きちんとそこで陣頭指揮をしている、その姿勢だけで農家の皆さんというのは希望がつながるものだと思うんです。被災者の気持ちというのはそういうものだと私は思うので、さっきから非難しているわけではなくて、皆さんがしてきたことはその意識から少し外れていたんだから、これからは陣頭指揮をとってくださいよというつもりで私は言っているんですよ。私は小さな村の村長だから、とても農林大臣とか副大臣とかの立場ではないけれども、一人一人向き合ってあげなかったら、この農家の人たちを救うことは多分できないんじゃないかな、私はそう思うんですよ。
 だから、その覚悟を持ったら、三キロの中におさめたということ、たった今三キロの中でおさまっている、そのことについては消毒をしたと、評価をみずからされたわけだけれども、これから先、そのことを広げない、そのことは必ず約束できるということを、農家の皆さんに直接出向いて説明をしたり、状況をきちんと把握することの方が私は大切なのではないかなというふうに実は思っています。顔を見せるということも、被災者や県民や住民にとってはやはり大きな安心につながるんだということだけはせめてわかっていただきたいな、私はそう思います。
 実はきょう、木材のことについて少し質問をしようと思ったんですが、もう時間がほとんどなくなってしまいました。
 私は、今回のこれは、私のところも、宮崎県は遠いから安心していられる、そんな状況ではなくて、日本じゅうで牛や豚を飼っている人たちが宮崎県に注目をしています。というのは、自分たちに何かあったときに、宮崎県の農家が救ってもらったようなことを我々がしてもらえるんだったら、これから我々は牛や豚を飼って家族を養って地域を守って生きていくことができるけれども、宮崎県の農家が生産を再開できなくて、生活を継続することができなかったら、我々は牛や豚を飼ってこれから地域や家族を守っていくことができるのかという大きなメッセージにつながるんだ、私はそう思うんです。
 だから、そういう意味で、やはり大きな対策をお願いしたい。前例にとらわれない、今の法律や制度ではないところで、救うという意思をやはりきちんと発信していただきたい。そのことについて御見解だけ求めたいと思います。
○山田副大臣 今お話もありましたが、今大事なことは、畜産農家が、本当に万全の対策を今とっていただいておりますが、今回、口蹄疫の、被災された方々、その方々が再び畜産を、牛、豚を飼っていくことができるように、いわゆる再生できるように、前例にとらわれず、あらゆる措置を図っていきたい、そう思っております。
○長島(忠)委員 私の予定の時間が間もなく参りますので、最後に、牛や豚といった命、命を守ってあげる、これ以上被害をふやさない、命を守ってあげるということが畜産農家にとって大きな勇気につながるんだと私は思うんです。
 私も実は牛を飼っております。牛は家族だと思っています。そして、その家族の命を分けてもらって我々は命を長らえているんだ、私はそう思うんです。だから、大切に我々は生きなければいけないし、牛や豚を大切にしなければいけないんだと私は思うんです。
 もうこれ以上、口蹄疫によって牛や豚の命が奪われることのないように、先ほど万全な対策とおっしゃいましたけれども、私は、ぜひ、お願いとして、顔を見せてやって、農家の皆さんの手を握ってあげることも大きな勇気につながるということをわかっていただいて、対策をとっていただきたいと御要望を申し上げて、私の質問を終わります。
 木材の質問ができなかったことをおわび申し上げますが、次の機会があったら質問をさせていただきます。
 ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、坂本哲志君。
○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
 私も、木材利用促進の法案に対しての質問をしたいと思いますが、口蹄疫につきまして余り口やかましく言うつもりはなかったんですけれども、今、お二人と、そしてやはり大臣の答弁が、これだけやっているから何だというような形の、非常に官僚答弁と同じような答弁に聞こえます。だから、隣県として、一言苦言と、そして要望を言わせていただきたいと思います。
 三キロ以内に抑えているといっても、七十例近く発症例が出ている、七万頭以上の殺処分になっている。隣県にとっては大変な圧力なんです、大変な圧迫なんですよ。ですから、このことはやはり緊張関係をきちっと持っていただきたいというふうに思いますし、熊本あたりから言わせると、初動対応の甘さ、これがやはり七万頭まで殺処分せざるを得なかった、こういうことにつながったということで、みんなそういうような認識を持っております。
 そして、ある農協長が私に一枚の写真を怒りを持って、持ってきてくれました。びっくりしました。私も愕然といたしましたけれども、四月二十七日、東国原知事が農林水産大臣に陳情に来られました。発生から七日間たっております。熊本も鹿児島も大分も必死になって防疫態勢をやっておりました。陳情と同時に、これは江藤先生には申しわけないんですけれども、宮崎牛のギフトセットを農林水産大臣に渡して、そしてお互いがにっこりして、そしてこのように写真におさまっている。こういうのを隣県が見せられたら、大体、これは緊張関係はあるのか、この口蹄疫の中で、どれだけ事の重大さがわかっているんだろうかというような気がいたします。
 売り込みか何か知らないけれども、こういうのを持ってくる知事も知事だけれども、それを笑顔をもって受け取る農林水産大臣も農林水産大臣だというふうに思います。先ほどお二人の方が質問されました、ぜひ、ここは緊張関係を持って、そういう気持ちでやっていただきたいと思います。
 それから、先ほど、家畜疾病経営維持資金、宮崎県内全部に適用するようなことを言われました。これは宮崎県も鹿児島県も熊本県も大分県も全部一緒です。市場は全部閉まっています。あるいは出すこともできません。ですから、これは要望です。答弁は要りませんけれども、家畜疾病経営維持資金、これは隣県の、市場が閉まっている県にも全部適用させていただきたいというふうに思います。
 口蹄疫の問題はこのくらいにしたいと思います。
(後略)

○筒井委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 時間をいただきましたので、質問させていただきます。公明党の石田祝稔です。
 きょうは、本来、木材の法案でありますが、私も口蹄疫の問題について少々触れさせていただきたいと思います。
 私も、先月の二十九日と昨日、宮崎にお邪魔させていただきまして、いろいろと現地のお声も聞かせていただきました。二十九日は山田副大臣がたまたま同じ飛行機でありまして、きのうは大臣と一緒だということで、私たちも行ったんですけれども、どうしてもこれは、政府が来た、大臣、副大臣が来た、それには皆さんが御期待をなさっているなということは、私たちの立場からいったら少々残念ではありましたけれども、それだけ待っていた、こういうことではないかなと私は率直に感じました。
 大臣にまずお伺いをしたいんですが、前回の十年前、このときは、口蹄疫が出たということで、一番最初の、二十二日だったでしょうか江藤先生が質問で、そのときには大変な決断をして封じ込めた、OIEからも、日本の対応はよかった、こういう評価もあったというお話がありました。
 大臣、前回はこの宮崎では三十五頭でした。今回七万を超えた。これは大臣に率直にお聞きをいたしますけれども、この差は一体何だったんだろうか。これから原因等は当然究明されるんでしょうけれども、三十五頭と、七万を超える、まだ終息が見えていない。ここは政治の立場として、また農林水産省を預かる大臣として、この違いは一体何か。これは大臣、今の率直なお気持ち、お考えで結構ですから、ちょっとお述べいただきたいと思います。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 平成十二年のときは、たしか北海道が千頭を上回る例が出たのではないか。ちょっと今資料がありませんからあれですが、私の記憶では宮崎よりもむしろ北海道が多く出た。それからもう一つは、牛が中心で出た。
 豚は、今回も当初心配をしておったわけですけれども、豚が出た場合は、うつるまでは時間がかかるけれども出たときは、ばっと一気に、伝播力が非常に強いということで、今回は頭数でいえば圧倒的に豚の数が多いわけで、そういう意味では、一定地域に封じ込めているとはいえ、そこで爆発的な蔓延をしているというのが今の状況ではないか。
 では、その違いは何かということですけれども、これは正直言って、今の私の段階ではわかりません。この後、疫病の小委員会がございますので、この先生方に専門的な立場から今分析をしていただいておりますので、一体、感染源は何だったのか、どこにあったのか、どうしてこういう広がり方をしたのか、これはもうずっと検証していくということになります。残念ながら、平成十二年のときの感染源も当時としてはわからなかったということで、今回は何とかそれを突きとめられるように努力をしてみたい、このように思っております。
○石田(祝)委員 この問題については、今回はまだ宮崎においては終息をしていない、こういうことですから、一体どこまでこれは広がっていくか、もう大変な御心配があるわけであります。
 前回は牛だけで三十五頭。今回は、きのうの段階ですか、牛だけで五千七百六十頭。これだけの差があると、やはりどこかで対応に違いがあった。はっきり言えば、違いがあったというよりも、今回は対応がまずかったと。どこのだれがということでは今は言えないと思いますけれども、これは皆さん、農家の方からすると、前回と比べてなぜ今回はこんなになっちゃったんだ、こういうお声があるのは当然だと思います。
 ですから、ここのところは、これ以上広げないというのが一番だと思いますけれども、これはやはり、農林水産省としても責任は感じてやっていただかなきゃいけないんじゃないのか、こういうことを私は率直に思います。
 それで、もう一つお聞きしたいんですけれども、山田副大臣、二十九日に行かれましたね。副大臣はそのときに、都農町、川南と、それから、そのときにはえびのが出ておったと思いますけれども、その現地にお行きになりましたか。
○山田副大臣 現地の町役場まで行こうかなと考えたんですが、よくよく考えますと、先ほどから長島委員も責任者が顔を出してくれれば安心するんだとか言っておりましたが、今回の口蹄疫は空気でも感染する、そう言われているぐらい非常に感染力の強いウイルスだということもあって、私どもが行きますと、マスコミ関係者とかいろいろな形でいろいろあるんじゃないか、そういう配慮も実はありまして、今回、できるだけ現場には私ども行かないようにして、情報を収集させていただき、いろいろな形で連絡、対応させていただいたということでございます。
 それで、初期の対応についていかにもちょっとミスがあったかのような言い方をされておられるようですが、私は、今回、初期の対応は万全であったと思っております。
 と申しますのは、前回の教訓から、こういった口蹄疫の特定疾患については既に指針ができておりました。四月の二十日の朝、未明に発生がわかったとき、その日の九時には既に対策本部を設けて、その日のうちに移動制限を決めて、そして宮崎県の対策本部に専門家の防疫員を派遣して、ずっと、制限等々については、発生したところの通路に行く道はすべて消毒等を徹底させて七十二時間はそれを続けておりますし、今でも二十四時間やっているところの検疫所だけでも四十カ所に上ると思っております。
 大変な御苦労を今皆様方がやって、本当に万全の一生懸命の防疫態勢をやっているところでして、それで何とか、今のところは幸いにして制限区域内にとどまっている、そう思っているところで、なお一層しっかり、これがこれ以上広がらないように頑張らせていただきたい、そう思っているところです。
○石田(祝)委員 副大臣、一生懸命やっているというのは、それはいいと私は思いますよ。万全というのはどうですか。それは、宮崎へ行ってそういうことをおっしゃられますか。そうしたら、では前回は何で三十五頭で今回は牛だけで五千頭を超えているんだ、それは説明つかないじゃありませんか。
 全力を挙げてやっている、そのことは私はよくわかりますよ。毎日毎日、連休中も農林水産省の方から電話を私いただきました、夜の十時とか十一時ごろ。結局、そのころまで仕事をなさっている。そして、私でもその時間に電話をもらって、〇三の番号が来たらどきっとしますよ、ああ、また出たのかと。私たちは野党の立場でありますけれども、これはそういう気持ちではやっておりました。
 私も、二十九日に川南、そして昨日はえびのと、現地へ行きました。副大臣の言い方をすると、私たちは行ってはいけなかったかもしれませんけれども、これはそうじゃなくて、もちろん農場には行きませんよ。やはりそこへ行って、首長さん、町長さん、市長さんにお伺いをして、そうしたら、それぞれ、よく来てくれたと。いろいろなお話を聞きました。本当に熱心に取り組んでいる。
 これはこれから、あさって、しあさってと質疑がありますから、またその中でも、お聞きしたことをお話しし、私かまたは行った人が聞きますけれども、やはり町役場なり市役所なりへ行って、町長を激励する、市長を激励する、状況を聞く、私はこういうことが大事だったんじゃないかなと。
 ですから、何事も遅過ぎるということはないと思いますから、大臣もきのう行かれて、それはもう行かないより当然いいわけですから、行っていただいたんですが、川南かどこかにも足を運んでいただいたらよかったんじゃないかなと。皆さんに来ていただくということは、それはそれで大事でしょうけれども、やはり現地に足を運ぶ、そこでその首長さんのお話を聞くということも大事じゃなかったのかなと、残念な気もちょっといたしました。
 実は、えびのまで行くと宮崎から片道一時間以上かかります。一時間以上かかって行って、三十分ぐらいいろいろなお話を聞いて、その市長さんが、きのう行ったときは二例が出ているときでして、もうこれ以上は絶対に出したくないんだ、こういうことで、移動制限区域内の、その中の当該の地域の道も一カ所だけ出入りをするようにして、あとは全部封鎖をしました、そういうお話をなさっておりましたが、残念ながらきのうまた出てしまいました。そういう気持ちも私も感じながら帰ってきたんです。
 それで、具体的なことをお伺いいたしたいと思いますが、現地でこういうお声がありました。そういう患畜が出たりしたところは、殺処分をした後も、終わった後五年間はもう牛を飼うことができないんだ、豚も飼うことができないんだ、こういうお話を現地でお伺いいたしまして、私も、まことに申しわけない、恥ずかしい限りですが、ああ、そういうことがあるのかなと、こういうことをお聞きして帰ってきたんですが、意外とこの話が蔓延しているんですよ。だから、今回、患畜、疑似患畜を殺処分しても、もう五年間は何もできないんだ、こういうお話をなさる方が複数いらっしゃいました。
 これについて確認をしたいんですが、これは一体どういうことでしょうか。正確なところをお願いします。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 こういう被害が起きたときは、そういういろいろなうわさ話みたいなものが先行してしまうということがありますので、ぜひ委員にも、そういった意味では、今度は逆に、しっかりと説明をしていただければというふうに思いますが、防疫指針に基づいて、殺処分終了後、少なくとも週に一回的確に消毒を実施した上で三週間経過し、他の周辺農場で発生がなければ、移動制限が解除され、新たな家畜の導入は可能でございます。口蹄疫が発生した農場が五年間使用できないというような事実はありません。
 さらに、農林水産省は、発生農場の経営再建を円滑に進めるために、正しい情報に努めてまいりたいというふうに思っています。
 なお、患畜の埋却地については、蔓延防止のため、家畜伝染病予防法に基づいて、三年間の発掘が禁止されております。
 以上でございます。
○石田(祝)委員 このことは、五年間というのは複数の方からお話がありましたので、広く、ある意味でいえば間違った情報が、では、おれのところはそういうのを出したから、五年間はできないんだ、こういうお話がありました。いろいろな形で、直接役所の方に上がっていないかもしれませんが、我々が行ったからそういう話が出てきたというふうに思いますので、これについては、そんなことはない、こういうことはぜひ徹底をしていただきたいなと思います。
 あと、今、畜産農家の方がどんな思いかということが、私も、ちょっとぐっと胸にくるようなお話がありました。それは、例えば自分のところの牛、豚が口蹄疫にかかるということ、それで人に迷惑をかけるんじゃないか、これを物すごく心配をなさっている、悩んでいるんですね。だから、毎日毎日、牛、豚を見るんですけれども、自分のところから出したら人に迷惑がかかるという思いで、自分のところにいる牛、まだ元気なんだけれども、これをいっそ処分してもらいたいぐらいの気持ちでいる方がいるんですね。
 これは、宮崎県の県民性かもしれません。本当に人のことを心配する、自分より人のことを考える、優しい県民性かもしれませんが、そういう思いでいるんですよ、農家の方は。そのところは私たちがわかってあげないと。何とか十キロの中で、三キロで封じ込めているから今はまあまあだ、こういうことでなくて、畜産農家の方がそういう思いでいらっしゃるということも、私はそのとき初めてお聞きをしました。
 本当だったら、当然、牛はお金になるわけですよね。終息をしたら、それをまた市にかけてやれるわけです。しかし、元気なときに、自分のところから万が一出たら、ほかの人に迷惑がかかる、迷惑をかけたくないと。今は何でもないんですよ、はっきり言って。患畜にもなっていない、疑似患畜にもなっていない。牛を殺処分しても、これははっきり言えばお金は出ないわけでしょう。それでも、そういう気持ちを持って日々過ごされている、こういうことも私はお伺いをいたしまして、本当に、畜産農家の方はそういうお気持ちで日々お過ごしなのかなと、正直に、私も胸にぐっとくる思いがいたしました。これは何としても私たち、町とか市とか県とかいっても、最後は国なんですよ。国がやはり責任を持ってやるということが一番大事なことだと僕は思う。
 ですから、私からすればもうちょっと早く行ってもらいたかったんだけれども、大臣がきのう行って、相当なお約束をなさってきた。ぜひ、おっしゃったことは実行してもらいたい、こういうふうにも私は思います。
 それで、大臣、どなたかがお聞きになりましたけれども、きょうの報告の中で、きのう、大臣が知事に会った後、私も知事にお会いをしまして、大臣からこういうお話もいただいたんだよということもございまして、相当踏み込んだことをおっしゃったなと正直思ったんですが、残念ながら、これに余りそういうことが書かれていないんですね。これは大臣、きのう宮崎県へ行かれておっしゃったことが全部入っておりますか、この中に。
○赤松国務大臣 御答弁する前に、ちょっと訂正をさせてください。
 先ほど、突然の御質問だったのでうろ覚えでお話ししましたが、北海道の頭数は、私、千頭を超えたんじゃないかと言ったんですが、七百五頭でございましたので、これは訂正をさせていただきます。
 それから、きのうお話を申し上げたことは、例えば、獣医を今、応援隊も含めて、五十人を倍増するとか、あるいは十人の職員を百人にするとか、それに加えて、農水省のOBでいろいろな関係団体に行っている人たちもいます。そういう人たちも、こういう畜産業界が大変なときなので、ボランティアでぜひ応援に入りたいと言っていただいている方も何十人かお見えになるものですから、それは大変ありがたいことなので、そういう人たちも、一応まとめ役は農水省がやりますが、含めて応援に行かせますよというようなことを知事に話してきました。
 それから、先ほどの、例の五分の四、残りの五分の一、共済に入っていない場合。それから豚の場合も、実は、牛の場合はほとんど五分の一に共済金が充当できるんですが、少し価格差があって、必ずしも、共済に入っていても全部カバーできないということがあるものですから、私が知事に申し上げてきたのは、生産者が困っているんだから、県がそれをとりあえず全部立てかえなさい、そして、その分は、ちゃんと五月七日の閣議で総務大臣も発言して、それは特交で補てんをすると言っているんだから、安心してそれをやりなさいと。これは五分の四の話ばかりじゃなくて、二分の一の、いわゆる埋めるときのあれだとか、そういうのも全部、特交でちゃんと後で裏保証するんですから、積極的にやってくれというようなことを申し上げてきました。
 ですから、そのことは必ずやります。
○石田(祝)委員 これは多分、知事のところに横にいた方も全部ノートしていると思いますから、ぜひ、おっしゃったことは実行をお願いいたしたいと思います。
 もう一点、きょう、大臣のこの御発言を僕は別に揚げ足をとるわけじゃないんですが、肉は食べても大丈夫だということは言っているんですけれども、そんなものは市場に出ていないんですよ、肉は。そこのところが、もう一つはっきりおっしゃっていただいた方がよかったなと。要するに、口蹄疫は人にうつらない、また摂取しても人体に影響はない、こういう話がありますけれども、そういう肉は出ていないんですよ、市場に。
 これは、私はお聞きしていて、ちょっと大臣としてはどうでしょうか。そんなものは出ていないということが大前提なんですよ。ですから、ここのところは、またどこかで御訂正をなさるか、つけ加えていただきたいな、これはひとつお願いをいたしたいと思います。
 あと、きょう、総務省、小川さん、来ていただいていますね。大臣がそこまでおっしゃっているのを私が総務省に確認するのも、これは大変妙な話ですけれども、まあ地方交付税を担当していますから。
 政務官、そういうことでこれはよろしいということですね、もう全部出すんだと。要するに、心配しているのは、いざお金をもらう段になったら、制度がないだとか仕組みがないだとか言われるんですよ、こんな話がありましたので、これについては、もう大臣のおっしゃるとおり、また総務大臣がおっしゃったとおり、地方がやったものについても今回のことについては全額出すんだ、こういうことで御答弁をお願いします。
○小川大臣政務官 お答え申し上げます。
 今、この段で、割合を含めて明言を申し上げるというところにまでまだ調整は至っておりません。
 しかしながら、過去にも各県のお取り組みなりを全力で支援してきた経過がございますので、今回の農林大臣の御意向なり、また総務大臣も大変な意気込みで取り組んでおりますので、今委員からいただいた趣旨をしっかりとお預かりいたしまして、具体的な検討を早急に進めさせていただきたいと思っております。
○赤松国務大臣 これは正式に閣僚懇での発言ですから、このとおり総務大臣は読まれておりますので、これを私が代読させていただきますが、口蹄疫対策への取り組みについて、宮崎県で発生した口蹄疫につきましては、宮崎県はもとより、九州全域の関係地方公共団体において、家畜の移動制限や消毒薬の散布等、蔓延防止に全力で取り組んでいるものと承知している、ただいま官房長官の御指示があったとおり、口蹄疫対策は、政府を挙げて対処する必要があることから、総務省としても、地方公共団体が負担することとなった経費については、特別交付税を措置することにより、地方公共団体が万全の対策を講ずることができるよう、適切に支援してまいりますということで発言をされております。
 それで、先ほど、エレベーターの中で原口さんに会いましたので、こういうことで具体的に僕も現地で約束してきているから頼むぜという話を実はしました。ただ、彼は非常に慎重な男でございますので、過去の経緯ではこういうふうでとか、改めて、インフルエンザについては書いてあるんですけれども、〇・五とか〇・八とか、口蹄疫云々については書いていないものですから、私は、そんなものは金さえつければ財政措置はできるという判断ですし、総務大臣の方は、省令あたりでもうちょっときちっと書いてやった方がいいんじゃないかという考えですし、場合によっては法改正をしてでもということですけれども、これは詰めの話ですから。
 私どもは内閣として、万全の体制で、地方公共団体が補てんした分は、それはちゃんと補うんだということを、私が責任者ですから、私が言い切ってきているんですから、これは御信用いただきたいと思います。
○筒井委員長 小川政務官、補足ありますか。
○小川大臣政務官 ございません。
○石田(祝)委員 小川さん、あなた、何しに来たわけ、そうしたら。総務省の答弁を求めたら、政務三役が来ますと言って、答弁してもらっているでしょう。大臣の言っていることと全然違うじゃないの。あなたは首振って、そうじゃないというふうに言いますけれども、だれが聞いたって、これは原稿を起こしたらわかりますよ。小川政務官の話は、ああ、これはこれからどうなるかわからないなと、これはだれが見たって、日本語がわかる人だったらそうなりますよ。
 大臣はさすがにそうおっしゃったから、私は、これは当然農林水産大臣にお聞きをしてもいいんですけれども、しかし、地方に対するお金というのは総務省がやるわけですから、それで確認をするよということで来てもらっているんですけれども、土佐弁でいったら、煮えたか沸いたかわからないような答弁なんだよ、これが。ですから、あなたは一体何をしに来たんですか、こういうふうに申し上げたいんです。同じ四国だから余り言いたくないんだけれども。
 もう一回はっきり、総務大臣の先ほどのことを聞いて、総務省を代表して、要するに、九州の宮崎に心配がないということを言ってあげないと、お金のことを心配して打つ手が打てない場合があるんですよ。例えば、えびの市に僕は行きました。今でも、現時点でも二億円かかっているらしいんですよ、対策に、余分に。余分とは失礼ですけれども。これがなかりせばかからなかったお金が、二億今かかっています。これは現時点の話です。
 だから、それで市長がばんとやられているから今動いていると思うんですけれども、これが、お金が出るかどうかわかりませんと。今、首長さんは何をやっているかというと、専決でやっているんですよ、全部。議会が開いていませんから、専決処分で全部やっている。否定されたら、これは全部首長の責任になるんですよ。
 ですから、私がそこで申し上げたのは、お金のことを心配して打つ手がおくれたら大変なことになるから、これはもう絶対国が何とかしてくれるから、とにかくやるべきことはどんどんやってくださいと、私は野党だけれども勝手に言ってきましたよ。
 ですから、これはぜひ政務官、もう一度ふんどしを締めて答弁してください。
○小川大臣政務官 委員の大変強い意気込みを踏まえてのお尋ねに対して答弁が不十分であるとすれば、非常に私自身も不本意でございますし、今大変な苦心を現地で関係者が重ねていることを思えば、よりはっきりしたことを申し上げたいという思いはやまやまでございます。加えて、農林水産大臣のこの御意向を加えて考えれば、より本当にはっきりと明確に申し上げたいのはやまやまでありますが、制度設計を責任を持ってやらせていただく以上、さまざまな、共済制度との兼ね合いとか、いろいろなことも考えなければなりません。
 いずれにしても、農林水産大臣のこの強い御意向を受けて、総務省としても全面的にバックアップする姿勢で全力を尽くしたいと思っております。
○石田(祝)委員 やまやまというのが二回出ましたが、そういうことでありましたら、大臣、私たちも現地へ行って、家畜伝染病予防法の中での五分の四というのをもう五分の五にしてくれ、法改正が必要じゃないかと。これは与党の皆さんも当然反対なさらないと私は思いますから、私からしたら小川政務官は少々まだまだ残念な答弁でございますので、これについては与党、野党を超えて、法改正が必要であれば法改正をする、そうした方がすっきりしますよね。それはまた考えていきたいというふうに思います。
 赤松大臣が現地へ行かれて、また国会で御答弁をなさいましたので、ぜひ、申しわけないんですが、来年の特交の時期まで大臣がやっているかどうか、これはわかりませんわね。もう重大な引き継ぎ事項としてそのときはこれはやっていただかなきゃいけない。政権がかわっているかどうかというのは、これはわかりませんけれども、少なくても行政の継続性、そういう中で、大臣があえて総務省の答弁をとって発言をしていただいた、これについては重く受けとめたいというふうに思います。
 時間がもう一分ぐらいしかありませんので、最後に、木材の法案についてお聞きをしたいんです。
 木材の問題について、それぞれ与党、野党でいろいろと知恵を出して、いい法案をつくろう、こういうことで取り組んでまいりました。最後に衆法の提案者にお聞きをいたしますが、木材の自給率について、前にもお聞きをしましたが、やはり自給力と自給量というのと、国民から見たら自給率が一番わかりやすいんですね。それがストレートにちょっと入らないようなことになっているようでありますが、これについて衆法提出者にお伺いをいたします。

 次回は、来る十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十分散会

第174回国会 総務委員会 第17号 平成二十二年五月十一日(火曜日)   午前十時開会
○外山斎君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。
 本日は独立行政法人の通則法の改正に関して質問をさせていただきますが、まず冒頭、少しだけ時間を使わせていただいて、今、私の選挙区でもあります宮崎県で発生した口蹄疫に関して、これは特別交付金にも関連するものでありますから、質問をさせていただきます。
 宮崎県で先月の四月二十日に口蹄疫にかかった牛が確認をされ、それ以来被害は拡大をしております。発生から既に三週間がたっているわけでありますが、全然終息する様子はありません。現在、最新の数字では、六十八例の発生が確認され、殺処分される家畜の数が七万六千頭以上にも及んでおります。口蹄疫が発生し、パンデミック寸前とも言われる様相を呈しているわけでありますが、日本の畜産業の存亡の危機だと言っても過言ではないと思いますし、これは宮崎県のことだけではなく我が国全体にもかかわる問題であります。
 この現状に対して、国も農水省の方々にも連休中もいろいろ動いていただいて、大変な御尽力をいただいているところでありますが、また、宮崎県の選出の与党議員で、発生してから次の日に地元で聞き取り調査をやり、その次の日に赤松農水大臣に面会して要請をさせていただきましたが、すぐに対策を打っていただいたことにも感謝を申し上げます。しかしながら、感染は止まっておりません。むしろまだ拡大をしているわけでありますが、国、農水省にもやはり迅速な対応、また効果的な対応というものをなお一層打っていただけるようお願いを申し上げます。
 重要な課題でもあり、国でもある農水省の現状と、あわせて地方の取組への支援の必要性ということから、農水省と総務省の方に質問をさせていただきます。
 まず、今回の口蹄疫は十年ぶりの発生であり、前回の十年前の発生が実は九十二年ぶりでありました。北海道での一戸と宮崎県で三戸、三十五頭のみの被害で十年前は終息したわけでありますが、先ほども申し上げたとおり、現在六十八例、七万六千頭以上とけた外れの被害が出ております。
 まず、四月二十日に発生が確認された後、与党の議員で調査に出向いて赤松大臣に申入れをしたわけでありますが、その場で大臣が二名の担当局長にいろいろと指示をしていただいて、また迅速な対応をしていただいたわけでありますが、こうした対応にもかかわらず、一部、特に野党の方からの声として、十年前の対応よりも遅いのではないかという声が出ております。
 そこで、ちょっとお聞きしたいのですが、十年前と比べて今政府が取っている対応というものはそんなに遅いのでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) 外山委員の御質問にお答えいたします。
 私も、一部十年前より遅いんではないかと、そういう声があるということは承知いたしておりますけれども、遅いということは決してないと思っております。
 今回の口蹄疫防疫指針というもの、これは平成十六年にできているんですけれども、現在はこの防疫指針に基づきまして具体的な防疫対応を定めて、防疫指針に基づいて迅速に対応しているところでありますけれども、十年前はこういったものがありませんで、また、御指摘のとおり九十二年ぶりの発生ということもあって、県と国がかなり綿密に連絡を取り合いながら手探り状態でやってきたと、そういった状況があったと思います。そういう中で、連絡が今回は前に比べて少ないんではないかと指摘がありますけれども、こういったしっかりとした防疫指針に基づいて迅速に対応しているということであります。
 そして、これは今回、四月二十日の未明、二十日の午前零時ぐらいに発生が確認されたんですけれども、同日午前九時に赤松農林水産大臣の招集によって、大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を開催いたしまして、移動制限や殺処分等の防疫措置の的確な実施を指示させていただいております。
 さらに、その日のうちに農林水産省から宮崎県防疫対策本部に防疫専門家を派遣しておりますし、こういったこととともに、県も、県と国連携をして迅速に対応しているという状況であります。
 御指摘のとおり、ただ、現在六十八例目、七万六千頭の殺処分ということで、かなり発生が続いておりますけれども、やはり前回に比べて今、しっかりとした科学的分析がなければ断定的なことは言えませんけれども、典型症状がかなり現れていると。前回は余り典型的な症状がなかったんですけれども、かなり感染力が強いんではないかということもありまして、今専門家から成る牛豚等疾病小委員会においては、やはり厳格な消毒や厳格な殺処分、今の防疫措置を徹底すべきとの意見でありまして、それに基づいて適切に行っているところであります。
 いずれにいたしましても、引き続き御助言をいただきながら迅速かつ的確に防疫措置を実施して感染拡大防止に万全を期していきたいと、そんなふうに思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございました。
 連携という問題がありましたが、今、国も県も、そして発生した各自治体も、またJAさんもそれぞれ対策本部を立ち上げております。
 先日、与党の国会議員でJAさんにお伺いしたときに一つ言われたのが、横の連携が、対策本部同士の連携が取れていないということを言われました。それはどういったことかというと、発生した自治体から消毒などに関してはJAさんの対策本部に要請があるけど、何かいろいろ情報が対策本部の方からJAの対策本部に伝わってこないということがあったんですが、これらの各対策本部間の連携というものについてはどのようになっているのでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) 今も申しましたとおり、国段階におきましては口蹄疫防疫対策本部、それから実動部隊として口蹄疫防疫対策本部幹事会というものもありまして、ここの部局と県対策本部それから現地対策本部、かなり綿密な連携を取らせていただきまして、例えば専門家の派遣、指導、助言、それから対応の指示、報告、かなり定型的に連携が取れるような体制になっております。
 ただ、なかなか国の出した方針ですとか対策が現場において浸透していないというそんな声もありまして、これにつきましては、やはりしっかりと更なる連携を図りながら、今適時適切に現場段階に届くように、なお一層連携を密にしてこういった声をしっかりと現場に浸透させる、そういったことは今まで以上にやっていかなければいけないと思いますけれども、更に加えまして、関係省庁との連携も相当綿密に取らせていただきまして、総務省さんもそうですし、今回はやはりかなり大掛かりで機動力も必要ということで、自衛隊の方、防衛省の方にもお願いをいたしまして、自衛隊の派遣ということも、実質的には県が依頼をするんですけれども、国段階でも連携をさせていただいて、事前にいろんな調整をするといった、そういったこともさせていただいておりますので、必要な対策、これからもありましたら、しっかりとさせていただきたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 特に、やはり発生した地元自治体、そしてまた現場で部隊を出しているJAさんなんかの対策本部との連携を密にしていただきたいと思っております。
 今回の口蹄疫の発生後、家畜伝染病予防法に基づいて蔓延防止のための防疫措置がとられているわけでありますが、発生農場を中心に家畜の移動制限が設定され、移動制限区域内からウイルスが拡散することを防止するために、家畜関係車両などの区域境界付近の消毒ポイントにて消毒することが行われております。これらは農水大臣が定めた口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づいて実施されておりますが、これらの防疫措置が有効であったのかという点については、これまで感染が拡大していることからも、今後検討が必要なのではないかと思っております。
 宮崎県内での一連の口蹄疫が、四月二十日に一番最初の発生例が確認されてから発生件数が止まらず、現在六十八例目の疑似患畜の確認が公表されるまでに至っており、宮崎県内では、ここまで拡散したのは防疫措置に問題があるのではないかという声もあります。
 消毒ポイントでの消毒の方法は、一般的には車のタイヤ回りを、足回りを中心に消毒液を散布しておりますが、口蹄疫ウイルスは空気感染するものであり、単にタイヤ、足回りだけでなく、車全体を消毒するといった十分な防疫を取らなければならないのではないかと個人的には思っております。
 消毒ポイントを通過する車両の消毒に関しても、大体が家畜関係の車両だけが消毒されて、一般の車両は消毒されておりません。そしてまた、仮に一般の車両を消毒するとしても、自治体によってはタイヤ回りだけ、足回りだけを消毒したり、ほかの自治体によっては車全体を消毒したりと、対応がばらばらなのではないかと個人的には思っておりますが、防疫指針には車の消毒方法までの細かいマニュアルはなく、家畜伝染病予防法施行規則にもこうした記述はないとのことですが、自治体によって防疫のやり方がばらばらなのは私はこれは問題があるのではないかと思っております。
 感染力の強い病原体であるので、徹底した防疫措置と細かい消毒方法まで含めた指導が必要であると考えますが、現在行っている防疫措置並びに細かいマニュアルの作成を含めた今後の蔓延防止対策の検討など、消毒などを実施する地方自治体への十分な指導も含めて必要であると思いますが、農林水産省の見解を聞かせてください。
○大臣政務官(舟山康江君) 委員御指摘のとおり、残念ながら現在も感染が拡大していると、また今日も確認一件、六十八例目が確認されましたけれども、拡大しているという状況にあります。ただ、そういう中で、感染の防止のためには、やはり現行の防疫措置を徹底すべしだと、そういう専門家の声を踏まえて、今の対策を徹底していきたいと思っております。
 そういう中で、今御指摘の消毒ポイントの消毒方法ですね、この細かい方法までは確かに御指摘のとおり国の防疫指針には載っていませんけれども、実は宮崎県が既にマニュアルを作成してあります。かなり細かく、例えば車両の消毒に関しましても、家畜運搬車と飼料運搬車に分けて方法を記載しておりまして、そこは県統一的に対策が取られているというふうに思っております。
 具体的に申しますと、家畜運搬車に関しましては車両全体、それから飼料運搬車については、バルクで閉鎖的になっているものは全体に消毒できるんですけれども、ただほろを掛けたようなものであれば、もう全部消毒してしまうと中のえさが薬剤に侵されて使えなくなってしまいますので、例えばそういったものについては車両のタイヤですとか車底を中心に消毒するなり、かなり細かくマニュアルに基づいて対応しております。
 そしてまた、この消毒剤散布につきましては、これも相当早い段階から措置を発表させていただきましたけれども、宮崎県及び大分、熊本、鹿児島、隣接県において全額国庫負担によって消毒剤散布するということをさせていただいておりますし、今消毒ポイントにつきましても随時増やさせていただいておりまして、今六十二か所、そのうち一般車両を対象としているところもありまして、かなり細かく消毒をさせていただいております。
 またさらに、国から提案させていただいているんですけれども、幹線道路では散水車によって消毒剤を散布する等、より細かい対応をしておりますし、なかなかこれだけでは収まらないという現実を踏まえると、足りないんではないかというおしかりもあるかもしれませんけれども、いずれにしても、こういった防疫措置をまずは徹底してこれからも行っていくという、こういうことで何とか感染を食い止めたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 是非、防疫を徹底していただいて、感染防止に取り組んでいただきたいと思っております。
 今回の口蹄疫の対応に関しては、消毒のことも埋却のことも、宮崎県や関係自治体の方たちが懸命に取り組んでいただいております。また、経営支援についても、生活再建支援などを含め、宮崎県や関係市町村が、厳しい財政ではありながらも地域住民にできる限りの支援をしようと独自の予算を組んだりまた検討したりしております。宮崎県を始め関係自治体が人的にも費用にしても莫大なお金を掛けて対処することについては、今回は自然の大規模災害のような口蹄疫であり、特別交付金を含めて特段の配慮をしていただきたいという声が東国原知事の方からもありました。
 昨日、赤松農水大臣に宮崎に入っていただいて、発生した自治体の首長さんなんかともいろいろと意見交換をされたわけであります。その中で、発生した自治体の首長さんから、一番心配されるのは、特交で措置をしていただけると言われても、もし掛かった経費よりも特交の額が少なかったらそれは困るんだということを、そういった意見も言っていただいて、その際に赤松大臣は、そこは心配することはないとは言われました。
 しかしながら、特交に関してはこれは総務省の案件になりますので、総務大臣としてはどのようなお考えであるのか、そこをお聞かせください。
○国務大臣(原口一博君) 外山委員にお答えします。
 外山委員は、口蹄疫が発生した直後、私の元を訪れてくださいまして、政府としての万全の政策をお求めいただきました。また、首相補佐官始め副大臣、多くの者が、大臣も入りましたけれども、現地入りをしています。
 そこで、総務省といたしましては、まずは、今委員がおっしゃったように、地方公共団体が負担することとなった経費については特別交付税を措置する。そして、地方公共団体が財政の不安なく万全の措置を講じられるように適切に支援するようにという指示を、外山委員から御指摘を受けてすぐしたところでございます。
 また、殺処分の損失補償の基本的な考え方についても、殺処分の補償を全額国と県で面倒を見ると言えば農家も安心されると思います。これもう本当に、私も近くに畜産農家、友人がいますけれども、一番小さなウイルス、これが風に乗ったりして非常に今委員がおっしゃったように感染力が強いんではないかというふうに考えられています。そうすると、子供、子牛を育てている母牛を目の前で殺さなければいけない。そして、七万五千頭と、物すごい量です。農家はもう泣いても泣き切れないような、そういう状況にあるというふうに考えています。この場を借りてお見舞いを申し上げるとともに、これは激甚災害と同じ災害ではないかと。
 今日も閣僚懇でお話をしましたけれども、家畜の評価額、これは国から交付金が五分の四は出ます。残りが農家負担で、あるいは県が残りの五分の一を負担した場合も、それをどこまで見れるかというのは、ここはなかなか難しいところなんですね。私も農協青年部ですけど、共済に入っていなければその部分は共済で賄えないわけです。
 今日、赤松農水大臣とお話をしたのは、総務省としたら現行法の枠組みでやれることは全部しますと、だから農家の方々は安心してくださいということを言う一方で、私が指示をしたのは、枠組みで入らないものについてはよく農水省と、例えば法律を作り替えなきゃいけないか、予算措置を別にしなきゃいけないか、そういったことについて、枠組みが出た部分があるかないか、そこについてもしっかり検討しなさいという指示をしたところでございます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 是非、地元自治体も含めて、やっぱり安心できるような万全な対策を打っていただきたいと思っております。
 口蹄疫に関してはここまでなので、舟山政務官には退室していただいて構いませんので、委員長。
○委員長(佐藤泰介君) 舟山政務官におかれましては、御退席いただいて結構です。
(中略)
 私の質問はこれで終わりになりますが、最初の冒頭の話に戻りますが、是非、口蹄疫の問題に関してやはり万全な対策を取っていただけるようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

第174回国会 内閣委員会 第12号 平成二十二年五月十二日(水曜日)    午後零時四十六分開議

○高木(美)委員 (前略)
 今までは、内閣官房の役割といいますのは、どちらかというと、常時に携わらなければならない業務は置かない。したがって、アドホック的な、そしてまた、さまざま総理をサポートするための、今官房長官は、普天間そしてまた口蹄疫等々携わっていらっしゃいますけれども、本当に、まさにフリーハンドで国の将来を考え、緊急的に対応するというのが内閣官房だと私は思っておりました。

第174回国会 総務委員会 第16号 平成二十二年五月十三日(木曜日)    午前九時一分開議

○近藤委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
 本日は、総務委員会におきまして、質問の機会を賜りましてまことにありがとうございます。
 まず、本題に入ります前に、口蹄疫の関係について、二、三お伺いし、また御要望を申し上げたいと思います。
 去る四月二十日、宮崎県におきまして、家畜伝染病たる口蹄疫が確認をされました。日に日に感染が拡大をいたしまして、昨日の時点で発生事例が七十六例、対象となる牛が六千二百七十二頭、豚で七万二千五百二十八頭、計七万八千八百頭を数えまして、家畜伝染病としては空前の被害となっているところであります。
 感染した牛や豚を食べても人体には影響はありませんが、非常に伝播力が強い、感染力が強いものでありまして、そのために一つの農場で一頭でも確認をされますと全頭を処分しないといけないということでございまして、この殺処分、埋却、消毒等の防疫措置を今行っているところでございます。
 急激に大量発生をしているために、防疫措置のための人員や埋却用の土地の確保も追いつかず、現地はまさに今、阿鼻叫喚、心身ともに限界の極致に達しているところでございます。発生地域からの蔓延防止のために、宮崎県はもちろん、鹿児島県、熊本県、そして各市町村に至るまで発生地と結ぶルートに消毒ポイントを設けまして、各畜産農家に消毒薬を配って対応していただく、また、症状の確認等に当たっております。二十四時間体制でまさに蔓延防止に努めているところであります。
 宮崎県では、四月二十八日に、これらの殺処分や消毒ポイントの運営費など三十三億円の補正予算を措置したところでありまして、また、鹿児島県、熊本県のそれぞれの自治体においても費用が発生しつつあります。鹿児島でも、とりあえず六億六千万円の補正予算を措置したところであります。
 こういった中におきまして、家畜伝染病予防法による全額国費負担となるものもありますが、埋却に要する人件費や掘削機械、あるいは運送車両の賃借料、防護服、防護マスク、動力噴霧機の購入または賃借料、ブルーシートのような防疫用資材など、自治体が二分の一を負担しないとならないものもたくさんあるのであります。また、市町村やJA等が消毒薬を前もって措置する、国の対応が来る前に前もって措置してきた、そういった自主的な防疫に要した費用もたくさんあります。さらに、畜産農家の経営資金、生活支援資金に対する利子助成など、県が単独で措置する対策もあるというふうに伺っております。
 これらの県や市町村が負担する口蹄疫対策につきましては、特別交付税による措置を行うべきは当然であります。どのような費用についてこの措置が行えるか、どのように考えておられるか、大臣の見解をお伺いします。
○原口国務大臣 まず冒頭、宮崎県で発生した口蹄疫について、農家の方々を初め、関係者の皆様に心からのお見舞いを申し上げるとともに、きのう、宮崎県の東国原知事ともお話をさせていただきましたけれども、先頭に立ってこの感染拡大の防疫措置に努めておられる皆様初め、多くの皆様にお礼を申し上げたいと思います。
 その上で、殺処分をした家畜の損失補償の問題を初め、今委員がおっしゃったように、これは心の問題、あるいは経営再建の問題、それから、この間、同じ鹿児島の森山先生からもお話をいただいて、周辺の地域、畜産を営んでいるほかの地域にも深刻な影響あるいはさまざまな懸念が広がっております。そういう中で、特別交付税について、これまでの対応を上回る措置の要望を受けました。
 口蹄疫対策としては、例えば口蹄疫にかかった牛が発生をした、その処分には今交付金が五分の四入るんですね、あと残り五分の一をどうするかというと、これは共済であったりするわけです。そして、そこが農家負担という形になっているわけです。では、五分の一を農家が負担できるかというと、とてもそんな状態ではない。ですから、五分の一については、例えば県がやってくださったものは、今までの例で言うとその二分の一を特交措置しているわけです。
 では、本当にこの二分の一の特交措置でいいのか。過去の鳥インフルエンザやBSEといったようなところはそうだけれども、今回の場合は、むしろパンデミックに近い危機管理の措置まで考える必要があるんじゃないか、そこについての理屈づけは今までとは違うんじゃないかということで、私が今指示をして、その論理立て、現行法でやれることはすべてやりなさい、現行法でやれないことについても検討を深めなさいと、農水省と具体的な対応策についての調整を指示したところでございます。
 今おっしゃったように、周りの、私の佐賀県もそうですし、小里委員の鹿児島県もそうだと思います、畜産で多くの皆さんが生計を立てておられます。そして、宮崎県の農家の中には、きょうはあの町のあの農家だった、あしたは自分になるかわからないという中で、子育てをしている母牛を、そのまま子牛と一緒に処分をしなきゃいけないということで大変な心理的な負荷というか、これも、さっき阿鼻叫喚というお話をされましたけれども、もう限界まで達しているというふうに思います。
 また、獣医師についても、今多くの獣医師の方々に御協力をいただいていますけれども、ペーパーの獣医師さんもかなりおられて、現実に殺処分というものもまだまだ厳しい状況でございまして、この特交の中で、今までやってきた範囲はもとより、それを超えた部分はどんなものがあるかということも、各県、各関係者と相談をしながら、柔軟に対応できるように指示をしてまいりたいと思いますので、また必要な情報を御指導、御支援賜れば幸いでございます。
○小里委員 今大臣がおっしゃいましたように、例えば、殺処分をした牛、豚等につきましては、五分の四は助成金が出る、残り五分の一については共済でもってというのが従来の制度でありました。それで、共済に入っている人もいるし、いない人もいる、共済も十分な人もいるし、そうでない人もいる。そこを国が特交でというような、先日の農水での答弁でもありました。
 しかしながら、そのままでは共済の意味がなくなってくる。また、大臣おっしゃったように、農家負担の問題をどう考えるか、掛金の問題をどう考えるか、そういったことが出てまいりますので、すべてひっくるめて、しっかりと国で見ていただけるようにお願いしたいと思います。
 それと、言うまでもなく、特交というのは後でほかの経費と合わせて総額として来ます、どんぶり勘定として来ます。したがって、どの分が今回の対策のためであるのか、そこら辺がわからなくなるわけでありまして、そこもしっかり明示をして、これは口蹄疫のためにこれだけ国が対応したんだよというところをお示ししていただきたい、そんなふうにお願いをしたいと思います。
 いずれにしましても、甚大な被害が発生をしている宮崎県はもちろん、鹿児島県や熊本県でも、郷土の畜産を守り、国民の食料を守ろうと必死に今侵入防止対策を打っているところであります。費用の心配をすることのないように、徹底した対策を各自治体、関係者が打てるように、そしてまた、経営再建のための支援、生活再建のための支援においても、万全の対応をもって、自治体、また関係者をお支えいただくようにお願いをしたいと思います。
 続きまして、政府の一連の対応についてでございます。
 十年前の口蹄疫発生時におきましては、早期の十分な予算措置を初め、政府・自民党と自治体との連携による迅速な対応によりまして、例えば、宮崎県におきましては、発生三例、対象牛三十五頭の段階で封じ込めに成功したわけであります。この経験を踏まえて、私どもは、今回、発生と同時に農林部会を招集いたしました。情報収集とともに意見を取りまとめまして、政府に対策を要請し、衆議院農林水産委員会でも何度も取り上げてまいりました。国に対する要請は、正式には三回、非公式には六、七回を数えると思います。そういった中で、政府の初動態勢のおくれも指摘を申し上げながら、ノウハウを提供し、対策の徹底を訴えてまいったわけであります。
 四月二十七日には、東国原宮崎県知事が自民党へお越しになりまして、自民党のノウハウをさらに発揮して支援をいただきたいとの要請がありました。これを受けまして、翌二十八日に、谷垣総裁・口蹄疫対策本部長を先頭にして宮崎県へ赴きまして、県や関係市町村、JA、生産者団体とお会いをいたしまして、情報交換、意見交換を行ったのであります。三十日には、総理官邸及び農水省に四十二項目にわたる対策を要請し、また要請を繰り返してきたわけであります。
 こうした中にも被害は日に日に拡大をして、例えば宮崎県での意見交換会では、何をしていいかわからない状況が続いている、あるいは、十年前と比べて国の対応が遅い、政府の対応が手ぬるい、今の国の対応では再起できない、そういった声が相次ぎました。初動態勢のおくれは否めないのであります。
 さらに、四月三十日の農水省への陳情の際に、対応した舟山政務官は、宮崎県の対応がおくれたと、宮崎県に責任を転嫁されました。これはあってはならないことでありまして、まさに親が子に責任を転嫁するような話であります。
 また、二十九日、山田副大臣がやっと宮崎へ赴かれたわけでありますが、滞在時間は一時間であったというふうに伺っております。
 赤松農水大臣に至りましては、この間一度も宮崎入りをせずに、陣頭指揮をとらないどころか、何と、四月三十日から五月八日まで、我々の制止を振り切って、メキシコ、キューバ、コロンビアへ外遊に行かれたわけであります。
 宮崎、鹿児島県は、日本の畜産の一位、二位を争う畜産県であります。日本の畜産の一大危機であります。そして、国家の食料安保の根幹にかかわるこの緊急事態に、何という危機感のなさ、危機管理能力のなさでありましょうか。
 大臣、内閣の一員として、この一連の経緯、事態をどのようにとらえておられるか、お伺いしたいと思います。
○原口国務大臣 農水省の対応についてのお尋ねでございます。
 総務大臣がそれをどこまで答えるかということでございますけれども、四月二十日、第一例目が出たときに、第一回口蹄疫防疫対策本部を設置しています。即、我が党の議員からもお話がございまして、私の方からは、先ほど小里委員がおっしゃったように、各自治体が後顧の憂いなく、財政的にさまざまに厳しいですね、三位一体改革で委員の鹿児島も私の佐賀も非常に財政的に逼迫しています、ですから、ちゃんとお金は支援されるんだろうかというようなことを心配しないでいいように、総務省としてもしっかり下支えするようにという指示をしたところでございまして、防疫専門家をその日に宮崎県に派遣をし、牛、豚等の疾病小委員会、そして、消費者団体等への正確な情報の提供ということを四月二十日に行っています。
 前回、十年前の口蹄疫が発生したときも、原因がよくわかっていないんですね。そして、ガイドラインさえなかった。平成十六年につくられたガイドラインに基づいて今回防疫対策をしていますが、宮崎県が初動がおくれたというふうには私は考えていませんし、東国原知事初め多くの皆さんが御努力をされているということについて、ねぎらいの言葉と感謝を重ねて申し上げたところでございます。
 四月二十二日、口蹄疫の対策本部幹事会を開いていますし、私は、対応については検証され、あるいは委員がおっしゃるような批判を真摯に受けとめながらも、まずはこれをもうこれ以上拡大させないことが大事だと思います。
 これは、知事のお言葉やさまざまな専門家の言葉から推察すると、非常に感染力の強いもので、十六年当時のガイドラインで万全を期していただいていますけれども、それで本当に済むんだろうかというような不安の声も聞こえてきております。今やるべきことは農家の再建対策。
 それから、出荷がおくれたことに対して、さまざまな不利益なことも入っています。日々経営をされているわけでございまして、私も友人にたくさんの畜産農家がいますけれども、お金が入ってこなければ即経営が厳しくなる状況でございますので、総務省としては、先ほど委員がお話しになりました特交措置。これは、幾つも今メニューがございます。委員がおっしゃったように、地方自治体については、これこれこれだけの額がありますよと。それから、逆に言うと、これは委員にも御協力をいただきたいんですが、新潟の地震のときは、法律をつくって、それを遡及させました。激甚災害のときにはこういった手法も含めて、今ある法律の範囲の中でできないものも私にはあるように感じます。ですから、地元の皆さんには、こういうことも与党も野党も力を合わせてやっているから、どうぞ、本当に日々つらいだろうけれども、少し安心の下支えのところもあるんですよということを実感していただくことが一番大事なのではないかというふうに考えています。
 これで最後にしますけれども、そこで大事なことは、風評被害というのもやはり気をつけなきゃいけません。しかし、正確な情報を国民一人一人の皆さんに認識をしていただいて、そして、必要な支援をしっかりと届けていくということで頑張ってまいりたいと思いますので、御指導、御支援をよろしくお願いいたします。
○小里委員 赤松大臣が外遊に旅立った四月三十日の時点で、口蹄疫発生事例は十二例、処分対象は四千三百頭でありました。外遊中の九日間に、新たに二十三例、四万五百二十三頭が発生をされ、対象となったわけであります。陣頭指揮をとるべき担当大臣が日本を離れている間に、これだけの被害拡大を見た事実。この事実は極めて重いと思います。
 大臣がこれは災害だとおっしゃいましたように、まさに大災害であります。私も、阪神・淡路大震災に際しまして、担当大臣秘書官として経験をいたしました。また、平成十八年の鹿児島県北部の豪雨災害に際しましても、地元の代議士として経験をいたしました。そのときの経験として、とにかく、こういった災害時、大災害時には、国のリーダー、指揮官が現場にまず赴くことであります。そして、時として、往々にして、そういう場合は教科書もない、マニュアルもないわけでありまして、予算はおれに任せろ、制度は任せろ、そういったしっかりした国のアナウンスがまずある、指揮者からのメッセージが発せられて、初めて現場が動ける、自治体は思い切った対応に当たれるのであります。
 どういう補償があるか、どういう国の対応があるかわからないから現場では混乱が広がってしまって、動かしてはいけない豚や牛を動かしてしまう、あるいは動いちゃいけない人があっちこっち動いてしまう、そういったこともあり得るわけであります。実際、あったのであります。何より現場や人心の安定のためにも、まず国の指揮官が現地に行くべきであった。これは、極めて重い指摘であるということを申し上げておきたいと思います。
 そういった政府の危機管理能力の欠如、対応の不備は否めません。そのために被害が際限なく広がりつつある。それだけに自治体の費用を国がしっかりと見る、畜産農家の補償や経営、また生活再建支援のための資金を国がしっかり見ていく、これは当然のことであろうと思います。
 ちなみに申し上げておきますと、自衛隊の派遣にしましても、事が大げさになっちゃいけない、現地に動揺が広がっちゃいけないということで、ずっと見送ってこられた。そして、現場の意見を受けて、我々が要請して、やっと先日、連休中でしたね、自衛隊が派遣をされました。最小限度の規模であります。あるいは、一般車両への消毒作業にしましても、ずっと見送ってこられた。これも我々が指摘をして、マットを敷いて消毒液をしみ込ませて、そこを通過させる、この手法によって始まったのがきのうであると伺っております。
 情報不足により、現地では要らぬ混乱がずっと続いてきた。殺処分もまだ三分の一も行われていないんじゃないか、そんなふうに認識をしております。とにかく、結果がすべてでありまして、東国原知事が谷垣総裁に対しておっしゃった、ぜひ自民党のノウハウをかしてほしい、その言葉の裏には、十年前のあの対応があれば今ごろは終結宣言ができていたはずである、そんな気持ちがにじみ出ていたわけであります。
 これ以上申し上げません。今は対策に全力を挙げるべきときであります。しっかりとそのために、きょうもあしたも農林水産委員会が開かれますが、そこで対策を要請してまいりたい。そして、事がおさまってから、大臣がおっしゃったように、この一連の経緯をしっかり検証して、今後の教訓として生かしていきたい、あわせて政府の責任を求めてまいりたい、そんなふうに思うところでございます。
(後略)

第174回国会 農林水産委員会 第11号 平成二十二年五月十三日(木曜日)    午前十時開議

本日の会議に付した案件
(中略)
 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)

○筒井委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳田和己君。
○柳田委員 今回初質問に立ちます民主党の柳田和己です。
 私の地元茨城県は農村地域であります。きょうは本県から畜産農家の方も多数お見えになっております。そして、私も農家生まれ、農家育ちでございます。小さいころには種豚六頭を飼い、お産のときには豚と一緒に寝たこともある私でございます。そしてまた、家の中には、当然農耕用の牛も飼っておりました。今回は、地元の農業者の代弁者として質問に立たせていただきました。よろしくお願い申し上げます。
 まず、一点目です。
 昨今、グローバル化が進み、人や物、金の移動が活発化する中で、二〇〇九年の春の新型インフルエンザの発生や、二〇〇八年の九月、アメリカのリーマン・ブラザーズの破綻への対応を踏まえると、今回の口蹄疫の発生に対する対応について、国や県の危機管理体制が甘かったのではないかという声があるのも事実です。
 そもそも、国民の生命と財産を守ることが最も重要な役割であり、農家の人にとっては家畜も重要な財産でございます。新聞報道によれば、県の派遣した獣医師の誤診が対応をおくらせ被害を拡大させたと、初動動作の対応に、県への指摘もありますが、結果責任は、そのような対応をさせた国であり、政府は危機管理体制により一層の責任を持つ必要があると思いますが、政府の御認識をお答えいただきたいと思います。
○山田副大臣 私の方から答弁させていただきます。
 柳田委員はしっかり畜産も頑張っておられて、私もかつて牛、豚を飼っておりましたので、ひとつしっかりと今回の口蹄疫等についても、対策を一緒に頑張らせていただきたいと思っております。
 先ほど、危機管理体制ができていなかったんじゃないのかというお話かと承りましたが、昨年台湾で口蹄疫が発生し、ことし一月から韓国で発生、そのようなことで、私どもも一応、口蹄疫に対する危機管理といいますか、韓国から入国する車、人に対しては、特に人に対しては靴底の消毒というのを入国のときにさせていただき、車についてはいわゆる消毒を徹底させていただいてきたといういきさつはございます。しかし、残念ながら、こういう形になってしまいました。
 しかし、本当にこの口蹄疫、移動制限区域内で現在何とかとどまっていますので、徹底的な消毒を図って、何としてもこの封じ込めを図りたいと考えているところです。
○柳田委員 きょうの宮崎日日新聞によりますと、まさに畜産農家は生き地獄だと。そのようなお話を聞きますと、私も身に迫る思いでございます。そしてまた、きょう本当は、私は黒のネクタイに数珠を持ってこようかと思ったぐらいでございます。しかし、こういうような質問のときに多分そんなことをやった国会議員はいないと思いまして、やめました。
 次に、海外における口蹄疫の発生状況について、先ほど山田副大臣もお話ししておりました、近年アジア諸国や英国でも発生し、昨年の二月には台湾で、そしてことしに入ってからも一月には韓国で発生をしております。
 さきにも申し上げましたとおり、国際的に人や物、金が移動する状況を考えると、農家や獣医師、家畜生産者団体など関係者の方への情報提供、注意喚起を徹底し、また、その結果をフィードバックする必要があると思います。国が絶えず注意喚起を行い、現場からの情報収集を徹底していれば、今回のように被害が拡大することを防げたかもしれないと思います。
 情報提供、注意喚起、フィードバックについて、政府はどのような体制をとっていたか、御説明をいただきたいと思います。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 今ほど山田副大臣からも御答弁をさせていただいた中にも触れていただきましたが、口蹄疫については、本年一月以降、中国、韓国等で発生が確認をされております。
 農林水産省としては、最新の発生状況をホームページにおいて掲載してございます。ホームページを見ていただいた方はおわかりだというふうに思いますが、地図に赤く、発生の状況などをずっと掲載してございます。
 それから、このほかに、昨年来、近隣諸国でのこうした発生に伴いまして、繰り返し、都道府県や畜産関係団体に対して情報を提供しているところでございます。安全局の動物衛生課長名で四回にわたって都道府県などにも連絡をさせていただいているところでございます。早期警戒や衛生管理の徹底などの防疫措置に万全を期すよう、要請をさせていただいているところでございます。
 引き続き、今お話がございましたように、正確な情報提供を行っていく所存でございます。
○柳田委員 よくわかりました。
 ホームページ、四回というようなこともありまして、いろいろと御努力はされているとは思います。しかしながら、私は逃げない国会議員を目指しております。結果責任はしっかりととるようなことで、頑張らなくちゃいけないと思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 感染拡大を防ぐためには、人や車の移動制限及び消毒の徹底について思い切った対策をとるべきではないかとの意見もありますが、一方、感染地域の迂回通行や消毒作業など、市民生活にも影響が出ております。感染拡大を防ぎつつも、地域住民への負担を抑えることは難しいことだと思います。今回の政府の対応と今後の対策があれば、お答えをいただきたいと思います。
○赤松国務大臣 柳田委員から大変御心配をしていただいておりますことに、本当に、御自身がそういう酪農、畜産もやっておみえになったという思いの中で、とにかく政府はしっかりやれという御指摘だと思っております。
 今お話がありましたように、とにかく限られた、今ですとほぼ三キロ以内に封じ込めているわけですけれども、それを徹底させると、当然その中の方たちが、この委員会でもいろいろとお話が出ましたが、なかなか結婚式にも出られないとか、自由な行き来ができない。そういう中で、大変御不便はおかけをいたしますけれども、とにかく、人や車によってこのウイルスが非常に強い伝播力で感染をしていくということが心配される中で、一定の制限をかけさせていただいているということについては、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
 特に、一般車両も対象といたしまして、現地では、こうした消毒等についても実施をさせていただいております。宮崎県、鹿児島県、熊本県、周辺県でも六十六カ所で消毒を実施いたしておりますし、十号線を初めとする主要幹線道路、そういうところにおきましても、四十カ所において二十四時間体制でこうした消毒活動を実施しておるところでございます。
 また、散水車による幹線道路への薬剤散布による消毒もあわせて実施をしておりまして、先日の委員会でも答弁を申し上げましたけれども、とにかく獣医も倍増する、また国の職員も、県や市町村だけにお任せするのではなくて、旧来派遣をしておりました人員の十倍の人員を派遣させていただく。そしてまた、全国の畜産団体やこうしたいろいろな関連団体がございますけれども、そういうところからもボランティアで、獣医さんを含め、あるいは元公務員の皆さん方も含め、そういう方たちも今続々と宮崎県に入っていただいている。国を挙げて、当該地域の支援のために今やっていただいているということで、本当に感謝を申し上げております。
 なお、私どもが一番心配しておりましたのは、あと風評被害ですね。これにつきましては、香港、マカオあたりは、その地域外で安全な豚、牛についてはどんどんと輸出してもらって結構だということで、御通知をこの一日、二日でいただいてまいりました。また、横峯さくらさん初め、あるいはJAの中央会を初め、いろいろ宮崎県支援のために寄附をしていただいたり、あるいは基金を募ったり、あるいは農水省の生協も、宮崎県の牛や豚はこんなに安全なんだということであっせんを今始めまして、三千二百円だったかな、宮崎牛ですね、ぜひ今月中に申し込んでくださいというようなことも、各地の生協でも取り組みをしていただいているということです。
 あとは、やはり冷静な判断。そして、必ず、これは人にはうつらないんだ、外へ出ることはありませんけれども、万が一出ても、それを食べても全く人間の健康被害ということにはならないと。また、今厳格な移動制限をかけていますので、牛、豚はそこから一切出ていないんだということも今後徹底してお伝えをしていきたい、このように思っております。
○柳田委員 大臣の今のお話をお聞きして、よくわかりました。
 私も元銀行員だったものですからわかるんですが、よくハイリスク・ハイリターンとかローリスク・ローリターン、まさに畜産農家の方はハイリスク・ローリターンと私も思っております。
 次の質問に移らせていただきます。
 今回、口蹄疫の発生した宮崎県及び発生地域の家畜の飼養状況と、全国及び県に占めるその割合について報告をいただきたい。
 また、口蹄疫は現在も継続発生しておりますが、今後、感染が拡大するのか、鎮静化に向かうのか、見通しについて政府の御見解をいただきたいと思います。
○佐々木大臣政務官 まず、発生地域の飼養状況についてお答えをさせていただきます。
 宮崎県の飼養状況でございますが、肉用牛で約三十万頭、全国シェア一〇・二%でございます。乳用牛は約一万七千頭、全国シェア一・一%、豚は約九十一万頭、全国シェア約九・二%でございます。
 また、発生農場を中心に設定されている移動制限区域及び搬出制限区域内における飼養頭数でありますが、牛は約九万八千頭で、全国シェアで約二・二%、県内シェア約三一%、豚は約二十八万六千頭、全国シェア二・九%、県内シェア三・一%という状況でございます。
 今後の見通しについて申し上げることはなかなか難しいわけでありますが、先ほど大臣から答弁をさせていただきましたように、獣医師あるいは農政局職員、市町村の職員の皆さん方などの派遣を最大限増員させていただき、自衛隊の派遣についてもお願いを申し上げているところでありまして、万全を期していくというのが今我々がやらなければならない対策だというふうに思ってございます。
○柳田委員 ありがとうございます。
 最後になりますが、政府の今回の対応は、過去の国内での感染事例が大規模でなかったことや風評被害を考え、慎重になり過ぎたように見受けられます。前回、二〇〇〇年の発生はまさに九十二年ぶりの発生で、今回は十年ぶりの発生、そして、まさに三度目はないようにしていただきたいと思います。
 十一日の委員会では、大臣より、家畜疾病経営維持資金の対象を宮崎県全域に広げたいとの御発言をいただき、総務大臣とも、東国原宮崎県知事に対し、過去の事例にとらわれることなく農家の安心、安全を確保すると発言が伺えました。
 民間でも、JAが生活資金の給付や募金活動を始めるとか、先ほどお話がありましたプロゴルファーの横峯さくらさんも多額の御寄附をされるなど、救援活動が始まっております。今後は一層、官民一体が協力し、農家の皆様がまた畜産をやりたいと思うように口蹄疫対策に取り組んでいただきますようお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
○筒井委員長 次に、和嶋未希君。
○和嶋委員 民主党の和嶋未希でございます。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 一昨日の委員会でも、赤松大臣から、宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告があり、また、与野党の委員の先生たちからも現場の悲痛な叫びをお聞きしました。口蹄疫の発生農家及び関係の皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、昼夜を問わず対応に当たられている関係者の皆様に、まず心より敬意を表します。
 私の暮らしている山形県でも、畜産の産出額は三百三十億円ほどあります。米沢牛、山形牛、あるいは庄内の三元豚などのブランドの牛、豚の拠点や産地が県内各地にあります。生産者の方々が日々誠実に生産に取り組んでいらっしゃる姿を私も地元で見てきております。ですので、先日の委員会で先生方から語られました現場の様子、あるいは発生農家、生産者の皆さんの声というものを私も胸が詰まるようなそういう思いでお聞きしました。
 けさの宮崎日日新聞も拝見させていただきました。自分の家の家畜が感染しているのではないかという不安に毎朝おびえながら、だけれども、何とかこの地域の中で発生、感染拡大を食いとめる、せめてそれが願いだという思い。そして、感染が発覚したことに対して、これは本当に独特の思いでありますけれども、これでようやく感染におびえなくてもいいんだというその生産者の方の思いというのは、本当に何と申し上げていいのか。
 その思いを受けて、感染拡大をこれ以上広げてはならない、そして、必ずその生産者の皆様がもう一度再生産していける、立ち直っていける環境を私たちは責任を持ってつくっていかなければいけないということを改めて決意しているところでございます。
 当然のことでありますが、この問題の発生が確認されている宮崎県、それから川南町や隣接県だけの問題ではなく、この問題は日本の畜産の将来にかかわる問題であります。現場が悲壮であれば悲壮であるほど、悲痛であるほど、切実であるがゆえに、だれが悪い、かれが悪いという話も出てきます。やりきれないというその気持ちも十分によくわかります。
 ですが、先日の委員会で江藤議員がおっしゃっていました。この非常事態であるからこそ、少なくともここにいる私たちは一たんは政治休戦しなければならない、そのとおりだと思っています。党派を超えて、感情論を超えて、実効性のある今しなければならない対策をともに力を合わせて講じていくべきだと思っておりますので、その思いは同様でありますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、農畜産業振興機構、ALICの機動性について、これを今こそ発揮していただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 当初、私、初質問でしたので、野菜の高騰の質問をさせていただきたいと思っておりまして、野菜の価格安定という面からALICの役割を見ていたんですけれども、先日の独立行政法人を対象にした仕分けでも、このALICについて、さまざま指摘はあったんですけれども、この機構が果たす経営安定への有効性ですとか、それから緊急な、まさしく今回のような場合における組織の機動性、機能の有効性というのは認められたところであると思っております。
 今回の口蹄疫対策でも、当面の資金対策や家畜を出荷できない中でのもろもろの経営対策の多くがここからの対応になっているわけですけれども、機構の機動性が今こそ発揮されるときであると思います。改めて、生産者への支援対策などに迅速で機動的な資金対応をお願い申し上げたいと思います。
○山田副大臣 今、和嶋委員の本当に心のこもった御質問でございますが、確かにALICが仕分けの対象になりまして、廃止しろという意見もあり、大変心配いたしました。
 そんな中で、緊急対策、今回、二十日未明に発生がわかって、その午前九時には赤松大臣を本部長とする対策本部をつくって、二十三日にはALICからその対策を既に発表させていただきました。
 その一つが、まずは、家畜疾病に遭った農家に対する維持資金、疾病維持資金ですね、無利息の。一農家二千万、法人だったら八千万、これを借りられるような。二十億のこの資金を百億に直ちにふやしました。
 同時に、搬出禁止というか、牛、豚を出荷できませんので、どうしても大貫物になっていく。そういったものに対して、いわゆる八十五キロを超えるものには一万一千円とか、子豚もつぶさなきゃいけない、そういったものに対する対策、そういったものらについて、ALICからすぐにそういう対応策を発表させていただいております。
 まださらに、いろいろな対策を今検討させていただいておりまして、弾力的に、そして、できるだけ本当に、このための、再生産できるような方向での対策をぜひしっかりとやらせていただきたいと考えております。
○和嶋委員 ありがとうございました。
 予算措置ではなく、速やかに機動的にその機能が発揮できるというところがこの組織の残った理由であると思いますので、今こそ御対応いただくときだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 先日の委員会でも同僚の道休議員が質問されましたけれども、赤松大臣が、十日の宮崎県での知事、各種団体との話し合いの中で、万全を尽くすと御決意を述べられまして、感染拡大防止などのために家畜を処分した農家に対する補てんなど、具体的な対策を示されました。また、原口総務大臣からは、口蹄疫への対応で自治体が負担する経費については特別交付税で措置するというお考えが示され、関係者の皆様にも、まずはほっとされた部分もあったのではないかと思います。
 また、きのうの原口大臣と宮崎県知事との面談では、農水省とも協議して、さらに場合によっては今国会に新たな法的措置を行うことも含めて、総務省で検討を始めるということも明らかにされました。こちらも、ぜひ両省庁間で速やかに協議を進めていただけますよう、お願いを申し上げます。
 さて、殺処分の家畜等に対する手当の交付、五分の四の仮払いを、書類の手続が整ったらすぐに進めていただけるということ、それから宮崎県の全域を家畜疾病の経営維持資金の対象としていただいたこと、現場から感謝の声が寄せられたと伺いました。
 しかし、その後も、本日現在で疑い事例が七十六例という状況の中で、今も多くの生産者が払拭されない不安な思いを持ち続けていらっしゃることと思います。
 また、先日の御質問にもありましたが、差し迫った問題としては、埋却地の不足、あるいは家畜の処分方法がほかにあるのではないかというお声。国有地を使うということも言っていただいておりましたが、現実問題としては、ちょっと適地、なじまないという御指摘もあり、こうした指摘も踏まえて一刻も早く、処分対象となっている家畜を処分し、適切に埋却処分を行う方法を講じていただく。本当にもろもろ課題はあるんですけれども、これが最も急を要する、喫緊の課題の一つであると思いますので、この対応についてお進みになった部分があれば、お知らせください。
○赤松国務大臣 今御指摘のとおりでございまして、私自身も、十日にお邪魔をしたときに、埋却地がないということを知事からもお話しいただきました。当然のことながら、これは宮崎県議会でも実は意見書をいただいておりまして、国有地の提供をお願いしたいということだったものですから、ちょうど宮崎県の海岸沿いに、ずっと北から南に広い地域の防風林が林野庁所管の国有地としてございますので、御希望があればどこでも提供いたしますので、ぜひ使っていただいて結構ですというお話をしてまいりました。
 しかし、十日に行ったときは、生産者の人がぜひあの国有地にと言うと、こっちで町長が、いやいや、そんなところに埋めてもらっては困るんだみたいなことで、地元の意見がまとまらないというようなところが正直言ってありました。
 きのう、私のところに知事の方から報告がありました。県が埋めたい、あるいは市町村は、ここじゃだめだ、いいと言っているというようなことだったので、県と各町長さん、市長さんたちと会いました、そして話をして、埋却地が決まっていないところについて、ほぼ全域、ではどこに埋めるかということを決めさせていただきました、御心配をかけましたというお話もいただきました。もちろん私どもは、国有地でぜひここを使いたいというお申し出があれば、それはやらせていただきますけれども、当面、県と市町村と、あるいは生産者の皆さん方と、若干どこに埋めるかということで調整ができなかった部分については、昨日ほぼ解決をしたというふうに宮崎県から報告をいただいております。
○和嶋委員 ありがとうございました。
 埋却地の場所がほぼ決まったということで、これは本当に急ぐべき課題であり、皆さんも御心配していらっしゃったところでありますので、この点についてはよかったなと思っております。
 次に、検査のことなんですけれども、二十四時間体制で今も対応をいただいていると伺っていますが、実は、昨日、これも同僚の道休議員から夕方に、検査に今まで以上に時間がかかり始めているというようなお話が出てきているということを伺いました。これについては、全体の検査件数がふえている、あるいは、全国から感染を御心配されている検査依頼が来ている、さまざま理由はあると思うんですけれども、今回、被害地である宮崎県内の検査を優先して速やかに実施していただけないかという御要望が現場から来ているということでありました。
 現在の検査の体制、それから検査体制の強化についてお聞かせください。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 動物衛生研究所において検査を実施しているわけでありますが、宮崎県から第一例目の検査材料の送付を受けたのが四月十九日でありますが、それ以降、PCR検査、いわゆる遺伝子検査を実施して、これまでに七十六例の発生を確認しております。今回のO型ウイルスでありますが、二〇一〇年に韓国や香港で確認されたウイルスと近縁であるということについても確認をしているところでございます。
 この研究所において、口蹄疫の蔓延防止に万全を期すために、チーム制、二班体制でありますが、チーム制を組んで、二十四時間体制で検査を実施いたしております。検査検体が持ち込まれれば、直ちに迅速な検査を行っているところでございます。
 また、宮崎県以外からの依頼も含めて、動物衛生研究所の迅速な検査体制に支障を及ぼすことがないように、支障を来すような状況にはこれまで至っていないというふうに報告を受けているところでございます。
 以上でございます。
○和嶋委員 現場の皆さん、さまざま御不安な思いがおありになる中で、自分の検査が早く結果がわかってほしい、それが例えば、夜、深夜に出てきたものであっても、次の日の早い段階で何とかわかってもらいたい、そういう御不安なお気持ちなのであると思います。ですので、今お話がありましたとおり、もろもろ全国からの検査が来ていてもそれは速やかに対応できていて、今のところは大丈夫だという御答弁であったので、そのことをきちんとお伝えするということが大事なのではないかなと思います。
 今のところ、検査体制の中で十分にやっていけている、そして、来たものについては速やかに、このくらいのめどで返していけますということを、細かなことでありますけれども、一つ一つのそういう御不安を解消していくということが、どうなるかわからないという状況の中で、行政がどういうことをやってくれるのか、本当に自分たちは見捨てられずに助けてもらえるんだろうか、そういうお気持ちを解消していくことの一つであると思いますので、少し丁寧に、めどでもいいので、対応しますよと言っていただきたいなというふうに思います。
 それから、この問題については、生活面、経営面、それから今後のことですとか、いろいろな問題があります。経営運転資金だけではなくて、既に生活費に困る状況が始まってきているというお話がありました。また、県で専決処分で生活支援を、無利子補てんを始めたという記事をきょう拝見させていただきました。JA尾鈴さんでは、域内の豚十二万七千頭のうちの三分の二が既に罹畜となって処分されることになってしまった。
 今の状況も大変なんだけれども、今後、将来的な経営回復の問題も必ず出てくるでしょうし、それから加工、販売の方への、関連産業への影響も出てくると思われます。主要産業が畜産の町であるがゆえに、地域の経済に長く大きな影響が出てくる可能性があります。先ほど申し上げましたとおり、もちろん今の対策が必要なのは言うまでもないんですけれども、一時的な支援で立ち行かないところ、継続的に省庁横断的に今後やっていかなければいけないところが出てくると思いますので、その御対応も御検討いただきたいと思います。
 それから、さっき大臣からもお話ありました、JAさんとか、それから横峯議員ですとか、寄附の活動、あるいはふるさと宮崎応援寄附金を活用して、口蹄疫に関する被害を受けた畜産・酪農農家を支援しようという動きも個々人の中でも生まれてきているようです。寄附の動きですとか、何か手伝うことはないかというような呼びかけも始まっていると聞いております。今回の口蹄疫に対する国民の皆さんの関心は非常に大きくて、その対応を全国が、日本じゅうが注視しておりますし、また期待もしております。
 このほか、今対応いただいているケースのほかにも、家畜伝染病予防法の定める現在の運用では対応できないような事態も起こるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、今回の対応を日本じゅうの畜産関係者、農家関係者、国民の皆様が見ていらっしゃいますので、そういう事態が起こった場合には、現場優先で政治的御判断をいただきまして、予防法の運用を時に超えることがあるかもしれませんが、そこはフレキシブルに御対応いただきたい。
 それから、官民一体となって、個人もやれることはやる、官もやれることはやる、全員で一体となって日本の畜産をきちんと守っていくんだということを、改めて私たち、お示ししなければならないんだと思います。
 そういう意味で、もろもろ申し上げましたけれども、大臣の御決意を改めてお聞かせください。
○赤松国務大臣 いろいろと御指摘をいただきまして、全くそのとおりだと思います。
 今肝心なのは、事に当たって、国、県、市町村が一体となって万全の体制をとる、どうぞ安心してください、しっかりまた再生、再建を目指して頑張っていただきたいというメッセージを送り続けること、一方で、決められたことをきちんきちんとやり切っていくということが必要だろうと思っております。
 今委員の御指摘の中で、法を超えて、家畜伝染病予防法だと思いますが、それを超えてというようなお話もございました。実は、例えば一例を申し上げますと、先日宮崎へお邪魔したときに、知事からは、種牛を移動したいと。しかし今は勝手に動かせないことになっているものですから、ぜひこれはそうしたことを超えて政治判断でやっていただきたいというお話もいただきました。
 私はそのときに、まずしっかりと、今、その種牛が清浄性があるということを確認してください、二つ目は、では移動したときに、避難させたときに、そこの場所できちっとした厳格な管理ができるんですね、それもきちっと約束してください、それからもう一つは、既に同じ豚舎、厩舎の中で一つが出た、全部それは殺処分してしまうという中で、かかっていない牛も当然いるわけですけれども、こちらの場合はかかっていない、同じかかっていない同士で、こっちは殺される、こっちはそのまま避難させるということに、やはり生産者の皆さん、農家の皆さんの御理解がなければいけませんよ、それはしっかり理解してもらえるんですかという三条件を出しました。
 あとは、しっかりと県の責任のもとでやっていただけるという約束があるなら私は政治判断しましょうということをお話ししてまいりまして、これもけさですが、宮崎県から連絡がございまして、地域の同意、そして今の私が出した三条件、そして県が責任持ってやりますという決意をお伺いいたしましたので、今消費・安全局に指示をいたしまして、その方向で具体的に宮崎県と協議に入れ、急げということも申し上げたところでございます。
 そのように、場合によっては特例措置ということでそれを超えて、そういうことも含めて、やれることはすべてやり切っていくということで頑張ってやっていきたい。
 幸いにして、豚価も、大変心配していましたが、おとといの答弁では四百八十円と言いましたが、これがきのうあたりは五百円を超えるということで、こうした全国的な豚の価格にはマイナスには少なくとも影響していないということで、その点については、報道関係の皆さんを初め、議会の皆さんの冷静な御議論の中で、対策は対策でやるけれども、安全な牛は、安全な豚はちゃんといいんだという区分けができているということについては、お礼を申し上げておきたいと思っております。
○和嶋委員 ありがとうございました。
 私も最後に申し上げなければいけないと思っていたのですが、マスコミの対応は非常に重要であったと思います。
 風評被害を懸念してまいりましたけれども、これまでマスコミの報道において、事実は事実として冷静にお伝えいただいた。それが、もろもろの被害を生まず、さっきおっしゃった価格の問題、それからさまざまな風評被害の拡大を最小限に抑えてきたのだと思っています。それでも最近は、先日の大臣の御報告にあったように、宮崎県産の牛肉は使っていませんというような不適切な表示が一部見受けられたり、宮崎県産の肉についての買い控えみたいなものが、少し動きがあると聞いております。
 今、こういう冷静な報道をしてきたことが、政府で報道規制が行われたんだとか、そういうデマがインターネットなんかを中心にして流れ始めています。最初に申し上げたとおり、この口蹄疫の問題というのは、国民の皆様の大変関心の高いものであり、だからこそ、そういうさまざまな思惑ですとか政局ですとか党派ですとか感情論ですとか、そういうものを超えていかなければならないんだと思っています。
 風評被害を防ぐために冷静な報道がなされることが、宮崎県、日本の産地を守っていくのだという、このことを冷静に私たちは伝えなければならない、日本の畜産のために力を合わせて行動していかなければならないと思っておりますので、このことを確認させていただきまして、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○赤松国務大臣 御指摘、全くそのとおりだと思います。
 全体的にはいいんですけれども、今一部には、きのう、国会の近くでも、口蹄疫は人にうつるんだ、農水大臣はうそを言っているみたいなことを平気で言ったり、あるいはインターネット等でも、これは空気感染するんだからどんどん全国に広がるんだ、むしろそういう心配をあおり立てるような心ない掲示等も残念ながら見られるということで、私どもは、科学的な知見に基づく冷静なやはり判断あるいは伝達ということをさらに徹底していかなければいけないという委員の御指摘のとおりだと思いますので、さらにその辺のところには力を入れていきたい、このように思っております。
○和嶋委員 ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
○筒井委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男です。
 ブランド牛宮崎牛、この名を確立するまでには、営々と積み上げてきた宮崎県の畜産農家の汗と努力の結果であるだろうというふうに思っております。
 宮崎県の中にあっても、技術的にも、管理面、こういった部分についても先進的な役割を果たしてきた川南町。しかし今、この町が、将来も含めて、子供たち、商工会、すべての町民が不安な気持ち、こういう状況で蔓延をしているんだろうというふうに今思っております。
 他の政党も同じなんだろうというふうに思っておりますけれども、一日も早くおさまるように、こういう気持ちの中で、私たち社民党も、現地宮崎県連合が中心となりながら、私たち全国連合一体となりながら、畜産農家と共有をしながら今取り組んでいるところでもございます。
 一例目が確認をされてから約三週間、昨日の深夜に届けられたものだというふうに思っておりますけれども、きょうも執務室に、口蹄疫で処分しなければならない、こういう状況が今届けられておりました。牛や豚、七万八千頭を超えている、まさに異常な状況だというふうに思っております。
 自分自身、農業共済、家畜共済を以前担ってまいりました。私は、確かに経営面、こういった部分も大事なわけでございますけれども、畜産農家の気持ち、この部分をもっともっと大事にしていかなければならないんだろうというふうに思っております。
 事故で骨折をして、そして出荷することができなくて処分場に持っていかなきゃならない、そういう牛、そのところを自分も一緒につき合わせていただいた場面を今思い出しております。処分場、屠殺場に近づいてくると、牛は鳴くんです。自分が殺される、こういう気持ちは察せられるものなんだなというふうに思っております。そして最後に、牛の目から涙がやはり出てくるんです。その牛を見て、畜産農家はいたたまれない、こういう気持ちになっている。
 そういう状況というものを自分自身見てきた中で、この間の政府の対応というものを考えていったときに、心のケア、こういう部分が、一体どう受けとめながらその対応をしてきたのかということについて少し疑問も持つところでもございます。ましてや、家族同様、そういう中で育ててきた、自分の肉親と同じ、そういう家畜をすべて処分しなきゃならないこの畜産農家の気持ちはやりきれない、こう思っております。
 そんな面から、私自身、心のケアというものをもっともっと大事にしてほしい、こういう気持ちをまず申し上げながら、事務的な質問から入らせていただきたいというふうに思います。
 まず、感染をしている、こういうふうに判定するまで余りにも時間がかかる、畜産農家から今こういう声が出ております。そういう面からいえば、判定するまで、どういう手順で、どういうふうな形の中で、いわゆる陽性だというふうに判定をして、そして移動禁止を出すのか。それまでの時間的な問題、こういった部分について、事務的な部分だと思いますので、これをまずお聞かせ願いたいというふうに思います。
 それから二つ目、現在感染している家畜で、今大臣の方から、宮崎県の方から埋却の場所は全部大丈夫だ、こういうふうな答弁がなされたわけでございますけれども、今現在、そういう状況の中では、処分、埋却をしていかなきゃならない頭数は何頭残っているのか。
 そしてまた、これからのことも含めて、埋却をしていかなきゃならないという状況であれば、どのぐらいの面積が必要なのか。そして、この場所の設定について、土壌、水質、さらには三年間移動ができない、こういう状況があるわけでございますから、この土地についての対応について、どういうふうになっていって、国としてはどう指導をしているのか。
 そして、個体の評価額、このところについてはそれぞれ違うんだろうというふうに思いますけれども、平均的にはどのぐらいの評価額になるのか。そして、その評価額の基準、この部分については何をもとにしながら算出をしようとしているのか。
 まず、事務的な部分、この四つをお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 最初に、検査がおくれているのではないかというお話をいただきました。先ほど和嶋委員にもお答えをさせていただきましたが、第一例目の検査材料の送付を受けた四月十九日以降、一つには遺伝子検査、PCR検査ですね、これまで七十六例確認をさせていただいております。
 さらにまた、その検査の結果、O型ウイルス、いわゆる韓国、香港のウイルスと近縁であるということについても確認をさせていただいておりますが、今のところ、宮崎県からの依頼などを含めて、検査におくれが出ているというようなことの報告はいただいていないところでございます。
 次に、現在の殺処分の状況でございますが、四月二十日以降、宮崎の農場から七十六例の発生を確認いたしてございます。七万九千頭が殺処分の対象となってございます。五月十二日現在ですが、約三万九千頭については殺処分を終了したところでございます。残る四万頭については、現在殺処分中、あるいはまた今後実施の予定となっているところでございます。
 先ほど大臣からもお答えをさせていただいていますが、これらの迅速な対応のために、獣医師約五十名を倍増させていただいておりますし、地方農政局からの派遣職員も、今日現在、百三十名に規模を拡大させていただいてございます。そのほか、都道府県一般職員の皆さん方の支援、それから畜産関係団体から獣医師等のボランティアの参加などもいただいておりますし、さらに、自衛隊等の派遣を初め、関係府省の御協力もいただいているところでございます。
 さらにまた、埋却の場所、土地がどのぐらい要るのかということでございました。現在までの発生頭数でありますが、牛が六千二百七十二頭、豚が七万二千五百二十八頭、合計七万八千八百頭でございまして、大変大ざっぱな試算ではありますが、これらを埋却するために必要な面積を試算すると、約十六ヘクタールが必要でございます。
 次に、埋却場所の管理等についてでありますが、これらは地下水や河川に接近しない場所であることが必要でございますので、家畜伝染病予防法に定められた基準を満たすということを条件に、都道府県知事が任命する獣医師である家畜防疫員が確認をすることが必要でございます。さらに、埋却は畜主にかわって宮崎県が実施しておりまして、埋却場所の決定については、宮崎県と関係市町とが連携して、周囲の環境や土壌、水質に配慮しつつ、周辺住民の理解を得ながら進めているところでございます。
 また、これに要した費用については、国費により二分の一補助とさせていただいているところでございますが、先ほど来お話がありますように、地元負担の分については、今、総務省の方で御検討いただいているところでございます。
 さらにまた、評価についてでございますが、これは、家畜伝染病予防法に基づいて、殺処分直前時の家畜の評価額としてございます。これの五分の四を手当金として交付させていただいているところでございます。
 また、評価でありますが、都道府県の職員や畜産関係者から成る三人以上の評価人がこの評価を実施してございます。評価額は、家畜の所在場所での市場価格を基準として、家畜の品種、血統、能力を参酌して決定をすることにされているところでございます。今回の場合には、具体的な評価額が決定しておりませんので、見積額についてまでは申し上げることはできません。
 一つ、先ほど柳田議員への答弁の中で、豚の県内シェアを三・一と申し上げたようでございますが、三一%の間違いでございました。
○吉泉委員 一番最初の確認、判定するまでの関係なんですけれども、例えば畜主の方から、ちょっと牛の容体がおかしい、獣医師さん、来てほしいと。獣医師さんが診る。肺炎なのか何なのか、ちょっとおかしいよと。そして、保健所に持っていく。そして、保健所の方からどういうふうになって、どこで口蹄疫に感染をしているという判断をするのか。そして、移動禁止を出す。その部分までの時間帯、どういう形で、手順がどういう状況でなっていくのか、そこを明らかにしてほしいということを今尋ねたわけでございます。ですから、そこのところをもう一度、再質問させてもらいます。
○佐々木大臣政務官 まず、そういう報告がありましたら、家畜保健衛生所が行って症状を診る、そして、症状で疑いがあれば今度は衛生研究所において検査をするという手順で今進めておりますので、その体制はしっかりできているというふうに思ってございます。
○吉泉委員 それでは、地元でその判定ができるという理解でいいのですか。そうやったらば時間が相当早いはずなんですけれども、それが半日、一日かかっているというふうな、そういう今の現状の中で、地元の方から聞いているわけでございます。その辺、どうなんですか。
○佐々木大臣政務官 先ほど申し上げましたように、最終的なPCR検査というのは、今、つくば、小平以外にはできませんので、そこに持ち込んでいただくということになっておりますが、翌日には判明するということになってございます。
○吉泉委員 最終的な判定という部分については、地元ではできなくて、つくばの方まで持ってくる、こういうとらえ方ですね。
 やはり、そのことに対しても、畜産農家の方の不安が非常に広がっている中で、対応のところの問題点で不安が大きくなっているという一面もあるので、その辺、何とか早目に対応できるような体制をしていただきたいなというふうに思うんですけれども、ちょっと無理かなというふうに思ってもおります。
 時間がちょっとありません。その中で、最後の質問になるんだろうというふうに思うんですけれども、まず一つ、今後、やはり防疫体制、このところが非常に大切になっているというふうにも思っております。
 それで、冒頭言いましたように、もう既に三週間終わっております。そんな中で、今の原因、どこからどういうふうになってきて、こういう口蹄疫のウイルス、菌が運ばれてきたのか。そして、この川南町の、技術的にも管理面的にも大変すばらしい、そういう部分を持ってきたここのところに出てきたのか。防疫体制というものも大事なんですけれども、やはり原因というものについて、いち早く明らかにしていく、こういう部分が必要なんだろうというふうに思っております。
 そういったところの取り組みというものが今どうなっているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○山田副大臣 現在、牛豚等疾病小委員会なる、疫学の専門家、獣医さんを含め、宮崎の方の専門家も含めまして、専門家六人で、四月二十日、その日には既にこの委員会を立ち上げました。現地にもこの委員会は出向いていただいておりまして、感染経路、いわゆる疫学的な感染経路の調査を今進めているところなんです。
 前回の口蹄疫のときも、中国から輸入された麦わらではないかという疑いがあるというような話がありましたが、実際に何が感染原因であったかということは結局究明をしっかりとできなかったんですが、そういう形で、そういった感染経路についてはこれからきっちりと調べていきたいと思っております。ウイルスの菌そのものも、韓国、香港のものと極めて類似なものであるということまではわかってきておりますし、これからもさらに感染経路の調査はしっかりと進めていくつもりでおりますので、ぜひ頑張らせていただきたいと思っております。
○佐々木大臣政務官 先ほどの答弁で動物衛生研究所をつくばと申し上げましたが、PCR検査をするところは東京の小平でございましたので、修正させていただきます。
○吉泉委員 私の地元のところについても畜産農家は多数いるわけでございますけれども、今電話もさせてもらっていますけれども、それぞれ、今回の口蹄疫の発生、自分の方までは来ないんだろうなという思いもしながらも、常に細心の注意を払いながら今管理をしているというふうなお話なんかも聞いております。そして、それぞれ県の保健所の体制、そういった部分もきちっと今なっているというふうにもお聞きをしております。
 今、その感染経路、あくまでこれは、さまざまなところの中でうわさも出ています。しかし、きちっとこのところをいち早くある程度出さないと、難しいんだろうと思うんですけれども、これはどこまで広まるのかわからない、こういうことだと思うんですよ。
 お話を聞きますと、やはりぐあいが悪いというふうな部分の中で、それぞれ、液なりそういうものを検査に持っていって、最初は三例持っていけば三例が全部感染していた、しかし今は、五つ持っていって三頭とか、二頭は大丈夫だとか、そういうようなお話も聞いています。そういう状況だとするならば、やはり農家の不安、さらに言えば全国の家畜農家の不安をなるべく抑えていくためにも、頑張っていくためにも、きちっとした情報、そういった部分をぜひ流していただきながら、安心してまず頑張れよというふうな一つの国としての方策というものが必要なんだろうというふうに思っております。
 その面で、最後に大臣の方から……
○筒井委員長 ちょっと質問時間が過ぎておりますので。
○吉泉委員 わかりました。では、大変残念です。大臣、済みません、ひとつよろしくお願いします。(赤松国務大臣「わかりました」と呼ぶ)
○筒井委員長 次に、古川禎久君。
○古川(禎)委員 自由民主党の古川禎久です。
 口蹄疫の拡大がとまりません。私の選挙区でも発生しておりますが、鹿児島県や熊本県と搬出制限区域がまたいでおります。この区域外であっても、大変な緊張感、疲労感が満ちております。
 きょうは大事な質問を幾つかさせていただきますが、その前に、最も大事なこと、つまり、対策の総責任者である農林水産大臣の決意のほどについてお伺いしたいと思います。
 まず、やはりこれは外遊の件について触れなければなりません。責任者として、優先順位を全く間違えておられると思います。そして、これは先方とのお約束もあったんでしょう。しかし、中南米の国々も畜産文化を持つ国々でございます。口蹄疫対策で忙しい、こう言えばわかってくれるはずであります。それが、国内の口蹄疫対策をほっぽらかして自分の国に訪問する、そのような農林水産大臣をいぶかしく、どういう大臣なんだというふうに思っておられたんじゃないんでしょうか。ちょうどこれはあたかも、安全保障の総責任者であります内閣総理大臣が海兵隊の戦略的な意義について初めて理解した、それを聞いた諸外国が驚きあきれた、これと共通するような話であります。
 さらにまた、一昨日、江藤拓委員の質問に対して答弁された赤松大臣のこの答弁もおかしい。「私が一人いなかったからといって、いささかも支障があったというふうには理解をしておりません。」と。理論的にはそうかもわかりませんが、これは大変奇異な印象を受けます。自分がいなくても支障はないと。では、大臣は何のためにいらっしゃるのか。
 大きな災害があれば、もう、二日、三日もたたないうちに現地に大臣が入るんです。現地に入らなくても、報告が上がってきて情報は入るでしょう。しかし、現場に入らなければわからないことがある。一つは、大臣の目で、耳で、鼻で、肌で感じることであります。現場で起こっていることの本質は何かということを体で知ることであります。そしてもう一つ、人々を安心させるということであります。これが大臣の仕事です。これが政治家の姿勢なんです。
 大臣、いかがですか。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思いますが、ほっぽらかしてという、そういう言い方はないんじゃないかと私は思います。
 私は、先ほど来何回も御質問で申し上げましたけれども、四月の二十日の発生確認以来、直ちに本部を立ち上げ、やるべきことは適宜適切に対策を打ってきたつもりでございます。それからまた、私どももチームでやっていますから、特に、自分で畜産業もやっておった山田副大臣にもこれまた現地にすぐ飛んでいただきました。そして、いろいろな方たちとのお話もしていただきました。
 また知事も、ぜひ一回大臣と相談したいということで、私が行く前に知事の方から私のところにも来ていただき、これは知事ばかりじゃなくてその関係の議長さん初めそういう方たちにも来ていただきながら、お互いに、国だ、県だ、市町村だと言っているんじゃなくて、これだけのことなんだからしっかり相談して、みんなで一致結束してやっていこうということでやらせていただいたということでございます。
 それからまた、私の渡航についてですけれども、これは、決してどうでもいいような話でも、あるいは秋や来年でいいような話でもございません。
 EPAについて、メキシコについては五年も前に締結しましたけれども、積み残し分が残っていて、これらについてどうしても早急に解決しなきゃいけないということです。今度、六月五日にAPECの会議を日本でやります。経済大臣も来ますが、そのときに最終的に締結をしようということで、マジョルカという農牧大臣とも再三にわたり、ことしに入ってから三度会談をやってまいりまして、ほぼあと一点を除いて合意ができるというところまで現地で話してまいりました。ですから、うまくいけば今度、六月五日に日本での最終合意ということになると思っております。
 それから、これは前の委員会でも申し上げましたが、キューバに対するJICAを通じての農業支援その他を今、やっております。これも、この九月で切れるんです。それ以降延ばすのか延ばさないのか、中身はどうするのか。またあわせて、今民間の皆さん方から強い要望があって、一千万ドルの民間の長期債務があります。
 自民党の古屋先生からも、ぜひこれは大臣が行って、大臣が行かないと解決しないんだ、向こうは国なんだから、民間なんて相手にしてできないんだということで、これも聞いていただければわかりますけれども、強い要請をいただいた。そして、この問題についてもカストロ議長から、この問題の解決なくしては日本とキューバの問題解決がスタートしないんだ、これは必ずやりますということも言質としていただいてきたというところでございまして、決して、何か物見遊山に行ったような言い方をされますけれども、それは全然違う。
 それから、コロンビアの大統領にもお会いした。今、ペルーのFTA、EPAもほぼ今月でまとまる予定ですけれども、次はコロンビアということになっていますので、今、投資協定ももめていますけれども、この投資協定を何とかこの七月までに解決をする。現大統領は、五月三十日に選挙が終わって次の人が決まりますけれども、任期は八月までなものですから、それまでにぜひ投資協定とFTAの話を自分がしたい、ぜひ来てほしいという強い要請のもとで私がお邪魔をさせていただいたということでございます。
 当然のことながら、私が不在中は福島みずほ代理大臣ということで正式に閣議でも了承をいただいていますし、国会におきましては、与野党含めて議運の方で出張についてのお認めをいただいたところでございまして、その前提で行かせていただいたということはぜひ御理解をいただきたい、このように思います。
○古川(禎)委員 あなたは、畜産農家の苦しみに関心を持っていないんですよ。畜産農家の痛み、苦しみに対する共感や同情を持ち合わせていないんだ。私はそれをはっきりと五月十日の日に感じました。
 第一例が確認されてから三週間たった五月十日に、大臣は宮崎県にお越しいただきました。宮崎県庁において、十一時二十分より知事室において、知事、県会議長との会談をいただいたわけです。そのときに、冒頭大臣が何とおっしゃったか覚えておられないでしょう。知事さん、あなたは国の動きが悪いと言っているようだが、心外だと。それが、三週間もたって初めて現地を訪れた農林水産大臣のオフィシャルな発言であります。
 あなたは、御自分の責任を問われることが気になっていたんですよ。遅くなって申しわけなかった、農家の皆さんは大丈夫だろうか、そういう心の通った農林水産大臣としての言葉があったんじゃありませんか。私たちは、畜魂碑の前で手を合わせながら、全力で対策に打ち込んでいるんですよ。
 宮崎県知事の名誉のためにも申し上げておきます。大臣のその言葉に対して、東国原知事は、そのようなことは一言も申し上げておりませんとおっしゃいましたね。私は、東国原知事も驚かれたと思います。しかし、ぐっとこらえられたんだと思いますよ。なぜだかわかりますか。畜産農家を守りたいからなんですよ。
 大臣のおっしゃることをずっと横で聞かせていただきました。法定受託事務だから、県からいろいろな要望があったら言ってください、一生懸命やりますよ、確かにそう何度も言っていただきました。理論的にはそうでしょう。家畜伝染病予防法第三章で都道府県に与えられたのが法定受託事務でしょう。しかし、道理の筋は違いますよ。家畜防疫の総責任者は、ほかでもない、農林水産大臣なのではありませんか。私は、横で聞いておっていたたまれない、だから発言をさせていただいた。覚えていますか。あろうことか、大臣は、自民党の議員に同席は許したが、発言を許した覚えはないと。さらに食い下がろうとする私に対して、参議院選挙が近いからPRかというがごときのことをおっしゃった。あきれましたよ。
 大臣がキューバでカストロ議長と面会をされておられるころでしょうか、私ども宮崎県、鹿児島県の国会議員団は、何度も農林水産省や総理官邸に御相談に上がりました。総理官邸の松井孝治官房副長官は心のある方だなと私は思いましたよ。京都の選出の議員ですね。鳥インフルエンザのつらい経験を目の当たりにしておられる。したがって、今回の口蹄疫も、この本質が危機管理であるということをおっしゃっていました。自分は専門外ではあるけれども、できることは何でもするから、与野党超えてやりますから、ぜひ相談してくださいと。私はその言葉に胸が詰まるような思いがしましたよ。困っている者に対して、苦しんでいる人に対して、励まし、慰める、これが政治じゃないんですか。
 時間が限られておりますので、質問をさせていただきます。
 大臣、五月十日、宮崎県においでいただいたときに、疑似患畜の手当金のことですね、全額を国で負担するということをおっしゃいました。これは、法に基づく五分の四の残りの五分の一の話でございますね。翌日の記者会見でも、「特別交付税を措置して、全部、特交で処理をするので、安心してお金のことは、やってくれ」、あるいは「安心して、きちっと使ってください」「必要なものは、どんどんやってください」と。しかし、この特別交付税というのは、財布は原口総務大臣であります。原口総務大臣も協力をしたいという趣旨のことを言ってくださっているわけですが、ただし、満額ということをおっしゃっているわけではありませんよね。
 例えば、ことしの宮崎県の特別交付税交付額は三十億ほどであります。この疑似患畜の殺処分に対する県単事業である分が試算で仮に二十億ぐらいだとしますと、現状の三十億に二十億をきっちり乗せて出していただかないと、結局足りないわけですよ。全額補償しますと新聞に活字は躍りますよ。期待をしますよ。しかし、実際はどうか。本当に出るんですか。それを確認はとれているんですか。言質はとれているんですか。そこをはっきりさせてください。
○赤松国務大臣 聞いておられる方が誤解をされるといけないので、正確なところを少しお伝えしたいと思っております。
 五月十日の私がお邪魔するときの話ですけれども、実は、事前に、自民党の筆頭理事の宮腰先生から官房長を通じまして私のところにお話がありました。大臣が宮崎に行かれるそうですが、野党ではありますが、自民党の議員も同席したいと言っております、同席させてもらえませんかという話でした。
 皆さん自民党ですからよく御存じですが、前政権時代に、そういうことは政府・与党一体だみたいなことで、野党をどちらかというと排除するような場合も多かったんですけれども、私は、そうではなくて、この問題については、地元のことでもあるので、地元の皆さんの議員の心理としては、ぜひそれは一緒にそういうところに立ち会いたいという気持ちもわかりますから、いいですよ、どうぞ来てくださいと。
 ただし、これは与党の議員にも言っているんですけれども、あくまでも現地の人たちの意見を聞きに行くんですから、議員同士の議論をやろうという話じゃないんですから、これは古川議員にも私は現地で言いましたけれども、議論をするんだったら、委員会とか本会議とかいろいろな場があるんだから、きょうは、限られた時間なので、ぜひ現地の人たちの意見を聞く場にさせていただきたいと。道休議員初め与党議員もたくさんいましたよ。だけれども、そういうことをあらかじめ言ってあるから、与党議員は約束を守ってだれも発言しない。
 ところが、突如、古川さんが知事の発言を遮って、立ってテレビの前でわあっと大演説をやりかけた。江藤さんがきょうなぜ来られないのかに始まって、そういう話をされたので、僕は、申しわけないけれども、ちょっと、一、二分だったら黙っていようと思ったんですけれども、四分、五分と大演説されるものだから、古川さん、ちょっと、きょうはそういう場じゃないでしょう、あなた、言いたいことが僕にあるんだったら、委員会でもどこでも言える場があるじゃないですか、ところが、きょう来ているそこの人たちは、きょう、僕にその場でしか言えないんだから、ちょっと、きょうはそういう場じゃないんだから遠慮してくださいよと。
 これは、宮腰理事にも私はそういう約束で、同席はしてもらって構わないけれども発言は控えてくださいよ、これは野党だから言っているんじゃないんです、与党にもそう言っていますからということをちゃんと言ったんです。ちゃんと言ったんです、官房長を通じて。だから、そういう約束を破ってということはちょっとおかしい。
 そのときに私は正確に言ったのは、きょうはそういう場じゃないから、発言は遠慮してくださいと。そうじゃなくても、今与党の人たちもいっぱいいて、参議院選挙を目の前にして、その前にぜひ自分だって発言したいと思っていらっしゃる方だってほかにいるかもしれませんよと。野党だけじゃなくて与党もそうしたら発言させろということになるじゃないですか、だから、そういうところはもっと良識を持って遠慮してくださいと言ったら、知事が、古川さん、まあまあと言ってあなたを抑えて、そして、知事としてのいろいろな要望をその後具体的に発言されたというのが経過です。
 その辺のところは……(古川(禎)委員「委員長」と呼ぶ)まだ答弁は残っています。ちゃんと正確に言わないと、何か自分がやったことだけがすばらしくて、私は、ルールをめちゃくちゃにして、何か自民党だから、自民党議員の発言を遮ったような、そういう言い方をされるのは非常に心外ですから、それは訂正をむしろしていただきたいぐらいの気持ちでございます。
 それから、五分の四の問題ですが、これは五月七日の閣議で、原口総務大臣がわざわざ閣僚懇談会の中で発言をして、文書も残っていますけれども、これについては内閣全体としてしっかり取り組むべきだ、総務省についても万全の体制で、特別交付税等を使ってそれをやりたいということをみずから発言されているんです。
 もちろん同じ仲間ですから、原口大臣とも私はよくお話をしています。ただ、この間、石田さんの質問で、政務官とちょっとやりとりがありましたけれども、彼が非常に慎重な言い方をしていまして、例えば旧来のやり方でいうと、五分の四は国が交付をする、あとの五分の一については基本的には共済で賄うんです。ところが、共済に入っていない人もいるんです。だから、入っていないから、五分の一はあなただけなしよというわけにいかないので、それは県で手当てをしてください、その県が手当てをした分については特交でちゃんと裏打ちしますからということを申し上げてきた。
 ただ、今、過去の例を見ると、鳥インフルエンザについては、こういう場合に〇・五とか、こういう場合に〇・八とか書いてあるものですから、口蹄疫については書いていないんです、何も。書いていないんです。ですから、総務省、原口さんの方は、よりそれを完璧にやるためには、法改正ということをたまに彼は言いますけれども、法改正をして、それでもってきちっとやらないといけないんじゃないかというふうですが、これはいろいろな見解がありまして、いやいや、そんなものは省令改正でいいんだと、あるいは、いや、省令改正だって要らないと。もともと、〇・五、〇・八なんというのは口蹄疫については言われていないんだから、単なる予算措置で一〇〇%それは補えるんだというのが私の認識ですけれども。
 どちらにしても、全部それをカバーしようということについては総務大臣と農水大臣は全く考え方が一致をしていますから、私どもは、農家、生産者の皆さん方に対してちゃんと措置をしますと。東国原知事にも、安心してまず県は対応しなさい、あとは、そのことについては国が特交等でちゃんと裏打ちするから大丈夫だ、やりなさいということを申し上げてきたというのが経過でございます。
○古川(禎)委員 正確に言うべきだとおっしゃいますから、正確に申し上げましょう。
 私は、東国原知事の発言を遮って発言したのではありません。どうぞと知事の方から言われたから、私はあのとき立ったんです。(赤松国務大臣「違うよ、うそを言っちゃだめだよ」と呼ぶ)そうですよ。
 それと、四、五分もとうとうと演説を始めるなんて言いますが、そんな……(赤松国務大臣「知事がそんなこと、言わなかったじゃないか」と呼ぶ)では、カメラか何か見ればいいじゃないですか、記録を。(赤松国務大臣「本当のことを言っていないからだよ」と呼ぶ)本当のことを言っていますよ、何を言っているんだ。(赤松国務大臣「では、いた人に聞いてごらん」と呼ぶ)何を言っているんだ。
 それから、四、五分にわたって演説をするなんて、冗談じゃありませんよ。そういうことを、話をする時間さえ与えなかったじゃないですか、あなたが横から口を挟んで。
 それと、自民党の時代もそうだったと言いますが、例えば災害があった、国土交通大臣が宮崎に入った。民主党の議員も、当時野党であったんだけれども、一緒に視察に行き、一緒に交換会に参加していますよ。何ですか、それは。(赤松国務大臣「だれが行ったの、言ってごらん」と呼ぶ)金子大臣のときに行きましたよ。(赤松国務大臣「いやいや、だから、民主党の議員はだれが行ったんですか」と呼ぶ)行きましたよ。外山斎参議院議員が見えましたよ。
 ちょっと大臣、いいですか、私が冒頭に質問したのは、農林水産大臣、この対策の総責任者として、本当に危機意識を持って、これが大変な問題だということを思っておられるかという、その決意を聞きたかった。今のこういうやりとりを見ていれば、ああ、やはりだめだ、そう思わざるを得ませんね、これは。
 それから、原口総務大臣が法改正、法改正ということをおっしゃる。鳥インフルエンザは規定があるが口蹄疫はない。しかし、鳥インフルエンザと横並びでする場合には二分の一になってしまいますからね。そういう技術的なことはいろいろ検討されていると思いますが、いずれにしても、農林水産大臣と総務大臣が、両者、特別交付税をもって県の負担額の全額を処理するということを確認し合っているということですね。それをきちんと担保してくださいよ。
 あなたは、特別交付税というものはどういうものか御存じでしょう。明細はないんですよ。お金に名前は書いていないんです。それがちゃんと全額、県が負担した分についてはきっちりと結果的に出されるということを、総務大臣なりから言質をとってくださいよ。そうじゃないと、県民はぬか喜びだったということになりかねないんですよ。はっきりお願いします。
○赤松国務大臣 これは、信用するとかしないとかの話ではなくて、私がさっき申し上げたように、五月七日の発言要旨と、これは文書でみんな、各所にもう配られているんです。この中で原口大臣は何と言っているかというと、
  宮崎県で発生した口蹄疫につきましては、宮崎県はもとより、九州全域の関係地方公共団体において、家畜の移動制限や消毒薬の散布等、まん延防止に全力で取り組んでいるものと承知している。
  ただいま官房長官から御指示があったとおり、口蹄疫対策は、政府を挙げて対処する必要があることから、総務省としても、地方公共団体が負担することとなった経費については、特別交付税を措置することにより、地方公共団体が万全の対策を講ずることができるよう、適切に支援してまいりたい。
ということで、ちゃんと文書で出ているんですよ。
 だから、そんなものは信用できるかというんだったら、これは認識の違いで、しかも、私と原口大臣とがちゃんと個人的にも話をして、どういう手続をするか、どういうあれをやるかは別として、とにかく全部見てやろうよという話で、それはそうですね、当然そうやってやらなきゃいけないですよねという話をしているんですから、それは御信用いただくよりしようがない。
 現地に行ったときも、各市町村の首長さんからも出ましたよ、本当に来るんでしょうかと。ごんと十把一からげで来ちゃうので、これのどこの部分がどのあれなのか本当にわかりにくいという話もあったものですから、それは大丈夫ですから、ちゃんと信用して、安心してくださいということも、その会談の中でも私から再三申し上げたところでございます。
○古川(禎)委員 農林水産大臣ともあろう方が、特別交付税というものの実態についてよく御存じないということは驚きですよ。適切に適切にとおっしゃいますが、あなたがいろいろな記者会見等でおっしゃっていることは、まず県が単独事業で出しておいてください、その分はきっちり出しますよということなんでしょう。それを約束してくれと言っているんですよ。適切にとおっしゃる、でも、特別交付税というのはそういう形になっていないですよ。
 だから、そこをはっきり、あなたが、いや、信用しろ、大丈夫なんだ、こうおっしゃるのであれば、原口総務大臣から、きっちりそれを担保していただくような言質を大臣がとっていただくとか……(発言する者あり)これは農林水産委員会だから。農林水産省が、大臣の発言から始まった話ですよ。特交で措置をするという話は大臣がおっしゃったから、こういう話になっているんですよ、そうでしょう。
○赤松国務大臣 これは、石田委員の先日の質問の中で小川総務政務官が、彼は元自治省の出身なものですから、非常に法律に厳格に申し上げた。それじゃ違うじゃないかという話で、あのときの議論で私は申し上げましたけれども、原口総務大臣は、鳥インフルエンザに書いてある〇・五とか〇・八、しかし口蹄疫については何も書いていないんです、それはやらないという意味じゃなくて、このときにはこういう率でいきましょうということは改めて書いていないので、それをちゃんとやろうとしたら法改正をしてでもやらなければいけないのかなというのが、彼の個人的な、大臣としての認識であったわけでございます。それは、ちゃんとやろうという前提でそう言っているわけです。
 ところが、これは省令でもそんなことは変えられるという見方も内部にはございますし、私なんかはむしろ、そんなものは予算措置で、やっちゃいけないと書いてあれば別ですけれども何も書いていないんですから、それは総務大臣としての単なる予算措置で十分できるんだということで考えております。
 だから、先ほども言ったように、問題は、ちゃんと地元にそのお金が出ればいいんですから、そのことはちゃんとやりますから。あと、手続のことは、これはもう農水省だけで勝手に決めるわけにもいきません。また、所管でいえば、地方交付税を出すのはそれは総務省ですけれども、私どもの意向を無視してやるというわけにもいきません。これは両者で合意のもとで進めるということですが、古川委員が一番御心配しているのは、現地に本当に金が出るかどうかなんでしょう。だから、僕は出ると言っているんだから、それは信用していただくより仕方がないということです。
○古川(禎)委員 信用してくれ、適正にやる、心配はないと。しかし、これは財政担当者であれば、どうかなと思って聞きますよ、大臣。
 ちょっともう時間がなくなってきました。疑似患畜の処分の評価額についてであります。
 大臣の方から県に対して、早くこれを上げてくるように、できるだけ早くお金を出したい、こういうことを言っていただいております。しかし、大臣も御存じのとおり、現場は、この急激な被害の拡大によって、とてもじゃないが事務的に追いついていかない状況なんですよ。当の牛にしても豚にしても、これはもう埋められているわけですよ。それを一つ一つ評価してやっていくに当たって、とてもじゃないが時間が足りないんですね。したがいまして、そのような状況をよく考えて、現場に任せるなら任せるのであって、後になって間違っても責任を問うようなことにならないように、十分配慮してやっていただきたいと思います。
 それから、仮払金ですね。これは、例えば子牛の十万円なら十万円、後で相殺するという形でいいじゃないですか。早く出してあげたいというお気持ちを持っていただいているのであれば、こういう方法をとってでも現場のために、現場第一のためにやってくださいよ。どうですか。お考えをお聞かせください。
○赤松国務大臣 家畜伝染病予防法の例の五分の四の交付にかかわる問題だと思っております。
 これについては、僕は知事にも言ったんですけれども、通常は、県からそういう書類が上がってくると一、二カ月かかるんです。しかし、それでは、今月どうするんだ、来月どうするんだという大変な農家、生産者の苦しみもある。これを何とかしたいということで、とにかく書類だけ上げてくれれば、国は、仮払いでしてでも、上がってきたらすぐ金を出すんだから、とにかくそれだけやりなさいよということを言ってまいりました。
 ただ、今、どうせ後で、何とか、埋設したのはわかっているんだから、一頭当たり何万円みたいなことでそれは出せばいいじゃないかという御意見ですけれども、いやしくもこれは税金を使ってやるものですから、少なくとも最低限の手続だけは経た上でないと。そう簡単に、そうですね、大変ですね、ではおたくは百万お渡ししましょう、はい、あなたは五十万でいいですねみたいなことはちょっと、法律に基づいてやることですから、これはやはり手続だけは最低限踏んでいただきたいと思います。
○古川(禎)委員 国務大臣の答弁ですからね、これが。私がいつ、そんなつかみ銭をばらまくようなことを申し上げたんですか。
 現場は、事務作業が膨大で、早く処理をして大臣のもとに書類を届けたいが、とてもじゃないが間に合わない、時間がないと言っているんですよ。そうでしょう、現実的に考えてわかるでしょう。八万頭になんなんとしているんですよ。
 そして、大臣も、みずからおっしゃっておられるように、できるだけ早く手元に届くようにしてさしあげたい、そういう気持ちを持っていただいているんでしょう。だけれども、それは、書類が来てから一カ月、二カ月ということで、それを短縮したいということかもしれぬが、書類が来るまでに時間がかかると申し上げているんですよ。
 仮払い。どうですか、御検討いただけませんか。
○筒井委員長 古川先生、やはり時間が過ぎておりますので、ここで終了としていただきたいと思います。
○古川(禎)委員 では、仮払い、ぜひ考えてください。お願いします。
 終わります。
○筒井委員長 次に、坂本哲志君。
○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
 口蹄疫、いろいろ宮崎の両議員の怒り、私は痛いほどわかります。そして、それに対する大臣、副大臣あるいは政務官、特に大臣の答弁、そういうものに対しての疑問点も私は感じます。
 ただ、それぞれ言い分があるでしょうけれども、隣県として言われていることは、これは鹿児島も一緒だと思います、大分も一緒だと思いますけれども、やはりもう少しいろいろな形で対応が早かったら、連絡が早かったらというようなことは言われております。
 一月七日に、韓国のソウル近郊で口蹄疫が発生をいたしました。韓国の獣医師があっちこっち回ったということで一気に広がりました。もう二月、三月は韓国は大変な騒ぎでありましたけれども、その時点で警戒警報、これは大変だというような緊張感を流す、やはりそういう農林水産省でなければいけないというふうに思いました。
 三月に宮崎で、口蹄疫の疑いのある牛が一頭検査になりました。そして、結局それが誤診でありました。口蹄疫であったけれども口蹄疫でないというようなこと。それは結局、最終的に、おくれたことによって、四月二十日からの大発生につながります。
 もっと早く、あるいはもっと韓国の情報を真剣に、深刻に考えてさまざまな形で対応していたら、この誤診もなかったでありましょうし、ほかの県の立ち上がりも非常に早かったというふうに私は思います。今の時点で責任をいろいろとあげつらうつもりはありませんけれども、韓国の口蹄疫が発生してから、それからの対応はどうだったんですか。
○山田副大臣 韓国の口蹄疫が発生してから、農林水産省としても、直ちに繰り返し各都道府県に対して情報提供を行ってきております、万全の措置をとるように。
 先ほども話しましたように、韓国からの入国については、人に対しては靴底の消毒、及び車についても消毒等の散布、そういったことを徹底してやってきております。
 また、前回の口蹄疫発生のとき以来、平成十六年には防疫指針というものも決めておりまして、宮崎県とも、いざといった場合の埋設場所についてどうするかということの打ち合わせも農水省としては既にやっておりました。宮崎県、そして今回の川南町におきましても、できるだけ埋設地は口蹄疫発生の隣接地区というか隣の地域にやりたいという話を、県を通じて農水省も聞いておったところです。
 農水省としては、この口蹄疫対策については、韓国の発生あるいはそれ以前から、十二分に、十分な警戒対策はとってきたつもりでございます。
○坂本委員 末端においては、これは都道府県も一緒、それから各畜連、畜協も一緒です。そこまでの深刻さ、緊迫感が伝わってこなかったということは、やはり何らかの緩みがあったというふうに思います。しかし、それはこれからいろいろ、今度の感染経路も含めて調べることでありますので、現状、今隣県がどうなっているかということをお伝えいたします。
 これは熊本も大分も、そして鹿児島も一緒でありますけれども、市場がすべて閉鎖をいたしております。熊本の五つの市場がすべて閉鎖しております。一カ月に一回開くところもあれば、二カ月に一回開くところもあります。ですから、二カ月に一回開くところは、四月に開く予定だったのが、中止になりましたので今度は六月。しかし、終息宣言が五月末に仮に万々が一あったとしても、以降三週間は移動制限でありますので、これは六月も開けないということで、この三カ月、四カ月、まさに無収入、そしてえさ代だけがかかるというようなことになっております。
 特に、阿蘇は放牧地帯であります。普通ならば冬を迎えるころ、十月、十一月、放牧した牛を里の畜舎に帰すわけですけれども、今帰しております。今の状態で、シカやイノシシや、こういった偶蹄類、偶蹄動物からの感染も非常に心配でありますので、今畜舎に戻している。そして、その中で、放牧しておれば粗飼料を食べるわけです、牧草を食べるわけですけれども、やはり畜舎に帰せば濃厚飼料でなければならないということで、えさ代その他も大きくかかっているところであります。
 それから、阿蘇も鹿児島もそうですけれども、観光牧場というのがいっぱいあります、触れ合い牧場あるいは体験牧場、搾乳牧場。ゴールデンウイーク中は、こういうものはすべて閉鎖になりました。一年間の収入源の大きなものを占めますけれども、これも収入ゼロということになっております。
 また、養豚農家が、熊本の場合には宮崎の小林に出荷をいたします。小林の屠場に持っていきます。ところが、共同で持っていくわけですけれども、養豚の場合には非常に感染力が強いということで、その運搬する車両を、熊本にまた空になったものを持って帰ったときに、今度は牛の方の畜産農家から、うちの畜舎の近くにそのトラックは置かないでくれというようなことで、養豚農家と肥育、繁殖農家のいろいろないさかい、いざこざ、こういったものも出ている現状であります。
 そういう中で、非常に、隣県も宮崎と同じように、鹿児島、大分、熊本。大変な負担とそして不安を抱えているというのが実情であります。
 そこで、やはり、これからの問題として、そういった農家に対してどうするか、どういう融資をしていくかというようなことであります。
 大臣は、さきの農林水産委員会で、宮崎については、移動制限区域あるいは搬出制限区域以外にも家畜疾病経営維持資金を適用するというふうに言われました。しかし、これは九州を考えてみてください。エリアとして、そういう行政区でエリアを考えることはできないんです。宮崎の米良あるいは高千穂と、熊本の球磨そして高森は一緒なんです。あるいは、大分の久住高原と熊本の瀬の本高原は赤牛と黒牛が一緒に放牧されているんです。えびのは鹿児島と熊本と宮崎の県境なんです。すべてが行き来をしております。
 ですから、この家畜疾病経営維持資金を、搬出・移動制限区域以外の行政区域で宮崎だけというのはおかしな話で、やはり、その融資というものを宮崎県全域に適用するのであるならば、今市場が閉鎖して畜産農家が大変困っているこの四県すべてに適用すべきであると私は思いますけれども、いかがですか。
○山田副大臣 先般、赤松大臣から、宮崎県内にはすべて適用したい、そういうお話がありまして、隣接県も、市場については今はやめております。しかし、さらにその隣接の長崎県も佐賀県も、沖縄も市場は閉鎖しております。今は島根県、山口県も市場閉鎖している、そういうふうに聞いておりますし、今、どんどん各地で自主的に市場閉鎖、消毒を行っております。それについては、本当に各畜産農家は今大変な状況にあることは事実で、さらにその隣接県にあったらその隣接県にどうかという形になってまいります。
 今私ども考えているのは、大臣がこの前話しましたように、宮崎県においては、この家畜疾病経営維持資金の、いわゆる、市町村、県の負担も入れると無利息になる部分については、ぜひ宮崎県内においてやらせていただければ、今のところはそう考えているところでして、そのほかに実は、こういった場合の農家に対する対策資金がいろいろとあります。
 今までのセーフティーネット資金もございますが、セーフティーネット資金とか、肉用子牛の生産者補給金の月齢を延長したり等々するのも隣接県においては今適用させていただいております。そのほかにも、今回、市場に対して、再び市場が再開されたときの子牛の搬出に要する費用とか、そういったものに対する特別の助成も今検討しております。
 できるだけ農家の負担にならないように、かといって、無制限に家畜疾病経営維持、いわゆる市町村も含めての無利息の資金を拡大するというわけにもいかないだろうと思っておりますが、畜産農家がさらに再生産が維持できるように、できるだけ、これからいろいろと検討もしていくつもりでおりますし、いろいろな対策をとらせていただきたい、そう考えているところです。
○坂本委員 家畜市場を閉鎖するのは、それぞれの時期が違うんですよ。熊本も鹿児島も大分も四月に一斉に閉鎖をいたしました。長崎も佐賀も、様子を見て、これは大変だということでその後の閉鎖というふうになりましたので。
 やはり、まず隣県。これは、家畜疾病経営維持資金を宮崎県全体に適用するならば、その周辺、少なくとも隣接県。さっき言いましたように、大分も隣接している、熊本も隣接している、そして鹿児島も隣接している。隣接県の農家には、やはりこれは適用していただかないと困るというふうに私は思います。
 これはぜひやっていただきたいと思いますし、県の方も、それから市町村の方も、あるいは各畜協の方も、これが一番なんです。しかも、これは融資ですよ。確かに利子補給はあります。今、利子補給していただいて、一・三%ぐらいだと思いますけれども、これにまた利子補給をしていただいて、そして、市場が再開したら優先的にそこから返済していくわけですから、それほど財政負担にはならないというふうに私は思います。
 今は、例えば阿蘇の場合には、南阿蘇畜産協同組合というのがありますが、ここでどうしても融資ができない、維持ができないということで、阿蘇農協の方が新たな制度をつくって、農協が単協で対応しております。しかし、これも一カ月しかもたないと思います。二カ月、三カ月はもたない。
 ですから、やはり私は、限度額二千万円までだったですか、家畜疾病経営維持資金、これはぜひ、隣県ということで、まず第一弾で適用をお願いしたいと思いますが、もう一回、決意をお伺いいたしたいと思います。
○赤松国務大臣 坂本委員から、隣県の立場で、そういうお話がございました。
 私どもも、もちろんこれは広げられれば広げられるほどいいんですけれども、今お話ありましたように、実際市場を閉鎖しているのは、沖縄とかそういうところも含めて、必ずしも隣県ばかりじゃなくなっておりますので、まず、そこに広げたときに、では長崎はどうするんだ、沖縄はどうするんだ、島根はどうするんだみたいなことになってくる。また、そのときに所要金額が一体どのぐらい要るのかということで、何か聞きますところ、鹿児島は宮崎県と同じように、半額は国、半額は県、市がということで、そういう今、利子補給、事実上無利子という形になっているようでございますけれども、御趣旨を体しまして、一回、坂本委員のお話のようなことができるのかどうか、しっかり検討をさせていただきたいと思います。
○坂本委員 ぜひ、これは大臣でなくても、政務官でも副大臣でもいいですから、隣県の方もお伺いしていただきたい。九州全域になるかもしれないし、隣接する県になるかもしれませんけれども、どういう状況でいるのか。
 そしてやはり、養豚農家と肥育や繁殖農家との、いろいろな畜産農家同士のお互いの批判合戦などというのはあってはいけないことでありますので、そういうことで、畜産農家というのは大体、生き物を養っておりますので感情的な部分が多く出ますので、ぜひその辺のところは、宮崎県対策プラス隣県あるいは畜産地帯対策ということでお願いを申し上げたいと思います。
 それから、先ほど古川議員が尋ねておられました特別交付税措置、これも私たちとしても非常に不安なところでありますが、報道が先行して、どれだけ総務省と農林省の間である程度まで詰めた形で行われているのか、これが不安でなりません。
 きょうの私のところの地元の新聞は、「全額補償へ特別交付税 総務相「被害対応で検討」」というようなことが載っておりますし、ほかの新聞にも載っております。本来ならば、家畜伝染病予防法の中で交付金が出る。そして、またそれに総務省の方で残りを、五分の一を上乗せするというようなことですよね。
 それ以外にも特別交付税としてやはり交付してもらいたいのは、今、消毒ポイントで消毒をやっていますけれども、これは単なる消毒液だけではなくて、やはりプレハブが必要であります。仮設トイレが必要であります。そして、熊本は今六十人全部出てやっておりますけれども、農協の職員、市町村の職員、そして県庁の職員では足りずに、民間の警備会社を雇って消毒をやっております。この四月から五月にかけて、もう既に一千五百万。また、県境はどうしても、山間地域でありますので、消毒液を薄める水、そういったものがありません。下の方からトラックで運んでこなければならない。その借り上げ代も要るということで、人件費、残業費、あるいはさまざまなそれに関する物件費、こういったものがいっぱい出てくるわけですね。
 プラス、その補償の五分の一について、すべてに対して交付税措置というのをきちんとしてやるのかどうか、その辺の農林水産省と総務省の仕分けというのはどういうふうになっているのか、どこまで話されているのか、自治体にとっては非常に心配なところでございますので、きょう、総務省から政務官に来ていただきましたので、御答弁をお願いしたいと思います。
○小川大臣政務官 お答え申し上げます。
 既に補助事業の対象経費につきましては、法定分を含めて十分な措置をするように努力をしておりますし、自治体が単独で行ったものについても、現在、二分の一ということでございますけれども、特交措置をしているということでございます。
 委員御指摘のさまざまな、プレハブや手当や、あるいは水も含めて、いろいろな需要があろうかと思いますので、これはよくよく、その算定の際にそれぞれの地域の実情をお聞きしたいと思っております。
 加えて、かねてから議論になっております五分の一の点でございますが、折しも、朝、総務委員会で、御党の小里委員の質問に対して大臣がこのように答弁をいたしております。これは、昨日、宮崎県の東国原知事とお目にかかった上での総務大臣の見解でございますので、正確にお伝えをさせていただきたいと思います。
 五分の一については、県が例えばやってくださったものを、今まででいうと、その二分の一を特交措置をしているわけであります、じゃ、この本当に二分の一の特交措置でいいのか、過去の鳥インフルエンザやBSEといったところはそうでしたけれども、今回の場合は、むしろパンデミックに近い危機管理の措置まで考える必要があるんじゃないかと。ただ、ここから大事なわけですが、そこについての理屈づけは今までとは違うということで、今私が指示をして、その論理立て、現行法でやれるところはまずすべてやるわけですが、やれないところについても検討を深めなさい、農林省と具体的な対応策について調整を指示したところでございますと。
 総務大臣は、今までの措置で十分とは決して考えておりません。しかし、いずれにしても特別交付税そのものは地方の共有財源ですから、他の自治体にも十分理解が得られる形で分配を最終的に決めなければならない。そこに当たっては、幾つかの論理立てなり状況整理、分析が必要だという、その課題をクリアするために、最終の調整を農林省と懸命に続けさせていただきたいと思っております。
○坂本委員 総務省にいらっしゃった小川政務官ですのでこの場でお答えできると思いますけれども、今言われた理屈づけの中で、通常ならば総務省としてできないところ、あるいは農林水産省にやってもらいたいところ、総務省としてはここまでしかやれませんよというようなところはどこですか。
○小川大臣政務官 若干個人的な見解が織りまざることをお許しいただきたいと思いますが、総務大臣としては、真に必要な地域の財政需要については全面的にバックアップしたいというのが基本であります。交付税は、普通交付税の世界で全国標準経費を一生懸命算定しておりますが、これではどうしても拾えない経費がある。これを一生懸命に拾おうとしているのが特別交付税措置でございます。
 しかしながら、申し上げたとおり、あくまで全国の共有財源でございまして、なぜにそこにそれだけの経費が特別に行くのかということに対しては相当な説明責任が求められる。例えば、現在、全額措置をしている項目としては、予防接種で事故があった場合の補償措置、それから不発弾の処理に係る事業、あるいはハブにかまれた場合の措置等幾つかの例外はございますが、国がしっかりとした意思表示、意思表明していることをサポートする形で自治体の費用負担を応援するというのが基本であります。
 お尋ねに戻りますけれども、そうしますと、今回ぜひとも必要なのは、これまでの家畜伝染病の流行と今回は異なる、パンデミックであり、激甚災害であり、あるいは大変な危機管理の局面だということを、一義的には所管をされる農林水産省で整理していただかなければなりません。そこをぜひ、総務省としては、もちろん政府の一員ですし、同じような思いを持っておりますので全面的に協力をしたいと思いますが、一義的には所管の農林水産大臣においてそこを整理していただく必要があるというのが総務省の立場でございます。
○坂本委員 農林水産大臣は、全部やるから心配するなというようなことで、私たちも心配したくはありませんけれども、いかに政治主導といえども、やはりそこには法の壁とか理屈とか、そういうのがあるわけですね。
 ですから、私は、各自治体、あるいは、これから多分ほかの自治体もいろいろな対応策をとると思いますけれども、早急に、総務大臣と整理をして、そして二人で記者会見でもやって、総務省との間の声明文あたりを出して、そして、今のこの事態に対して農林水産省が一義的にはやるけれども、それ以外についてはこういうことで総務省と一体になって、あるいは、それが結果として国一体となって取り組むんだというようなことをやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○赤松国務大臣 同じようなあれになるかもしれませんが、もう少し丁寧にお答えさせていただこうと思います。
 もともと五分の一はほとんど、七割、八割ぐらいは畜産共済で全部補てんされるんです。その人たちがほとんどなんです。ただ、この共済に入っていない方が畜産農家の中にはあるので、では、その人たちをどうするかということなんですね。それから、あともう一つ問題があるのは、豚の方は、入っていても、必ずしもそれが五分の一分、全部評価がされない場合がある。だから、わずかですが、その差額をどうするかということが残るということなんです。
 原口総務大臣とは、この件について数回にわたってもうお話ししておりますし、とにかくこれだけの事態なんだから、何とか基本的なことをしなければならないという認識では全く一致をしております。
 ただ、今、小川政務官も言いましたように、手続上、旧来にない形ですので、それは法改正でやるのか省令改正でいいのか、あるいは私が主張するように単なる予算措置、財政措置だけでできるのか。これをそれぞれの事務レベルで総務省と農水省が今しっかり、後でおしかりを受けないように、御批判を受けないように、きちっと法的にも、財政的にも、あるいは感情の上でも納得をして、皆さんが、こういう方式でやってくれ、いいやり方でやってくれたというふうに言っていただけるように進めてまいりたいと思っております。
○坂本委員 私が言っているのは、その五分の一の問題だけじゃないんですよ。それは、共済であったり家畜伝染病予防法であったり、そういう法に基づいて出せるわけですけれども、それ以外にも、言ったように、市町村職員の人件費、消毒ポイントにおけるさまざまな物件費、あるいは輸送費。それは、自治体がやるべきことと、あるいは、自治体ではなくて、緊急に備えて、いわゆる災害対応でやったことが混在しているわけですね。
 それをやはりきちんと仕分けして、総務大臣、農林水産大臣に、この部分はきっちりここでやりますというようなことを言っていただかないと、大体、地方自治体としては、交付税で、特交で見ますから大丈夫ですというふうに言われても、来た額を見ると予想したよりも少ないというのがこれまでなんですよ。自民党政権のときのことなんですけれどもね。だから、それをきちっとやっていただきたい。これは財源の問題もありますから、政治主導といっても、そう簡単にできるようなことでもない。だから、それをやはり声明としてやっていただきたいということなんです。
○赤松国務大臣 所管大臣として、今の坂本委員御指摘のような形で、私どもは畜産農家を守っていく、そういう立場でございますので、地元のそれぞれの知事さんたちともよく相談しながら、しっかり御要望を聞いて、また総務省の方にもお願いすべきところは農水省としてお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
○坂本委員 次の質問に移ります。
 熊本は、大きな系統外の企業的な牧場というのは余りないんです。系統に従って畜協でそれぞれが、零細とは言いませんけれども、各個人個人の畜産農家が多い。しかし、宮崎、鹿児島に行くとやはり大畜産地帯で、農家戸数にしましても熊本の三倍、一万三千ぐらい鹿児島だけでもおられますので、非常に系統外の大規模畜産企業が多いですね。
 今度、やはり隣県として一番不安をあおったのは、そういうところの、全国展開をしている、十万頭以上を養っている、そして宮崎で、鹿児島でこれだけ養っている、その中で百頭ぐらいが、あるいは二百頭ぐらいがどうもほかの県に移されたらしい、熊本に来ているらしい、あるいは球磨地方に来ているらしいとか、そういうことが非常に不安感をあおって、それが非常に恐怖感みたいなものにつながっております。
 こういう異常時に、私はそこは国の管理をきちんとすべきだと思いますけれども、球磨の農協あたりで聞いてみますと、その企業に電話するけれども、それは東京の本社の方に聞いてください、あるいは九州では対応できませんというような答えが返ってくるということでありましたので、緊急のときに、こういう系統外の大規模な企業畜産はこれからますますふえていくと思います、この管理と指導をやはり徹底するようにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐々木大臣政務官 複数県にまたがる大規模企業経営的な農家に対する管理の徹底ということでございます。
 移動規制、移動制限というのはやはり徹底をしていかなければなりません、特にこの口蹄疫の場合は蔓延性が非常に強いということがございますので。もちろん、家畜伝染病予防法でも違反した場合の罰金なども科すことにしているところでございますが、今お話がありました複数県に所在する大規模企業経営型農家等の関連農場については、関係自治体を通じて、関連農場の立入調査を実施させていただいてございます。異常の有無をそこで確認させていただき、異常はないというふうに報告を受けているところでございますが、極めて伝播性の強いものでありますから、今後とも引き続き指導に努めてまいりたいと考えてございます。
○坂本委員 我が国の畜産農家は、衛生意識とかモラルとかが非常に高いんですね。ほかの国と違うやはりすばらしいものがある。これ以上とにかく蔓延しないように、伝染しないように最善の策をとっていただきたいし、何よりも再建のための財源的な手当てを十分お願いいたしまして、質問を終わります。
○筒井委員長 次回は、明十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十五分散会

第174回国会 本会議 第28号 平成二十二年五月十三日(木曜日)  
 議事日程 第十七号  平成二十二年五月十三日    午後一時開議

○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
(中略)
 宮崎県で口蹄疫の問題が発生していることを知りつつ、赤松農水大臣は連休中に遠く中南米まで外遊に出かけ、対応が後手に回った結果、多くの畜産農家を苦しめております。
(後略)

第174回国会 外交防衛委員会 第15号 平成二十二年五月十三日(木曜日)   午前十時五分開会
  本日の会議に付した案件
 (宮崎県で発生した口蹄疫への対応に係る自衛隊の災害派遣に関する件)

○佐藤正久君 最後に、四月二十日に宮崎県の川南町で発生しました口蹄疫、これ被害がどんどんどんどん広がっています。この初動対処というものはやっぱり問題だと、いろんな今話が出ています。
 その中で、防衛省・自衛隊、五月一日に派遣要請を宮崎県知事から受けまして、今派遣をされている。本当に暑い中、防護服を着ながら頑張っているという姿を私もニュース等で見ておりますけれども、八日以降、やはり被害の増大に従ってそれが増えている、派遣数も増えている。今後やっぱり宮崎県と連携しながらこれを対応していかないと、というふうに思いますけれども、現在の活動状況、今後の対処方針、これをお伺いしたいと思います。
○副大臣(榛葉賀津也君) 大切な御質問をしていただきまして、本当にありがとうございます。
 今朝も、朝のワイドショーやニュースでこの口蹄疫のニュースがございました。養豚業者や酪農業者の苦しい声や、そういったものは報道あるんですが、それを実は今処理をし対応しているのが現場の自衛官である、自衛隊であるということはほとんど実は言及がないわけでございます。
 だからといってどうこうということではございませんが、いずれにせよ、この口蹄疫の問題は今大変拡散というか拡大、被害が拡大をしておりまして、十二日現在で七十一例が報告をされ、牛が五千八百九十四頭、豚が七万一千二百七十四頭、計七万七千頭以上もの家畜を今殺処分をし、これを穴を掘って埋立てをするという作業を実は自衛隊がやっているということでございます。
 加えて、殺処分した家畜だけではなくて、ふん尿も、これは菌が入っている可能性があるということで、それをわらを入れて、その処分もすべて今自衛隊がやっているということでございまして、五月一日から十日まで、ゴールデンウイーク中でしたが、これすべて返上しまして約百名の規模の人員を派遣をいたしました。
 さらに十一日から、新たに車両消毒ポイントの支援を二十四時間体制で開始したため、現在この規模を一・五倍増員いたしまして、百六十名規模の人員を今派遣をしているということでございます。派遣人員が約百六十名、延べ人数で千三百七十名、車両が三十両、延べ四百九十両ということで、現在、都城駐屯地の陸上自衛隊第四三普通科連隊長を中心として、埋却場所の掘削作業であるとか殺処分した死体、汚物の処理、運搬、そして埋却作業、そして消毒作業を実施をしているということでございます。
○佐藤正久君 そこは、川南町は扇状地でありまして、掘るとすぐ水が出る。海岸の近くでは三メーター掘ると水が出る。五メーター、三十メーター、深さ五メーターぐらいの穴を掘っても、そこに牛であれば五頭しか埋設できない。非常に土地探しの問題や苦労をしている。だから、いかにそれを押さえ込むか。自衛隊の方には大変だと思いますけれども、本省としても支援方よろしくお願いしたいというふうに思います。
 いろいろ今日議論してきましたけれども、やはり単に迷惑施設あるいは迷惑訓練をどこかに持っていくというんではなくて、やはり抑止力の観点というものを維持をしながら、そして負担の軽減を図っていくという分野を大きな議論からいろいろしていきたいというふうに思います。長島政務官には、今後ともこの委員会にどんどん出席していただいて、専門的な知見をまた披露していただきたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

第174回国会 農林水産委員会 第8号 平成二十二年五月十三日(木曜日)   午後四時五十二分開会
  本日の会議に付した案件
○農林水産に関する調査
 (口蹄疫問題等に関する件)

○委員長(小川敏夫君) 農林水産に関する調査を議題といたします。
 口蹄疫問題等に関する件について政府から報告を聴取いたします。赤松農林水産大臣。
○国務大臣(赤松広隆君) 宮崎県で発生した口蹄疫に関して御報告いたします。
 初めに、口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げます。また、私自身宮崎県に伺い、宮崎県知事始め現場で防疫対応に従事されている方々から現場における課題などについてお聞きしたところでございます。口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで昼夜を問わず防疫対応に当たっておられる方々には心から敬意を表します。
 宮崎県において、四月二十日以降、七十六例の口蹄疫の発生を確認しております。農林水産省は、第一例目の発生を四月二十日未明に確認したため、同日九時に私が本部長である口蹄疫防疫対策本部を立ち上げたところであります。宮崎県と一丸となって、感染拡大の防止を第一に、殺処分等の防疫措置や、発生農家及び関係農家の経営再開・維持のための対策を実施しています。
 口蹄疫は、牛豚等の病気であり、人に感染することはありません。また、感染した牛豚の肉や牛乳を摂取しても人体に影響はありません。このことを国民の皆様にお知らせし、報道関係の皆様にも冷静に対応していただいているところでございます。
 まず、防疫措置の実施状況について御説明いたします。
 これまでのところ、二十一例については殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、五十五例については防疫措置を実施しているところです。
 こうした防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行っております。具体的には、農林水産省の幹部を宮崎県口蹄疫防疫対策本部に常駐させ、現場で指揮に当たらせるとともに、獣医師等を殺処分等の防疫措置に当たらせており、本日までに延べ一千四百七十一人を派遣しています。また、五月一日からは、宮崎県知事の派遣要請を受け、自衛隊が防疫作業に従事し、本日までに延べ一千三百七十人が派遣されています。
 専門家から成る牛豚等疾病小委員会においては、現在のところ、本病の発生は、半径十キロメートルの移動制限区域のうち、おおむね三キロメートルの範囲に収まっており、現行の防疫措置の徹底が重要であるとしています。
 感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる現地調査や、発生農場に関する情報の収集、分析、ウイルスの解析を実施しており、五月二日には、今回のウイルスが香港、韓国と近縁のものであることを確認いたしました。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
 また、宮崎県並びに隣接県である大分県、熊本県及び鹿児島県全域において、全額国庫負担により消毒薬を配付し、散布を行っています。本病の蔓延防止のためには、各農家等における消毒や衛生管理が極めて重要であることから、各農家等における散布の徹底をお願いしています。
 さらに、全国の牛豚等の飼養農場に対し、緊急調査を実施し、これは五月三日と書いてありますけれども、今日時点で宮崎県以外に口蹄疫の発生は確認されておりません。引き続き、各都道府県を通じ、全国の農場に早期発見、早期通報の徹底を指導してまいります。
 なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止等が行われることがないよう適切な対応を求めております。
 各地方農政局・地方農政事務所等の千七百名の食品表示Gメンの職員が、五月十三日時点で、七千八百五十九店舗の小売店を巡回し、「宮崎県産の牛肉は使用していません」など消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された三店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
 次に、発生農家の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明します。
 今般の口蹄疫の発生に伴う家畜の殺処分の実施や移動・搬出制限により、経済的な影響を受けることとなる畜産農家の経営を維持するため、農林水産省としては、まず、殺処分した疑似患畜について、家畜伝染病予防法に基づき手当金を交付するほか、発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。
 これに加えて、四月二十三日に関連対策を発表し、また、その後の発生事例の増加及び発生地域の拡大に伴い、同三十日には更に追加的な対策を講じることとしたところであります。
 具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大し、融資枠を二十億から百億に拡大しております。
 家畜を出荷できない搬出制限区域内における畜産農家については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金を免除するほか、滞留する子豚の淘汰や出荷適期を超えた肉豚の出荷に対し助成金を交付するとともに、宮崎県、大分県、熊本県及び鹿児島県において肉用子牛生産者補給金における飼養開始月齢の要件や肉用牛肥育経営安定特別対策事業における登録月齢の要件を緩和することとしています。
 このほか、出荷できない肉用子牛を農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する補助など、諸般の対策を行うこととしております。
 農林水産省といたしましては、引き続き、口蹄疫の蔓延防止を最重要課題と位置付け、関係府省の御協力をいただきながら、宮崎県と一丸となって防疫措置を的確に実施してまいります。また、口蹄疫に関する国民への正確な情報提供を徹底し、冷静に対処したいと考えており、国民の皆様には御協力をお願いいたします。さらに、地域経済への影響を最小限とするよう経営支援対策の円滑な実施に全力で取り組んでまいります。
○委員長(小川敏夫君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○外山斎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。
 本日は、農水委員会で発言させていただく機会をいただき、本当にありがとうございます。
 それでは、私の選挙区でもあります宮崎県において発生している口蹄疫に関して質問をさせていただきます。
 四月の二十日に発生が確認されてから三週間以上がたちました。被害件数は七十六例、既に七万八千八百頭以上の家畜の殺処分が決まっております。
 赤松大臣には、四月二十二日、民主党の宮崎の国会議員団で要請に行って、すぐ迅速に様々な対応をしていただいたことには感謝を申し上げます。しかしながら、口蹄疫の感染の拡大というものは止まっておりません。まさにパンデミックと言っても過言ではないような状態が続いているわけでありますが、これは宮崎県だけの問題ではなく、我が国全体の問題にもなるので、そこで質問をさせていただきます。
 今回の口蹄疫を受けて、国、県、そして発生自治体、またJAさんなどで様々な対策本部が立ち上がっております。しかしながら、やはり連携が取れていないという問題で、多くの団体からの要望の中に、国の対策本部を宮崎の方に移して、そこで国が統括してそれぞれの対策本部に連絡を密に取ってリーダーシップを張って指導をしていっていただきたい、指揮をしていっていただきたいという要望がありますが、私もそう思っております。
 今、農水省として、農水大臣として、宮崎に対策本部を移す考えがあるのかどうか、そこに関してお尋ねいたします。大臣でお願いします。
○国務大臣(赤松広隆君) 実はそういう議論は衆議院の方でもございましたけれども、地元の皆さんのお気持ちからすれば当然そういうこともあり得るだろうと思います。しかし、本部長であります私が今、これもおととい、今日、あしたと、連日実はこの口蹄疫ので委員会やるんですね。ですから、そういう中で、ほとんど多分宮崎に行くことは、あるいは常駐することは難しいと。
 そういう中で、私どもとしては、形式的に本部を移すということよりも、実質的に農政局の部長を、担当部長を現地に常駐をさせまして、そして職員も十数名配置をしていたんですが、それではまだ不足だということで、今百三十名、全国の、本省はもちろんですけれども、農政局からも、今地方も本当に人がないんですけれども、こういう事態だからということで御理解を得て、今百三十名現地に投入をいたしております。
 そして、獣医さんについても二十五名、そして各都道府県から二十五名、合わせて五十名の体制、宮崎県は二十名、合わせて七十名ですが、これでも足りないというので、実は宮崎県を除く部分、今五十名ですが、これを倍の百名にしようということで、既に何名かがもう昨日ぐらいから入って、この数日のうちに百名体制ができるということで、実質的に国、県、それから市町が一緒になって力いっぱい連携を取りながら対策をしていこうということで考えておりますので、今本部を宮崎県にというお話でしたけれども、このこと自体は、私は必ずしもそうすることがいいのかどうか。
 しかも、宮崎はもちろん大変だということは分かりますけれども、むしろこれがほかの近県に広がらないように、あるいはもっと飛び火して日本全国に広がらないように、全体的なやっぱり対策は東京できちっと取った方がいいのではないかというふうに思っておりますので、少し委員の御趣旨とは違うかもしれませんが、ただ、現地に向けての体制だけは、より強い形で万全の体制を取りたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 しかし、もしその百数十名、今現在、農水省の方から宮崎の方に送っているといっても、これが連携が取れていなかったらそこは問題なんです。連携が取れていないから、そこを国がちゃんと指導していってほしいというから要望が私は上がってきていると思うんですけど、そこについて今後も考えを変えるつもりはないのか、もう一度お尋ねいたします。
○国務大臣(赤松広隆君) ですから、それは本部の問題ではなくて、むしろ国、県、市の連携の問題ですから、これは、例えば一例でいえば、今朝も、昨日か、昨日の夜か午後だったと思いますが、東国原知事の下の次長さんから連絡がありまして、例えば埋却地、埋却場所についても、私どもが、生産者の人たちが国有林を是非出してくれ、分かりました、じゃ出しますと私が言っても、こちらで町長さんが、いや、そこに埋めてもらっては困るんだ、私は反対ですみたいなことで意見が現地でも違っちゃうというようなことで、これはもう現地で調整してくださいよ、国が協力できるものはもういかようでもやりますからというお話をしていましたら、昨日の夜、そういう連絡があって、東国原さんが該当の町、市の人たちを集めて、そして埋却場所についても、まだ決まっていないところについても、ほぼ全域どこに埋めるか、今後出た場合はどうするかということについてもほぼ見通しが立ちましたので、御心配掛けましたということで連絡をいただきました。
 事ほどさように、そういうやっぱり連携を密にしながら、国と県とそれから町が、あるいは市が一体になってやっていくことが必要だと思っておりますので、家畜伝染予防法のこの法的な意味でいえば法定受託事務ですから、これは県が一応責任を取ってやるということにはなっていますけれども、だからといって国は知らないとか逃げるとか、そういう意味ではなくて、そういう昔でいう機関委任事務になったとしても国がやはりできる部分というのも多いわけですから、これは積極的にやっていこうということだと思います。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 是非、まだ現場の方からは連携が取れていないのではないかという声が数多く上がってきておりますので、密に、積極的に連携を取っていただきたいと思います。
 発生してから三週間、先ほども言いましたけど七十六例、殺処分は七万八千八百頭以上と被害が拡大しております。特に、当初は発生件数が一日数件だったものが、五月五日以降、一日十例とか、そういうふうにどんどんどんどん大きくなってきております。
 農水省としては今の防疫体制が成功していると思っているのか、そこに関してもお尋ねいたします。これも大臣でお願いいたします。
○副大臣(郡司彰君) 私の方からお答えをさせていただきたいと思いますが、防疫のこれまでの体制が十分であったかということだというふうに思っております。
 今考えられる対策、そして十六年にでき上がりましたその方針に基づいて行っているわけでございますけれども、今のところその区域内に閉じ込めるという当初の目的については達しているのではないかというふうに思っております。
 しかも、小委員会等の見解によりますれば、風等によって拡散をするというようなことは現在のところ考えにくい、人と物によって伝播をするというような可能性が高いというようなことからすれば、現在の対策においてその範囲内に閉じ込めているということについては効果が上がっているというふうに認識をしているところでございます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 しかし、制限区域内に収まっているから成功しているという見方もあるのかもしれませんが、私は、これは防疫体制がしっかりしているから押さえ込めることができているというよりも、土地的な問題、例えば川があったりして、それでたまたま押さえられているのではないかと思っております。
 しかしながら、移動制限区域内ではパンデミックのような状態で次から次へと感染が拡大していって、現場の人たちも大変おびえていらっしゃいます。
 そこで、この間、全く知らない川南の農家さんからお手紙をいただきました。ちょっと読ませていただきますが。
 私と父は一緒に川南町で畜産業を営んでおります。御存じのとおり、川南町は口蹄疫の発生によって大変な状況に追い込まれております。毎日毎日新たな感染が確認され、昨日の時点で既に六万四千頭もの牛や豚が殺処分が決まっております。これは川南町にとどまる問題ではありません。都農町やえびの市だけの問題でも、宮崎だけの問題でもありません。国を脅かす問題なのです。どうか、どうか私たちを助けてください。町内の農家が一軒、また一軒と口蹄疫によってつぶされております。みんな、あしたは我が身で生きております。毎日が恐怖です。
 当然、口蹄疫が発生した農家には知人や知り合い、恩師とも呼べるかと思います。口蹄疫が発生した農家が何をするか御存じですか。獣医さんたちから有罪、死刑宣告をされる。まずするのは周辺への連絡です。泣きながら、謝りながら、うちには近づくな、おまえのところだけは守り切れと電話するんです。畜産業をしていても全く情報が入らず、おびえている仲間に少しでも情報を流し、危険地域を教え、そして泣きながら謝るんです。発生させて悪かった、迷惑掛けて悪かったと謝るんです。
 それから自分たちで埋葬する場所を探すんです。埋葬する場所が決まり、殺処分の日が来るまで、殺すことが分かっている牛や豚に精いっぱいたくさんのえさをあげるんです。すべてが無駄になることを承知で、できる限り愛情を注ぐんです。守ってやれなくて済まなかった、助けてあげられなくて済まなかった、うちの牧場で生まれてこなければこんなことにはならなかったのにと謝りながら、えさをやるんですと。
 こういうメールもいただいております。
 実際、パンデミックのような状態で広がって、多くの農家の人たちが、特に川南町ですけれども、おびえて暮らしているのが毎日なわけであります。
 そこで、様々な団体からもいろいろな要望をいただいているわけでありますが、口蹄疫の対策としてお隣の韓国は、発生した農家から、実際は何か五百メートルらしいですけれども、三キロを、すべての農場、それは発生していなくても、すべての農場の牛や豚を全頭殺処分するという方針でやっていると聞いておりますが、この宮崎県の場合でも、発生した農家を大体見てみますと、以前発生した農家から数百メートルとか、遠くても一、二キロのところで発生しております。
 そういう意味では、これは国が考え方をちょっと変えていただいて、発生した農家から一定のエリア、そこに関して殺処分を行わなければ、これは私は今やらなければほかのエリアにも、その制限が掛かっていないエリアにも感染が拡大するのではないかと大変心配しているわけでありますが、そういった発生していない農家にも、一定のエリアですね、そういったところの全頭殺処分に関して、今、国としてはどういった考えなのか、お聞かせください。
○副大臣(郡司彰君) 今委員の方からお寄せをいただいた手紙の内容をお聞きをさせていただきましたが、大変に地域の現実に目の当たりにしている皆様方にとっては大変なこと、重大なことだというふうに私どもも認識をしているところでございます。
 韓国において行われております予防的な殺処分ということについてでございますけれども、現在の制度について見ますれば科学的な根拠がなしに健康な家畜の予防的な殺処分ができないというような規定になっていることは御存じの上で、そのことを変えることができないのかということについても言及をされているんだというふうに思っております。
 先ほどのお話の中にありましたように、かわいがっていたその動物を処分をするということはこれは耐えられないことだろうというふうに思っておりまして、その兼ね合いから申し上げましても、先ほど言ったように、言わば健康なそうした動物、牛豚等を処分をするということを国が決めるというようなことが本当にできるんだろうか、その辺のところについて、例えば買上げということにつきましても、強制力がない中で行うということが徹底ができないというようなことの問題も起こってくるというふうにも予想されておりまして、今の制度の中で国として予防的な殺処分を行うということはなかなか考えできにくいというように私どもは判断をしているところでございます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 国としてはできないのかもしれませんけど、こういった要望というものは本当いろいろな様々な団体から来ているわけであります。それがもし全頭殺処分というのができないのであれば、ほかの要望としてあるのが口蹄疫のワクチン、これを使ってくれという声も、リングワクチンとして使ってくれという声もあります。
 そこでお尋ねいたしますが、家畜伝染病予防法第三十一条の規定に基づいたら、口蹄疫のワクチンを接種することはこれは可能だと思います。国は口蹄疫ワクチンを備蓄しているわけでありますけど、これはどういう場合を考えて備蓄して、どういう場合に使おうと考えているのか、そしてまた、今のような状況では使うかどうかに関していつぐらいに判断するのか、そこをお聞かせください。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
 現在、ワクチンの使用につきましては、大量の患畜が発生して殺処分と移動制限では感染拡大を防止できない緊急の場合に限定して使用をすることとしております。
 現行の口蹄疫ワクチンにつきましては、口蹄疫の症状を抑制するものの、感染を完全に防御することはできません。つまり、接種した場合に、感染家畜の摘発が遅れ、かえって我が国で感染を拡大させるおそれがあると、そういった懸念がございます。そういう中で、また清浄性確認のための検査に支障を来し、清浄化までに要する期間が長期化するといった、こんな問題も指摘されております。
 そういう中で、基本的には殺処分と移動制限によってウイルスを根絶することを基本としているところでありまして、現在は何とか移動制限区域内にこの蔓延がとどまっているということを見ますと、移動制限や消毒等の防疫措置は一定の成果を上げているのではないかと、そんなふうに認識しております。
 つまり、今回の口蹄疫につきましては、今後とも厳格な消毒や迅速な殺処分等の現行の防疫措置を徹底すべきだと、そういった意見が牛豚等疾病小委員会からも出されておりまして、こういった消毒の強化、殺処分、蔓延防止の一層の迅速化のために人的支援を強化していこうということでありまして、先ほど大臣からもお答えしましたけれども、例えば、国からも農政局から百三十人ほどの人員を派遣するとか、それから、さらに獣医師等の派遣、またほかの都道府県にも協力を呼びかけていろんな支援の人員派遣を国が調整をしていると、そういったことで、できるだけ現場で混乱なく、遅滞なく様々な防疫措置ができるようにと、それを基本としてこのウイルスの蔓延防止に努めているところでございます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 今のお答えだと口蹄疫ワクチンを使用することはないということだと思いますが、様々な団体から要望が来て、口蹄疫ワクチンを使ってくれということは、皆さん、制限エリアから感染が飛び火するのではないかということを多分心配されて言われているんだと思いますので、どうか現場の意見を、要望というものを酌み取っていただきたいと思っております。
 そしてまた、今日の宮日新聞に、川南はもう手遅れ、犠牲は自分たちで十分、私たちにとって牛や豚は家族だけど、川南の家畜全頭を殺処分してでも感染拡大を食い止めてほしい、こういった養豚農家の声もあるということを分かっていただきたい。そういう意味では、今、もう多分この一、二週間がこれを、感染を拡大させるかそれとも本当に押さえ込むことができるか大変重要な時期だと思っておりますので、農水省におきましてもそこ辺りをしっかり対策も含めてやっていただきたいと思っております。
 それでは、支援策についてお尋ねをいたします。
 家畜の経営に関してはいろいろな形態があると思いますが、その中で牛の所有者から牛を預かって世話をする預託農家というものがあります。今回の国の支援策では、もしその預託農家さんから発生しても受けられるのは融資ぐらいしかありません。預託農家さんというのは小さい零細農家さんが大半なわけですから、今の国の支援策ではその預託農家さんの生活が立ち行かなくなるのではないかと言われております。そこに対して十分に対策を打っていただきたいと思いますが、農水省としてはそこ辺りの支援はどのように考えているのか。
○副大臣(郡司彰君) 今御指摘がございましたように、預託をされているという形態があろうかというふうに思っております。
 家伝法上は、こうした場合、発生農家に対する手当金というものは殺処分をされた家畜の所有者に交付をするというようなことが原則になっている、このことについては御存じのとおりだろうというふうに思っております。
 今後、戸別農家ごとの形態が違うわけでございまして、その違いによって御指摘の経営を含めまして多様な問題が発生をするであろうというふうに思っております。一義的には宮崎県とも十分連携をして行いたいというふうに思っておりますけれども、個々の実情に応じた対応が取れるようにしていきたいというふうに思いますが、基本のところは当事者間での対応といいますか、話合いというものが基本になるだろうというふうなことも十分承知をしながら、今言いましたように、県の方あるいは当事者間と十分協議ができるような場を設けていきたいというふうに思っておりますし、また、融資につきましては、低利のものについて行うような形を今取らさせていただいているということでございます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。是非、預託農家さんにもしっかりした支援をしていただきたいと思っております。
 次の質問に入りますが、今回の口蹄疫を受けて様々な、農家だけではなく様々な業界に風評被害というものが出ているそうです。トラック協会の人から聞いた話では、宮崎ナンバーの締め出しというものも出ているようですが、これに関して国としてどのようにそういった情報を含めて分かっているのか、それとも、またどのような対策を打っていくのか、お聞かせください。
○政府参考人(桝野龍二君) 今般の口蹄疫の発生に関しまして、宮崎県のトラック協会が四月下旬に畜産物を扱う会員業者を中心にアンケートを取らしていただきました。いろんな影響が出ているというアンケートがございます。
 ちょっと御紹介申し上げますと、輸送のルートの変更によって労働時間が増えましたとか、燃料使用量が増えて困っていますとか、移動制限に伴って収入が減っていますなどという答えと併せまして、今委員御指摘のような、例えば宮崎ナンバーの出入りを渋る畜産業者がいるとか、あるいは隣接県の牧場に行ったらそこの牧場には入れてもらえなかったとか、そういう風評被害と取れるようなこともありましたというようなことがアンケートの中にはございました。
 協会としましては、このような情報を県等にお知らせをして適切な対処をお願いしているということを聞いております。
○外山斎君 是非、事実関係を把握されて、国としても、これは国交省だけじゃなく農水省の対策本部にもですけど、国としてこういった締め出しがないように徹底した指導をしていただきたいと思います。
 まだ質問はありますが、もう時間がありませんのでこれで終わらせていただきます。是非十分な対策、口蹄疫をこれ以上広がらせないように、政務三役も含めて農水省の方々には頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○松下新平君 私は、自由民主党の松下新平です。
 先ほど報告をいただきましたけれども、宮崎県で発生しております口蹄疫につきまして御質問をいたします。
 まず、宮崎県選出の議員として、この口蹄疫の集中審議をいただきました委員長を始め理事の皆さんに御礼を申し上げます。また、発生から三週間強になりますけれども、先ほど大臣からお見舞いの言葉もいただきました。これまで国、各都道府県からの御協力、そして取組に対する御礼を申し上げます。
 冒頭に、今日、宮崎県の方から要望をしておりました、宮崎の宝、口蹄疫から守れということで、種牛六頭の特例での避難をお認めいただきましたことをお礼申し上げます。宮崎牛のブランドを何とか維持しないといけない、その思いを国の方で特例をいただきましたことをまず御礼を申し上げます。ただ、この運用につきましてはいろいろ課題もございますので、これから注視してまいりたいというふうに考えております。
 さて、この委員会の途中にも地元宮崎の皆さんから悲痛な連絡を次々に受けております。今日現在で七十六例、七万八千八百頭が埋却されることになっております。そのうち豚は七万二千五百二十八頭でして、宮崎県全体のもう一割に迫る勢いなんです。四月二十日の第一例の確認からこのように拡大してしまいました。この第一例の確認から一週間後の四月二十八日からは、毎日毎日疑似患畜が確認されております。二十八日が三例、翌日が一例、翌々日が一例、五月に入ってから、一例、二例、二例、二例、四例、十二例、八例、六例、七例、十一例、四例、そして昨日が五例目でした。
 私も、四月二十日の疑似患畜の確認の連絡を受けて直ちに宮崎に戻りました。先ほど話がありましたけれども、手塩に掛けて育てて家族同然の牛を、豚を元気なのに殺処分する悲痛の叫び声が耳から離れません。その対象となられた畜産農家の皆さん、そして、いつ患畜、疑似患畜として認められるかおびえている農家の皆さん、また、二十四時間態勢で防疫や対応に当たっておられる皆さんのお顔を思い浮かべながら質問をしたいと思います。また、傍聴に来たくてもかなわない皆さんがインターネット等を通じてかたずをのんで見守っております。国の防疫の最高責任者として、大臣の力強い答弁を求めます。
 この口蹄疫、十年前にも宮崎で発生しました。私も、当時、宮崎県議会議員、私の選挙区で発症いたしましたので鮮明に覚えております。当時は九十二年ぶりの発生でして、だれも経験したことがありませんでした。どのようにこの防疫を取っていくか、文献をあさりながら、あるいは民間のマニュアルを引用しながら必死の思いで態勢を取りました。移動制限も二十キロ、五十キロ、今思えばかなり広範囲だったんですけれども、本当に試行錯誤で取り組んだわけです。
 当時、地元の江藤隆美代議士が先頭に立ってリーダーシップでこの問題を取り組んでいったということは、委員会でも、衆議院の方でも取り上げられました。江藤代議士は、これは宮崎で起きているんではない、日本で起きているんだと、日本で起きているんだと、そういう思いでこの口蹄疫の対策を取ってほしいと県内外に呼びかけたわけであります。
 十年前と現在の状況はかなり違っております。まず、畜産農家自体の体力が相当弱っております。景気の低迷によって枝肉の価格は下落の一途、そして、一方でえさは高騰を続けております。まさに農家の経営を直撃しています。そして今回の口蹄疫、まさにダブルパンチなんです。十年前の発生した場所は、比較的小規模の農家で、畜産業が密接しているところではありませんでしたから防疫体制も取りやすかった、そういった条件もありました。
 もちろん、今は、今なすべきことは防疫、広がらないことに全力を尽くしていただく。そして埋却、これは相当、七十二時間以内に埋却しないといけない牛豚が今そのまま放置されている状況、これにも全力を尽くさなきゃいけない。そして、心のケア、当面の資金繰り。大臣、このことは国もそして県もそれぞれのセクションで取り組んでいただいております。
 私が今日この場で大臣に確認をしたいのは、すべての施策のベースとなるこの口蹄疫の問題をどう認識するか、ベースですよ、どう認識をして事に当たるか。大臣、横に首を振っていらっしゃいますけれども、今から質問しますからよく聞いていていただきたいと思います。
 大臣が宮崎に来られました。三週間たっておりました。地元では、もっと早く入ってほしい、現地で実際の現場を見てほしい、そういった声を届けておりましたけれども、五月十日に宮崎に入られました。実は大臣、大臣が宮崎に入ってこられる最初の会合の県庁前では、前日まで農協青年部、若い人たちを中心に、みんな県下から集まって大臣にプラカードで訴えようという動きがありました。これは、仲間の畜産農家、何とか助けたい、自分たちにできることはないか、そういった若い人たちの思いからだったんです。結果として、実はこのプラカード、実施されませんでした。大臣、なぜだかお分かりでしょうか。
 一つは、移動制限をしいていますので、それによって感染が広がる可能性がゼロではない、そういったこともありました。中には、大臣がこれによって怒ってしまったら予算が付かないんじゃないか、そういった思いを巡らせた人もいたかもしれません。
 私たちは、そんな皆さんの思いをそれぞれの現場でお聞きし、大臣を迎えたんです。そして、県庁での会合が始まりました。
 衆議院の委員会でも取り上げられ、大臣からその様子も皆さんの前で披瀝がありました。私は、その次の段階、古川代議士が発言をして、大臣がこの発言を止めて次のようにおっしゃったんです。前段がありますけれども、参議院選挙前だからいろいろ言いたいことはあるだろうと。
 私は、選挙という言葉を出すのは不謹慎だと思います。確かに、我々政治家は選挙を全く意識しないわけではないんです。私も大臣の隣の隣に座っておりました。それまでは黙って聞いておりましたけれども、大臣があのタイミングで選挙という言葉を使った意味を考えていただきたいんです。被災した畜産農家の皆さん、二十四時間態勢で防疫必死でやっている皆さんが、政治家は選挙のことばっかり考えているのか、何しに来たんだと。
 私は、大臣の認識、申し上げましたように、このこと、認識が薄いからそういう言葉が出ちゃうんじゃないか、そのとき指摘しましたよね。大臣、この委員会で御答弁をお願いします。
○国務大臣(赤松広隆君) これは非常に重要なことですし、皆さん方は、その場におられた方もいるし、ほとんどはおられない方ですから、正確に申し上げます。
 元々、私がいつ行くかということはありましたけれども、取りあえず山田副大臣が自分で畜産もやっている、専門家だということで、連休前に山田副大臣に行っていただきました。いろんな希望も聞いてきました。そして、二十三日に第一弾、それから三十日に第二弾、そして連休を明けて私が十日にお邪魔をして、それでもなおかつ、もし足りないことがあればということで、それからもう一つは、これは与野党を問わず各議員の皆さんから、いや、大臣が行けば安心するから、施策の問題じゃなくて、施策はもう十分やってもらっているけれども、気持ちの問題で安心するから是非行ってくれと、そういうお話があって、いやいや、私が行って少しでも心が和らいだり、あるいは励ましになるんだったら喜んで行かせていただきましょうということで、実は秋田に行くのがもう一か月ぐらい前から決まっていたんですけれども、それを急遽巻き替えて行かせていただいたという経過なんです。
 そして、その前日か前々日に自民党の宮腰筆頭理事から官房長を通じて連絡があって、どうも大臣が行くらしいので、それは有り難いけれども、是非それは与党ばかりじゃなくて野党の自分たちも同席させてくれないかというお話がありました。
 衆議院ではもっとはっきり言ったんですが、かつては自民党時代にそういうことがあったかどうかはともかくとして、私どもとしては、特に地元の議員の人が、自分の県のことだから、与党だから野党だからといって、これ行きたいというそういう気持ちも議員の一人として分かるので、いいですよと、是非同席したいんだったら来てもらってくださいと。ただし、それは議員同士で議論をする場じゃないんだから、そして一日の限られた時間なので、現地の人たちの意見を聞くのが、私が直接聞くのが趣旨なので、悪いけれども、これは与党だろうが野党だろうが同席してもらうことは構いませんが、そこで発言したりいろんな意見を言ったり討論会になったり、そういうことはやめてくださいねということを官房長を通じて宮腰先生にはお話ししておいたんです。
 それでいいからということだったので、当日僕はどなたが見えるか知りませんでしたけれども、行ったら、与党議員もいたし野党議員もいたということで、そしてテレビも何十台か入って、知事室で東国原知事から直接いろんな説明を聞いて、あなた、何か新聞におれがやっていないみたいなことを言っているけど、そんなこと言ったのかと言ったら、いや、そんなことないです、もうちゃんとやってもらっています、感謝しています、ただ、今後はもう少し柔軟に取扱いをやってほしいという希望はありますと。ああ、それは当然だねということの議論から実は始まっていろいろやったんです。
 そうしたら、途中で知事のあれをまだ全部言い切っていないときに遮るようにして古川議員が急遽立ち上がって、知事の言うことに答えていない、けしからぬ、今日は江藤さんが来ていないのはこれこれのこういう理由で来ていないんだみたいなことを大演説を始めちゃったものですから、最初は黙って聞いていたんですけれども、途中で、古川さん、それちょっと約束と違うんじゃないですかと。そういう話をされると、与党の議員の人たちは黙って聞いているんですから、それだったら、私は、今選挙という話が出ましたけれども、七月の選挙を前にして、それならおれだって一言言いたいという方だって与党の中でもあるかもしれないから、そういう話は、議員の皆さんは国会で衆議院でも参議院でもいろんな質問したいとか文句言いたいとかそういう場があるんだから、今日は現地の人たちの意見を聞くんだからそれは遠慮してくださいということで僕はやめてもらったということで、その後、今度は知事の方も、まあまあまあ、やめてくださいよみたいな雰囲気でこうやって押さえて、そして具体的な要望、ここに持っていますけれども、例えば種牛をどうしてほしいとか、どこどこについては人が足りないので、あと、十分だと思ったけどもっと人をお願いしますとか、埋却の場所を、県もやっているんだけれども国も協力してもらえませんかとかいうようなことを六項目ぐらいずっとお話しになったというのが、そういうことです。それが事実経過なんです。
 それを皆さんが公平な立場で聞かれて、僕の言っていることが間違っているのか、古川さんやそういう人が言っているのが正しいのか、本当に判断してくださいよ。
○松下新平君 大臣、私、認識を聞いたんですよ。そして、そして、そして……(発言する者あり)いや、衆議院で質疑されたから、その続きを言いますと言ったでしょう。
 だから、大臣、私が何が言いたいかというと、選挙ということをあの場で、マスコミがいっぱいいらっしゃったと言ったでしょう、そこで言うのは適切じゃないでしょう。それを生産者の人が見たらどう思いますか。
○国務大臣(赤松広隆君) だから、僕が言ったように、別にあなたが選挙に出るからとか僕は言ったわけじゃないでしょう。七月に選挙を前にして、実はもっとはっきり言えば、民主党だって新人候補いるんですよ。それだって出てきたいと言ったんです。しかし、それは選挙目当てに来ているようなふうに誤解されちゃいけないから、渡辺君に、君は来ない方がいいよと言って、むしろ来させなかったんですよ。
 そこまで配慮して、僕らは選挙を絡めちゃいけないと、こういう問題は。与野党でやらなきゃいけないということをやっているのに、あなた自身が候補者になるということは僕は知っていますよ。知っているけれども、だからそういうことまで配慮して僕はやっているのに、それをとやかく言われたら、もう全く心外ですね。
○松下新平君 私が心外だと言っているんじゃないですよ。畜産農家の皆さんが、大臣がそういうことを言ったことに対してどう思うかということを聞いているんですよ。(発言する者あり)いやいやいや、違いますよ。大臣、やっぱり認識の問題なんですよ。
 大臣、じゃ、口蹄疫のことは農林水産大臣になる前に御存じでしたか。
○国務大臣(赤松広隆君) もちろんそれを専門に僕は勉強しているわけじゃないですから、ただ、平成十二年にそういうのがあったと、北海道と宮崎でそういうことがあったと、あるいはかつてイギリスで大変な数の処分がされていると、それは一般の方たちが知っている程度のことは私自身も認識しているつもりでございます。
○松下新平君 それでは、大臣に就任されて、今年の一月、韓国を中心にアジアで口蹄疫が発生し、蔓延しております。そのときに大臣はどのようにレクチャーを受けて、どのように指示をされたか、お伺いします。
○国務大臣(赤松広隆君) これは去年二月の台湾のときから実はずっと続いているんです。具体的に何日どうこうと、これは資料ありますけれども、こういうことを全国の酪農業者あるいは畜産業者に発出したいというようなことで、担当の消費・安全局なりからそういうことをやりますのでという報告を受けながら、ああ、それはもう是非周知徹底してくれよというようなことは、これは通常業務の中でやってきたということであります。
○松下新平君 それでは、今回の国内での発症について、大臣はいつ事務方から宮崎の状況も含めて報告を受けて、どのように対処されたんでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) それは十九日ですね。十九日の夜、今検体に行っているのがございまして、場合によっては口蹄疫かもしれませんと。ただ、その結果は夜中の三時か四時ぐらいしか分かりませんという話でしたので、もしそうであれば直ちに朝一で緊急対策本部を立ち上げるので、そのまず準備だけはしておいてくれということで、残念ながら夜中のファクスにそうだったということだったものですから、その朝、予定どおり第一回目の口蹄疫対策本部を立ち上げ、そこでその時点でできる方針を出したということであります。
○松下新平君 一月からアジアで猛威を振るって、四月ですよね、四月。この間にいろんな国内で事例もあったでしょうし、地元宮崎でもいろんなうわさもございました。そのことは御存じだったでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) そういうことは一切聞いていません。
○松下新平君 それは、防疫の最高責任者としてそれでいいんでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) それは、こういう委員会で、そういううわさがあるから知っているかとか、ちょっと宮崎で今こういうことをみんな心配しているとか、何か話があれば、あるいはそういう正式な委員会の場でなくても、通常でも農水省にいるわけですから、そういうお話があれば別ですが、宮崎県からも一切聞いていませんし、議員のどなたからも、これは与野党問わず、どなたからも私は何も聞いていません。
 そして、十九日に、何か後で振り返ってみると、実際には三月の末にそういうことがあって、宮崎県で家保の人が行って、どうこう判断して、これは違うだろうみたいなことでやられたということは後で知りましたけれども、しかし結果的に、その時点で私どもに言ってくれていれば、ちゃんとPCRの検査してやったら、もしかしたらそのときに分かったかもしれないと。しかし、元々それはうちに報告ないんですから、宮崎県の段階ですべて処理をされていたわけですから、これは分かりようがないということだと思います。
○松下新平君 今初動が問題になっているんですよ、大臣、御存じのように。大臣、それでいいんですか、防疫の最高責任者として。国と県は情報を取っていないんですか、それを大臣が把握しないでいいんですか、それが初動が遅れたことにならないですか。
○国務大臣(赤松広隆君) だから、宮崎県なりが国に何か相談してくれるとか、どうか分からないけれども一回こういうことが今あるんですとか、それは言っていただければ、それは、それを無視して何もしなかったというんだったら初動が遅れたとか何だとか、認識が甘いぞとか言われてもそれはしようがないと思いますけれども。
 それだけのことをもしおっしゃるのであれば、なぜあなたが僕に言わなかったんですか。だって、この前の委員会だっていっぱいそれまでにあったんですし、元々、だって、本当にこれはしらを切っているわけでもあれしているわけでもなくて、委員会でも話題にもならなかったし、それはもうやりようがないですよね。だから、何が足りないと言うんだったら、何が足りない、こうやってやるべきだったじゃないかというふうに言ってくださいよ。
○松下新平君 冒頭に申し上げたように、認識の問題なんですよ。大臣が僕に言うのは筋違いですよ。大臣は防疫の最高責任者として、韓国も発生している、アジアで猛威を振るっている、それで日本の防疫体制、初動で抜かりがないようにやる、それを指示すべきでしょう。
 実際、五月十二日付けの読売新聞、第一例目の確認が遅れたことについて、農水省の幹部ですよ、あの一週間が命取りになったと語っていますよ。また、農水省が設けた専門家会議、五月六日の会議では、終息に向かうだろうと楽観的な、これ楽観論も見られたんですよ。これらは明らかに初動対応のミスだと農水省自身が認めているじゃないですか。どうですか、大臣。
○国務大臣(赤松広隆君) だれがそういって言っているんですか。それは、新聞がどう書くかとか、じゃ、新聞の書くことが、正しいことは七割ぐらいあるでしょうけれども、そういう名前も記さないでだれだれがこういう話があったみたいなことを、それをイコール正式な農水省の見解と言われても僕は困っちゃいますし、例えば平尾消費・安全局長がそういって言っているとか、幹部が認めているじゃないかとかいうことであれば、これはまあそれに対してどうこうと僕は言えますけれども、読売新聞に書いてあった、産経新聞に書いてあった、だからそうなんだみたいな決め付けはどうなんでしょうかね。
○松下新平君 引用するときに新聞情報ということは伝えました。
 大臣、逆に、じゃ大臣は、農水省の職員に宮崎県から本当に相談なり情報なりがなかった、確認しましたか。
○国務大臣(赤松広隆君) そういう、じゃ、熊本県になかったかとか、福岡県に、北海道は大丈夫かなんということを聞くなんということは元々ありません。ただ、今までに韓国に発生したときも、韓国からの渡航者に対しては、空からもあるいは船からも来るときありますから、その渡航者については靴の底からうつるかもしれないので、そういうことを、きちっと検疫体制をやれとか、あるいは稲わら等については、今、口蹄疫は六十度で何秒かな、だと死ぬと言われているんですが、それも八十度で三分間、必ずそれを通せとか、そういうことをやりながら、そういう予防の対策はやってきましたよ、そういうことも指示してきましたよ。
 しかし、それでもなおかつ、たまたま宮崎県でこうした口蹄疫が残念ながら発生してしまったということで、それはもう四月十九日まであるいは二十日まで知らなかったのはけしからぬと言われたって、これはもう居直るわけじゃありませんけれども、どうやったらしかしそれは、そんな三月の時点やいつの時点で分かるんですか。
○松下新平君 居直っていますよ。宮崎で発症しているんですよ、熊本は関係ないじゃないですか。宮崎の発症を調べるのは当然でしょう、最高責任者として。違いますか。
 僕は、最初に申し上げたように、そういった認識ではこの防疫、ちゃんと取れない、そのことを指摘しているんですよ。江藤隆美さんの言葉、宮崎で起きているんじゃない、日本で起きているんだと、そういう最高責任者としての認識を持ってほしいんですよ。いや、まだです。風評被害は起こっていないと、大臣、これも認識の問題ですよ、大臣。風評被害は起こっていないと。
 先ほどの報告の中でGメンの話をされながら言いましたけれども、実際、宮崎の事例では、さっきトラック協会の話もありましたけど、それ以外にも修学旅行がキャンセルになったり、実際、宮崎牛の消費も落ち込んでいますよ。レストランも影響出ていますよ。大臣、風評被害起こっていない、そういう認識でいいんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) 風評被害が起こらないように一生懸命に私どもは取り組んでいるんです。だから、マスコミの皆さん方にも、食べても大丈夫ですよ、間違って食べちゃっても、あるいは牛乳飲んじゃっても、万が一のときにもこれは人体に影響ないんですと。それから、元々その限られた、移動制限掛けたところからは一片の肉のかけらさえ出てないんですよと。それから、元々この病気は人間にうつらないんですということを言っているということなんです。
 ですから、報道は報道できちっとしてもらっていいし、我々も一切隠さないし、出たらすぐ報道機関にお知らせをするので、ですからそれはきちっと書いてもらっていいけれども、ただ、でき得れば、これは人にうつらないとか、飲んでも食べても大丈夫だとか、そういうこともできれば書いてくださいねということを言っているから、かつてのBSEのように全国の焼き肉店に人っ子一人いなくなっちゃうとか、ばたばた焼き肉屋さんが倒れるとか、そういうことになってないと。
 それから、幸いにしてということで私がよく例に出して言うのは、豚の価格も心配なものですから毎日見ていますけれども、これも四百円、四百二十円ぐらいで低迷していたのが、四月辺りも四百二十円ぐらいですよ。それが、まあ発生によって上がったとは言いませんけれども、発生があったにもかかわらず四百八十円ぐらい。昨日辺りは五百円突破しているんです。
 だから、そういう意味でいえば、全国的には、豚価の価格だけ見ても、それが直接的に口蹄疫のことがマイナスに大きく影響していることはないように見えるので、それはよかったなということを衆議院の委員会でも私は申し上げたということでございます。
 だからといって、風評被害が、そんなものあり得ないんだとかいうことじゃなくて、あるようになるのが困るから、今日も何か街宣車が、農水大臣けしからぬと、口蹄疫は人にうつるんだみたいなことを平気でどんどんがなり立ててやっていると。空気感染、あれはするんだみたいなこともインターネットなんかでばんばん流すというようなことで、そういう無用なことを、しかも科学的に正しくないことをあおり立てることによって、なくていいようなことまでもどんどんやられちゃうのを僕らは心配しているものですから、口蹄疫が非常に伝播力の強い病気だということはきちっと認めながら、しかし人にはうつらないんです、食べたって大丈夫なんですということを言っているということで、それが何か御批判の対象になるというのは全く私は理解できません。
○松下新平君 私が言いたいのは、今日の情報社会の中で風評被害をゼロにするというのは難しいんですよ、難しいと思いますよ。だから、徹底した情報公開、大臣、徹底した情報公開が大事だということを言いたいんですよ。それによってこの風評被害は最小限に食いとどめる、そういう認識でやってもらいたいということです。
 ほかにも予定しておりましたけれども、私の持ち時間が参りました。宮崎の状況は終息にはまだ厳しい状況がございますけれども、また委員会でもこういった場を設けていただいてその時々の状況をまたただしてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。

○野村哲郎君 事前通告にはないんですが、先ほど地元から電話が来ましたので、大臣、副大臣に報告があっているのかどうか分かりませんが、役所の方でお答えいただいても結構でありますが、えびの市で四例目が出たと。非常に具体的な内容であります。島内という場所で、二十四頭に子牛が入って全部で四十八頭だということでありますが、このことについて御存じであれば教えていただきたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君) 別に正式な形で疑似患畜が出たわけではありません。ただ、検査中ですので、コメントはしません。分かります、意味。検査中です。今、全国で毎日もうどんどんと検体の、調べてくれと来ますので、それを、ここは白だった、ここは黒だったということは言いませんので、黒の場合はもちろんきちっとすぐ報告しますが、そういうことで御理解いただきたいと思います。
○野村哲郎君 これは、今検体中であって、結果はじゃいつ出るんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) 一般論として申し上げますが、例えば今日入ったものはあしたの、みんな徹夜で今やっているんです、二交代制でですね。できるだけ早く結論を出すということでやっていますので、今日持ち込まれたものであれば今日の夜中あるいはあしたの朝には分かると思います。
○野村哲郎君 先ほどの話じゃありませんが、非常に情報が交錯しているんですね。
 それで、今私が申し上げたのは、いろんな、それは検体に出したとか出さなかったとかはいっぱいありますよ。白だった、ああよかったとか、黒だったとかという話あるんですが、これは、えびのの四例目というのはもう余りにも具体的に話が出てきているものですから、今確認をしているところであります。どうですか。
○国務大臣(赤松広隆君) 回答は差し控えさせていただきます。
○野村哲郎君 後ろに控えている役所の皆さん方はその事実関係を御存じかどうか、ちょっと大臣、後ろに聞いてみてください。
○国務大臣(赤松広隆君) ですから、黒であればきちっと直ちに報告しますし、白のものを、ここは出た、例えば、あるところから何回も、これも出ました、しかし白でした、これも出ました、また白でしたみたいなことを言うのは、かえって全くそういうことが影響ないところのことを、さもそこは頻繁に出るようなところだというイメージにもなりますから、黒と出たときは直ちに隠さずに報告しているんですから、今まででも。
 ですから、今申し上げたように、今検体中のものは、ここを今検体していますとか調べている最中ですなんということを一々報告はしないということにしております。
○野村哲郎君 先ほど来言いますように、私はそこのところを求めているんじゃなかったんです。非常にもうこれは、何人かの人がえびのでついに四例目が出たというのを、ただ検体に出したからどうのこうのの話じゃないんです、それはもう幾らでも検体に出しているところはありますから。だけど、そういったことを一般論として聞いているんじゃないんです。これはえびので、先ほど言いましたように非常に具体的に地元から話があったものですから、ここにメモして、事前通告はなかったけれどもというのを断って申し上げているんで、もう少し丁寧に答えてくださいよ。
○国務大臣(赤松広隆君) ですから、今言っているように各地から検体に持ち込まれているんです。だから、検体に持ち込まれているのを、今もここからは持ち込まれています、ここからも来ていますなんということを一々報告はしないんです。それで、それがもし、今議員が御心配のえびの市ですか、そこからのものがもし黒であれば、直ちにPCR検査が判明次第ちゃんと報告しますから。そういうことなんです。
○野村哲郎君 なぜ冒頭にこの話を切り出したかといいますと、私は、先ほど外山委員からもお話がありました、地元の皆さん方が明日は我が身だという思いで毎日を暮らしておられるんです。
 川南とそれからえびのはちょっと状況は違うと思うんです。特に、えびの市においては今三例まで出ました。最初の一例目で封じ込められたのかなと思っていたら、次に豚に出て、また牛に出てまいりました。もう戦々恐々であります。いつ鹿児島に入ってくるのかということで、移動制限区域にもなっているし、そしてまた搬出制限区域にもなっております。二市二町、ここに掛かっております。ですから、もう皆さん方は牛の移動もできない、豚の移動もできない。大変そういう意味で、鹿児島もまさしくもう汚染されたみたいな皆さん気持ちになっていると思うんです。
 そこで、私どもは五月の六日に農水省や官邸の方に、外山委員から出ましたように、予防的な殺処分、あるいはそれは自衛的殺処分というのか分かりませんが、それを是非やってくれと。これは、農家の皆さん方が毎日畜舎に行くのに恐怖感を持って畜舎に入っている、そして、うちは感染してなかったろうかというのを毎日心配で夜も眠れないとおっしゃっているわけですよ。それよりも、座して死を待つよりも、早くここの地域、ここの区域、あるいはそういった障壁を是非つくってほしいというのが農家の皆さん自ら言っておるんです。それは、自分たちが今育てている、それこそ先ほどもありますように子供以上にかわいがりながら育てた牛を、あるいは豚を殺処分していただいてもいいですよというのを自ら申し出ておられるんですよ。なぜそれができないんですか。
 先ほど郡司副大臣は健康な牛や豚を処分、殺処分が国として制度的には無理なんだと、こういうふうにおっしゃいました。もう一遍聞きたいんです、なぜできないんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) これは家畜伝染予防法に従って、これは法の定めですから、しかもこの法律は何かというと、いわゆる豚や牛であっても、これは一つの所有財産ですから、人の財産を国家権力が勝手に殺しちゃうわけですから、そういう意味でいえば法律の裏付けがあるからそれができると、ただ、そうした以上はちゃんとした手当金を交付するということで例の五分の四の規定がその中にあるわけです。
 ですから、病気でもない、健康だ、しかも全くそのままだというのに、大くくりで地域をばさっとやって、勝手にそれを、健康な牛を殺してしまう、あるいは豚を殺してしまうということは、所有者が勝手に自分の意思でもって殺処分して、しかもそんな交付金、手当金もらわないというんならいいですよ、それはもう自分の所有財産ですから。
 しかし、そういうことではなくて、本来、疫対策、病疫対策としてやろうとするのであれば、これは今の法律の趣旨、中身を変えない限り、それはもう勝手に人の財産を侵して健康な豚や牛を殺して、しかもそれに交付金を、手当を交付するということは今の法律の建前上できません。
○野村哲郎君 私は、国家権力で牛豚を殺せと言っているわけじゃないです。農家の皆さんも関係機関の皆さんも、そういうことをしてくれないかと。それは法律がどうのこうのと今おっしゃいました。法律はあっても、これを今やらなければ、じゃ拡大してもいいとおっしゃるんですか。それをどうにかして緩衝地帯をつくって、これが転移していかないように自らの牛を殺してくれ、豚を殺してくれと、こう言っているわけですよ。何も国家権力で殺しなさいと私言っている話じゃありませんよ。
 だから、農家の皆さんもそういう申出をしているんですよ。座して死を待つよりは、あるいは感染してまた隣にうつっていく、いろんな形でうつっていくよりも、もう今のうちに、健康なうちにここに緩衝地帯をつくってほしいと、そうするとほかには転移していかないだろうと。
 ですから、これは非常に専門的な知識も要るんだろうと思います。だって、それは韓国でも、先ほどの話じゃありませんが、五百メートルとか一キロ、三キロ、やっているわけですよ。
○国務大臣(赤松広隆君) でも、効果は現れていませんよ。
○野村哲郎君 だから、その効果というのをあなたは見てきたんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) いやいや、実証的にそうなっているから。
○野村哲郎君 ちょっと待ってください。今、赤松大臣は大変大事なことをおっしゃったんですよ、効果がないと。
 でも、日本と韓国と同じ条件でやっているんですか。ですから、専門的な角度からそういうことを検討して、韓国はこうだったから日本ではやっぱりやれないと。やっても、あるいはさっきおっしゃったように効果がないのかどうか私は分かりません。じゃ、そのことを議論しているんですか、専門家の委員の皆さん方。
○国務大臣(赤松広隆君) これは、先ほど郡司副大臣から言いましたけれども、私ども対策本部の下に牛豚等疾病小委員会を設置をいたしまして、専門家の皆さん方にこのことも含めて検討はしていただいています。
 そういう中で出た結論というのは、今回の発生は風による広範囲なウイルスの拡散は考えにくく、人や車両等による伝播が否定できないことから、現時点では厳格な消毒や迅速な殺処分等、現行の防疫措置を徹底すべきというのが見解であります。健康な家畜を殺処分することについては、財産上の問題もあり、また、現時点では科学的に予防的な殺処分を行う根拠もないことから適当ではないというふうに専門家は言っています。
○野村哲郎君 鹿児島とか宮崎には畜産の専門家の先生方がおられます。
 じゃ、今から言いますよ。鹿児島大学の岡本教授、これは公衆衛生の専門の先生です。やはり、これはもう予防的な殺処分をしないと感染の拡大を止められない、こうおっしゃっているんです。それから、宮崎大学の末吉教授、この人のホームページを見てみてください。今なお続発しているということは、四月二十日以降の感染であると考えられます。このことは、移動制限以外のネズミなどの野生動物、カラス等の野鳥、ゴキブリなどの害虫、空気の流れ等、ウイルスがごみと一緒に運ばれた可能性がある、このような指摘もあるんですよ。
 じゃ、小委員会がすべてなんですか。ですから、こういう大学の先生方もおられる、いろんな意見を聴かないと。ただ、私は、先ほど来言いますように、国家権力でやれと言っているんじゃないです。農家の皆さん方も関係機関の皆さん方もそうしてくれないか、国が重い腰を上げてくれないかと、こういう話ですよ。
○国務大臣(赤松広隆君) それは、やってくれないかと国家権力で殺処分するのは一緒のことですから、意味は。ただ、言い方が違うだけの話で、御自身でやられるのではなくて国のそういう仕組みの中で殺処分をしてくれという意味でいえば、同じことを言われていると私は思っております。
 ただ、それは、今の法の下ではそういうことはできないということを、家畜伝染予防法そのものが疑似患畜になったところはそういうことをしなさいということを決めておりますけれども、健康なところまで殺してよろしいということは書いてないわけですから、これは法律を私どもは行政の立場で犯してやるということはできないんです。
○野村哲郎君 先ほど同僚の松下委員が話をしましたが、大臣の御認識というのは法を守る、そういうことですか。非常事態なんですよ。このときに、このときに役所の皆さんが言うならまだ分かりますよ、それは法律を守っていかなきゃいけませんから。あなた方は政治家ですよ。政治主導を言っておられるじゃないですか。大臣が命令を下せば、それは今度は役所の皆さん方だって知恵を出しますよ。ですから、あなた方の決断次第なんです。役所が大臣こうしましょうかと持ってくるはずがありません。ですから、ここは政治が判断しなければ、大臣、これは結果責任として問われますよ。
○国務大臣(赤松広隆君) その結果責任云々という話ではなくて、私が申し上げているのは、別に政治家の立場であろうが、私自身が農林水産大臣ですから、そういう意味では農林水産行政の一番の責任者なんですから、そこが法律を破ってでもやっていいなんということを言えるわけがないじゃないですか。
○野村哲郎君 そこのところは、だから、非常事態の状況なんですよ。今、宮崎の状況を、一昨日の衆議院の委員会、そしてまた、先ほど外山委員あるいは松下委員が話しておられるように、非常に臨場感あふれるような話があるわけですよ。そういうことを考えたときに、これは非常事態じゃないんですか、どういう御認識ですか。私は、これはもう日本の畜産にとって非常事態だと思っているんです。ですから、ここを、非常事態であればあるほど、そこは皆さん方が、あるいは農水省一つでできなければ、官邸と話をしてでも超法規的な措置というのは私は可能になってくると思うんです。いかがですか。
○国務大臣(赤松広隆君) 先ほど来申し上げましたように、私どもは一番効果的な、しかもそうした専門家の皆さん方のきちっとした指導の下で、そういう御意見をお伺いしながら今万全の体制、できる限りのことをやっていこうということで措置を進めているわけでございます。
 ですから、先ほど言ったように、牛豚等疾病小委員会、この下にまたもっと専門家の実は先生方のグループもございます。その作業委員会の方たちも含めてどういう方法が一番いいのかという中で検討してまいりまして、そして、先ほど申し上げたように現行の防疫措置を徹底すべきだと、そういうことが結論でございますから、それでしっかりやらせていただきたいというのが私どもの見解でございます。
○野村哲郎君 同じようなことで、堂々巡りであります。これは役所にも同じようなことを今までも私どもも言ってきたし、自由民主党として私はそのことを皆さん方にも要望しているわけです、まだ回答をいただいておりませんけれども。
 ですから、ここのところは、本当に与野党問わずという、大臣の口からも出ました。我々は野党だからと思って無責任なことを言っているわけじゃありません。特に、鹿児島、宮崎というのは畜産県です。日本の畜産を支えているという思いで私どもはやっているわけですよ。
 私は大臣に前も言いました、この委員会で。今守るべきは米じゃなくて畜産なんですよということを言いました。その理由は、これだけ少数精鋭化された、そしてまた産業化された畜産を今守らないでどうするんですかということまで申し上げました。しかし、それは本題と外れておりましたから答弁はいただけませんでしたけれども、そのぐらい、私ども鹿児島にとっても、宮崎にとっても、畜産というのはもうその県の経済を支えているわけでありますから、すべての関連する産業まで影響があるわけですから、是非ここは非常事態だと御認識いただいて大臣として政治判断をしていただきたいんですよ。役所はそういうことは必ずできないはずです。それは無理です。求める方が無理。
 ですから、これはやっぱり政務三役できちっとお話合いをいただいて、あるいはできないんであれば、法的な問題があればまたいろんなところとの調整も必要でしょうけれども、その決断をしてくださいよ。後で、後でまたこれが取り返しの付かないことになったときにどう責任をお取りになるんですか。私どもがこれだけ言っていて、そしてまた自民党からも公式に提案をしておる中身であります。
 それで、私は今の話を、ずっと大臣のお話を聞いておりますと、どうも役所の皆さんが言っていることをそのまま、そのまま大臣は受け止めて、そしてそれをただおっしゃっているにすぎないんじゃないかと。本当の意味での大臣の気持ちというのを是非ここで吐露してください。
○国務大臣(赤松広隆君) 何回も申し上げますが、私自身がそういう信念でやっておりますので、健康な牛や豚を殺すことはできません。
○野村哲郎君 私は、だから先ほど来言いますように、日本の畜産を守るために、鹿児島、宮崎だけじゃないですよ、もうみんな、これが鹿児島まで入ってきたら、もう関門海峡を閉鎖して全部九州の畜産をつぶさないとこれはもう大変なことになるというところまでみんな言っているわけですよ。ですから、今ようやく宮崎の県境までで止めておるわけでありますが、これが入ってきたら、大畜産地帯に入ってきたときにはもう手遅れなんです。もう手遅れです。
 先ほど私は四例目の話をさせていただいたのは、えびのが一例目から三例目まで出てきました。もうみんな戦々恐々と言いましたが、また四例目が出た。しかも、これは熊本の方に近くなっている、あるいは三例目から何百メートルも離れていない。そして、その地域には十一戸の、十一戸の畜産農家がいる。ですから、もうそこで広がってしまえば、熊本だ、あるいは鹿児島だ、必ず来ると言っているわけですよ。
 ですから、今ここで封じ込めないと大変なことになる。だから、その封じ込めの対策というのが、今までどおりのやり方じゃなくて、まさしく空間をつくって転移していかないようにしないとというのが地元の皆さん方の意向なんです。しかし、これは大臣はしないとおっしゃるんなら、生きたものを、あるいは健康なものをという話でありますが、非常事態という認識がないということがよく分かりました。ですから、もうこれ以上はこのことは申し上げません。
 ただ、もしこのことで蔓延をしていき出したときには、私ども、今日は委員の皆さん方もみんな聞いているわけですから、何も国家権力でつぶせと言っているんじゃなくて、農家の皆さん方もそうしてくれと、そこに何か超法規的な解釈なりでできないのかよと、こういうことでありますから。それは家伝法は分かっていますよ。分かっていますけれども、非常事態であれば超法規的な措置というのも必要ではないのかということだけは申し上げておきます。
 それから、時間がありませんが、もう一つ、先ほど松下委員から、宮崎の宝、口蹄疫から守れ、これは十日の日に確かに東国原知事が大臣に要請をされました。そして、今日十三日、三日目にはもう移動する。大変タイムリーにやっておられる。そのことは私は評価しますよ。ただ、やっぱり皆さん心配しているんです、移動することについて。
 一つは、これは移動というのは、移動禁止区域から法的に大丈夫なのか。これは大丈夫ですよ、禁止とは書いてない、禁止することができるですから、これは法的には問題ないですよと、こう言いました、私は、農家の皆さんに。
 もう一つ、大事なところなんです。技術的、科学的に絶対大丈夫とだれが言ったのかと。これは国が認めるようになってますね。だれがこれは大丈夫だという判こを押したんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) これはまだ正式にどこに移すと決まったわけではありません。連絡があったのは、私は、現地でそういうことを是非知事がやりたいと言われるから、それじゃ三つ条件がありますよということを申し上げました。
 一つは、今のその種牛と称する、何十頭かおみえになるところあるらしいんですが、そこの清浄性がきちっと確認できますかと。これが一つ。
 それから二つは、今度どこどこほかの場所へ移すというんだったら、そこの今度は清浄性とその後の管理、絶対そこが病気にかからないと、そういうふうな仕組みでつくってあるんだということが約束できますかと。
 それから三つ目は、これは生産者感情として、自分たちの牛は、元気なのも含めて同じ豚舎、牛舎にいたら全部殺されちゃうのに、種牛だからといってそれだけが特別扱いで避難させてやるということが殺されてしまうところの農家の人たちから理解をしてもらえないと、何であそこだけ特別扱いだということになるんで、それは県の方がちゃんと同意を得られますかと、この三つが条件ですねと。
 それからあと、それでも是非やりたいというんだったら、それは県の責任でやってもらえますかということを念押しをして申し上げたんです。
 そうしたら、そうしたら、答えは、一、二、三については、ちゃんと同意が取れましたと、取れましたと。これは向こうの次長が言ってきたんですよ。県の責任でやりたいということなんで、それならいいですねということをお話ししていたんですが、ただ移動先については、メモが入っていまして、地元調整が終わっていないと。やっぱり今委員が御指摘のような、それが来ちゃ困るとかいいとか、多分そういうことなんでしょう。だから、調整はまだ済んでいないということで、少し宮崎県が私の方に昨日言ってきた、夜言ってきた話とはちょっと今日時点ではまた変わってきているなという気がしています。
 ですから、これがクリアできない限り、私どもは、意味は分かるんです、これで種がなくなっちゃうともうまた二十年、三十年掛けて品種の改良もやっていかなきゃいけない、大変なことだということは分かるんで、でき得ればそれはやってあげたいという気持ちがあるものですから、ただそれは何でもいいわというわけにはいきませんから、今言ったこの三条件をきちっとクリアしてもらう。清浄性については、もし、これはもう県に任せるんじゃなくて、国の立場からもちゃんとその清浄性も確認をさせていただくということで、実際に移動させる場合はなると思います。
○野村哲郎君 今朝からこの問題で電話が鳴りっ放しなんですが、今、多分いろんなところを打診されたんだろうと思うんですよ。高千穂らしいとか、あるいはもう一つ、西米良だとか、それからもう一つ、三か所ぐらい言ってきました。
 それで、今日のアサヒ・ドット・コムではもう出ているんですよ。これは、東米良村に避難させると発表したと。(発言する者あり)西米良。今大臣の話じゃ、これも駄目になったんですか、いや、私は分かりませんけれども。いや、これは、もうこれで新聞発表になっているんですよ。それで、いや、私が言いたいのは……(発言する者あり)うん、それはそれでいいんです。私が言いたいのは、皆さんこれはもう宝ですから、当然これはもう宮崎の人たちじゃなくて、畜産をやる人だったら、できるならばそういうすばらしい種雄牛は移動あるいは隔離したいよというのは、これはもう畜産農家はみんなそう思っていると思います。
 ですけれど、大臣、ですけど、ですけど、みんなが心配しているのは、移動後に、まさかそこで、保有していて、ウイルスを、発症しないだろうなと、それだけが一番の心配なんです。だから、そこのところを技術的に、あるいは科学的にというのか、だれがこれなら大丈夫ですよという太鼓判を押して、ここに書いてあるのは私は分かりませんが、国が特例措置を認めたと、こう書いてあるんです。これが正しいか正しくないかは、新聞だからとまた大臣おっしゃるかもしれませんが、我々が得ている情報はこれしかありませんので、そのことをお認めになったのかどうか。そして、だれがこのことをきっちりと、こういうやり方でいけば大丈夫ですよということを、それこそ科学的な知見に基づいてやったのかどうか、そこのところを教えてください。
○国務大臣(赤松広隆君) だから、十日に私が行って、そのときに初めて知事やほかの方たちからそういう要請を受けたわけですから、初めて。十日の話ですよ、その話がありましたのは。それを受けて、私は、その現場で、今の言った三条件、今本当に移動させたいと思っている豚が清浄性が確認できるのかどうか、それから、もう向こうへもし移した、それは、場所を僕は余り、どこが候補地になっているか知りませんけれども、そこの清浄性や安全性、そしてその後の管理は本当に大丈夫なのか、それから三つ目はさっき言った感情の問題、それをきちっと県が責任持ってクリアしてくれないと、それは簡単に、今委員自身が心配されるように、本当に、おい、移したよ、それは病気持ちだったなんということになると、それこそ更に被害を広げることになってしまうので、そういうことはきちっとその三点をクリアしてくれないと駄目ですよということを申し上げたということなんです。
 昨日の夜の電話ではもう場所が何となく決まったような話だったんですけど、また多分そこがひっくり返ったんでしょう、今日は地元調整はまだ終わっておりませんということで来ていますので。
 アサヒ・ドット・コムが何と書こうが、そんなことは私が言ったわけでもございませんのでそれは責任持てませんけど、事実関係は本当にそれが、そのとおりなんです。そのとおりなんです。
○野村哲郎君 まだここが、事実関係を今大臣からは御説明ありましたけど、もう松下議員はさっきお礼まで言っちゃったんですよね。そのぐらい事は、いや、私は何を言いたかったかというと、非常に、十日に行かれて十三日、これはもう私は、迅速性をおもんぱかって皆さん方がすぐ手早くやっていただいたというのは、これは私は評価するんですよ。ただ、ただ本当に大丈夫なのかという、そういう鹿児島や熊本あるいは宮崎県内のほかの地域の皆さんもそう思っておられますから、そこのところだけはきっちりと知見に基づいてやっていただかないと、そのところだけなんですよ。
 これは、やっぱり宝は守っていかなきゃならぬというのは、我々も、畜産をある程度知っている者からすれば、これはもう十年掛かる話ですから、ですからそれはもう守っていかなきゃならぬ財産ですよ。だけども、移動するということについてのこれは慎重を期していただきたい、そこの話だけです。だから、守るというのはお互いもう共通の認識です。
 ということで、私の時間はまだ一分ぐらいあると思いますが。
 ただ、大臣、やっぱり初動の対応の遅れというのは、これは否めないと思います。(発言する者あり)いや、これは、私は、大臣、覚えておられますか。二十一日の党首討論のときですよ。エレベーターで赤松大臣とたまたま一緒でした。そして、私どもは、その朝、鹿児島の自民党の国会議員五人で農水省を呼んで経過を聞きましたよ。だから、私はあのときに赤松大臣に、大臣、消毒剤を国が無料配付してくださいよと、さっとやらなけりゃこれはもうとてもじゃないけど食い止められませんよというのを言いましたよ。それまで何もやってないじゃないですか。
 だから、初動の消毒が大事だったんですよ。私は、だからそのところをもう大臣に直訴しましたけれども、そういうことすらまだ検討もされてなかった。対岸の火事程度で収まっていたんじゃないかと思っているんです。
○委員長(小川敏夫君) 時間が来ていますので、答弁簡略にお願いします。
○国務大臣(赤松広隆君) 全くそれは違います。
 私は、野村先生から御指摘を受けたのは非常に前向きに受け取ったんです。私どもは規定に従ってすぐやったんです、石灰まいて。そうしたんで、ただ、そのときにエレベーターの中で、記憶あると思いますが、いや、何とかSというのが効くらしいですねとか、本当に石灰がいいのか、どっちがいいんでしょうねみたいな話をして、ただ、これは広域にまかないと、その点だけやっちゃいけないんで、多分私は委員が御指摘になったのは、もっと全域にばっとまいた方がいいよという話だと私は理解したんで、直ちに宮崎県全域にまきなさいと。
 その後の経過を見ていたら、えびの市辺りに来たものだから、これは南九州全部もう国費でまいちゃえということで、もちろん万が一、広がりのことも含めて、ちゃんとそれを確保しながら、薬剤を、消毒薬を確保しながらやったということで、本来やるべきところの消毒は直ちにやったんです。別にそのときにちゅうちょして何もやらなかったということではありません。
 ただ、正確に言うとすれば、委員の御指摘なんかも受けて、県域全域を、それからその後何日かたって四県全域をまくように拡大したということはあるかもしれませんけれども、やっていないということはないですよ。これは是非認識してください。
○野村哲郎君 終わります

○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
 昨日は、大臣の方に公明党としてまとめました口蹄疫防疫対策につきましての提言を提出をさせていただきましたが、お時間をいただきまして、大変にありがとうございました。
 私たち公明党としましても対策本部を設置をいたしまして、四月二十九日と五月十日にそれぞれえびの市と川南町にも訪問をいたしまして、関係者の皆様からも御意見、要望等も伺ってまいりました。私自身も十日の日に、ちょうど大臣も行かれた日なんですが、私自身もえびの市始め現地の皆様から、直接お会いしまして様々御意見、要望をいただきましたので、今日はそういった現地の皆様の声を基に質問をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
 時間も限られておりますので、具体的に質問をさせていただきたいと思っておりますが、その前に冒頭一言だけ申し上げたいと思いますが、先ほども野村委員の方から初動態勢の遅れというそういった指摘もありました。それに対して大臣も、これまでも、衆議院の方でも、しっかり精いっぱいやっているという、そういった答弁もありまして、もちろん現地の皆様始め関係者の皆様も本当に一生懸命、寝ないでやっていただいていることはもう十分私も承知をしております。
 しかし、今日も質問をさせていただいている方は地元の方だったり、また私自身も現地に行っていろいろ御意見を伺ってきましたが、様々な御意見がありますし、また、一つ一つ議論をしますと時間がないので具体的にはできないんですけれども、そういった御意見を基に、これはもう最終的な話にはなると思いますが、そういった初動態勢とか防疫体制はどうだったのかということは、しっかりとまた検証もしていただきたいということは要望させていただきたいと思います。
 いろいろ質問をしますと、やっていますとか、大丈夫ですとか、法律はこうですからできませんとか、そういった答弁ではなくて、まずは真摯に現地の皆さん、また私たちの声を聞いていただきたいということをまず要望させていただきまして、その上で具体的に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、十年前と比べて感染拡大が大きく違うということで、これもこれまでもいろんな原因とか理由が言われているわけでございますが、そういった中で、言うまでもなくこの感染源、感染経路、これも早急に解明していかなければいけないと思っております。
 そういった意味で、それがしっかりと分からない以上は本当の意味での防疫体制もしっかりと組めないと思っておりますので、今この点につきましてはしっかりとやっていただいていると思いますが、早急に対応をしていただきたいということで要望したいと思いますし、あわせて、はっきりとした感染源、感染経路が解明されておりませんので、特に近隣県、先ほどもお話ありましたが、鹿児島県とか、また、えびの市は熊本県とか、隣接している県もございますので、そういった意味でこういった近隣県への支援とか対応も大変に重要になってくるかと思いますので、そういった意味でこの解明ですね、感染源、感染経路の解明とともに、この近隣県への具体的な対応、支援も、これも更にしっかりと取り組んでいただきたいと思っておりますが、この点につきまして、どういった取組をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○副大臣(郡司彰君) 十年前のときと現れます症状が随分違うというようなことがございます。しかし、同じようなO型であるという共通点もございます。
 そして、十年前のことについて申し上げれば、実はその感染経路というのは判明をされずじまいというような形になっておりました。当時は、二か月ぐらいたってから、例えば稲わらが関係をするのではないかというような話がございましたが、完全な感染経路の解明ということには至っていないということがございます。
 したがいまして、今回も、今後その解明について行っていきたいというふうに思っておりますし、そのことをきちんとすることがあるいは今後のまたこのようなことが起こらないための大きな手だてであるというふうに思っておりますので、そのことについては小委員会も含めて十分な意を用いていきたいなというふうに思っております。
 それから、近県の関係につきましては、先ほど来からの答弁にもございますように、えびの市で発生をするというような展開もあったことも含めまして、かなり強力な形で近隣をする四県について防疫体制を取らせていただいているというふうに御理解いただきたいと思います。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 近隣県との連携ということで、先ほども冒頭もお話があったんですが、やはり現地との連携、また情報交換を含めて、現場の方から、やはり地元にこの対策本部があった方がいいんではないかという、そういった声も私も実際に受けてまいりまして、是非ともその件につきましても、冒頭申し上げた、今後の対策本部の在り方も含めて、それも是非ひとつ検討もしていただきたいと思いますし、現場としてやはり身近なところですぐ連携を取れて、顔の見える連携を取りたいという、そういった要望も強くありましたので、そのことも含めて強く要望しておきたいと思います。
 その上で、やはりこの感染源、感染経路が判明しない限りいろんなまた風評被害も広がってくるんではないかと思います。これも先ほどから質問もございましたが、これはこれまでもしっかりとやっていただいていると思うんですが、改めて要望しておきたいと思うんですが、口蹄疫はもう絶対に人にうつらないんだと、絶対うつらないんだということと、あと、この感染している牛豚、そこの地域の、地域というかその牧場の、農場の豚とか牛は外には一切出ていない、そのことを是非とも、食べても大丈夫だという以前の問題だと思うんですが、そのことを改めてしっかりと報道も、報道というか、周知徹底もしていただきたいと思います。
 私の身近な方でも、この口蹄疫の問題が出て、宮崎牛は食べない方がいいんだよねと、やっぱりそういったことを本当におっしゃっている方がいて、そういった本当に偏った情報が独り歩きしているという状況も続いておりますので、是非ともこれはいろんな手段を使っていただいて、もう繰り返し繰り返しこの風評被害ということで対策をしていただきたいと思いますが、この点につきまして取組をお伺いをしたいと思います。
○副大臣(郡司彰君) 今ございましたように、人に関係をするということはございません。もう少し詳しく申し上げれば、この口蹄疫というものについては、牛豚など偶蹄類の家畜あるいは野生の動物、例えば日本にはおりませんけれどもラクダとか、あるいはまたこれは日本におりますシカなどが感染をする病気でありまして、食品安全委員会におきましても、人が感染をするということはございません、また感染をした牛の肉あるいは牛乳を摂取をしても人体に影響はないという見解が出されておりまして、まさにそのとおりであろうというふうに思っております。
 このことをいかに周知をするかということでございますけれども、もちろん当省のホームページあるいはメディアを通じてこのようなことを説明をし、消費者に不安を招かないように努めているところでございます。
 また、それに加えまして、関連をする食品産業事業者に対するところの説明、そしてまた適切な対応というものも求めているところでございますし、さらに、各地方の農政局あるいは農政事務所等の食品表示Gメンが小売店を巡回をし、例えば、これまで先ほど指摘をされたような余り良くない事例も何店か出ているわけでありまして、そのようなことについては、撤去をさせると同時に新たなその説明等をこれからも行っていくつもりでございます。
 いずれにしましても、私どもの方で可能な限りのことは今しているつもりでございますけれども、委員の方からも御示唆があれば、そちらの方の方面についてまた検討をさせていただきたいというふうに思っております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 是非、例えばホームページ等で出したとしても、特に高齢者の方は御覧になる機会が少ないでしょうし、そういったこともありますので、もうとにかくありとあらゆる、私も考えたいと思いますが、そういったありとあらゆる手段を使っているということで、これはもう本当に繰り返し徹底してお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、やはりとっても地元の方から声の大きかった埋設場所の確保なんですけれども、これは先ほどお話がありまして、ほぼ見付かったというような報告もあったんですけれども、私が行った時点では大変にこれは大きな要望としてありましたので、改めて伺っておきたいと思います。
 埋設場所が確定するまでの選定から決定までということで、これが一番大変とその時点でも伺っておりましたので改めて質問をしたいと思うんですけれども、やはりこの限られた地域の中で自分たちで探す、結局、被害者というか、当事者でありながら自分たちでやらなければいけないという、そういった大きな負担にもなっておりまして、実際に土地を借りるにしても買うにしても、周りの方の御理解もなかなか得られないとか、そういった課題がある中でこれがなかなか進まないともう何度も何度も伺っておりましたので、是非とも今後の国の対応として、例えば国有林、国有地使いたいとか言ってきてくださいという待っている対応ではなくて、是非とも積極的に、この土地の選定、確定については国がもっと積極的にかかわっていただきたい。いろんな地元の思いもあると思いますので、ここにするという、それぐらいの積極的なかかわりを今後しっかりと支援もしていただきたいと思いますが、この埋設場所の確保について今後の対応をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君) お話のとおり、私も参りまして一番やはり最初に出たのがこの埋却する土地の問題でございます。
 これは、とにかく余り遠いところへ運ぶとまた病気の牛をあれするわけですからまずいと。一番いいのは、自分の敷地内に埋めるというのが一番いいんですけれども、牛なんかの場合は放牧して非常に広い土地なんですが、豚だと狭い豚舎の中にわあっとたくさんいて、それは全部殺処分しなきゃいけないというと、元々自分のもう土地がないというようなことで大変困っていらっしゃる場合が多かったということだと思います。
 しかも、どこへでも埋められればいいんですけれども、水源地に近かったり、においの問題があったりとか、いろんなことを考えると、そうその土地を探すということは簡単ではないということで、午前中のあれでも申し上げたんですけれども、国有地、防風林出そうと思っても、そこの一番出ているところの町長さん自身が反対するなんということがあってなかなかうまくいかないというのが今まででしたが、東国原知事にもお願いをして、一回県と町がちゃんと話をしてみてくださいと、それぞれの責任の中でそういう場所を探してくださいということでお話ししましたら、昨日、早速、該当の町長さん、市長さんと知事がお会いになって、ほぼ場所については確保できました、御心配掛けましたということでお話がございましたので、当面の埋却場所については手当てができたと思っております。
 国の方も、水源に影響ないようなところでもしそういういい土地があればどんどん国有地も提供していきたいと、そんな気持ちでございますが、どちらにしても、その辺の連携を良くして、国、県、市、町、それから生産者、当事者というのが一緒に話し合いながら、とにかくその埋める場所が決まらないと殺せないわけですから、ですから、それが場所が決まって初めて殺処分できるということになりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 当面の場所は確保できているということでございました。もちろん、これからも、これ以上拡大が広がらないことをもちろん祈っているわけでございますが、今後のもし広がった場合のことを考えて、やはり県と町だけの協議ではなかなか進まないというのが、もう御存じだと思いますが、本当にもう難しいことだと思いますので、そういう部分で国がもっとかかわる、支援していただきたいということを改めてひとつ要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 先ほども大臣もおっしゃっていただきましたが、この殺処分が決定して場所が確定するまでは飼育をするというか、育て続けるという、そういった対応をしていただけるわけなんですが、そういった確保できるまでの間の具体的な経済的支援を是非とも具体的なところで要望させていただきたいと思っております。
 これも先ほど質問に出ておりましたけれども、やはり殺処分が決まっていてもしっかりと、自分の子供、家族のような存在でもありますので、おいしいもの、いいものを食べさせたいという、そういった農家の方々の思いがあります。しかし、やはりこのえさ代が大変にかさばるという、そういった、そのときにそのお金がないという、強い思いもありますし、またかわいがってあげたいという、農家の方々のそういった思いもあります。
 そういった中で、是非、まずその当事者の方の思いを酌み取っていただいて、その上で、最後までかかわっていきたい、育てたいという、こういった農家の方々の思いを受けていただいて、このえさ代の具体的な支援を是非とも国が全額支援するぐらいのそういった対応をしていただきたいと思いますが、この点につきましていかがでしょうか。
○大臣政務官(舟山康江君) お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、自分が飼っている牛豚がこういった疑似患畜というふうに診断されて、殺さなければいけない、でも最後まで面倒を見たい、そういった気持ちは本当にもう察するに余りあると思っております。
 そういう中で、現状、できるだけやはりそのウイルスの増殖を食い止めるためになるべく早く殺処分をするようにということで、これは家畜伝染病予防法において規定されているわけでありますけれども、現在、殺処分までに若干の期間を要する発生農場があると、こういった事情も承知しております。
 今大臣もお答えしましたけれども、その埋却場所につきましては当面何とか手当てをできているわけでありますけれども、それでも若干の期間、やはりえさをあげ続ける必要があるという状況に対しましては、これは県が消費・安全対策交付金を活用して、えさ代等の必要な経費の支援を行うということは可能でありまして、これは国の補助が二分の一となっております。そういった意味で、県、国で何とか折半をして、その当事者、農家の負担を軽減するといった仕組みはありますので、こういったものも利用していただければと思います。さらに、これ今、やはりえさ代、収入がなくてえさ代の支払が非常に厳しいといったそういった声も随分起きておりますので、それに関しましては、飼料代の支払期限の猶予を国から各飼料メーカーにも要請しております。
 いずれにいたしましても、迅速な殺処分、かわいそうではありますけれども、やはり迅速に殺処分をしなければいけないというこういう状況の中で、まずはやはり、先ほどもお答えしましたけれども、現場での人員、その携わる人員をしっかりと確保するということをしていかなければいけないという中で、国といたしましても、必要な人員の派遣、それから関係団体に呼びかけて派遣をしていただくとか、そういったことで人の手当てを積極的に今しているところであります。
○鰐淵洋子君 今、県と国と二分の一ずつというそういった仕組みがあるということだったんですが、そういったものがあるということも周知徹底をしていただいているのかどうかということと、あと、やはりそのときのその日暮らしというか、そのときのえさ代がないという方がやっぱり多いですので、そのことも是非とも御理解いただきたいと思います。
 いろんな仕組みを変えることによって、いろいろそういうのもあるとは思うんですけれども、今のこのときにこの子たちに食べさせるえさ代がない、これが今の現状ですので、是非ともそのことも、大臣も含めて、もう聞かれて十分御存じだと思うんですが、ありとあらゆる手を使って、最終的には処分されるものかもしれないですけれども、先ほども言いました、家族であり子供であると、そういったところでそういった対応を是非ともお願いしたいと思います。
 先ほどのその仕組みは、地元でこういったことができますよということは徹底されているんでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) 私も、この間現地へ行きまして一番感じましたのは、どちらかというと生産者の人たちが何をしていいか分からない、どうしていいか分からないといろいろ言われるんです。だから、そういうことで感じましたのは、やはり混乱していますからしようがないとは思いますが、いろいろな制度や仕組みや補助があっても、それを十分皆さん方に伝え切っていない、だから不安になるということだと思うんです。
 ですから、これは帰ってきましてからすぐ指示しまして、県の方や、あるいは私どものお手伝いを出している人たちも使って、地域ごとに、この地域はだれだれが担当、何でも相談乗りますよ、何かあったらこの人のところへ電話くださいと。この間行ったときも、じゃ、もう県は当てにならないから国の人の携帯番号をあなた教えてくださいみたいな、そういう感覚なんですね。
 ですから、一々国が直接電話ですべての農家をやるわけにいきませんので、僕が言ったのは、地域ごとにそういう担当の人を県に決めてください、あるいは町の方で決めてくださいと。で、その人たちが、例えばえさ代に困ってあれする、いや、これは国が二分の一、県が二分の一で、あとでこれは特交でまた処理できるよ、だから安心してこれまずやっておきなさいみたいな、そういうことのやっぱり相談体制というのは、心のケアの問題ともかかわってくると思いますが、非常にこれからは重要になってくるんじゃないかというふうに思っております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 まさに大臣がおっしゃっていただいたので、引き続き私もその質問をしたいと思っているんですが、いろいろ国におきましてもいろんな支援等行っていただいてる中で、さっきおっしゃっていただいたように、当事者はもうとにかく自分の生活がどうなるか、牛や豚がどうなるのかというので精いっぱいですので、具体的にどういう支援があって、またこれから自分たちが続けていけるのかどうかとか、そういったことすらも考えられない状況だと思いますので、この相談体制の充実ということで今おっしゃっていただきましたが、これは是非とも、いろいろ農水省では電話だったり、いろいろホームページでという話を伺ったんですけれども、是非現場で顔の見える、これも顔の見える対応を是非ともお願いしたいと思っております。これも、できれば待っているんではなくて回るぐらいの、大丈夫ですかという感じで回るぐらいのかかわりでやっていただきたいと思いますので、その点と併せて、さっきおっしゃっていただいた心のケアですね。当事者はもちろんなんですが、周りの方も、先ほどからお話が出ているとおり、次に自分のところから出たらどうしようというそういった申し訳ないという思いとか、いろんなところで本当に心の部分での大変な思いもされている方がたくさんいらっしゃいますので、この心のケアと相談体制、これはもう人も要ることですしお金も要ることですので、そこはまず是非とも力を入れてやっていただきたいと思いますが、併せてこの点、確認をさせていただきたいと思います。
○大臣政務官(舟山康江君) 委員御指摘のとおり、発生農家、関係農家というのは、自らが自分の家畜を殺さなければいけないという非常に経済的な負担を強いられていると同時に、周りに対する、今御指摘のとおり、うつしたらどうしよう、私が悪いんであろうかというような非常に心の悩みを抱えているという、そういう中におきましては、本当に発生農家の皆様に対しましては心からお見舞いを申し上げたいなと思っております。
 御指摘のとおり、やはりそういった様々な情報提供ですとかケアに対する対処というのは、国、県とともに、やはり発生当初より重要な課題であると認識しております。現在、県におきましては保健所ですね、保健所、これは看護師さんですとかお医者さんですとか、そうした専門の方による専門窓口がありまして、これ九か所なんですけれども、いわゆるここでカウンセリングを積極的に行っております。本当にもう畜舎にも入れない、どうしようといったその心の悩み、そういったものを受け付けているような窓口を設置しておりますし、国においては、宮崎農政事務所におきまして、これはやはり、これから動物がどうなっちゃうんだろう、どういう支援が受けられるんだろうといった、そういった技術的な問題も含めまして、民間獣医師等に協力をいただきまして、農家の方々からの相談窓口、相談を受ける窓口を設置しておりまして、これは休日中も対応しております。
 そのほか様々なところで、例えば農水省職員を現地に派遣をして、まさに、やはり幾ら対策を打ってもそれが浸透していなければ何にもならないと思うんです。そこはやはり我々もこれから大いに、若干、現地に行ってもなかなか対策が、どんな対策が打たれているのか見えにくいという声もありましたので、そういった広報等をしっかりと実施していくということもやっておりますし、また、これは独立行政法人の農畜産業振興機構の職員、こういった方々も現地に派遣しております。そのほか、本省において、例えば電話相談窓口、それから中央畜産会、全国肉牛事業協同組合、また日本養豚協会、そういった様々な団体等の力も借りまして、いろんな相談窓口を開いております。
 また、インターネットにおいても、やはりできるだけ分かりやすく、しっかりと情報が得られるようにということ、そういった努力もしておりますし、今委員御指摘いただきましたが、やはりそのカウンセリング等も非常に大事だと思っておりますので、そういったところにもしっかりとこれから今まで以上に力を入れていくと、そういった対策を取っていきたいと思っております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。
 是非、高齢者の方も増えておりますし、本当に丁寧に対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、具体的な支援について伺ってまいりたいと思いますが、出荷遅延豚緊急対策でございますが、この支援対象の枝肉、これが八十五キロ以上になっております。まず簡潔に、この八十五キロ以上に根拠があるのかということもちょっと伺いたいと思うんですが、その上で、この支援対象を例えば八十キロ以上にするなど、できるだけ広範囲にしていただいて、少しでも農家の方の負担を軽減してほしいと思っておりますが、この件につきましてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君) これはですね、出荷体重が枝肉重量で八十五キロ以上になった場合は一遍にその評価が落ちてしまうということで、八十キロまででしたら、七十八キロから八十キロぐらいでしたら上という格付になるわけですけれども、八十から八十五で中、八十五を超えたら並というような、重量でもってそういう並規格以下というような、評価額が著しく低下をしてしまうということになります。これは私がお邪魔したときに知事からも、あるいは生産者の方からも直接お話がありまして、大体いろんな要望をほぼ一〇〇%こなしてきたんですが、実はこれだけ残っております。
 現地からも非常に強い意見がございますし、今、鰐淵委員からもそういう御指摘でございますので、どうも専門の生産者の人に聞くと、そんな八十五なんていったらもう行き過ぎて、ほとんどはもう八十を超えたら価値ががあんと下がっちゃうんだよと。だから、是非それを見てくれという意見も強いものですから、今生産局の方にも指示をいたしまして、何とかこの八十五の規定を八十キロ以上というところに拡充できないかということで、前向きに検討させていただきたいというふうに思っております。
○鰐淵洋子君 ありがとうございました。是非、大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 時間がございませんので、二点だけ要望して終わりたいと思います。
 まず、先ほども出ておりました種牛の問題、やはりこれは宮崎だけの問題ではなくて日本全体の家畜の問題にもつながる大事な問題だと思いますので、この点につきましても、今後この種牛をどう守るのかというところで国がリーダーシップを発揮してやっていただきたいということと、最後、イノシシとシカの対策。特に、えびの市の方からも言われたんですが、シカとイノシシも感染するおそれがある動物であるということで、野生のものですので、もうあちらこちら移動しています。そういった中で、これを通しての感染が広がらないかという、そういった心配の声も上がっておりましたので、是非ともこのイノシシとシカ対策もしっかりと取り組んでいただきたいということを要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 私ども日本共産党も、四月二十七日に宮崎県に調査に入って、日帰りでしたけれども、二十八日に郡司副大臣に対して申入れをさせていただきました。あの時点でまだ五例目、六例目だったわけですね。
 それで、現地に行きましたら、やっぱりここで何としても封じ込めたいと、もう祈るような気持ちで現場でお話を伺いました。その時点からもう二週間過ぎまして、事態は非常に深刻化していると。やはり、戦後最大の口蹄疫被害というふうにも言えると思うんですけれども、発生県の宮崎県は日本で第二位の畜産県だと。それだけに、日本の畜産業に対する脅威だというふうに思うわけです。これに対する取組は、日本の畜産業にとって正念場と言えるものだと思います。
 それから、川南町の被害は、町内でいえば半数以上に及んでいると。そういう中で、現地の被害農家の精神的な打撃ということでいえば、もう聞けば本当に夢も希望もないという涙声になってしまうような、そういう状況に置かれているわけです。
 これほどの畜産被害が出ている以上、やはり大臣が陣頭指揮を執ってやる必要があったというふうに思うわけですけれども、まず大臣として、現在の宮崎の口蹄疫被害の戦後最大規模の被害の重大性の認識ということと、これまでの取組における大臣の役割と、それから今後の決意ということで述べていただきたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君) 四月の二十日の発生以来、本当に、地域的にはほぼ三キロのところに封じ込めていますけれども、しかし、川南町を中心としながら、数の上では今委員御指摘のようなことになっているということで、まだまだこの勢いは衰えていないということで、大変危機意識を持ってこの問題をとらえております。
 しかし、私どもは、専門家の意見も聴きながら、とにかくどういう方法が一番効果的なのか、何が今必要なのかということを、町、市、県、国、一緒になってしっかりと相談もしながら、国としてもまたできるだけの体制を取りながら、先ほども獣医さんの問題あるいは職員の問題、そしてまた一方では自衛隊等の支援もお願いをしながら、そしてまた畜産業界全体のボランティアの皆さん方の応援もいただきながら、四十七都道府県のそれぞれ職員の皆さんの応援もいただきながら、今、国を挙げて何とかここで封じ込めたいということで頑張らさせていただいておるところでございます。
 発生源や感染経路、これについては残念ながら今なお分かっておりませんけれども、しかし、まずは、取りあえずは今何とかここで押さえ込むと、そういう中で、並行して今後のためにもこの感染源や感染経路についても専門家の科学的な知見に基づいた形でのやっぱり検証をきちっとしていかなければいけない、こういうふうに思っておりまして、全力投球で頑張りたいというふうに思っております。
○紙智子君 私どもも、このような甚大な被害が主要畜産県で広がって、この口蹄疫の更なる広がりを許せば日本全国にも飛び火しかねないと。そういう意味では、日本の畜産業の正念場のときに、やっぱり陣頭指揮に立つべき大臣が農産物の輸入拡大につながりかねないようなEPA、FTAの会議に海外出張したということについて、現地から批判が出るのはこれ致し方ないことだと思うんですよ。現地の人の身になったらそうなんですよね。やはり大臣として、そのことについては真摯に受け止めて、襟を正すべきは正すべきだということについては一言申し上げておきたいと思います。
 そこで、二十八日の申入れの趣旨に沿ってなんですけれども、質問したいと思いますが、現地の川南町では処理頭数が多過ぎるということで埋設場所の選定ができないという話が先ほどもありましたけれども、これは本当に県任せにせずということになって現地に大臣も赴いて、それで、埋却処理について、国有林のことも提言も含めて言われているんですけれども、その点について、具体的にどういうところをどうするのかということについてお話しください。
○副大臣(郡司彰君) そのようなことで国有林ということについての検討をさせていただいております。そして、山に向かっては水源に近いのではないかという懸念があるものですから、では、それ以外のところの可能性というものもあるんだろうかということで、枠を広げて今現在行っているところもございます。
 ただ、地元の合意そのものがまだ得られていない段階でもございまして、あるいはほかの産業に対する、先ほどから出ております風評被害等を心配をする声もそのことの調整、話合いの中で出ているものでありますから、ここで今明らかにすることは若干差し控えをさせていただければというふうに思いますけれども、鋭意一定のポイントを定めまして、その地域の土壌の関係、そしてまた地元の調整を重ねているということでございます。
○紙智子君 私も、どこでもいいわけじゃなくて、やっぱりきちっとした基準を示して、それで現地の協力も得られるようにしていくべきだというふうに思います。
 それから、昨日、我が党の仁比議員が宮崎に行きまして関係者から現時点での実情を聞き取っているんですけれども、埋却場所についてはやっぱり個人任せになっているので、牛でいえば自分で埋めろという話になっているし、豚の場合も、そうは言われても、さっきもお話ありましたけど、そう言われても土地がないと。そういう中で、どうしていいか分からない状態で何日も過ぎるということが実際あるというのが昨日の段階でも話が出されているということですから、これについてはやっぱり責任を持って国として支援をしていただきたいというふうに思います。
 それから、防疫対策なんですけれども、市町村の財源がないために機動的に防疫対策に取り組めないという声も出されているわけです。それで、やっぱり緊急にいろいろ手を打たなきゃならないんだけれども、やっぱり手元にその財源がないためになかなか手が打てないということがあって、使用使途を定めない一定の交付金を当該の市町村に提供してほしいというのがもう最初本当にたくさん出されたんですよね。二つの町の町長さんからはもう共通して出されたわけです。それで、それについて、そういう形での提供の考えはないかということを一つお聞きしたいと。
 これは農水大臣だけでは考え付かないということもあると思うんですけれども、やっぱり省庁も連携するべきだし、それからやっぱり総務省などもその辺は協力しながらやらなきゃいけない話だと思うんです。ですから、それについて答えていただきたいということと、それから防疫対策について、一般車両を除外しているために人や車両の移動で被害が広がっているんじゃないかという指摘が専門家からも出されていると。これ押さえ込むためにもやはり徹底した防疫対策が必要だということなんですけれども、そのための人員の十分な確保についても求められているということで、農水大臣のそれについての見解をいただきたいと思います。
○大臣政務官(小川淳也君) 大変重要な御指摘をいただいたものと考えております。
 今現在ですけれども、様々な防疫措置はもちろんでありますが、自治体の懸命の取組に対して、これまでの枠組みでも特別交付税によりまして財源措置をいたしてまいりました。これと併せて、使途の制限のないというお話でしたので、独自に地方が単独事業としてやるものについても特別交付税措置を行ってまいっております。
 ただ、事の重大性にかんがみまして、これまでの措置では不十分であるというような御指摘も多々いただいているところでございまして、この点については、委員の御指摘も踏まえて、よく農林水産省と連携を取りながら万全の対策を講じてまいりたい。ただ、お尋ねの、ダイレクトにお尋ねをいただきました交付金制度について今現在明言を申し上げるような材料は持ち合わせておりません。
 いずれにしても、現行法でできるものと新たな法律を講じてでも行わなければならない措置との見極めを早急にさせていただきたいと考えております。
○副大臣(郡司彰君) 今ございましたように、総務省の方の考え方と私どもと今後折衝、相談をしながら、機動的に使えるような形のものを考えていきたいというふうには思っております。
 言わずもがなのことでございますけれども、家伝法に基づきますそれぞれの支援というものはこれまで行ってきておりますし、また農水省の方の関係では、今言いましたところ以外に、家伝法以外で措置できない消毒ポイントにおける消毒作業員の人員の人件費など、県、市町村が行う様々な防疫措置に関する費用について、県の計画に基づいて消費・安全対策交付金、補助金二分の一でございますけれども、活用するということの検討もさせていただきたい、そのように思っております。
○紙智子君 やはり、今までの枠内の中だけだと本当に対応し切れないという実情があるので、そこは枠を超えてもできないかということは是非検討していただいて、今後の対策に生かしていただきたいというように思います。
 それから、口蹄疫の押さえ込みと同時に、やっぱり焦点になっている問題だと思うんですけれども、経済的な損失についてどう補償するのかということです。
 それで、直接被害を受けている川南町の農家は、もう二度と牛飼いなんかしたくないという声があったり、あるいは、もう体力も気力もないと、そういう絶望のふちに立たされている状況があるわけです。この背景には、やっぱり現在の畜産農家が置かれている厳しい経営状況があるというふうに思うんです。飼料の価格がですね、燃油価格に伴って飼料の価格がぼんと上がって高止まりするという状況があったり、デフレによる販売価格がずっと低迷してきてどんどん下がり続けてきているということがあって、もうぎりぎりの経営の中でやってきたわけで、それに今回の事態ですから、そしてお話もありましたけれども、本当に我が子のようにかわいがって育ててきたそういう牛や豚を殺さなきゃいけないという声や、もうすべて財産がなくなるということや、そういう悲しみや苦しい気持ちがある中で殺さなきゃいけないという事態に直面しているということですから、そういう畜産農家をどうやって立ち直らせていくのかということが問題なわけです。
 現地の声で聞いた中で異口同音に出されていたことというのは、やはり融資では駄目だと。いろいろこういう対策とか融資でできますよとあるんだけれども、もうやっぱり借金抱えながらやってきた中でこれ以上また新たに投資して、借金してやろうというふうにはやっぱりなかなか思えないというのがあるわけですよ。
 ですから、これまでの前例にとらわれないで、被害農家に対して直接支援の措置をとって経営を再建させるべきだと、その点について、大臣、いかがでしょうか。
○副大臣(郡司彰君) 疑似患畜に対する殺処分を行ったことに対してはこれまでもいろいろ議論がなされ、委員も御承知のことだろうというふうに思っております。
 それ以外の経営再開ということに当たっての融資というものは、これも大臣の方からそれぞれの委員会でお話をしましたように、百億円という枠を広げてということもやってきているつもりでございます。
 それだけではなくて別な方法をいろいろと考えろと、こういうようなことでございますけれども、例えば、これまで経営再開に当たって必要な資金を支給をするための国と生産者が一対一の割合で積み立ててきておりました家畜疾病互助基金というのがございまして、これは現在、しばらくの間、これはよかったことでもあるんでありますけれども、こうした疾病が起きておりませんでしたので基金総額は八億円というような額にとどまっております。もしこれを使うということになりますれば、当然これは額として非常に少ないということになるわけでございまして、もし必要な場合には、こうしたものを活用をしながら、しかしながら、今後、全国の皆様方と御相談をして、今後の積立てについて若干上積みを図るような形でできるのかどうかということについても検討をさせていただいております。
 御存じだと思いますけれども、今現在ずっと下がってきておりますので、一頭当たりの負担金というものはかなり少ない額にはなってきております。そういったことを全体としていろいろと検討させていただきたい、そのように思っております。
○紙智子君 この問題では、衆議院の審議の中で山田副大臣が、被災された方々が再び畜産や牛豚を飼って再生できるように、前例にとらわれず、あらゆる措置を図っていきたいと述べられていると思うんですね。ですから、是非そのとおり、前例にこだわらず、本当にどうやって希望を持って、じゃこれからも頑張るかというふうに激励できるように考えていただきたいと思います。
 それから、もう一つの問題ですけれども、直接被害を受けていない農家も深刻な経済危機を受けているという問題です。
 農水省は、移動制限区域及び搬出制限区域を、これまでの二十キロ、五十キロから十キロ、二十キロに区域を縮小したわけです。それで、補償の措置についてはこの区域内に限っているわけですけれども、今回のこの口蹄疫の発生で家畜市場が閉鎖されるということになって、宮崎県全域の畜産農家に対して深刻な影響が出ているわけです。まあ、宮崎県だけじゃないですよね、そういう意味では。市場に出せなくなるということは、自主的に閉じているところもありますから、そういうところも含めて影響が出ているわけです。それで、区域内農家に限らず、畜産農家は家畜の出荷ができないと。えさ代がかさむ一方で、家畜の商品価格が低下してしまうと。経済的な打撃を受けているわけです。
 この畜産農家に対しての経済的な被害に対する補償についても必要だと、先ほど来ちょっと話も出てますけれどもね。これについて述べていただきたいと思います。
○副大臣(郡司彰君) 区域外の関係でございますけれども、幾つかのメニューを今考えているところでございます。
 一つといたしましては、これは関係する四県に対してすべてでございますけれども、搬出制限区域外において家畜を出荷できない等の影響を受けている経営に対する対策として、肉用子牛生産者補給金の飼養開始月齢の要件を緩和をいたしております。これは二か月未満を四か月未満。さらに、肉用牛肥育経営安定特別対策、いわゆる新マル緊でございますけれども、この登録月齢の要件を緩和をいたしまして、十四か月を十六か月。それぞれ二か月間延ばしていただいているというような形。それから、畜産高度化支援リースでございますけれども、対象としまして、出荷できない家畜を飼育するためのカーフハッチを追加をしております。そしてさらに、繁殖肥育一貫生産方式を導入をしているところに対する支援でございますけれども、頭当たり二万七千円を行ってきておりますが、農協等が離農をした農家の牛舎を活用して肥育を行う地域内一貫生産を追加をする等の対策を講じているところでございます。
 なお、今後、配合飼料メーカー等の業界団体に対しまして、区域内の農家を始めとして、口蹄疫の発生に伴い飼料代の支払が困難となっている農家への支払猶予についても要請をしているところでございます。
○紙智子君 それで、これも昨日現地で仁比議員が聞いている中で、要は評価額の問題というのがあって、それで、本来、育てて、そして一定の大きさにして売るわけですけれども、子牛だったり、その評価額で考えられるとすごく下がってしまうということもあったりして、現場の生産者の立場に立った、そういうやっぱり評価ということを是非反映させていただきたいということも出ていましたので、是非御検討いただきたいと思います。
 それから、動物用の薬品や人工授精師ですね、それから食肉加工メーカーなどの関連産業もすごく大きな影響を受けていて、自治体の様々な行事も中止ということもあって、例えば弁当会社とか関連会社なんかも影響を受けていると。聞くと、五月にもう山開きとかそれから釣り大会とかワイナリーとか子供祭りとかスポーツだとかと、もう二十種類ぐらいの事業なんかも全部中止になっているわけですね、行事なんかも。そうすると、それにやろうとしていた弁当屋さんやいろんな関連の、運ぶ、運輸の仕事の関係も含めて、全体にやっぱり影響出ていると、もちろん食肉工場なんかもそうですけれども。
 こういうところに対しての打撃をやっぱり救っていく国としての対応策も是非検討してほしいと言うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(郡司彰君) いろいろなところでイベントの中止などが出ているというふうにも認識をしております。特に、これから観光等の面も含めていろいろと影響が出てくるということが懸念をされますので、そこのところについてこれから検討をしていきたいなというふうに思っておりますし、ある意味、これまでの議論に出されましたように、風評被害等に基づく影響を抑えるということについても一方でしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っております。
 それに伴いまして、いろいろと、先ほど来からの話ではございませんけれども、融資を相談したいとか、あるいは経営のことについて相談をしたいと、このようなことが出てくるということも考えられますので、特に政策金融公庫あるいは商工中金あるいは信用保証協会等に設置をされました相談窓口を有効に活用する中できめ細かい対策を行っていきたい、そのように考えているところでございます。
○委員長(小川敏夫君) 時間が来ておりますから、紙君。
○紙智子君 もう時間なくなりました。
 最後一つだけお聞きしたいんですけれども、感染経路の解明の問題で、到達点とこれからの見通しということをちょっと最後にお聞きして、終わりたいと思います。
○委員長(小川敏夫君) 赤松大臣、なお、時間が来ておりますので、答弁簡略にお願いします。
○国務大臣(赤松広隆君) これにつきましては、今私どもの本部の下で牛豚等疾病小委員会、また、その下に大学の先生方で口蹄疫疫学調査チームというのを設置をしておりまして、これで今並行してこの感染源、感染経路、それらについて今調査を進めておるところでございます。
 十年前は原因がはっきりできなかったものですから、何としても今度だけは感染経路なり感染源が分かるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○委員長(小川敏夫君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時十八分散会

第174回国会 農林水産委員会 第12号 平成二十二年五月十四日(金曜日)    午前九時開議
本日の会議に付した案件
 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)
     ――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。
○江藤委員 十一日に引き続きまして、質疑をやらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 前回は、私もちょっと病み上がりということもありまして、どっぷり地元の空気に浸っておりましたので、少し感情的に流れてしまった部分が多分にあったかなというのは自分の中でも反省があります。大臣、その点についてはぜひ御容赦をいただきたい、よろしくお願いをいたします。
 そのときに申し上げましたけれども、このことをまず確認させてください。一丸となってやろう、与野党一丸となって、もう与党も野党も関係ない、国の持っている力すべてを注ぎ込んで蔓延の防止をやろうということを申し上げました。このことについては、大臣は御同意をいただけますね。御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 それは、議会の中の与野党もそうですし、それから国、県、市、町が一体になってこの難局に当たっていく、これはもう当然のことだと思っております。
○江藤委員 ありがとうございます。
 我が宮崎県でも、六人の国会議員がおります。この間集まりました。そして、私が一応合意文書のようなものをつくって、その方向に向かって今努力中でございます。ですから、ここにおられる民主党の先生方もぜひお力をおかしいただいて、この委員会からいい答えが出るように。別に、与党の要求をすべてじゃない、我々野党の要求をすべてのんでください、そんなむちゃなことを言うつもりはありません。法改正も必要でしょうし、大臣一人の権限では無理なこともあるでしょう。いろいろな限界があることはわかっています。ただ、受けとめていただいて、検討はしていただきたい、そのことをぜひよろしくお願いします。
 私の一日は、まず電話をすることから始まります。けさも尾鈴農協の松浦畜産部長に電話をかけまして、状況の確認をしてまいりました。毎日悲しいニュースばかりです。まだ確定されてはおりませんけれども、またどうも怪しいなというところが何件か報告をされました。これは非常にセンシティブな問題ですから、どことは言いませんけれども、蔓延の拡大がとまっていないという事実は間違いがありません。このままでは、もう平田川という川を越えましたから、そうするともう木城町へ行っちゃうんですよ。高鍋も危ないです。ですから、もっと対策を強化しないと大変なことになりますので、そのことをぜひ御認識をいただきたい。
 最近、ネットの世界のこともいろいろ話題になっておりまして、大臣にも一部御迷惑をおかけしているようなこともあるようでございますけれども、しかし、多くの方が心配をしてくださっています。
 私はグリーでブログをやっているんですけれども、例えば、新宿のアンテナショップ、あそこに行って買い物をしてきました、宮崎の物産を進んで買います。スーパーに行ったら宮崎野菜と書いてありました、それを選んで買いました。寄附をしたい、どこにお金を送ったらいいんですか、江藤さん、教えてください。私、行ってもいいです、役に立たないかもしれないけれども、ぜひ行かせてほしい、窓口はどこですかと。本当に温かい、宮崎県の人の気持ちをわかってくれている、そういう書き込みがあって、それで私も比較的早く回復できたのかなというふうに思うぐらいの気持ちであります。
 ぜひ、御関心はないと思いますけれども、これも広い皆さん方の御意見ですから、厳しい御意見もありますよ、私に対する批判の意見もあります。もしよかったら、一度お目通しをいただくと参考になるかなというふうに思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 まず、大臣にお尋ねをしますけれども、家畜伝染病予防法に基づいて手当てされる、五分の一の件、この間しり切れトンボになってしまった件ですね。これについて質問させていただきますが、特別交付税で措置することが決定したかどうかについては、きのうの参議院の委員会でも大臣は確固たる自信をお示しになりました。見ておりました。ですから、このことを改めて蒸し返すことはもういたしません。宮崎県民はみんなこのことを信じていますから。ぜひぜひ五分の五になるように、よろしくお願いいたします。これはお願いにとどめておきたいと思います。
 次に、十一日の本委員会の冒頭での宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告の中で、「殺処分した疑似患畜について、家畜伝染病予防法に基づき手当金を交付するほか、発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。」これのこのページに書いてありますね。これは大臣が朗読されたものであります。
 家畜共済の場合は、牛においても豚においても、殺処分された場合、これは五分の一きちっと補てんされるというふうに、この文章からはそうとしか読めないわけでありますが、これは間違いないですね。大臣、御答弁をお願いします。
○赤松国務大臣 これは正確に申し上げますと、例えば牛の場合と豚の場合とは違うと聞いています。
 例えば、共済で五分の一を補てんすると、牛の場合はほとんどそれが見られるんですけれども、豚の場合は、価格の評価が必ずしもそれと一致しない。そうすると、それで五分の一は補てんするといいながらも、実際には若干の差額が出る場合があるというふうに聞いております。
 ですから、それは、私は東国原さんにも言ったんですが、とりあえずその足らざる点、それから同様に、本来すべての方が畜産の共済に入っていただけばいいんですが、入っていない方も中にはおられますので、そういうところはとりあえず県が全部直ちに補てんしてあげなさい、そして、その分についても後で特交で処理をするというようなことにすればいいじゃないかと。とにかく、まず全体的にきちっと心配なく補てんできるんですよというメッセージを与えることが今必要なんだということで申し上げているということであります。
○江藤委員 御理解をしていただいているということを聞いて、安心をいたしました。
 ただ、新聞にもテレビのニュースにも、国が全額補てんということが大々的に報道をされているわけですよ。今、大臣が御指摘されましたように、若い豚につきましては大体出ます。牛については五分の一、言われたとおり出るんですよ。ところが、出荷直前の豚、これはゼロなんですよ。
 ということになりますと、この書きぶりというのは、非常に誤解をもたらすものですよ。非常に誤解をもたらすものです。別に意地悪を言うつもりはありませんが、これは、政府がこれからどうやって口蹄疫の蔓延防止、再建に向かって立ち向かっていくのか、政府の基本姿勢を示したような大事な文章ですよね。これが誤解を招くような表現であるとするならば、私は完全に誤解を招くと思いますよ。「発生農場が家畜共済や家畜防疫互助基金に加入している場合には、それぞれの制度により補てんすることとしております。」と。
 特交のことも書いてありません。特交のことも書き加えて、この部分については、豚については十分ではありませんので、その部分についても特交で見ますというふうに書き直して、再提出されたらいかがですか。そのことを求めますが、御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 これはある時点での報告書なものですから、そういう意味でいうと、基本的には、衆参と違うものを出してどうこうということもいかがかということで、できるだけその時点での同じものを実はそろえて出そうということにいたしております。
 私は十日に行って、その中でまた現地でいろいろお話があった。埋却地の問題もそうですし、今の五分の一の問題もそうですし、それから、また後で話題が出るかもしれませんけれども、例の育ち過ぎてしまった豚の差額の、一万一千円の問題とか、そういうことも含めて、できることは、その後、第三弾という言い方がいいかどうかわかりませんが、さらに追加していろいろ対応をしているということについては、確かにそれは書いていないんですけれども、それはあくまでもとりあえず委員会の冒頭に出す報告書ということで、足らざる点については、こういう委員とのやりとりの中で実質的に中身を補っていただくということです。それは、最終的にこのままの中身しか必ず動かないんだということではなくて、あくまでも大臣としての口蹄疫についての報告ですから、それはそれで御了承をいただきたいと思います。
○江藤委員 もう私、大臣ともめたくないんですよ、正直な気持ち。一体となってやりたいので。
 ただ、これはその時点での報告書というふうに言われましたけれども、みんなはこれを見て、例えば養豚農家の方は、ああ、おれはちゃんと入っている、安心なんだと現地で思っちゃっているんです、これを読んで。ですから、修正することが必要だと思いますよ。別にそんなに恥ずかしいことじゃないんじゃないですか。わかっていらっしゃっているんだったら、だったら正しい文章に直す。筆頭、どうですか。
 私は、このことがやはり政府・与党としての誠実な対応だと思いますが、これを書き直して、改めてきちっとしたものを衆参に出し直すということはされませんか。
○山田副大臣 五分の一の部分について、豚においては出荷前においてゼロになるんじゃないかというお話でしたよね。これは共済の評価が、確かに二十日ごとに、二十日齢の評価額を全頭に適用していっているから、どんどん下がってくるということはあるとは思うんです。限りなく下がっていって、五分の一分がその分出なくなっていくんじゃないか、そういう言い方をされたんじゃないかと今思ったんですが。
 ところが、大貫物については一応、一万一千は出すようにしていますけれども……(江藤委員「それは共済とは別の話でしょう」と呼ぶ)共済とは別ですけれども、ALICの方から一万一千は、そういった場合に備えてもそれは出すようにしていると思います。
 同時に、江藤議員が問題にしているのは、共済に入っていない農家に対しても五分の一については、大臣としては、もうできるだけの補てんをしてやる、そうおっしゃっているんだから、そういった分についてもいわゆる特別交付金でちゃんと補てんしてほしいという趣旨だと。そういう意味では、そういう形で、大臣の言っている趣旨とはたがわない、私はそう解釈しております。
○江藤委員 わかりました。質問事項が多いので、もっとやりたいですけれども、本当は一時間半ぐらい欲しかったですけれども四十分しかないので、残念ですけれども、きょうのところはこれで引き下がります。
 しかし、実際、共済に入っている人がいますよね。共済に入っていない人がいますよね。この人も五分の五ですよね。共済に入っている人は共済金の分をプラスアルファにしてくださいよ。掛けていた人はばかを見るじゃないですか。そうでしょう。そうしたら、次、だれも入らなくなりますよ。
 ですから、そのことは、今すぐ御返答いただかなくて結構です。共済に入っている農家がいる、入っていない農家がいる、入っていない農家まで五分の五もらった、入っているおれも結局五分の五だった、では、おれが今まで掛けてきた掛金は何なんだということになりますので、このことは、御答弁を求めません、もういいです、長いので。求めませんが、御検討ください。よろしくお願いします。
 続いてお尋ねします。山田副大臣、いいですか。
 六日の記者会見、これを見せていただきました。新聞で読みましたけれども、このときに副大臣は、牛は落ちついたとおっしゃいましたね。でかでかと新聞に出ておりました。通告しておりましたから御存じのわけでありますけれども。しかし、翌々日から五十一例が新たに発症をいたしました。そのうち、三十五例は全部牛ですよ。これはやはり、政府としての認識は甘かったというふうに私は自覚をしてほしい。
 御答弁を求めます。
○山田副大臣 そのころ、豚にかなり頻繁に発生した時期で、四日、五日に牛の発生がなかったということから、私としては六日の日に、一応牛は落ちついてきたんじゃないかと、当時、記者会見で、少し落ちついてきたような感じを受けますという話をしたことは事実です。当時、豚がまだかなり出そうな雰囲気ですが、制限区域内に封じ込めることができれば、何とか、本当にいいんじゃないかという話をさせていただいたという記憶がございます。
○江藤委員 やはり、最初から言っていますけれども、もっと危機感を持ってください。我々が一番恐れていたのは豚への感染なんですよ。千倍、二千倍、三千倍の感染力を持つようになってしまう。我々は現場で、豚に行ったら牛が全滅すると思っていたんですよ。豚に行かないことを最重要目標にやってきたんです。確かに、その二日、牛は出ませんでした。豚が出た時点で、これは牛はもっとやばい、これはどえらいことになったと。
 この三役の中で一番畜産に詳しい方じゃないですか。私は、副大臣からこういう発言が出たことは非常に残念です。みんなびっくりしていましたよ。みんな豚に感染してびびっているのに、何か牛はこれで終わったようなことを副大臣が言っている。それは、もう責めても仕方がありませんから、一応胸に刻んでおいてください。御答弁は求めません、もう今いただきましたから。
 続いて、今度は大臣にもう一度お尋ねをいたします。
 食料・農業・農村政策審議会、この担当小委員会が六日の会合で、風による広範囲なウイルス拡散は考えにくいという発表をしていました。これも新聞で見ました。これは私は非常に問題があったと思うんですが、大臣の御見識を伺います。
○赤松国務大臣 正確に申し上げれば、まだすべての、例えば感染源だとか、感染経路だとか、それが検証されたわけじゃありません。ですから、これはもちろん、抑え込むという一つの作業と並行して、一体どこから病原体が来たのか、あるいは、もともとのもとは何だったのかというようなことは、専門家の先生方に今検討していただいております。
 ただ、私どもが最低限言えることは、これは人にはうつらない、あるいは、うつった豚、牛を食べても全く人の健康には影響ない、害がない、そういうことはもう科学的に証明されているわけですから、そういうことをきちっと踏まえた上で、あとは、いろいろ、この辺のマイクで言っている人たちは、人にもうつるんだとか、あるいは空気でどんどん蔓延して、あっという間にこれが全国へ広がるんだみたいなことをあおり立てるような意見、インターネットでもそういうのがありますけれども、そこはもう少し冷静に私どもは考えた方がいいのではないか。
 今のところ、先生方のお話としては、どうも、入り口付近で発生しているとかなんとかから見ると、人とか車がウイルスを媒介しているのではないかというような見方が多いというのも事実でございますけれども、ただ、それだといって断定したわけではございませんので、あらゆる可能性を今見ながら、きちっと厳格に検証をしている最中ということでございます。
○江藤委員 大臣の言うとおりなんですよ。最終的な結論が出る前に、あやふやなこういうものがきちっとした情報管理もなされずに流れ出してしまう、これは危機管理能力の欠如ですよ。
 現場に行っていないからわからないんですよ。二百メートルしか離れていなくても、うつっていないところはうつっていないんです。二キロ、三キロ離れているところでも、うつっているところはうつっているんですよ。
 もっと言いますと、山田副大臣はわかっていただけると思いますけれども、養豚のウインドーレスのそこに入る人たちは、着てきたものを全部着がえて、シャワーを浴びてきれいにして、体を洗って、滅菌した服を着て、長靴を履いて、手袋をして、帽子をかぶって、それで入るんですよ。ウインドーレスですから、外気との接触点というのは換気扇しかありませんよ。ネズミとか鳥なんて絶対入ってくるスペースなんかない。ありませんよ。そこに発生したんですよ。とんでもない頭数ですよ。とても獣医では殺処分できません。これは特例をいただいて、炭酸ガスで殺処分をいたしました。悲惨な状況ですよ。ですから、地元の方々が何を言っているかというと、これはやはり空気感染というものの可能性が高いなというのが地元では通例になりつつあります。
 この発表がなされたことによって何が起こったかというと、畜産農家の方々は、自分の周辺とかそういうところのチェックポイントの強化をしておけば、空気で飛んでこないんだから大丈夫なんだろうと思っちゃったんですよ、みんな。やはり権威ある人たちの御意見じゃないですか、正式発表じゃありませんけれども。
 ですから、今後は、最終結論が出るまでは、こういった現場の対応に混乱を来すようなことはきちっと抑制をしてください、副大臣、大臣、三役。このことを強く求めないと、今度の防疫体制、これはまだまだ、残念ながら広がります、言いたくありませんけれども、とまる気配を見せませんので。そのことを強く申し上げておきたいと思います。
 それから次に、いわゆる家畜の移動の問題。家畜改良事業団、六頭の種雄牛がいます。三十六年の長い時間をかけて改良してきました。隆美号、糸秀、安平、世界に名立たるような名牛をつくってきました。そして今、その次の世代を担う六頭の牛が、宮崎県の牛、大体八〇%強、種つけを今しています。これがいなくなってしまったら、宮崎ブランドは消えてしまうんですよ。
 伝染病予防法を読めば、制限することができると。移動させちゃいけないとは確かに書いていない。ですから、移動していいと御英断をいただいた。感謝しています。県も、三つの条件、これをクリアしてくれた、努力をしてくれた。このことについては、大変私はありがたいと思う。ただ、移動される経路のいわゆる市町村、それからそれに隣接する県の人たちが不安な気持ちになるのは、これはやはり当然だと思いますよ、恐ろしい病気ですから。
 きのうの参議院の質疑を私はテレビで見ておりました。大臣が何度もおっしゃったことは、県の責任においてということを、確かにそうです、事業主体は県なんですから。ただ、やはりここは、国が一歩前に踏み出していただいて、例えば隣県が鹿児島、熊本だったとした場合、最後は国が責任を持つから、わかってやってくれと。そういう仕事を私は国にお願いをしたい。
 将来、宮崎県がやはり和牛生産の一大拠点として生き残るためには、最後に守らなければいけない城なんです、ここは。ですから、県の県のという話、わかりますけれども、理解はしますけれども、大臣、この場で、わかった、最後は国が責任を持つ、そう決断して、表明をしていただけませんか。
○赤松国務大臣 私は、県がきちっと責任のもとでやってほしいというのは、例えば三条件の中で二番目を見てもらえばわかるんですが、清浄性が確認される、これは国の方でも確認ができます。ところが、現地へ行ってから、そこがちゃんと清浄性を保つための管理をきちっとやってくださいよということは、これは宮崎県にお願いしないと、我々が常に見て、国の施設としてやるわけじゃないものですから、それはいいですねと。きれいなものが行ったって、ほかからうつらないように、ちゃんと管理してくださいよということは、これは宮崎にきちっと自覚を持ってやっていただかないといけないという意味で私は申し上げています。
 ただし、今度のことでも、最初に決まったのがまたちょっとあれになってみたいなことは、どことは申し上げませんが、近くの県が、そんなものが来たときに、もしかかったらどうしようかなみたいなことで、御心配があった。だから、そういう他県に対して、いや、これは宮崎だけじゃなくて日本全体の宝なんだから、それをやるために、ぜひ他県としても、近くへ来るけれどもそれは了解してほしいと、そういうような努力は、これは国としてやることは当然でございますので、そういうことはきちっとやらせてもらいます。
○江藤委員 ありがとうございます。
 それは、出す手順についての責任は県です。ないと信じておりますが、もしかしたら、移動した牛が発症する可能性がゼロとは言えません、空気感染があるわけですから。イギリスでは、ロンドンの霧にこのウイルスが乗って、ドーバー海峡、ヨーロッパ大陸まで飛んでくるとまで言われている。これはそれぐらいの伝播力のあるウイルスなんですよ。
 ですから、万々が一起こった場合は、そのときは国が、万全、最終的にすべての責任を持つから、わかってくれという説得をしてください。これはお願いですから。今、決断していただいたので、大変このことについては感謝をいたします。ありがとうございます。
 それでは、皆さん方にも参考資料としてお配りをしました、これは口蹄疫に関する谷垣総裁の名前で出させていただいたものでございます。これは、私が実は一任を受けまして、畜酪の委員長をしておりますので、一人でつくったものでありますので、多分に足らざる点があります。
 例えば、猶予期間、こういうところについても、猶予を求めると書いておりましたけれども、これは無利子無担保というような言葉が実は抜けてしまっておりまして、もしできることがありましたら、皆さん方にはこれは書いてほしいなと、勝手なお願いですが、そういうふうに思うわけであります。
 それでは、これから山田副大臣に質問が集中しますが、どうぞよろしくお願いします。
 まず、第二番目についてお尋ねします。これは通告を全部してありますからね。
 出荷停止により、収入が途絶える農家に対して、一時金の給付など生活支援策を講じるとともに、税金や公的機関への納付金などの支払い期日を猶予すること。この猶予というのが私は間違いだったと思っているんですよ。あのときは猶予でまだ事足りると思っていました。でも、事がここまででかくなると、私は、これを免除とすべきだったなというふうに反省をしております。
 このことについて、副大臣の御見識、お考えをお聞きしたいと思います。
○山田副大臣 畜産農家、特に口蹄疫の発生した畜産農家につきましては、もちろん出荷もできませんし、現金収入もなくなりますし、それは大変だと思いますので、生活そのものも大変だと考えています。
 そんな中で、まずは、いわゆる五分の四の家畜伝染病による評価等、それについては、先般、大臣が宮崎県に行ったときも、早く出してほしい、すぐにでも国としても出したいと思っているのでと。それをできるだけ迅速に適用させていただきたいと思っておりますし、かつ、再生資金については、疾病維持資金で、個人だったら二千万、法人だったら八千万、市町村、県の協力も得て、そういった制度があります。
 一方、そうではなくて周りにいる、制限区域にいる家畜の農家の人たちについては、出荷もできない。そういった意味では、返済猶予、まずえさ代の返済猶予、これを国の方から各えさ会社、全農さん初め皆さんに要請させていただいております。今まで、支払いについても、返済猶予法案、いわゆるモラトリアム法案も成立しておりますし、まずは返済猶予だと思っております。
 その次に、いわゆる生活資金については、宮崎県が貸し付けを始めてくれたんですね、今、県として。それについての利子補給等については、恐らく無利息だと聞いておりますが、これから総務省と私どもが相談して、特別交付金でそれがどれだけ賄えるかということは検討させていただきたい、そう考えております。
 もろもろ、私ども、そういった畜産農家についてのいろいろな資金面での手当て等も考えておりまして、税についても、猶予という形で、今、そういう方法もできるやに確かめておりますので、できるんじゃないか、そう考えております。
○江藤委員 ですから、先ほど申し上げました猶予の方向で検討に入っていただいている、これは一歩前進です。でも、猶予では無理です。これはいずれ払わなければなりません。ですから、ある程度そういう支払い能力が畜産農家につくまでの間は、国税、消費税、それからいわゆる所得税、法人税、これについては免除する、それぐらいの思い切った方策を地元は期待しております。
 そして、なかなか難しいのはわかりますけれども、地元は動き出しているんですよ、今お話がありましたように。例えば、農協の例を御紹介しましょうか。農協は、生活費であったり経営支援資金であった場合は、ほとんど無審査で貸していますよ、尾鈴農協。それがどれほど農協の経営に圧迫になるかなんということは二の次です。おれたちはつぶれるかもしれないとみんな言っていますよ、農協は。それは、どれだけ農協の皆さん方が畜産農家との距離が近いか、真剣に彼らのことを考えているか、この証左だと私は思う。
 畜連についても、尾鈴農協、児湯農協、西都農協の三つで経営しているわけですけれども、子牛の競り市は出荷できませんでした。だけれども、希望者には、出荷したとみなして一頭当たり二十万円を仮渡金として差し上げましょうということで、お金を出しているんです。本当になけなしの金ですよ。地方ではこれだけ頑張っているんですから、国ももう一歩二歩前に出てくださいよ。ぜひお願いします。
 この税金は、先ほど言いましたが、猶予というのであればだめですね。この際チャラにしてください、緊急事態ですから。今お返事はいただけないんでしょうけれども、ぜひ政務三役で御検討していただくことをお願いします。
 全然時間が足りませんけれども、三番目についてお尋ねをいたします。
 出荷の延期等に伴い経営継続に支障が生じないよう、日本政策金融公庫より、無利子の運転資金の融資を速やかに行うこと。これは山田副大臣が若干触れられました。二十億から百億に枠を広げたこと、悪いと思いません。枠が広がった、いいことだと思いますよ。それから、対象区域が広がった、これも私はいいことだと思います。感謝申し上げます。
 だけれども、では実際この金が使われるかというと、残念ながら使われません。宮崎県が新しいこれに近い制度資金をつくりました。現場の方々は、宮崎県の資金の方がよっぽど使いやすいので、県の方に申し込みをする。だけれども、国の顔も立てぬと悪いしなと。やはり政権与党にはみんな気を使うんですよ、正直なところ。
 私はここで提案をいたします。この資金について一番やらなきゃいけないこと、これは貸し付け条件の緩和であります。貸し付けの限度額は、個人で二千万、法人で八千万、こうなっています。農協が、経済連が一千万乗せていますから、三千万、九千万に前回はなりましたけれども、経営体もでかくなっていますから、こんな金額ではとても足りません。せっかく百億に広げたんだったら、この貸し付け条件をよくしてくださいよ。しかも、融資期間はたった五年、据置期間はたった二年。無理です。
 地元の声を聞いてまいりました。十五年、二十年にしてほしいと。これを思い切って十五年、二十年にしてほしい、それぐらいの時間がかかりますよ、今回のダメージは。それほど傷は深いんです。(発言する者あり)県のは七年です。経営継続資金は、乳用牛は十万円。笑いますけれども、二年でも長いとありがたいんですよ。
 経営継続資金についても、乳用牛十万円、その他の畜種についても金額が入っていますけれども、こんな金額では、とてもじゃないけれども、やれません。ですから、貸し付け条件の見直し、これをきょうから早速、政治主導で、政務三役で検討に入ってください、これをお願いします。きょうは御答弁はできないと思いますので、御答弁は求めません。
 これについては、飛んで申しわけないんですが、三ページ目の三十一、三十二項目、いわゆる口蹄疫発生によって影響を受けるさまざまな関連産業、商店街とか運送業であるとか、いろいろあります。そして、地域経済への多大なる打撃についても、これに準ずるような温かい制度資金の導入ができるように、御検討を進めていただきたいということをあわせてお願いをしておきます。もう時間がないので、済みません、答弁は求めません。
 四番目について申し上げます。発生農場の患畜及び疑似患畜の殺処分、埋却について、家畜伝染病予防法を改正し、全額を国庫で行うこと。
 国有林という話がありましたけれども、国有林は使えないということは大体御理解がいただけたと思います。防風林に埋めますと、一メートルで水が出ます。確認しました。そして、漁業問題もここで発生しています。そういうことであれば防風林は使えません。山に行くとなると、物すごく遠いので、移動距離が長くなるとリスクが高いです、患畜を運ぶわけですから。
 ですから、やはり農地を買い取るしかないんですよ。ところが、農地を買い取りたくても、農地は自己資金で買わなきゃいけないことに今なっています。農地が見つかっても買えない人がいるんです。これはやはり国が面倒を見てください。
 そして、きのうの朝、川南町長さんとお話をしましたら、現在発生している分の埋却地については何とかめどがついたという報告を受けました。よかったですね、頑張られましたねと。もう疲労こんぱいですよ。本当に一軒一軒農家を歩いてお願いをして、頼んで、地域のためだから協力してくれ、本当に畳のへりに頭をこすりつけるようにして、関係団体、農協の人もそうですよ、県の人も働いたかもしれない。そういう人たちの努力によってこの埋却地は確保された。きのう、何か政務官は十六ヘクタールとかいう答弁をされたようですけれども、まだふえるかもしれませんよ。
 そして、酪農家は草地に埋めました、自分の牧草を植えるところに。そこにまた牧草を植えられますか。酪農家にとっては、そこはお墓ですよ。その上にまた牧草をまいて、北海道の先生方だったらわかるでしょう、またトラクターを走らせて牧草を刈り取って、それを新しい牛に食わせますか。できませんよ。トラクターに乗るたびに涙が出るでしょう。ですから、埋却地については国が全部面倒を見てほしい、このことを要求します。
 それから、この埋却についてはいろいろ問題があります。平成十六年十二月一日に大臣が公表したものがありますね。口蹄疫に関する特定家畜伝染病防疫指針、これによると、いわゆる査定する人間が来てからじゃないと埋められないというふうになっているわけですが、実際にはそんなものを待っていられません、蔓延してしまいますから。どんどん殺処分して、どんどん今埋却を進めております。
 家伝法自体が昭和二十六年にできた法律ですから、古いんですよ。これは早速、直しましょう。畜産の形態も変わりました。経営規模も変わりました。ですから、そんな私が生まれていないときのような法律がいまだに生きていて、それが基本になって指針がつくられている、このこと自体も私は問題だろうと思います。
 このことについては、副大臣、今度は御答弁を求めますので、お考えを簡略にお願いします。
○山田副大臣 殺処分するときに、地元の知事さんが任命した三人の専門家が評価することになっていると聞いておりますが、先ほども話しましたように、五分の四、五分の一のいわゆる損失分を補てんするために、全く評価できないということはできないでしょうから、できる限り評価していただいて、ただ、豚みたいに何千頭も、一万頭を超えるような頭数になってきたときには、一頭一頭の評価というのは不可能でしょうから、当然のことながら全体で。そういう便宜は、私も心配になって聞きましたところ、現場においては十分そういう配慮はしながら、評価事務もそういう形できちんとやっておりますというお話だったので、安心しているところです。
○江藤委員 副大臣、ありがとうございます。
 ですから、一応、家伝法に基づいた殺処分は行われていない、埋却は行われていないんですよ。ですから地元の声をお伝えしますけれども、最終評価で補償をするのではなくて、概算的評価基準等で仮払いしてほしいんです。きのうも古川議員が一生懸命言いましたけれども、仮払いをしてほしいんですよ。先ほど、五分の四のお金を当面の生活費に充てろというふうにおっしゃいましたけれども、それは酷な話ですよ。そして、最終的に精算するという形にすれば、国庫には何の損失もないじゃないですか。
 強力なリーダーシップを大臣に期待します、副大臣に、政務官に。ぜひ、その査定に当たっては、その農場主も現場に立ち会って、納得する価格で最終的金額が決まるように、やはり政治的な指導力、リーダーシップを発揮していただきたい。このことを重ねてお願いしておきたいと思います。
 質疑時間が終わったという紙が来てしまいました。あと一つだけやらせていただいてよろしいですか、委員長。だめですか。
○筒井委員長 短くしてください。
○江藤委員 わかりました。ありがとうございます。(発言する者あり)
 小里先生が五分くれるそうですから、よろしくお願いします。
 経営が再建されるまでの期間、休業補償をすること。これは五番目に申し入れとして書いてあります。これについては与党内で御検討が進んでいらっしゃいますか。副大臣、五分ですから簡略にお願いします。
○山田副大臣 経営が再建されるまでの所得補償ということなんですけれども、休業補償といいますか。実際には、今までに肥育した評価を、例えば五分の五で売却してもらえば、一応の、当面のといいますか、私はできるんじゃないかと思っています。
 それに、互助会に、皆さん薄く、たしか二百円ぐらいで入っておられると思うんですが、今回……(江藤委員「疾病基金のですね」と呼ぶ)はい、基金の互助金制度。これは、江藤さんのお父さんの時代につくられた制度だと聞いておりますが、その互助基金のうちから、次に牛を入れるとき、豚を入れるとき、乳牛だったら十九万八千円とか、たしかそういう金額のものがそれぞれ出てくると思いますので、そういった形で、当面、生活さえ何とかしてもらえばやっていけるんじゃないか。
 その間の休業補償は、例えば、この前、津波で災害があった宮城の漁民あたりも今大変困っているんですけれども、ああいった場合でも、もちろん休業補償とかそういったことはできませんし、できるだけのことはいろいろな形で検討させていただきますが、そういった方向でやっていただければと思っています。
○江藤委員 副大臣のお気持ちはよくわかりました。当面は五分の五の金が出れば何とかなるだろうと。それは、頭数が多ければ、家族が飯を食っていく分ぐらいは何とかなるかもしれませんよ、子供の学費を払うとか。ただ、頭数が少ない農家は、ほんのちょびっとしか出ないわけですから、すぐにそんなお金は尽きてしまいます。
 ですから、私、例えば酪農の話を少しさせてもらいます。
 酪農を再建する。終息宣言が終わって、清浄化宣言ができて、もう一回再起しようという話になった場合、四カ月、五カ月の妊娠牛を買ってこなきゃいけない。持ってきても、搾乳するまでに四カ月かかりますよね、政務官。そして、搾乳して出荷してメーカーに出しても、金になるのは一カ月半後ですよ。
 いつ再開できるかわからない、いつ牛を導入できるかわからない、いつ搾乳が始まるかわからない。地元の声は、下手をすると、もしかしたら一年もしくはそれ以上、おれたちは無収入になるんじゃないかと。その間に破産ですよ。一家離散。ですから、五分の五だから食っていけるだろうというのは、副大臣、申しわけないんですが、若干認識が甘い。早く終息すれば、それで事足りることもあるかもしれない。
 ただ、先ほども言いましたように、私が毎朝畜連に電話をして状況を聞いていると、こういう声が出ました、きのうの委員会でも話が出たようですけれども。これは、域内のみんなの合意が得られれば、蔓延防止の手段は、もう全頭殺処分しかないのではないかと。最初言い出したのは一人、二人でしたよ。それは発生農家じゃないですよ、発生していない農家ですよ。周りに迷惑をかけないために、うちの豚も殺していい、うちの牛も殺していい、これで封じ込めようという声が地元で今どんどん広がりつつあるんですよ。
 そんなことはしたくないです、私だって。大臣は、そんな、生きている牛を殺すのは心が苦しいとおっしゃいました。私だって同じ気持ちですよ。だけれども、これは、莫大的にパンデミックになることを考えたら、そのことも一応視野に入れて、今、やると言わなくて結構ですから、検討課題としては頭の隅に入れておいていただきたいと思います。
 たくさんまだ残ってしまいましたけれども、小里議員もいい質問を用意していただいていますので、これで私の質問を終わりますが、最後にもう一回確認をさせてください。もう、自由民主党も民主党も共産党も社民党も公明党もみんなの党も、ほかにもいろいろありますけれども全部覚えていないので、それはありません。とにかくこれは、選出された国会議員すべてが力を合わせてやることであって、団結することが大事だと思います。足を引っ張りはいたしません。問題点の指摘はします。要望もいたします。大臣に対しても、これからはもう少し敬意を表するようにいたします。
 ですから、どうぞ、皆さん方の、委員の皆さん方のお力をおかしいただけますことを、地元代表の選出議員として心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○筒井委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自民党の小里泰弘でございます。
 引き続き、口蹄疫についてお伺いをしたいと思います。
 まず、現在の被害状況はどのような状況か、お伺いをいたします。
○佐々木大臣政務官 現在の状況についてお答えをさせていただきます。
 四月二十日以降、八十六例の発生を確認して、約八万頭を殺処分するとしたところでございます。川南町、都農町及びえびの市に今のところ限局されてございます。
 それから、発生が続いていることについて、牛豚等疾病小委員会においては、厳格な消毒、迅速な殺処分等、防疫措置を徹底すべきとの意見をいただいているところでございます。
 さらにまた、殺処分についてでございますが、本日まで、国や都道府県から派遣している獣医師を約百四十名まで増員させていただいてございます。農政局等の派遣職員は約百三十名規模に増員をしているところでございます。
 こうした人的支援を強化させていただき、できることはすべて行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小里委員 このような事態に至った責任についてどんなふうにお考えか、大臣にお伺いします。
○赤松国務大臣 責任といって、責任を自分は回避したいとか、そういう気持ちは別にありません。
 ただ、私どもとしては、一部には、初動がおくれたのではないかとか、認識が甘かったのではないかとか、いろいろ言われていますけれども、去年の段階から、台湾での発生、あるいは本年に入ってまた韓国での発生、その都度、全国各地に、こうした今の口蹄疫、O型の蔓延の兆しありということで、万全の体制をとってほしいと。
 例えば、飛行機で汚染地域から来ておられる方には、申しわけないけれども、靴の底をきちっと消毒して入ってもらう、あるいは船で入る場合もそういうような形でやってもらう。そしてまた、万が一そういうことが起きた場合には、埋却地の確保をきちっとしてほしいというような通達等もそれぞれに発して、そして、残念ながら四月の二十日に正式にその発生が確認されて以降、万全の体制で、できることをすべてやってきたということだと思っております。
 その都度、残念ながらしかし数はふえてきたわけでございまして、二十三日の対策、三十日の対策、そして私が現地を訪れました十日の、現地でのまた要望を受けての対策、二弾、三弾という形でレベルアップしながらあらゆることをやってきたということで、その点についてはぜひ御理解を賜りたいと思っております。
○小里委員 十年前の口蹄疫の発生時におきましては、例えば宮崎では三例、三十五頭の段階で、まさに国と与党あるいは自治体が強靱な連携を講じまして、封じ込めに成功したわけであります。被害を最小限度に抑えることができた、そのように言えるんじゃないかと思います。この経験を踏まえまして、私ども自由民主党は、発生と同時に農林部会を何回も招集して、情報を収集し、意見を取りまとめて、政府へたび重なる要請を行ってまいりました。
 また、四月二十七日には東国原宮崎県知事が党本部にもお見えになりまして、十年前は自民党にしっかりと抑えてもらった、ぜひその知恵をかしていただきたい、そういう要請を受けたわけであります。その言葉の裏には、今の政府の対応に対する不安感、不信感がにじみ出ていた、そのことを我々は痛感いたしました。
 そして、この東国原知事の要請を受けまして、翌日、二十八日に、谷垣総裁、自民党の口蹄疫対策本部長を先頭にして宮崎県へ赴いて、関係市町村、JA、あるいは県、生産者団体等の意見を聴取し、要望を受けたわけであります。その要望を踏まえて、翌二十九日、総理官邸及び農水省に対して、今、江藤委員がお述べになったような四十二項目にわたる要請を行ったわけであります。
 こうした中にも被害は日に日に拡大をしていきました。例えば、宮崎でのくだんの意見交換会におきましては、何をしていいかわからない状況が続いている、あるいは、十年前と比べて国の対応が遅い、今の対応では再起ができない、そういった意見が相次いだのであります。やはり初動態勢のおくれというのは否めないと思います。
 さらに、四月三十日、農水省への陳情を行った際に、対応したのは舟山政務官でありますが、宮崎県の対応がおくれてしまったと述べました。確かに、宮崎県における対応のおくれはあったかもしれない。しかしそれは、国の指揮官が言ってはいけないことなんですね。まさに親が子に責任を転嫁するような話でありまして、極めて残念に思った次第であります。
 赤松大臣は、それまでの間、つまり五月十日まで、一度も宮崎県入りをしなかった。陣頭指揮をとろうという姿が見えなかったんです。そして何より、連休中九日間ですか、外遊に行かれた。これは何としても残念なことでありました。
 宮崎、鹿児島県は、日本の畜産の一位、二位、三位を争う大事な畜産県であります。まさに日本の畜産業の一大危機、日本の食料安保にかかわる大変なこの緊急事態において、何という危機感のなさ、危機管理能力の欠如であろうかと、現場からはその声が日ごとに増してくるわけであります。
 改めて、この一連の経緯、事態をどう考えておられるか、大臣にお伺いをいたします。
○赤松国務大臣 いろいろ御指摘をいただきました。もう二回にわたり、この衆議院における農水委員会でもお話をしてまいりましたし、昨日はまた参議院の委員会でも、夜、同様の御質問も出ておりますので、お話を申し上げてまいりましたけれども、私どもが今回の発生を確認し、あれしたのは四月の十九日の未明でございまして、二十日の朝、直ちに口蹄疫の対策本部、これは家畜伝染病予防法にのっとって、かつて十年前のいろいろな教訓がありますから、それに従ってのいろいろな手順の一つのマニュアルみたいなものはきちっとございますから、それに従う形で、前日から、万が一にもそうしたことが起こったらということで用意はしておりましたけれども、二十日の日に直ちにこうした対策本部を立ち上げさせていただいたというところでございます。
 そして、その発生時点でできることすべてをやり切ろうということで、薬剤を全額国庫負担により直ちに散布するとか、あるいは人の派遣、これは現地の九州農政局から部長を現地の責任者として常駐させる、本省から獣医等を派遣する、そして職員も派遣をするということも含めて、私が陣頭指揮でその辺のところはやってきた。
 そしてまた、山田副大臣にも現地へ行ってもらいまして、また何回も話題に出ましたけれども、副大臣自身が畜産業を経営していたというプロでもありますから、彼にも行ってもらって、現地の声を聞きながら、また東国原知事とも率直に意見交換をしながら、何が必要なのか、何を今、県として国に求めているのか、そういうことも含めて、具体的には二十三日に第一弾、三十日に第二弾、そして私が十日にお邪魔した以降第三弾ということで、それぞれまた追加的な措置についても行わせていただいたということでございます。
 三十日の夜からメキシコ、キューバ、コロンビアと、それぞれあらかじめ議会に予定表を出して、議運の御了解もいただいて、その予定どおり参ったわけでありますけれども、連日、今はこういう時代ですからリアルタイムで連絡もつきますし、その都度、きょうはどこどこで出たものが黒だったとか白だったとか、そういうことも含めて報告も受けながら、また、私がいろいろ指示できるところは指示をさせていただいてきた。もちろん、形式的には福島みずほ大臣に臨時大臣ということでやっていただいた。
 これはもう何回も出ていますので、またそれを言うと時間が長くなりますから省きますが、EPAの問題。あるいは一千万ドルの不良債権の処理の問題、そしてまたJICAを通じての農業支援、漁業支援が、例の台風の影響で、台風が三回来て壊れてしまった、それをこの九月に再開させるかどうかということも含めて。あるいはコロンビアでは大統領と直接会って投資協定の問題、そしてFTA、EPAの問題等について話をしてまいりましたし、また、その成果も十分上がったということです。
 特に、マグロの問題もありました。これのお礼も申し上げてきました。六月には、IWCの鯨の総会があります。これについても、しっかりとそれらの国々に理解を求めるような、あるいは持続的な利用ならいいという形で反捕鯨国であるメキシコから言質をとるなど、そのようなこともやってきたということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○小里委員 長い御答弁でありましたが、私は言いわけにしか聞こえません。
 赤松大臣が外遊に旅立った三十日の時点で、口蹄疫の発生事例は十二例、処分対象は四千三百頭でありました。外遊中の九日間に、新たに二十三例、四万五百二十三頭が発生をしているわけであります。陣頭指揮をとるべき担当大臣が日本を離れている間にこれだけの被害拡大を見た、その事実は厳然としてあるんです。その後も、御案内のとおり、日ごとにこの被害拡大は増しているわけであります。
 昨日、総務委員会で質問をさせていただきましたが、原口大臣は、これは災害であるという表現をなさいました。災害といえば、私は、阪神・淡路大震災におきまして、担当大臣の秘書官として現地に二十数回赴いて、その対策を末端の方で担ったわけであります。また、平成十八年の鹿児島県北部の豪雨災害におきましては、地元の代議士として大変厳しい経験をいたしました。そのときの経験として、とにかく、こういった大きな災害時におきましては、国の指揮官がまず現地に行くことであります。そして、予算も任せろ、制度も任せろ、おれが全責任をとる、存分にやってくれ、この一言があって初めて自治体も思うように動けるのであります。
 教科書もない、ノウハウもない事態が往々にしてこういう災害時には発生をしてまいります。制度の不備につきましても、さっき江藤先生がおっしゃったように、見受けられるでありましょう。そういったときには、やはり政治決断というものが必要になってまいります。
 そういった、国のしっかりしたリードをしていく姿が見えないと、国の対応がどうなるかわからないから、予算がどうなるかわからないから、自治体も思うように動けない、あるいは現場にも動揺、不安が広がってしまう。したがって、動かしちゃいけない牛や豚を動かしてしまう、あるいは動いちゃいけない人が行ってはいけないところに行ってしまう。そういったことでまた被害が拡大をしていくわけであります。今回、政府の危機管理能力の欠如、対応の不備は否めないと思います。
 再度、改めて大臣の見解をお伺いします。
○赤松国務大臣 今申し上げたように、私どもは旧来から、できることはすべてやっていく。そして、本来、法によれば、法定受託事務ですから宮崎県ということですけれども、そういう立場ではなくて、まさに国と県と市、町がしっかりとスクラムを組みながらこの難局に当たっていく。これはもう当然のことでございますので、今後ともそういう体制で引き続き頑張ってやっていきたい。小里議員を初め、国会の各委員の皆さん方にもぜひ御協力は賜りたいというふうに思います。
○小里委員 当然、私どもも、持てるノウハウ、自民党の全能力を発揮して、対応の御協力に当たってまいりたい、それは言うまでもないことであります。
 今になって、大臣が処分対象牛の全額補償を初めとする対応を発表しておられます。やはりこれは遅きに失しているんですよ。
 あるいは、自衛隊の派遣にいたしましても、現地から自衛隊派遣要請の声が上がってきたはずです。我々もお伝えをした。ただ、そのときに、政務官あるいは官邸の答えにおきましても、自衛隊を派遣すると動揺が広がってしまう、大ごとになってしまうということで消極的でありました。そして、おくればせながら、連休に入ったころでしょうか、自衛隊の派遣が成ったわけでありますが、これも最小限度の域を出ない体制であろうと思います。
 一般車への消毒も、現地から訴えが上がってきていたはずであります。これもずっとやっていなかった。そして、マットに消毒液をしみ込ませてその上を通過させる手法であれば、そんなに人員も要しないし、できるんじゃないか、そういう現地からの声、また我々の提案を受けて、これがきのうかおとといからですか、始まったと聞いております。
 情報提供にしましても、海外の事例を見て、なすことはやってきたということでありますが、それが本当になされておれば、この前宮崎県で聞いたような、何をやっていいかわからない、ああいう声が上がってくるはずはないのであります。
 東国原知事が現政権の対応に対する不信感、不安感をにじみ出しておられた、それは申し上げたとおりであります。現に、殺処分も追いつかない、そして被害は拡大している。結果がすべてだと思うんですね。対応のおくれと対応の拙劣さというものは否めないと思うわけであります。改めてお伺いしてもどうかと思いますので、これはやめます。
 先日、例えば、三キロ圏内におさまっていることは幸いだと、たしか副大臣がおっしゃいました。何が幸いなのか、私は耳を疑いました。大臣一人がいなくても、みんなでやるからどうにかなるんだと言わんばかりの答弁を大臣がなさった。これだけの空前の被害を招いておいて、何たる発言であろうかと、私は本当に疑問に思ったわけであります。
 ちなみに、三キロ圏内とかおっしゃったけれども、川南とえびのの距離は何キロでしょうか、大臣。
○赤松国務大臣 順番に申し上げますが、発言をされるときはきちっと確認して、事実関係で言っていただかないと誤解を生みます。
 五分の四の話あるいは残りの五分の一の話も、私は、知事が来たときに、もうその時点でしているんですよ。それはマスコミにも全部公開していますから、テレビやそういう人たちも全部そこで聞いているんです。五分の四ありますよ、しかし、五分の一、御心配でしょう、本当は共済でそれはカバーできるんだけれども、共済に入っていない人もいると聞いています、そのときは特交でやりますから心配しないでくださいということをちゃんともうその時点で、二十七日の時点で知事にも言っているんです。
 それから、自衛隊の話も出ました。自衛隊も、その要請する権限は知事にしかないんだから、あらかじめ北澤防衛大臣には私が話してあるから、早く要請した方がいいですよ、埋却する人手が足りないというんだったら、自衛隊もそれにちゃんとこたえてくれますから、要請はきちっと知事の方からしなさいということで、準備をしておいて、やっとそういう話があって、直ちに、県からの申し出に従って、次の日にすぐ自衛隊が派遣された。
 今延べで千何百名行っていると思いますが、この間、もう一度お会いしたときにも私は、それで足らないんだったら、要請すればまた自衛隊を出してくれると、ちゃんと私が北澤さんに話して言ってあるから、必要だったら、もっと、倍ぐらい出してくれとか要請したらどうですかと、この間、十日に行ったときも言っているんです。
 だから、そういう事実関係もちゃんと言っていただかないと、さも十日から、帰ってきて急に何かばたばたやり出したみたいな、そういううそを言っちゃだめですよ。
 それから、何か、十年前はよかったけれども、今の政権では心もとないみたいな。僕も、そういうことを勝手にいろいろなところで書いたりなんかしているから、知事さんにこの間聞いたんですよ、そういう、何か御心配があるようなことを言っているけれども、本当にあなたはそう思っているんですかと。とんでもないです、本当によくやってもらっています、そんなことを私は一切言ったことはありませんと。きのうの質問でも、委員会で出ていますから、見てください。ちゃんとそういうことを、自民党の議員の人がそういって否定しているじゃないですかと。そういうことをちゃんとほかの自民党の議員の人たちが言っているのを確認して言わなきゃだめでしょう。
 だから、そういう意味で、そういうことを踏まえた上での批判なり御意見なりは結構ですけれども、事実に基づかないそういうようなことはやめていただきたいというふうに思います。
○小里委員 これ以上、そういう無責任な言いわけによる失態はさらさない方がいいと思いますよ。(発言する者あり)
○筒井委員長 ちょっと、聞こえませんから静かにしてください。
○小里委員 全額補償の問題にしましても、時期の表現の多少のずれはあっても、遅かったというのは事実なんですよ。最初の時点でそんなことは宣言すべきなんですよ。
 あるいは、五分の一、五分の四のお話がありました。五分の四は国が助成をする、五分の一は特交でというようなお話であったけれども、では五分の一の共済の分については、それぞれの農家が負担をしている掛金はどうか、それは別にしてちゃんと国が実質補償してくれるのかという議論は、たしかきのうかおととい江藤議員がやったところでありまして、これも明確にはその時点では決着をしていないわけであります。
 また、自衛隊につきましては、この連休前、我々が農林省を訪れたときに、政務官が自衛隊の派遣については消極的な発言をなさった、総理官邸では官房副長官が消極的な発言をなさった、これは事実なんですよ。これは事実として確認を申し上げたいと思います。
 きのう、佐賀県で九州の市長会が開催をされまして、政府の今回の口蹄疫における対応に対して極めて厳しい意見が続出をしたそうであります。そして、特別決議を行ったということであります。
 その中におきましては、この重大事に大臣が外遊などなっとらん、連休前に自民党議員が農林省を訪れたけれども、何で大臣が対応せずに政務官であったのかと。あるいは、民主党の議員団にしても、連休明けに陳情を行ったということで、これもおくれているんじゃないかと。これは市長会で出た意見であります。
 そして、これは本当に残念なことでありますが、風評被害につきましては、業界筋では、九州の子牛や種は取り寄せるなという声が上がっているそうでありまして、これも政府の対応のおくれがなしたことであるという批判の意見があったそうであります。
 これは本当に激甚災害だ、合議などをやっている場合じゃない、総理、大臣が直に指揮をとるべきだ、そういった意見も上がったそうでありまして、まさに九州全域に広がっていくんじゃないか、そういう危機感に包まれておったそうであります。
 けさ一番にでも口蹄疫の決議を持って農林大臣のところにお伺いをすべきである、そうおっしゃったのはたしか佐賀の多久市の市長さんであったそうでありますが、そんな九州市長会でのきのうのやりとりであった、また特別決議であったということをお伝えしておきたいと思います。
 都農町の一例目では、届け出から検査の陽性確認まで十日以上を経過しております。六例目の水牛の事例では、四月二十三日に陽性が確認をされておりますが、これは三月三十一日に採取した材料であったということは御存じのとおり、また指摘があったとおりであります。潜伏期間を勘案すると、既に三月中旬ごろにはウイルスの動きがあったと考えられるのでありますが、臨床観察など、摘発ができていなかったことになります。
 また、処分も追いついていない。感染源が放置をされている状況であります。七十二時間以内に防疫措置を施さないといけないということになっているのでありますが、被害が広がっても仕方ない状況をつくってきたということは、これは免れないと思います。後手後手に回りまして、一定のエリアを限定した殺処分、積極的な清浄性確認検査の実施など、先回りした防疫もまだできておりません。江藤議員から要請のあったとおりであります。
 こういう状況を考えたとき、だれが主導権をとって指示するのか、県なのか国なのか。国がしっかりした防疫方針を示すべきと考えますが、例えば、動物衛生課と政務三役あるいは関係省庁の情報の共有化、防疫方針の決定過程について、どんなふうになっているのか。我々は疑問を持たざるを得ないのであります。
 まず、農林省、総務省、厚労省、防衛省あるいは警察庁等の関係省庁の連絡会議、これは官邸に設けておられるということでありますが、その機能がどのように発揮をされているか、お伺いをしたいと思います。また、国が主導権をとるんだという明確な体制を構築する上では、現地に対策本部を国が置くべきじゃないか。副大臣なりにそこに常駐をしていただいて、しっかりと国と現地を直結するパイプ役としてその機能を果たしていくべきじゃないか、そんなことも考えるわけでありますが、いかがでありましょうか。
○山田副大臣 先ほどから、政府の初動の対策は余りにもお粗末だったような言い方をされてちょっと心外な気がするんですが。
 二十日の未明に、政府としては、国としては、口蹄疫の発生を確認し、その日の午前九時には対策本部を開いて、その日のうちに防疫の専門官を現地に派遣した。それから、平成十六年にできた指針どおりに、十キロ以内については移動制限、禁止、そして二十キロ以内においては搬出禁止、そういう措置をすぐにとらせていただいて、完全に、発生した農家からそこに通ずる道を七十二時間消毒に当たってきたわけです。四月二十日に確認できるまでの間に、その検体が三月中の検体であったとか、いろいろなことはあったかもしれませんが、政府が確認してからはそれなりに対策はとらせていただいたつもりでございます。
 また、これは法的な家畜伝染病予防法の委任事務で、第一義的な責任は県の方で対応をさせていただいている。その中で、国ができることはすべて国でやらせていただく。そういう意味では、特別交付金の問題とか県が負担する分、消毒にかかる費用とかその他、また一方、自衛隊の派遣についても、それは官邸とも私ども相談させていただいております。自民党さんからの要望も聞かせていただいて、ここは与党も野党も一緒になって、官邸も、各省庁それぞれの関係会議もしょっちゅう開かせていただいておりますし、きちんとした対応はそれなりにさせていただいております。
 ただ、風評被害についても、前回の口蹄疫のときと比べて、今回は非常に大臣の判断もよかったとは思っておりますが、全国の食品Gメンに七千とか八千店舗とか、一万店舗にわたったと思いますが、全部回らせて、宮崎県牛の差別扱いはないように、そういったいろいろな配慮をさせていただいた。幸い、いわゆる風評被害も今のところほとんどなかった、そう考えております。
 自民党の先生方からは大変厳しく言われておりますが、私どもとしてはそれなりの対応を十二分にさせていただいておると思っております。
○小里委員 現地対策本部はどうですか。
○山田副大臣 もちろん、二十日に、既に現地宮崎県では、第一義的には宮崎県の責任というか、委任事務ですから、対策本部を設けております。国も、その前に、午前九時には対策本部を設けましたので、国は国としての対策本部、現地は宮崎県としての対策本部、それで十分じゃないかと考えておりますが。
○小里委員 時間となりましたので、ここで終了させていただきたいと思いますが、今、風評被害のお話がありました。これは今、九州市長会で極めて大きな危機感を持って受けとめておられる、このことは先ほど申し上げたとおりであります。
 それと、私が申し上げた現地対策本部というのは、政府の現地における対策本部、この必要があるんじゃないかということを申し上げたのであります。
 阪神・淡路大震災のことを再三申し上げて恐縮でございますが、あのときは、発生と同時に、任命された担当大臣が、その日に現地に行きました。正確には発生から四日目でありますけれども、任命されたその日に現地に赴いて、その日に政府の現地対策本部を立ち上げているんです。現地の状況を目で見て、肌で感じて、そして、国と現地を直結するパイプ役になってほしい、緊急を要する事態もたくさんあろうと思うけれども、それは大臣が全責任をとる、政府責任は自分がとる、しっかり、思う存分やってほしいということを訓示したわけであります。
 そういった国の姿勢があって初めて現地は奮起をするし、しっかり存分にやっていこうということがあるんじゃないか、そのことは最後に申し上げておきたいと思います。
 具体的にいろいろ要請を申し上げたいこともございましたが、来週、決算委員会の機会もあるということでございますので、またそのときにお願いをしたいと思います。
 ありがとうございました。

○筒井委員長 次に、東順治君。
○東(順)委員 公明党の東順治でございます。
 大臣、副大臣、政務官、連日お疲れさまでございます。大変疲労の度が濃いような感じがございます。まさに、かつてない大変な事態が発生をしているわけで、私は当委員会の委員ではございませんけれども、私たち公明党も急遽、防疫対策本部を立ち上げまして、地元宮崎にこれまで二回行かせていただいて、東国原知事を初め関係の首長の皆さん、あるいはさまざまな方たちに、厳しい現地状況というものを聴取してまいりました。あるいはまた、川南町にもえびの市にも足を運ばせていただきまして、非常に厳しい現状というものを肌身で感じながら、今、この場に立たせていただいております。
 私は、その防疫対策本部の本部長という立場がございましたものですから、きょうは差しかえをお願いして、ここに質問をさせていただきます。
 先ほどからお話が出ておりますように、まさにこの問題に対する対応というものは、政府が、あるいは与野党が一体となって取り組むものであるというふうに私も思います。当委員会も、きょうで事実上三日目ですか、きのうは参議院でも質疑があったようで、まさに集中審議の連続という、このこと自体が、どれほど今回の問題が深刻であるか、まさにパンデミック状態になりつつあるというような、私もそういう非常な危機意識を持っておるものですから、どうかひとつ、大きな仕事が、国として的確な仕事ができますことを願いつつ、質問をさせていただきます。
 それでは最初に、まず、現在ただいままでの家伝法に基づく支援の進捗状況、具体的にお願いを申し上げたいと思います。
○佐々木大臣政務官 現在までの進捗状況についてお答えをさせていただきます。
 予防法での、国が当該家畜評価額の五分の四を所有者に交付するということについて、現在、宮崎県において、発生農場における殺処分等の防疫措置を実施するとともに、手当金の交付に必要な家畜の評価、それから手当金の申請書類の準備等を行っているところでございます。
 農水省としては、県からそうした申請書が提出されれば、できる限り早く、迅速に交付するというような体制をとらせていただいております。
 さらに、宮崎県においては、円滑な防疫措置を実施するために、群ごとに家畜を評価するというような対策もとらせていただいて、できるだけ迅速に対応できるというような体制をとらせていただいているところでございます。
○東(順)委員 そこで、この共済金、あるいはきょうは総務省もおいでいただいていますが、特別交付金の支払いの状況というものは今どうなっているんでしょうか。
○佐々木大臣政務官 共済金並びに手当金のことでありますが、家畜共済においては、評価額と家畜伝染病予防法の手当額との差額を共済金として支払うという原則になってございますが、手当額がまだ確定をされてございません。それが確定され次第、速やかに支払うというような体制をとらせていただいているところでございます。
○小川大臣政務官 お尋ねの特別交付金、特別交付税というふうに理解をいたしますが、交付の時期が法律上定まっておりまして、最初の概算交付が本年の十二月を予定しておりますので、最終が来年三月ということでございます。
○東(順)委員 私は、なぜこういう基本的な質問をさせていただくかといいますと、四月の二十日の未明に発症して、それから、まさに大変な勢いで一気に広がってきた。もう既に埋却処分も完了して、二十一日とか二十二日、こういうところの人たちは、もう三週間になんなんとしているわけですね。
 それで、こういう状況の中で三週間も経過しながら、いわゆるお金というものが、この被害に遭っている御本人のところになぜ届かないのだろうか、こういう非常に素朴な疑問を僕は持つわけです。最初の人たちからしてみれば、もう間もなく一カ月になりますよ。その辺は、どうしてなんですか。
○山田副大臣 共済もですが、五分の四の損失分についても、もう既に払ってもいいじゃないかという委員のお話かと思いますが、私もそう思っておりまして、どうしてまだ払えないんだろう、そういうことを問い合わさせていただきました。
 現場が今のさらなる埋却処分等々にかなり混乱しておって、申請手続というのをしなければ私どもも払えませんで、いわゆる五分の四の評価、家畜伝染病予防法に基づく請求そのものがまだ上げられていないということなので、何とか簡略に、もう既に、何頭処分して云々と、ある程度の評価も出ているはずだから、早急に上げてもらえないかと。県の方も、できるだけ早く上げてもらえば、大臣も現地に行って、県が先に仮払いしてくれれば、それなりに国としても、申請さえ出してくれればすぐにでも出せるように、普通なら一、二カ月かかるところを迅速に対応すると。私どももそう考えておりまして、委員のその指摘のお気持ちは私どもも共有しているところです。
○東(順)委員 大臣が十日に現地に入られましたね。あの日、私どももたまたまスケジュールががちあって、対策本部としても現地に入ったんですけれども、大臣がおっしゃっていたので私が非常に心に残っているのは、ともかく早く上げなさい、国としては仮払いでも何でもやりますから、ともかく申請を早く上げなさいということを非常に強くあの日、大臣はおっしゃっていましたよ。その後の委員会の質疑なんかも、私ずっと会議録を読んだりあるいは国会内テレビを見ても、何度もおっしゃっている。
 何で滞るんだろう。国に責任があるのか、あるいは県なのか。そんなに難しい申請手続なのか。要するに、困っているのは現地の人たちなわけですから、一刻も早くそのお金が届くということで、それだけでも大きな安心を与える材料になるわけです。いまだにこういう議論をしなきゃいけないというところに、危機管理ということから見たら、本当にこれは大丈夫なのかと素朴な疑問を実は持つんです。そこは大臣、いかがでしょうか。
○赤松国務大臣 私も東委員とまさに同じ気持ちでございまして、現地へ行きますと、今月暮らす金がない、来月どうしようと。そういうことがまた非常に心のストレスになるわけで、そうであれば、ちゃんと法に基づいたお金なんですから、手続だけすればすぐ出るんですから、今、山田副大臣が言ったように、本来、書類が上がってきて正規の手続をやれば一カ月、二カ月かかるんですけれども、それは直ちに仮払いで国が出しますよと。ただ、税金を使ってやるわけですから、何もなくて出すというわけにはいきませんと。
 八万頭という頭数だけ見ると多いように見えますが、畜産農家という軒数でいえば何十軒の単位なものですから、そこの方の手続を町なり市なり県なりがやっていただくというのは、私は、そんなに難しい話でもないし、それほどまた込み入った何かをやってもらわなきゃいけないということじゃなくて、むしろ、公正にやるという意味で三人立ち会いの方が一応要るんですね。だから、その三人さえそろっていただいてやれば、それほど時間がかかる手続というふうには思いませんので、それは国の方から県を通じてそれぞれの市町にも、ぜひ早急に手続をやっていただくように、お願いをしてみようというふうに思います。
○東(順)委員 私も全くそう思うんですよね。戸数にしたら八十六戸でしょう。頭数は確かに八万頭を超えるという大変な頭数になっているわけですが、八十六戸なわけですから。しかも、すべて完了している戸数が随分あるわけですから、まずそういうところから直ちに手を打ち続けていかないとまずいと僕は思いますよ。そこは、細かな手続論にこだわらずに、しっかり公平性を期してきちんと処分していく、これがまさに政治の感覚だろうなと思います。
 国民の生命と財産を守るということが政治にとって一番大事な話ですから、これがまた妙な風評被害になってどんどん広がらない意味でも、ともかく大臣が今おっしゃったその角度でぜひ迅速に対応をお願いしたい、こう思います。
 続きまして、先ほども話が出ておりましたけれども、埋却場所確保の件でございます。
 先ほど江藤委員の方から、川南町の町長さんとお話をした、そのときに、何とか現時点では埋却地のめどがついた、ほっとしているという発言がございましたけれども、私も大変うれしい思いがいたします。
 ただ、これは日を追って頭数がふえていますので、とまったわけじゃない、また、これからもどこまで行くかわからないという大変な状況をはらんでいるわけですから、今のところ何とかという、そういう発言をするまでには、恐らく大変な努力と、へとへとになるまでの御苦労の末の発言だろうというふうに思います。
 その結論として、防風林も厳しい、山も遠過ぎる、国有地といったって簡単にいかない、そうなってくると、結局、やはり農地を買い取って、個人の責任に任せるんじゃなくて国が農地を買い取ってあげて、そこで埋却をしていくというような思い切った手を打っていかないと、これは埋却地問題というものが物すごい大きなネックになっているわけですから、私はそう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○佐々木大臣政務官 埋却場所の確保についてでありますが、委員も御指摘のとおり、口蹄疫の発生の場合は敷地内に埋めるのが最もいいわけで、その次には近隣の敷地ということになるわけでありますが、川南町の場合は、先ほど来お話もありますように、掘削をしてみると水が出たとか岩があったとかいうようなことで大変御苦労をされているというふうに伺ってございます。
 ただし、宮崎県の大変な御努力で、おおむね場所については確保されているということでありますが、この先のことを考えますと、今御指摘のようなことも考えられますので、そんな場合には、とりあえず、まず借地ということも想定しながら借地料の支援の措置とか、あるいはその後は国有地にも拡大する場合も想定をしなければなりませんので、そうしたことの調整などもさせていただきたいというふうに思ってございます。
 さらにまた宮崎県や川南町などとしっかりと連携をとりながら、最大限の支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
○東(順)委員 まずは借地、そしてその借地料に対する支援、そういうところからという御発言でございます。やはり段階というのは当然あるんでしょうから、ぜひそういうところから、農家の個人の力とか裁量に任せるということはもう限界を超えていますので、どうぞひとつしっかりとしたリーダーシップをとっていただいて、借りる、あるいは最終的には買い取るというところまで視野に入れて、対応をしていただければというふうに思います。
 ところで、大臣、あの日、十日、大臣が宮崎に入られたときに私も入ったんですが、僕らが現地調査を終えて飛行機に乗るまさに直前、川南町の隣の高鍋町というところの町長さんが追っかけてきたんですね。町長さんと副町長さんでした。追っかけてきて、そして空港で、ぜひ自分らの心配を聞いてほしいということで、急遽、空港の一室で私たちはお話を聞きました。
 それは何かというと、先ほどもちょっと出ておったようですけれども、家畜改良事業団、種牛センターの話なんですね。これは、数カ所あったものを県が集約して、まさに今この高鍋町の中にある。先ほどの話を聞いておりますと、まさにその種牛の中の六頭がエースで、このエースの六頭でもって県内の牛の八二%を誕生させている、そういうお話がありましたけれども、そのぐらいにすごく大事な種牛センター、家畜改良事業団、それが高鍋町にある。
 もしここから口蹄疫が発症したら、宮崎県の畜産そのものが壊滅的な打撃を受ける。むしろ、もう成り立たなくなるんではないか。宮崎県の牛は、今やもう宮崎牛という形でブランド化をし、そしてそれが佐賀牛という名前になったり、あるいは全国にもいろいろとつながっている。まさに全国の牛の一〇%強ですか、一割ぐらいを宮崎牛が占めているわけですから、これは全国的にも大変な影響になる、もしここがやられたら。
 しかも、それが我が町の中にあるんです、しかもその高鍋町は川南町に隣接をしている隣の町ですと。川一本、小丸川という川一本で何とかせきとめているけれども、ひょっとして、空気感染みたいなことになって、もしここがやられちゃったら、もうアウトです。宮崎の牛はアウトですと。宮崎の牛がアウトということは、まさに日本全国の和牛レベルのダウンにつながりかねない。あるいは日本の和牛資産、この確保ということが危うくなってしまう、大げさに言えばそうなるかもしれない。
 日本全体のまさに宝が宮崎の牛であり、その中枢がこのセンターにあるということなので、私たちはもう夜も眠れません、当然ゴールデンウイークも休みなんかとれるわけもない。作業服姿で追っかけて、私たちのところにすがりつくように、この話をされたんです。これは大変だな、ここからもし一頭でも出たらということで、私はもう大変な危機意識を持ちました。
 そこで、家畜改良事業団の種牛をどこかに移さなきゃいけない、この移動問題について、現状としてもう一回確認をしたいんです。今どうなっているんでしょうか。
○山田副大臣 家畜改良事業団の大事な牛ですので、かといって、今、いわゆる防疫指針でもって二十キロ制限以内と私どもは指示しておりますから、これを本当に安全なところに移動するとしたら、今その種牛が完全に消毒済みというか口蹄疫に感染していないということ、そして、今度、行き先で他の牛に迷惑をかけないような、まさにそういうきちんとした管理、環境整備ができているということ、そして、ほかに移動したくとも移動できない……(東(順)委員「それはわかっています、今の現状をちょっと聞きたい」と呼ぶ)
 現状は、今、国の方の、きのう承認を得まして、そして現在は移動させております。もう現在移動は終わって尾八重牧場という、西都市の方にもう既に行っているところです。
○東(順)委員 何頭行っているんですか。(山田副大臣「六頭」と呼ぶ)六頭でしょう。私もさっき触れましたように、まさにエース級の種牛六頭が、ともかくエースだから、これを何とか移動させることが実現できた。ところが、全体として六十頭ぐらいここにいるんでしょう。だから、その六頭はとりあえずエースですから移動できたけれども、残るところの、全体で六十頭ですから、まだ五十四頭ぐらいは残っておるわけでしょう。これはやがてエースになる種牛なわけですから、全体をどこかに移動できれば、これはもうベストなわけでしょう。ところが、そこになかなか難しい問題があるんでしょう。この障害が何だということになるわけですね。
 速く、速やかにこの六十頭を移動できれば一番ベストのことなんだけれども、この障害というのはどういうふうにお考えですか。とりあえず六頭しか移動できなかった。移動できたことは何とかよかったんだけれども、まだ六頭にとどまっている。これはいかがでしょうか、大臣にお伺いします。
○山田副大臣 六十頭すべて移動するということも考えられないわけじゃないと思うんですが、ただ、この六頭を移動するについても、例えば熊本県との県境が近くなってきますし、周辺地域の皆様方は大変神経質になっておりまして、非常に、周辺住民の本当の御理解を得るとしたら、とりあえず大事な六頭の種牛だけという形に現在させてもらっているんじゃないかと、そう聞いておりますが。
○東(順)委員 確かに、例えば隣接県にしても、あるいは周辺のところにしても、そういう心配が出てくるでしょうね。要するに、まさに直撃されている川南の、まだ発症していないとはいえ、その隣の町にある、そこから種牛を移すわけですから、ひょっとしてウイルスを運ばれるんじゃないかなという大きな心配はよくわかります。そうすると、ちょっと待ってくださいよということで、恐らく反対の思いというのが全面に出てくるんでしょう。そこで、やはり宮崎県としては、それは心配はわかるんだけれども、何とか移させてくださいと、場合によっては隣の県に相談をしなきゃいけない状況が出るかもわからない。そこで大事なのが国の指導力なんですね、私はそう思う。
 そこで国が、現地だけでやりとりする、それに任せていて、いたずらに時間が経過して、そして結果的にそのセンターの種牛がやられるみたいなことになっちゃったら、残っている五十四頭がやられるというようなことになってしまったら、これは元も子もないわけです。現地のさまざまな綱引きに任せて、それをただ傍観というような形にしていて、肝心なところで発症してしまったらば、これは元も子もないわけです。ここで国がいかに指導力を発揮できるか、調整力を発揮できるか、私はここは物すごく大事だと思いますよ。日本全国の牛にかかわる話ですから。
 ここは大臣、御決意、あるいはこの調整について、やはりこれから、六頭で済む話じゃないわけですから、残っている牛までも、種牛までもということで、ひとつ大いに指導力と調整力を発揮していただきたいと思いますが、いかがですか。
○赤松国務大臣 この六頭の移動につきましても、実は近県からは、例えば二十キロ圏ぐらいで大きく円を描くと区画がそこに入ってしまうということで、若干の御意見もあったようですが、これはもう私どもからもお願いしつつ、ぜひ、宮崎県の問題ということよりも、日本全国のこれからの畜産業のあり方に大きく影響することなのでということで、快く御理解をいただいた。この六頭については、現地の皆さんのお言葉によれば、宝中の宝であり、ここが全体の八〇%ぐらいの、そこから精液が分かれていっているというふうに聞いています。
 本来、ここのところは、高鍋のところは種牛が五十五頭いて、あと肥育牛も百六十頭いるということですから、全体を移すということになりますと、それだけまた万が一のときにかかる範囲も広がるわけですから、それよりも、本当に守らなければいけないこの六頭に限定をしてということで、多分、今回の場合はやられたというふうに思っております。
 では、あと残りの五十五引く六の頭数はどうするのだというのが東委員のお話だと思いますけれども、これについては、そこもどうするのかね、これもぜひ、必ずしも同じところへ行かなくたっていいわけですから、別のところでできるのか、あるいは、本当に守らなきゃいけないのはこの六頭なので、そこは通常の形の管理でいいということなのか。これは現地の御意向もございます。あくまでもこれはもともと県の施設、県の資産ということでございますので、地元の意見を尊重しながら、国もその相談に乗って、できるだけいい方法を模索していくということではないかと思っています。
○東(順)委員 しまったということにならないように、やはり先手を打っておかないと、発症しちゃったらこれは大変な話になりますので、ひとつ大臣、そこは重々、指導力、調整力を発揮していただきたい、切にそのように思います。
 それから、今回の口蹄疫の被害についての予算の問題なんですね。
 先ほどからさまざまな支援策でお金の問題がずっと出ておりますけれども、十年前の口蹄疫問題というのは、宮崎県で牛三十五頭でしょう、北海道で七百をちょっと超える、そういう状況でしたね。それでもって何とか封じ込めた。今回は、ざっと言えばその百倍を超えていますよね。十年前よりも百倍を超えている、大変な話だ。だから、いわば未知との遭遇と言ってもいいぐらいに大変大きな事案に今回はなっているわけでございます。まさに爆発的な広がりで、まだとまらない、こういう状況なわけでございます。
 それで、十年前はこれに要した予算というのが三十三億円でしょう、もうすべて含めて三十三億円。今回は、その百倍の大変な深刻さでしょう。だから私は、最終的に、国が今回の緊急対策予算というような形でどのぐらいの予算ということを構えながら、用意をしながら、まさに未知との遭遇とも言えるような激しい今回の問題に対応しようとしているのか、そこに重大な問題意識を実は持っております。しかも、十年前は牛だけですから、今回は牛と豚ですからというようなことです。
 そこで、私は一昨日、官房長官に、ここをどう思いますかということで、対策本部として意見、提言をさせていただきました。官房長官の方も、官邸としても考えられることは全部やります、全力を挙げてやります、政府が一体となってやっていきますと。
 その中で、具体的に私は、十年前と今回を比較して、国として一千億規模ぐらいの予算を緊急対策費という形で構えを出す、大丈夫ですよと。だから県も、当該市も町も、ともかくお金のことを心配しないで、打つ手はもう全力を挙げて考えるだけ打ちまくってください、国が後ろについていますから大丈夫ですよというような、地方自治体に対するいわば安心のメッセージ。そして、被害を受けておられる畜産農家の人たちに対しても、これから事業を再建していく、あるいは今の処理に追われているというようなことも、やはり希望の光みたいなものを心にともしていく意味でも、国として一千億ぐらいの準備はありますよというメッセージを出すべきである、僕はこのように官房長官に申し上げましたら、官房長官は大変前向きで、そのことも含めて、いいですねということで、とにかくやれることは全部やりたいと思います、こういう御発言がございました。
 そこで、このことは農水大臣にも、御提言申し上げたときにお伝えを申し上げました。農水大臣あるいは総務省、このことを官房長官から伺ったでしょうか。あるいはまた、大臣の方から御確認をされたでしょうか。まずその点から、いかがでしょうか。
○赤松国務大臣 この間、公明党からこういう申し入れをもらいましたということは、きょうも閣議がありましたので、別に閣議の場ではなくて、会ったときに平野さんからはありました。ただ、一千億円出せという話は聞きませんでした。だから、多分トータルでいろいろな要請があったんでしょうから、額の問題よりも、むしろできることをすべてやり切るということの意味では、私どもは東先生と考えを一にしていると思っておりますので、そういう意味で、全力投球で頑張りたいと思います。
○小川大臣政務官 具体的なことが私までは届いておりません。五月七日に官房長官が閣僚懇談会で御発言をされて、それ以降、具体的な御指示はお聞きしておりません。
○東(順)委員 大臣あるいは小川政務官、私どもはこういう提言書というものを官房長官にお出しした。これをお出しする前に、個人的といいますか一対一のときに、この一千億のお話を私はいたしました。それがメッセージになるよ、大変なメッセージになるんですからと言ったら、非常に前向きで、いいですね、こういう反応だったんです。
 これから農水省と総務省、やはり一体で当たっていかなきゃいけないことがさまざまに出てくる。ことしの農林水産省予算の概要を見ますと、家畜伝染病予防費というのは三十五億円ですね。これでは実際問題として何にもできないですよ。十年前、百分の一で三十三億かかっているわけですから、当然できません。だから、この家畜伝染病予防費というのりを越えて、国として全力を挙げて対応していくというためには、やはり緊急予算の構えというものをしっかり見せなければだめだと私は思います。
 したがって、農水大臣、それから総務大臣、もう一回官房長官にここを確認いただいて、おお、それはやろうと多分なると思いますよ。また、なってほしい、こう思います。そうなって、そこまでぜひこぎつけていただいて、最終的に農水大臣と総務大臣の共同声明みたいなものを、この一千億のことも含めて、今回の宮崎県の口蹄疫問題に対して、それほど重大なことなんですよ、だから両省挙げて、総力を挙げて取り組みますよという共同声明文みたいなものを、私は発するべきだ。そして人心の安定、安心、迅速な行政の対応等を促進していく大きな力にしていく、そのぐらいの必要性のある事案であるというふうに私は思うんですけれども……(発言する者あり)今、いい提案だという発言がございました。大臣、いかがですか。
 大体、私は赤松大臣は昔からよく知っていますが、非常に率直で、非常に行動力があって、なおかつ閣僚の中でも重要閣僚のお一人ですよね。だから、赤松農水大臣がリーダーシップをしっかりとって、総務大臣を引っ張って、それで共同声明文を発して、国としてこれは取り組んでいるよと。政党の方も、与党も野党もないよ、みんな一体になってこの問題に取り組んで、何とか川南とえびの、そして都農、ここで抑え込んじゃうんだ、このメッセージを、お金の面、それから心の面、両面から発することが今一番大事なことだ、こういうふうに私は思うんです。いかがでしょうか。
○赤松国務大臣 今回のこの口蹄疫問題につきましては、内閣を挙げて取り組みをさせていただいているところでございます。
 原口総務大臣も、五分の一問題を初めとして、そればかりじゃなくてほかに県が独自でやることについても、例えば埋却の二分の一問題とか、いろいろまた相談をしなければならないことはあるんですけれども、そういうことも含めて、非常に前向きに考えていただいておりまして、農水省と総務省でいろいろ協議をしながら、今本当に苦しんでおられる皆さんのために、あるいは、無事これが終わって今度は再建ということになったときに、その経営支援をいかにしていくかということについても、しっかりといい政策、いい仕組みでやれるように、ぜひ頑張っていきたい。あわせて、今、そのほかにも、防衛大臣には自衛隊の支援等についても快く御協力をいただいておりますし、その他閣僚も含めて、内閣としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。
 今の、ちゃんと官房長官に聞けというお話でございますので、平野官房長官にも御相談申し上げながら、取り組みをさらに一層進めてまいることをお誓いして、答弁とさせていただきます。
○東(順)委員 一千億という額を出して官房長官とよく協議をしてもらえるでしょうね。そこまでいいですね。(赤松国務大臣「はい」と呼ぶ)よろしくお願いを申し上げます。やりますということでございます。(赤松国務大臣「やりますとは言っていない」と呼ぶ)いやいや、協議をやります、協議を。(赤松国務大臣「協議を続けます」と呼ぶ)
 それから、もう時間もそろそろ迫ってきているんですけれども、もう一つ僕は非常に心配しているのは、川南とかえびの、まさに直撃をされているそういう町や市で牛や豚を飼っておられる家庭の子供さんたちの心のケアの問題なんです。
 つまり、小さな子供さんたちにしてみれば、牛は多分家族なんでしょうね。毎日えさをやったり、場合によっては一緒に寝泊まりをしたり。ともかく、寄り添うようにして毎日生活をしている牛やあるいは豚が、毎日のように自分の目の前で殺されていく。これは想像しただけで、もう大変な心の傷になるんだろうと私は思いますよ。自分の親兄弟が殺傷されていくような、そこまではいかないにしても、やはりたまらないと思います。あるいはまた、殺傷される、もう殺されることがわかっていて、埋却地がまだないものだから、えさをやり続けなきゃいけない子供の思いだとか、そういうことを考えますと、もうたまらない思いになります。
 それで、その子たちが今度は小学校に行く。そうすると、あそこの子は家畜農家の子だから、ウイルスを持ってきているかもわからないから、うつるかもしれないから、余り一緒になって遊んじゃいけないよなんて関係ない家庭の親から言われたりする、それがいじめにつながる等々のことが惹起しているんではなかろうかなということがすごく心配になるんです。
 あるいはまた、介護を受けているお年寄りもその家畜農家の中にはおられるんじゃなかろうか。そこには、介護のために今まで毎日通ってきていた人たちがさまざまに制限をされて、思うようにうちに入れないとか、さまざまなことがあるんじゃなかろうか。
 そういうことからくる心のダメージというようなことを考えて、ハードの面ばかりではなくて、そういう心のケア、ソフトの面も、やはり県や国、あるいは市はしっかり目配りをしていかないといけないんだろう。ところが、県や市は今、もうそれどころじゃない、当面の対応でばたぐるっている。そういうときに、やはりそういう問題意識をきちっと国が持っていただいて、農水省が持っていただいて、県や市にきちんと物を言うということが大事なんだろうというふうに私は申し上げさせていただきます。
 既に時間が経過いたしましたので答弁は求めませんが、どうぞその一点も御留意されて、今後とも頑張られてください。
 ありがとうございました。
○筒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五分散会

第174回国会 決算行政監視委員会第三分科会 第1号
本分科会は平成二十二年五月十一日(火曜日)委員会において、設置することに決した。
五月十四日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任された。
      網屋 信介君    石田 芳弘君
      石津 政雄君    笹木 竜三君
      玉木 朝子君    中川  治君
      石原 伸晃君    中村喜四郎君
      東  順治君    鳩山 邦夫君
五月十四日
 中川治君が委員長の指名で、主査に選任された。
平成二十二年五月十七日(月曜日)
    午前十一時開議
○中川主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
○小野寺分科員 自民党の小野寺五典です。
 きょうは、ことし二月に発生しましたチリ地震津波による漁業被害について質問しようと思っておりましたが、冒頭、どうしてもこの問題に触れざるを得ないということで、少しだけ触れさせていただきます。それは口蹄疫の問題です。
 宮崎で口蹄疫が発生し、今大変な大きな問題になっていますが、この問題、口蹄疫に対する担当大臣はどなたでしょうか。教えてください。
○赤松国務大臣 私が所管だと思っております。
○小野寺分科員 大変不思議なのは、私ども、きのうもずっとテレビを見ておりましたが、出てくる大臣は、実は平野官房長官。現地に入り、宮崎県知事からお話を聞き、なぜかその平野官房長官が前面に立ち、さまざまな発言をしている。どうして赤松農林水産大臣が出ないんだろう、私は不思議に思いましたし、恐らく全国の農家の方も、なぜこうなったんだろう、とても不思議に思っていると思うんです。
 大臣、きのうは何をされていましたか。
○赤松国務大臣 私は、昨日は、夕方には東京に戻っておりましたけれども、昼間は名古屋におりました。
○小野寺分科員 これだけ大きな問題になっていて、それはさまざまな御事情があるんですが、大臣は御地元に戻り、御自分の地元の仕事をされていた。そして、この口蹄疫の仕事というのは、平野官房長官が宮崎に訪れ、されている。何か私は、この問題に対して官邸として赤松大臣を外しているのではないか、そういうちょっと印象を持って、とても残念に思っています。
 というのは、実は大臣もごらんになったかと思いますが、今インターネット上では、大臣と我が党の江藤拓議員のやりとり、これはことしの五月十一日、ついこの間ですが、農水委員会のこの国会の模様が実はアップされまして、それが今二十万件を超える大変なヒット数になっています。
 私もきのう地元を回りましたら、地元の農家から、あれを見たかと。地元の運動会に出ている農家の方から、あの状況を見たか、私たちは涙をもってあれを見たと。特に一番皆さんの心を打ったのは、今回不幸にして口蹄疫にかかった牛に関して、最後に一番上等なえさを食べさせ、そして頭をなでてあげ、乳房をふいてあげ、そしてその目の前で殺処分を行う、こういうことを今農家の皆さんはされている。その思いを国にわかってほしい。
 そう思っていながら、これは江藤議員の質問をかりると、大臣は四月三十日から五月八日まで実は日本を離れて、メキシコ、キューバ、コロンビアに行っていられた。これは、EPAほかFTA、さまざまな話だと思うんですが、私は、実は外務副大臣のときにこの中南米地域を担当しまして、もちろんこのEPA、FTAの問題は役人側から説明を受けております。こんなに急に行く必要がない。特に、メキシコについては既に発効している。なぜこの厳しい時期に行ったのか。これは江藤議員の聞き方も、なるほどなと私はそう思っております。
 こういう一連の今ネット上も含めて盛んに実は赤松大臣が、それはいろいろな御答弁のことはあるんでしょうが、批判にさらされている。ですから、今、赤松大臣を表に出したくない、そのような官邸の意向があって今回このような、どうも平野官房長官に肩がわりをさせているのではないか、そのような印象を持つんですが、もう一度大臣にお伺いします。
 この口蹄疫については、やはり農林大臣が基本的に最前線でやっていただきたい。そして、現地に行かれていることも知っていますので、こういう平野官房長官みたいな、私はなぜ怒っているかというと、普天間の問題も同じなんです。普天間の問題も、これは外務大臣と北澤大臣がやるべき仕事なんです。ところが、なぜか今平野官房長官が出てきて話がぐじゅぐじゅにされてしまっている。この口蹄疫の問題も、また平野さんが出しゃばってきたらこれは大変なことになる、私はそう思っていますので、ぜひ大臣に、私の所管だ、そして私の責任でしっかりこれは対応するということを述べていただきたいと思います。
○赤松国務大臣 所管は私であることに変わりはありません。
 ただ、私どもも、できるだけの措置をやろうということで、この間できるものはすべてやってきたつもりでございますけれども、地域的には一定のところに押しとどめてはいるんですけれども、残念ながら、その中からは数がどんどんと出ているということで、殺処分しなければいけない数も八万数千頭にも今及んでいる、百十一件になったということなものですから、今、自衛隊の応援も延べで千七百名ぐらい行っていただいたり、あるいは、今度は予算的にも、単に農水省の予算だけでは、いろいろ自民党の皆さん方からも、こんな措置もやってほしい、あんな支援もやってほしいということも聞いておりまして、そういう意味で言えば、鳩山内閣全体でこの問題をしっかりと支えていただくということは決して悪いことではないと私自身は思っております。
 ただ、だからといって、農水省の責任、私個人の責任を逃れようとかそういう意味ではなくて、とにかく、自衛隊の要請も今していますけれども、自衛隊の皆さんも本当によくやっていただいているんですけれども、まだまだそれでは埋却が追いつかないとかいろいろなこともあるものですから、きょう、山田副大臣も本当はこの委員会に出させていただかなければいけないんですけれども、きょうから常駐をさせて、あと農水省のスタッフ五人ぐらいと現地での常駐態勢に入るということで、そういう新しいいろいろな手だてもきょうも実はやっておりまして、この後もまた五時からいろいろな対策会議をやりますけれども、万全の態勢で取り組んでいきたい、こんなことも思っております。
○小野寺分科員 遅いんですよ。もう既に発生して、しかももう宮崎県に関しては最後のエース級の六頭を残すのみで、あとはもうこれは厳しいという状況まで追い込まれてしまっている。これで現地に行っても、この先こんなことがないことを私どももぜひ対応していただきたいと思いますが、これが全国に蔓延したら、もう今さら、ここまで過ぎていて現地に対策本部をつくってももう遅い、一体何をしていたんだ、多分多くの皆さんはこう思っていると思います。
 そして、一番大切な大臣が、きのう官房長官が宮崎に入っているのに、地元の名古屋にいらした。そして、肝心の一番蔓延期であった連休中には、中南米に、しかも長期間行っていた。私は、この危機管理の問題というのは、簡単な一言、二言では済まない、大きな責任に今後発展するのではないかとそう思っております。

 次に、宮崎岳志君。
○宮崎分科員 民主党の宮崎岳志でございます。
(中略)
 さて、続いて、口蹄疫について少々伺いたいと思います。
 宮崎で口蹄疫が猛威を振るっておりまして、昨日現在、発生件数百十一戸、殺処分対象の牛、豚は八万五千七百頭ということで伺っております。私の地元である群馬県も牛や豚の畜産の結構盛んなところでありまして、地元の畜産業者からも、しっかり対策を打ってくれ、特に感染拡大を防ぐことはもう絶対に頼むという痛切な願いが届いているわけであります。
 宮崎県から遠く離れた群馬でございますが、畜産業者は、実際に群馬の人でも、例えば養豚の方とか、ほかの農場にはもう行かないと。これは、お互いにもし会った場合に感染するかもしれないからお互いに出入りしないとかということを自主的にやっていて、生活にもそして農業にも非常に今困っているというような状況でございます。
 当然ながら、ぜひ果断な対応をお願いするということになりますし、きょう、鳩山総理を本部長とする対策本部、それから、現地に副大臣等をトップとする対策チームを派遣するというような意向も伺いました。
 そして、そういったことを踏まえて、現時点、できれば本日現在で、発生状況、何か昼のニュースでも新たにまた確認されたような話もちょっと出ているようでございますので、発生状況、被害状況、その他対策の進捗状況等、おわかりになりましたらお願いをいたします。
○佐々木大臣政務官 口蹄疫の発生状況については、今委員が御指摘をいただいたのが最も新しい今の農水省も掌握をしているデータで、百十一例、約八万六千頭というのが今の状況でございます。
 いずれにしても、今委員もお話がございましたが、これは人による伝播が一番怖いところでございますので、幾つかある中でも、人には発症しない、しかし人が伝播をするというようなことがありますので、人の出入りというのは極めてやはり厳格でなければならないというようなことがあって、特に今、獣医師、あるいは各農政局や都道府県からも職員を派遣して、人的支援を中心に行っているところであります。
 その中で、まず厳格な消毒を徹底するということと、できるだけ早い殺処分をするというようなことを徹底的にやるということが何よりも大切だというふうに思ってございます。
 今、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたが、本日、政府全体としての取り組みとしてさらに強化をしたいということで、さらに強化をさせていただくところでございます。
 ただ、宮崎県以外のところの現在農水省で聞き取り調査をしたところにおいては、現時点では発生はないというふうに報告を受けているところでございます。
○宮崎分科員 昨日現在で八万六千頭の殺処分ということでございますが、余りに大量で、埋める場所がもう足りないというのが現状ではないかというふうに思います。七万九千頭ぐらいの段階で埋めるのに十六ヘクタール必要ということでしたが、現在はそうすると十八ヘクタールとか、そういったところになっている。東京ドーム四つ分という広さでございますから、これはなかなか場所を見つけるだけでも大変。
 これはやはり、消毒と殺処分、そして埋却ということしか感染を防ぐ方法は今のところないということだと思うんですね。野鳥を介したり人を介したり車を介したり、いろいろな形で伝播をしていくものでございますので、これは宮崎県ももちろんですが、その外に感染が拡大するのを防ぐためにも、やはり一刻も早い処分が必要であります。しかし、鳥インフルエンザのときですらこれは埋めるのに苦労したわけでございまして、牛や豚ですから、その重量、質量ともに鶏の比ではございません。
 そういった中で、現在埋却がどの程度進行しているのか、そして場所の見通しはどうか、そして、場所が見つかったとして、すべて埋却できるまでに、今のところの見通し、どの程度かということについて伺えないでしょうか。
○佐々木大臣政務官 埋却については、今のところ何とか確保されているわけでありますが、この先のことも含めて、大臣も何度も答弁をさせていただいておりますが、国有地などのことについても、県からの要請があれば、国としてそういったことにもしっかり対応していきたいというふうに思っているところでございます。
○宮崎分科員 今のところ何とかということですが、農水省のホームページ等で掲載されているものを見ますと、まだ三分の一とか二分の一程度、結構古い時点で発生したものについても埋却が終わっていないというような部分もあるように見ておりますが、現実どこまで進んでいるというのは、実際いかがなんでしょうか。
○赤松国務大臣 残念ながら、このところ急にどっとふえたものですから、まだ三万七千頭分が殺処分、埋却をしておりません。
 埋却場所が決まらないと殺処分できない。だけれども、今度は場所が決まっていないのかというとそうではなくて、場所はもう十分に確保できたというふうに聞いていますが、獣医さんも大分数をふやしたんですが、百二十名ぐらい、当初は国から二十五名、都道府県から二十五名ぐらい、そして宮崎県に二十名というぐらいだったんですが、これも倍以上にふやしまして、また、さらにきょうも全国にお願いをして数をふやしております。
 殺処分するのがだれでもやっていいということにならないものですから、必ず獣医でしか殺処分できない。豚や牛もそこへ連れていこうと思うと嫌がるものですから、三人がかりぐらいで連れていかなきゃいけない。そうすると、これもだれでも三人いればいいのかというとそうではなくて、やはりそういう豚、牛の取り扱いになれていないと、素人でだれでもできるということでもないということなものですから、その辺のところが非常に遅くなっている原因だというふうに現地からは報告を受けております。
 自衛隊の皆さんにもお願いをして延べで千七百人ぐらい、これは主に埋却をするところに力をかしていただいておりますけれども、農協の皆さん方もぜひボランティアで出たいということで四百名ぐらい今宮崎の方にも入っていただいておりますし、農水省の職員も約百六十名、本省及び各農政局から派遣をして、また、いろいろな畜産関係団体からもボランティアでこれまた多くの方に行っていただいていて、なるべく豚、牛の取り扱いになれた人が来てもらうのがやはり一番ありがたいというのが現地のことでございますので、大分人数もふやしましたので、何とかこの四、五日のうちに殺処分、埋却をやり切ってしまいたい、このように思っておるところでございます。
○宮崎分科員 今お話を伺っておりますと、場所は確保できた、あとはマンパワーの問題であるというふうなことかと思います。全国各地の都道府県からも応援が出ているというふうに伺っておりまして、私の地元の方からも行っているという話も伺いますが、やはり埋却してしまわないと感染のおそれというのはいつまでも残るという現状がありますので、何とか迅速なる対処をお願いしたいと思います。
 それでは、時間もそろそろ参りましたので、この問題についてまとめに入りたいと思います。
 今回、農水省だけでなく政府全体として取り組むんだという姿勢が明確になったわけであります。しかし一方で、まだ拡大が抑え切ったということは言えないような状況にございます。周辺各県で全額国費による消毒薬の散布とか低利融資とか、さまざまな対策を行っており、また赤松大臣が疑似患畜の殺処分に要する費用について、農家の自己負担はゼロ、国と自治体で全額面倒を見るんだという発言をされております。
 これらの措置、これは考えたくないですけれども、今後さらに他県等も含めて拡大をしていった場合に、やはりこういう措置を適用していただけるのかどうか。そして、政府全体としての取り組み、農水以外にどんな取り組みが考えられるか、最後に教えていただけますでしょうか。
○赤松国務大臣 きょう五時から正式に官邸で、鳩山総理を本部長といたします、私が副本部長、官房長官も副本部長になると思いますが、対策本部を設置いたしました。第一回の会議を五時からやるということになっております。
 そういう中で、さらに自衛隊等のより多い応援もお願いしなければいけませんし、国道十号線を初めとする幹線道路の消毒等についても、警察、県警の皆さん方の消毒に対する協力もまたいただかなければいけない。そのほかにも国交省、厚生労働省、あるいは総務省、特に関係する六省庁中心になりながら万全の体制で頑張ってやっていきたい、このように思っております。
 なお、山田副大臣には、きょうからそれぞれの農水省の担当課長四名とともに現地での常駐ということにさせていただきました。
○宮崎分科員 ちょっと先ほどの質問の中で、仮に県外に波及しても全額の負担等は継続するのかということがあって、その点についてだけお答えをお願いします。
○赤松国務大臣 当然、同様の対応になると思います。
○中川主査 宮崎岳志君、もうまとめてください。
○宮崎分科員 本当にありがとうございました。重要な問題でございますので、ぜひ今後とも、お体にお気をつけながら対策に尽力していただきたいと思います。なお、また転機みたいなことがあったら、やはり赤松大臣みずから迅速に現地に乗り込んでいただいて陣頭指揮を奮っていただければ幸いでございます。
 以上、質問を終わります。ありがとうございました。
○中川主査 これにて宮崎岳志君の質疑は終了いたしました。
(中略)
 次に、網屋信介君。
○網屋分科員 民主党の網屋信介でございます。
 本日は、こういった質問の場をちょうだいして、本当にありがとうございます。
 農水省の政務三役を初め、省庁の皆様、口蹄疫の問題も含め、大変なところでございますが、本当に御苦労さまでございます。
 きょうは私、農業共済について少し御質問をさせていただきたいと思っております。
 その前に、きょうもいろいろなところでお話が出たと思いますが、口蹄疫の問題でございます。
 私も、実は先週の月曜日に、鹿児島県の幾つかの市役所、農政部長の方々、ずっとヒアリングをしてまいりまして、それに基づいて火曜日に、山田副大臣初め、幹事長室も含めて、いろいろな陳情もさせていただきました。
 二つございまして、一つは、やはり政府として、今後の口蹄疫の広がりを是が非でもちゃんととめていくんだということを、まず御決意として一言いただければなと思っております。
○赤松国務大臣 四月の二十日に初めて、我が国における口蹄疫が十年ぶりに発生したということが出て以来、これは機関委任事務で、もともと地元の都道府県ということが建前なんですけれども、とてもこれはそんな、県の仕事だ、何の仕事だということではなくて、やはり国と県と市町村が一体になってやらないと抑え込めないということで、対策本部も立ち上げまして、私が対策本部長になって、発生農場に対する殺処分等について、それから、全額国費で消毒をしよう、それから、直ちに例の法に基づく五分の四、あと残りの五分の一についても、共済に入っていない人もいるので、これについては特交で処理をするというようなことも矢継ぎ早に決めて取り組んでまいりました。あとは、風評被害も大変心配していましたので、マスコミの皆さん方にもそれをお願いして、これについては、かつてのBSEと比べていただければわかりますが、非常に冷静に見ていただいておりまして、これはうまくいったと思うんです。
 ただ、残念ながら、地域的には押しとどめているんですけれども、その中で件数だけがどんどんとふえていくということで、きょう現在で百十一例ということで、殺処分をしなければならない牛、豚は八万数千頭に上るということで、これについては本当に残念です。しかしさらに、何が足りないのか、何をやったらいいのか、何として抑え込むのかということで、いろいろな対策を練りながら、もう一回り大きいところからの財政的な支援や人的応援もお願いをするために、きょう閣議決定をいたしまして、五時から第一回目の鳩山総理を本部長とする対策本部を設置する、そして現地にも山田副大臣以下を常駐させるということを決定して、今進めようとしておるところでございます。
○網屋分科員 ありがとうございました。
 一つだけ私の方から申し上げたいのは、発生したところというのは確かに、殺処分、それから自衛隊の出動、いろいろな形でかなり、もちろん大事なことなので、いろいろなことが政府の御指導のもとに県と一緒になってやられているんですが、実は一番深刻なのは、その周辺の地域、実は発生はしていないんですが、風評被害も含めて、あそこから豚を買ってきたのじゃないかとか、いろいろな話が出ている。
 実は、地域の方々のヒアリングと農水省からいろいろ聞かされていた話とは、随分時間差、ギャップがございます。例えば道路の消毒液の地点についても、地域からは県の方に出しているけれども、それがまだ農水省に届いていない、実はその地図を見てみると随分違っていたりとか、それから、二十四時間やっているのに、実は夜までしかやっていなかったりとか。ですから、現実的には、そこは県でもなかなか把握できない部分がある。
 そういう意味からすると、市町村に少しその辺の裁量権といいますか、特に消毒については、与えていただいて、できるだけ、実は消毒液だけではなくて、一番困っているのは道路の消毒をする人。二十四時間態勢でやると、八時間交代でも三交代要る。一回に大体七人要るんですよね。そうすると、一日に三、七、二十一、延べ人数で二十一人が要る。役所の人が有休にかえて交代してもなかなか追いつかない。これからいつまで続くんだ、二カ月続くのか、三カ月続くのか、ではその予算はどうするんだとか、細かいところで実は物すごくいろいろな問題が出ている。それを一々県を通して、農水省からこれはお金が出るんですか、出ないんですかとやっていると、本当に後手に回ってしまう。
 本当に一刻一秒を争うような状況でございますので、周辺地域のそういった対策を万全にやることで、とにかく、出てしまったものは出てしまったものですから、そこから一歩も出さないということを政府としての御決意としてぜひとも発表していただいて、そういった支援をしていただく。
 密に担当の方と連絡をしていただいて、随分その辺は、私のところは鹿児島県で隣でございますので、毎日何十本と電話が私の携帯電話に来ていまして、半分ぐらいは、こんなうわさがある、あんなうわさがある、あそこから牛が来たらしい、あそこが出たらしいと、とんでもない話もいっぱいあるんですけれども、それぐらいに農家はパニクっている。しかも、市場が今とまっていますから、牛を売ることができない。ではその間お金をどうするんだということも含めて、いろいろな問題が出てきていますので、ぜひともそこはきめ細かな、周辺地域も含めた対策をお願いしたいということを申し上げたいと思います。
 それでは、農業共済についてでございます。
 実は、農業共済については私もいろいろ勉強させていただいて、一つは、機能についての確認なのでございますが、もちろん災害が出たときにということでございますが、今回、例えば一つの例で、口蹄疫の被害農家にどういうふうに支払われるのか。それから、この場合、例えば被害が物すごく大きくなってしまった場合に、一般会計からどういうふうにそれを手当てするのか。その辺について御説明をいただきたいと思います。
○佐々木大臣政務官 農業共済の補償についてでありますが、委員も御案内のとおりだというふうに思いますが、殺処分した疑似患畜については、家畜伝染予防法に基づいて、国が当該家畜の評価の五分の四を交付するということになってございます。
 農家が家畜共済に加入していた場合には、家畜共済の評価額と手当金の額の差額、評価額が同一であれば同じ五分の一ということになりますが、を共済金として支払うということになります。
 手当金の額が確定され次第、速やかに共済金が支払われるように今指導をしているところでございます。一週間程度で支払いができるようにというようなことで今指導をしているところでございます。
○網屋分科員 今の一週間程度、それは家防法の方ですか、それとも共済の方ですか。共済。
 もう一つだけ質問しますと、例えば五頭、十頭、五十頭ならいいですが、今回例えば八万頭とかになってしまいますと、その評価額というのを、普通は評価員みたいな人が来て、これは幾らだ、幾らだとやるんでしょうけれども、八万頭をわあっと、現実問題としてどういうふうにやるんだろうというのが私の素朴な質問なんですが。
○佐々木大臣政務官 今回の場合、そうしたようなことがあって、特に宮崎県では大量に発生をしているというようなことから、一頭一頭の評価がなかなか難しいというようなこと、しかも三人で評価をしますから、そんなことで、群ごとの評価ということも一部認めさせていただいて、そんな評価もさせていただいているところでございます。
○網屋分科員 それでは、農業共済そのものについての質問でございます。
 実は、この農業共済というのは、制度そのものが三つの構造になっているわけですね。一番上がいわゆる特別会計のもとがあって、その下にいわゆる県単位の連合会、その下にいわゆる単組といいますか、農業共済組合というのがあって、その下にいろいろな、現実的に農家の方々とのコミュニケーションが行われている。
 昨今、幾つかの都道府県では、いわゆる単組と呼ばれる農業共済組合を廃止して、連合会を一つの組合として、一番上の方、再保険の部分とで直接つないでいるというところが四都道府県ぐらいあるというふうに聞いておりますが、基本的に、下に単組をたくさん持つところとそうじゃないところ、これはどういうところで違いが出てきているのか、なぜこういうことが起こっているのかということをちょっとお聞きしたいんです。
○佐々木大臣政務官 共済事業の組織についてでありますけれども、基本的には、大災害ということも想定をしなければいけません。そういったことから、農業共済組合というのは連合会の保険に付して、さらに連合会は国の再保険に付すというようなことで、全国的に危険分散を図るということから、基本的には三段階が基本となってございます。
 しかし、二段階制というものもありまして、二段階制については、組織再編を進める中で、例えば一県一組合というようなところはそういう要望もありますので、そうしたところについては、平成十一年度の農業災害補償法の改正によって、そうしたことも実施可能としたところでございます。平成十二年に熊本県が移行したのを初めとして、現在、五つの都県で二段階制を実施しているところでございます。
 以上でございます。
○網屋分科員 実は、ここにちょっと資料を一つお持ちしました。
 一つは、国立国会図書館からの資料でございますが、新聞記事の項目だけ、私のところには詳細が全部ございますけれども、これは、いわゆる共済組合の不祥事がずっと出ております。
 ちょっと新聞をよくお読みになっている方は皆さん御存じだと思いますが、共済組合の不祥事というのは本当にとどまることなく、毎年何件か必ず出てくるという状況にございます。最近でも、例えば新潟の共済連でいろいろな短期売買をやって大損したとか、栃木県では架空の事業をつくっていたとか、こんなのはもう本当に日常茶飯事のように出てくる。しかも、出てくるのが実はほとんど単組、いわゆる小さな組合であるというのがこれの特徴なんですね。
 つまり、私が申し上げたいのは、屋上屋を重ねるような組織というのは、これは逆にガバナンスが行き届かないんじゃないか。しかも、コスト的にも、当然組織をつくればそこにいろいろな役職の人が出てくる、いろいろな人が出てくる。一つ考えれば、考え方として、これは私の提案ですけれども、県を一つの組合として、そこが直接ガバナンスを握って、例えば支部をつくっちゃう。東京はもうそうなっていますけれども、北海道は広過ぎてどうかちょっとわかりませんが、例えば千葉なら千葉に一つつくって、木更津支部、銚子支部の形で、別の組合にしないで、一つの形にすることによって、コスト的にも、それから、そういったガバナンスを一体化して一つのルールをちゃんと通していくというためにも、この形の方がいろいろな意味で、効率も含めて、いいんじゃないか。別に人を減らせとかなんとかというわけじゃなくて、やはり支部の人たちが通常的に、日常的に農家の方とも話をしながら、それを県の一つの形としてまとめていく。この形の方がすっきりして、しかも、こういった不祥事がこんなに出る中で、ずっと毎回毎回、連合会の会長がごめんなさい、場合によっては農水大臣がごめんなさいと言いながら、二度と起こさないようにやりますと。二度と起こさないが毎年三回ぐらいあるわけで、こういった状況をやはり根本的に組織的に見直しをして変えることが必要ではないかと私は思うんですが、できれば、大臣のお考えがあれば聞かせていただければと思います。
○赤松国務大臣 今御提案のように、県単位にして、あとは支部で、ちゃんとここがガバナンスを持って見た方がいいんじゃないかというお話がございました。私も、果たしてその方がいいのかどうなのか、これはちょっとわかりませんので、御提案は御提案として受け取らせていただいて、検討させていただきたい。
 ただ、お話のあるように、確かに農業共済のそれぞれの組織で余りにもそういうことが多過ぎるということで、これについては、ことし一月十五日に、私から経営局長にお願いをしまして、経営局長名でそういう通達を出して、もう少しきちっとやってくださいということでお願いをさせていただいたというところでございまして、今後、あるべき姿についていろいろと検討させていただきたいと思います。
○網屋分科員 その一月十五日の大臣からのお話に基づいて、実は、農林水産省の経営局長の方から、これは通達というんですか、農業共済団体における幾つかの通達が出ております。
 ちょっとコピーがあるんですが、その中の一つをとってみると、「農業共済団体における政治的中立性の確保について」というのがあります。これはことしの一月十五日付に出ております。ちょっとだけ読みますけれども、その運営を行う農業共済組合及び農業共済組合連合会にその政治的中立の確保を求めることは当然であると。その中の詳細で、農業共済団体の役員等の執行体制について、議員等が兼職により就任するなど特定の組織、政党等の影響を受けているのではないかとの疑念を持たれることのないものとすることというふうに書いてございます。
 私がきょうお配りした資料がもう一つ、この次のページに実はあるんです。名前は伏してありますけれども、これは、我々がチームで四月九日現在に調べた、これはホームページから調べたものなので、実は名前を公開してもよかったんですけれども、これを見ていただくと、秋田から宮崎県まで、特定の議員とかなんとかを避けなさいという通達を一月十五日に出したにもかかわらず、四月九日現在でこれだけ残っている。中には、衆議院議員の方がそのまま連合会の会長になっていて、今回辞任された方もいらっしゃいます。見ていただくと、元県議、元何とか、いっぱい入っています。
 実は、お渡しはしておりませんけれども、私は、別に、私の地方の鹿児島のリストも、単組のものを持っています。これをごらんいただくと黄色いのが見えると思いますが、黄色いのは全部、県議、町議、市議、そういった方々です。これは全く作用していないんじゃないですか。
 しかも、私はきのう田舎で写真を撮ってきました。これは私の田舎の曽於市というところのある共済組合です。この横には、ちゃんと自民党のポスターが張ってあります。こうやって、参議院の方と二連ポスター。これは全く無視されているじゃないですか。もう少しちゃんと、こういうのが私はガバナンスだと思うんですね。
 ですから、そういった意味でも、これは私が何の回答を求めるというわけでもないですけれども、この辺について、どういうふうに御感想をお持ちかなということです。
○赤松国務大臣 これは強制はできないんですね。あくまでも通知ということで、そういうふうにされた方がいいですよということでお流しをしたということで、当時、現職の衆議院議員の方が何人か、実は県の会長を務めておみえになりましたけれども、その方たちは、こうした通知に従って、自主的にこの三月末までで交代をされました。あと、現職の国会議員については、とりあえずはそういう方はいなくなった。
 ただ、現実問題として、元国会議員とか県会議員とかいう方は、それぞれ地方にもたくさん、ここにも表がございますが、おみえになる。無給の方もおられれば、有給で百万円ぐらいもらってやっていらっしゃる方もおられるということでございまして、これは自民党だからではなくて、私はもう持論で言っているんですが、もともと、民主党だろうが共産党だろうが、何党であれ、政治家がこういうものを兼務でやることはよろしくない、要らぬ誤解を招くことにもなるので、それは避けられた方がいいのではないですかということを申し上げているということでございまして、徐々にこれについては、あと、土地改良とかいうところについても同様に出しておりますし、そういうことをお願いを今させていただいているというところでございます。
○網屋分科員 この共済というのは、現実問題としては、当然、その運営については、農家の皆様の保険料、それから国庫からの支出、いわゆる国からの公的な支援ということを受けているわけですから、私は、こういう状況というのは、まあ、おっしゃるように、こんなものお願いだからしようがないだろうと言ってしまえば、何のためにこれを出したのかという話になってしまうので、強制力のあり方、法的な部分があるのかもしれませんけれども、特にさっき言いました単組の場合は物すごい数ですよ、理事というのは。
 私もちょっと聞いてみたんです、どれぐらいの給料をもらっているんですかと。たまたま私の田舎の方に行くと、大体、月に三万円ぐらいです、二、三万です、大したお金じゃありませんということで、そんなものなんですかと。ところが、よく調べてみたら、二年置きぐらいに何か慰労金みたいのが出て、また継続してやっている。実質はそんな安いものじゃないんですよ。毎回毎回ロールオーバーで、退職金みたいのをもらうんですよ。それでまた次に理事をやるんです、同じ人が。それをずっとやっているわけです。しかも、地方に行けば行くほど、現職の県会議員がそこの理事長とかいろいろな、理事長にならなくても、現実的には実権を持っている。
 こういう状況の単組なんて、やはり私は早くつぶして、県一つで、国がもうちょっとグリップを握って、これは国のお金なんですから。国のお金、かつまた農家の方々の、本当に苦しい中で何とか出してきているお金。特に畜産なんかは、七十代から八十代のおじいちゃんが五頭、十頭やっている小さいところ、そこから搾り出しているお金、こういったお金が使われているんだということをもう少し認識していただいて、厳正なる態度をぜひおとりいただきたいとお願いしたいんですが、御意見はいかがでしょう。
○佐々木大臣政務官 今、委員から御指摘のあったような問題点があるということがあったからこそ大臣が通知を出されたわけでありまして、言われたように、公共性が非常に高い、あるいは、国からのお金も含めて多額の予算も使われているということでありますので、そういった意味でも一層公共性が求められるということはもう御指摘のとおりだというふうに思います。
 ただ、御提案いただいたように、一県一組織だけではなくて、少しそこは柔軟に対応しなければ、例えば私どもの北海道のようにうんと広くて、しかも、片方は畜産をやっている、片方は野菜だ、片方は稲だというようなところもあって、そんなところを全部一つにしてしまったときに、かえって機能的かということがあります。
 しかし、こうした不祥事が起きるということは非常に問題ですから、公共性が求められている組織でありますから、全体として組織のあり方というものは、この間の計画のときも御指摘もいただいてございますので、検討していかなければならないというふうに思ってございます。
○網屋分科員 北海道はちょっと広過ぎて、一つというのはなかなか難しいかもしれませんが、それは都道府県というよりも、一つの大きなガバナンスのきくような形を幾つかつくっていく、屋上屋を重ねる形でお金を使うというよりも、やはり組織のあり方、それをぜひとも、私も今度仕分けでもあるときはやろうかなと思っていますけれども、見直していただきたいなというのが私の意見でございます。
 本当に、口蹄疫、いろいろ大変でございますけれども、我々、特に九州の、畜産が中心になっている地域というのはもう死活問題でございますので、政府の迅速な対応とコミットメントをぜひとも皆さんに伝わるようにしていただきたいなとお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 きょうは、どうもありがとうございました。
○中川主査 これにて網屋信介君の質疑は終了いたしました。
(中略)
    〔主査退席、東(順)主査代理着席〕
○東(順)主査代理 次に、小里泰弘君。
○小里分科員 自由民主党の小里泰弘でございます。
 きょうもまた、口蹄疫の対策についてお伺いをしてまいります。
 とにかく、この発生地域における感染を早急に封じ込めていく、これがまず求められるということは言うまでもありません。そのためには、発生箇所に対して事後的に対応するといういわゆるモグラたたき、そういった対応では限界があります。先回りした対応が今強く求められているところであります。特に今回の口蹄疫は、伝播力が強い。急速に感染が拡大をしていることから、症状が確認をされてからその後のPCR検査の結果を踏まえてからの殺処分ということでは、どうしてもこの感染拡大を防止できないということになっていくということを認識せざるを得ないわけであります。
 そのために、一定エリアを決めて家畜を全頭処分をすべきという現地からの、現場からの切なる声が上がってきていること、これは御案内のとおりであります。補償を含めた踏み込んだ対応をやってほしいという現場の要望でございます。先週末も、えびのの市長さん、あるいは地元の市長さん、町長さん、鹿児島側の知事さん、あるいはJA関係者の皆さんと打ち合わせをさせていただきましたが、まずはそこのところを強く求めておられました。
 再三お伺いするようで恐縮でございますが、大臣、御見解をお伺いしたいと思います。
○赤松国務大臣 再三、これは与野党を問わず、いろいろな議員の方からそういう御意見もいただいております。
 ただ、法に従ってやるという大原則があるものですから、現地からもいろいろお話を聞いていますが、確かに、予防的に殺処分してくれという意見があると同時に、私のところは絶対殺してもらっちゃ困るという方もいるというんですね。そうすると、これは他人の財産ですから、それを御理解なく殺処分するというのは、なかなか正直言って難しい。
 しかし、お許しいただいた方だけやり、お許しいただかない人はもうしようがないなというのでは、これはやっても余り多分意味がないんでしょうから、今、総合的に、どういう方法があるのか、どういう意見があるのかということを相談しながら、もう少し、小里議員からもお話があったように、大きな予算をしっかり持ってあらゆる対策をやれということでございましたから、鳩山総理を本部長とする国全体の対策本部を立ち上げまして、そして、きょう五時から第一回目の会議をやるということになっております。
 私が副本部長ということでありますが、そういう中で、各省、特に関係する六省がございますので、そういう大臣の皆さん方からもいろいろな御意見を聞きながら、総合的な、今何を急いでやらなければいけないのか、どこに集中してやっていくのか、基本は変わらないと思いますが、これ以上とにかく広げさせないというところにやはり全力投球していくということだと思っておりますので、そんな視点で頑張ってやっていきたいと思っています。
 なお、現地からのいろいろな声でも、獣医さんはふやしてくれてありがとう、支援の人も多く来てくれた、自衛隊もいる、しかし、全体的に指揮をとってうまく回していくことが少し欠けているのではないかというお話も間々あるものですから、きょうから、山田副大臣、官邸の小川補佐官、そして、私ども事務方として畜産振興課長を初め数名の課長もつけて現地にきょうから常駐させる、それで現場で指揮をとるということにさせていただいたことも御報告申し上げたいと思います。
○小里分科員 この全頭殺処分につきましては、川南町の方はもう手おくれだと思いますね。物理的に無理だと思います。ただ、えびの市の方は、今後の感染拡大を防ぐ上でのまさにポイントであります。今からでも間に合うと思うんですよ。そこはぜひ御検討をいただきたいと思います。
 大臣おっしゃるように、これを受ける人、あるいは拒否する人、それぞれ畜産農家においても意見がさまざまであると思います。だからこそ、国が主導をしてそこをやってほしいというのがえびの市長からの要望でもあるんです。
 そのえびの市は、区域として御案内のとおり三県にまたがっております。隣県への感染をいかに防いでいくか。まさに、このえびの市でしっかりといかに抑え込んでいくかにかかっているわけであります。
 えびのの畜産農家では今、いつ出るかわからないこの不安、そして、自分がまた新たな感染源になっていくんじゃないかという不安、そのストレスにまさにさいなまれております。とにかく国が主導して踏み込んだ対策をやってほしい、早く全頭の殺処分をしてほしい、そういった声は現地では日増しに高まっているわけであります。えびの市側からも、また鹿児島県側からも、この要望が強く上がってまいっております。
 これは本当に、先日来申し上げておりますように災害であります。この従来の想定を超える事態が起きてくるのが災害でありまして、教科書もない、従来の制度が通用しないのが今の事態でありますから、そこはぜひとも政治的な決断をもって、思い切った、踏み込んだ対応をやっていただきたいと思います。
 今、鹿児島では、種牛牛、大変な心配をしております。宮崎県の例につきましては報道があったとおりでありまして、鹿児島県におきましても何とかこの種牛牛を守らないといけない。そのために、島の方にこれを全部移してしまおうか、そういう話も出ているぐらいであります。まさに、隣県におきましては今必死の思いでこの侵入防止に臨んでいる、闘いをしているところでありまして、そういった切なる現地の気持ちをお酌み取りをいただいて、ぜひとも踏み込んだ対応をお願いしたい。重ねてお願いをしておきたいと思います。
 そのえびの市でありますが、国道四百四十七号線が隣の鹿児島県伊佐市とを結んでおります。また、国道二百六十八号線は鹿児島県湧水町とを結んでおります。そして、国道二百二十一号線が熊本県人吉市とを結んでおります。隣県への蔓延防止には、えびのと各県、各地域を結ぶこの国道の消毒ポイントをいかに有効に機能させていくか、そこにもまたかかってくるわけであります。特に、人吉とを結ぶこの国道二百二十一号線につきましては、最近、シカが異常発生をしているということでございまして、農家の菜園までシカがおりてきているそうであります。
 今、消毒ポイントにおきましては、業者の車から始まって一般車まで消毒が開始をされたところであります。加えて、やはり問題は人なんですね。人がその畜産農家の感染農家の近辺まで行って、それで車に乗り込んで消毒ポイントを通過していく。この人に対するチェックがない。ここが怖いんだ。特に、シカの異常発生等を見ましたときに、人からシカにうつってしまった場合、これは大変なことになる。そんなことをまたえびのの市長さんが、昨日でしたが、語っておられました。
 なかなかここは難しい課題でありますが、現時点においてどういう対策を考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
○佐々木大臣政務官 今、小里委員がそれぞれ指摘をされたところがそれぞれのポイントだというふうに我々も押さえてございます。
 何よりも、人による伝播というのをできるだけ抑えていかなければなりません。そういった意味では、業者だけではなくて、一般車両も含めたしっかりとした消毒体制というものをつくっていかなければならないというふうに思ってございます。
 人の消毒ですが、最終、私も再度確認をいたしますけれども、基本的には靴の消毒はやっているはずです、私の経験からしても。しかし、それが全身消毒をしているかというと、そこまでは徹底していないかもしれませんので、その点は再度チェックをしてみたいというふうに思います。
○小里分科員 とにかく、これもまた先回りした対応の大事な要素であると思いますので、しっかり知恵を絞っていただきたい。我々も、しっかりまた現地の声を聞いて、できる情報提供はしてまいりたい、そんなふうに思うところでございます。
 清浄性確認検査というものがあります。潜伏期間にある牛、豚を見つけ出して早目にこれをつぶすという意味合いにおきましては、この清浄性確認検査、一定の効果があると思います。この清浄性確認検査についてどのようなスタンスでおられるか。
 特にえびのを考えた場合に、えびのが、申し上げたとおり区域が三県にまたがっておりまして、調整が困難であります。特に宮崎県は、川南町の方の対応に追われておりまして、この清浄性確認検査等の広域的な対策を打つための協議に加われないという状態でもあるようでございます。こういった場合は、とりわけ国が主導権を持って臨むべきであると思います。
 できるだけ早くこういった確認検査を実施して、第二の川南にならないようにしていかなければならない、そんなふうに思うところでございますが、お伺いをしたいと思います。
○佐々木大臣政務官 今、宮崎県においては、都農町及び川南町周辺の地域と、今お話がございましたえびの市とその周辺の地域という二カ所が移動制限区域に設定をされているところでございます。
 えびの市でありますが、四月二十八日に発生が確認をされて以来、四例目が五月十三日に確認をされているところでございます。
 防疫指針では、この移動制限期間は、原則として、発生例の殺処分終了後二十一日間というふうになってございます。今、区域内の周辺の清浄性は、これはもちろんしっかりと確認をしなければいけませんが、発生例の殺処分終了後一週間程度が経過した後に、移動制限区域内の牛及び豚の農場全戸における臨床検査、それから、半径三キロ以内の農場の全戸を対象とした血清検査を実施するというふうにしているところでございます。
 えびの市の周辺地域の今後新たな発生が確認されなければ、最終発生の殺処分が終了した五月十四日から一週間程度たった五月二十一日以降、それから、宮崎県、熊本県、鹿児島県の制限区域内のすべての農場において清浄であるということを確認しなければ、解除というものはできないということになってございます。
○小里分科員 ぜひとも、これもまた、先回りした対応としてしっかり適切に実施をいただきたいなと思っております。また、これが実施をできるようにするためには、その前段階での対策をしっかりやる必要があるわけでありまして、そこを重ねてお願いしておきたいと思います。
 情報提供でございますが、例えば鹿児島県では、隣接県として発生県の情報が欲しいところであります。ところが、全くと言っていいほど情報が来ないという話をきのう伺いました。聞いても正確な情報を出さない。国のプレス、宮崎のプレスを見て初めて情報を知る状況であるということでございました。
 正確な情報の速やかな提供がないと、迅速かつ的確な防疫措置というものを講じていくことができないのでありまして、そこをしっかり図っていただきたいと思いますが、今、どのような隣県への情報提供体制になっているのか、お伺いをいたします。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 情報は、基本的には、迅速に、しかも正確な情報というものを伝えるというのが基本でございます。しかし、疑わしいという状況の中でどこまで情報を提供するかというのは、非常に実は難しい課題であります。無用な風評被害を招くというようなこともございますので、そういった場合には、基本的には、疑わしいという段階では情報提供しないということになってございますが、しかし、疑わしい事例であっても、疑わしい農場が隣接県に近い、移動制限区域や搬出制限が影響するような場合、それから、疑わしい農場と疫学的に関連する農場がある場合等には、鹿児島県等の関係県に対して情報を提供するというふうにしているところでございます。
 さらにまた、農水省のホームページについては、発生状況、それから措置の実施状況、経営の支援対策、あるいは口蹄疫が人に感染しないというような情報については、都度、ホームページを更新させていただいているところでございます。
○小里分科員 風評被害ということでは、相手も行政ですから、そこはしっかりと遠慮なく緊密に連絡をとっていただきたいな、そんなふうにお願いをしておきたいと思います。
 これもえびの市からの話であります。十キロメートルラインから外に蔓延をさせないということについては国の指導がありますが、十キロメートルラインの中の対策については国の指導がほとんどない。早く穴を掘って埋めなさいと言っているだけのように聞こえるということでございます。国とか県は要望を出せば答えてはくれますが、やはり、おりてくるまでに時間がかかるという御指摘もいただいております。その前に積極的な指示をぜひ国からいただきたいということでございます。
 市の判断で散水車で消毒液を道路沿いにまいたり、あるいは無線のヘリで酢を散布したり、そういったことで、えびの市に確固たる防疫のノウハウがない中で、手探りの状態で市の判断としてやっておる、そういう状況でございます。終息の兆しが見えない中で、現場は心身ともに極限状態の域に達しておるわけであります。具体的で安心感を与える施策を早急に示してほしい、また、もっと権限を持った専門家を現地に派遣してほしい、これもまたえびの市からの要望でございます。
 先週の金曜日に私は、国が主導をしてしっかりと対策を打っていく、その姿勢を示す上では政府の現地対策本部を設置すべきであるということを御要望申し上げたわけであります。そして、大臣がおっしゃいましたように、今度現地対策本部を設置することになったということでございますが、これはいつからか、どういう体制で設置をされるのか、お聞かせをください。
○赤松国務大臣 本日、持ち回り閣議で、これは閣議案件なものですから、設置は決めました。第一回目の対策本部、鳩山総理本部長のもとでの第一回の会議をきょうの五時からやらせていただきます、官邸で。
 それと同時並行で、午前中から山田副大臣が宮崎に飛んでおりますので、畜産振興課長以下それぞれの分野の担当課長もあわせてそちらの方に行っておりまして、そこが現地対策本部となるということで、今委員も御指摘がありましたけれども、人が要る、消毒はしなきゃいけない、しかし、そこで全体を仕切ってやれる機能がちょっと足りないのではないかという御意見も強いものですから、今度は責任ある立場で、現地では、山田副大臣とそれから官邸の小川補佐官、それから、そのもとに関係六省庁から、もちろん農水省、それから防衛省、国交省、厚労省、それから総務省、それから警察、防衛省は言いましたっけ、とにかく、関係六省庁と言っていますが、そこが集まって、それぞれ人を出して、各省から人を常駐させて現地対策本部をつくる。そこが、県の方あるいは市の皆さんに指示を出しながら回していくということになると思います。
○小里分科員 山田副大臣、小川補佐官は常駐をされるということでよろしいんですね。(赤松国務大臣「そうです、はい」と呼ぶ)遅きに失したなという感がないわけではありません。しかしながら、ぜひしっかりした対応を図っていただきたいと思います。
 先週申し上げましたように、山田副大臣また小川補佐官が自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じていただきたい。そして、現場のニーズをしっかりと酌み取って、それを直に東京に、大臣にお伝えをいただきたい。
 そして、えてしてこういう災害のときには、東京で対策を決めてもなかなか現場に届かないものなんです。周知が徹底しない。そこのところもぜひ意識をして対応をいただいて、現地と東京との温度差というものを埋めていただきたい。そのようにお願いをしたいと思います。
 具体策についてお伺いをいたします。
 肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊というものがあります。個体登録の月齢要件を十四カ月から十六カ月に延ばしまして、この対象農家の拡大もなされたわけであります。
 そこで、生産者拠出金の免除につきましてもぜひこの対象を広げていただきたい。すなわち、自主的に家畜市場の開催の中止や延期をしている地域の農業者もぜひこの対象に含めていただきたいと思います。
 また、家畜市場再開後、集中開催になっていくと思います。相当な牛が出されてくる。そこで、買いたたかれる懸念が出てまいります。そして価格が低下をするということでありまして、ぜひこの差額を補償していただきたい。また、その際は、県の平均価格、これをぜひ発動基準としていただきたい。これも、現場からの、また区域内外を問わず、切なる要望であります。
 また、子牛の出荷の遅延によりまして、月齢が進んでしまう、あるいは体重がふえてしまう。そのためになかなか買い手がつかないということが出てくると思います。購買者、すなわち肥育農家に対しましても助成措置が望まれるところであります。
 あわせてお伺いをいたします。
○佐々木大臣政務官 経営安定対策と滞留の家畜についての御質問をいただきました。
 当面の資金対策といたしましては、今委員からもお話がありましたが、枠の拡大などをさせていただいているところでございます。
 それから、家畜を出荷できない、滞留する子豚等の淘汰や、あるいは出荷時期を迎えた肉豚の出荷に対しても助成金を交付することにさせていただいているところでございます。
 宮崎県や隣接の大分、熊本、鹿児島等においては、肉用牛のいわゆる月齢の拡大、あるいは登録月齢についての要件緩和等々、それぞれ対策をさせていただいているところでございます。
 ただ、その際の県の価格ということの要望をいただきましたが、これは、今回、新マル緊ということでそこのところをいろいろ論議があって現在の状況になっておりますので、その点については、この中でやるのがいいのか別な対策が必要なのか、それについてはさらに検討をさせていただきたいというふうに思います。
 滞留家畜の件でありますが、滞留家畜については、滞留する子豚の淘汰や今申し上げました助成のほかに、畜産高度化支援リース、いわゆる簡易の畜舎やカーフハッチなどをこれに追加をいたしました。それから、農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する助成、それから、新マル緊の生産者の積立金の免除などについても対策措置をさせていただいているところでございます。
 子牛については、今委員からも御指摘がありましたように、自粛が続いてございます。肥育牛や肥育豚については出荷が可能でありますし、実際には多少動いているというふうに我々は聞いているところでありますが、いずれにしても、必要な対策をしっかりと講じていかなければならないというふうに思っているところでございます。
○小里分科員 ちょっと今いろいろな課題が混合されて御答弁になったので、それぞれどういう結論になっていくのか、もう一回確認をさせていただきたいと思います。
 まず第一問目に申し上げたのは、新マル緊にかかる月齢要件の緩和、あるいは生産者拠出金の免除措置を、出荷の延期、競り市の延期、そういったものを自主的にやっている地域、要するに、移動制限区域あるいは搬出禁止区域、これに入っていなくても自主的にやっているところにもぜひこれを対象にしていただきたいということであります。
 それと、県の平均価格を要望申し上げたのは、子牛がどうしても集中開催で相当数出されてきますので、そこが買いたたかれるということでありますから、その場合に、宮崎とか鹿児島とか熊本、特定の地域が価格の値崩れを起こしていくわけでありますから、そこは全国平均とかいうことではなくて、やはり地域の平均価格を基準にとっていただきたい。そういうことでございます。
 もう一度答弁をお願いします。
○佐々木大臣政務官 後の部分については、新しい基準をつくるということになりますので、検討課題にさせていただかなければならないというふうに思ってございます。
 それから、先のテーマについては、対策の実施状況をしっかり見きわめなければなりませんので、これについても、継続できるように考えていかなければならないというふうに思ってございます。
○小里分科員 時間が参りましたので、具体的にはここでとどめておきたいと思います。
 実施状況を見ながらというお話でございました。今、鹿児島県にしましても熊本県にしましても、何とか未然に侵入を防止したいという思いにおきまして、自主的に、大変な思いの中に今対策を講じているところでございます。したがいまして、その区域内外を問わず、それぞれの対策をぜひ区域外の農業者に対しましても打っていただきますように切にお願いを申し上げたいと思います。
 残余の要望は、また別途の形でさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○東(順)主査代理 これにて小里泰弘君の質疑は終了いたしました。
    〔東(順)主査代理退席、主査着席〕
(中略)
○中川主査 次に、石津政雄君。
○石津分科員 民主党の石津政雄でございます。
 きょうは、口蹄疫等々で大変公務御多端の折に質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 また、政務官におかれましては、宮崎を初めとするこの問題に日夜本当に果敢に取り組んでいただいております。心から御苦労を申し上げ、かつまた敬意を表したいと思います。
(後略)

第174回国会 決算委員会 第10号
平成二十二年五月十七日(月曜日)
   午後一時一分開会

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。よろしくお願いいたします。
 冒頭、昨日残念な発言がありましたので、御指摘をさせていただきます。
 宮崎県で発生した家畜の伝染病、口蹄疫の被害が止まりません。殺処分対象は計八万五千頭を超え、損害額は百六十五億円にも上ると伺っております。日本政府の対応は後手に回り、そもそも被害が拡大の一途をたどっていた五月上旬に赤松農水相が外遊で不在だったことへの地元の不信感も強いものがあります。そのような中で、昨日午前、スーツ姿で宮崎県庁を訪れた平野官房長官が、防災服に身を包んだ東国原知事や同じく地元の首長らに対し、原因とか云々は専門家に任せたらいいと発言し、関係者は一様に落胆したと伝えられております。この口蹄疫の問題で、宮崎県の農業者の方々のみならず全国の畜産業者、ひいては農業者全体が、農水省、政府に対して大きな失望を感じたということを御指摘をさせていただきます。

第174回国会 議院運営委員会 第31号 平成二十二年五月十八日(火曜日)    午後八時十四分開議

○逢沢委員 この際、自由民主党としての基本的な考え方を発言させていただきます。
 とりわけ、連休明け、民主党を中心とする与党の強引な国会運営に、まず強く抗議をするものであります。
 連日のような強行採決、また議運委員長の職権による本会議日程の設定、与野党の合意をつくり出そうとする努力が非常に欠けている、そのことに強く猛省を促さなくてはなりません。
 きょう、与野党の国対委員長会談でごくわずかの前進があったことは多といたしますけれども、改めて、この際、国民の期待にこたえて早急に予算委員会を開くことを、与党として決断するということを強く求めたいと思います。
 普天間を中心とする外交、安保の問題、またギリシャ発の信用不安、金融不安は、我が国の経済や国民生活をも脅かそうとしている。そして、口蹄疫の問題は、宮崎県のみならず、畜産関係者を恐怖のどん底に陥れようとしている。喫緊のそういった政治課題に、なぜ予算委員会を早急に開いて国民の期待にこたえようとしないのか。政府・与党の姿勢に、本当に大きな疑問を持つところであります。
 加えて、政治と金の問題について、全く積極的な姿勢が民主党政府から示されない。予算委員会で要求をされている事項に対して、積極的に答えを出すべきであります。鳩山総理は堂々と資料提出をしなくてはなりません。全く問題がない、そのように発言しておられる小沢幹事長は堂々と証人喚問に応じるべきである、強くそのことを申し上げておきたいと思います。
 また、我々のたび重なる反対にもかかわりませず、民主党は、国会法を金曜日の午後、提出をいたしたわけであります。国会の土俵やルールをつくる、これは、与党と野党が議会制度協議会の場で真摯な議論を重ね、大きなコンセンサスを得た後、法案として国会に提出をされる、それが筋でございますけれども、そういった常識、良識に基づかない行為をなさった。提出をされた国会法はすぐさま撤回をする、そのことを強く求めておきたい、そのように思います。
 加えて、このような非常に厳しい国会情勢の中、与党第一党民主党の小沢幹事長が東京を、国会を不在にしておられる。そのこと自体、まことに異常であり異例なことと言わなくてはなりません。与党の国会の最高の責任者、政党としての最高の責任者が不在であるということは、他の党に対しても国民に対しても大変非礼なことであるということを率直に申し上げ、党に対して、また小沢幹事長に対して猛省を促しておきたい、そのように思います。
 国会を国民の本当のものにするために、民主党の考え方また行動を変えていただきたい。丁寧に国会運営を進めていく、そして国民に対して説明責任を十二分に果たしていく。本来の政治の姿、政党の姿に立ち戻っていただくよう、強く発言をさせていただきます。
 以上です。

○遠藤(乙)委員 公明党を代表して、私たちの基本的態度をここで表明したいと思っております。
(中略)
 さらには、昨今の口蹄疫の問題は、これも大変恐怖に陥れ、これまた大変な失政として国民から厳しい批判の声が上がっております。
 こういった問題に対しまして、直ちに予算の集中審議を開催し、国としての取り組みをぜひとも早急に決定をすべきであり、全党挙げてこの問題には取り組むべき必要があるかと思っております。そういったことに何ら積極的な姿勢を示さない与党に対しまして、強く遺憾の意を表するものであります。
 それに加えまして、国会法を先週金曜日の夕刻に提出いたしました。これは与野党間の信義を裏切るものであり、国会の運営にかかわるものは議会制度協議会での十分な審議とコンセンサスを得て進めるということに対して、これは全く違反するものでありまして、信義を深く傷つけるものでありまして、直ちにこの国会法の提出撤回を求めるものであります。
 それとともに、当面の議題となっております郵政の問題につきましては、総務委員会がいまだ放送法の審議が始まったばかりであり、郵政を直ちに審議する状況にはないわけでありまして、なぜ、きょう、しかも深夜に及んでこの問題を取り上げなければならないのか、全く理解に苦しむところでありまして、与野党間の十分な合意のもとにこういった国会運営を進めるべきであると強く求めたいと思います。
 ぜひとも、民主党を中心とする与党の猛省を促し、現下の緊急の国家的課題に直ちに全党挙げて取り組み、そしてまた、国民の求めるさまざまな、政治と金等の問題につきましての説明責任を直ちに果たすよう強く要求したいと思っております。
 そういった意味で、本日の本会議につきましては、特に郵政の問題につきましては、途中で退席をしたいと考えております。

第174回国会 決算行政監視委員会第二分科会 第2号 平成二十二年五月十八日(火曜日)    午前九時開議

○谷分科員 自由民主党の谷公一でございます。
 先ほどこちらの方へ参りまして、今の吉田委員の議論を聞きながら、与党内でもう少し議論をしていればいいんじゃないかという感想を持ちましたので、感想だけお伝えしておきます。
 きょうは、財政健全化について何点か大臣にお尋ねしたいと思いますが、その前に、通告はございませんけれども、口蹄疫の問題について。
 実はきょう、朝、我々、自民党本部で、谷垣総裁、口蹄疫の本部長でございますけれども、口蹄疫について、各団体あるいは役所からの報告などをいろいろ受けてまいりました。今まで何回となくこういう会議もやり、三回政府に申し入れもしています。
 それで、私は、もう今や宮崎だけではなくて、九州の畜産業界ではなくて、私は兵庫ですけれども、但馬牛というブランドを選挙区に持っているんですけれども、種牛まで汚染したという状況がどんなに関係者に恐怖を与えるかということを肌で感じているつもりです。
 もはや、初期の対応がまずい云々という話はきょうはよします。いずれにしても、もうこれは、日本の畜産業界のこれからの成否がかかっているという強い危機意識に裏打ちを持ちながら、きのう付で政府も現地に対策本部を設けたようでございますが、人、物、お金を、思い切って、ちゅうちょなく、スピーディーに投入しなければとまらないと思います。
 十五年前、私も神戸で、当時は兵庫県庁にいましたけれども、阪神・淡路大震災に遭遇しました。政府は、正直な話、何も対応は、指針は示せられませんでした。自治体もそうです。そういうことを戦後五十年経験していなかったから。だから、二カ月で十六本の法律と、そして百本を超える政令、省令を定めて、そういう危機的な前例のない事態に、マニュアルがない事態に対応したわけです。
 菅大臣、決意だけで結構ですので、財務大臣でございますので、スピーディーに、思い切って、とにかくこれ以上の感染を防ぐんだ、金の支出云々という問題ではないんだという決意でぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、所見をお尋ねします。
○菅国務大臣 私も、数年前、鳥インフルエンザの折に、山口県あるいは京都府等へ出かけまして、あのときも相当大変、特に自治体の皆さんには御苦労いただきました。今回の口蹄疫は、場合によってはそれにまさるとも劣らない、大変な危機的な状況だと認識をしております。
 昨日、総理を本部長とする対策本部も、多少遅い早いということはあるかもしれませんけれども、総理みずから本部長として、改めてそういう体制をつくりまして、私もその一員に加えられております。
 とにかく、今御指摘のように、これまでのことをどうこうということを今言っていることはとても間に合わない状況でありますから、できることはすべてやる。お金の面でも、予備費等いろいろ報道されておりますが、具体的な、この程度かかりそうだというような議論がまだ十分進んでおりませんが、いずれにしても、財政的な制約で何かができないといったようなことにならないように、私どもも、そういう姿勢の中で全力を挙げて取り組んでいきたい、協力していきたい、このように考えております。
○谷分科員 ありがとうございます。
 繰り返しになりますけれども、十年前の話をしても、あのときは七百五十頭です。きょう、ついに二けたに。殺さなければならない牛、豚が十万を超えるというのはもう大変なことなんです。人間の大体四倍、五倍の場所を確保しなければならないと言われています。そうしたらそれを、現行の家畜伝染病予防法ですか、あれは所有者が土地を確保するという仕組みなんです。そういう仕組みで物事をしても前に進むはずはない。危機的な状況のときは、政府が前面に出て、とにかく直接やるとか、自衛隊の活用、全国からの自治体の応援のさらに強化とか、ありとあらゆる方策をぜひとっていただいて、日本の畜産にこれ以上の打撃を与えることのないように、よろしくお願いしたいと思います。

第174回国会 本会議 第29号平成二十二年五月十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号  平成二十二年五月十八日    午後一時開議

○福井照君 自由民主党の福井照でございます。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました環境委員長樽床伸二君解任決議案につきまして、提案の趣旨の弁明をいたします。(拍手)
 まず、本日の経緯について強く抗議を申し上げたいと思います。
(中略)
 鳩山内閣は、言いわけ内閣と言われております。普天間問題のていたらくは、ずっと野党だったから抑止力なんてわからなかった、知らなかったという言いわけ。口蹄疫対策本部の立ち上がりがおくれたのは風評被害を恐れて情報を精査していたという、恐るべき危機管理への無知をさらけ出した言いわけ。
(後略)

第174回国会 外交防衛委員会 第16号 平成二十二年五月十八日(火曜日)   午前九時四十分開会

○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。
 条約や協定に入る前に、幾つか外交、防衛に関して質問をしたいと思います。
 一番最初に、口蹄疫の災害対策あるいはその汚染の拡大防止に関しまして要望と苦言を最初に言いたいと思います。
 もうついに百十例を超えまして、殺処分の対象も牛、豚合わせ、あるいはヤギを合わせまして十一万頭を超えたという状況で、今自衛隊の方も災害派遣という形で出ていると。大事なことは、本当に早く感染の拡大を防止するというのが一番の喫緊の課題で、自衛隊の派遣の更に増派も要請される動きもあるやというふうに聞いていますけれども、やっぱり現場の自衛隊の方が困らない、あるいは農家の方々が間違った情報を持って自衛隊に無理な要求をしないということも大事だと思います。
 実際に、やっぱり自衛隊というのは命令をされた以上のことはできませんから、現場の部隊は。何とか豚を埋めてくださいと言われても、それは今命令が来ていないからできませんと。今消毒で一般車両、非常に疲れていると、自衛隊やってくださいと言われても、それはうちが割当てのところではないと。こういうことがいろいろ起きると、やっぱり現場が非常にかわいそうだし、自衛隊もかわいそうだし、一番大事な感染の拡大防止もできない。
 ついに川南町から新富町の方まで広がったと。これはどう考えても人が運んだという可能性が高いと言われています。となると、川南町だけから拡大を防止するんではなく、新富町から広がるのもこれから考えないといけない。やっぱり非常に人が要ります。見ていて、私の経験上も、消毒というのは素人がやっても駄目です、消毒は。中途半端な一般車両、一般人に対する消毒をやっても、それはウイルスが残る可能性があります。そこは、自衛隊の方にもやはりそういう経験がある方、あるいは衛生部隊や化学部隊もいます。
 是非とも、一日でも早く感染の拡大防止という形で、中央政府の方も、省庁の方も頑張っていただきたい、現場の方に混乱を来さないようにしていただきたいというのが要望と、あと、官邸に苦言を申し上げます。
 官房長官が徳之島の島民の方と会談するために鹿児島に入りました。ところが、予定されていなかったということなんでしょうけれども、翌日、宮崎の口蹄疫の関係で知事とも会われました。すべてがやっぱり危機管理がなっていないですよ。予定を変更して行った。だれが見たって、徳之島の島民と会うついでに行ったということじゃないですか。初めから計画していないじゃないですか。現場の方に中央から電話があって、連絡があって、官房長官が急遽鹿児島から宮崎に入る。ふざけていますよ。これだけ今本当に大変だ、現場があれほど苦労している。官邸の危機管理が不十分だということを一番最初に申し上げて、鋭意質問の方に移ります。
(中略)
 日本の安全、どう考えているのか、やっぱりもっと話し合うべきですよ。核抑止力についてもまだ議論をしていないとこの前の予算委員会で言われました。自衛隊の憲法違反かそうではないか、これも議論をしていないと。何にも議論していない。嫌なことは全部先送り。この結果が、場合によっては、今の口蹄疫での対応で各省庁ばらばら、危機意識がない、今ごろになってやっと政府の、中央の対策本部を立ち上げる。遅いですよ。危機意識が本当に少ないと思います。何か起きてから考える、これでは駄目ですよ。考えられないことを考えるのが危機管理の基本です。だから、福島大臣が、いまだに、五月末決着、総理は与党内の合意もやると言っているのに、いまだにその話合いが十分になされていない。本当、官邸何やっているんだという思いを私は強く持っています。
(中略)
 だから、先ほど山本委員からも質問がありましたように、これが担当の方に下りてこない、これはまだこれからの話かもしれません。だけど、単に訓練移転といっても、それはいろんな実務者協議をやる上においては詰めるべきところをしっかり詰めた上でやらないと、そんな絵にかいたもちになってしまう。単なる心配を拡散するだけだと。実際、今、新田原基地がある新富町、隣の川南町で口蹄疫で非常に心配している。ついに隣の新富町まで来た。今度海兵隊のヘリが来るかもしれない。地元、今すごく心配していますよ。そういうことも考えながら対応しないといけないというふうに思います。
(後略)

第174回国会 農林水産委員会 第9号 平成二十二年五月十八日(火曜日)   午前十時開会

○松浦大悟君 おはようございます。民主党・新緑風会・国民新・日本の松浦大悟です。
 質問に入る前に、一言、宮崎県の口蹄疫についてお願い申し上げます。
 口蹄疫の被害の拡大が止まりません。畜産農家の皆さんもがっくりと肩を落としていらっしゃいます。これまで政府としては対策本部をつくったり様々な努力をされてきたことは承知をしておりますけれども、畜産農家のことを第一に考えた更なる努力をお願いしたいと思います。できることはすべてやるという意気込みで対策に臨んでいただきたい、そのことをまずもって冒頭にお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。
(後略)

○加治屋義人君 自由民主党の加治屋でございます。
 大臣、今鹿児島に帰りますと、徳之島、口蹄疫、県民それこそ戦々恐々、こういう状況にあります。政治に携わる者にとってこれほど責任を感じることはないと、そういうことを胸の詰まる思いで日々生活をしているような状況でもあります。どうぞ政府挙げてこの問題、口蹄疫の問題については取り組んでいただきたいと強く要請を申し上げておきたいと思います。
(後略)

○岩永浩美君 自由民主党の岩永浩美です。
 今日は、与党の理事の方の御了解をいただいて、法案についての質疑は加治屋先生にしていただき、私は口蹄疫の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、先週、この委員会でそれぞれ与野党、質疑がございました。そんな中で率直に私が感じたことは、やっぱり質問の趣旨と答弁が必ずしも一致してない。宮崎県選出の外山議員や松下議員、その一つの思いをそれぞれ述べておられましたが、的確に大臣の答弁はそれに答えてなかったような気がしてなりませんでした。
 特に、初動対応の遅れについては、やっぱり地元の議員がということよりも、今多くのそれぞれの域内の生産農家、畜産農家の皆さん方は、初動対応について、もっと的確な対応ができていたらやっぱりこんなに広がることなかったのではないのかという一つの不信感、それを私は持っておられると思いますね。だからもう、今日の朝のテレビでいうと、昨日も発症して、十一万四千頭か何か殺処分をしなきゃいけなくなったというようなことは報道をされていました。先週の木曜日は七万五千頭ぐらいでしたね。それが四日間の間でもう約十二万頭ですよ。これほど大きな災害になってきたということは、やっぱりもう、赤松農林大臣、一生懸命やっていただいていると私は信じていますけど、私自身も農林省の副大臣の職をいただいたこともあるし、役所の皆さん方が本当に心血を注いで御努力をいただく、その一つの姿も見ていますよ。しかし、いかに敏速に、トップの指示が的確に下に行くということによって、やっぱりこういう問題というのは早く解決するということになるんじゃないでしょうか。
 そんな中で、私は、発症してから後、疑似患畜の確認から防疫措置の完了まで要した日数別の農家戸数、これは皆さんのところにも恐らく資料はあると思うんですね。十一日過ぎて四〇・五%しか殺処分できてないんですよ。まだ防疫の措置が完了してない農家戸数というのは六十六戸あるんですよ。半数以上が措置ができてないというんだったら、蔓延しますよ。あらゆる、一つのやっぱり人海戦術を講じるとかそういうことをしてでも、それを第一義的にやっていくということをしなくて、あらゆる対策を講じてますということを言ったって、それは本当に無理じゃないのかなと。
 私は、こういう実態について大臣はどう認識しておられるのか、まずそこからお尋ねをしたい。
○国務大臣(赤松広隆君) 四月二十日に口蹄疫と確認をされまして、その日に対策本部を農林水産省の中に私が本部長ということで立ち上げました。そして、その下に、大学の先生方を始めとする専門家の御意見もこういう問題はきちっと聞いてやらなければなりませんので、こうした小委員会等も併せて設置をしたということでございます。
 手順については、平成十六年に国、県が連携して迅速に対応できるよう防疫指針が作成をされておりますので、この指針に従ってできることはすべてやり切っていこうということで、初期の段階では農水省から、殺処分、そして埋却、徹底した消毒、こういうことしかありませんので、それを徹底してやろうということで、農水省から二十五名、各都道府県にお願いして二十五名、元々宮崎におられる方が二十名、この七十五名の獣医さんたちしか殺処分できませんので、こういう形でスタートをし、その後また、五月一日からは自衛隊の皆さん方にも出動をお願いをして埋却処分等にお力添えをいただいてきたと。
 もちろん職員も、農水省はもちろんでございますけれども、各都道府県、そして農協、農業関係団体というところもボランティアで出ていただいていますし、また畜産団体からも、これは公務員のOBも含めて獣医等の資格を持っていらっしゃる方も結構いるものですから、そういう方たちにもボランティアで積極的にこの宮崎県に入ってやっていただいたと。
 地域的には一定のところに今のところは収まっていますが、ただ残念ながら数だけは、今委員御指摘のように、今日で百二十六件、十一万を超える頭数になっているということで、特に一か所で八千頭を超える豚をお持ちのところもその中に入っているものですから、数も急に八万幾つから一日か二日でそんな十一万まで上がっちゃうのかということで、殺処分対象の牛豚としてはそういう数に今なっているということでございます。
 昨日から、実は山田副大臣に、官邸全体で対策本部をつくりましたので、鳩山総理が本部長、私が副本部長ということで、今までの農水省中心の対応から内閣全体で対応をしていこうということで形式的にもそういう本部に格上げをいたしまして、そして現地には現地対策本部をつくり、そこには山田副大臣に、そして官邸からは小川補佐官に行っていただきまして、あとは関係六省庁、例えば防衛省だとか警察あるいは国交省、厚労省、もちろん農水省が中心ですけれども、そういう畜産振興課長を始めとして山田副大臣と一緒に現地に昨日から常駐をしておりまして、昨日も夜八時まで会議をやって、その後、私のところに報告もありましたが、やっぱり一番の今問題点は、自衛隊も行っている、あるいは獣医も足りないからと、今百六十名体制で送っていますが、獣医さんも行っている、作業をやってくれる人たち、補助員も来ている、いろんな人が来てあれしているんですが、全体的に有効に仕切って取りまとめてやっていく、回していくと。国だ県だ市だということを言わずに全部その現地対策本部に入ってもらって昨日からやりかけたんですが、そういうところが少し欠けていたのかなと。
 例えば、獣医さんがいても、殺処分は獣医さんしかできませんので、それをやろうと思うと、三人ぐらいが豚や何かを連れていこうとすると、そうすると豚もまあ殺されると分かりますから、なかなか言うことを聞かないと。そうすると、三人掛かりでもなかなかその獣医さんのところに連れていくまでも大変と。今度、牛なんかになると、昨日の話ですと非常に暴れたりするもんですから、自衛隊員でもなかなか引っ張っていけないと。
 よっぽど慣れた人が扱わないと、やっぱり豚とそれから牛は扱えないということで、昨日も実は夜の相談の中で、もう残念ですけれども殺処分されて自分の家には牛も豚ももういないという人たちがおみえになりますので、そういう方たちにやはり若干の日当を払って、そういう牛や豚の扱いに慣れた人、そういう方たちがやっぱり出てきて、やっぱりそういう方がやらないとなかなかできないと。それから、獣医さんも、ペットばかり扱っているような獣医さんが行ってもとても静脈に注射を打てないというようなことも分かってきましたので、埋却地等については十分場所を用意してありますので、これからは現地対策本部を中心にしながら国、県、市が一体になって進んでいくんではないかと期待をしております。
○岩永浩美君 るる経過の御説明がございましたが、要するに有資格者である獣医師さんでも、静脈注射が完全にできる人じゃない人を幾ら獣医師の資格があったから派遣したって余り意味ないんですね。
 今いみじくも大臣は、手慣れた人が行くことによって、その人たちを回すことが必要だったのではないかという認識を今お示しになりましたが、まさにそのとおりなんですよ。そういうことが欠けていたんですね。そういう問題は報告だけでは分からないんですね。特に、政治主導という一つの形の中で、やっぱり政務三役が一致した意見を、指示を役所に対して出すというシステムを取っておられるから、役所側からというのは、自ら発言するというのが非常にやっぱり難しくなっているんじゃないのかなと。
 そこで、よく新聞や委員会の質疑でもありましたが、大臣はゴールデンウイークはアメリカ、メキシコへ行っておられて、その間ずっとやっぱりその報告を聞き、指示を適切に出しておられましたか。
○国務大臣(赤松広隆君) 毎日連絡を取ってやっておりました。
○岩永浩美君 それは具体的にどういう指示を出されましたか。
○国務大臣(赤松広隆君) 例えば、その当時は数が毎日数件ずつですが、どこどことどこどこから例えば検体の調査依頼が来ています、そうすると次の日は、ここは白でした、ここも白でした、残念ながらここだけは黒でしたというような話。
 私どもとしては、地域がもし例えば宮崎県を越えて、こうした場合にはこういうシミュレーションでいこう、こういうときにはこういうレベルまで対策を上げていこうというようなことをやっていまして、幸いにして私が帰国するまでの段階ではそういう地域的な広がりもなかったと、数は若干もちろん増えましたけれども、そういう状況だったというふうに私は理解をしております。
○岩永浩美君 私は、先週の委員会の質疑の中で大臣がもっとやっぱり積極的な御発言をしておられたら、もっとやっぱり地元の皆さん方は安心したと思うんですね。
 私は、内閣で今回対策本部をおつくりになったということは、一方では非常にやっぱり高く評価するんですよ。ただ、反面、農林水産省の農林大臣の方で積極的な発言というものが先週までは出ていなかったですよ。例えば、家畜伝染予防法の問題とか、法律があるからそれ以上はできないんですとか、共済組合法のやつがあって駄目だとか、駄目駄目の質疑が非常に、答弁が多かったですね。逆に言い換えれば、農林水産大臣としての発言はやっぱり駄目だという烙印を押されて内閣に上がったんじゃないかと、こういう感じさえやっぱり持たれても致し方ないんですよ。
 私は日ごろから大臣を尊敬しているので、特に諫早の開門について積極的な踏み込んだ御発言をいただいたことに高く私は評価しているんですね。そういう大臣が、先週の質疑だけ聞いていることについては、何か役所から上がってきたやつ、非常に何か踏み込んだ発言というのは何一つ出てこなかった。それに反して、疑似患畜の頭数はだんだんだんだん増えていく、これじゃどうしようもないというような形の中で対策本部ができたんだと私は思う。
 そういう、一方で烙印を押されて、一方で対策本部ができる、民主党政権による畜産被害みたいな形でもう今言われていますよ、初動対応が遅れたからこうなったんじゃないかと。少なくとも農林水産委員会の中では与野党の対立なんてなくて、お互いにこういう問題は積極的にやっぱり解決していこうと、そういうやっぱり雰囲気がなければいけないし、それに向かって、与野党を超えてこういう問題に取り組んでいくことがこの委員会のいいところだと思うし、そうじゃなきゃいけないと思うんです。それを非常に消極的な発言で終始したこと、これが多くの国民に不信感と不安感を抱かせたことになったんですよ。
 今後、対策本部の中で具体的に、被災農家、近隣市民、それから域外の畜産農家、その人たちに対する具体的な措置を講じてもらう必要が出てくるので、これは今から私は質問しますが。
 そこで、今日は松井官房副長官にもお見えいただきました。対策本部の構成はどういう形を取っていますか。
○内閣官房副長官(松井孝治君) お答え申し上げます。
 対策本部、政府全体の対策本部と現地におきます対策本部、昨日、両方設置させていただきました。政府は、本部長は鳩山内閣総理大臣、そして副本部長で赤松農林水産大臣、以下各閣僚から構成されている本部でございます。現地は、先ほどから農水大臣からも御答弁がございましたが、山田農水副大臣が現地で陣頭指揮を執る、そして政府全体の対応が必要でございますので、まあ総理は名代という言い方もされましたけれども、内閣総理大臣補佐官、小川勝也補佐官が現地に昨晩飛びまして、現地で陣頭指揮を執らせていただいているような布陣を取らせていただいているところでございます。
○岩永浩美君 内閣、官邸の中における本部の構成よりも、現地の対策本部がよく生産者との意思の疎通ができて、うまく回していく指示体制というのが明確にできていないと、そこはうまくやっぱりいかないと思うんですね。現地対策本部はどういう組織をつくっていますか。
○内閣官房副長官(松井孝治君) 現地対策本部は、農林水産副大臣の山田正彦副大臣をヘッドにしまして、小川勝也総理大臣補佐官、それから内閣官房、消費者庁、警察庁、総務省、財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、防衛省、この各省庁が体制を組みまして、当然のことながら現地での、県や市町村そして関係団体、地域の方々とも密接に連携を取らせていただいて、今活動を強化しているところでございます。
○岩永浩美君 それは官邸の中にある本部と現地の中における当該市町村、例えば川南町や都農町やえびの市や宮崎県、そういう人たちはどういう方々がその構成メンバーとして入るんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) これは国の口蹄疫対策本部の現地本部でございますから、基本的には、今、松井官房副長官が申し上げた構成でございます。
 ただ、現実問題として、昨日も八時まで会議をやっていますが、こういう中では、県の代表の皆さんあるいは川南町を始めとする関係自治体の皆さん、そういう皆さん方も合同で入って会議をやっておられます。例えば消防の在り方について、この道路は一応消防チェックポイントはあるんだけれども一本入って行っていると、これじゃ余り意味ないからちゃんとこのところへ場所を変えようとか、そういうような具体的なことまでそういう会議の中でそれぞれが相談しながらやっているというふうに聞いております。
○岩永浩美君 あれ、ちょっと私は奇異に思うんだけれどもね、畜産農家の皆さん方と一番日ごろ密接なかかわりがあるのはそれぞれのJAの営農指導員、畜産技師、その人たちだと思うけれども、JAの皆さん方は入らないんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) だから、構成メンバーでは、今申し上げたように市とか県とか、じゃなくて、国の対策本部でこちらから派遣している者が現地対策本部としてやっていると。ただ、先ほども申し上げましたように、現地にはいろいろな形でJAの皆さん、各県の経済連の皆さん方を始めとする皆さん、かなりの多くの皆さん方入っていただいているので、そういう方たちのお手伝いも含めて、それぞれ関係団体とは緊密な連携を取りながら当然やっていくことになるというふうに思っております。
○岩永浩美君 私は、こういう問題というのは正式に、団体の皆さん方がボランティアあるいは連絡を密にしているということではなくて、生産農家の皆さん方が相談をするというのは日ごろのコミュニケーションが行き届いた人にが一番相談しやすいんですね。その人たちが構成メンバーに入らなくして実効がどうして上がりますか。役所の人がちょっとだけ出かけていって役所が窓口になってということでは、本質的な解決に私はならないと思いますよ。JAの皆さんは、それはJAもいろいろあるでしょう。単協の人もいれば、あるいは経済連もあるだろう、中央会もあるだろう。そういう皆さん方がそれぞれの立場で構成メンバーの中に入っていくということをしない限り実効は上がりませんよ。一体感を持った防疫体制、一体感を持った畜産行政を推進していく上において一番大事なことじゃないですか。そんなことを全然やらずにいて、何か本部の組織だけをつくっておいてやるということはおかしいと思いますよ。
○国務大臣(赤松広隆君) 今、正式な構成図を見ましたら、宮崎県対策本部という形でこの構成員で入っているそうです。その中にはJAとか町の皆さん方が入っているということだそうです。ですから、構成員として入っているということですね。
○岩永浩美君 私は、構成員として宮崎県対策本部、先ほど言うのは、現地対策本部と宮崎県対策本部というのは別なんでしょう、現地対策本部というのは現地対策本部で、防衛省やそれぞれの役所が入っているわけですから。この議論ばかりしておれませんけど、要するに私の方から申し上げておきたいのは、一体感を持った形をつくっていかない限り防疫体制の確立はできないということを肝に銘じてやってもらいたいんです。それが一つ。
 それからもう一つ、今まで川南町とか都農町とかということは、えびのの方に飛び火していますね。えびのは、過日の同僚の議員の質問の中にもあったように、熊本県と鹿児島県と隣接している町村。あそこの地域の中において、やっぱり生きた物を殺処分するということは大変生産農家にとって厳しいことだけど、今蔓延することを防ぐには、ここはやっぱり何らかの措置を講じていかなきゃいけないと。
 家畜伝染予防法では、今の時点では疑似患畜じゃないと駄目だということになっているけど、そうじゃない形をつくっていくというようなことの、家畜伝染法の改正も含めて本気で特措法で今度おやりになるという話を、新聞の報道だから分かりませんが、特措法を作るんですかね。今回、対策本部をつくって、家畜伝染予防法やあるいは共済組合法や、そういうようなものについて何か新たな改正を考えておられるんですか、対策本部は。
○国務大臣(赤松広隆君) 昨日の第一回目の口蹄疫の官邸でやりました対策本部の中では、そうした法改正の問題や特別措置法の問題については出ませんでした。ただ、これは非常にそういう御懸念が何人の委員の方からもこうした委員会の中で出ておりまして、気持ちは分かるんです、背景も分かるんです。しかし、現実の問題として、今は疑似患畜のものについては法に従って、その財産権を侵すわけですから、その代わりこういう補償をしますよということになっているわけで、現行法令では、今委員御指摘のように、健康な牛や豚を、しかも本人が拒否する場合も往々にしてあると言われていますが、それを勝手に殺処分するということについては、これは極めて難しいのではないかと思います。
 ただ、現行の法の中で、例えばこういう例はあるんですね。事実上その周辺がすべてもういわゆる病気にかかっていると、まだ検疫とPCR検査はしていないけれども、事実上もうここは多分かかっているのではないかと、そういうふうに判断した場合はそれとみなして、もちろん同意が必要ですけれども、そういう同様の殺処分をするということはできるんです。ただ、それと、今えびの市での例を出されましたけれども、そこを直接そのみなしでやるというのは少し無理があるんじゃないかなと私は思います。
○岩永浩美君 域内でまだやっぱり疑似患畜になっていないその生産農家の皆さん方の同意があることが前提ですよ。同意がなければ殺処分できません、財産権の問題が出てくるのは当然です。しかし、それでもこの地域全体が蔓延して、あとの畜産ができないということを心配して早くやっぱり殺処分してくれというそういう希望があるところについては、今の法律ではできないというなら、こういう大変な危機的状況の中に入っている時期に法改正を含めて是非やっぱり検討してもらいたいと、そのことを是非私はお願いをしておきたいと思う。
 そこで、今回、農家の被害者に対する支援措置を講じるようにされました。その講じる基準は大体どういう基準をしておられるんでしょうかね。全国平均ですか、それとも、補償の基準は。
○国務大臣(赤松広隆君) 原則的にはその地域の市場の価格を参考にいたしております。しかし、これからいろんなことが出てきますので、例えば分かりやすい例でいいますと、殺処分して五分の四を支払うというときには、今、法で決められているのは三人の公正中立な方の判断の下でそういうことをやるわけですね。しかし、今もうあの大混乱の中で、じゃ三人がそろって一頭一頭の査定しながらやっていくことが果たして可能なのかどうなのかということもあります。
 ですから、今月の生活資金もないと、何とかしてほしいという叫びにも似たそういう声が上がっている中で、それこそまさに農水省から官邸に上げたという意味は、もう少し農林水産行政ということだけではなくてもっと国民生活全体の、あるいはもっと大きな、危機的な状況という判断の中で政治判断をあるときにはして、そういう支払についても先払いしていくとか、書類は後で調うようにするとか、いろんなこれからは判断が出てくると思いますので、殺処分等の問題についても、これも必ず、例えば若干そこまで生育していないものであっても全体で生育したものとみなしてやるというような判断が必要な場合も出てくるかもしれませんし、そういうところは私どもを信用していただいて、信頼していただいて、とにかくその方たちがこれから、とにかく今をまず頑張れるように、そしてまた将来的に再生ができるように、そういう仕組みをどうしたらつくっていけるのかということを今考えておりますので、是非、御意見を十分に言っていただくことはもう結構でございますし、また是非それを参考にさせていただきたいと思いますが、見守っていただきたいと、このように思います。
○岩永浩美君 それぞれの地域の畜産農家の皆さん方は、全国的に、やっぱりそれぞれのブランド化を図って一生懸命努力しているんですね。やっぱり豚はどこが一番いい豚をつくって、牛はどこというそれぞれの、西南暖地も、あるいは東北、北海道も、それぞれのやっぱり自負を持ってそれぞれの地域がブランド化を図って努力しているんですね。
 だから、やっぱり今回の補償基準というのは全国平均で取るなんていうことをしないで、それぞれの地域の実態、その地域で今までやっぱり平均して取ってきたその一つの所得というのがデータで分かるわけですから、それはやっぱり地域を優先してやるということだけは是非してもらわないと、農家の生産意欲に私はつながらないと思うんですね。これについては、補償基準は地域に限定して、地域に限定というよりも地域を優先するのか全国平均なのか、この二者択一でいった場合、どうするんですか。
○国務大臣(赤松広隆君) 基本的には地域で見ますが、ただ、その中でも血統だとか、それから同じ牛でもその脂質が違うだとかいうこともあるそうなので、そういうことを考慮しながら査定をするということになると思います。
○岩永浩美君 今回の畜産、口蹄疫の問題は、大臣もやっぱり非常事態だという認識はお持ちでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) これだけの数が出ているのですから、私はそういう認識が正しいと思います。
○岩永浩美君 非常事態だという御認識をいただいているとすれば、今まである一つの法律、それが非常に制約状況になっていて、うまく運用をしていく上において支障を来すということがあったら、やっぱり超法規的なやり方で事に当たっていくということは是非やってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤松広隆君) 超法規と言うと、こういう公の場で何か法律を最初から犯していいんだみたいなことを大臣が言明したみたいになりますから、そういうことではなくて、弾力的な法の運用をしていくというふうに御理解をいただいていいんじゃないでしょうか。
 というのは、一例だけ言いますと、その五分の四でも、私は現地へ行って、簡単に書いてくださいと、もうそれだけ書いてもらえれば、すぐ東京へ送ってもらえば仮払いでお金出しますからと言っても、一枚も上がってこないんです。もう町も県も、とても書類一枚書ける今状況じゃないんですね。
 だとすれば、上がってくれば仮払いでちゃんと五分の四はすぐ、直ちに出すんですけれども、そう言っていてもこれは始まらないものですから、だったら、もうそれはあるところで仮払いをするような形にして、ただ税金を使ってやる仕事ですから、全くその後も何もなくていいということにはならないんで、ただ書類は後追いで調えてもらうとかいうようなこともあり得ると。最終的に精算して、きちっと帳じり合わせればいいわけですから、そういうこともできるんではないかと思っております。
○岩永浩美君 超法規というのは非常に言葉として刺激的だという御答弁は、私もそれは分かります。
 弾力的に運用するということをやっぱり県民、被害者の皆さん方にちゃんと伝われば御理解をいただくと思うけれども、役所の皆さん方は、やっぱりすべての一つの法律の基準に基づいてということになってくると、これはできない、あれはできないと、平常時の一つの形の運用で考えられると、やっぱり不安感を抱くのは当然だと思うんですね。大臣の、今回の口蹄疫の問題についての畜産行政について、非常事態という認識の上に立った弾力的な運用を図っていく、これは是非、やっぱり宮崎県民や鹿児島県にとどまらず、畜産農家の皆さん方に是非そのことだけはよく伝わるようにしてほしいと思うんですね。
 その中で、もう一つ最後に言っておきたいのは、域内の畜産農家だけを保護するということでは、これは片手落ちというのはちょっと語弊がある、不公平が出てくるんじゃないかと思うんです。
 それはなぜかというと、やっぱり市場とかそういうようなものを開けないでいるんですね、市場。競り市とかそういうのをできないでいるんですよ。そこから宮崎の子牛を買っているのは隣接の鹿児島と熊本だけじゃないんですね。九州各県でもそれを買っているんですね。そういう人たちも非常に影響を受けているの、現実的に。そういう皆さん方に対する対応というのはどういうふうにしようとしておられるのか、伺っておきたい。
○国務大臣(赤松広隆君) 今、融資制度その他いろいろあるわけですけれども、その対象をどこまで広げるのかと。前は移動制限を掛けているところから宮崎県全体に広げました。ただ、今、多分委員の御指摘は、宮崎県だけじゃなくて鹿児島だとかあるいは沖縄とか九州全域だとかそういうところに、市場取引が停止されているようなところは同じように被害受けているんだから、それを考えろということだと思うんですね。
 しかし、鳥取、島根も市場取引停止をしているというふうにも聞いていますし、じゃそこまで延ばすのかとか、いろんなことがちょっとあるものですから、それは少し検討を内部でさせていただきたいと思います。
○岩永浩美君 是非、そういう被害農家の皆さん方は、圏域の中だけで被害が出ているということじゃないことだけの認識は是非していただきたいと思います。
 最後に、よもやこういうことはないと思う、お考えじゃないと思うんだけれども、一つ是非記憶にとどめてそういうことがないようにしていただきたいのは、今回の口蹄疫の発症が、やっぱり今後の米国や豪州とのEPA、FTAの交渉をしていく過程の中で、輸入自由化が促進されるなんて、これ国内の需給のバランスが崩れて、やっぱり輸入しろというような一つの機運が一方で出てきたりして、そういうことはないと思うけれども、安心、安全な国産牛がいいという、そういう期待が日本の国民としてあるけれども、そういうふうなことがもしや頭をよぎるようなことがあったら、断じてそういうことがないようにだけは是非していただきたい。そのことだけは警告として、そういうことが将来あり得ない、ないんだということをここで言明をしていただければ有り難い。
○国務大臣(赤松広隆君) 全くそんなことは頭をよぎっておりません。
 ただ、一応民主党はマニフェストの中で、農業の振興を損なわないという前提の下でFTA、EPA、WTOについては推進をしていくということは、これは政権といいますか、党の公約として掲げておりますので、頭からWTO、FTA、EPAを我々は否定するものではないと。ただ、それをやる上ではさっき言った、細かい文章を一々言いませんが、自給率だとか、あるいは農村、農業の振興を損なうようなことをしないという前提でこれは進めていく、これは多分皆さん方と同じ立場ではないかというふうに思っております。
 今回のこの肉の問題とFTA、WTO、EPAは全く関係ありません。
○岩永浩美君 是非、今の答弁のようにすっきりとした明快な御答弁をいつもいただいておれば、本当にもっと皆さん方安心したと思いますけれども。
 以上で私の質問を終わります。

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 本日の議題の質問の前に、拡大を続ける口蹄疫の対策の強化を政府に求めたいと思います。
 今回の口蹄疫は一地域だけの問題ではございませんで、日本全国に多大な影響を与えております。例えば、和牛の輸出に力を入れようとしている東北の地域でも輸出計画が当面中止になったりとか、そういうお話も聞いておるわけであります。まず、そのほかに、やはり種牛の保護とか子牛の供給体制の支障も深刻でありまして、周辺の地域にも大きな影響を与えているわけであります。そういう意味では、やはり日本全体の畜産の重大な危機という認識で対応をしていかなければいけない、そのように思っております。
 政府としましては、口蹄疫の蔓延防止、清浄化への対策の強化、そしてまた経営の危機に直面している畜産農家に対する救済支援策は当然のことながら、日本の畜産業の悪影響の防止対策にも最大の努力をしていただきたい。公明党としましては、先日政府に提案をしておりますけれども、一千億円規模の対策をすべきではないか、そのような提案をしているところでありますけれども、非常事態としての認識の下に政府の対策を強化していただきたい、そういう思いでございます。
 通告をしておりませんでしたけれども、大臣のもし決意をいただければ幸いです。
○国務大臣(赤松広隆君) 東調査団団長さんからもそういうお申しをいただきましたし、先日の委員会では鰐淵委員から、現地のまた細かな見直し、こういうことをしたらどうかというような御示唆もいただきまして、それについても答えさせていただいたというところでございます。
 個々の細かな話は申し上げませんけれども、公明党からもそういう、とにかく大変な事態なんだからしっかり予算措置もして、あらゆる努力をして、できることはすべてやって頑張れという激励もいただいたところでございますので、しっかりそれを受け止めて頑張ってやっていきたいと、このように思っております。
○渡辺孝男君 本当に畜産農家は大変な、当地の方々は大変な思いで頑張っておられるわけでありまして、是非とも対策強化をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題であります、衆議院において修正議決し、参議院に送付されました公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案に関連しまして質問をさせていただきたいと思います。
(後略)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 冒頭、やはり日々刻々と事態が進行しています口蹄疫の問題で、私も先日も質問させていただいたんですけれども、今の時点でも付け加えて要請しておきたいと思うんですけれども、とにかく、一つは、この今の範囲から広がらないように、蔓延防止ということでは政府が責任を持って、何としても広がらないようにやっていただきたい、全力でやっていただきたいと。そのためにも埋却ですね、しっかりやるということで、もうとにかく、テレビでも映し出されてきていますけれども、豚舎の中で片や死んでいる豚がいて、しかしどうしようもない状態で、ほかの豚もひしめき合っているという状況が映し出されるのを見るともう本当に胸が詰まるような、本当に苦しい気持ちになるんですけれども、一日も早くその埋却ができるように全力を挙げてやっていただきたいということ。
 それと、補償の問題ですけれども、畜産の評価額が出るまでにはちょっと時間が掛かるというのがあって、それまでの間、仮払いをするなど、生活をやっぱり助けていくために、そういう対策を是非取っていただきたいということを最初にちょっと要請をしたいと思います。
○国務大臣(赤松広隆君) とにかく早く埋却をして処分すると、これがもうポイントだと思っておりますので、さらに、今、獣医さん、そして補助員、自衛隊の皆さんも含めて人も増強いたしましてそのピッチを上げたいということが一つと、それから経済支援、特に日々の、今どうするかという、これについては各党各委員からもそれぞれお話をいただいておるところでございますので、さっきも例で申し上げましたけれども、書類さえ上げていただければ直ちに仮払いで払いますよと言っていたんですが、その紙さえも上げる今余裕がないというのが現地の状況であろうというふうに思っておりますので、それについては、税金を使うわけですからいいかげんにやっていいということではなくて、ただ、弾力的な運用の中で書類の提出は後先になるというようなことも含めて、委員御指摘の方向でしっかりと取組をさせていただきたいというふうに思っております。
(後略)

第174回国会 外務委員会 第15号 平成二十二年五月十九日(水曜日)    午前九時開議

○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
 きょうは、冒頭、最近大きな話題になっております口蹄疫のことについて少し触れたいと思っております。
 実は、今、十一万頭を超える大変大きな被害が出ておりまして、これは宮崎県だけではなく全国の畜産関係者、大変この問題で心を痛めているところでありますし、消費者も同じ状況だと思います。
 さて、その中で今、赤松農林水産大臣が一番大切な初期の対応のときに外遊をしていた、この問題について、かなりあちらこちらで問題を取り上げられております。我が党でも、この問題を取り上げた農水委員会の古川議員に対しまして、赤松大臣から、これは大変重要な会議だ、EPA、FTAは大切なんだということを何度も強弁されておりました。ただ、EPA、FTAといいますと、これは外務省が基本的に最終的には所管をし、そしてこの委員会でそれぞれ今まで議論してきた内容だと思っております。
 そこで、まず冒頭お伺いしたいんですが、今回、赤松大臣が行かれましたメキシコ、キューバ、コロンビア、この三カ国とEPA、FTAの協議が緊急に必要なのか、そして今回のこの出張に関して外務省と打ち合わせをしていったのか、お伺いしたいと思います。
○武正副大臣 小野寺委員にお答えいたします。
 このゴールデンウイーク中の……(小野寺委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。政務三役の外遊について、官邸を中心に、やはりある面、戦略的にというような考えで臨もうじゃないかということが既に検討されていた、こういった背景の中で、それぞれ大臣、副大臣の外遊先がそれぞれの省庁の判断のもと決められていったというふうに理解をしております。
 その中で、今のメキシコ、キューバ、コロンビアでありますが、メキシコとの間では、御案内のように、二〇〇五年にEPAが発効しておりまして、現在、協定上定められた品目等についての再協議を行っておりまして、互いに利益のある結論を早期に得られるよう引き続き実務的な協議を継続するということで、今ちょうど協議を行っているということでございます。特に農産品についてということがあろうかというふうに思います。
 コロンビアについては、従来から我が国との間でEPAについて進めていきたいとの希望が示されておりまして、現在行っているのは二国間の投資協定交渉、これを早期に妥結した上で、EPAについていかなる対応が可能か、検討を行っていくというところでございます。
○小野寺委員 今、キューバについて抜けておりました。
 皆さんのお手元に資料を配付させていただきました。これは赤松大臣のメキシコ、キューバ、コロンビア出張ということです。
 私も、外務の副大臣をして中南米地域を担当しておりましたから、この地域のEPA、FTAの内容については実はよく知っております。きのう、事務方にも再度確認をしました。私の認識でいうと、例えばメキシコについては、既に二〇〇五年に発効しています。もう既に発効しているのに、なぜここにわざわざ大臣が行くのか。そしてキューバに至っては、こことEPA、FTAの交渉をするなんというのは、これは全く荒唐無稽な話、あり得ないことです。そしてコロンビア、ここは、今お話ありましたが、二国間の投資協定。これは農産物の問題じゃないんですよ。その前の投資協定の問題があって初めて、それからずっと先に、もしかして農産物の問題があるかな、こういうことでして、全くここにEPA、FTAで今から行かなきゃいけない緊急性はありません。
 そして、私、実は、どんな内容かということで農水省に確認をしました。何度言っても資料が出てこない。会議の概要ということしか出てきません。
 その概要を見ると、例えばメキシコ、何と出てきたかというと、EPA農産物再協議につき、引き続き事務レベルで精力的に協議を継続していくことで一致ですよ。これが向こうの農牧大臣と協議した結果ですよ。結局、事務方でしっかりやりましょうねということを確認しに行っただけ。そしてメキシコは、この日程以外には視察だけです。さらにコロンビア、フェルナンデス大臣とお会いをされたんでしょうけれども、ここでも確認したということは、あくまでも投資協定を早期に妥結。投資協定は農水省の所管ではありませんね。しかも、武正副大臣のお話を伺うと、出張は各省がそれぞれ勝手に決めて行ったというお話だったと思います。
 さて、佐々木政務官にお伺いしたいんですが、この出張は、これは事務方から上げた問題なんですか、それとも大臣が行きたいと言って決めた問題なんですか、お答えください。
○佐々木大臣政務官 お答えします。
 今ほど外務の副大臣からお話がありましたように、いろいろな懸案がずっとありますので、ましてやコロンビアなどは、向こうから一度来日をしていただいているというようなこともあって、懸案がたまったというようなことで、それは大臣の……(小野寺委員「いや、聞きたいのは、大臣が決めたか、事務方から上げたか」と呼ぶ)大臣の判断、事務方と両方ですが、最終的には大臣の判断です。
○小野寺委員 これもきのう確認したんですが、これは大臣の判断だと事務方は明確に言っておりました。
 さて、皆さん、この日程を見てください。これはEPA、FTAの協議で行きたいということで、出張の目的が出ております。ところが、こうやって見ると、メキシコとは既に二〇〇五年にもう発効している、そしてコロンビアについては当分EPA、FTAの協議をする予定はない、これは外務省からも聞いています。ということは、何しに行きたかったかというと、この真ん中のキューバです。二日間日程をとっています。各大臣に会っています。そして最後、五月四日の火曜日を見てください。カストロ国家評議会議長、ここと会っている。
 私は、今回の出張の目的は、実は、キューバのカストロさんに会いたい、もともと社会主義の先輩であるカストロさんに会いたい、ただこの一点のためにこの出張をつくり、そして残念ながら日本の口蹄疫で泣いている農家の皆さんを振り切ってカストロさんに会いに行ったということではないか。どう見ても、この日程を見ても、だってキューバとEPA、FTAを結ぶなんというのはあり得ない話じゃないですか。一体何でここにわざわざ行って、カストロさんに会いに行ったのか。
 さて、ちょっと外務省にお伺いします。
 日本の現役閣僚で、今までキューバを訪問し、カストロさんに会った方はいらっしゃいますか。
○武正副大臣 お答えをいたします。
 ただ、その前に改めて申し上げなければなりませんが、(小野寺委員「いや、今、一言でいいです、一言で」と呼ぶ)このEPA、FTAについての協議については、コロンビアについては、二〇〇八年、日本とコロンビアの外交関係樹立百周年に当たって両国関係者によって設立された賢人会において、このEPAの早期締結、これが求められておりまして……(小野寺委員「済みません。カストロに会った人がいるかどうかを聞いているんですが。委員長、質問の答えだけにしてください。質問だけに答えてください」と呼ぶ)こうしたことについては、とにかくEPA、FTAの締結ということで強い思いを持っているということです。
○鈴木委員長 武正副大臣、ちょっと。だめだよ。指示に従ってくださいよ。
 ちょっと今の時間とめておいてください。
    〔速記中止〕
○鈴木委員長 起こしてください。
○武正副大臣 お答えをいたします。
 過去の閣僚で、現役の閣僚がキューバのカストロ議長と面会をしたことはございません。
○小野寺委員 これなんですよ。赤松さんが行きたかった理由はこれなんです。日本の閣僚で現役でカストロさんに会ったことがあった人はない。初めてなんですよ。そのために、実はこのメキシコ、キューバ、コロンビア出張。どう考えたって、これはEPA、FTAで行くのは不自然です。そんなに大きな問題がこの国とあるとは限りません。
 この日程を見てください。メキシコでは、一時間半、大臣と会いました。そこでの確認は、この問題については事務方で今後やっていきましょうね、事務方でやらせる確認をしただけなんです。そしてコロンビア、ここで話をしたのは、これは二国間の投資協定が終わった後に相談しましょうね、何も今回、大臣が行って決める話ではない。
 そして、どう見ても、この日程表、皆さんお手元に持っていますね、これを見て、これはキューバに行きたいために行ったとしか思えません。そして、このカストロに会うということ、これが私は、赤松大臣が口蹄疫よりも、口蹄疫で泣いている宮崎の農家の皆さんのことを差しおいてでも、今回の出張に何としても行かなきゃいけない、その理由だと思っています。
 最後に、佐々木政務官にお伺いします。
 このメキシコ、キューバ、コロンビア出張、これはEPA、FTAのために行ったということで国会の承認を得たと言っていますが、本当に必要だったんでしょうか。そして、EPA、FTAになぜキューバが関係するんでしょうか。それを簡潔にお答えください。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今、委員からもお話がございましたが、この出張については、国会において、与野党を含めて議運で出張について御了解をいただいたものであります。
 先ほど来お話がありますように、この懸案の三カ国の訪問については、例えばメキシコについては太平洋のクロマグロだとか捕鯨だとか気候変動だとかについても話していますし、キューバについては食料自給率の問題やWTOの問題、あるいはコロンビアについては検疫問題、クロマグロ問題などについても話し合っております。
 そういった意味では、FTA、EPAについても大変重要な訪問だったというふうに思っています。
○小野寺委員 今聞いて、皆さんどう思いましたか。
 口蹄疫でこれだけ、連日、宮崎の農家の方、全国の農村部の方が困っている、苦しんでいる中で、今の理由がそれを上回る大事な用件。私は、どう聞いても、どう考えても理解できない。
 そして、この出張の日程を見る限り、これは恐らく、衆議院の方に出したときには、EPA、FTAということで多分いかれたんでしょう。そして、実は、大臣が出張する前提でも、これは野党、我が党からも懸念を申しました、こんな時期に行ってくれるなと。そして、与党の中でも行くべきではないという意見があった中で、あえて振り切ったほど重要で大切な用件。
 これは実は、日本政府として大事な用件ではないんです。赤松大臣にとって大事な用件だったんです。そして、その一番大事な用件は、日本の現役閣僚として初めてカストロさんと会うということ。社会主義の先輩の国のカストロさんと会うこと、これが赤松さんの最大の目的だ、私はどうもそうとしかとれません。
 最後に、では、せっかくですから大臣から。
○岡田国務大臣 今の委員のお話を聞いておりまして、例えばメキシコですけれども、確かに現在、EPAを締結しております。これはかなり中身が濃いもので、私の記憶に間違いなければ、お亡くなりになった中川さんが農水大臣のときにかなり思い切った交渉を行って、EPAができております。
 ただ、あれから時間もたちまして、もう一回、再協議という段階になっているんですね。そういうことで赤松農水大臣が行かれて、メキシコの方は、例えば砂糖や小麦やパイナップル、牛肉、豚肉といった日本にとって非常にセンシティブな項目について、さらにというふうに言っているわけであります。そういったことについて、大臣レベルでしっかりと方向づけを行い、その方向づけに基づいて事務方がさらに議論を続けていくということで、私は、メキシコに赤松農水大臣が行かれたことは非常に価値のあることだというふうに思います。
 あわせて、外務省としても、ことし、COP16がメキシコで開かれますので、閣僚が行っていただくということで、その点についてもしっかり話をしてきてもらいたいということで、お願いをさせていただいたところでございます。
 キューバというのは、日本と余り縁がないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私が外相になってからも、キューバの外相に日本に来てもらって、かなりいろいろなやりとりをいたしました。非常に重要な存在であります。
 私は、キューバとアメリカの関係の正常化に、もう少し日本が役割を果たせるのではないかというふうに思っているところでありますが、今回、閣僚が行かれたということは非常に意味のあることだ、そして、キューバは農業については非常に実績もありますから、農水大臣に行っていただいたことは価値のあることだというふうに思っております。
 後から判断して、それが現在の口蹄疫の問題に比べてどうかというのは、後からいろいろな議論はあり得るんでしょうけれども、やはり、閣僚が手分けをして、機会のあるときに世界を飛び回って、そしてお互い意思疎通をよくするということは、日本の外交力全体の基礎体力を高めることになりますので、私もアフリカに行くときに、普天間があるときに何だと言われたわけでありますが、それは基本的にそういうことの積み重ねが日本全体の交渉力を高めている、そういう側面もぜひ御理解いただきたいと思います。
○小野寺委員 私は、二国間関係、そしてそれらの国に行くなと言っているわけではないんです。なぜこれだけ多くの課題を国内で抱えているときに行くんだ、その理由がわからない。
 そして、もしキューバとの二国間関係が必要であれば、それはむしろ外務省の仕事ではないか、農水省の仕事なのか。農水省の仕事は、国内の農家の皆さんを安定、安心させる、消費者の皆さんを安心させる。その仕事であれば、この口蹄疫の真っ最中、しかも大臣不在の間に事例がどんどんふえ、実は悪化したというのがみんなの共通認識です。その出張が本当にどういう意味があるかということは、私は、これから大臣の責任を追及する、そういう状況だと思います。
 まず現在は、蔓延防止が必要、そして対策が必要、農家の皆さんへの支援が必要。ですが、その先には、この責任は必ず農林水産大臣には振り向けられるもの。そして、そのときに、この事案というのは大変重い、私はそのように思っています。
 そして、今、岡田大臣がおっしゃったので、一言、ちょっと苦言をさせていただきたいと思います。
 実は、連休中、私どもは、院の派遣でニューヨークでNPTの関連の議員会議に出させていただきました。そこで、ニューヨークに行きまして、国連でさまざまな皆さんとお話をしました。その中には、今回、二千人の、日本からの方がたくさん来ていらっしゃいまして、その中には、生協の関係者の皆さん、被爆者団体の関係者の皆さん、連合、労働組合、たくさんの方がいらっしゃいました。そして、皆さんそれぞれの思いで核廃絶のことを訴えておりました。
 私がその方々から直接聞いた声、平岡議員も御一緒でしたが、私が聞いた声は、なぜこの場に日本の首相もしくは外務大臣がいないのか、なぜ日本の被爆者の考え方を訴えていただけないのか、それを私は聞いてまいりました。私は、実はこう答えました。いや、大切な外交日程があり、副大臣がしっかり対応している。その場では政治家の一人としてそのように答えましたが、やはり現地では、なぜ大臣が来なかったかと。
 それは確かに、アフリカのTICADのフォローアップも必要だと思います。ですが、フォローアップの日程というのは日本自体が決められる日程です。ニューヨークに寄ってからアフリカに行っても、実はこのフォローアップの日程というのは十分とれたんだと思うんです。
 ぜひ、こういうことが今後ないように、しっかり日程を組んで、できるだけ外務大臣には外交の最前線に立っていただきたい、私はそう思っております。
○岡田国務大臣 ぜひ、そのためにも、外務大臣が海外に出ることについて御理解をいただきたいと思います。
 ですから、この連休も、委員のおっしゃるような日程であれば、結局、連休の最後の木曜日、金曜日という平日、このときが使えれば、委員のおっしゃるような日程も可能だったんですね。NPTにまず出た上で、アフリカに行く。しかし、それは、木、金という平日を使うということについてあらかじめ御了解をいただかなければできない。そのことについて我々はトライしたわけではありませんけれども、やはり日程が全体に窮屈な中でつくっていこうとすると、どうしても、体は一つですから、外務大臣が来いと言われても行けない場合がございます。
 ただし、私は、このNPTで最も大事なことは、きちんと結論がまとまることであるというふうに思っております。
 したがって、先般もインドネシアの外相とも電話で話をしたところでありますが、これが文書がまとまらないような局面があれば、関係国の外務大臣がニューヨークに集まって、しっかりと文書の合意ができるように努力していこう、そういうことについては、もちろん国会の御理解をいただくことが前提になりますが、私はやぶさかではありません。私自身が出ていって、しっかりまとめる、そのための一助になればというふうに思います。
 ただ、最初の演説について、私が行って演説しなかったからというのは、それは行った方がベターだったと思いますけれども、体一つの中でぎりぎりのやりくりをさせていただいているということも御理解いただきたいと思います。
○小野寺委員 一つだけお話ししますと、その木、金の件については、実は外務委員会を開いておりません。ですから、その後ということですから、私どもは、ある程度、今回の連休については、大臣の日程もあると思いまして、長期の日程をとらせていただきました。これから、もし事前にさまざまな協議をいただければ、私どもも、やはり、外交の対応、そして国会の運営、その両立を図るためにもお互いに努力していく、そういう必要があると思います。
(後略)

○鈴木委員長 次に、赤松正雄君。
○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
 先ほどから赤松さんという名前が飛び交っておりますが、この問題に関して私の考えを申し上げさせていただきますと、先ほど来、小野寺委員と岡田外務大臣との間でなかなか聞きごたえのあるやりとりが行われたと思いますが、実は、この口蹄疫の問題が既に起こっている状況の中で赤松農水大臣が出かけられた。そして、出かけるときに、まあ御本人に聞いたわけじゃありませんけれども、口蹄疫対策はもう万全を尽くした、大丈夫だ、こういう趣旨の発言をして行かれたということに私は大きな問題があると。全体状況としては岡田外務大臣のおっしゃるとおりだろうと思うんですけれども、口蹄疫という問題に対する認識が極めて甘かった、そして打つ手が非常に甘かった、こういうことはどう見ても言わざるを得ない。
 もう既に起こってしまったことでありますから、万全の対応、かなりこの分野でも後手後手になっておりますけれども、しっかり政府を挙げて取り組んでもらいたいなということを強く感じまして、またそれを発言させていただいて、きょうの本題に入りたいと思います。
(後略)

第174回国会 国土交通委員会 第21号 平成二十二年五月十九日(水曜日)    午前九時一分開議
○福井委員 時間が参りましたのでやめさせていただきますが、ちょうど津波のときに前原大臣にもお伺いしましたが、農水大臣にも質問させていただいたんですね。そのときに、もうびっくりしました。とにかく東京にいたんだから、だれも呼ばなかったということで、東北の三陸海岸では水産の被害が甚大だったんですけれども、農林水産大臣も担当の局長も何も知らなかったというのが翌日の国会でわかったわけで、口蹄疫かくもあるべしということだと思います。これは、国会全体として、政府全体として取り組まなければならないし、そして受けとめなければならないと思います。
 これからは、危機管理に緊張感を持って政府もやっていただきたいし、国会も頑張っていきたいというふうに申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。

第174回国会 本会議 第22号 平成二十二年五月十九日(水曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十二号  平成二十二年五月十九日   午前十時開議
 第四 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)

○小川敏夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
(中略)
 また、喫緊の課題である口蹄疫問題に対する政府の対応等についても質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)

第174回国会 決算行政監視委員会第一分科会 第3号 平成二十二年五月二十日(木曜日)    午後二時三十分開議

○赤澤分科員 本当は主査というのが正しいようですけれども、皆さん委員長とおっしゃいますので、委員長というふうに失礼をいたします。
 きょうは、平野長官にお話を聞かせていただきたいと思います。
 今、国政は、内外炎上中といいますか、普天間の問題も大変御苦労されていると思いますし、一方で口蹄疫の問題も大変今厳しい状況ということであります。
 そんな中で、ちょっとほかの厳しい話をしようかと思うのは、まず長官にお伺いをしたいのは、私は、国会議員が洗礼を受ける選挙というものは大変つらくて厳しいものだと理解をしております。しかしながら、非常に公明正大な手続で、我が国、民主主義社会では、不正とかもなく、きちっと選挙が行われている。そういう公明正大な手続で厳しい洗礼を受けるというのが国会議員だと思っています。
 選挙の厳しさについて、長官、どんなふうに認識されていますか。
(後略)

第174回国会 青少年問題に関する特別委員会 第5号 平成二十二年五月二十日(木曜日)    午前九時開議

○吉泉委員 おはようございます。社会民主党の吉泉秀男でございます。
 宮崎県川南町から発生をしました口蹄疫、まさに、きのう、きょう全頭処分、子どもたちも含めて、命、そしてかわいそう、こういうことが今、国内全体で、口蹄疫を見まして大きく話題になっているんだろうというふうに思っています。
(後略)

第174回国会 総務委員会 第18号 平成二十二年五月二十日(木曜日)    午後三時一分開議

○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。
 与えられた時間は三十分で多くはありません。また、いつもどおり簡潔な答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 原口大臣、先ほど本会議におられましたか。衆議院本会議、おられませんでしたか。ああ、残念ですね。
 本会議が終わって一時間ですけれども、大変私も頭にきたというか、こういう方が我が国の農林水産行政の責任者だということを情けなく思いました。四月以降の対応の反省もなく、少なくとも結果責任でも認めてくれるのかなと思えば、それも何もなし。御迷惑をかけているという陳謝でもあるのかなと思えば、陳謝もない。
 農林水産行政のプロであれば、平成九年、今から十三年前、台湾で三百八十万頭の殺焼処分が行われ、台湾のそういう豚の仕事がみんな壊滅したということ。また、九年前の英国では七百万頭が殺焼処分をされ、総選挙が一月延びたんですよ。それほど怖い病気だ。あるいはその後、二〇〇二年、韓国では十六万頭、殺焼処分をした。そうしたら、ゴールデンウイークに外遊なんということは考えられまい。
 そういうことについて、私は、内閣の一員として原口大臣の所見をお尋ねしたかったわけでございますけれども、いろいろな公務で、おられないということであればいたし方ございません。一つだけ確認させていただきたいと思います。
 我が党も、私もメンバーの一員ですけれども、議員立法で早急に、この口蹄疫の緊急特別措置法案を検討しています。ぜひ与野党間でまとめて、そこには、国の支援はもちろん相当ありますけれども、自治体への支援も相当手厚く、過去の例とか特別交付税で十分措置するとか、そんなレベルではだめです。しっかりとした支援を、これは宮崎だけではなくて、今やもう宮崎、九州の問題ではなくて、我が国の畜産業界が今後ともしっかりやっていけるかどうかの瀬戸際なんですから、これからまた、自民党というよりも立法府と政府側とのやりとりでかなり厳しい局面もあるかもわかりませんが、地方財政措置をしっかりととっていただきたいと思います。
 まず、その点についての原口大臣の所見といいますか、思いをお尋ねしたいと思います。
○原口国務大臣 谷委員にお答えいたします。
 ちょうど本会議のときに、同時刻に、参議院の総務委員会で答弁を行っておりまして、委員がおっしゃる答弁については聞いておりませんが、委員が今御指摘のように、これは危機管理フェーズだというふうに思います。
 私は、四月二十日、すぐ政務三役、そして総務省に対して、自治体がみずからの財政状況を勘案して対策がおくれるようなことがあってはならない、万全の措置を考えてほしいと。それからもう一つは、今委員がおっしゃった新たな法律についても、今の現行法の中でやれるもの、例えば特交だって、今は二分の一なんですね。五分の四が……(谷委員「いや、もう現行法では全然だめですよ」と呼ぶ)だから、現行法でできるところはマックスでやってください、やりましょうと。
 そして、現行法で届かないところもやはりたくさんあるわけです。今委員がおっしゃったように、イギリスでは六百万頭、そして公費だけで一兆円を超えるお金が、これは金目だけじゃないんです、地域の経済や、あるいは食の安心や、そこに住まう子供たちの生活、そういったことさえ大きな危機が訪れてくるわけでございますので。
 今、立法措置について言及をいただきまして、ありがとうございます。総務省としても、できることはすべてやるという決意でやっていきたいと思いますので、御協力、御指導をお願い申し上げます。
○谷委員 ちょうどこの時間に、我が党の法案の骨子が記者発表される予定というふうに聞いていますので、また各党と鋭意精力的に協議を進めて、文字どおりスピーディーに、素早く調整を進めてまいりたいと思いますので、またよろしくお願いします。
(中略)
 大臣、冒頭の話に戻りますけれども、口蹄疫、よろしくお願いします。

第174回国会 本会議 第30号 平成二十二年五月二十日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十九号  平成二十二年五月二十日    午後一時開議

○石津政雄君 私は、民主党の石津政雄でございます。
 民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の農林漁業者等による農林漁業の六次産業化の促進に関する法律案について御質問をいたします。(拍手)
 まず、その前に、宮崎県で発生した口蹄疫についてお尋ねいたします。
 去る四月二十日、宮崎県において口蹄疫の疑似患畜が確認されて以降、五月二十日現在、口蹄疫発生状況は、百四十六事例、十二万五千二百六十六頭に及んでおります。これは、宮崎県のみならず、我が国畜産、酪農にとって未曾有の事態であります。
 口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々に、心からのお見舞いを申し上げますとともに、日夜懸命に対応に当たっておられる宮崎県、関係市町村、農業団体初め多くの方々に対しまして、深く敬意を表します。
 私は、今回の緊急事態は、政府があらゆる措置に取り組まれることが何よりも重要なことであり、立法府も、与党、野党の違いを超えて、一体となって政府を支援していく必要があると認識しております。
 政府としては、防疫対策とともに、農家への経済的、精神的バックアップ、経営再建への道筋をつけることに万全を期すため、宮崎県と一体となって鋭意対策を実施され、去る十七日には、鳩山内閣総理大臣を本部長とする口蹄疫対策本部を設置、山田農林水産副大臣と小川内閣総理大臣補佐官が現地に常駐し、昨日には対策本部で新たな対策を決定したものと承知しておりますが、対策本部設置の意義と今後の方針について、赤松農林水産大臣にお伺いいたします。(発言する者あり)
○議長(横路孝弘君) 静粛に願います。
○石津政雄君(続) 加えて、今後の口蹄疫対策推進に向けた赤松農林水産大臣の決意について、現場の苦悩、御労苦に思いをいたし、関係農家、関係地方公共団体、農業団体等に対する支援の力強いメッセージを明らかにしていただきたいと思います。
 では、本題に移ります。
(中略)
 口蹄疫感染地域の農家の皆様方に心からお見舞いを改めて申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 石津政雄議員の御質問にお答えいたします。
 まず、政府対策本部設置の意義と今後の方針についてのお尋ねでございます。
 農林水産省は、四月二十日未明の発生確認後、同日午前九時に、私を本部長といたします口蹄疫防疫対策本部を開催し、移動制限や殺処分等の防疫措置の的確な実施を指示するとともに、消毒を徹底するなど、宮崎県とともに、迅速に防疫対応を実施してまいりました。
 政府として、一体になって口蹄疫の防疫対策に取り組むため、四月二十八日には関係省庁連絡会議を、これは課長級でございますけれども、開催するとともに、三十日の口蹄疫対策関係省庁連絡会議、これは局長級でありますけれども、これにおいて自衛隊の派遣を検討し、五月一日には自衛隊を派遣いたしました。
 五月十七日、こうした政府としての一連の取り組みや対策をさらに徹底し、政府総力を挙げて口蹄疫の感染拡大防止に取り組むため、総理を本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。また、山田副大臣を本部長とする現地対策本部を設置し、小川総理補佐官及び各省担当責任者が常駐して、地元との連絡体制を強化いたしました。
 五月十九日の政府の口蹄疫対策本部において、移動制限区域内のすべての牛、豚を対象として、殺処分を前提としたワクチン接種、接種した家畜の早期殺処分のための殺処分奨励金、経営再開支援金の交付、患畜等の手当金について、これは評価額の五分の四、概算払いの導入や、残りの五分の一の県負担についての総務省における特別交付税措置、あわせて、防疫措置の迅速化のための獣医師約五十名の増員等の人的支援体制の強化を決定いたしました。獣医師につきましては、二百名体制が整ったところであります。
 政府といたしましては、本部長である総理の指揮のもとで、口蹄疫の拡大防止のため、関係省庁が一体となって、総力を挙げて対策に取り組む所存であります。
 次に、口蹄疫対策推進に向けた決意についてのお尋ねでございます。
 口蹄疫の感染拡大を防止し、蔓延を阻止するためには、関係農家、関係する地方公共団体や農業団体などの御理解と、一体となった取り組みが極めて重要です。
 対応としては、発生確認当初から、宮崎県と関係地方公共団体と連携し、防疫措置と関係農家の負担軽減、経営支援に全力を挙げているところであります。
 具体的には、獣医師等の派遣による殺処分等の迅速な実施、宮崎県及び隣接県、大分県、熊本県、鹿児島県における全額国庫負担による消毒薬の散布、手当金、評価額の五分の四の概算払いの導入による交付の迅速化、殺処分家畜の評価額と手当金の差額五分の一について、宮崎県が負担した場合の全額特別交付税を措置するなどを決定いたしました。
 引き続き、できることはすべて行い、口蹄疫対策に万全を期してまいる決意であります。
(後略)

○江藤拓君 宮崎県、自由民主党の江藤拓でございます。
(中略) しかし、今、早急にやるべきことは、このことではないはずではありませんか。
 口蹄疫の発生した地域では、日々恐怖におびえ、耐えがたい不安の中で、将来を絶望する人が、今、この瞬間もふえ続けているんですよ。日本の畜産の将来、さらには国民への食料の安定供給さえも左右しかねない喫緊の課題であります。ですから、これから、残された時間につきましては、口蹄疫について質問をさせていただきます。
 きょうで、口蹄疫発生から、はや一カ月がたってしまいました。蔓延は全くとまりません。五月十八日には東国原知事が非常事態宣言を発動されました。けさの段階で、発生した市と町は五つとなり、発生戸数は百四十六戸に上っております。家畜伝染病予防法に基づいて殺処分をもうしていなければならない家畜の総数は、十二万五千二百六十六頭にもはね上がってしまいました。
 殺処分の現場、埋却の現場、これは、皆さん、筆舌に尽くしがたい修羅場ですよ。まさに地獄であります。作業員の中には、精神的にも完全に参ってしまっている人も多数出てしまっております。みんな、もう本当に、ぎりぎりのところでやっと踏ん張っているというのが今の現状なんであります。どうか御理解ください。
 谷垣総裁には、東国原知事が上京して要請された次の日に、すべての予定をキャンセルされ、急遽、朝の一番便で真っすぐ現場に向かっていただきました。現場にですよ。そして帰りの便も、予定がありましたけれども、すべて日程をキャンセルして、農家の方々から意見聴取をいたしました。すべての意見が出尽くすまで、この会議は続きました。総裁は、御自身でメモをとり、誠実に御回答されておられました。
 また、自民党では、四月二十二日、三十三項目の申し入れを行い、四月三十日には、四十二項目、申し入れを行いました。五月の六日にも追加対策の申し入れを行いました。既に党内に家畜伝染病予防法改正等PTを立ち上げ、急ピッチで改正法案の提出に向けて議論を今進めているところでございます。
 それに引きかえ、そのとき、政府は、特に赤松大臣は、あなたは一体何をしていたんですか。
 大臣が初めて宮崎入りしたのは、五月の十日。現場の皆さんが切実な訴えを直接訴えようと待っていたにもかかわらず、現場から遠く離れた宮崎市までしか足を運ばれませんでした。そのとき川南町では、大きな失望と、国に我々は見放された、そういう声を私はたくさん聞きました。
 五月十一日の農林水産委員会で、私は、赤松大臣が四月三十日から五月の八日まで外遊されたことについて、そもそも行くべきではなかった、そして外遊中に、日々蔓延が拡大する中で、途中帰国することをあなたはお考えにならなかったんですか、そうお尋ねをいたしました。
 私は、大臣から、反省しているとまでは言わないまでも、せめて、今となると、途中帰国を考えるべきであったと思います、そういうお返事が当然いただけるものだと思っておりましたが、大臣の答弁は一体何ですか。私一人がいなかったからといって、いささかも支障があったとは理解しておりませんと。
 対策本部長ですよ。何という責任感の欠如ですか。まさに、開き直り、自己正当化以外の何物でもありません。これでは、現地で苦しんでいる農民は救われません。
 当時の対策本部長であった大臣が、農民や地域の人たちの苦しみを御自身の痛みとして感じることができなかった、そのことが蔓延拡大の大きな原因の一つであったということを私は確信いたします。
 そもそも、民主党という政党は、基本的におかしいと思いますよ。
 BSEが発生したとき、農林水産大臣は武部勤代議士でした。自民党内で、BSE対策会議が開かれるたびに、大臣は、不眠不休の努力を重ねて、対応に追われましたけれども、それでも、自民党の議員から、身内から、毎回毎回厳しい追及を受けました。激しい議論がそこではなされました。それがあったからこそ沈静化に向かったのであります。
 そういった激烈な議論の場は、この民主党にはあるんですか。あるんですか。
 初動のおくれ、蔓延の防止に失敗した、とうとうワクチンまで使わなければならなくなってしまった。二十二万頭の子牛を誕生させた伝説の種牛、安平まで殺処分の対象となってしまったことに対しても、民主党内で問題視する声が全く上がらないことを、私は、極めて不自然で不健全な体質である、そう思います。
 現対策本部長の鳩山総理は、十八日の朝、記者からの質問に対して、国の一定の責任を認める旨の発言をされました。まだ前本部長に比べれば正直かもしれません。
 その後行われた赤松大臣の記者会見は、愕然とするものでありました。初動がおくれたとか、やるべきことをやらなかったことはない、私がやってきたことは、全く、反省するところ、おわびするところはないと。まさに信じがたい発言であります。反省なくして、新たな対策、そういったことを打てるんですか。まず反省に立って、そして対策を見直す、これが基本だと私は思います。
 大臣、今も、そのお気持ちは変わりませんか。お答えください。
 私は、野党の一代議士でありますが、地域の皆様におわびを申し上げながら日々を過ごしてまいりました。それが政治家としての、普通の、ごく当たり前の感覚だと私は思いますよ。
 議員の皆様、大臣の発言を、どのように、正直に、率直に受けとめられましたか。
 この報道を見て、国民の政治家への不信はますます高まるばかりであります。政治家は自己保身のことしか考えていないと。何が国民の生活が第一ですか。自分の身が一番じゃありませんか。
 初動のおくれはないと言われますが、現場に国から消毒薬のクレンテが届いたのは四月の二十八日、ソーダ灰が届いたのは二十九日ですよ。発生から一週間もたってしまっていました。どこが迅速な対応なんですか。三日目からは、ビルコンS、車にかける消毒薬を使いました。これは、町、農協、それから宮崎県経済連、宮崎県畜産協会、こういった方々が現場で東奔西走してみずから集めてきた薬品であります。
 そして、さらに指摘させていただきたいことがあります。今回の初動がおくれた大きな原因の一つに、行き過ぎた政治主導があったのではないかと私は思います。
 十年前に口蹄疫が発生したとき、七百四十頭の殺処分で封じ込めに我々は成功いたしました。とにかく、国も県も自治体も農協も、すべての皆さんが、総力を挙げることを要請し、早急に百億円を用意いたしました。そして、何か不手際があったら、初めてのこと、だれも経験がないわけでありますから、最後にはすべての責任は政治家がとる、そのことをみんなに約束して、一斉に動き出したのであります。だから初動が早かったんですよ。だから七百四十頭で済んだんです。
 今は、何かといえば三役にお尋ねをしなければ、みんな動けないんでしょう。(発言する者あり)
 皆さん、やじもわかりますけれども、どうか、宮崎の苦しみを理解してください。畜産農家だけでなく、その他の農産物や観光を初め、多岐にわたる産業にも大きな影響が出ております。
 私の息子の修学旅行も中止になりました。商店街は、ひっそりと静まり返り、売り上げは七割、八割も下がってしまいました。このままではもう店を閉めるしかないという悲痛な声がたくさん上がっております。全国で有名になりました、「朝ズバッ!」でも採用されましたあの軽トラ市も、もうやれなくなってしまいました。
 現場の人たちは、国が具体的で農家が納得のできる対策を早く示していただくことを望んでおります。
 私は、口蹄疫発生初日から連休が明けるまでの間、毎日のように、自分の目で見て、自分の耳で聞き、感じてきたこと、この短い時間の間ではとても皆さん方にお伝えすることはできませんが、その一部だけでも御紹介させていただきます。
 あるおばあさんは、牛を殺処分するならば私も一緒に埋却してほしい、埋めてほしい、そうおっしゃいました。この牛がいたからこそこれまで生きてこられた、そして、何よりも私たち老夫婦にとっては生きがいであった、子供同然であった、これがいたから子供たちにお年玉を上げることもできた、そういうことをもうできなくなってしまった、そう言って、私の手を握って泣かれました。私も一緒に泣くしかありませんでしたよ。
 このことは、委員会で大臣にお伝えをしましたね。しかし、そのとき大臣の胸には、全く響くことはありませんでした。
 ある酪農家では、最後に、一番うまい最高のえさを与えてやり、体をブラッシングしてやって、乳房をふいてやって、その後、一頭一頭に最後の別れを告げて、その目の前で次々と殺処分されていったんですよ。畜産農家の目の前で倒れていったんです。その気持ちがわかりますか。
 その後、私に電話をいただきました。大臣をこの場に連れてこい、そして一頭一頭、大臣の手で、銃で撃ち殺させろ、そうすればおれたちの気持ちも少しは伝わるだろうと声を震わせておられました。
 養豚農家では、殺処分が決まっても、埋却地も見つからず、獣医も足らず、一週間以上待たされてしまいました。その間、えさを与え、世話も続けてまいりました。
 まだ感染していない農家におきましても、これまで必死に防疫の努力をしてまいりました。
 今回、ワクチンを投与するということが突然飛び出してきて、これまでの努力は一体何だったんだという憤りが宮崎には今たまっております。
 政府は、十キロ圏内の計八市町で二十万五千頭にワクチンを投与した上で最終的には殺処分をするという方針を決めました。
 しかし、現場では、この突然の決定を受けて、大混乱が起こっております。当該する市や町では、農家の同意を得ることは極めて困難であり、標準評価額をもとに支払われるということであれば、さらに理解を得ることは困難だという訴えが私のところにたくさん届いております。
 標準評価額は、牛一頭当たり約六十万円、豚は三万五千円。牛は、生まれたばかりの子牛もいれば成牛もおります。繁殖母牛もおります。優秀な繁殖母牛だったら、二百万、三百万出されたって絶対に農家は売りませんよ。これをすべて一律で標準評価額でやるなどという話をしたら、絶対に同意は得られません。
 豚も、種豚で最低でも三十万円はします。(発言する者あり)知らない人は黙っていてください。
○議長(横路孝弘君) 江藤拓君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○江藤拓君(続) 母豚も八万円以上します。これらも子豚と同じ金額なんですか。
 ワクチン接種の同意を得ることがおくれれば、蔓延はますます広がってしまいます。
 疫学的な調査もサンプリングもしないで、十キロ圏内はすべて処分するから対策は万全だと言いますが、現場では、十キロ圏内で本当に大丈夫なのか、その外に出たら一体だれが責任をとるんだという声が既にたくさん上がっております。
 三十二万頭もの殺処分が行われれば、想像を絶するほどの土地が必要になりますよ。これまで見つけた埋却地は、すべて県や町が自分たちの努力で見つけた土地であります。国が示された土地は、使い物にならないものばかり。これのどこが十分な対応なんですか。
 鳩山総理は、十八日の会見で、経済、経営のことはしっかりと政府がやる、そう述べられました。これは、生活の補償、農家の経営再建、従業員の給与、関連産業、地域経済が受けたすべての損失を政府が責任を持って補償する、そう理解してよろしいですね。御答弁を求めます。
 大臣は、五月十日、宮崎に来られました。そのときに、法定受託事務だということを言われましたが、もうその時点で、その限界は既に超えていたんですよ。宮崎県を批判する声がありますが、全くお門違いだと私は思います。
 私は、五月十一日の農林水産委員会で、今、大臣の責任を追及したからといって畜産農家が救われるわけではない、蔓延がとまるわけではない、だから今は休戦をしましょうということを提案いたしました。
 ですから、最後に皆様方に、心を込めてお願いをいたします。一刻も早くこの大惨事を終息させるために、すべての国会議員の皆様方の御理解、お力添えをどうぞ賜りますようにお願いを申し上げまして、私の質問にかえます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 江藤議員の御質問にお答えいたします。
 まず、本法案と農商工連携との違いと、本法案の効果及び予算規模の増加についてのお尋ねであります。
 本法案と農商工等連携促進法との違いは、一つには、農商工等連携促進法は、農林漁業者と中小企業の双方の経営改善を目的とするものであり、両者が連携し、相互のノウハウ、技術を活用して行う新商品の開発、販路の開拓等の取り組みを支援するものでありますが、二つには、本法案は、農林漁業者等の農林漁業経営の改善を目的としており、これまで対応する法制度が存在しなかった、農林漁業者による加工販売事業への進出等を支援するものであります。
 このため、本法案では、農商工等連携促進法にはない、野菜契約取引の促進のための交付金対象となる農業者等の範囲の拡大等、生産者側の加工販売事業への進出を促進するための支援措置を規定しております。
 また、本法案においては、農林漁業者の加工販売事業への進出に資する研究開発やその成果を利用する取り組みも支援対象としており、新品種の登録料の減免等の措置を講ずることとしているところであります。
 本法案の効果については、農林漁業者による加工や販売への進出を初めとする六次産業化を推進することにより、新たな価値を創造するとともに、付加価値のより多くの部分を農山漁村地域の農林漁業者や関連事業者に帰属させ、農林漁業の発展と農山漁村の活性化が期待されるところであります。
 なお、予算措置については、六次産業化を総合的、一体的に推進するため、二十二年度から、未来を切り拓く六次産業創出総合対策、百三十一億円を新たに創設しているところであります。
 次に、五月十八日の記者会見での発言についてのお尋ねであります。
 五月十八日の記者会見時における発言は、記者から辞任に関する考え方を問われたため、私は、批判があれば受けとめるが、私自身、農林水産大臣として、状況に応じ、適切な防疫措置及び経営支援対策を講じてきたということを述べたものであります。
 五月十七日、対策に政府総力を挙げて取り組むため、内閣に、総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。
 五月十九日の政府の口蹄疫対策本部において、新たな防疫対策として、移動制限区域内のワクチン接種による感染拡大防止対策を決定いたしました。
 また、現場からの御要望にこたえ、手当金の、評価額の五分の四ですが、交付の迅速化、殺処分家畜の評価額と手当金の差額、五分の一について、全額特別交付税を措置することを決定し、しっかりと対応しております。
 引き続き、政府及び宮崎県が一丸となって迅速かつ的確な防疫措置を実施し、口蹄疫の感染拡大防止に万全を期す所存でございます。
 次に、消毒液の配布についてのお尋ねであります。
 農林水産省は、四月二十二日には、宮崎県の実施する宮崎県全域への消毒薬の散布について、全額国庫負担により支援することとしたところです。二十八日には、隣接県全域、大分、熊本、鹿児島県に拡大をいたしました。
 また、同日には、製造・輸入業者等に対する消毒薬の宮崎県等への優先供給を指示し、現場では、口蹄疫ウイルスに効果のある複数の消毒薬が適切に活用されております。
 現地によれば、県内全域への配布決定の翌日である二十三日から、発生が確認されていた川南町から、消毒薬ビルコンS並びに同等の効果のあるクレンテ及びスミクロールの配布を開始したと報告を受けております。
 次に、早期殺処分されたワクチン接種家畜の補償額についてのお尋ねであります。
 昨日、政府の口蹄疫対策本部において、移動制限区域内のすべての牛、豚を対象として、殺処分を前提としたワクチンの接種と、ワクチン接種家畜について早期殺処分するための殺処分奨励金の交付を決定いたしました。
 殺処分奨励金については、殺処分前の家畜の価値が正当に評価されたものになるよう、適切に実施してまいります。
 次に、埋却地対策についてのお尋ねであります。
 埋却場所の確保は、口蹄疫の蔓延防止の観点から、発生農場の敷地内または近隣地への埋却が望ましいけれども、川南町では、発生農場周辺の候補地で、掘削により水や岩が出るなど、埋却地の選定に御苦労されていると承知をいたしております。加えて、埋却場所が遠隔地の場合には、運搬経路及び埋却場所のある自治体、住民の理解が必要であることは言うまでもありません。
 農林省は、宮崎県が負担した埋却地の確保に必要な借地料に対する支援、国有林野を提供しているところであるが、必要な国有地の要請があれば、関係省庁と積極的に調整することといたしておるところでございます。
 当省といたしましては、引き続き、宮崎県や川南町等による埋却地の確保を最大限支援してまいる所存であります。
 最後に、関連産業、地域経済が受けた損失についてのお尋ねであります。
 宮崎県における口蹄疫発生に伴う畜産経営の維持のための対策については、四月二十三日に関連対策を発表し、また、その後の発生事例の増加及び発生地域の拡大に伴い、四月三十日には、さらに追加的な対策を講じることとしたところであります。
 今月七日には、関係閣僚懇談会を開催し、政府を挙げて万全を期していくことで関係閣僚と確認したとともに、十七日には、政府の口蹄疫対策本部を立ち上げ、対応しているところです。
 引き続き、今回の発生地域が畜産への依存度が極めて高い地域であることを踏まえ、政府一丸となって対策を適切に講じてまいりたいと思います。
 以上です。(拍手)

第174回国会 総務委員会 第18号 平成二十二年五月二十日(木曜日)   午前十時二分開会

○礒崎陽輔君 おはようございます。自由民主党の礒崎陽輔でございます。今日もよろしくお願い申し上げます。
 最初に、前回の委員会でも質問ございましたけど、口蹄疫対策について、特に地方財政対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 時間の短縮のため私から先に御説明すれば、口蹄疫に対する地方財政対策については、五月七日に閣僚懇談会が開かれ、総務大臣から発言をされております。概略言いますと、総務省としても地方公共団体が負担することとなった経費については特別交付税を措置することにより地方公共団体が万全な対策を講ずることができるよう適切に支援してまいりたいという御発言があったと。ここは当然の発言であるわけでありますが、十日に赤松農林水産大臣が地元入りして東国原知事等と御協議をなさっておると。その中で、報道によりますと、疑似患畜、病気になったことが疑われる牛、豚等の処理に関する補償について、五分の四は元々国が負担することになっているが、残りの五分の一をまずは県に負担していただき、後日、国で補てんする、全額見るからねと言えば農家は安心するというような報道が、言ったというような報道がされております。これも後でまた申し上げます。
 その後、五月十七日に口蹄疫対策本部というのが政府で開かれ、その中で地方対策については、地元自治体において徹底した対策を講ずることができるよう、地元自治体が負担することになった経費について、特別交付税を措置するほか、国からの支援金等の支出の迅速化を図るということが決められたわけでございます。ただ、これでもちょっとよく分からなかったので、原口総務大臣が、多分これは記者会見なさったんだと思いますが、十八日に、感染が疑われる家畜の殺処分に伴う農家の損失を同県が肩代わりした場合、さっき言った五分の四の残りの五分の一ですね、特例として特別交付税を全額手当てするという方針を表明したという新聞記事が出ておるわけであります。
 基本的に、これはもう大変な今事態でありまして、まだまだ止まっていない、非常に憂慮しております。宮崎県が本当一番大変でございますが、隣県である我が大分県においても出荷の停止等が既に行われておりまして、既に相当な被害がある。一刻も早く政府として総合的な対策を講ずることが必要であると考えるわけであります。
 そうした中で、総務省としても農家の皆さんの心配を少しでも和らげるということから特別交付税の措置を決めたということを頭からけしからぬと言う気はありませんが、基本的には国が五分の四の補助金を出す、それであと五分の一については農家負担、農家も共済に入っていれば共済から出るという話は聞いておりますが、これを地元は全額国費負担で求めておるわけであります。
 しかし、五分の四を五分の五、十分の十に上げるというのは、これは国の仕事でありまして、それをなぜ地方交付税で補てんしなきゃならぬか、私は非常に反対から考えれば問題があろうかと思います。従来のルールであれば、地方負担については、補助裏の地方負担については八割を、そしてその他の地方単独事業については五割を特別交付税で措置するというのがこれまでの災害の例であります。それはそれで分かるわけでありますが、この五分の一は地方負担でも何でもないわけで、本来の農家負担部分であります。農家負担部分を緊急事態をかんがみ県に肩代わりしてもらうという話でありますから、その肩代わりしてもらうものの補てんは本来国費でやるべきであると思います。
 ところが、今回、先ほど言ったように頭ごなしにけしからぬとは言いませんけれども、緊急事態でありますから緊急避難的措置として交付税で見るのも分からぬことはないわけでありますが、やはりこれは国のツケ回しを地方交付税で受ける、それは少し総務委員会の委員としては納得がし難いところもあるわけであります。
 ただ、その前に少しお伺いをしておきたいんでありますが、赤松大臣が地方へ行った翌日に衆議院の農林水産委員会が開かれております。そのときには小川政務官が答弁になっておりまして、非常にふて腐れてと言ったら申し訳ないので、非常に渋面で、渋い顔で御答弁をなさったような気がするんですが、基本的にその農林水産委員会でどういう御答弁をなさいましたか、これがまず最初の質問であります。
○大臣政務官(小川淳也君) 農林水産委員会で何度か委員お尋ねの件について御指摘なり御質問をいただいてまいりました。その中で、私ども、特に総務大臣の指示を受けまして、緊急に特別交付税措置による万全の対策を検討するということを申し上げてきたわけでございます。
 ただ、委員既に御指摘になられましたとおり、これまでの取扱いでは、補助事業の地方負担分については八割、そして単独事業分については五割という取扱いがございますし、また御指摘のとおり共済との関係等もございます。そこで、万全の対策を取りたいのはそのとおりでございますが、それにしても制度的な様々な整理は必要だ、それに当たっては、是非、農林水産大臣において、今回の感染爆発になりかねない、もうもしかしたらそういう状況だという認識が必要かもしれませんが、過去の鳥インフルエンザや口蹄疫とは状況が違うんだということを大いに整理をしていただきたいということを申し上げた、そこがもしかしたら表情としては大変厳しい表情になっておったかもしれません。
 そういう事情でございます。
○礒崎陽輔君 手元に議事録があります。小川大臣政務官は、簡単に言うとこう答えております。今、この段階で、割合を含めて明言を申し上げるというところにまでまだ調整は至っておりません、これは議事録ですから、そのとおりおっしゃったんだと思います。
 ということは、前日、赤松大臣が地元で、いや、国の、国費で見るよ、国費で見るよという言い方をしたわけでありますが、大臣が宮崎に行った段階で特別交付税措置をどうするかということは政府部内で合意はなされてなかったと、そういう意味でよろしいですか、政務官。
○大臣政務官(小川淳也君) 農林水産大臣としては大変な危機感をお持ちだということはよく理解をしておりましたし、また、原口総務大臣以下総務省としても万全の対策を講じるべきだという方針ではございました。
 しかし、その時点におきまして、再三になりますが、過去の取扱いや、また様々な制度との兼ね合い、これを十分に整理をして全額であるという結論にまで至ってはおりませんでした。
○礒崎陽輔君 だから、まだ調整ができてなかったわけなんですね。そこの点について、郡司副大臣、どうですか。
○副大臣(郡司彰君) 今のそれぞれのやり取りをお聞きをしておりましたけれども、一義的には大臣の発言のことでございまして、私の方からそのときの心中、胸中まで推し量ることができないわけでありますけれども、今それぞれのいただいた議論のような経過の中でのやり取りであったというふうに理解をしております。
○礒崎陽輔君 質問に答えてください。別に大臣の気持ちがどうですかと聞いているんじゃありません。大臣が宮崎へ行ったときには、総務省との間で特別交付税措置の内容についてはまだ決まってなかったんですねと聞いているわけです。
○副大臣(郡司彰君) そのときの総務省あるいは原口大臣とのやり取りについて、私自身、今ここで答える材料を持ち合わせておりません。
○礒崎陽輔君 答弁おかしいんじゃない。そんな別に大臣同士の私的な話を聞いているわけじゃないですよ。地方財政措置というのは、そんな、大臣が勝手に決める話なんですか、農水大臣と総務大臣が会って勝手に決める話なんですか。そんなこと聞いてないんですよ。農水省と総務省で、大臣が宮崎に行ったときまでに具体的な特別交付税についての措置については話が決まってなかったと今、小川政務官が答弁しておるじゃないですか。そんな答弁しておったら不一致ですよ。
○副大臣(郡司彰君) その時点で正式な対策会議の中でそのような話がされたということではございませんので、私自身はそのことについてここで答弁をする材料を持ち合わせてはおりません。
○礒崎陽輔君 ちょっとおかしいですよ、おかしいですよ。答弁おかしいですよ。いやいや、農水省に聞いているんだよ。決まっていたのか決まってなかったのか聞いておるだけでしょうが。
○委員長(佐藤泰介君) 質疑を続けてください。
○礒崎陽輔君 できません、こんなおかしな答弁。止めてください。止めてください。
○委員長(佐藤泰介君) どうぞ質疑を続けてください。
○礒崎陽輔君 止めてください。おかしいじゃないか。止めてください、時間止めてください。時間止めてください。
○副大臣(郡司彰君) 今のやり取りを聞けば、決まってなかったというふうに私自身も判断をしております。
○礒崎陽輔君 今のやり取りを聞いたら決まってなかった、そんな無責任な副大臣がおるんですか。どう考えているんですか、この口蹄疫問題を。客観的なことを聞いているんでしょう。今日は別に、通告でやっていますよね。口蹄疫問題の地方財政措置について両省に伺うといって私は通告していますよ。今の答弁おかしいじゃないですか。そんないいかげんなんですか。いやいや、農水省答えてください。
○副大臣(郡司彰君) 御存じのとおり、刻々と毎日変化をする中でどのような対策がいいかというような、いろいろな想定のシミュレーションを含めて話合いをしているということは事実でございますが、その時点でそのことが決まってなかったということについては、今のやり取りで私も認識をしておりますし、その時点では決まってなかったというふうに思っております。
○礒崎陽輔君 そういう答弁をするなら早く言ってください。そんなに無責任なことないでしょう。あなた、農水省を代表して今日総務委員会に来ているのに、しかも通告していないこと聞いているわけじゃない。おかしいでしょう、これ、与党の皆さんも。こんなことですよ、大体今の農水省の対応というのは。答弁にならぬでしょうが。それなら、大臣来てくださいよ、そんないいかげんな答弁をするんだったら。地方財政措置をどうするか、これだけ赤松大臣が言っていて、質問通告していても答えられない、それが今の民主党政府の口蹄疫に対する対策ですか。全くいいかげんですよ。もっと後でいろいろいいかげんなこと言おうと思ったけれども、最初からそんないいかげんなことをするんじゃ話にならぬですけれどもね。
 ということは、曲がりなりにも三分も四分も掛けて決まってないということを認めましたけれども、この前、質問も与党からもありましたけれども、赤松大臣が宮崎に行って議論をしたときには全然そんな話は決まってなかったんですよ。決まってないのに赤松さんが、五分の四は元々国が負担することになっているが、残り五分の一はまず県に負担していただき、後日、国で補てんする、全額見るからねと言えば農家は安心すると、こんないいかげんなことを言ったんですよ。おかしいじゃないですか、これはちょっと。
 一つその前に聞きたいのは、農水省というのは、地方交付税というのは国のお金だと思っておるんですか。──いや、農水省。
○副大臣(郡司彰君) 地方交付税は、国のお金というような認識ではなく、地方のものだというふうに思っております。
○礒崎陽輔君 地方のお金だと言っていただいたんで、それはそれでいいですけれどもね。あなたが言ったわけじゃないから、帰って、じゃ大臣にちゃんと言ってくださいよ、地方交付税というのは地方全体のお金なのであって国費じゃないですよと。国が面倒見る、国が国がと何回も国がと言ったんですよ、地元で。いろいろ資料ありますけれどもね。
 これは、だってそこの特交というのはもう額は決まっておるわけだから、それで見ればほかの地方に行く金は減る、そういう金ですよ。だけど、さっきも言ったように、緊急措置だから頭から私もけしからぬとは言わないけれども、補助率を上げるのを、補助率を上げる話を、国費、地方交付税で見るなんかいう話は、これは全く国の金の地方へのツケ回し、そんな責任じゃないでしょう。今これだけ大変な事態になって、国の責任を最大限やらなきゃならぬのに、国が何にもしないで地方交付税で補助率の引上げを満たしている、私はおかしいと思いますが、じゃ、総務大臣、いかがですか。
○国務大臣(原口一博君) 礒崎委員が今御指摘をされている点というのは大変大事な点だと私は考えています。
 四月二十日にこの口蹄疫が最初に出たときに農水省は対策本部をつくりました。そして、ここにいらっしゃる外山委員始め多くの地元選出の与党議員が私のところへ来られました。私はそのときに次のような指示をしました。自治体がお金がないからといって防疫対策、三位一体改革で随分厳しいです、大分も佐賀も宮崎も大変厳しい。ですから、そういったことで防疫対策が遅れてはならない、あるいは経営支援とか殺処分というものが遅れてはならないので、ここは特別交付税も含めてしっかりとした万全な地方支援措置をやるようにという指示をしたわけです。
 そして、これは五月十一日でございましたけれども、ちょうど小川政務官が農水で答弁をしていたときだと思いますが、総務委員会で外山委員が私に御質問があって、そして礒崎委員がおっしゃるように、現行でできないものについては法定化してでもやれるもの、現行でやれることはすべてやりなさいと。そして、五分の一、五分の四というお話がございましたが、確かに今までは五分の一のところを二分の一特交措置をしていました。しかし、これ早いお金でなければいけない。法律ができてから、新潟のときのように激甚災害で過去に遡及するという考え方もありますけれども、まずは安心をしていただいて、殺処分やそういったところに支障があってはならないということで、この委員会で私は答弁をして、今委員がおっしゃるように、五分の一全額を見るとしたらどういう理屈になるんだと。
 今委員よく御存じのように、共済に掛かっている人もいらっしゃいます。共済に入っている人と入ってない人が同額ということは、これは共済制度そのものの根幹にかかわります。しかし一方で、そういう方々が逆に不安を持ってしまうということはならないので、今日も大分県議会や各県議会、九州県議会議長会の皆さんも私のところへ来られましたけれども、まずは、地方独自の財源だけど、他の県にも御理解をいただいて、そして特交措置を万全にやりますということを発表させていただいたところでございます。
○礒崎陽輔君 大臣、理解して言っておるでしょうけど、五分の一が地方負担ということはないんですよね。五分の一は農家負担であるけれど、宮崎県が言い出したのか宮崎県が国から言われてそうするようにしたのかは、ちょっとそこは私はつまびらかじゃありませんけれど、まさに共済等で出ない分について農家負担が出るようなことはあってはならぬということで、その分を一時的に県が立て替えようという話ですよね、今はそこの話をしているわけで。
 さっきも、何度も言いますけれど、緊急措置で大臣がそういう判断したことを頭ごなしにおかしいとは言わないけれど、いいんですよ、総務省は非常に寛大な気持ちでやったのは私、悪いとは言いませんけれど、何で国費でできないのか。これは、農水省、どうしてできないんですか。
○副大臣(郡司彰君) なぜ国費でできないのかというようなことでございますけれども、まさに法律上は家伝法によりまして五分の四は、そして五分の一はそれぞれが共済としての加入を行うという仕組みを取っているわけでございます。したがいまして、その法の内容からすれば、そののっとった形を取れば、それはできないということに私はなるだろうというふうにも理解をしております。
○礒崎陽輔君 総務大臣にお聞きしますけれど、じゃ、例えばそこを予算補助でやるというようなことは、これは絶対できないことなんですか。
○国務大臣(原口一博君) これは家伝法によるものでございますから所管外ということで、あえて一国務大臣としてお答えをいたしますが、家伝法の趣旨は、要するに処分をしてもそこに一つの財産が残るじゃないかと。それは、残るのであれば農家の負担というものがあっていいはずだということでございますが、ですから、じゃ、今回の口蹄疫の対策がそれでやれるんだろうか。私は、全頭買取りということが農家に、あるいは大分にあるいは鹿児島に、佐賀に、福岡に広がって、全国に広がったら、イギリスの場合は、六百万頭ですか、処分をし、そしてたしか一兆円を超える国費を入れているというふうに思います。
 もうそういうことになるような病気の危機管理のフェーズにいるということを考えますと、私は、この間、外山委員にお答えをしたように、現行法を改正して遡及させてやるというぐらいの覚悟がないといけないのではないかというふうに考えておりまして、また、農水省ともその辺のところをしっかりと詰めて議論をしてまいりたいと考えていますので、御指導をよろしくお願いいたします。
○礒崎陽輔君 いや、そんな難しいことを聞いておるんじゃない。確かに補助率は法律で五分の四と書いていますよね、疑似患畜に対する。でも、今こういう緊急事態であるから、五分の一分、あるいは共済が行かない、共済措置がない農家についての負担分については、例えば予備費を支出してその農家の負担を国が見ますよという予算の支出をすることは、これは違法ですか。農水省、答えてください。
○副大臣(郡司彰君) 五分の四ということを決めているということになるわけでありますけれども、これまでの評価として、疑似患畜にかかった肉の評価というものは大体八割程度、五分の四ぐらいであるというようなことからこのような定めをしているというふうにこの家伝法ではなっているわけであります。
 それから、今回のことに関して申し上げれば、先ほどの委員の方から御議論をいただいている部分については、これは国の昨日の対策本部としては、県が見舞金として支給をすると、このような形で決めたというふうにも理解をしております。
○礒崎陽輔君 何か政府がちゃんとした答弁してくれないんですけど、私の言っているのは、いや、予算でできないことなんかないでしょう、今も県も見舞金という形で出せるというんだから。国も予備費を使って、その今言った農家の負担が出ない分を予備費を使って出しますよということが、これはどこか憲法違反か何かになるんですかと聞いているんですよ。
 予算は別に、いや、五分の四が普通はルールだけど、緊急事態だから今度は予算を使って特別なその負担が出てくる農家については国が補てんしようと、予算を組むこと、予備費を使って予算を組むこと、これができないですかと言っているんですよ。いや、分からないなら分からないと答えてくださいよ。そんないいかげんな答弁しないでください。
○副大臣(郡司彰君) それは私の部分ではなくて、まさに対策本部を構成をする閣議の中で決定をいただく内容というふうに理解をしております。
○礒崎陽輔君 答弁にならないよ、こんなの。与党もちょっとどうかしてくださいよ、こんなの、むちゃくちゃな答弁でしょうが。違法かどうかと聞いておるんじゃないですか、予算を付けるのが、予備費で。何という答弁をするんですか、あなたは、いいかげんな。
○副大臣(郡司彰君) まさに予備費的な内容だということを判断をして予備費を付けるということについては、それは違法ではないというふうに思っております。
○礒崎陽輔君 最初からそういう答弁をしなさいよ、そんないいかげんな答弁ばっかりしないで。今もうこれだけの大災害になっているのに、むちゃくちゃですよ、この農水省の対応の悪さ。与党もしかし言ってもらわにゃいかぬよ、こんなことじゃ。何にも分かってないじゃないか。答弁にならないよ、あなたのような答弁じゃ。真剣な議論をしているんだよ、こっちも。何にも分からないよ、それだったら。そうでしょう。
 予備費を使って予算をやること自体は別に違法ではないと思うんです。それをなぜ。だから、さっきも言うように、総務大臣の気持ちは分かりますよ、農家は安心。だから、頭からけしからぬとは言わないという前提で私も質問しておるけど、国費で何でやれという話に、総務大臣、ならぬのですか。
○国務大臣(原口一博君) 私は基本的に危機管理フェーズはミニマックスだと思っていまして、考えられる最悪のことを極小化する、そのためには、国が今委員がおっしゃるように万全の方策を、財政面もあるいは政策面もやるということが基本でございまして、私、担当でございませんので、家伝法のその五分の四の詳細あるいは五分の一の詳細、それは条文を見てみないと分かりませんけれども、基本的に総務省がやれることはすべてやる、そして前倒しでやれることはすべてやると。
 今、私たちのところへ来ているのは、特交措置というのは委員も御案内のとおりまとめて来ますから、どれが防疫対策か分かりません。ですから、早めに、十二月にこの特交を、三月のものを十二月に出して、そして、ここからここまで皆さん掛かったものはちゃんと国、特交で措置をしていますよという安心を持っていただきたいと、私、総務大臣としてはそのように考えておるところでございます。
○礒崎陽輔君 何か今日は総務大臣の答弁も良くないね。私の言っているのはそんなことじゃないでしょう。いや、だから、それは総務省は頑張っていますという答弁は分かりましたとさっきから言っているんです。そうじゃなくて、国費でも予備費を使えばできるんでしょうと。それを何で地方の共有財産である特別交付税で見なきゃならぬのですかと。緊急措置だからそうやったということは私はけしからぬとまでは言わないと言っているんですよ。
 だけど、総務大臣は所管じゃないじゃないんですよ。所管じゃないのにあなた特別交付税を出すと言っておるんですから、そんな無責任な答弁ないですよ。私の聞いておるのは、予備費で支出だってできるでしょうと言っているんですよ。予備費で支出できるものを何で特別交付税で見るというあなたが判断をしたのか、そこを教えてくださいと言っているんですよ。
○大臣政務官(小川淳也君) 大変恐れ入ります。
 現場で検討にかかわらせていただいた立場から申し上げたいと思いますが、委員のおっしゃる予備費あるいは国費、あるいは法律改正した新たな予算、様々な方法があり得ると思います。今回、財布は、財布という言い方がどうかあれですが、財布は三つしかありません。国費の財布か、あるいは個別自治体、宮崎県を始めとした個別自治体の財布か、あるいは委員御指摘の地方の共有財源たる共有の財布か、この三つしかないわけでありまして、委員御指摘の国費から、国の財布からきちんと出すべきだ、これは一つの力強い主張ですし、一面から言えばそのとおりだろうと思います。
 しかし一方で、特別交付税で措置をして地方の共有財源からそうした措置をすることに合理性があるのかないのか、あるいはやってはならないという理由があるのかないのか、ここまで突き詰めて考えさせていただきたいわけでございますが、今回の件に関して言えば、過去の取扱いに比しても、この感染爆発あるいはそれに至りかねないおそれというのは過去とは比較になりません。そこはまさに宮崎県だけの問題ではもはやなくなっております。国の問題であると同時に、それは大分県あるいは鹿児島県、あるいは私ども四国香川県ですけれども、宮崎から種牛をいただいて畜産農家は一生懸命頑張っているというような状況もございます。これはもはや宮崎県単体での問題ではなく、地方共通の関心事になっているという認識が必要ではないかと思います。
 その前提に立ちまして、特別交付税で全面的に応援しているというのが今回の措置でございます。
○国務大臣(原口一博君) これ、礒崎議員は専門家でいらっしゃいますからもう御案内のとおり、農家負担について県が肩代わりした場合は、現行法の中でも枠組みの中で従来からは特別交付税措置があって、そしてそれは二分の一を措置をしてきているわけであります。
 予備費からというふうに、出せるというのは小川政務官が言ったように力強い御支援だと考えていますけれども、一方で、家畜伝染病予防法の改正など法的な対応により国の交付金の交付割合、現行の五分の四を引き上げるということによる国の対処が基本というふうに考えるときに、一方で防疫対策をできる限り迅速に実施していただく、まずは安心を、そして少しでもその処分を、今回川南町を中心にここの十キロ圏内の牛を豚を空にするということを決断をしているわけです。そのときに必要な措置であるということで決断をしたところでございますので、是非御理解を賜れば幸いでございます。
○礒崎陽輔君 いや、理解はしてないわけじゃないけれども、やっぱりきちっとした議論をしなきゃいかぬでしょう。だから、国の出すべきものを肩代わりしているから怒っているわけですよ。地方負担に対して特別交付税をするのは何もおかしくもない、今までの災害でもやっている。割合も、今回の場合はちょっと特別だから、例えば〇・八を一・〇、十分の十にしようということもあってもいいでしょう。そのことを私、悪いと言っているわけじゃない。
 ただ、これは、地方の要求しているのは国が全額持ってくださいと言っているわけでしょう。それじゃ、ほかに手段がなかったのかというと、今まさに小川政務官も大臣も御答弁していただいた、予備費で出すという方法はあるはずなんですよ。その話を全然しないで地方の共有財源であります特別交付税で持つということが本当に適切であるのかどうか。多少はやっぱり問題があるという話にならぬかということを総務大臣に聞いておるわけですよ。
 ましていわんや、農水省は何にもそんなこと考えない。まず、農水省が五分の一を何とかせないかぬということを考えるのが筋じゃないですか。皆さん、どうですか。地方が先に考えないかぬのですか、こういうことを、五分の一を。まず国の責任として、予備費で出せるか出せないか、それを真剣にまず農水省が中心として議論をして、真剣に議論する。ちょっと予備費じゃとても間に合わぬと、特交だって別にすぐ出すのかどうか知りませんけれども、それは総務大臣が言った方がいい。何か赤松大臣が地方で勝手なことを言ったのを何で地方財政が、下品な言葉だけれども、しりぬぐいをせないかぬのか。私はちょっとおかしいんじゃないかということを申し上げておるわけであります。
 結論は、今緊急事態だから、余り与党、野党でがたがたするのはいかぬと思うから何か今すぐどうせいということを言うつもりもないけれども、大臣、ちょっといつもより歯切れが悪いですよ。もうちょっと筋のいい答弁できませんか。
○国務大臣(原口一博君) 筋のいい答弁をしろというお励ましをいただきましてありがとうございます。それは、奥歯に何か物が挟まったような言い方をしているときは、委員の質問が鋭いときあるいはほかに逃げようがないとき、そういう質問に対しての答弁をすることがあります。
 私は、委員がおっしゃるように、現行法の中でやり得る最大限のことを政府は検討すべきだというふうに考えておりまして、地方に対して様々なものを転嫁をしてみたり、あるいは今おっしゃるような共有財源について最初からそこに手を突っ込むような議論というのは、それはおかしいと私もこれは一般論としてですが考えているところでございまして、ただ、総務省としてやれることはそれこそ何でもやるんだということの思いも一方で御理解をくだされば幸いでございます。
○礒崎陽輔君 さっき言い忘れたけれども、小川さんの答弁、前段は良かったけれども、後段はおかしいですよ。地方に責任持てと言うの、全国の地方公共団体に。そんな答弁はないよ。国が責任を持つと言わなきゃ駄目でしょう、災害のときは。地方も、ほかの県も関係あるからほかの県も出しなさい、そんな答弁を総務委員会でするものじゃないですよ。これはもういい。もういいですよ、それは。そんな答弁すべきじゃない。
 それで、大臣、気持ちは多分お互いに分かっていると思うけれども、地方の財政を預かる総務大臣だからもうちょっと頑張ってほしいと私は思います。別に関係ないことないんですよ。地方財政、地方とかかわる財政については、ずっと自治省財政局時代から、ずっと自治省財政局、総務省財政局が責任を持ってきたわけでありますから、全然関係ないことはないと思います。
 そこで、昨日の話で、疑似患畜だけでなくて、要は予防的措置、すなわち病気にかかっていることが疑われている牛や豚でなくても殺処分をするということが昨日出たと聞いております。そうなると、これは法律のどこにも書いてないわけですよね。そうすると、やっぱりこれは緊急立法が私、必要じゃないかと思うんですね。これは前向きな話です。それをやっぱり、原口大臣、大きな声でもっと言ってほしい、農水省のことだから知らぬというんじゃなくて。そうすれば、今の五分の四の問題も今回に限り五分の五にする、そういう話にすればいいじゃないですか。それを、別にこれは、もう緊急事態だから、与党、野党一致協力して通せば、衆議院、参議院、一日か二日で通るんじゃないですか。
 そういう方向を、多分、原口大臣は政府の中で力を持っているんだから、大きな声を出してそのリーダーシップを発揮すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(原口一博君) 有り難い御支援のお言葉だと思っています。
 前回、十一日のこの委員会における答弁を御紹介をいたしましたけれども、現行法の中でやれることは全部やろう、そして現行法の枠組みでできないことは早急に立法すべきと、私はそのように考えておりまして、与野党の国会の先生方のお力、御支援を賜って、私たちも懸命に論点整理をいたします。政府として出すべき立法は政府として出すと。また、国会にお願いをするところも多々あると思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
○礒崎陽輔君 不本意ながら、この前、地域主権法も参議院では可決いたしましたけど、地域主権は一丁目一番の政策であると民主党政府は言っておる。そうであれば、やっぱり原口大臣にもっと地方を守ってほしいと思いますね。それが大事なんですよ。
 特別交付税、ほかに充てるところがあるはずだと、ほかにって、ほかの県にじゃないですよ、この口蹄疫の問題でも幾らでも今から山ほど仕事が出てくると思います。いろんな対策が出てくると思います。だから、国がやるべきところはちゃんと国がやりなさいということを言う大臣が私は総務大臣だと思うわけでありますから、もうちょっと具体的に言ってくれると有り難いけど、べきだで終わっておるんでね。立法すべきだで終わるんじゃなくて、立法、それを政府内で大きな声で是非言ってほしいと思います。
 余りこればかりやっておってもあれなんですけれど、農林水産省にお伺いしますが、今朝のテレビ報道によりますと、赤松農水大臣が口蹄疫の発症後に長期間日本を離れていたことについて民主党幹部は問題だとの考えを示した上で、大臣が外遊先でゴルフをしていたことを明らかにしましたという報道が朝流れておりますが、これは、副大臣、本当でしょうか。
○副大臣(郡司彰君) 同行をしている者にも確認をさせていただきましたが、そのような事実はございません。
○礒崎陽輔君 まあ報道ですので、そう言うんならそうですけれど、じゃ、きちんとこれは報道の方に今日中でも抗議を申し入れるおつもりでしょうか。
○副大臣(郡司彰君) 先ほどの時間からの聞き取りでそのようなことが判明をいたしました。今後の措置については、大臣当人とも相談をさせていただきますけれども、しかるべき措置も必要であればとりたいというふうに思っております。
○礒崎陽輔君 私も事実確認ができないことでぐじゃぐじゃ言うつもりはありませんけど、今朝そういう報道もあったと。ただ、少なくとも自民党は、口蹄疫事件も起きておるので、連休中、長期出張は行くべきでないと我が党は伝えたはずです。それにもかかわらず、異常な長期間、大臣がいる。前、石破大臣に聞きましたけど、石破大臣が農林水産大臣中は一泊以上の海外出張なんかやっていないということでございます。それはやっぱり国の責任を預かる大臣としての態度だと思います。
 今そういう事実がないと言ったんでそれ以上は言いませんが、長期出張しただけでも私は大きな問題であるので、その辺は断定したわけですからそれでもう結構でありますけど、きちんとした対応を引き続きお願いをしたいと思います。
 今日は違う議題ではありますけれど、口蹄疫対策で忙しいでしょうから、副大臣は御退席いただいて結構であります。
(中略)
 ちょっと口蹄疫と普天間とやってしまいまして、独立行政法人について質問をする時間がなくなりましたが、自由民主党全体の質疑の中で、今から独立行政法人の問題についても議論をさせていただきたいと思います。
 終わります。

○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。
 私も口蹄疫が発生している宮崎県の隣県の熊本の出身でございます。原口大臣は隣県の隣県でありますが、隣県の隣県は隣県であるということにならないので、少し距離がありますが、しかし、この問題については当初から非常に熱心な関与をしておられる、そういうことで敬意を表しておきたいと思いますが。
   〔委員長退席、理事林久美子君着席〕
 今ちょっと私も、この五月七日の閣僚懇談会における総務大臣の発言、これはどういう状況の下で行われたものでしょうか。たしか農水大臣は外国に出張しておられて、恐らく帰ってこられて余り日にちのないころの懇談会だと思いますが、その状況をちょっと御報告いただきたいと思います。
○国務大臣(原口一博君) この口蹄疫の問題について私は極めて深刻に考えておりまして、私はそもそも、安全保障をいろんなところで勉強させていただきましたけれども、こういう危機管理についてはまずは考え得る最大限の災厄を極小化するということがとても大事だということで、農水省においては四月二十日に対策本部をつくっております。
 ただ、その間に私たちが総務省として何ができるか、そして現行の法律の中で何ができるか、現行の法律の枠を超えたもので各省と連携してやれることは何か、こういったことを是非話合いをさせてほしいということでこのところに臨んだものでございまして、私は、今お手元に当時の会見資料もお持ちかも分かりませんけれども、外山委員に、五月十一日、この総務委員会でお答えをしたことをその場で話をしたところでございます。
○木村仁君 私がお尋ねしたいのは、その時点で農水省は一千億の予備費の流用という問題について認識を持っていたのかどうかということであります。それに先立って総務大臣が特別交付税のことについて特別な御発言をなさったのか、そういう一連の財政措置の中でなさった発言かと、このことをお尋ねしたいわけです。
   〔理事林久美子君退席、委員長着席〕
○国務大臣(原口一博君) 農水省においてはあらゆる政策資源を動員するということを言っておりました。私どもとしても、これは実際に、先ほど礒崎先生にお答えをさせていただきましたけれども、現行でできることはすべてやると。そして、先ほどの全頭処分についても、殺処分についても、これ、私どものところも熊本と同じように畜産県であります。例えば熊本の場合は、宮崎と違って大変大きなところで放牧をされています。もしそういったところに口蹄疫が伝染をしてしまえばこれはもう壊滅的な、幅広い防疫が必要となってしまいます。ですから、早いお金を、そして的確に示せるようにということを私の方から指示をしたというところでございます。
○木村仁君 口蹄疫の最初の情報が入ったのは、たしか私は三月の末だったと思うんです。そして、確実に発生しているということが公表されたのは四月の二十日ごろだったと。五月の七日というと、もう相当時間がたっております。その間に我々は、農水省から具体的な対策が示されたという情報に、財政的にですね、接していなかったわけでありまして、農水省の対応が、現場あるいは県そして農水省の実際の担当者の対応に比べて、非常に全体としては遅れたのではないかという印象を持っているわけであります。
 ですから、総務大臣の発言については礒崎委員の方から十分議論がありましたし、私どもは、御党の委員が質問されてそれに特別交付税を使うつもりであるという御答弁をなさったのはたしか五月十一日か何かだったと思いますから、それよりもかなり先立って総務大臣はこの決断をしておられるわけであります。それに対して、政府全体の、そしてまた民主党の対応というのは非常に遅れたのではないかと、こういう考え方を持っておるわけでありますが、総務大臣がこういう発言をされた、それとの関連において、政府全体の、そしてまた御党の対応の仕方が適切であったのかどうかということについて感想をお尋ねしたいと思います。
 官邸は普天間問題に腹いっぱいで、腹いっぱいというか、あれは腹案だったですね、手いっぱいで、幹事長室の方は金銭問題で手いっぱいであったと、こういう中でこの対応が、現場、県、農水省の事務方、こういうのに対して大変遅れたのではないかと、そういう印象を私どもは強く持っておりますけれども、大臣の御感想をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(原口一博君) 私は、先ほど申し上げましたように、四月二十日に委員がおっしゃるように公表されて、即地元の議員が来られて、総務省に対しての指示を行わさせていただきました。農水省も、その日に第一回の口蹄疫防疫対策本部というのを立ち上げて、そして四月二十四日には、殺処分を行う獣医師を国及び各県から派遣をしておるところでございます。
 現在もこれはまだ進んでおりまして、まだ感染力が強いウイルスだというふうにも予想をされていますけれども、前回十年前と違って、封じ込めが現実には成功をしているかというと、それは必ずしもそうは言えない。大体十キロ、二十キロで封じ込めをしているということですけれども、七十キロ離れたえびのに飛んでいるということも私は極めて危機的に考えているわけです。ただ、これも、えびのについてもあと三日で感染が出なければ、そこが終息します。
 御案内のとおり、ここのインターは九州の交通のかなめであります。たくさんの人たちがそこへ降ります。私の方からも国交大臣に、インターにおける更なる防疫措置の徹底ということを昨日の対策会議でも要請したところでございまして、私はちょうどアメリカに行っているときもこういう指示を、世耕先生はたしか中東に行かれていていろんなやり取りをしていましたけれども、この危機フェーズについてどうすればいいかということを役所と、アメリカからも指示をしていたところでございまして、私は、対応の遅れということよりも、むしろ逆に言うと、今回のウイルスの伝播力の強さ、それからもう一つは、これ宮崎もそうでしたけど、前回十年前、いわゆる様々な風評被害から立ち上がるのにも相当の時間が掛かっています。そういったことも含めながら適宜適切に対応していくべきだと、そのように考えています。
○木村仁君 それは、今の御答弁は農水大臣の答弁であって、私が申し上げたいのは、総務大臣として全体の対応が遅れたのではないかということについてどういう御感触をお持ちかということを聞きたかったわけでありますが、もうそれはよろしいです。
 私までも口蹄疫のみに終始してはいけませんから問題を切り上げますが、いずれにしても、隣県である熊本県あるいは鹿児島県、大分県もそうかもしれませんけれども、伝染してくることを恐れて非常にいろんな万全の措置を講じていると。したがって、特別交付税の問題は、単に患畜あるいは疑似患畜、あるいはそれ以外の牛や豚の殺処分という一連の過程以上に様々な経費を掛けてやっておるわけであります。そしてまた、風評被害等に対する対応等もいろいろあると思います。したがって、私は、総務大臣が特別交付税で措置したいと言われる気持ちは分かりますし、その方針で進んでいただきたいと思います。同時にまた、国としてやれることはしっかり全部やっていくということではないかと思っております。
 また、特に官邸が初めて本格的に取り組んだのが十七日でしょう。そして、昨日初めて正式の総理大臣を加えた対策本部が開かれたということで、私はその非常に大きな遅れ、これが、今度は十年前の被害とは全然質が違ったものだということかもしれませんけれども、しかしもう既に五月の上旬が終わったころには八万頭、九万頭、そして今や二十万頭にも及ぶ殺処分が行われなければならないという状態になっているわけでありますから、私は少なくとも民主党における、あるいは民主党政府における対応が遅れたということは言えるのではないかと考えております。
 では、本題に入りたいと思います。
(後略)

第174回国会 経済産業委員会 第13号 平成二十二年五月二十一日(金曜日)    午後一時三分開議

○高市委員 自由民主党の高市早苗でございます。
 まず、貴重な質疑時間をお与えいただきました同僚委員の皆様に感謝を申し上げます。
 冒頭に、このたびの口蹄疫の発生によりまして、まさにあすの生活も見えない、そして人生設計が根底から覆ってしまうような悲惨な状況に追い込まれておられます宮崎県の畜産関係者の皆様に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。とともに、無為に命を落とすことになりました多くの家畜の死に対して哀悼の意を表したいと思います。そしてまた、現地で、昼夜を分かたずこの状況の終息に向けて汗を流してくださっている多くの関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。
 さて、きょうは、官房副長官においでいただいております。
 三月三日に宮崎県都農町でPCR結果が陽性の繁殖牛が出て、四月二十日に口蹄疫と確定、翌二十一日に殺処分などの防疫措置を完了した、これが一例目だったわけでございます。
 それから一カ月も経過いたしました五月十七日になって、ようやく鳩山総理を本部長、内閣官房長官と農水大臣を副本部長、全閣僚を本部員とする口蹄疫対策本部が設置されました。
 内閣全体としての取り組みを行うためのこういった本部の設置、体制づくりが非常に遅かったということについては私は強い怒りを覚えておりますけれども、それでも、構成員を見ますと、やはり多くの省庁にまたがる総合的対策を打たなきゃいけないものですから、総理を本部長とし、官房長官も副本部長という構成につきましては当然のことだと私は考えております。
 ところが、昨日、内閣官房長官または官房副長官に口蹄疫に対する政府全体の取り組みについて御答弁をいただきたいと私は考えまして、質問通告書を送りましたところ、内閣官房総務官室からお電話がありまして、口蹄疫については内閣官房では答弁できるほどの立場にないので、農水省に答弁いただいてもいいかというお話でございました。私は、内閣官房がそのような姿勢でいること自体がけしからぬと思っております。
 本部長である内閣総理大臣及び副本部長である官房長官というのは、まず、宮崎県の現場がどういう状況であり、現地の方々がどういうことを望んでおられるかについては、農水省以上に、すべての省庁にまたがる案件について最も多くの情報を持っていなければいけない立場でありますし、そしてまた、各省庁が何をやるべきかについて総合的に判断をしながら指示を飛ばしていくべき立場にあると思います。副長官もそのお一人だと私は思うんですね。
 ですから、内閣官房には、国会に対してもう少し誠実に対応をしていただきたいと思っておるんですけれども、副長官のお考え、お伺いいたします。
○松野内閣官房副長官 高市先生にお答え申し上げます。
 今回の口蹄疫の問題でありますけれども、先生最初にお話しになりましたように、まず宮崎県の畜産農家の方、本当に今大変な思いをされているということを申し上げなければいけないというふうに思っております。
 そういう中で、対策が遅いんではないか、また官房の反応が鈍いんではないかというような御指摘でございますけれども、まず、PCRにおきまして、四月の二十日に口蹄疫だということが認定をされました。その後、二十三日、二十八日とずっと政策を打っているんですけれども、まず、四月の二十八日、内閣官房主宰の関係省庁幹事会、課長級というのを開催してございます。その後も、四月の三十日、この課長級を局長級に上げまして、官房として行っております。
 また、五月の一日には、私もえびの市に入りまして、現地を見させていただいております。また、その後、七日には関係閣僚会議、そしてまた十四日に関係省庁連絡会議、十六日には官房長官が現地に入り、そして五月の十七日に本部という動きをしてございます。
 ですから、官房としても、この口蹄疫の問題、相当私どもも深刻に見ておるつもりでございます。(高市委員「だから、なぜ農水省に答弁を振られたんですか」と呼ぶ)
○東委員長 挙手をして発言を求めます。
○高市委員 私が伺った質問部分は、なぜ官房でそれほど答える立場にないとか、その後も情報がないとか、農水省に答弁をしてもらっていいかとか、そういう国会への対応になるのかということ、ここが質問部分です。
○松野内閣官房副長官 ちょっと事務的にどういう経緯かわかりませんけれども、各省ということで、口蹄疫であれば農水省がお答えになるのではないかというふうに事務的に思ったのかもしれません。ちょっとそこのところは確認をしてございません。
○高市委員 それでは、経済産業大臣にお伺いをいたします。
 畜産農家の被害も相当なものなんですけれども、既に飼料販売ですとか食肉加工、それから運輸、小売、ネット通販なども含まれると思います。そして、飲食、観光。観光業といえば、ホテル、旅館業などもございますけれども、ほかの業種にも随分被害が出てきつつあるんじゃないかなという心配をいたしておりますが、現段階で経済産業省として把握しておられます九州及びほかの地域の各産業の被害状況について、おわかりの範囲内で簡潔にお答えいただければと思います。
○直嶋国務大臣 現在、宮崎の現地の対策本部の方に九州の経済産業局から人員を配置しておりまして、毎日、午後二時に状況報告をもらっているということでございます。
 したがいまして、きょうも多分新しい報告が来ているのではないかと思いますが、昨日までの状況ということで申し上げますと、高市先生御指摘のように、畜産業にとどまらずに、移動制限とかさまざまなことがなされているものですから、食肉加工業、小売業、飲食業、宿泊業、運輸業などの広範囲に影響が及んでいるというふうに思っていまして、特に地元の中小企業の皆さんへの影響を危惧いたしております。
 具体的に少し申し上げますと、ホテルの宴会の予約がキャンセルされたとか、飲食店の客が減ったとか、もちろん観光客も減っているということでありますし、資材の搬送とかそういったものにも影響が出始めているというふうに聞いております。
 そんな中で、当面、特に資金的に急を要する方について、窓口でも相談を受け付けておりますが、きのうまでの段階で五十四件の金融に関する御相談もちょうだいしたということでございます。
○高市委員 さまざま御相談があるようでございますけれども、中小零細企業、個人事業主への支援ということで、特別に具体的にはどのようなものを用意されておりますでしょうか。
○松下副大臣 今、大臣からもお話がありましたけれども、宮崎県のみならず、熊本県、鹿児島県の隣県にも、政策金融公庫を初め商工会議所、全部について窓口を開いて情報収集と相談に乗っております。
 従来やってまいりましたセーフティーネット貸し付け、それから景気対応緊急保証、こういう政策をさらに条件緩和して、こういう時代でありますので、売り上げが前月と比べて減ってきたからそれに対してやるとかいうことではなくて、そういうことの相談があればすぐ対応していきたいということで、臨機応変、全力を挙げてやっていきます。
○高市委員 今、緊急保証などのお話がございましたけれども、これは財務省ともいろいろお話し合いの上実行されるものかと思うんですが、いつから実行できますか。
○松下副大臣 四月二十八日から窓口を設けて動き出しておりますので、全部に五月の二十一日付でしっかりと皆さんに広報して、受け付けております。
○高市委員 それでは、例外的な緊急措置としてもう使えるということでよろしゅうございますか。
○松下副大臣 本日から使えるようになります。
○高市委員 今後、感染が全国規模に拡大してしまったり、それから、終息までに長期間かかってしまうという可能性も皆無ではないと思いますので、私は、最悪のケースも想定した対応が必要だと思います。ぜひとも、全国規模また長期化、そういうことが起こってほしくはないわけですが、そういう事態に陥ったときのことも考えて、予算措置も含めて備えを進めていただきたいということを希望申し上げます。
 次に、農水省なんですけれども、本日は政務官でございますね。実はきのう、質問通告に当たりまして、山田副大臣が宮崎県に張りついておられるということで、郡司副大臣の御出席を私求めたんですけれども、副大臣は本日午後から福島県に戸別所得補償加入促進PRに行かれるので政務官対応でと言われてしまいました。できたら副大臣でということをお願いしておりました。
 農水省が本日時点で、国民の代表に対して、農水省が行っている口蹄疫対策を説明するということよりも戸別所得補償加入促進PRのキャンペーンを優先されるという理由は何でしょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。政務官で大変恐縮でございます。
 今、あぜ道キャラバンという名前でキャンペーンをさせていただいているんですが、これはずっと予定を早くから組んでございまして、それぞれの地域にもそれなりの準備をしていただいているものですから、政務三役それぞれ手分けをして出席することにしてございますが、ちょうどきょうは郡司副大臣の出番だったということでございまして、そういうことで、先方様に急に事務方になりますというわけにもいかないというような事情でございますので、御理解いただきたいと思います。
○高市委員 そのキャンペーンの方に政務官が行かれたらよかったんじゃないかと思うんですけれども。決して政務官ではだめだということではなくて、優先順位を伺ったつもりでございました。政務官は非常に口蹄疫の問題に精通していらっしゃるということを、農水委員会におります主人からも聞いております。
 さて、対策の中心になっておられます農水省にも、先ほど私が経済産業省にお願いをいたしましたとおり、最悪の事態を想定した備えというものを進めておいていただきたいと思います。
 全国規模への拡大という懸念とともに、口蹄疫はイノシシ、羊、シカなどにも感染し得る疾病でございます。私の地元奈良県では、現在、平城遷都千三百年祭が開催されておりますので、全国、世界から多くのお客様が来てくださっております。
 不幸にして、この後、開催期間中に口蹄疫の感染が近畿地方にも広がってきたような場合に、人の靴ですとか、それから車両の消毒というのが徹底されていなかったら、まさにウイルスが県内に持ち込まれてくる状況下にあることも確かだと思います。
 奈良公園の約千百頭のシカなんですけれども、これはおりに入っているわけじゃなくて、放し飼いでありまして、自由に農家ですとか民家の庭先にも入っていきます。そしてまた、天然記念物に指定されておりますので、消毒徹底などの事前対策が非常に難しい。そういうことから、万が一シカが口蹄疫に感染した場合に、その被害というのははかり知れない、これは多くの奈良県民が心配していることでございます。
 そしてまた、あのシカは天然記念物でございますので、文化財保護法によって守られておるんですね。文化財保護法第百二十五条は、「史跡名勝天然記念物に関し」「その保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。ただし、現状変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。」と規定しております。
 このシカが口蹄疫に感染したときにどのような措置がとられるんだろうかと文化庁に伺いましたら、文化財保護法には疾病に関する規定はないので、文化庁としては判断できない、鳥インフルエンザのケースの先例に準じ、文化財保護法第百二十五条一項ただし書き、先ほど私がただしと読み上げました部分ですが、このただし書きによる緊急事態に該当し、農水省が判断されるものとなるというお答えでございました。
 天然記念物である奈良公園のシカというのが口蹄疫に感染した場合、農水省は、天然記念物として特段の保護や保全は行わずに、殺処分をするということになるんでしょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 今、文化財保護法の動物についてというお話でございますが、現時点で我々が実施をしているのは、今の地域よりできるだけ拡大しないということが何よりも大切でありますので、そのための消毒と、それから殺処分、速やかな埋却ということを徹底してやるということが口蹄疫にとっては何よりも大切でありますので、まずその対策に現地で万全を期しているということであります。
 今の、文化財並びに文化庁の話がございましたが、家畜伝染病予防法の対象外でありますので、これはまたその時点で、そういうことが予測あるいは危惧されるというような時点で、文化庁と相談をさせていただくことになろうかというふうに思います。
○高市委員 いや、危惧される事態になってからではもう遅いと思います。既にもう皆さん危惧されていて、奈良の鹿愛護会などでも、消毒液のストックなど、また公園内のパトロールで、様子のおかしいシカはいないか、そういうもののチェックなどで今大変御苦労をされております。
 これは家畜ではないので、本当に広大な地域に生息し、移動しておりますので、奈良市内にいるシカがすべて殺処分の対象になる可能性があるのか、また、感染が確認されたシカが発見された地域を中心に、一定面積内にその時点でいたシカが殺処分の対象になるのかとか、いろいろ心配事もあり、どのような防疫基準を考えておられるのかというのは大変重要です。奈良県のことだけじゃなくて、やはりイノシシ、羊、シカに感染の可能性ありということになると、全国ほぼすべての都道府県で心配になっていることだと思うんですね。
 現時点では対応していない、宮崎県に集中していて、危惧されたら文化庁と相談するというようなことでは、文化財保護法と関係のないよその県に生息する野生のシカとか、こういったものへの対応もできませんし、早急にこの対応をマニュアルとしては決めていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○佐々木大臣政務官 私ども、この先一番心配されるのは、今委員御指摘の偶蹄類のシカあるいはイノシシなどでありますが、偶蹄類の場合は発症するということでありますが、偶蹄類でなくても、例えばネズミのような場合は、発症しなくても伝播をしていくということもありますので、いずれにしても消毒が一番大切であります。
 家伝法の適用外ではありますが、家伝法でいいますと、それは知事が要請をいただいて、そして消毒を許可する、消毒薬を手配するというような仕組みになってございますので、そうした関係省庁と連絡は密にとらせていただきたいというふうに思います。
○高市委員 先を見越した、そして対象を広げたプランもしっかりとつくっておいていただくようにお願いを申し上げます。
 それで、農林水産政務官にまた再びお願いをいたしますが、五月十八日、今週の火曜日でございます。十一時半から、山田副大臣は、宮崎県の川南町におきまして、川南町長それから都農町長も同席をされ、川南町の農業担当課長、県の担当者、JAの職員と打ち合わせをしておられます。「口蹄疫・現地対策本部(日報)」という書類の中に会議録が掲載されておりまして、私の手元にございますので、その文書を読み上げさせていただきます。
 まず、都農町長が御発言されました。「四月段階から両町で消毒を徹底しているが、まん延が止まらない。獣医が足りないので明日からの作業ができるかどうか分からないといわれる。」「疑わしい症状が出た時点で獣医師が派遣されず、経過観察を求められる。その間に感染が拡大することを懸念。」ということで、町長は獣医不足を訴えておられるんですね。これに対して山田副大臣は「農家が自分で採材できるだろう。そうすれば作業が進む。」とお答えになり、これに対して県の対策本部が「検体採取は獣医師でないとできません。家伝法上できない。」とおっしゃっておられます。その後、山田副大臣が「綿棒で取るだけなら自分でできるだろう。細かいこというな!!」、こうおっしゃっているんですね。
 町長が、疑わしい症状が出たら、家畜から検体採取をする獣医師が足りないということを訴えておられるのに対して、山田副大臣が、綿棒でとるだけなら自分でできるだろう、細かいこと言うなということで、農家が検体採取をするべきだという考えを述べておられるんです。
 法律上、農家が自分で検体採取をするということは可能なんでしょうか。根拠条文とともに伺います。
○佐々木大臣政務官 農家自身が検体をとるということについては、個人の財産ですからそれは可能でありますが、しかし、獣医師が足りないということは、それもまた、今増員をして、きのう、おとといの本部会議でもさらに増員しようということにしてございまして、全国の獣医師、家保あるいは都道府県の機関の獣医師の皆さん方に交代で今宮崎の方に行っていただいておりますし、OBの獣医の皆さん方もボランティアで今どんどんと参加をしていただいているところでございます。
 いずれにしても、獣医師をしっかりとふやしていくということに今我々も努力をさせていただいておるところでございます。
○高市委員 それでは、農家が検体をとって検査に回すということは法律上何の問題もない、各農家でやっていただければいいということで間違いございませんね。
○佐々木大臣政務官 それは問題ありませんが、できれば専門家がとった方がより望ましいというふうには思います。問題はありません。
○高市委員 次に伺いたいのは、四月二十日に口蹄疫とされて翌日に殺処分された事例が一例目ということを申し上げましたが、その後、本日までに、殺処分は完了したものの埋設地などが不足しておるようでございますから、埋却処分が完了していない数、殺処分はしたけれども埋却処分はできていない数というのはどれぐらいでしょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。
 五月二十日現在でございますが、現在の発症が約百五十九例、牛、豚合わせて約十三万頭が殺処分の対象になってございます。このうち、二十日現在で約七万四千頭が殺処分を終了いたしてございます。六万二千頭については既に埋却も終了してございますが、五万七千頭についてはまだ殺処分中、または今後実施という状態にございます。
○高市委員 やはり埋却地の確保というのが非常に急がれると思います。五月十九日に政府の口蹄疫対策本部が決定されました「新たな防疫対策について」という書類にも、「埋却地の円滑な確保」と書いてあります。
 五月十八日の十五時から、山田副大臣が、新富町の町長や町議会議長と打ち合わせをされております。
 この会議録でございますが、町議会議長が「豚・肥育牛中心の畜産団地なので、埋却地は容易には見当たらない。」とおっしゃっています。これに対して副大臣が「土地は国で買い上げるとしても見当たらないか。」と聞いておられます。副町長が「甘藷の苗床として使われている土地を買おうとしているが、その苗を用いて営農を計画している農家への補償問題が生じている。家伝法ではこういうところの補償までカバーされていない。」とおっしゃっています。これに対して副大臣は「一年間の補償をすれば売ってくれるのか。」とさらにおっしゃっています。町議会議長は「来年以降の生計を失うので、売却側は迷うだろう。」、副町長は「一年間の補償をして、来年度以降の代替農地があれば、可能かもしれない。しかし、補償をしっかり国が支えて欲しい。」、このようなやりとりがあったわけです。
 まず、山田副大臣が現地で「土地は国で買い上げるとしても見当たらないか。」とか「一年間の補償をすれば売ってくれるのか。」とおっしゃっていますけれども、埋却地を国が買い上げる予定と予算はあるんでしょうか。
○佐々木大臣政務官 口蹄疫に関しては、発症の一番近くに埋却をするというのが基本でございますので、余り移動をさせないというのが本来的には一番望ましい形でありますが、今委員御指摘のように、埋却の場所が足りないというようなお話も伺ってございます。
 国の土地についてもできるだけ提供したいということで、御相談もさせていただいているところでありますが、今の山田副大臣の御発言というのは、いろいろな対策の中で、検討の材料として申し上げたんだというふうに思いますが、そうした具体なものについては、できるだけ県の対策本部の皆さん方や現地の皆さん方と相談をさせていただきたいというふうに思います。
 できるだけ円滑な確保というものに努めてまいりたい。その前面に、現地の本部長であります山田副大臣が、いろいろな関係者の皆さん方との話し合いに当たっていただいているという中での発言だろうというふうに思います。
○高市委員 翌日の十九日の十六時十五分から、山田副大臣は宮崎県知事と会談しておられます。前の日に「土地は国で買い上げるとしても見当たらないか。」とおっしゃっておいて、知事らとの会談の中では、県の方から埋却地買い上げの財政支援を要請しておられるんですが、山田副大臣は「ここ二日間調整したが、買い上げは難しい。」と回答しておられるんですね。
 普天間移設も同じですけれども、全体計画も、それから調整もないまま、地元に期待感を持たせる発言をして後で撤回するというのは、鳩山内閣の特徴なんでしょうかね。
 埋却の予定もない、財務省などとの詰めもないまま、山田副大臣は買い上げについて言及しておられたんでしょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 現地のそうした詳しい報告を受けているわけではありませんが、山田副大臣が現地の本部長として、いろいろな関係者の皆さん方とお話し合いをされ、いろいろな、あらゆる可能性を探ろうということで、いろいろな皆さん方とお会いをされている。その中で、可能性の、いろいろな中のお話としてお話をされたものではないかというふうに存じているところでございます。
○高市委員 ついでに申し上げますと、十八日の川南町での打ち合わせの会議録でございますけれども、この日、川南町から、先に自力で埋却した農家と公平性を確保してほしい、後で国が支援して埋却する地域、農家などとの公平性を確保してほしいという要望がなされています。山田副大臣は「公平性の観点から措置を考えている。」と答えました。その後、同行されていた小川総理補佐官が「検討を指示する。」と発言しておられます。その直後に、川南の町長さんが「補償を検討するでは現場は動けない。決断して欲しい。」と発言されたんですけれども、先ほど書類名を申し上げました会議録には、町長の「補償を検討するでは現場は動けない。決断して欲しい。」の御発言の後にわざわざ括弧書きをして、「(……としつこくゴネる。)」と書いてあるんですね。
 町長は、本当に苦労しておられる、心身ともに衰弱されるぐらいの御苦労だと思いますよ。その町長が一生懸命、山田副大臣に対して御要望されている。その記録をとっていたのはだれか知りませんけれども、町長のお言葉を括弧書きで書いた後、「(……としつこくゴネる。)」こんな記録が政府の中に残っているということ自体が、私は大変失礼な、許せない姿勢だと思っております。責任者を明らかにしていただいて、それなりの処分をしていただくこと、また謝罪をしていただくことを要求いたしますが、いかがでしょうか。
○佐々木大臣政務官 その文書について、私、まだ見ておりませんで申し上げるのもどうかと思いますが、そういう表現、あるいは表示、あるいは書き込み、あるいは記録があったとすれば、それはしっかりと指導をしていかなければならないというふうに思いますので、早急に手当てをさせていただきたいと思います。
○高市委員 ありがとうございます。恐らく農水省にも行っていると思います。現地対策本部の日報でございます。
 次に、四月三十日の夜に、内閣官房は危機管理監を長とする局長級の会議も開催しておられたと存じますし、自衛隊派遣の方向で急遽調整されたと聞いております。そして、五月一日の午後、十五時五十分に第四三普通科連隊先行班が川南町に到着、十六時二分には油圧ショベルを含む第四三普通科連隊本隊が到着したと記録をされております。
 ところが、五月一日、出動してみたものの、農水省と宮崎県の調整がまだ十分じゃなかったのかもしれません、到着日には、自衛隊は活動する場所も与えられないままだということを聞いております。翌日からは活動に入ったようなんですけれども、町が民間業者を雇ってそれまで対応していたことから、派遣された自衛隊の活動は当初は低調であったということも聞いております。
 宮崎県からの要請によりまして、殺処分後の家畜の埋設用地の掘削支援、それから輸送支援、牛舎や豚舎の消毒支援というものを担当することになったものの、また埋設用地の手配ができていなかったために、五月十一日時点までの仕事というのは家畜のふん尿の除去というのが主任務だった、これも現地からの情報で伺っております。
 私は、先ほどから農水省の御答弁も聞きまして、シカやイノシシの話も聞きましたけれども、ちょっと、政府による全体計画というものをつくるのがおくれているということから、当時は全体計画そのものがなかったことから、自衛隊が場当たり的な対応を強いられている、今後もさまざまな影響が出てくるんじゃないかと考えているんです。
 防衛副大臣がおいでになっているので、伺います。
 まず、自衛隊員及び重機の派遣時期というのは五月一日で適切だったとお考えでしょうか。
○榛葉副大臣 高市委員にお答えいたします。
 まず、冒頭の質問に、現地で汗をかいている自衛官を含めた現場の皆さんに温かいお言葉をかけていただきまして、感謝を申し上げたいと思います。
 御質問の内容でございますが、五月一日土曜日十二時に、宮崎県知事から、陸上自衛隊第四三普通科連隊長、これは都城駐屯地でございますが、に対しまして、いわゆる自衛隊法八十三条に基づく災害派遣要請がございました。この災害要請を受けまして、埋却場所の掘削作業、そして、殺処分後の死体、先ほど先生おっしゃいましたふん尿を含む汚染物質の運搬及び埋却作業、そして消毒作業を実施したということで、宮崎県知事からの要請に基づいて、この日から活動を開始したということでございます。
○高市委員 では、適切な派遣だったというお答えかと思います。
 自衛隊の災害派遣につきましては、慣習的なものでございますけれども、緊急性、公共性、非代替性、これを要件として、この三要件に該当するかどうかということで、それを判断して対応することとなっていると承知しているんですが、それでよろしいでしょうか。
○榛葉副大臣 平成十六年に、自民党さんが政権をとっていらっしゃったころ、京都で鳥インフルエンザが起こりまして、このとき私は外交防衛委員会の委員でございました、野党でございましたが、さまざまな議論がありました。
 先生御質問の点につきましては、今先生がおっしゃったとおりでございます。
○高市委員 今回の派遣は、その三要件すべてを満たしておりますか。
○榛葉副大臣 満たしているというふうに考えております。
○高市委員 私は、今回のケースでは、非代替性というよりはむしろ緊急性を優先されたものだと理解いたしております。
 当初、宮崎県では、自衛隊が派遣されるまで、主に民間事業者を使って処理をしておりました。町が雇った民間事業者などが処分に当たっておりましたので、どちらかといえば、私は、ゴールデンウイーク中ぐらいの政府が最も急ぐべき対応というのは、早急に財政支援を決め、場合によっては県外の民間事業者などの雇い入れも含めて、初期の処分を迅速化するということだったんじゃないだろうかと思うんです。
 ただ、自衛隊派遣は現地からの要望であったということですし、緊急性というものでは実際に人手が足りなかったんだろうと思いますので、そこは理解いたします。
 ただ、今後、不幸にして、先ほど来申し上げておりますように、口蹄疫が全国に拡大していった場合、と同時に、不幸にして朝鮮半島情勢への大がかりな対応が必要になるという本当に最悪のシナリオを想定した詳細な派遣計画、人員配備、こういったものを詰めておく必要がある。これは私は非常に強く思っている点なんです。
 川南町に派遣された陸上自衛隊なんですけれども、一たん派遣されてしまいますと、ウイルスをほかの地域に運んでしまわないようにということで、事態が収束するまで、基本的には川南町に張りついて任務に当たらなきゃいけないということになります。
 自衛隊は陸海空それぞれありますけれども、私は、それぞれの部隊が持つ特性、能力、それからまた装備というものを十分に熟慮していただいて計画的な人員配置を行わないと、もしも他県で対応が必要になった場合、一たん張りついている自衛隊を長距離動かすとウイルスを運ぶ可能性がやはりあるわけですから、他県で対応が必要になったり、また、朝鮮半島有事で非常に広範な対応が必要になったというときに、取り返しがつかないことになります。
 重機を持って現場入りした陸上自衛隊による埋却処分と輸送の業務というのは、やはり自衛隊の能力を大いに発揮できる任務だと思います。ただ、全く代替性というものがないかというとそうじゃなくて、感染地が拡大してしまった場合には、国で費用負担をした上で、全国各地の土木事業者にも応援を依頼するといった取り組みも可能なんだろうと思っております。
 それから、航空自衛隊。
 航空自衛隊は今、消毒ですとかふん尿処理に当たっているようなんですけれども、これは、非代替性という意味では、私は航空自衛隊でなくてもできる仕事だと思っています。消毒ポイントをふやすという計画があることから、航空自衛隊には追加派遣を要請して、航空自衛隊の方もそのつもりでおられるようなんですけれども、仮に朝鮮半島情勢が悪化したような場合には、日本国として最も早期に求められるのは、航空自衛隊と海上自衛隊によります警戒監視業務になります。だから、ここに万が一にも影響が出るようなことがあってはいけません。
 現地の人手不足という事情からやむを得ないことはわかるんですけれども、消毒業務については、例えば全国の都道府県警、今は既に警察も消毒業務を手伝っておられると思いますので、都道府県警への応援要請ですとか、それから民間事業者への応援要請も含めて、安全保障上の対応というのも頭に入れて今後の人員配置計画を立てていってほしいんです。
 副大臣にお伺いしたいのは、今申し上げたのは本当に最悪のシナリオですけれども、長期化、感染拡大、そしてまた朝鮮半島対応、こういったものも見通した上で、自衛隊の各部隊の派遣計画についてどう考えておられるのか、どういう御予定があるのか、教えてください。
○榛葉副大臣 委員が非代替性ということをおっしゃいましたが、当初民間でこの埋却活動をやっておりましたが、感染する家畜のふえるスピードといわゆる埋却するスピードが、質と量が追いつかないということで、まさに自衛隊でなければ、鳥インフルエンザのときではないですが、対応できないということでございます。
 先ほど委員が御指摘になりましたように、この感染が、動物から動物もそうですが、人の出入りによってこれが他の地方に感染をするということはやはり避けなければならないということで、第四三普通科連隊が集中をしてやり、先ほど消毒作業を航空自衛隊がやっているというふうに御指摘になりましたが、そのとおりでございまして、これは、新田原基地にあります第五航空団が作業しております。
 なるべく半径を小さくして、その中で処理をしていく、他の都道府県から人員要請をいたずらにふやしましても、それがまた感染の原因になってはいけないということですので、今このように対応しているというふうに御理解をいただきたいと思いますし、今おっしゃいました、北朝鮮有事を含めたさまざまな安全保障環境にきちっと対応できる体制を構築するということが、我々の本来の、そもそもの任務でございますから、これをそごのないように、また、穴のあかないようにしっかりと対応してまいりたいと思います。
○高市委員 それでは、官房副長官にお伺いいたします。
 五月十六日十時から、平野官房長官が、宮崎県都城市で通行車両の消毒ポイントを視察されています。
 その折に、地元のJAの組合長さんから「事業団の種雄牛四十九頭も殺処分の対象となっているが、種牛を作るのに最低でも五年はかかる。超法規的措置で四十九頭を殺処分しないように出来ないか。何とかよろしくお願いしたい。」と頼まれています。官房長官は「ああ、そうですか。」と言われた後、同行の事務方の人に対して「ちょっと今のことをメモしておいて。」と指示されたという記録が残っています。
 その後、十二時過ぎから、宮崎県庁の講堂でマスコミのぶら下がり取材に官房長官は応じられて、記者から「種牛四十九頭を処分するのか。」という質問に対しまして、「後のことを考えれば、時間軸として、五年から十年かかる。慎重にする必要がある。」と答えておられます。
 この官房長官の答えぶり、これを受けまして、地元の方は非常に大きな期待を持たれたと思うんですけれども、この種牛の処分について、どのような方針でございましょうか。
○松野内閣官房副長官 今先生御指摘のお話、今の段階で細かくつかんでいるわけではございませんけれども、今政府の中で検討しているのではなかろうかというふうに思っております。
 ただ、やはり法の問題がございますので、そこのところはしっかり見ながら検討していく必要があるのではないかというふうに思います。
○高市委員 済みません、詳しくつかんでいないというお答えじゃ困るんです。官邸にいらっしゃって、それじゃ困るんです。
 私自身も、自分自身が閣僚を務めたり副大臣を務めたりしたときに、やはり省内のだれかが、特に認証官が外に出かけていったときにどういう発言をしたか、どういう話を聞いてきたか、残っている記録というのはすべて読んでおりました。
 そしてまた、官邸で全部の対策を取り仕切っていただいているわけですから、状況を把握していないということじゃなくて、官房長官がおっしゃったら、地元の方は大変期待を持たれますから、実際にそれができるのかどうか、どういう方針にしたのかということをきょうの時点でお答えになれないということでは、もう時間もたっておりますから、大変困ると思います。
 最後に、副長官にお願いがございます。
 ゴールデンウイーク中の大臣の海外出張ですけれども、これは、大臣が海外に出られますと、それぞれ代理も立てますから、官邸の方でさまざまな調整をされているということは承知をいたしております。
 例えば、この鳩山内閣で最大の課題として、まず、五月末までに普天間の決着もしなきゃいけない、一方で、宮崎県では、口蹄疫が大変な状況になっている。そうなると、私の思いとしましては、やはり農水大臣には、海外出張の方は代理の人を手配していただいて、すぐさま宮崎県にお入りいただきたかったです。メキシコ、キューバ、コロンビアと農水大臣は回っておられますけれども、もう既にかなり事例が発生していた後のことでございますね。
 それから、普天間に関しましても、鳩山総理は、沖縄県の皆さんが納得し、また日米両方が納得できる、そういう結論を出すということをこれまでおっしゃっているわけですよね。沖縄県の人も日本もアメリカも納得できる、そういう結論を五月末までにきっちりと決める、得るということになりますと、私、岡田外務大臣は外交の顔でございます、外交一元化の原則でございますので、やはりアメリカの外交責任者としっかり話を詰めてほしかった。岡田大臣は南アフリカ、タンザニアに行かれていますけれども、そういう時期じゃなかったんじゃないかと思います。
 そして前原大臣も、沖縄担当大臣です。沖縄の皆さんの納得も得るということでしたら、ぜひ、沖縄県に入って、ゴールデンウイークの間じゅうでも、すべての市町村を回りながらやはり調整をしてほしかった。確かに、高速鉄道の売り込み、重要だということはわかりますけれども、ベトナムに入られている場合じゃなかっただろうと思います。
 また、防衛大臣もインドに行かれておりますけれども、普天間の問題というのはやはり日本の安全保障上も物すごく重要な問題でございますので、インドに行っている場合じゃなかったんじゃないかと思います。
 やはり、日本が直面しているさまざまな課題の中で、優先順位を決めながら、今回、閣僚にとって非常に貴重なゴールデンウイークの時間だったので、国益に資するような調整を今後ぜひともお願いをしたいと思います。
○松野内閣官房副長官 内閣府及び内閣官房に大変お詳しい先生のお言葉でございます。しっかり受けとめさせていただいて、官房長官にもお伝えさせていただきたいと思います。
○高市委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

第174回国会 厚生労働委員会 第22号 平成二十二年五月二十一日(金曜日)    午前十時二十分開議

○菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。
 法案その他の審議に入ります前に、通告はいたしておりませんが、長妻大臣に冒頭お尋ねをしておきたいと思います。
 きのうも本会議で議論がございました。今まさに宮崎県を直撃している口蹄疫問題。きょうは、五月の二十一日でございます。四月の二十日に宮崎県の都農町で一例目が発生し、ちょうど一カ月たった。きのうもお話がありましたように、私ども自民党は翌日に、宮腰議員を初め四名が現地入りをし、県議会やJAの皆さんと意見交換をし、そしてまた二十二日には、赤松農水大臣に、自民党の方から、この対策の早急な実施をせよ、こういう申し入れをいたしました。二十七日には、東国原宮崎県知事が、大臣あるいは我が党の谷垣総裁に緊急対応を要請した。二十八日には、谷垣総裁、我が党の口蹄疫対策本部の本部長として、やはり宮崎入りをしたわけであります。
 翌日には、農水の山田副大臣が現地入りをしておられるようでありますが、三十日には、現地に入らず、赤松大臣は、メキシコ、キューバ、コロンビアへ、中南米に、この宮崎が壮絶な地獄絵になっているこの状況の中に、予定どおり海外出張しているわけであります。帰ってきたのが五月八日。このときにはもう牛が十六例、二千三十六頭、豚が二十二例、五万七千四百五十頭と大量の感染が確認をされているわけであります。結局、五月の十日ですよね、赤松農水大臣が宮崎入りしたのは。
 この一例目が発生して三週間目に初めて現地に入る。これはもう大臣失格、もうそれ以前の問題ではないかと私は思っています。これは厚労委員会ですから、このことについてはこれ以上申し上げません。この約一カ月の間、長妻大臣はこの口蹄疫問題、どう取り組みをされ、省内にいわばお達しを出されたのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
○長妻国務大臣 これは本当に大変な問題でございまして、政府を挙げて全力で対応するということで、今鋭意取り組みをしているところであります。
 厚生労働省、私としては、定例の記者会見の場で申し上げましたのは、この口蹄疫は、牛、豚等が感染する病気であり、仮に口蹄疫にかかった家畜の肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に影響はないということが食品安全委員会で見解が示されている、こういうようなことも申し上げて、人に対する過度な御不安がないようにしていくというのが一つの務めであるということ。
 あとは、厚生労働省の所管としては、獣医師の派遣、これについては厚生労働省でございますので、五月十七日に現地対策本部、関係省庁から成るものが設置されましたので、そこに九州厚生局、これは厚生労働省の一部ですが、そこの担当課長を派遣し、そして、労働の問題も発生をいたしますので、現地の労働局の企画室長もその対策本部に派遣をし、雇用調整助成金という、会社の中で休業されておられる方の休業補償を会社に補償するという厚生労働省の制度もありますので、これについても、今回の口蹄疫の被害を受けた周辺の企業は御利用ができますということについても、先ほど本日の定例記者会見でも強く申し上げ、マスコミの皆さんにも周知をし、現地にも周知をさせていただいているところであります。
○菅原委員 今答弁いただきましたことは万全を期していただきたい。
 あわせて、やはりこの問題が長期化しますと、酪農家の方々は、まさに自分の人生がどっちの方向に行くかわからないくらいの大変な、悲惨な状況ですよね。そうすると、心身ともに憔悴し切って、メンタルケアの問題なんかも出てきやしないか。この辺をやはりカバーしていただきたい。と同時に、農水省との合同あるいは連携の協議の場というのは設けておられるのか。その二点、ちょっとお聞かせください。
○長妻国務大臣 これについて、まず協議の場ということでありますが、政府の口蹄疫を対策する部署ができまして、そこに厚生労働省も参加をさせていただいているということと、今御指摘いただいたこのメンタルヘルスの観点につきましても、きょう御指摘いただきましたので、さらに徹底して注視するように、宮崎県の労働局あるいは関係部局に指示をしてまいります。
○菅原委員 いわゆる医学的あるいは科学的に人体に影響はないであろう、その食肉を食べても大丈夫であろう、これは今直近の分析、解析によっての現況かと思うんですが、今申し上げたようなメンタルケアを含め、今後、さまざまなことが発生しかねない。したがって、よくこれは農水省と連携をとり、また、今の政府の対策本部も本腰を入れて、この約一カ月の間、まさに後ろ向きの状況であった、農水大臣の行動を見れば一目瞭然ですよ。こうした声を宮崎県の県民はもとより国民から抱かれないように最善の努力をしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

第174回国会 財務金融委員会 第16号 平成二十二年五月二十一日(金曜日)    午前九時二十分開議

○福嶋(健)委員 民主党の福嶋健一郎でございます。
(中略)
 一方で、国内に目を転じてみれば、きのうの衆議院本会議でもございましたけれども、口蹄疫の問題がございます。宮崎県では、この一カ月でどんどん被害は拡大して、きのう時点で牛、豚合わせて十三万頭超の被害が出ておりますし、鹿児島県、そして私の地元でございます熊本県でも、今、地域の大事な産業でございます畜産農家は本当に被害を受けて、将来に対する、生活に対する不安、悲しみ、こういったものは筆舌に尽くしがたいものがあると思います。
 政府は対策本部を立ち上げまして、今いろいろな手を打たれております。これについては速やかにやっていかないといけないと思いますけれども、例えば道でも、県境の道が全部二十四時間消毒をされているかというと、まだそこまでは至っていません。あるいは、野生のシカが、場合によっては感染したのがうろうろ道なき道を動いているなんということも、可能性としては十分あるわけでございます。
 こういう面からも決して予断を許さない状況であり、我々は、原因究明とそして再発防止は当然のことでございますけれども、やはり畜産農家の皆さんの生活の不安を払拭しないといけない、立て直していかなければいけないということが急務であると思います。農水委員会を初めとしていろいろな委員会で御議論されていると思いますけれども、きょうは財務金融委員会ですので、財務とか金融という面から幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず、財務大臣にお伺いをいたします。
 この口蹄疫対策において財政面で具体的にどのような対応をされるのかということにつきまして、大臣の口蹄疫に対する決意というものとともに、この具体策について伺いたいと思います。
○菅国務大臣 まさに大変な大きな状況が生まれていることは共通の認識だと思います。
 改めて申し上げますと、宮崎県で発生している口蹄疫の対策については、十九日、全閣僚が参加する口蹄疫対策本部を総理の本部長のもとで立ち上げました。そして、今問題となっている地域を中心として十キロ圏内はすべての牛、豚を対象にワクチン接種と殺処分を実施する、十キロから二十キロの間の圏内は早期出荷を促進することをこの本部で決定いたしました。そして、患畜等の殺処分に当たり、家畜伝染病予防法に基づく手当金の交付の迅速化などのための措置を講じることといたしております。
 この手当金を含むいろいろな費用については、予備費からの支出が法律上可能となっておりますので、その予備費をもって充てることを、財務省、私としても進めていきたいと考えております。
 なお、この手当金の交付の迅速化ということについては、いわゆる標準評価額を用いた概算払いを実施し、殺処分の評価額と手当金の差額を宮崎県が負担した場合には、特別交付税を措置する。
 そういった形を含めて、資金的な面で、何か作業やいろいろな拡大防止策が停滞することがないように全力を挙げていきたい、このように考えております。
○福嶋(健)委員 今までのそういった枠組みを超える対策をするということでございますので、当然、今大臣が御答弁されたさまざまなことをやるとお金がかかるわけでございます、一言で言いますと。ただ、こういったものについては、やはり迅速な姿勢を見せておかないと、最終的にはお金は出たけれどもえらい遅くなったというふうなことでは余り意味がないわけでございまして、この点につきましても、農水省を初め各省庁と連携していただいて、とにかく思い切った財政対策をとっていただきたいと思います。
 今大臣がおっしゃられた家畜伝染病予防費、これは農水省の予算では約三十六億円です。足りません。そういう意味では、今大臣がおっしゃったように、同じ費目で財務大臣の裁量で予備費を使えるというふうな財政法上の手だてになっておりますので、この部分につきましても、まさにそういったときのための予備費でございますので、迅速な対応、柔軟な対応をぜひよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、金融面のお話なんです。
 当然のことながら、農家の皆様方も、農協であったり、あるいは信金、信組であったり、銀行であったり、金融機関のお取引というのはあるわけでございます。こういう中で、今回の口蹄疫の状況の中で非常に厳しい資金繰りを多分とられているのかなというふうに思いますけれども、昨年施行されましたいわゆる中小企業金融円滑化法案、これについてなんですが、農家の皆さんというのはこの対象に含まれているんでしょうか。このことについて教えていただきたいと思います。
○亀井国務大臣 当然含まれております。
○福嶋(健)委員 ありがとうございます。その言葉を聞いて安心する農家の皆さんはたくさんおられると思います。
 実は、きょうは資料としてお出ししていないんですが、金融庁さんがつくられたパンフレットがございます。「中小企業金融円滑化法について」というパンフレットでございます。こういったものの中を見ても、農家という文字は残念ながら出てきませんし、こういう絵でかいてありますけれども、大体、中小企業の経営者の皆さんあるいは自営業の皆さんということで、農家の姿をされている絵はないわけですね。だから、そういう意味におきましては、今大臣に御答弁をいただきまして、農家の皆さんは本当に安心をされるのかなというふうに思います。
 それを受けて、今回の口蹄疫の発生に対して、いわゆる金融面ではどのような対策をとられてきたのか、そしてこれからどういうふうな対応をとっていかれようとするのかということについて伺いたいと思います。
○亀井国務大臣 いわゆるモラトリアム法案の施行に当たりましても、農家についても特段の配慮をするということを金融機関に強く要請しておったわけでありますが、このたび重ねて十八日の日に、被害の農家に対して遺漏なきようきっちりと対応してくれということを、金融機関に対してまた緊急にお願いをいたしております。
○福嶋(健)委員 今大臣の御答弁がありましたように、これは金融庁のホームページにも掲載されておりますけれども、五月の十八日付で、金融庁の監督局長の名で、全銀協を初めとして、諸団体に対して要請がなされておるやに聞いております。
 ペーパーを一枚出すことは非常に大事なことなんですけれども、受け取った側も、きちんとその隅々の、やはり地域の金融機関にその趣旨、思いが伝わっていかなければ意味がございませんので、これは先ほど申し上げましたように、農家の皆様方への周知徹底とあわせて、金融機関に対してもさらに周知徹底をしていただきたいというふうに思います。
 このペーパーに「借り手の状況を丁寧に把握した上で、コンサルティング機能を十分に発揮しながら、」という文言が書いてあります。これは実は、先週、亀井大臣が国民新党の代表として熊本にいらっしゃったときに、私もおったんですが、そこで同じことをお話しになられました。
 やはりこういうふうなところで、まあ言うとお役所の文書で、きちっとコンサルティング機能ということを明確化しているというのは非常に評価できるというふうに僕は思っております。私も銀行出身でございますので、こういうふうなことがあると、やはり本気なんだなということでございますので、銀行に携わる人にとっても大きな力になると思います。そういう意味では、先ほど申し上げましたように、いろいろなフォローの方をお願いいたします。
 中小企業金融円滑化法案については、前回の質問のときにも同じことを言いましたけれども、この第一条で、中小企業者等に対する、今回、農家の皆さんはここに入ってくるんですが、金融の円滑化を図り、それにより、事業活動の円滑な遂行、雇用安定を通じ、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展を目指すというふうなことが文言で書いてございます。
 施行されてもう半年がたつわけでございまして、五月の十五日ぐらいですか、一回しまって、そういう意味では今、集計作業をされているところだと思います。これにつきましては、実はもう時間が余りないんですけれども、大手主要行等々でもいいんですが、数字のところなので副大臣にお伺いできればと思うんですが、よろしくお願いします。
○大塚副大臣 三月末までの実績の御下問だと思います。
 全国の国内銀行百四十七分の集計でありますが、百四十七行で、対象期間内に申し込みが二十七万六千三百八件、金額にいたしまして九兆一千四百四十五億円、そのうち実行されたものが二十万六千三百八十一件、七兆二千四百三十九件。まだ審査中のものもございますので、審査中のものを除くベースで実行率は九八%であります。
 今のが企業向けでありますが、住宅ローンに関しましても、実行率は九三・八%になっております。
○福嶋(健)委員 そういう意味におきましては、全部の数字が集計されてから、立ち上がりの実績に対する評価については、また亀井大臣の方に、次の質問の機会にじっくりとお話を伺いたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、きょう最初に申し上げましたが、海外ではギリシャ危機、最近ニュースには余り出てきませんけれども、こういったものもある。そして、国内でも、今申し上げましたように、口蹄疫を中心としてさまざまな問題がございます。こういう中で、政務三役の皆さん、そして私たち立法に携わる人間として、一緒になって、とにかく、先ほどのコンサルティング機能ではないですが、知恵を出し合っていかなければいけないというふうに思っております。このことがやはり国民の皆さんの生活不安を払拭するというふうなことでございますので、ぜひよろしくお願いします。
 本日は、このことをお訴え申し上げまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。

○徳田委員 自由民主党の徳田毅です。
 本日は主に、財政健全化へ向けた取り組みについてお伺いしたいと思いますが、その前に、今大きな問題となっている口蹄疫について、二、三質問させていただきたいと思います。
 この口蹄疫、四月二十日に第一例目が確認をされて約一カ月になりますが、今や発生戸数が百四十六戸、そして殺処分の対象が十二万五千二百二十六頭にまで、まさにパンデミックと呼べる状況にまで感染が拡大しています。私は地元が鹿児島でありまして、宮崎と同じ畜産県であります。二〇〇一年にイギリスでこの口蹄疫が発生した際には、六百万頭を超える家畜が殺処分され、一兆円を超える損害を出した。そういう教訓からも、私たちはこの口蹄疫に対して強い危機感を持っておるわけです。
 そうした中で、ここまで感染が拡大した大きな原因として、やはり初動において十分な対策が行われなかったのではないか。または、ゴールデンウイーク、連休というのはある意味では一つの大きな正念場だったということを思いますが、その間に赤松大臣が外遊に行かれていた。正直申し上げて、私たちの感覚からすれば絶対にあり得ないことなんです。あり得ないにもかかわらず、赤松大臣は国際会議でもないのに視察に行かれていた。これは問題があると指摘されてもおかしくはないんだということを思います。
 今宮崎では、大変な被害を出され、そして本当に毎日のように農家の方が消毒作業に当たり、またはこれから殺処分される牛に一生懸命えさを与えている、そういう思いをされている中で、まず一つ、菅大臣に、これまでの政府の対応についてどう思われるか、またこの口蹄疫の問題についての御所見をお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 現在の状況は、もう徳田議員よく御承知のように、総理を本部長とする本部をつくって、十キロ圏についてはすべてを、ワクチンを投与するしないを含めても殺処分にする。十キロから二十キロ圏のものについては早期に出荷をして、それ以上の拡大を何としても防ぎたいということで、自衛隊あるいは警察あるいは他の県の獣医さんも含めて、とにかく全力を挙げて拡大を防止するということに最大の努力をし、また財政的に必要なものについては予備費からの提供で、財政的なレベルでおくれがないようにという対応をとっているところであります。
 当初の政府の対応についていろいろ御指摘があることは私も承知をしておりますけれども、その部分についてどうであったかということを、私の中で細かい経緯が頭には必ずしも入っておりません。
 ただ、一般的に言えば、やはり結果としてこれだけの拡大を招いたことについて、責任があるなしということを超えて、やはり政権を担当する、あるいはこういう問題を担当するそれぞれの部局がもっと努力する余地があったのか、そういった指摘があることは厳しく受けとめなければいけない。ただ、今の段階では、とにかくまずはこれ以上の拡大をとどめるところに全力を挙げていきたい、このように考えております。
○徳田委員 ありがとうございます。
 ここで、赤松大臣が外遊に出られていたことも含めて責任を追及するつもりはありませんが、しかしながら、もはや激甚災害と呼べる状況にまで被害が発展している。こういう状況で、やはりもう少し強い危機感を持っていただきたかった。外遊に行かれていて、地元の農家の方が、本当に政府が一生懸命やってくださっているとはとても思えないわけです。
 きのう本会議でも、赤松大臣は何度か答弁をされました。その中では、おわびどころかお見舞いもなかった、私から見て、赤松大臣の表情の中にです。日夜不休不眠で取り組んでおられる東国原知事のような憔悴感や必死さというものはとてもじゃないけれども伝わってこない、これは大きな問題だということを私は思っております。
 そして、五月十九日には政府から、口蹄疫に対する防疫対応等についてという文書が発表されました。この中には、先ほど菅大臣の方からもありましたとおり、十キロ圏内のすべての牛、豚を対象にして殺処分を前提としたワクチン接種を行う、また、十キロ―二十キロ圏内においては早期出荷を行うこととなり、早期出荷の価値の低減分、経営再開支援金を交付するということなども記されています。
 この新しい方針については、関係省庁として財務省も一緒に協議をされたのか、菅大臣自身も赤松大臣と直接協議をされたのか、教えていただきたいと思います。
○菅国務大臣 特にこの費用の点について、協議といいましょうか、いろいろ要請がありました。
 もう御承知だと思いますが、予備費の支出の場合、あらかじめ閣議の決定があれば財務大臣の判断で支出できるということで、この項目の中に家畜伝染病予防費ということが既に入っておりますので、少なくともこの範疇にかかわる費用であれば私の判断で出せるということで、私からも、総理も含めてですが、つまり、財政的な面で物事がおくれることがないように、そこは財務省としてもしっかり対応しますからということを申し上げました。
○徳田委員 今、半径十キロ圏内のすべての牛、豚を対象として殺処分するということが発表されておりますが、これになると二十万五千頭が殺処分されることになります。また、殺処分された、被害に遭った農家だけが対象ではなくて、これから、関係して損害をこうむっている農家に対する支援、また終息後の地域の再生などについてもやはり政府として取り組んでいただくべきだということを考えています。
 例えば、今、競りがとまっているのは宮崎だけではなく、鹿児島でも熊本でもとまっている。今の状況では、農家の方たちは何の収入もありません。子牛を出す場合、二百八十日というのが出荷する適齢期でありますが、それが三百二十日、三百五十日となれば、もちろん価格が下がっていく。しかしその一方で、今は出せないものですから、その間の経費もかさむ。まさにダブルパンチです。
 こうしたところにもしっかりと支援をしていただきたいと思うのですが、政府として大体どれぐらいの予算を想定されておられるのか、お伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 先ほど申し上げました家畜伝染病予防費という範疇で出せるものと、今徳田議員からお話がありましたように、ある意味ではそれを超えて、将来の再建、あるいは現在の生活の維持、地域にいろいろかかる費用の補てん、そういったことが必要になるという認識は持っております。
 それらについては、直接には農林省でありますが、現在、県や市、自治体からもいろいろな形で要請が、現地対策本部あるいは本部の方にも上がってきていると認識をしております。
 ですから、今の段階で、財務省、私の立場からこの程度ということはまだ申し上げる段階まで来ておりませんが、そういった自治体、地元からの要請を含めて、しっかりと受けとめて対応していきたい、基本的にはそのように考えています。
○徳田委員 一部報道では、今月十七日に鳩山総理と赤松大臣が会談した際に、総理が予備費から一千億ぐらい使っていいということを明かされたということがありましたが、その後、財務省政務三役のお一人が、財務省には指示はない、せいぜい百億ぐらいだとおっしゃられたという報道がありました。
 新聞報道を前提にここで質問をするつもりはありませんが、もし実際に百億程度だと言われたのであれば、それは余りにも危機意識が希薄なのではないかということを思います。例えば、BSEについてもやはり三千億ぐらいかかっているんです。この口蹄疫についても、決して終息したわけではなく、現時点においても感染拡大が進行中ということもあります。
 この額というのは、多ければいいというものではないかもしれませんが、しかしながら、これが、皆さんが持っている危機意識がどれぐらいのものかということを農家の人たちに対して示すものだということは思います。
 私は、改めて、この口蹄疫の問題について、どこまで地域を、農家を支援すべきなのかということを政務三役の方からお伺いしたいと思います。
○野田副大臣 予備費で一千億という報道が出まして、その日に会見をしたのは私でございます。一千億という御指示は総理からいただいてはいないという事実関係は申し上げました。妥当な額は百億と言った記憶はありません。一千億という指示はないという会見をさせていただきました。
 基本姿勢は先ほど大臣の御答弁のとおりであって、防疫対策あるいは経営安定対策を含めて、必要な所要額については、財政が制約になることのないように万全を期していきたいというふうに思っています。
○菅国務大臣 認識は同じでありまして、特に総理の方から、あるいは官邸の方から、具体的な額が何か言われたということはありません。
 今、副大臣からの答弁のとおり、財政的な制約で対応がおくれることがあってはいけないと思っておりますし、今後のことについても、いろいろな試算はあり得るとは思いますが、どちらかといえば、財務省が試算するというよりは、やはり現場なり農水省の方が、先ほど言われた二十万頭の問題、時期の問題等を含めて考えていただく中で対応していくということになろうかと思っております。
○徳田委員 今、公明党さんや私どもでも家畜伝染予防法の改正または特別措置法についても検討をしておりますし、民主党さんの方でも考えていただいているということでありますので、実際に地元の声をしっかりと聞いていただいて、どういう支援が本当に必要なのか、そういうところまで含めて、どうか手厚い支援をお願いしたいと思います。
 それでは、財政健全化についての質問に移りたいと思います。
(後略)

第174回国会 本会議 第23号 平成二十二年五月二十一日(金曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十三号  平成二十二年五月二十一日   午前十時開議

○加藤修一君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました地球温暖化対策基本法に対し質問をいたします。
(中略)
 最後に、現在、宮崎県で猛威を振るっている口蹄疫は、明らかに初動対応の遅れであります。危機管理無能による政権災害であります。ゴールデンウイーク中の閣僚の外遊は十一人、特に赤松農水大臣が四月三十日から五月八日までの陣頭指揮すべきときに外遊とは、全く無責任であります。鳩山政権の後手後手、政治主導のつまずき災害であります。口蹄疫等の集中審議を強く求めて、質疑を終了いたします。(拍手)

○木村仁君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
 冒頭、口蹄疫に対する政府の初動態勢の遅れについて、遺憾の意を表します。
 目下の口蹄疫の蔓延に対する政府・与党の対応ぶりは極めて緩慢で、危機意識に乏しいものでありました。特に、責任者である赤松農林水産大臣は、連休中、長期にわたり外遊し、帰朝された時点では既に六万頭を超える殺処分を必要とする深刻な事態に至っていたのであります。にもかかわらず、赤松農水大臣は、自分としては全く反省するところ、おわびするところなどはないという無責任な発言をして、その責任を否定いたしました。
 今次の口蹄疫においては、現場の国民、地方自治体、政府の事務方の不眠不休の努力とは裏腹に、いわゆる政務三役、総理官邸及び与党首脳の連携関係の不備を露呈し、与党の危機管理能力の欠陥を示したものと言わざるを得ません。誠に遺憾であります。
 しかし、口蹄疫の蔓延は与野党の対立関係を超えた国民的危機でありますから、自由民主党は全力を挙げてその鎮圧に協力をいたすものであります。その上で、自民党は、行政的にも財政的にも国の全責任においてこの問題に対処されることを要請いたします。

第174回国会 議院運営委員会 第33号 平成二十二年五月二十五日(火曜日)    午後五時十五分開議

本日の会議に付した案件
(中略)
 赤松農林水産大臣の「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告についての発言及びこれに対する質疑に関する件

○松本委員長 次に、赤松農林水産大臣から、「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について発言の通告が参っております。
 本発言及びこれに対する質疑は、本日の本会議において行うことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 なお、本発言に対し、民主党・無所属クラブの道休誠一郎君、自由民主党・無所属の会の古川禎久君、公明党の石田祝稔君、日本共産党の赤嶺政賢君から、それぞれ質疑の通告があります。
 質疑時間は、道休誠一郎君、古川禎久君、石田祝稔君はおのおの十分以内、赤嶺政賢君は七分以内とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 なお、質疑者の要求大臣は、お手元の印刷物のとおりであります。
    ―――――――――――――
 一、「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について
      農林水産大臣 赤松 広隆君
   質疑通告     時 間  要求大臣
 道休誠一郎君(民主) 10分以内 農水、経産
 古川 禎久君(自民) 10分以内 総理、農水、総務
 石田 祝稔君(公明) 10分以内 総理、農水
 赤嶺 政賢君(共産) 7分以内 総理
    ―――――――――――――
(後略)

第174回国会 農林水産委員会 第13号 平成二十二年五月二十五日(火曜日)    午前九時開議

本日の会議に付した案件
 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫の発生状況及びその対応について)
     ――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫の発生状況及びその対応について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。
○道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。
 まず、質問を始める前に、今回の口蹄疫の発生農家、関係農家、そして感染地域の皆様に心中よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早く口蹄疫が終息することをお祈り申し上げます。
 御案内のように、畜産王国宮崎は、今、口蹄疫というパンデミックに襲われ、日本国民が経験したことのない見えざる敵に向かって闘いを挑んでおるところでございます。子供のように慈しみ、大切に育てた牛や豚を一瞬にして失う。長年の仕事や将来への夢、希望が打ち崩されていく。本当に、現場の農家、発生農家は言うまでもなく、地域社会が崩壊寸前の危機に瀕している状態でございます。
 口蹄疫に関する質問をさせていただきますけれども、質問の内容としましては、私に続きまして同僚の川村議員が質問されます。川村議員と私で手分けをしておりますので、私は、基本的には、対応策等についての質問をさせていただくという段取りで進めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 まず第一に、日ごと感染農家はふえ続けているわけですけれども、先ほど得た資料によりますと、きょうも二百件まで達しているという状態でございます。この現状の評価並びに終息に向けての御決意、これを赤松大臣の方からお聞きしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○赤松国務大臣 口蹄疫の発生の中で、当該の農家の皆さん、畜産の皆さん、関係の皆さん、大変苦悩の中で日々取り組んでおられます。
 心からお見舞い申し上げると同時に、政府としては、県そして市町村と一体となって、とにかくやれることはすべてやり切る、この信念のもとに、全力を挙げて、早期の終息に向かっていけるよう頑張ってやっていきたい、このように思っております。
 残念ながら、川南町を中心にして、昨日も新たな発生があったということで、トータルで二百例ということになりましたけれども、地元の皆さん、関係の皆さんの御理解もいただく中で、殺処分を前提にしたワクチン接種ということも二十二日から始まりました。ちょうどきのう現在で約七三%の牛、豚についてワクチンの接種が終わったということでございまして、きょうも七十一チームのそうしたワクチン班をつくりましてやりますので、何とかきょうじゅうには、対象とする牛、豚のワクチン接種については終了するということになると思います。
 あとは、残っております約六万頭の牛、豚、疑似患畜の処理を急がなければいけない。とにかく早く殺処分をして埋却するということが、やはり今一番ポイントでございます。
 きのうも二時半からだったと思いますが、東国原知事のもとで、各市町村の皆さんにお出ましをいただきまして、そして、できるだけ公有地、町が持っている土地、県が持っている土地、そういうところを出してほしいということをお願いしていただきまして、県有地も三つほど出していただきましたし、ほかの町からもということで、詳細はまた必要であれば、副大臣、政務官等から説明させていただきますが、そういう形で埋却地の確保、ワクチンの接種。
 そして、現在、残っておった埋却の処理ということで、自衛隊、あるいは警察も九州管区全体から動員をかけて、倍の人数にふやしていただいております。
 また、国が持つ土地につきましても、防衛省の御配慮によりまして、新田原の基地のところの土地も、かつて鳥インフルエンザで埋めた実績もあるところでございますけれども、ここもかなり広い面積を提供していただいておりますので、とにかく早くそこへ埋め切るということが必要だということで、全力を挙げて今後とも取り組んでまいりたい、このように思っております。
○道休委員 大臣、ありがとうございます。
 今、御説明の中で大臣も若干触れていただいたんですけれども、続きまして佐々木政務官に、具体的に、感染の牛や豚についてのデータを御提示いただければと思います。よろしくお願いします。
○佐々木大臣政務官 口蹄疫の発生状況について、頭数あるいは比率など具体的な数字をということでございますので、私の方から答弁をさせていただきます。
 今、大臣もお答えいたしましたが、五月二十四日現在、発生件数二百戸、発生頭数は十四万五千頭、うち、牛が約一万九千頭、豚が約十二万六千頭でございます。
 宮崎県における飼養頭数は、牛が三十一万三千頭、豚が九十万六千頭でございますので、発生比率にいたしますと、牛が約六%、豚が約一四%となってございます。
 川南町を中心とした移動制限区域内においては、飼養頭数が、牛が約七万頭、豚が約二十二万六千頭でございますので、発生比率は、牛が約二七・三%、豚が約五五・六%となってございます。
 なお、えびの市を中心とした移動制限区域内については、飼養頭数は、牛が約三万三千頭、豚が約五万九千頭ですから、発生比率は、牛が約一%、豚が約〇・五%となっております。
○道休委員 どうもありがとうございました。
 続きまして、対応についての御質問をさせていただきます。
 四月二十日未明に第一例が確認されて、直ちに、赤松大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を立ち上げていただきました。さらに、五月十七日には、鳩山総理を本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、山田副大臣が現地対策本部長として陣頭指揮をとっていらっしゃいます。
 また、宮崎県においては、五月十八日に東国原知事が非常事態宣言を出して、関係の市町、そして県、国が連携して対応しているという状況でございますが、当初、畜産農家からは、感染した家畜がそのまま数日手つかずの状態であるとか、既に殺処分が決まっている豚がそのまま置いてあるとか、自衛隊が来たけれども機材がなくて動けないとか、現場のニーズを本当に的確に把握していただいているんだろうかというような動きが伝えられておりました。
 現在、現場のお話をお聞きしますと、当初よりは大分よくなってきている、本当に機能し始めているというお話もあるんですが、当初から、人数や機材については十分確保していますという首長さんたちのお話もいただきながら、残念ながら、その横の連携等がうまくとれなかったのではないかという懸念もあります。
 これにつきまして、現地対策本部で組織を指揮していらっしゃいます山田副大臣の方から、直近どういう動きをしていらっしゃるのか、あるいは、それぞれの組織がどういう働きを担って仕事をしているのかということについてのお話を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山田副大臣 五月七日に私の方で現地に赴きまして、一番最初にやはり消毒の徹底、いわゆる畜産関係の飼料車だけ自主的に引っ込んだところで消毒だけ行っているという状況でしたので、できれば、渋滞を恐れずに、すべての車両をひとつ消毒する必要があるのではないか。消毒ポイントも、北と南に、例えば一ツ瀬川のところ、六カ所の橋のところとか、北は都農の南の美々津町のところとか、そういうふうに線を引いて、消毒の徹底をまずは図らせていただきました。
 確かに、埋却がおくれておりまして、きのうも、発生は二千ぐらいなんですが、埋却が九百しかできていない、その前の日は八千なんですが、埋却が三百二十二しかなされていないというふうに、大変厳しい状況は依然とあります。
 埋却地の確保、そして、それに対する埋却のための人員をどのように配置、そして急がせるかということ。先ほど大臣が申し上げましたように、ワクチン接種も七三%まで来ましたので、すべて、現地においては、そういう対策をこれからさらに懸命にやらせていただきたいと思っているところです。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 今の答弁の中で、ワクチン接種、埋却ということも触れていただいておりますけれども、殺処分を前提としたワクチンの接種ということが、御説明にありましたように、五月二十二日から始まっておりまして、報道によれば、先ほど大臣のコメント、副大臣のコメントもございましたが、きょうじゅうには完了するというお話をいただいております。
 しかし、口蹄疫の拡散の現状を考えた場合、消毒、ワクチンの接種、殺処分、埋却地確保、埋却という作業を同時並行的に、広範囲において行っていく必要があると思われます。それらの作業に携わっている人員等についても、今御説明を若干はいただいておりますけれども、消毒ポイントの数あるいはワクチン接種に関与する人員の数とか、そういう具体的な現状について、副大臣ないしは政務官の方からお答えいただければと思いますが、いかがでございましょうか。お願いします。
○山田副大臣 現在、埋却等とか殺処分等に携わっている人員なんですが、獣医師さん、これは今もまた派遣要請しておりますが、現在、本日段階で百八十名、ワクチン接種で別途五十名呼んでおります。それから、全国の家畜改良センターとか農政局等から約二百名ほど呼んでいますから、国とか派遣獣医師をお願いしたところだけでも約四百名ぐらい、国からの派遣が行っていると考えていただければ。それに、自衛隊が今二百六十名、機動隊が百七十名来ていただいておりまして、それに、県と市の職員さん、また、現地で牛になれた、豚になれた人を今雇い入れて保定作業をさせておりますから、かなりの人数がおります。
 それらの人たちを班体制にして、これからなんですが、早く埋却を急がなきゃいけないので、私の方では、投光器も二十四基用意しましたから、二交代で何とか急げないか、そういう話を今しているところです。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 先ほどからポイントは埋却地の確保ということで、実際、今御対応もしていただいていると思うんですけれども、感染確認、そして殺処分、埋却と、通常ですと、四十八時間から七十二時間以内に行ってほしいというガイドラインもあるくらいでございますけれども、現状では、データを見る限り、場所によっては十日以上たっても埋却が進んでいないケースもあるのは事実でございます。
 先ほどから御指摘のとおり、埋却地の確保というのが本当に今回の口蹄疫の拡散を防ぐ第一のポイントであるという認識は私も持たせていただいておるんです。現在、県や市や町、それに国が連携をとって埋却地の確保をしていただいている。国有地の提供あるいはその他の公共の場所の提供、または、それに加えて私有地を買い取っていただく作業とか、そういうことも具体的にやっていらっしゃるとは思うんですが、それにつきまして詳しくお話しいただければありがたいんです。
○佐々木大臣政務官 埋却場所の確保についてでございます。
 先ほど来答弁申し上げておりますように、この口蹄疫は、消毒と、あとできるだけ早い殺処分、そして埋却ということが必須なわけでありますが、発生地域が、水が出るとか、岩盤に当たるとか、埋却場所に大変苦労されてございます。そういった意味で、十九日の対策本部において、県有あるいは国有地を利用するなどの円滑な確保に努めるということを決定させていただきまして、山田副大臣を現地本部長として、埋却地の確保に関係自治体との調整を進めさせていただいてきたところでございます。
 結果として、二十四日には、宮崎県が、農業大学校を初めとする県有地を埋却地として提供することなどを含めた埋却地の確保等促進について、関係市町村に提示をさせていただき、また、国有地についても、具体的な場所の提示などを含めて政府もできる限りの協力を行うというような方針で、今具体的な調整を進めさせていただいているところでございます。
○道休委員 埋却地の確保については本当に最大限の努力をしていただいているとは思いますけれども、現在既に感染したものが一日も早く埋却できるように御努力を続けていただきたいと思います。
 続きまして、ワクチンの接種。この接種の判断をされたのは本当に苦渋の御決断だったと思うんです。現在、専門家による疫学チームが原因と感染ルートについての調査も行っていると認識しておりますが、前回、十年前の口蹄疫の場合も、原因は最終的にはわからなかった、輸入されたわらが原因ではなかったのかというような話もされております。
 こういうウイルスを対象としたものは原因並びに感染ルートの確定というのは非常に難しいとは思いますけれども、そういう疫学的な原因究明の分野で、現時点で公表できるものがございましたらお話しいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 今、口蹄疫のウイルスの分析あるいはワクチンの状況などについての御質問をいただきましたが、専門家による疫学の調査チームを設置して、感染ルートの調査を今現在行っているところでございます。
 今般の口蹄疫ウイルスの遺伝子を独立行政法人動物衛生研究所、さらにまた英国のパーブライト研究所が解析いたしました結果、本年、香港及び韓国で確認された口蹄疫のO型ウイルスと近縁であるということをまず確認させていただいたところであります。さらにまた、牛豚等疾病小委員会によりますと、十年前の宮崎、北海道で確認されたものと比べて、臨床症状が大変強く出るということ、あるいは伝播力が非常に強いという特徴があるということの報告をいただいているところでございます。引き続き、科学的な見地から疫学調査チームにおける感染経路の調査を進めるところでございます。
 また、ワクチンを接種してから効果が出るまでの間は、牛で約一週間、豚で約二週間かかります。効果は牛、豚ともおおむね六カ月存続するというふうに言われておりますが、発生農場の殺処分を最優先で、今後ともワクチン接種あるいは殺処分を進めていくという考えでございます。
○道休委員 どうもありがとうございました。
 こういうウイルスの原因、感染ルートの解明というのは本当に難しいとは思います。十年前、いわゆる原因不明、感染ルート不明ということで結論づけられておりました。今回の口蹄疫、まずは抑えることが、終息させることが大切でございますけれども、終息させた後も、原因究明並びに感染ルートの確定等については、今後のこともございますので、しっかりやっていただきたいとお願いして、次の質問に移らせていただきます。
 ワクチン接種という報道が一部でなされるようになりましてから、それまで現場で、自分の家畜を感染させちゃいけない、あるいは感染を広げちゃいけないと一生懸命に消毒作業をやられた農家の皆さんが、ワクチンは万能であるのではないかとか、ワクチン接種が決まってしまえば自分の家畜も最終的には殺処分になるというようなお気持ちが生まれたかもしれません。一部には、それまでの緊張感がぷつんと切れてしまったような話もありまして、今までとは違って、消毒作業に熱が入っていないような方もいらっしゃるというお話も聞いたりもします。
 ですから、私どもは、やはり、先ほどから大臣以下がおっしゃっておりますように、まず消毒作業が大事であるという認識を確認いたしまして、今後とも、念入りで、そして頻度の高い、徹底した消毒を、そして迅速な殺処分並びに埋却が必要であるという御認識を地域の皆様にしていただくためには、これは広報活動も一方で不可欠かと私は認識しております。
 宮崎県では、ただいまテレビ、ラジオ等を使いまして知事や地元のアナウンサー等が口蹄疫についての説明をしておりますけれども、各市町村、県も含めまして、独自に広報活動をやっているとは思いますが、国の広報活動の現状について、御質問させていただきたいと思います。
○佐々木大臣政務官 広報活動について御質問をいただきました。
 今委員も御指摘のとおり、こうした非常事態の状況でありますから、広報活動は極めて重要であり、情報を国民の皆さん方と共有するということは極めて重要だというふうに我々も認識をいたしております。
 農水省では、発生が確認された後直ちに、プレスリリースあるいは正確な情報の提供などに努めてきたところでありますが、さらにまた、農水省のホームページで、口蹄疫の発生状況、防疫措置の実施状況、経営支援策などについて周知に努めているところでございます。
 また、生産者等の疑問に答えるために、専用の電話相談の窓口も農水省の中に設けさせていただいているところでございます。
 さらにまた、この口蹄疫について、早期に周知あるいは通報が重要であるという観点から、典型的な症状を示したパンフレットなどを作成して、都道府県、農政局、獣医師会、生産者団体等に配付をさせていただいております。さらにまた、今委員からも御紹介がありましたが、宮崎県でも独自にホームページに掲載などのPR活動をいただいているところでございますが、さらに強化をしていく必要があるというふうに思ってございますので、検討させていただきたいというふうに思ってございます。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 宮崎の町では、宮崎市内でも街頭募金が始まったり、あるいは、大学の学生さんが、本当に自分たちも何かできないかということをおっしゃりながら町へ出られている。あるいは、スポーツ選手等も、宮崎の口蹄疫を防ぐために、あるいは口蹄疫で影響を受けられた方のためにということで、本当にいろいろな善意を提供していただいているという状況がございます。
 今我々に必要なのは、本当に一体感を出して、これはもう行政、畜産農家あるいは各種団体、山田副大臣も現地に入られて本当にお忙しく各地を回っていただいている。私も、先週の土曜、日曜と現地を回ろうと思いました。そして一部の町村は回ったんですが、さすがに、川南や都農という今本当に火が一番燃えているところには、私自身が入ることでウイルスを媒介してしまう、運んでしまうのではないかという気持ちから、その二つの町には入りませんでしたけれども、山田副大臣は現地で本当に農家の方々あるいは首長さんと御努力をしていただいていると思います。その副大臣の現地での御苦労に報いるためにも、我々はしっかりと、議員としてやるべきことはやりながら、一緒にこの口蹄疫と闘っていきたいと思っております。
 最後になりますけれども、質問としましては、やはりこの口蹄疫、野生動物への感染というのが一方で危惧されております。これについて何か情報等、あるいはお話しいただくことがございましたら、お願いしたいと思います。
○山田副大臣 確かにシカとかイノシシが多いところでございまして、そういうものに感染すると大変なことになるという危機感を持っております。あるいは、防疫専門委員の間では、ネズミとかハエとかというものの媒介も考えられると。確かに、家畜伝染病予防法では、野鳥とか野生動物、そういったものに対する防止という規定がございます。
 そんな中で、今回実際に、今度ワクチンを接種した農家等に対しては、いわゆる囲い込み、シカやイノシシが入らないように、そういったことをしていただくように。また一方、シカ、イノシシがあの周囲に出てこないように、きのう大臣と相談させていただきましたのは、ひとつ、時期がどうなっているかわかりませんが、猟友会にも出向いてもらって、いわゆる十キロの制限地域内に野生のシカ、イノシシが立ち入らないような方向を考えてもらわなきゃいけない、そう考えているところです。
 また一方、県の方に、今までにシカやイノシシの死体、そういったものはあったかどうか、それについてどうしたかということも一応お聞きしておりまして、何例かございます。しかし、それについては、家畜防疫員が出かけていって、獣医さんが出かけていって、異常がなかったという報告は聞いております。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 現在までの御答弁を伺いまして、本当に国は国としてやるべきことはやっていただいているという認識には立ちますが、やはり問題は、感染をこれ以上広げないということで、もう本当に総力戦で臨んでいただいております。
 また、この御努力を今後とも続けていただく、また必要があれば新たな対策を打っていただくということをお願いしながら、今、本当に宮崎、畜産王国宮崎は存亡の危機に瀕しております。
 このパンデミック、口蹄疫というウイルス感染、日本では十年前にはございましたけれども、あのときはA型、今回O型、本当に強いウイルスが日本を襲っている。そういう現状の中で、今、現地、川南町を初め影響を受けている市町村におきましては、当該の畜産農家は当然でございますけれども、周りの製造業や商店街の方々、本当に地域全体が非常に影響を受け始めている。町によっては、通りから人が消えてしまいそうだというようなお話もございます。
 また一方で、今回当初からお話をされておりましたけれども、宮崎県からの産品ということで、特に牛、豚については風評被害を避ける、抑えるということで御努力をいただいておるんですけれども、残念ながら、今の状態ではその風評被害もどんどん出てきている。実際、空港で航空券のキャンセル、宮崎はキャンセルよと言われる方や、修学旅行がなくなったとか中止にしたとか、あるいは宮崎で何かやるイベントはもう全部中止だというような状況になりつつございまして、まさに今、地域は崩壊寸前の状態になっております。
 畜産農家が本当に長年子供のようにいとおしく育ててこられた牛や豚が一瞬にしていなくなる、そして、畜産で宮崎を、日本を支えていこうとされていた農家が、その夢をかなえる可能性がなくなりつつある、希望がなくなりつつある。本当に社会が崩壊の危機に瀕しております。
 こういうときこそ、口蹄疫を一日も早く終息させて、いわゆる政治がここで力を示す、社会に生きる力を政治の力で与えていただくのが今だと思っております。
 国民総力戦、我々は、政府とともども、一緒になってこの口蹄疫を一日も早く終息させ、力強い畜産宮崎を復活させるために努力をしていきたいと思いますので、何とぞよろしく、今後の対応もしっかりしていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○筒井委員長 次に、川村秀三郎君。
○川村委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの川村秀三郎です。
 ただいまの道休議員に引き続きまして、地元宮崎で大変な猛威を振るっております口蹄疫につきまして質問をさせていただきます。
 四月二十日に発生を見て以来、一カ月が経過をいたしました。農林省におかれましても、発生後直ちに対策本部を農林水産大臣を本部長として設置していただいて、そして職員の常駐派遣など、防疫体制をしいていただいたわけであります。そして、赤松大臣には、我々国会議員にも早々に、二十二日に面会をいただきました。そして翌二十三日には、第一弾の支援対策を打ち出していただいたわけであります。
 また、山田副大臣、赤松大臣も宮崎に来ていただきまして、知事を初め関係の町長あるいは市長、そしてJA関係の方々、そしてまた生産者の代表の方々ともひざを交えて話を聞いていただきました。要望も聞いていただきました。そして、それを踏まえて、第二弾、第三弾、第四弾と次から次に対策を打ち出していただいた。そういった対応に対しまして、改めて感謝を申し上げます。
 ただ、本当に、極めて残念ではあるわけでございますけれども、全国各県から、あるいは自衛隊、あるいは警察、大変な応援をいただきながら、日夜を分かたず、関係者が一体となって懸命な努力を続けておりますが、しかし、拡大がとまっておりません。先ほどから話がありますように、もう二百件に及んでしまいました。頭数も十四万五千三百五十八頭、大変な数字であります。二市五町にわたり、搬出制限まで加えると大変な広がりになってしまう、そういう状況の中であります。
 先ほどもお話がありましたけれども、宮崎県では非常事態宣言を発し、そして国も、総理を本部長とされる政府を挙げての対策本部、地元にも山田副大臣そして小川総理補佐官をヘッドとする現地の対策本部を設けていただいて、連日現場を回り、陣頭指揮をとっていただいております。これも非常に感謝を申し上げますが、その拡大の状況を見ますと、えびの市への飛び火がありました。それから、次第に南方向へ拡大をしております。ただ、北方向には幸いなことに余り進んでおりません。そして、一時おさまったかに見えた都農町、これも再び発生が続発しております。一方、えびの市は、十三日以来発生がないということで、昨日からは清浄性確認の検査が始まったということで、これは一つの朗報ではあります。
 こうした拡大の状況、原因、それから感染ルート、こういうものを農林水産省として、現時点でどう究明し、どう認定されているのか。これが本当にはっきりしないと有効な対策はとれないんじゃないか、そういうことを心配しておりますので、ぜひその点、明らかにしていただきたいと思います。
○山田副大臣 防疫、家伝法では、発生したら、二十四時間、七十二時間以内に埋却処分しなきゃいけないと。これは当然のことなんですが、埋却処分できずに、豚が何万頭も放置されてしまった、この事実が一番拡大を爆発させたということになるんじゃないか。豚一頭で、半日で一万頭の豚を感染させるウイルスを、牛の千倍から発散しているということは言われておりますので、なぜ埋却できなかったか、そこは大きな問題なんですが、埋却地がなかった、埋却地の選定がおくれたということがやはり一番大きかったんじゃないか、そう考えております。
 何でこのように感染していったのか。これはいろいろ言われてはおりますが、空気感染も可能性があるなんとも言われておりますが、私は、やはり接触による感染だと思っております、人か物か。
 そんな中で、いわゆる感染ルートなんですが、例えばえびのとか都農町とか西都とか、そういうところでは、各発生した農家に、十日前までどういう人と接触したか、そういう疫学調査といったことも今やっていただいて、町みずからきちんとやっていただいておりました。
 ところが、肝心の最初の一例目の発生、あるいはもっと前、例えば水牛においてはもっと早く、きのう空港ビルでお話を聞いたところによりますと、あそこの水牛からとれたチーズが空港ビルで売られているそうですが、その水牛そのものについて、風邪を引いておったので出が悪いとかという話が三月中からあったというお話ですので、そういったもろもろの疫学的ルートを、これから、どこからどのようなルートで、例えば外国から来たものかどうかといったことまで含めて、詳しい調査を専門家にやっていただこうと考えております。
 なお、先ほどちょっと私が申し上げました家畜伝染病予防法においては、遅滞なく埋却しなければならないとありまして、七十二時間以内にしなきゃいけないということは家畜伝染病予防法には書いていなかったので、その旨はちょっと訂正しておきます。
 いずれにしても、直ちに埋却しなきゃいけないところを、おくれた、そういった疫学的なルート、原因といったものは、これから検証させていただかなきゃいけない、そう考えています。
○川村委員 今のお話の中で、やはり埋却地の問題が大変なネックになったということをおっしゃったわけであります。これも、私もこの土日、道休議員と一緒に現場を回らせていただきました。そして、各町長さんとも、あるいは市長さんともお話をした。
 やはりこれまでは、家伝法の原則が、農家個人にまずやってくれ、こういうシステムになっていますね。しかし、今回の口蹄疫というのは、そういった個別の、個々の農家の対応をはるかに凌駕するような、そしてまた、畜産経営の形態もかつてとは違っているんです。戦後間もなくできた家伝法とは違っているんですね。何万頭という豚を飼っておられる。牛だって、何千頭という農家もあるんですね。
 そして、牛は、自分で畑をつくられるので、飼料畑があるので、まだ自分の土地がある。しかし、豚は、建物を敷地ぎりぎりに建てる、いわば施設型の農業ですから、こういう状況の中で土地を探せといっても、実際、それから買わなくちゃいけない。しかし、買うといっても、農地として買うのならまだ話はわかるかもしれないけれども、殺処分した牛を豚を埋めなくちゃいけない。それはもう、環境の問題、いろいろあって、個人、もちろん町と県がチームを組んでやっていますけれども、なかなか思うようにいかないという実情があります。
 私の知り合いの高鍋の農家からも、もう何週間も前に発生したのにまだ埋められない、どうにかしてくださいという電話が毎日のように入ります。しかし、お話によると、これまで努力された農家とバランスをとらなくちゃいけない、そういったことで足が引っ張られていますという話も聞きます。こういう事態ではないと思うんですね、火が燃え盛っているわけですから。それを消さないことにはますます火が、火種が残っているわけですから、どんどん広がるじゃないですか。
 きのう、知事が関係市町村とかJAを集められて、何とかこの埋却地を確保しようということで号令をかけられたという話を聞いています。これが本当に肝心かなめのことだと思うんですね。しかし、疑似患畜ですら、まだ何万頭も残っているわけですよね。
 そして、ワクチン。これは、できればワクチンを打ってからすぐ殺処分して埋却をするというのが本当は原則のはずです。しかし、ワクチンを打つことの日程は、先ほどのお話で、もうきょうじゅうには終わる、そういうふうにおっしゃっていますが、ワクチンを打った牛をいつ埋却できるのか、その見通しが立っていないですよね。これは本当に憂慮すべき事態で、国、県、我々県民、総力を挙げてやらなくちゃいけない話だと思います。
 農家の心情からすると、自分の目の前で家畜を殺してほしくない、大規模な埋却地のところへ連れていってもらって、そこで殺処分してすぐ埋めてほしい、自分のかわいがってきた家畜が苦しむ様子は見たくない、そういう声が、もう要望書としても上がってきています。
 そういう実情もありますので、これは最優先課題として、先ほど道休議員からも何回も言っていただきましたけれども、私も触れざるを得ない、お願いせざるを得ない、我々も頑張らざるを得ない、そういう課題だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 そして今、疫学的な検討チームの話をされました。私は、これもやはり早急にやらないといけないと思うんです。早急といいますか、同時並行的にやらないといけないと思うんですよ。まさに今も拡大が進行中なんですから、疫学的にも学ぶことはたくさんあると思うんですね。ですから、火を消す方とは別に、やはり専門のチームをしっかり組んで、早急に腰を据えて送っていただく。もうこういう事態を三度と繰り返してはならないと思うのです。そのためにも、平成十二年、十年前の口蹄疫の経験、あるいは英国とかで起こった経験も確かに参考にはなりますけれども、やはり日本で起こったこの現状をしっかり見詰めて分析をしないと、日本の対策にはならないと思うんですね。そういう意味でも、今が肝心だと思うんです。
 そのためにも、どういうスケジュールで、どうなっているのか、より具体的にこの検討チームの話をしていただきたいと思います。
○山田副大臣 お答えいたします。
 対策本部を設けた際に、牛豚等疾病小委員会という専門家の疫学の委員会を立ち上げておりまして、その専門家の先生方が現地にも何回か入っていただいております。
 そして、各町、都農町とか、先ほど西都とか言っておりますが、えびの、この市では、既に町自体が、いわゆる発生農家のいろいろな感染ルートといいますか経路をいろいろと調査していただいております。新富町にもお願いしたので、新富町の方も、町長さんがきのうからその担当者を一人決めました。そういう形で調査に入りました。木城町もやっていただいているようですが、高鍋、川南、ここは今大変な状況でして、なかなかそこまで手が届かないのが事実かと思います。
 国の疫学調査についても、そういった資料をもとにして、専門委員の方で先ほど現地入りしておりますし、何とか、何が原因であったのか、感染ルートの解明は、本当に大変やっていかなきゃいけない大事な大事なことだと思っておりまして、しっかりやらせていただきたい、そう考えています。
○川村委員 本当に、この十キロ圏内の移動制限区域、この中でワクチンを投与してそして全頭殺処分する、こういう非常手段までいったわけですから、これが失敗したら大変なことです。もうとめようがない。そうなりますと、少しでも得られた知見はフィードバックして、そして拡大を完全にシャットアウトする、こういうことをみんながやらないと、これは本当にとまらないと思いますので、その点、重ねてお願いをしておきます。
 それから、本当に牛や豚が農家の前から消えていきます。そして、これまで頑張ったのにやはりだめだったのかと、無力感、脱力感、そして将来に対してどうなるんだろうと、日々の生活すらやっていけない、そういう状態です。これはまさに今まで我が国が体験をしたことのない大災害だ、天災だという認識でぜひ対応していただきたいと思います。従来の延長ではなくて、思い切った対応をしないといけないと思います。そして、農家の皆さん、関係の皆さんが安心できるような、そういうメッセージを早く送っていただきたいと切に希望いたします。
 そのためにも、具体的な十分な内容の対策を示すことが、やはり一番希望をともす道だと思うんです。この拡大がおさまっても、清浄性確認をし、そして家畜の再導入まで、また後でも言いますけれども、二年とか三年とか、かかるんですね。こういう状態で、まず、いつになったら再建ができるのか、再建が本当にできるんだろうか、生活をやっていけるか、そういう見通しが立たない、これが一番つらいとおっしゃっています。ですから、幾つかいろいろな対策を出していただきました。かつての家伝法を超える対策も出ております。そこでまた、特に今回出された措置について、いろいろな要望も出ていますので、考え方を聞きたいと思います。
 一つは、移動制限区域内で殺処分を前提としたワクチンの接種をして、接種した家畜は早期に殺処分をする、そしてその殺処分については適切な奨励金を出す、まずこういう第一点がありますね。ここの部分は、最初は一頭六十万とかといううわさが流れて、そんなもので一律処理されては困る、そんなんじゃ受けられないということもありました。これはまさに情報不足だと思います。正確な情報が伝わらなかったのでそういうことになったんだと思いますけれども、時価評価方式ということになったので、しかも五分の五、しっかり国が面倒を見るということを打ち出していただいたので、この点では、皆さん大変評価されています。
 ただ、そうなると今度は現実問題として、その時価評価というのをどうやってやるんだろうかということが皆さん、気になっておられるわけです。家畜評価員でやられるというんですけれども、農家というのは、ただ漫然と例えば牛を買ってきてやるわけじゃなくて、やはり自分の手でいい牛をつくろうということで、血統とかなんかを見て、姿を見て、そしてこれを立派に育てたいということでやっておられるわけですね。自分が手塩に育てる牛、そして血統も見込んで育てた牛、これが将来どうなるんだろうかという期待を持って飼っているわけですね。ですから、こういう将来的な価値まで含めて見てほしいというのが希望なんですよ。
 ここをどういう形で評価されるのか。例えばJAの関係者の方も入るのか、そういったところをちょっと詳しく具体的に御説明いただければと思います。
○山田副大臣 殺処分するときに、当然それについては時価評価で、五分の五、全額国の方で負担いたします、そういうことになっておりますが、その評価はどういうやり方でやるかということかと思います。
 これは、確かに私も現地を回りまして、農家の方々から二、三聞かれました。私の牛は、それこそすごい、百万も二百万もする牛なのにというようなお話なんですが、一応、互助金のいわゆる基準単価みたいなものがあるようでございまして、月齢とかそういったもの、いわゆる標準的な牛の価格表みたいなものがあるようです。そういったものをもとにして評価する、今三人の委員が決められておりますが、そういったものを中心にしながら、どのようにして、それにプラスどれくらいになるのか、マイナスどれぐらいになるのか、そういったことでやっていくことになるかと思っております。
 ただ、殺処分するときはそれができるんですが、やはり既に埋却処分してしまったときに、正確な当時の評価とかそういったものがどうやらよくなされていない、このごたごたの中で何万頭というものを埋却しておりますから。そういったことは、標準的なものでやっていかざるを得ないのかなと考えておりますが、そこは個々の農家と話し合いながら決めていかざるを得ないだろう、そう考えております。
 今の評価については、確かに月齢、血統とか、これまでのその人の出荷した牛の価格とか、いろいろなことを参考にしながら決めていくことになるんじゃないか、そう考えているところです。
○川村委員 これは各論になるわけですけれども、県が評価員を指名されるということを聞いています。ただ、そういった将来に対する希望的な期待値、これは現実にある程度客観的なものでないといけないと思いますけれども、やはりそこまで見ていただかないと農家は納得しないと思いますので、適切なガイドラインといいますか、そういうものを、評価員の選定につきましてもぜひ国として考えを持って御指導いただきたいということを思います。
 それから、この中で、さらに経営再開の支援金ということで、先ほど言いましたように、おさまって清浄性確認をする、これは長ければ一年ぐらいかかるかもしれません。そして、そこから素牛を導入して育てて、実際に市場に出すというのには三年ぐらいかかるんですね、長い場合は。そうなると、そのときのまさに生活資金、こういうものはどうなるんだろうか。
 今、規模が大きくなっていますから、例えば私の知り合いの農家も千頭規模ですけれども、一日のえさ代は、一頭五百円としても、千頭いれば毎日五十万かかるんですよね。大変なえさ代もかかります。それから、生活もやっていかなくちゃいけない。大きなところになると従業員もいる。本当に大変な困難が待ち構えているわけです。やはりこういう天災ですから、そういうところをしっかり面倒を見ていただきたいなと思います。
 そして、今回、この経営再開資金の中に、互助基金の考え方で、そういったつなぎの生活支援をするんだという考え方が出されました。これは本当にありがたい話だと思いますが、この考え方を、これは皆さん、どの程度どうなのかということを思っておられます。その意味合いを含めて、農家の方も聞いておられると思いますので、ぜひわかるように御説明いただきたいと思います。
○山田副大臣 ワクチンを打って牛を殺処分してしまうというと、殺処分した後、それから生活の糧がなくなるわけです。ワクチンを打って殺処分するまでの間は、一日当たり幾らという飼料費相当を支払いさせていただきたい、そう考えておりますが、殺処分した後、殺処分すれば早速何もなくなって、再開までに生活に困るわけですから、そのために互助基金制度というのを、そのまま、そういう形のもので生活支援をさせていただきたい。
 例えばの話ですが、肉用牛の繁殖を持っておられる方は、これは固定で決まっておりまして、一頭当たり十七万九千円、例えば繁殖牛を二十五頭持っていますと、そのときに生活支援として四百四十七万五千円。子牛だったら五万九千円で、五頭いましたら二十九万五千円。四百四十七万円と二十九万五千円が農家のこれから再開するまでの支援という形で、繁殖もそういう形。
 肥育についても養豚についても同じような考え方で、固定的に幾らという生活費の支給は、飼ってきた頭数によって決められておりますので、例えば養豚の場合に千頭ぐらいいますと、一頭当たり五万六千円ですから五千六百五十万ですか、五百六十五万かな、ちょっと今計算できませんが。そういった金額が支払いされますので、いわゆる従業員に対しても幾らかそこから、多く飼っている人はそれなりに支給できるんじゃないか。
 川村議員、本当に心配されているのはよくわかるんですが、我々としましても、ワクチン接種農家はできるだけ殺処分を急ぐ、急いであそこを空にしまして、そして一回消毒して、一週間後さらに消毒、二週間後さらに消毒、その次の週さらに消毒して、いわゆる三週間、二十一日消毒が終わったら、清浄国としてもう一回牛の導入、そのときには改めて家畜をリースして農家に与えるような新しいやり方を考えておりまして、農家が希望を持ってもう一回再開できるような、そういう形をぜひとらせていただきたいと思っているところです。
○川村委員 その再開の時点でもう一回しっかり対応するというお答えもいただきましたので、今予測しがたいところもありますので、今のお言葉をしっかり受けとめまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 きょうは財務省からも御足労いただいております。本当に、今申し上げましたように、いまだ経験をしたことのない大変な事態を招いております。畜産県宮崎から、地域からまさに家畜が消えようとしています。影響は畜産農家にとどまらず、飼料とか関連資材、こういったものを供給される方、ひいては人工授精師あるいは削蹄師など関連の方、支援をされている方、販売、加工、運輸、それから地域の商店街、本当に広範囲にわたって、しかも非常に甚大な打撃を与えています。
 そして、非常事態宣言を出したものですから、人の集まる施設は閉館、いろいろな定期集会、定期総会、あるいはイベントもキャンセルです。そして、県民は外出を控えるといったようなことで、県民生活全般にも及んでいるんですね。先ほど来私が話しているように、この畜産を初め、復興には最低でも二年から三年、もとの姿になるには恐らく五年、十年かかると思うんです。感染の拡大を抑えることが現下の最大の急務ではあるんですけれども、その後も、またこれは正念場なんですよね。
 だから、再建への道筋を立てて、これを支援していかなくちゃいけない。まさにこの再建への道筋を立てていくんですが、そのためには、従来の枠を超えないと。これは未経験の世界ですから、ぜひそういうやわらかい頭を持って対応していただきたいと思うんです。
 そして、これまでも、家伝法にかかわらず、これを超える対応、全額補償とかいろいろな対応をしていただきました。こういう対応に感謝しますとともに、まだこれからなので、ぜひ財務省さんにも、この口蹄疫に対して的確に現状認識していただいて、今後の予算措置も含めてしっかり対応していただきたいと思いますので、その御認識と対応を力強く、宮崎の農家の皆さんが聞いておりますので、関係者が聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
○大串大臣政務官 川村委員にお答え申し上げます。
 今回の口蹄疫の課題、前回の課題に比べて、発生事例あるいは頭数ともに極めて甚大、かつスピードも極めて速いという内容であります。地元の発生農家の皆様あるいは影響農家の皆様、あるいはそれのみならず地元の皆様にも大変大きな影響を与えているということは、早い段階からかなり認識した上での対応を行ってきておりまして、私自身としても、私も九州、近隣県、畜産の盛んなところであって、畜産農家の方々がどのような思いで、深刻にかつ大変な心配を持ってこの問題に取り組んでいらっしゃるかというのは肌身で感じているところでございます。
 こういった極めて深刻な認識に立って、全閣僚が参加した本部においても、総力を挙げて対応をする、取り組みをする、そして、発生農家あるいは移動制限の影響を受ける農家の皆さんの生活支援あるいは経営再建、維持のために万全を期するということを財務大臣も入った全閣僚の場で決めて、全政府として対応するということを決めております。
 財務の面でも、今回の面、早期の封じ込め、そしてその後の経営再建も含めて万全の取り組みを行っていく、このかたい決意で取り組んでまいる所存でございますので、頑張らせていただきたいというふうに思います。
○川村委員 どうもありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
 もう時間が参っておりますので、要望にとどめますが、何度も申し上げて恐縮なんですが、今まで経験したことのない事態、防除方法も率直に言って手探り状態だと思います。ですから、従来のマニュアルとか指針にこだわり過ぎてもいけないんじゃないかと思います。
 例えば、最近話題になっております種雄牛の問題も、示しがつかないという御発言があります。しかし、畜産農家だけでなく県民の多くは、できる限りの延命を望んでいるんです。私のところにも、知人はもちろんですけれども、見ず知らずの方から多くの電話、要請を受けております。きょうも電話をいただきました。もう泣きながら訴えておられました。やはり従来のマニュアル、指針など、今回の事態を踏まえて見直すべき点が多々あろうと思うんです。
 現場の声、実態を踏まえて、硬軟両様での対応を切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○山田副大臣 先ほどの数字を、ちょっと二つ間違っていましたので、訂正しておきます。
 きのうも二千頭ぐらい発生したと言っておりましたが、実はきのうは千三十三頭の間違いでしたので。
 もう一つ、先ほど、母豚を仮に千頭だとしますと、一頭当たり五万六千円ですから、そうしますと、母豚が千頭いますと五千六百万という形になるかと思います。
 いずれにしましても、そういう互助基金の、準用したような形での生活支援、それにプラスして、殺処分するときに時価評価でその豚を買い上げる、そういう形で何とか再開につながるようにさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○筒井委員長 次に、江藤拓君。
○江藤委員 宮崎県の、自由民主党、江藤拓でございます。
 もう四回目になりますので、本会議を入れると五回目ですが、たくさんのやじをいただきまして、皆さん大変ありがとうございました。
 厳しい、本当に苦しいこの一カ月間でした。みんなと肩を抱き合い、時には一緒に昼飯を食い、涙を流したこともありました。だけれども、この苦しい期間の中、最初のうちは物すごく士気が高かったんですよ、何とか最小限でおさめようと。国からは消毒薬は届かなかったけれども、手持ちの消毒薬でとにかくやろうと一生懸命やりました。ところが、広がっていった。だんだん途中で心が折れそうになってきた時期がありました、正直言って。でも、そこでもみんなが支え合って、ここでおれたちが折れたらどうにもならぬ、頑張ろうやないかということで頑張りました。そして、一カ月たって、ワクチン接種ということになったわけであります。
 思い返すといろいろなことを思い出しますけれども、道半ばなんだろうと思います、まだ途中だろうと思います。ですから、ぜひ、この委員会ではいろいろな議論を皆さん方としていきたいと思います。
 ただ、救いもありました。最初のうちはマスコミでの取り上げもほとんどなくて、認知度がほとんどなかった。ところが、ネットの世界でいろいろな方に興味を持っていただいて、そこから広がったのか、大手も今は毎日、テレビで放送するようになりましたね。テレビの方々、お見えになっていらっしゃいますけれども、もっと早く放送してほしかったですよ。確かに、風評被害の問題はありました。私も、最初は、余り大ごとで広めてほしくないという気持ちはあったけれども、やはり、豚に感染した時点でもうステージは変わりましたから、あれぐらいからメディアの方々にはもうちょっと関心を持っていただきたかった。まあ、あなた方に文句を言ってもしようがないですけれどもね。
 今、私は、これまで殺処分されていった牛たち、豚たち、毎日その冥福を祈りながら日々を過ごしております。そして、これからワクチンが打たれることによって、健康にもかかわらず、殺処分される運命が決されてしまった、そういう牛や豚たちのことを思うと非常に胸が締めつけられる。
 きのう、ファクスをもらいました。あの水牛が発生した牧場の隣保班、隣保班というのはわかりますか、皆さん。いわゆる御近所ですよ、隣組。隣保班の農家でも、一頭もまだ疑似患畜が出ていない農家がきのうの夜の時点でいるんですよ、実は。いるんです。その人から電話をいただいて、拓さん、何とかうちも経過措置にしてもらえぬやろうか、助けてもらえぬやろうかと泣きながら訴えるわけですわ。だけれども、どんなに家伝法を読んでも、これからの蔓延防止法を読んでも、一市六町、町長がワクチン接種を受け入れたことを読んでも、相談はしていますが厳しいですと正直に言いました。非常につらかったですよ。そういった日々が今送られております。
 また悲しいニュースが入ってきました。高鍋農業高校、これは優秀な学校で、将来の畜産を担う子供たちが一生懸命勉強している学校なんです。この間、二〇〇七年、畜産共進会では農林水産大臣賞をとったんです。高校生がつくった牛ですよ。これは快挙です、すごいことですよ。ここにも感染が確認されてしまいました。これも全頭殺処分。学生たちの絶望と悲しみを思うと、何ともやりきれない。そしてまた、その学校に通学がこれからできるんだろうかと。発生した場所ですからね。いろいろな問題がこれからさらに広がっていく。幅広の議論をしていかなきゃならぬと思います。
 山田副大臣、お帰りなさいませ。大変お疲れさまでございました。
 いきなり嫌なことを聞いて申しわけないんですが、副大臣、行かれまして、地元の方々、知事、市町村、農協、関係の方々と、がっちりとスクラムを組んで、信頼関係をつくることに成功して帰ってこられたと実感されていらっしゃいますか。御返答を求めます。
○山田副大臣 県が第一義的には責任者だと私は思っておりますが、県、市町村、そして国も一緒になって、今本当に一体としてやらなきゃいけない。そう考え、そう言ってまいりましたが、なかなか、それぞれ思惑の違いがあり、例えば、燃え盛っているときに、火事だったらまず火を消さなきゃいけない。火を消さなきゃいけないのに、火を消す、いわゆる埋却する作業が、埋却地について不公平感があるとかいろいろな形で、なかなかうまく進んでいかない。ようやく、きのうから解決の兆しが出てきたかと思いますが、まだまだこれから大変な状況にある、そう認識しているところです。
○江藤委員 余り個人批判はしたくないので、副大臣、これ以上は申し上げません。
 私は、金曜日に、一市六町すべての町長さんにお話をじっくり聞いてきました。今回のワクチン接種受け入れも、唇をかんで、本当に悔しい思いをしながら受け入れたんですよ。わかっていらっしゃるでしょう。そのクローズの議論の中でどういう会話が、山田副大臣は農民の味方の発言をされていたように私は聞いております。しかし、それ以外の方に非常に不見識な発言があったということを、すべての市町村長は非常に怒っていますよ。そのことはこの場では言いません。私はその場にはいませんでしたから、しようがありませんからね。
 言いませんが、現地対策本部をつくってくれというのは、自民党としての要望でもありました。行っていただいたことはありがたい。でも、そこでまずやるべきことは、地域の実情をきっちりと把握をして、そして信頼関係を築いて、徹底した議論を尽くして、そしてそこから答えを導き出していく、それがステップだったと私は思います。何か上から来たものが押しつけられたという印象を地元の方々が受けられてしまっているということは残念なことですから、これからも続きますので、副大臣、よろしくお願いしますよ。
 埋却地については、前の日も、わかった、金はあるんだから引き受けると言った。次の日になったら、財務に相談したらやはりだめでした、そういうお返事もあったでしょう。もうやめますけれどもね。
 行っていただくことはいいことなんです。とにかく国にも、県も、市町村も、農協もですよ、今回物すごく頑張ったのは農協ですから、畜連ですから、彼らの力、あらゆる力を結集して、早く火消しができるようにこれから御活躍を期待しますので、どうぞ副大臣、よろしくお願いいたします。
 もういいです。長いので、済みません、勘弁してくれませんか。(山田副大臣「一言」と呼ぶ)では、一言だけ。
○山田副大臣 いかにも不見識な発言があったかのような……(江藤委員「いや、副大臣ではありませんよ」と呼ぶ)しかし、私はそうは思いませんで、それなりに、やはり地元の、何とか早くワクチンの接種を進めたい、何とかしてこの火を消したいという思いからの発言だったと思っております。
 もう一つ、土地の件ですが、それについては、どうやら財務省とも話し合いを続けられて、いわゆる県の農業振興公社において、基盤整備特別会計をもって買うことができることになりましたので、きちんとできております。
○江藤委員 農業公社の話はわかりました。
 ただ、先ほども民主党の委員からもお話がありましたけれども、自分の土地で埋めた人、自己資金で購入した人、それから、いわゆる試験場にただで埋めた人、さまざまなんですよ。ここは不公平感のないようにしていただきたいと思います。
 それから、先ほどもお話ありました、四十九頭の種雄牛。もうこれは結論を出されたということがニュースで出ておりますので、今さら言っても仕方のないことかもしれません。ただ、東知事の気持ちをお伝えさせていただきます。
 一頭発病した。忠富士は、四番バッターですよ。エースピッチャーです。一番人気があった。私は、競りに行くと、忠富士という種を見れば、ああ、四万、五万は確実に高いなと。確実にそうでした。極端な話、ほかの種よりも十万高かったですよ。それぐらいの優秀な種だった。これも失われた。もし五頭が失われれば、もうゼロになってしまう。
 確かに、ではその次を担っていく牛が全く宮崎にいないのか、いますよ。ただ、彼らは余りにもまだ若過ぎる。彼らが成牛になって、精液をとれるようになって、試験種つけをして、種つけした牛が大きくなって、それを割って、どれぐらいの脂肪が入っているのか、どれぐらいの増体率があるのか、そういったものを調べるまでには七年かかるんですよ。最低でも七年。
 ですから、知事が家伝法を読んだって、どう考えても読めません、四十九頭を守れというのは。わかりますけれども、知事の必死の思いはわかってください。私のところにも、両論ですよ。同じ命じゃないか、何で県の種雄牛だからといって命が助けられるんだ、そういう抗議の電話もたくさんもらいました。その反対に、先ほど民主党の議員からあったように、我々が再建するための最後の希望の光なんだから、これだけは消さぬでくれという声もありました。
 もうこれは最終決定であり、御再考の余地は全くありませんか。大臣、御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 私どもは、やはり法律に従ってやらなければいけない、そういう立場であります。その意味で、家伝法では、疑似患畜と指定されたものについてはできるだけ早く処分をするということが明記をされておりますので、それに従ってやらざるを得ない。
 ただ、委員言われるように、確かに地元の、知事さんだけじゃなくて、そういう関係の人たちが、何とかこれが残ってくれればなという気持ちはわからないわけではありません。しかし、大変厳しいようでございますけれども、やはりきちっとやるべきところはやらざるを得ないということで、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○江藤委員 私も政治家の端くれでありますから、法治国家でありますから、大臣のお言葉は理解いたします。しかし、ざんきの思いであるという気持ちだけはわかっていただきたい。よろしくお願いいたします。
 大臣にお尋ねをいたします。
 日本で初めてワクチンを接種することになりました。これは大変なことですよね。これで、清浄化が確認されたとしても、向こう三カ月間は、日本の肉は海外には、清浄国に対して輸出ができなくなってしまいます。この経済的損失も非常に大きなものがある。
 初めて日本でワクチンを打たなければならなくなってしまった、ここまでの事態に至ったことについて、本会議でも聞きましたけれども、地元の皆さん方に、ワクチン接種を受け入れなければならなくなった、本当は嫌だけれども受け入れなければならなくなった農家の方々に、おわびの言葉なり、なぐさめの言葉なり、いたわりの言葉なり、そういうものはいただけませんか。御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 今御質問でございますけれども、これはある意味でいえば、今後の宮崎の畜産のためにという意味でも申し上げるんですが、香港とか一部の国では、そういう口蹄疫が起きていることはわかっているけれども、ぜひ日本の肉を輸入したいということで、現に今輸出をされている、幾つかの国ですけれども、香港、マカオ、そういうところもあるということです。
 ワクチンを打つことによって、その地域内のところはそうですけれども、それ以外は旧来どおりと全く関係ない、一緒だということをまず申し上げながら、今、委員が言われるように、確かに、健康であるにもかかわらず、殺処分を前提としたワクチン接種ということを受け入れていただいた農家の方たちには、その心痛を思いますと、私どもも本当につらい気持ちでいっぱいでございます。
 しかし、ある意味でいえば、それ以上に広がらせない、拡大を何としても防ぐんだという中で、専門家の先生方の御示唆もいただく中で、ワクチン接種も検討すべしという小委員会での結論もいただきまして、そういう判断をしたということでございます。
○江藤委員 私、さっき清浄国ということを最初に言いましたよ。清浄国であっても、相手がいいと言えばいいんですよ。それぐらいの知識は、私もちゃんと持っております。
 私がお願いしたのは、農家の方々に優しい言葉をかけてやってほしいということを申し上げたのでありますが、非常に残念であります。
 私、今、ブログをやっておりまして、一日二百件ぐらいの書き込みがあります。この中の一つだけ、嫌かもしれませんが、紹介をさせていただきます。
 私は、新富町に住む繁殖農家の娘です。生まれたときから牛の鳴き声を聞きながら育ちました。嫁いだ今でも、毎日実家に行って、牛たちの世話をしています。この前の十三日に、私の初めて買った牛に子牛が生まれました。去年の三月に宮崎の子牛の競りで初めて買った三頭のうちの一頭です。大きな元気な雄の赤ちゃんでした。出産は大変でした。ですから、四人がかりで引っ張って出産をいたしましたと。
 多分、忠富士の種ですよ、これだけ体がでかいということは。
 あとの二頭も、六月と七月に生まれてくる予定です。この一年間、無事に生まれるのを毎日楽しみに世話をしてきました。でも、その子牛の顔を見ることができない。何の罪もないこの子供たちも殺される、この怒り、悲しみはどうすればいいんですか。この子たちを守るために、これまでの一カ月間、毎日毎日一生懸命消毒の努力を重ねてきました。簡単に十キロ圏内殺処分と言うな。感染拡大を食いとめるためとはわかってはいます。それでもやりきれません。毎日この子たちを見ていると涙がとまりません。なぜここまで拡大する前にとめてくれなかったんですか。私は一生許しませんと。
 この中にもかなり激しい言葉がありますが、私の独断で割愛をさせていただきました。そこには家畜に対する愛があるんですよ、愛情が。ですから、大臣、嫌かもしれませんが、私の今のこの文の紹介を受けて、もう一度お答えをいただけませんか。
○赤松国務大臣 これは、おととい、私の方で、ぜひこうした関係畜産農家の皆さん方に私どもの気持ちを伝えたいということで実はつくらせていただいた文書でございます。これはごらんになっていらっしゃる方もなっていない方もお見えになると思いますが、その中でもこういうように書いております。
 移動制限区域内における殺処分を前提としたワクチン接種による感染拡大防止に踏み切っていただきました。
  これは、我が国ではこれまで経験のないものであり、農家の方々には、「今後の生活はどうなるのか」、「経営の再開はできるのか」といった不安、また、心を込めて育てた家畜を失うことによる痛み・悲しみは、計り知れないものと思います。
  農家の皆様方には大きなご負担をおかけすることになることから、政府としてできる限りの対応を行うこととしました。
感染拡大防止のために格段の御協力をいただきましてということで、文章化させていただいた方がきちっと私の気持ちが伝わると思いますので、読ませていただいて、こういう気持ちで対応しているということを御理解いただきたいと思っております。
○江藤委員 もう、不毛な議論ですので、やめます。これ以上言っても仕方がありません。
 それでは、ちょっと政策的に質問させていただきます。
 ワクチンの接種について、大臣は、二十一日の記者会見で、個々の農家は、もう同意書が、ほとんど豚の場合は、もう出ているというふうに述べられましたね。間違いないですね。これは現地対策本部の成果だというふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。
○赤松国務大臣 私は、成果とは多分言っていないと思います。私が申し上げたのは、現地から聞いておるのは、豚については九割ほどの同意がいただけておるので、特に豚が菌の発散の率が高いというふうに言われていますので、ぜひ豚を中心に最初にやらせていただきたいということを申し上げたと思っております。
○江藤委員 その御認識は正しいです。豚からまずやらなければ大変なことになる。その御認識は正しいです。
 ただ、きのうも電話をいただきました。尾鈴農協の養豚部会長、遠藤さんです。彼は私にこう言ってきましたよ。拓ちゃん、えらい苦労したけれども、あと一軒や、あと一軒だけなかなか縦に首を振ってくれぬ、だけれども、埋却地がないといって苦しんでいるので、おれのところへ持ってこい、おれのところの土地に埋めさせてやるから、何とか首を縦に振ってくれと。
 これは、発生農家で苦しんで、全財産を失っている人たちが、周りに迷惑をかけたくない、それこそ鹿児島とか熊本とか大分とか、そういうところに迷惑をかけたくない、日向とか西臼杵、入郷に迷惑をかけたくないと、自分の身をなげうって必死にやっている努力なんですよ。地元の方々がどれだけ頑張っているかということをわかってやってください。そうでないと報われない。
 それから、処分地について、やはり二十一日の発言ですが、農業大学校を初め、ほかにも候補地があるのですが云々と言われたようですけれども、この後の部分、どこか具体的にあれば。地元ではみんな期待しています、大臣の頭の中にはほかにもあるらしいぞと。もし今、御紹介できるのであれば、教えてください。
○赤松国務大臣 昨日の知事及び各町長さんとの会議の中では、具体的な数字は今副大臣等が持っていますのであれですが、県有地については四カ所、それから市有地については何カ所、これは確定しているという具体的な数字が出たというふうに聞いております。
 また、国有地については、新田原の基地の周辺、非常に広い土地なんですが、におい等のことがかつて鳥インフルエンザのときにあって、どこでも全部というわけにいかないので、もう既に地元の御了解を得たところが、かなり広い、およそ一万坪ぐらいだったか、ちょっと僕のそら覚えで、面積は確認していただきたいと思いますが、民有地も含めて、その民有地は町にとりあえず借り上げてもらって、最終的には国が買うということで了解をしておる件でございます、これは騒音対策用地としてですね。そこに埋めさせていただくということで、これは防衛省、今総理府が管理をしておりますけれども、了解をいただいております。
○江藤委員 なるべく早く、やはり埋却地がない、これが一番の問題だったんですよ。先ほど、えらい長い期間埋められなかったと間違ったことを認識されている方もいらっしゃいましたけれども、豚の場合、大体長いもので十日間でした。ですから、その間もウイルスを発散するわけですから、早く、わかったところから、みんなの不安を解消する意味でも公表してください。
 今、国が買い上げるとおっしゃいましたけれども、これは間違いないですね。
○赤松国務大臣 これは新田原の基地の横の土地は買い上げるということですから、すべての民有地を買い上げると言ったんじゃありませんよ。これは誤解しないでください。
○江藤委員 たしか、新田原の周りの土地、鳥インフルのときに埋めた土地は、あれは国有地ですよ。国が持っていて、地域の方々に、ちょっと前なので私もうろ覚えですけれども、組合のようなものをつくって委託して耕作していた土地だったというふうに私は理解をしております。ですけれども、そういう土地であっても、埋却地としてやっていただけるのであれば、私はそれはいいことだというふうに思います。
 それから、また二十一日の記者会見ですけれども、埋却地は何年かは使用不可能になってしまう、例えば、土地を買って、そこに埋めても、事実上、そこから後からガスが出たりしてね、十年前の北海道の例や、いろいろ見ると、まあ、どぼどぼになっちゃって、もう、しばらくは使えないという状況になる、こういうふうにおっしゃいましたね。
 それなのに、土地のリース代は五年間という対策を内閣は、農林水産省としてはお出しになっている。これはおかしいですよ。この間の委員会でも言いましたけれども、自分のかわいい家畜たちが埋められた草地の上にまた牧草を植えて、トラクターを走らせますか。できませんよ。そう言わずに、こういった埋却地はすべて国で買い取ってください。
 私たちはこの法案をつくりました、口蹄疫対策緊急措置法。きょうの午前中には国会に提出いたします。宮腰先生が座長、私が座長代理でつくりました。この中には、国がすべて買い取ることということも書き込んであります。
 ですから、そういうところは公園にするなり慰霊碑を建てるなり、二度とこういう悲劇が起こらないようにと、戒めの意味でも、そういった温かい配慮をしてほしい。十年たっても、農地には戻せません。それは地域の人たちが言っていることですから。では、耕作放棄地にするんですか。そういうことなんですよ。
 次に、ワクチン接種後処分した牛の補償についてお尋ねをいたします。
 十九日の記者会見で、なお、額については、今、詰めをやっておりますが、おおよそ、牛については六十万ちょっと、それから、豚については三万五千円前後と発言されまして、それが農業新聞に載りました。ですから私は、二十日の衆議院本会議で、すべて一律で払うということなら絶対に同意は得られませんということを言ったんですよ。
 そうしたら、大臣は随分腹を立てられたようでございました。その後の翌日の会見で、何か、きのうの本会議で勝手に言っていますけれども、別に、最初から統一価格でやるなんてことはだれも言っていないのですと。でも、これに近いことを言ったから私は言ったんですよ。(赤松国務大臣「委員長」と呼ぶ)まあいいです、こんなことは……(赤松国務大臣「いいですといったって、間違ったことを言われちゃ困るんだ」と呼ぶ)では、どうぞ。短くね。
○赤松国務大臣 私は、記者会見のときに、幾らで買い取るんですかと記者たちが何回も質問してきました。それはまだ、トータル幾ら必要なのか、そういうことはちゃんと財務省と折衝しなきゃいけないので、今事務方がやっているので、今は言えませんということも、何回も申し上げてきたんです。
 そうしたら、とにかくこの対策費が幾らかかるのか知りたいんだというふうに言われるので、これは私がちょっとそういう記者の皆さんにサービスし過ぎたのかもしれませんが、平均的に、例えば六十万とか六十三万とも言ったんですが、そのぐらいがもし平均値だとすれば、トータル何頭というのはわかっているわけだから、掛ければ全体の事業費みたいなものは出ますよねという言い方をしたんです。
 ですけれども、今やっているものだってそれぞれの豚や牛の評価をしながらやっているんですから、そこだけが突然統一価格というか基準価格になるわけはないので、そんなことは当然のこととして、私は、ただ全体の目安を知っていただきたい、ぜひ知りたいというのでそういう言い方をしたことが正しくない形で伝わったのかなというふうに反省をしております。
○江藤委員 私はもういいですと言ったんですけれども御答弁されましたから、では、さらに言います。
 そのときに、最初から時価評価でやると言えばよかったんですよ。それぞれ個体差があるんだから、記者の諸君、そんないいかげんなことを聞かれて、今数字を出せるわけないじゃないか、時価評価でやるんだよとそのときに言っておけば、私もあんな質問なんかしないで済んだんですよ。私が勝手に言ったというのは、取り消せとは言いませんけれども、私の名誉のために言っておきます。
 では、時価評価、先ほど民主党の先生方も御指摘をされていました。とても大事なことです。まず、だれが行うのか。このことはとても大切ですよ。これがもしいいかげんな結果に終わったら、農家の怒りは爆発します。
 例えば、私のところの農家では、百二十万で繁殖雌牛を買っている人がいます。一頭百二十万。まだ三産しかしていません。三回しか出産していません。大体七回から八回は子供を産ませますよ。その後の牛は、隆美、糸秀、安平の血統をどんと引いていますから、この安い値段の時代でも、一頭当たり六十万近い値段がついてきたんですよ。ということは、三産しかしていないということは、少なくとも四産、五産はできたはず。もしかしたらもっと高い値段で売れたかもしれない。五産掛ける六十万だから三百万。導入価格は百二十万。これまで手塩にかけてきた金が幾ら、えさ代が何ぼ、これを詳細にはじき出すのは膨大な作業ですよ。でも、これをやらなければいけない。
 今回被害者である農家の理解を得る努力を政府が怠ったら大変なことになりますので、このことは、今お答えするのは難しいですけれども、ちゃんと一頭一頭細かく、幾らで導入して、これまでの実績はどうだったのか、そこまで調べて時価評価されるんですね。副大臣、お願いします。
○山田副大臣 時価評価で評価するということになっておりますから、当然、導入時の価格、それから月齢、そしてその血統、いろいろなことを考慮して、大体の評価というのは牛についてはあると思っております。また、互助会、互助基金協会にも大体の標準価格表みたいなものもございますし、そういったものを参考にしながら時価評価をきちんと決定させていただいて、本当に農家にとって時価評価していただいたというような形にできればと思っているところです。
○江藤委員 副大臣、今の言葉を信じます。農家に決して不満が出ないように、農家が納得のいく時価査定をしていただくことをよろしくよろしくお願い申し上げます。
 松野先生、お忙しいんですね。ちょっと順番を飛ばします、ずっと先だったんですけれども。
 松野官房副長官にお尋ねしたいことは、対策本部長が内閣総理大臣になりましたね。すべての閣僚が副本部長ですか、ということになったわけですね。ということは、この口蹄疫問題は内閣を挙げて当たるということなんですよ。もう農林水産大臣一人の責任ではないんです。内閣の責任として背負ったわけでありますね。そのことはまず間違いない。
 そういうことであれば、あらゆる省庁、景気対策も必要ですよ。経済対策も必要です。心が痛んだ人たちがたくさんいます。メンタルのケアも必要です。学校の子供たちは心がすさんでいますよ、だって家庭がすさんでいるんだから。
 ですから、私があなたに来ていただいた最大の理由は、内閣総理大臣が対策本部長となった以上、内閣を挙げて、総力を挙げてという言葉がさっき大串さんからありましたけれども、あらゆる方策、予算に糸目をつけずとは言いませんけれども、責任を持って、パッケージで、畜産対策だけじゃだめです、この痛みに痛んだ宮崎県を鳩山内閣としてどう支えるのかというパッケージとしての政策をぜひ早急にお示しいただきたい。
 すぐお返事は難しいと思いますが、お考えだけでも御答弁を求めます。
○松野内閣官房副長官 五月十七日に口蹄疫対策本部、内閣総理大臣を本部長として立ち上げをさせていただきました。
 今委員おっしゃるように、その意味合いは、政府を挙げてこの問題に対処するという意気込みも入っておりますので、ぜひ御理解をよろしくお願いいたします。
○江藤委員 パッケージで出してくれるのですか。
○松野内閣官房副長官 今、関係省庁連携をとりながら、あらゆる施策を総動員してという思いで頑張っているところでございます。
○江藤委員 期待をしておりますので、ぜひパッケージで、宮崎県民が安心するような。
 いろいろな影響が起きているんですよ。例えば、観光も大ダメージ。それから、野菜は平気かというと、この間、児湯農協に行ってきましたら、キュウリの苗、先生わかるでしょう、八千鉢キャンセルですよ。スイートコーン、今までは宮崎のスイートコーンといったらブランドでした。これも宮崎と名前はつけられぬと。当然値段も下がります。そういったあらゆる影響。運送業もしかり、飲食店もしかり、あらゆるところに影響が出ています。雇用の問題は深刻です。ですから、ぜひよろしくお願いをいたします。
 それではどうぞ、御退席、よろしくお願いいたします。
 それではまた農水関係に戻らせていただきます。
 次に、二十キロ圏内の早期出荷についてお尋ねをいたします。
 大臣は、搬出制限区域というのは、その中にある屠畜場で屠殺をして肉にして出すことはできるので、それはもう現に今もしているのですということを十九日と二十一日の記者会見でおっしゃいましたね。これは間違いないですね。
 これまで、川南、都農町などを中心とした半径二十キロの搬出制限区域内の牛は、一体どこの屠殺場で処理をされていたんですか。そして、牛肉は、大臣が言われるように出回っていたんですか。事実確認をさせていただきたいと思います。
○山田副大臣 いわゆる搬出制限区域、十キロから二十キロの範囲内に、生体の牛を外に搬出することはもちろんできませんが、いわゆるそれを屠殺して肉として出荷することは、外に出すことは自由ですから、既に行われておりまして、日向市の南日本ハムですか、ここでは、三戸の農家から、それなりに生産者からの豚を受け入れて出荷している。えびの市においても同様の、そういう形でそれなりに出荷をしている。そのように聞いております。
○江藤委員 大臣、副大臣、大いに間違っていますよ。結局、一番震源地である川南、都農、ここから牛は一切精肉としては流通していないじゃないですか。それから、南日本ハムの話。私は日向ですから近所ですよ、車で十分ぐらいのところ。わかり切っていますよ。だけれども、地理的要件があって、物すごい迂回をしていかなきゃいけないんですよ。ですから、ほとんど搬入していません、現実問題。
 それで、えびのの話をされましたけれども、えびのはワクチンを打っていないわけでしょう。ワクチンを打っていないところとワクチンを打っているところを一緒くたにしちゃだめじゃないですか。えびのがそうだから牛は動いていると。私が言っているのは、川南、都農。
 余り役人が後ろから知恵をつけるんじゃないよ、政治主導なんだから。
 川南、都農、そういったところが一番の震源地で、ワクチンを打ったわけでありますから、そこの周りの十キロ―二十キロの話をしているんでしょう。えびのに十キロ―二十キロがあるんですか。ないです、そんなものは。現状認識が全くなっていらっしゃらない、わかっていらっしゃらないということを指摘させていただきます。もう御答弁は求めません。
 しかし、数万頭もの家畜をどこで肉処理するんですか。子牛や子豚、妊娠牛、こういうものは食肉には向きませんよね。畜産をしている人間だったらだれでも知っていることです。政府の方針を聞いて、地元の方々は、現場の現状が全くわかっていないという声が多数上がっていますよ。
 昨日、移動制限区域にあるミヤチク都農工場の工場長さんと話をしました。ここは再開に向けて御努力をされているんでしょう。これも大変な特例ですよね。これも本当は家伝法にのっとったらやっちゃいけないこと。だけれども、これは雇用対策にもつながりますし、全否定するつもりはありません。それはそれでいいのだろうと思います。早期出荷をお願いするということであれば、これしか方法はないでしょう。
 しかし、この搬出制限区域内には牛は一万六千頭いるんですよ。工場長さんに直接聞きました、一日何頭処分できますかと。一日何と六十頭ですよ、フル稼働しても。計算しますと、二百六十六日かかります。これはワクチネーションを否定するものなんですよ。ワクチンを打って十キロ圏内を封じ込める、外側から。ワクチンを打ったって、病気にはかかります。ただ、ウイルスを吐き出す量は極端に減る、それで蔓延を抑え込もうと、これは正しい選択だったかもしれない。だけれども、同時に、この十キロから二十キロの間の家畜は早急にいなくなっていただかないと意味がないんです、ワクチンを打ったことの意味自体が。意味がないんですよ。このままでは、必ず十キロ―二十キロ内で出ますよ。そういうことを考えてください。
 十キロ―二十キロ圏は、緩衝圏、いわゆるファイアウオールのように、みんなに迷惑をかけないように、それに協力しようというふうにみんな言っていらっしゃいますけれども、戸惑いもありますけれども、それが意味をなさないという可能性があるということを御指摘しますが、副大臣、どうぞ、御答弁を。
○山田副大臣 先ほどの南日本ハムは、牛は確かに搬出制限区域内のものを出していませんが、豚については処分していること、えびのでもそうだ、そういうふうに今確認させていただきました。
 また、先ほどから申し上げておりますが、確かに、十キロから二十キロの範囲内において、牛の処理能力はミヤチクは六十頭しかありません。しかしながら、今急がれるのは豚だと思っておりまして、ぜひとも豚から最優先して、この十キロから二十キロの範囲内を処理させていただきたい、そう思っているところです。
○江藤委員 先ほど言いましたけれども、豚優先は正しいです。だったら最初からそう言ってください、最初から。そして、十キロ―二十キロ圏内の牛肉も、あたかも今まで流通していたかのようなことを言うのはやめていただきたいと私は思います。
 それでは、早期出荷した肉、これによってですよ。これは、国が買い上げるんじゃなくて流通させるんですね。間違いないですか。一般流通、スーパーに並ぶんですね。
 私は、国が今ずっと国民に対してメッセージとして言ってきたことは、口蹄疫にかかっている肉を食べても人間に影響はありません、しかも、口蹄疫にかかった牛はそもそも市場には出ることはありませんと。知事もさんざん言ってきたし、大臣も言ってきたし、私も地元で説明してきました。もし、ワクチネーションをして、それでもう十キロ―二十キロ圏内に入って、それでそこから出た牛なりに口蹄疫が見つかったら。今はトレサがありますからね、トレーサビリティーが。この牛はどこから来たかというのは消費者はすぐ判定できますよ。もし口蹄疫にかかった牛が市場に出たということがわかったら、これは非常に問題です、非常に問題。
 だから、役人は、うるさいと言っているだろう、そこで。後ろからごそごそと。政治主導なんだから、役人に知恵をもらうのはやめてくださいよ。
 そういうことを考えると、やはり最悪の事態を考えて政府は事に臨まなければなりません。ですから、これは国が買い上げましょうよ。もう内閣を挙げてやるということで幅がでかくなったんだから、使えるお金も大きいでしょう。万一の場合のことに備えて、十キロ―二十キロ圏の肉については政府が買い上げるべきだと私は強く提案しますが、いかがでございましょうか。
○山田副大臣 十キロから二十キロ以内の牛というのは健康な牛ですから、この健康な牛をいわゆる食肉として出荷することについては、健康な豚、そういったものを食肉として出荷することについては、何ら問題はない、そう思っておりますが、屠畜する場合におきましても、当然のことながら、口蹄疫にかかっているか否かという検査はするわけですから、安全、安心ないわゆる宮崎の豚、そういったものを出荷していくわけですから、何ら問題はないんじゃないか、私はそう考えております。
○江藤委員 私は、この期間中、いろいろな学識者や獣医師さんとお話をしました。屠殺した時点ではまだ発症していない、だけれども罹患はしている、発症していないだけで。それで食肉になっている場合があるそうです。これは、私は専門家ではないので断言はできませんが、肉にウイルスが残る可能性が否定できないんだそうですよ、肉に。六日から七日、さらに検査期間を入れると十一日間ぐらいはやはり危険ゾーンなんです、危険な期間なんです。そして、その期間に出荷された牛肉、それが実は発症した地帯から出た肉ということはトレサでわかる。
 となると、そこの人たちだけじゃなくて、宮崎牛に対する信頼、それから、トレーサビリティーとかJAS法とか、いろいろ農水委員会でもやってきました、食の安心、安全をやってきました。事故米のとき、私は政務官でした。それもとても大事な問題ですよ。食の安心、安全を確保するために、ここはけちらずに、私は、BSEのときは全部焼きました、もったいないという意見もありましたけれども。私は国がやはり買い取るべきだと思いますが、ぜひ前向きに御検討されますことをよろしくお願いします。
 まだ質問が多いので、次に移らせていただきます。
 搬出制限区域の人たちが、政府の要請を受けて早期に出荷する、そうすると、いずれ牛舎は空っぽになりますよね。全部成牛になって出ていく、全部成豚になって出ていけば、空っぽになりますよね。その後、新しい母豚を入れよう、新しい種母牛を入れよう、そういうふうになったときに、このいわゆる搬出制限区域の人たちに対する再建の支援策というのはお考えになっていらっしゃいますか。
○山田副大臣 再建支援策は、先ほどお話ししましたように、ワクチンを接種した農家については互助基金並みのいわゆる生活支援をするということですが、今、実際に、早期奨励してやって豚がいなくなってしまったところとか、そういう農家に対しては、今それなりの生活支援を検討させていただいております。また同時に、再開するときには、豚のリースとか牛のリースとか、そういった家畜のリース事業もやりたい、そう考えているところです。
○江藤委員 早くそれなりの生活支援の内容を明示してください。十キロ―二十キロ圏内の人は、物すごい不安に思っています。リース事業なんというのは既存の事業ですから、特別目新しいものでも何でもございませんから、それから一歩も二歩も出た温かい手を差し伸べないと、逆に言うと、この十キロ―二十キロ圏の人はもっと大変ですよ。
 それでは、副大臣がお越しですので、時間がなくなると申しわけないので、副大臣に、ちょっと飛んでお尋ねします。
 自民党におられたときは、私の農林の師匠であった方でいらっしゃいますので、このことについては大変な御理解をいただいているというふうに信じております。経済産業省として今どのような支援を考えていらっしゃるのか、そして、先ほども、何度も言いますけれども、内閣としてやるということでありますから、これ以上にやるお覚悟があるのかどうか、御答弁を求めます。
○松下副大臣 松野官房副長官がお答えされました。経済産業省も政策を総動員して、できるだけの、全力を挙げて対応をしてまいりたい、こう思っております。
 私も、鹿児島県の、日本一の畜産県と言われる薩摩地方の出身でございまして、宮崎県と一緒に日本一を競ってきた県でございます。忠富士に負けないほどの、平茂勝というすぐれた種牛を初め、優秀な種牛を産出した地域でございますから、全力を挙げてやっていきたいと思っています。
 十年前に、三月二十五日に発生して、五月二十六日に撲滅しました。そのときの党の対策本部長が、あなたのお父さんの江藤隆美先生でありました。その薫陶を受けて、私は事務局長としてこの問題に当たっていました。あなたがお父さんを助けて頑張ってこられたこともよく見ておりますし、今回もその思いで、国を挙げて、全力を挙げて、自分の力も出して頑張っていきたい、こう思っています。
○江藤委員 ありがとうございます。
 商業、一次産業、二次産業、三次産業かかわらず、助けを求めている県民がたくさんいます。どうぞ内閣の力を合わせてお力をおかしいただきますように、重ねてお願いを申し上げます。
 力強い御答弁、本当にありがとうございました。
 それでは、昨日、宮崎労働局から雇用調整助成金が利用できるという発表がありました。非常に私は喜びました、これは使い勝手のいい制度ですから。この決定については、私は極めて歓迎をいたします。経済産業省にも、今、一生懸命やっていただくという御答弁をいただきまして、力づけられたところでございます。
 総理は十八日の会見で、ちょっとかぶりますけれども、経済、経営のことはしっかり政府がやると。しっかりやると。経済も経営のこともしっかりやると述べられたんですから、私は赤松大臣にもこのことをただしました。これは、生活の補償、農家の経営再建、従業員の給与、関連産業、地域経済が受けたすべての損失、これについて鳩山政権が総力を挙げて責任を持って補償するということで理解してよろしいですかとお聞きをいたしました。その御答弁は、畜産への依存度が極めて高い地区であることを考えますと、政府一丸となって対策を適切に講じてまいりますというふうにおっしゃいました。これは議事録そのままですから。
 何度も言いますけれども、もう畜産だけじゃだめなんですよ、畜産だけでは。ですから、大臣も対策本部の閣僚として、一員でありますので、畜産はもちろん主たる題目、演題ではありますけれども、ぜひ全体を見据えてやっていただきたいというふうに私は思います。
 なぜかといいますと、国道十号線、私、朝一便で来るときは、いつもは空港へ二時間前に出るんですよ。ところが、チェックポイントがふえて、そこを通るときは減速しなきゃいけないんです。とめられて、ゆっくり行かなきゃいけない。うちの秘書君が、代議士、ちょっと早目に出ないと飛行機に間に合いませんと。では、一時間早く出ようと、きのうは三時間前に出ました。そうしたら、驚くほど早く空港に着いちゃったんです。
 なぜだと思いますか。みんな外出を控え、そしてトラックが本当に走っていない。トラックの数が本当に少ないんですよ。経済活動がいかに停滞しているのか。十号線というのは宮崎県の生命線ですからね。あそこが朝の時間に渋滞しないなんということは考えられません。まさに実体験として、宮崎の経済が受けている傷の深さというものをきのうの朝実感してまいりました。
 ですから、ぜひとも皆様方のお力もおかりをして、思い切った対策を省庁横断的にやっていただきたい。ぜひよろしくお願いいたします。
 それからまた、農林所管のお話に少し戻らせてもらいたい、もう時間がありませんが。
 出荷停止により、収入が途絶える農家に対して、一時金の支給など生活支援を講じるとともに税金や公的資金の支払いを免除すること、これは前回、五月十四日の委員会で私がお願いをしたことであります。このことについて山田副大臣の御答弁は、いわゆる家畜伝染病予防法に基づく交付金、融資、これらで対応しますということを申されましたが、それでは、そんなお金はすぐ消えちゃいますよというお話をした。
 同時に、このお話をしました。いわゆる家畜疾病経営維持資金融通事業、これの要件がよくないと。二十億から百億に枠を広げたことは評価すべきです。もっと広げなきゃならないかもしれない。ただ、貸付限度額が個人で二千万、今個人でも大規模化していますからね。そして、法人で八千万。これでは余りにも内容が不十分。融資期間がたった五年間、そして猶予期間が二年しかない。そして、経営維持資金についても、乳用牛でも十万円しか出ない。ここの貸出限度額、それから要件の見直しをお願いしますということを申し上げました。そのときは時間がなくて、時間切れになってお返事をいただけなかったわけでありますが、もし御検討いただけたのであれば、この場で御答弁をお願いします。
○山田副大臣 まだこれからでございますが、ただ、百億では足らないということは私もよく承知しておりまして、今、大臣には、少なくとも三百億まで枠を広げましょう、そう言っているところです。
 いずれにせよ、ワクチンを接種して、清浄国として事業を再開するときには、今委員がおっしゃられましたいわゆる貸し出し要件については、今の事業規模に沿った形で、返済能力も加味しながら、十分考慮させていただきたい。そのときには、また大臣とも相談して決めさせていただければと考えているところです。
○江藤委員 ありがとうございます。非常に前向きの御答弁をいただきました。信じますから、ぜひお願いします。
 本当は、この残ってしまう一・四七五、これについては、特交でやるのかやらないのかまだはっきりしませんし、突っ込みたいところはいろいろありますけれども、枠を広げていただく、要件についても今後検討するというお言葉をいただきましたので、きょうのところはこれにて納得をさせていただきます。
 ただ、急いでください、急いで。なぜかというと、もう地元では生活困窮なんですよ。この間の委員会で私は申し上げました。五月の競りに出荷できなかった牛、その分については仮払いとして農協が二十万払いました。それで何とか御飯を食べてきました。私の携帯に電話がかかってきて、拓ちゃん、もう銭がねえ、飯を食う金がねえ、どんげしようかと。そんな電話が一本、二本じゃないんですよ。
 川南町はすべての畜産農家に、まだ議会できちっとした議決は受けておりませんが、行政と議会の間ではもう合意をしました、一律三十万払うと。あの財政力の弱い川南町の方がずっと動きが速いですよ。
 私たちが求めているのは、差し当たり生きていけるお金を、お見舞金とは申しませんが、何とか私は川南町に倣って出していただきたいと思います。ほかの市町村も、川南町に倣って我々もできないかという検討に今入っています。みんな一生懸命。現場で苦労している人たちがこれだけやはり頑張っているんですから、国もスピードアップ、その不安を取り除く努力をしてください。
 それから、税の話をいたします。
 宮崎県の税務課は、県税のいわゆる納税猶予それから分納相談、これを受け入れるという発表を昨日いたしました。私が前回の委員会で申し上げたのは、いわゆる国税、消費税とかそういった部分については、とても払える状況にないんだから免除してくださいということを申し上げました。お答えをいただけませんでしたけれども。ぜひ、これについては考えてください。ないそでは振れないんですから。生活に困窮している人に、税金の請求書が来て、払わなかったら延滞金を払えと。こんな冷たい国がありますか、こんな冷たい国が。
 御検討いただけるかどうかだけで結構ですから、御答弁を求めます。
○赤松国務大臣 具体的に現地からは、例えば補償金等について収入とみなさずに、戸別所得補償制度なんかでいう、いわゆる準備金の扱いにできないかとか、いろいろな声を聞いておりますので……(江藤委員「非課税という意味ですか」と呼ぶ)そういう声を聞いておりますので、そういうこともしっかり受けとめながら、これはもう財政当局とも相談をしなきゃいけないことでございますので、しっかりと生活支援あるいは経営再開支援ができるように頑張ってやっていきたい、このように思っております。
○江藤委員 時間が参りました。最後にしますが、先ほど申し上げました、私どもは昨日の夜遅くまでかかりまして口蹄疫対策緊急措置法をまとめました。もう多分、今の時間には国会に提出がされていると思います。もう時間がないので説明はしませんけれども、これは、今までの家伝法ではできない部分をこれでフォローしようということを目的にしています。
 例えば、国が土地は全部、埋却地については買いましょうとか、基金をつくって、それが畜産にかかわらず、この口蹄疫発生によって被害を受けたあらゆる人たちの経営再建、生活再建に資するような基金をつくりましょうであるとか、いろいろなことが盛り込んであります。
 政務三役におかれましては、委員の皆さん方におかれましてもそうですけれども、これをぜひ読んでいただきたい、そして御検討をいただきたい。私はこれがベストだと思っております。しかし、もっといい案が皆様方から出るかもしれない。この案につきましては、一刻を急ぎます、一刻を急ぐようでありますから、ぜひともこの委員会で、筆頭間御協議も交えて御検討をいただきますことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○筒井委員長 次に、森山裕君。
○森山(裕)委員 自民党の森山でございます。
 委員長、理事の皆さんや委員の皆さんの御理解をいただきまして、質疑の時間をお与えくださったことに感謝を申し上げます。
 大臣、私は、参議院の時代に宮崎で発生した口蹄疫を国会議員として経験しました。あのときのことを今思い出しておりますけれども、自民党は、朝昼晩、毎日と言っていいぐらい部会を開いて対応を協議しました。先ほど質問をされた江藤拓代議士のお父上が、悲壮感に満ちた顔で議事を進めておられたことを思い出しています。また、平成十六年三月、私の鹿屋市で発生をいたしました豚コレラの疑似患畜の案件にも私は遭遇しました。
 自分の経験を通じて思いますことは、ウイルスとの闘いは科学を信じることだと私は思っています。科学を信じて万全な対策をとっていく以外に解決の道はないのだと私は思っています。
 現状を大臣はどう認識しておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○赤松国務大臣 大変、口蹄疫の勢いがとまらず、きょう時点で二百例の発症を確認し、約十四万五千頭、牛が一万九千頭、豚が十二万六千頭などでございますけれども、これが殺処分の対象ということになっております。
 最初に発見をされました四月二十日以降、農水省におきまして対策本部、そしてまたその後、今度は政府全体で、これだけの広がりを見せている口蹄疫に対する対策をしていこうということで、総理をトップといたします政府の対策本部も立ち上げたところでございます。二十三日、三十日、十日という形で、第一次、第二次、第三次ということで、それぞれ、地元の要請、要望も受けながら対策を講じてきたところでございます。
 何とか今、宮崎県内に押しとどめてはおりますけれども、しかし、残念ながら、今申し上げたように発症件数等は増加の一途をたどっているということで、何としてもそこで食いとめよう。また、委員の地元であります鹿児島の方に決して御迷惑をかけてはいけないというところで、今それぞれ防衛線もつくりましてやっている。
 特に、初めてでございますけれども、殺処分を前提にしたワクチン接種ということも、いろいろ御意見はあったと思いますけれども、そこまで踏み込んで、ぜひ蔓延を阻止したい。
 それからまた、十キロから二十キロ圏に関しては、そこに何とか緩衝帯をつくって、それ以上この移動制限区域内から外に広がらせないようにしようということで、これまた、きょう午前中のいろいろな議論で、それぞれ反対の声もないわけではございませんけれども、そういうところも、御理解をいただく中で今取り組みをさせていただいているというところでございます。
 委員御指摘のとおり、一番やはり大切なのは科学的な根拠に基づいてしっかり対応をしていくことだということでございまして、まさに私もそのとおりだと思います。私どもの対策本部のもとに専門家を中心にした小委員会も設置をしておりますので、その先生方のいろいろな判断も、その都度、毎日のように判断をいただきながら、対策を進めているというところでございます。
○森山(裕)委員 大臣、ありがとうございました。
 いろいろ申し上げたいことがありますが、まず、五月六日の日に、二回目でありましたけれども、我々自民党の関係議員、宮崎、鹿児島の国会議員を中心にして、山田副大臣のところにも直接お伺いをして、一定の区域を決めて思い切って殺処分をした方が広がらなくて済むのではないか、その方が結果的に蔓延を阻止できるのではないかというお話も申し上げました。印象に残っておりますのは、副大臣が大変苦渋に満ちた表情で我々の陳情を聞いておられるなということでございました。
 私は、ウイルスとの闘いというのは、いかに決断を早くするかということだと思います。そして、科学的見地に基づいた対応をしっかりやっていくということ以外にないのだろうと思います。そういう意味では、やはり初動がおくれてしまったということは大きな反省点なのではないかと思いますが、その点について、いかがでしょうか。
○山田副大臣 初動について、いろいろ言われております。
 実際、二十日の未明に発覚しておりますが、それ以前に、水牛が三月中に既に宮崎県下においては発症をしていたんじゃないかというようなお話もございます。これからいろいろな形で、どうしてそれは見逃されていき、そして四月二十日にならなければわからなかったのかということも、一つ大きな初動のおくれになるかと思います。
 四月二十日以降は、私ども、その日の朝九時には赤松大臣を本部長として対策本部を立ち上げまして、すぐに防疫員を現地に派遣し、移動制限区域十キロ、そしてまた搬出制限区域二十キロ、その線を引いて、それから防疫に努めてまいりましたが、ただ、残念なことに、埋却地の確保ができなかった。埋却処分がおくれて、おくれて、おくれてしまった。これが、先ほどから申し上げているように蔓延を拡大してしまった。非常に残念な思いがいたしております。
 ちょうど委員が私のところにお見えになったのが五月六日だったと思いますが、私も、たしか次の日には、大臣と相談いたしまして現地入り、次の日じゃなかったか、ちょっと間違っているかもしれません。それから後、大臣ともすぐ相談させていただいて、私も現地に今そのまま入らせていただいて、委員がおっしゃっているように、早く殺処分できないだろうかと。
 ところが、まさに殺処分が、埋却地がないから発生に追いつかないという状況の中で、もうワクチン接種もやむを得ない、そういう判断をいたしまして、大臣とも相談し、知事さんとか各市長さんにも御理解を求めて、そういう決断をさせていただいたというところです。
○森山(裕)委員 副大臣、私は、埋却をする用地がなかったということは許されることではありません。どんなことをしてでも手当てをしなければいけないのではないかと思います。それができなかったで済む話ではないということを、まず強く申し上げておきたいと思います。
 それと、私はちょっとよくわからないのでございますが、第一回の疾病小委員会で出された結論の中に、当該の農場から一キロのところで抗体検査を実施するという方針が示されているわけでありますけれども、どうもこの抗体検査が行われたということを実は聞いていないものですから、なぜ、疾病小委員会が一キロの範囲内で抗体検査をすべきだという指示をしたのにそれがなされなかったのかということがよくわからないのでございます。そこをまず教えていただきたいなというふうに思います。
○佐々木大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘の小委員長の発言というのは、発生確認直後でありますが、この清浄性確認検査について、一キロ以内のすべての農場の抗体検査を実施すべきという見解を示したものであります。
 しかし、実際の対応としては、その後の発生がどんどんと広がっていったというようなことをかんがみて、殺処分等の防疫対応を優先させていただいたということでございます。
 清浄化確認検査の手法については、その後、五月六日の小委員会において改めて確認をされて、移動制限区域内の牛及び豚の飼育農場全戸における臨床検査、それから半径三キロ以内の牛の飼育農場全戸を対象とした血清検査等を実施するということも、この小委員会において決められているところでありますが、先ほど申し上げましたように、その後の発生状況が、大変蔓延をしてきたということで、そちらを優先させていただいたということでございます。
○森山(裕)委員 そのことが初動にミスがあったということなんじゃないんですか。
 この小委員会が結論を出されて、抗体検査をすべきだと言われたのは、間違いなく、鹿児島県の鹿屋市で起きました豚コレラの疑似患畜を抑え込んだときに、抗体検査を先に先にやって、うまく五例でもって終結をいたしましたから、私は、その経験に基づいてこの提言はなされているのだろうと思っています。
 殺処分が間に合わなかったからやらなくていいという話とは違うと思います。それは、あなた方が小委員会の提言を忠実に守ろうという姿勢がないということなんじゃないんですか。見えないウイルスとの闘いというのは、そういうことを一番大事にしていかなければならないんじゃないんですか。そこをどうお考えになりますか、政務官。
○佐々木大臣政務官 確かに、ウイルスとの闘いというのは先生の御指摘の点もあろうかというふうに思いますが、この小委員会でのサーベイランスの決定というのは、清浄化をするという前提でこの小委員長の発言があるわけで、その後の続発状態ということから考えると、とてもそれは、そちらの方に対応しなければいけないというような状況が生まれたので、そちらを優先したということだったというふうに思います。
○森山(裕)委員 政務官、そういう認識で口蹄疫に対応されても、ますます広がっていくんじゃないんですか。あなた方の物の考えている基本を改めていただかなきゃいけないんじゃないんですか。
 それと、疾病小委員会の概要を読ませていただきますと、すべてのところで、迅速な疑似患畜の処分を急げということを指示しておられますけれども、私は、今回の現象の中で、えびのの現象と川南を中心とする現象の大きな違いの原因はどこかというと、えびのは、発症した牛や豚が発見をされたら、頭数が何頭であろうと、その日に殺処分をして埋却、消毒を済ませています。これは非常に大事なことなんだろうと思います。そういうやり方をやれというのが疾病小委員会のお考えなんだろうと思います。
 ただ、先ほど副大臣が言われましたとおり、それは土地がないという話はわからないわけではないけれども、余りにも時間がかかり過ぎたんじゃないんですか。
 もっとひどい話は、一番新しい資料を見せていただきましても、まだ五月の七日ごろの分が残っているということではありませんか。五月の七日に判明したものもいまだに処理が終わっていない、そして五月の八日、五月の十日ごろまでの分もまだ済んでいない。これは私は大変なことだと思いますよ。ウイルスを出す牛や豚をそこに置いたまま、どんな防疫体制をしたって意味がないんじゃないですか。私は、これはどんなことがあっても、どういう手段を使ってでも、速やかに終わらなきゃだめですよ。そこの決意を述べていただきたい。そして、いつまでに終わるんだということを明確にしてください。
○山田副大臣 私が十七日に現地入りしまして最初に本当に心配をしたのは、今の埋却地、何で埋却できないのか、どうして殺処分が進まないのか。最初は、獣医さんが足りない、人が足りないんじゃないか、そう思って、一生懸命獣医さんをかき集めたり人の確保をやってみたんですが、よくよく現地を回ってみますと、いわゆる埋却地がいろいろともめているわけです。近隣の方々に、臭いとか、ガスが出るとか、いろいろな形で。一たん決まった埋却地も、またもとに戻されて埋却できない。そういったいろいろな事情があることがわかってまいりました。
 そこで、すぐに大臣とも相談させていただきましたが、知事さんにすぐに申し入れさせていただきまして、農大の跡地、あれだけの広さに、すぐにでも川南、高鍋のそのままになっている豚を埋めさせてもらえないか、そういう話をさせていただきました。
 知事も、それを反対するものではない、そういう話をいただき、川南の町長さんにも、不公平感は、既に自分の土地に埋却したところ、そこはずるずるになって自分の土地が使えなくなるということもわかりますし、そのために、埋めるために他人の土地を買った人、そういった人たちの苦痛、そして出費もわかります、それについてはそれなりの対応をさせていただくから、とりあえず、急ぎこの火事を消さなきゃいけない、だから農大の土地に埋めてくださいと言っても、なかなか聞き入れてもらえなかった。しかしながら、ようやくきのう、県も四カ所の公共用地、国も新田原の基地のところの土地についての埋め立て、そういったものも決定していただいたと思っております。
 そんな中で、早く埋却地を確保して、本当に一刻も早くやらなければならない。先ほども申し上げましたが、豚一頭がまさに半日で一万頭の豚に感染するウイルスを発散し続けているというこの現実、それが、数万頭に及ぶものがいまだにそのまま残されているという事実、その意味では、非常に、大変危機的な状況、大変厳しい状況であるということは、よく認識しているところです。
 期日を追っていつまでにとは言えませんが、少なくともワクチンの接種だけは、県の方で十日から一月かかると言っておりましたが、必ず三日間でやってほしいという形で、どうやら四日で、きょうでもってほぼワクチン接種は終わるようです。
 ところが、ワクチン接種したからといって、すぐに効果が上がるわけじゃありませんし、消毒はさらに欠かせないことですし、非常にこれからも燃え盛るんじゃないかと大変危惧しているところです。
○森山(裕)委員 副大臣、ありがとうございました。
 大臣、今副大臣から御答弁をいただいたところでありますが、私は、五月七日に判明したものがいまだに処理が済んでいないという現実は非常に重いと思います。ここは大臣が先頭に立っておやりいただかないと、まさに人災と言われてしまいます。専門家の話を聞きますと、空気感染を始める条件が整っているんではないかという話もあります。空気感染が始まってしまったらどういうことになるかというのは、よくお互いに理解ができるところであります。まず埋却の処分を一時間でも早く終わるということが大事なことだと思いますし、大臣の決意を少しお聞かせいただきたいと思います。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 森山委員の御指摘のとおりでございまして、私も、とにかく口蹄疫に対する唯一最大の決め手は、やはりいかに早く殺処分をして埋却するか、そして消毒を徹底的にやるか、これしかないと思っております。
 先ほど委員も御指摘のとおり、では、なぜえびの市ではうまくいって、川南を初めとするこちらでうまくいかなかったのか。これは、まさに十年前を教訓に、指針に従って、きちっとその指針どおりのことをやれた地域とやれなかった地域、その差ではないかと思っておりますが、ただ、それはだれのせいとかなんとかという意味ではなくて、やはり幾ら国がかけ声をかけても、県や市町村の御協力なくしてはこれはできませんし、今の具体的な例でいえば、あと六万頭残っているわけですから、これをいかに早く埋め切るかということしかないというふうに私は思っております。
 ワクチンについては、七十一班、七十一チームでずっと獣医さんがそれぞれ責任者で回っていますが、ほぼきょう終われば、この七十一名も旧来殺処分に当たっている獣医さんと一緒にプラスアルファして、そして、あす以降、埋却地も、公有地も含めて、県有地等も含めて出てきたようでございますので、そこに積極的に埋めて、とにかくこの六万頭を埋め切るということに全力を挙げたい、このように思っております。
    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○森山(裕)委員 大臣、どうか大臣が先頭に立って、そのことをぜひともお願い申し上げたいと思います。
 それから、今回少し気になりますのは、宮崎県の畜産試験場とか、あるいは家畜改良事業団とか、県立の農業大学とか、県立高校とか、比較的防疫体制についてはしっかり対応していただいているところが発症しているということをどう見るのかということだと思います。
 私は、地元に帰りまして、週末、いろいろな方とお話をするんですけれども、はっとした話は、鹿児島はお酢の産地でございますから、消石灰をまいた、しかしお酢もきくそうだ、だから先生、消石灰をまいてお酢までまけば非常にいいんじゃないか、こうおっしゃるわけです。それでは中和してしまいますので意味がないんですが、やはり農家の皆さんというのはとにかく何とかしたいと思っておられるものですから、消石灰をまいてお酢もまけばより消毒体制がうまくいくんじゃないかと思われるところも無理はないんですけれども、私は、もっと基礎的なことをしっかりやってこなかったなというところに反省があります。
 また、私の地元で豚コレラが発生をしたときに、ワクチンを打たせろ、打たせろの大合唱でした。それは知事も大変御苦労されました。地元の市長も大変御苦労された。我々のところも、電話が来るのは、ワクチンを打たせろ、打たせろという話でした。しかし、ワクチンを打つと清浄化に時間がかかるし、難しい問題が出てくるので、ここは頑張り抜こうとお互い励まし合いながら、何とかクリアしました。
 だから我々は、今回ワクチンを打たなければならなかったというのは大きな反省点だということをお互いが認識しておかなきゃいけないのだろうと思います。ワクチンを打って、何とかウイルスの発散を抑えて対応するという手法をとらざるを得ないところまで追い込まれたんだということを強く認識しておかなければいけないのだろうと思います。
 時間がありませんからちょっと具体的なことをお聞きいたしますけれども、防疫体制に当たっておられる方々を含めて、マスクをはめておられなくて大丈夫なんだろうかとか、そこからまた次に伝染をしていく可能性はないんだろうかということを、テレビの放映を見ておられる方々というのは、大変実は専門家の人たちも心配をしておられます。
 また、何かの間違いであればいいのですけれども、きのう、えびのの清浄化の確認作業が始まりました。テレビ局がその作業にずっとついて放映をしておられるというニュースがあったと地元で聞きます。私は、ここはマスコミの方々も御理解をいただかないと、それを通じてウイルスが広がっていくかもしれない。そういう報道規制をするというわけではありませんけれども、御理解をいただくところは御理解をいただいてやっておかないと、おかしなことになってしまうのではないか。その二つのことを実は大変気にしておりますので、対応方をまずお願いしておきたいと思います。
 それと、ちょっと気になる話を地元で聞くのでございますが、十キロ圏から二十キロ圏のところは早く屠畜をするという政策を出されました。そこで問題になりますのは、肉にならない子豚とかぬれ子とかいうものが必ず発生をいたします。それをレンダリングするために、都城にあるレンダリング業者へ持っていこうとされる計画があるのではないかという話が地元であります。
 私は、こういうことはもう本当にやめていただきたい。そんなことをしたら、今必死に防疫体制に取り組んでいる近隣の市町村というのは気持ちがなえてしまいます。そういう間違った判断はしないでいただきたい。そういうことはありませんよという答弁をここでしっかりいただければありがたいと思います。
○山田副大臣 先ほどから、森山委員が最初に言っておりました疫学調査、これについては、確かに私もその必要性を考えておりまして、今はワクチン接種に獣医さんも従事しておりますが、ぜひ何らかの形で早く疫学調査はやっていきたい、そう思っております。
 先ほどから話しておりますように、十キロから二十キロについて、できるだけ豚を処理していきたい、肉にしていきたい、そう考えておりますが、その方法等については、肉豚についてはミヤチクとか南日本ハムですぐにできそうですが、その余のものについては検討しなきゃならないことがいろいろございます。ましてや牛については、処分頭数もまだまだ、例えばミヤチクでは六十頭しかできないとかいろいろなことがありまして、そう簡単ではないということは十分認識しております。
 これから対策本部においていろいろな検討をさせていただきたい、そう考えているところです。
○森山(裕)委員 時間が参りましたので終わりますが、そのような懸念が、また心配が非常に地元にあるということを御認識いただいて、間違いのない対応をお願いしたいと思います。
 お時間をいただいてありがとうございました。
○筒井委員長 次に、谷公一君。
○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。
 きょうは、委員長、理事の方々に御理解をいただきまして、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。地元のさまざまな問題は、先ほど来、江藤先生、また森山先生、午後からも続きます。
 私は、十五年前の阪神・淡路大震災を初め、さまざまな災害、大規模事故、福知山線の事故もございました、それらを経験し、遭遇し、復旧復興に携わった者として、今回の口蹄疫の問題について、基本的な認識、また対応がおくれたのではないか、小出しし過ぎたのではないか、そして、今後の取り組み、目標、そういったものについて、以下お尋ねしたいと思います。
 委員長、大臣に私は質問したいんですけれども、大臣……
○筒井委員長 もう戻られましたね。
 では、谷君。
○谷委員 基本的な認識といいますのは、口蹄疫というのが一たん発症して広がると、どういうふうな影響、また国民経済に影響を及ぼすのかというのは、さまざまな前例があります。
 十五年前、阪神・淡路大震災のときは、戦後五十年、日本であるいは世界で大都市を襲った直下型地震というのは皆無でありました。今回、口蹄疫はそうではありません。二〇〇一年、イギリスでは七百万頭を超える家畜が殺処分をされ、一説によれば間接的な経済への影響も含めて一兆七千億を超える損害を与え、総選挙も延びたようにお聞きしております。
 そういう認識を、大臣、しっかり持っておられましたか。発症前からこのことは御存じでしたか。あるいは、発症してから勉強してわかりましたか。そこをお尋ねしたいと思います。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 前政権のときからこの口蹄疫につきましては、昨年の二月に発症いたしておりまして、それ以降三回にわたって、それぞれ国内の関係団体あるいは各都道府県に注意を喚起してきたところでございます。そういう意味で、口蹄疫が、例えば香港であるいは韓国で発症しているので、特に、海からあるいは空からの渡航者等について消毒その他をやってほしいということは、農水省からもお願いをしてきたところでございます。
 そういう意味で、ちょうど十年前に北海道と宮崎でこうした口蹄疫が発生したという事実は存じ上げておりますけれども、今回いろいろな対策をする上で、専門家の方たちからいろいろ話を聞いたり勉強させていただいたり、一般的な予備知識といいますか、そういう知識以外に専門的なことは、今回のこの宮崎における口蹄疫の発生以降勉強したことも多かったと思います。
○谷委員 私がお聞きしたかったのは、特にイギリスの例です。九年前に七百万頭を超える殺処分を出して、国の経済がおかしくなるんです。私が質問するのは、そういう危機意識、また認識を、最高責任者たる大臣がきちんと持っておられたかどうかというのを疑っているからなんですよ。
 ですから、その後の四月二十日に初めて国の方に報告があって、その後どういう行動をとったかというと、大臣は、対策は万全と考えて国外出張をされた。それはいろいろ委員会でもやりとりがありました。大臣は、これは国益のために必要なんだと言われた。その必要性については、ここはこの場では議論いたしません。
 一つ、もう一度大臣にお伺いします。
 大臣は、外国に行ったとしても、対策について何も差し支えなかったですか。外国に行って差し支えがあったのかなかったのか、そのことをお尋ねします。
○赤松国務大臣 私が行ったことによって、急に例えば発症が大きくなったとかいうことはないというふうに認識をしております。
○谷委員 どうも認識に相当ずれがあります。この委員会でも、あるいは本会議でもたびたび言われましたけれども、最悪の事態、これは災害です。危機的な状況なんです。そういう認識をしっかり持っていれば、最高責任者は外国に行ったりしちゃいけないんです、これは当たり前です。直ちに現地に行くというのが通常の姿で、阪神・淡路でもそうでした。それ以降のさまざまな災害でもそうだったじゃありませんか。中越でもそうです。福知山線の事故でも直ちに行った。そういう初動の対応について、私はどうも政府側の答弁には納得できない、今なおできない。
 過去の議事録、私も、農林水産委員会の委員ではございませんのでいろいろ調べてみました。山田副大臣は、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」初期の対応は万全だ。あるいは別の委員会では、それなりの対応を十分にさせていただいていると。
 問題はないんだ、こういう認識、その認識は、大臣、まだ変わらないんですか。今でも初動の態勢に全然問題はなかったと。
○赤松国務大臣 私自身は、二十日に判明して以来、直ちに、専門家の委員の先生方の話も聞きながら、対策を今、最初に何を講じなければいけないのかということで、それぞれ対策本部も立ち上げる中でいろいろな施策を尽くしてきたところでございます。
 行かなかった、行かなかったという話もありますが、むしろ畜産業もやっていた山田副大臣あたりの方が専門的に詳しいだろうということもあり、山田副大臣には行っていただく。その前には、知事もお見えになり、与野党のそれぞれの議員の皆さん方からいろいろな申し入れや要望や意見交換や、そういうことがありましたので、そういうこともしっかりやらせていただく中で、そして、何カ月も前から海外の出張の件については決まっておりましたので、それについて議運の方にお伺いを立てさせていただいたというところでございます。議運の方は了解ということになりましたので、それに従って行かせていただいた。
 ただ、そのときに、後はではよろしくなんということではなくて、ちゃんと、こういう場合にはこういう対応をしよう、こういう場合にはこうしよう、連絡は朝、昼、晩、こうやってとろう。そして、もちろんこれは内閣全体のことですけれども、臨時大臣として福島さんを決めていただく。省内的には、山田副大臣が私の代理として連休中もずっと東京にいてもらって、対策の先頭に立ってもらう。緊急な、もし数が急にばっとふえたとか、あるいは県外に広がったとかいうときにはこういう対策をしようというようなことについても、きちっとそれは決めておいて、連絡も絶えずとってやってきたというところでございます。
○谷委員 そういう話はもう委員会で、議事録を読めばわかります。大臣が一生懸命やっていないんじゃないかと私は言っているわけじゃないんですよ。ただ、責任者でしょう。結果責任はどうとるか、そのことを私は問うているわけです。
 常識的に考えて、初動の態勢に問題なかった、初動の態勢に問題ないということは、危機管理の上においては、同じようなことがあったら同じような体制で今後ともやるということですよ。では、同じように、また某県で口蹄疫があった。政府の対策本部、国全体の対策本部は立ち上げないんですよ。農林水産省だけで立ち上げて、現地の対策本部も、いや、これは法定受託事務だから某県の知事がやればいい、現地の対策本部さえ設けず、そこの農政局の幹部をやっているからいい。それが今回の対応でしょう。今回の対応の反省がないということは、同じようなことを同じようなやり方でやるということですよ。そういうふうに理解してよろしいですか。
○赤松国務大臣 当面は、とにかくこの口蹄疫を抑え込むということに全力を挙げる。
 それで、当然のことながら、こうした対応についての検証ということは必要になりますし、それからもう一つは、やはり同時並行で、感染源や感染経路の究明、この科学的な部分、医学的な部分と、もう一つは、もう少し、ソフト面でこういう対応で本当によかったんだろうかということは、当然のことながら検証する必要があるというふうに思っております。
○谷委員 反省はしていないけれども検証はする、そういう理解でよろしいですか。
○赤松国務大臣 別に反省はしていないと言っているわけじゃなくて、私としては、誠心誠意、必要と思う事柄についてやらせていただいてきたつもりだと。ただ、結果として、委員御指摘のように、これだけ広範囲に口蹄疫が広がった、一定のところに押しとどめはできたけれども、しかし、残念ながら、その数はきょうの時点で二百例ということで一万四千を超える数になっている。そのことについては、大変それは申しわけない気持ちでいっぱいです。
 特に、現地で御苦労されている畜産農家の皆さん、そして、この口蹄疫を抑え込むために、自衛隊の諸君も、あるいは九州管区の警察の諸君も、あるいは農協の皆さん方、これももう全国から今応援に来てもらっていますし、獣医さんも、共済からも今来ていただけるようになりました。こういう皆さん、都道府県の職員の皆さんも本当に駆けつけていただいて、今、昼夜を分かたぬ活動をしていただいている。本当に皆さん方によくやっていただいて、頭が下がる思いです。
 また、畜産農家の苦悩を考えると、将来、本当にこれでやっていけるだろうか、再開できるだろうか、いろいろな御心配があると思いますけれども、それに対して、やはりきちっとした方向を出し、支援策をとり、責任を持った国の対応をしていくというのが、今の私の責任だというふうに思っております。(谷委員「検証はするんですか、検証は」と呼ぶ)
 検証はもちろんしてまいります。
○谷委員 反省がないというのは、先ほどのいろいろな答弁、初期の態勢は万全だとか、「初動が遅いというお話でしたが、決してそんなことはない。」これは山田副大臣の過去のこの委員会での答弁です。また、今までの体制で十分だ、そうも答弁されている。あるいは、大臣みずから、考えられ得るすべてのことを実施しているんだ、薬剤も十分だ、人も対応している、金も万全だと言われているんですよ、今まで。ですから、そのことについて、そう自信を持って言われているから、私は反省はないかと尋ねたら、いや、反省はないことはないと。
 では、もう一度聞きます。
 それは今、事態は進行していますよ。進行していますけれども、万全だ、反省することはないということは、同じような事態になったら同じようなことをやるということですよ。もう一度お尋ねします。
○赤松国務大臣 最初に少し訂正をさせていただきます。私、二百例で十四万と言ったつもりだったんですが、一万四千と言ったようですので、これは訂正をさせていただきます。
 今申し上げたのは、私は知事とも何回もお話ししましたし、現地の畜産組合の羽田会長ともいろいろお話をしまして、あるいは市町村長さんともお話をしてまいりました。その都度、二十三日、三十日、十日、それぞれ要望が出てまいりまして、その要望については、別にこれは居直るわけでも何でもないんです、素直に聞いてもらいたいんですが、なるべく地元の意見をきちっと受けとめようということで、獣医が足りないと言えば、獣医はでは倍にしましょう、あるいは職員は十倍にしましょうという形で、人の手配も。あるいは、財政的な裏づけは大丈夫か、例の五分の一問題や何か、いろいろありましたけれども、そういうことについても、少しでも不安を取り除くために、そういうことについては、もうほぼ地元の皆さんが要求するとおり、国だけではできませんから、国がいろいろなところにお願いして、人の問題もそういうこともどんどんとやってきた。そういうことについて、おまえは不十分だったと言われれば、これはあれですが、私は、そのことは十分にやってきた。
 ただ、今後検証する中で、これだけ大きく広がってしまったということの一番の問題点は、それは形式上、法律上でいえば法定受託事務で、県であったとしても、しかし、これだけ大きく広がった中で、国と県と市町村が本当に心と気持ちを一つにして、同じ方向できちっと最初からきれいに対応が回ったか。そういうことを聞かれたときに、これは私どもの努力も足りなかったかもしれないけれども、例えば埋却地一つとっても、我々はとにかく埋めさせてください、いやいや、金の問題がしっかりするまではそうはいかないよみたいなことで、少し認識の違いがあったり、そういうことが進まなかったことが、特にえびの市を除く東部の方の地域では、そういうことがやっと今、そういう意味でいえば一〇〇%、一二〇%の形できのうぐらいから回転しかけてきたということだと思います。
○谷委員 私は、大臣とどうも少し認識がずれていますね。
 一番の違いは、これは非常事態だ、その認識をしっかり持っていれば、これは法定受託事務だから一義的に知事がするとか、あるいは、過去のこの委員会の質疑でもありましたけれども、自衛隊派遣が必要なら、知事さん、遠慮なく言ってくださいよといって、これは非常に受け身なんですね。現行の仕組みでは、平成十六年の特定家畜伝染病防疫指針で、自衛隊派遣は知事しかできない、それは私も知っていますよ。こんなものは、指針じゃないですか、いざといったら農林水産省で変えれば済むんですわ。これは危機的な、このままでは宮崎県、九州だけではなくて、国全体の畜産業あるいは関連業界ががたがたになって崩壊の危機に瀕するという危機意識があれば、できるはずなんですよ。
 阪神・淡路大震災、あのときは、一月十七日午前五時四十六分でした。二月、三月にどれぐらいの特例法を成立させたか御存じですか。十六本ですよ。十六の特例法を国会でつくったんですよ。百本を超える政令、省令をつくったんですよ。特例法をそのために。なぜ特例法をつくったかというと、現行の仕組みでは十分じゃない、新たな特別措置をしなければこの災害の復旧復興には対処し得ないということで、与野党を問わず、みんなが一生懸命、総力を挙げて頑張ったんですわ。
 ですから、そういう全体の取り組みが私はおくれたと思います。おくれていなければ、五月十七日に政府対策本部を一月近くたって立てるなんということはなかったんじゃないですか。そして、同じ日に山田副大臣を本部長とする現地対策本部ですか、やっと一月近くたって立ち上げた。
 そして、今でもまだ、現行法の縛りを突破できているのかできていないのか、いろいろなやりとりを聞いてももう一つよくわかりませんが、家畜伝染病予防法の枠を超えて今回支援をするおつもりはあるんですか。
○赤松国務大臣 私どもは、基本的に、法律を守り、法律の上で行政を進めていくという立場でございますから、法律を超えてやるんだなんということは、残念ながら口が裂けても言えません。
 ただ、今回行っているのは、法律の弾力的な運用をする中で、いろいろなことについてできるだけ、この口蹄疫を抑え込むためにはこういうことが必要だというようなことをいろいろやらせていただいております。
 例えば埋却地も、旧来、その法律等ができたときは、もともと、一つの地域に何千頭も豚を飼うとか、そういうことを想定していない時代なものですから、そういうことがあったら自分の土地にとにかく埋却しなさいと書いてありますが、事実上そんな土地はないという人が多いわけですから、これはむしろ今後の問題として、そういう現状に合わないような中身があれば、これは与野党で議論をしていただく中で法の改正なりについても考えていくことになるのかどうか、これは議会がお決めになることでありますから、そういう点はいろいろあると思います。
 ですから、そういうことも含めて、今回、まず今、とにかく病気を抑え込むことが第一ですから、これをやって、鎮静化した後には、そういう検証の中で、そういうことも含めて皆さんで御議論していただければありがたいと思っております。
○谷委員 いやいや、大臣、それは法律をつくるのは我々立法府の仕事ですよ。ただ、平常時はいいですわ、与野党で議論をしていただいて、これは皆さんで、議会で決めることだと。これは非常時じゃないですか。非常時であれば、政府が現行法を弾力的に運用するというのは当たり前ですよ、そんなことは。ただ、現行法でできないものがあれば、政府が準備をする、あるいは、政府はなかなか各省庁をまとめるのが難しいから、議員立法で議会の方でやってもらえないかと働きかけるのが当然じゃないですか。
 現行法を超える新たな仕組み、法制度の必要性、どう思われていますか。具体的に言えば、処分する土地も、現行法では所有者がしなければならない。費用負担も五分の四。五分の一は農家が持たなければならない。それは共済はありますよ。ただ、全部が共済に入っているわけではないです。あるいは、先ほど、午前中、江藤先生からも言われていましたように、単に農家だけではなくて、地域の経済に大変大きな影響を及ぼしている、そういう復興支援をどうするか。現行法でできるというふうに考えておられるんですか。大臣にお尋ねします。
○赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 例えば、今回は殺処分を前提にしたワクチン接種を行います。現行法上では、ワクチンを打つ、これはもともと知事がやるんですけれども、知事がなかなかやらない場合には指示をしてやらせることができると書いてあるわけですね。これに従わない人は、三十万だったか幾らか、ちょっと正確な金額は忘れましたが、とにかく罰金ですよ、必ずこれは強制で打てるんですということになっているわけです。
 しかし、ではその後の殺処分ということになると、これはそれぞれの御了解のもとにやらなければいけないということになるわけで、そういう意味でいえば、今回は何とか同意を得て、これは多少時間がかかっても何としてもやりたいということで今取り組みをしておりまして、知事さんや各市町村長さんの御理解も得ながら、あるいは農協の組合長さんたちの御努力もあって、全体、一部例外があるかどうか、これはまだ結果を見てみなければわかりませんが、ほぼ同意をしていただいて、それがあしたまでにほぼでき得るという状況になっています。
 それも、では本当に同意がない場合はどうするんだというようなことも含めて、これはこれからの議論の余地があるところだというふうに思っております。
○谷委員 必ずしも新たな立法について否定的な御意見ではなかったと思います。かといって、積極的にぜひという意気込みも感じられませんでした。
 一つだけお尋ねします。
 やはり経営を再建し地域全体を再生させるためには、地域の実情とかニーズに応じたさまざまな施策が必要かと思います。そのために自然災害でよくとられた方法は、基金をつくるという方法です。阪神・淡路大震災のときは、私は当時兵庫県庁にいましたけれども、結果的に九千億の基金をつくりました。その運用益でさまざまなきめ細かな事業をやるというやり方です。そして、その基金のやり方、方式というのは、阪神・淡路大震災以降も、それ以前で雲仙もありましたけれども、新潟県の中越、能登、あるいは中越沖地震にも踏襲されました。
 今回も、こういった仕組みが、運用益というのは今金利が低いですからどうかと思いますけれども、全額国が手当てをして、そして、それを取り崩しながら、さまざまな地域のニーズに応じた、要望に応じた支援策をとるべきだと考えております。我々自民党の案にもそういった考え方が盛り込まれていますけれども、大臣の所見をお尋ねしたいと思います。
○赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 まだ自民党の案というのを私は存じ上げないものですから、その基金の規模がどれぐらいのことを考えておられるのか、どういう事業をやろうとされておるのか、そういう細目はわかりませんので、それについていいとか悪いとかという立場にはないと思います。
 ただ、基本としては、基本的な一般論で言えば、この鳩山内閣においては、できるだけ今まであった基金についても、そういう、何か積んでおいて、何かのときに使えばいいというやり方は変えていこうと。必要なときには必要な施策でばんと予算をつけてやればいいというような仕組みに徐々に変わりつつあるということは、事業仕分けその他でも、基金には、一たん全部戻しなさい、戻して、必要な都度、それは予算に、毎年毎年の予算に計上すればいいからという仕組みに変わりつつありますので、そのことだけ申し上げておきます。
○谷委員 一般的な国の基金とこういうときの基金というのは違うと思いますよ。
 どうも、大臣の御答弁を聞いていますと、平時なんですよ、考え方が。法律がどうのこうのだとか、予算の制約があると。予算、予算と言いますけれども、どれぐらいのことを言われているんですか。新聞では、公明党さんが一千億とか言っていますけれども、それで国家財政がひっくり返るんですか。必要なときは必要な手当てをしなくてどうするんですか。そのことを私は特に強く訴えたいと思います。
 冒頭お話しさせていただきましたように、今回の事態の認識の甘さは、私は、与党議員にも、与党としてどうかと思うような言動もありました。ちょうど四月二十八日、木材利用、私は自民党、公明党の案の提出者でございましたけれども、国土交通と合同審査をした。何とそのときに、米粉パイを御賞味いただきましたかと。もうびっくりしましたわ。口蹄疫がこれだけ流行しているときに、何ですか、この発言。あえて御本人の名誉のために言いませんけれども、名前は言いませんけれども、そういう危機意識で与党が、やはり、これは連休前四月二十八日ですから、いたというのが、政府の、政府・与党なんですから、一体なんですから、対応のおくれの一端の責任があるのではないかと思います。
 私は、認識の甘さ、特に大臣の危機管理の認識の甘さ、対応のおくれ、対策の小出し、そして何かといえば法定受託ということで県の方にいわば責任を押しつける、そして職をかけた、大臣という職をかけた意気込み、そういったものは見られません。大臣として、このままであれば、これだけの動物が殺されて、平成のそれこそ屠殺王になりますよ、あるいは平成の殺処分王と言ってもいいかわからないです。何らかの責任を、私は、大臣としてとってもおかしくないと思いますよ。指揮官として失格だと思いますよ、これは。
 大臣みずから、前の答弁で言われているんじゃないですか。どういう表現でしたか、江藤先生のやりとりは五月十一日でしたね。私が一人いなかったからといって、いささかも支障はあったというふうには理解しておりません。そういう大臣ですから、責任をとっておられなくても何ら差し支えはないんじゃないですか、理論的に言いますと。
 そのことを御指摘させていただきまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

第174回国会 本会議 第31号 平成二十二年五月二十五日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号  平成二十二年五月二十五日    午後一時開議
 第一 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
 公害等調整委員会委員任命につき同意を求めるの件
 日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件
 労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
 中央労働委員会公益委員任命につき同意を求めるの件
 日程第一 民事訴訟法及び民事保全法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 赤松農林水産大臣の「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告及び質疑
 地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、参議院送付)、国と地方の協議の場に関する法律案(内閣提出、参議院送付)及び地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)の趣旨説明及び質疑

    午後五時四十三分開議

○議長(横路孝弘君) これより会議を開きます。
(中略)
 国務大臣の発言(「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告)
○議長(横路孝弘君) 農林水産大臣から、「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣赤松広隆君。
○国務大臣(赤松広隆君) 宮崎県で発生した口蹄疫に関して御報告いたします。
 初めに、口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げます。また、口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで昼夜を問わず防疫対応に当たっておられる方々には、心から敬意を表します。
 宮崎県において、四月二十日以降、二百例の口蹄疫の発生を確認いたしております。農林水産省は、第一例目の発生を四月二十日未明に確認したため、同日九時に私が本部長である口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、政府と宮崎県とが一丸となって、感染拡大の防止を第一に、殺処分等の防疫措置や、発生農家及び関係農家の経営再開、維持のための対策を実施してまいりました。
 五月十七日には、内閣に、内閣総理大臣を本部長とし、内閣官房長官及び私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、拡大しつつある口蹄疫についての対策をさらに強化し、政府として総力を挙げて取り組んでおります。
 また、山田農林水産副大臣を本部長とし、各府省の責任者から成る現地対策本部を設置し、地元の要望等を受けとめる体制を整備するとともに、迅速かつ的確な国との連絡調整に努めているところであります。
 口蹄疫は、牛、豚等の病気であり、人に感染することはありません。また、感染した牛、豚の肉や牛乳を摂取しても人体に影響はありません。このことを国民の皆様にお知らせし、冷静な対応をお願いしているところです。
 防疫措置の実施状況について御説明いたします。
 これまでのところ、七十三例については、殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、百二十七例については、防疫措置を実施中であります。
 専門家から成る牛豚等疾病小委員会では、今回の発生は、十年前に確認された発生と比べ、臨床症状が強く出ること、伝播力が強いという特徴があると考えられるとしております。
 また、同小委員会において、川南町を中心とした多発地帯については、殺処分及び移動制限による方法のみでは蔓延防止が困難であり、排出されるウイルス量を抑制するためのワクチンの使用について検討すべき時期にあるとされたことを踏まえ、各生産者の皆様や関係市町村、関係団体の皆様の御理解を得て、五月二十二日より、移動制限区域内のすべての牛、豚等を対象に、殺処分を前提としたワクチン接種を始めました。五月二十四日の時点で、牛二万八千頭、豚約六万六千頭について接種し、ワクチン接種対象の約七割について接種を済ませています。
 こうした防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行っております。
 具体的には、発生農場やワクチン接種農場、消毒ポイント等に農林水産省や都道府県等から獣医師等を派遣しており、本日までに延べ六千八百二十五人を派遣しています。五月一日からは、宮崎県知事の派遣要請を受け、自衛隊が埋却場所の掘削や埋却等の防疫作業に従事し、本日までに延べ三千七百人が派遣されています。また、警察の管区機動隊の特別派遣により、消毒ポイントにおける警戒等防疫作業に対する支援活動を強化しています。さらに、埋却地の円滑な確保に向けて、埋却地の確保に必要な借地料に対する支援や、国有林のほか他府省が所管する国有地の活用に向けた調整を行っております。
 感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる現地調査や、発生農場に関する情報の収集、分析、ウイルスの解析を実施しております。五月二日には、今回のウイルスが香港、韓国と近縁のものであることを確認しました。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
 宮崎県並びに隣接県である大分県、熊本県及び鹿児島県全域において、全額国庫負担により消毒薬を配布し、散布を行っているほか、一般車両も含めて、消毒を行うポイントを増加させているところです。本病の蔓延防止のためには、各農家等における消毒や衛生管理が極めて重要であることから、各農家等における散布の徹底をお願いしています。
 また、全国の牛、豚等の飼養農場に対し、緊急調査を実施しております。これまでのところ、宮崎県以外に口蹄疫の発生は確認されておりませんが、引き続き、各都道府県を通じ、全国の農場に早期発見、早期通報の徹底を指導してまいります。
 なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止等が行われることがないよう、適切な対応を求めております。
 各地方農政局、地方農政事務所等の約千七百名の食品表示Gメンの職員が、五月二十四日時点で、一万三千八十二店舗の小売店を巡回し、「宮崎県産の牛肉は使用していません」など消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された六店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
 次に、発生農家の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明いたします。
 まず、発生農場の経営を維持するため、殺処分した疑似患畜に対し、家畜伝染病予防法に基づき交付する手当金について、昭和二十六年の法施行以来初めて、大幅に簡素化された申請書類による概算払いを実施しています。申請書類が届き次第、ちゅうちょなく迅速に各農家の皆様に交付してまいります。
 また、同法に基づくいわゆる五分の四の手当金に加えて、家畜評価額との差額、五分の一を県が負担した場合に、家畜共済の加入者を含め、全額特別交付税で措置することとしたところであります。
 これに加えて、四月二十三日に関連対策を発表し、また、その後の発生事例の増加及び発生地域の拡大に伴い、同三十日には追加的な対策を講じたほか、これまでの状況や現場の御意見等を踏まえ、五月二十一日に、さらに対策の拡充、見直しを行うことといたしました。
 具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大したほか、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄各県の子牛、子豚出荷農家もその対象とし、融資枠も二十億円から百億円に拡大しております。
 家畜を出荷できない搬出制限区域内における畜産農家については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金を免除するほか、滞留する子豚の淘汰や出荷適期を超えた肉豚の出荷に対し助成金を交付するとともに、九州、沖縄各県において、肉用子牛生産者補給金における飼養開始月齢の要件や肉用牛肥育経営安定特別対策事業における登録月齢の要件を緩和することとしています。このほか、出荷できない肉用子牛を農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する補助など諸般の対策を行うこととしております。
 農林水産省といたしましては、引き続き、今回の発生を我が国畜産業の危機と考え、口蹄疫の蔓延防止を最重要課題と位置づけ、関係府省の御協力をいただきながら、政府と宮崎県とが一丸となって防疫措置を的確に実施してまいります。また、口蹄疫に関する国民への正確な情報提供を徹底し、冷静に対処したいと考えており、国民の皆様には御協力をお願いいたします。さらに、地域経済への影響を最小限とするよう経営支援対策の円滑な実施に全力で取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告)に対する質疑

○道休誠一郎君 民主党の道休誠一郎でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま赤松農林水産大臣が説明されました宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告につきましての質問をさせていただきます。(拍手)
 まず、口蹄疫の発生農家、関係農家及び感染地域の皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げると同時に、一日も早く口蹄疫が終息することをお祈り申し上げます。
 口蹄疫防疫対策について、大臣の認識と終息に向けた御決意について質問させていただきます。
 御説明されましたように、四月二十日未明に第一例の確認がなされてから、直ちに、御自身を本部長とされる口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、対応していらっしゃいます。また、五月十七日には鳩山総理を本部長とされる口蹄疫対策本部が設置され、山田副大臣が現地対策本部本部長として陣頭指揮をされています。宮崎県は五月十八日に東国原知事が非常事態宣言を出し、関係している町、市、県そして国が連携して対応されていますが、残念ながら、拡散の防止がされているとは言いがたい状態です。
 赤松大臣はこの事態をどう認識されているのか、また、一日も早く口蹄疫を終息させるための御決意のほどをお聞かせいただきたいと思っています。
 口蹄疫の防疫では、患畜、疑似患畜を迅速に殺処分し、埋却することが不可欠であります。五月二十二日に始まったワクチン接種も、接種、殺処分そして埋却という一連の流れの中で初めて意味をなしてくるものでございます。
 しかし、自分の牛や豚が感染したが埋却する場所がない、いずれは殺処分となる感染した牛にえさをやり続けることのやるせなさ、自分の家畜がよそ様の家畜に病気をうつすのではないかという心配、また、申しわけないという思いに心をつぶされそうになるという農家の声をお聞きしております。
 感染確認から四十八時間から七十二時間以内に殺処分、埋却が望ましいとされている中、現在、十日以上たっても埋却が完了していないものもあり、これが感染蔓延を防止できない理由ではないかとも思われます。県、市、町と連携して埋却地の確保に向けて最大限の努力をしていただいているとは思いますが、国有地を初め公共の土地等の有効活用や私有地の買い上げを含めた埋却地の確保の現状についての認識と今後の対応策について、赤松大臣の御説明をお願いいたします。(発言する者あり)
○議長(横路孝弘君) 静粛に願います。
○道休誠一郎君(続) ワクチンの接種の決定がなされてから、それまでは、口蹄疫から家畜を守る、感染を広げてはいけないという思いで消毒を続けてこられた方が、ワクチンを接種すれば家畜はいずれ殺される、ワクチンは万能であるという思いから消毒作業をそれまでほどやらなくなられたというお話も聞いております。
 ワクチンは、ウイルスを不活化するのであって、死滅させるものではありません。防疫には消毒が不可欠であることを現場の皆さんに再認識していただく必要があるのではないかと思います。赤松大臣の御認識はいかがでございましょうか。お聞かせください。
 また、現在、専門家による疫学調査が行われています。原因や感染ルートの確定は難しいと聞いておりますけれども、現在までの調査で公表できることはあるのでしょうか。赤松大臣の御答弁をお願いいたします。
 御存じのとおり、口蹄疫の広がりは、感染地域の生活や経済活動にも大きな影を落とし始めています。特に川南町や都農町では、外出を控える人がふえ、通りからも人がいなくなる状態でございます。畜産業はもとより、加工販売業、飲食業など、多くの方々の生活が成り立たない状態になりつつあります。
 経済産業省は五月二十一日に中小企業への資金貸し付け措置の発表をされていますが、直嶋経済産業大臣、経済産業省の地域経済支援についての御説明をお願いできますでしょうか。
 今、宮崎の畜産は、口蹄疫という見えざる敵と、脅威と戦っています。日本国民が経験したことのないパンデミック、ウイルスとの未知のゾーンでの戦いです。今まで一生懸命畜産業を営み、地方を元気にしてこられた方々が、一瞬にして生きがいを失い、夢を実現することもできない状態に直面されています。
 口蹄疫に襲われた畜産農家だけでなく、地域社会があしたに向かって夢を再び持てるように、今こそ国民総力戦で臨むべきときであります。政治の力を示すときであります。
 口蹄疫を一日も早く終息させるために、政府とともに最大限の努力をすることをお誓いして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 道休議員の御質問にお答えいたします。
 まず、防疫対策に対する認識と決意についてのお尋ねであります。
 口蹄疫につきましては、家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定するとともに、特に重要な疾病として同法に基づき防疫指針を策定し、防疫に万全を期していたところでございます。
 今回の対応については、防疫指針に基づく防疫措置に加えて、疾病の発生状況を踏まえた専門家の意見、また地元の要望等を十分に受けとめ、きめ細かく実施してきたところです。
 五月十七日には、政府総力を挙げて口蹄疫の感染拡大防止に取り組むため、内閣に、総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。また、山田副大臣を本部長とする現地対策本部を設置し、総理補佐官及び各省担当責任者が常駐し、地元との連絡体制を強化いたしました。
 農林水産省といたしましては、農家の皆様や防疫対応に従事していただいている方々と心を一つにし、一日も早く口蹄疫の清浄化をなし遂げ、農家の皆様が新しい経営を再開できるよう、全力を尽くしてまいる決意であります。
 次に、埋却場所の確保についてのお尋ねであります。
 埋却場所の確保は、口蹄疫の蔓延防止の観点から、発生農場の敷地内または近隣地への埋却が望ましいところでありますけれども、発生農場周辺の候補地で、掘削により水や岩が出るなど、埋却地の選定に御苦労されていると承知をしております。
 こうした状況を踏まえ、五月十日に私が宮崎入りしたとき、国有林の提供について申し出を行い、さらに十九日、政府の第二回口蹄疫対策本部において、県有地を利用するなど、埋却地の円滑な確保に努めることを決定し、山田副大臣を本部長とする現地対策本部において、埋却地の確保につき関係自治体との調整に努めてきたところであります。
 この結果、二十四日には、宮崎県が、農業大学校を初めとする県有地について、埋却用地として提供することを決定いたしました。また、国有地については、政府としてできる限りの協力を行う方針であり、既に、基地周辺地、国有林については、県と具体的な調整を進めているところであります。
 最後に、今後の防疫対応についてのお尋ねであります。
 四月二十日に開催された専門家から成る牛豚等疾病小委員会において、感染経路の調査を行う口蹄疫疫学調査チームの設置を決定いたしました。
 四月二十九日には疫学調査チームが、防疫措置の完了した一例目の農場について、人、家畜、車両等の移動履歴等について現地調査、検討会を実施いたしました。今後、防疫措置の完了した農場について、順次現地調査等を実施してまいります。
 今般、分離された口蹄疫ウイルスの遺伝子を動物衛生研究所及び英国のパーブライト研究所が解析した結果、本年、香港及び韓国で確認された口蹄疫のO型ウイルスと近縁であることを確認したところです。ウイルスが香港及び韓国と近縁であっても、現段階では、直ちにこれらの国から侵入したとは言えないことは当然でございますし、今後の調査を待ちたいと思います。
 引き続き、口蹄疫の防疫対策向上や感染経路の解明のため、疫学調査チームによる調査を進めていく所存でございます。
 以上です。(拍手)
○国務大臣(直嶋正行君) 道休議員からのお尋ねは、地域経済支援についての御質問でございます。
 宮崎県における口蹄疫による被害は、小売業など広範囲に及び、既に、客数の減少、売り上げの減少等の影響が出始めております。こうした状況が徐々に拡大することが懸念をされるところでございます。
 このため、四月二十八日に相談窓口を設置しまして、セーフティーネット貸し付けなどによる支援を実施いたしました。さらに、現地派遣した九州経済産業局の幹部を通じて状況を把握し、先週二十一日に、貸付手続の簡素化など、融資を受けられやすい体制を強化いたしましたところでございます。
 引き続き、現地との連絡を密にし、関係省庁と連携しつつ、さらなる対応を検討してまいりたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
○古川禎久君 自由民主党の古川禎久です。
 ただいま議題となりました口蹄疫状況報告に関しまして、自由民主党・無所属の会を代表して質問いたします。(拍手)
 去る四月二十日、宮崎県において確認された口蹄疫は、現場関係者の必死の努力を笑うかのように勢いを増し続け、ここに至って、ついにワクチンの接種を決断する事態となりましたことは、まことに痛恨のきわみであります。
 地元紙、宮日新聞に発表された短歌を一首、御紹介します。
  養豚の音なき終わりにすべもなく只ありがとうの感謝あるのみ
 千二百頭の豚を失う川南町の養豚農家の方が詠まれた歌です。
 発生農家あるいはワクチン接種農家の苦痛と悲嘆は、筆舌に尽くしがたいものがあります。また、殺処分や埋却、消毒など、一連の作業に従事する方々の精神的、肉体的消耗も極限に達しております。発生エリアだけではありません。県内外の畜産関係者の緊張感は限界を超え、経営不安も深刻化しております。運送業初め関連産業へのダメージはもとより、地域経済全体が先行きを見通せない、異様な不安に包まれております。
 さらに、畜産王国宮崎における口蹄疫発生は、近隣各県のみならず、全国の畜産業にも影響を与え、特に宮崎の宝である種牛は予断を許さない情勢に追い込まれ、もはや日本の畜産の将来にわたる問題となっているのであります。
 口蹄疫は、十年前にも宮崎県と北海道で発生をしました。当時の政権は、発生直後、即座に予備費を含め百三十億円を確保し、あらゆる対策を矢継ぎ早に打ち出しました。火事は最初の五分と言うように、家畜伝染病への対処は、初動が決定的に重要であり、やり過ぎだと言われるぐらいのことをやることが危機管理の要諦であります。
 このときは、まさに政治のリーダーシップによって、宮崎県の牛三十五頭、北海道は七百五頭を失うことで、ウイルスを早期に鎮圧し、被害を最小限にとどめることに成功したのでした。OIE、国際獣疫事務局は、世界に例を見ないと絶賛し、我が国の獣医学、家畜衛生は、その名を世界にとどろかせたのであります。
 その宮崎が、今回、ここまで悲惨な状況に陥ったことの最も大きな理由は、十年前のような政治のリーダーシップが欠如していたことにあります。
 赤松農林水産大臣は、第一例発生から十日後の四月三十日、関係者の強い中止要請を振り切って、予定どおり、九日間の中南米への外遊に出発されました。大臣は、EPA交渉のためと説明しておりますが、甚だ疑問です。農林水産省の報告を見ましても、わずかに、メキシコのマジョルガ農牧大臣と会談しておりますが、それも事務レベル協議で足りる内容であり、明らかに不要不急のものにすぎません。
 赤松大臣の外遊には、少なくとも、口蹄疫対策に優先されるだけの必要性、緊急性などは認められず、当然のことながら、大臣は、外遊を取りやめ、全力で口蹄疫対策に当たるべきでありました。
 中南米の国々も、畜産文化を持つ国々です。自国で口蹄疫が発生しているにもかかわらず、現場指揮をとらず、外遊する農林水産大臣とは一体何者か。恐らく、かの国の人々もいぶかしく思ったことでしょう。
 ちょうど、安全保障の総責任者である内閣総理大臣が、海兵隊の抑止力を知らなかったと平然と言ってのけ、諸外国を驚かせたのと同様に、政権を担っている、自分自身が責任者であるという自覚が決定的に欠けているのであります。
 二〇〇一年、英国で口蹄疫が発生した際、当時のブレア首相は、即日、休暇を返上してロンドンへ帰り、緊急会議を招集しております。また、赤松大臣がすぐ近くに外遊中だった五月二日、オバマ米国大統領も、メキシコ湾の油田災害対策の現場に入っております。
 鳩山総理は、五月一日、熊本県の水俣、八代まで行かれております。そこからすぐ近くの宮崎県えびの市では、その三日前に口蹄疫が発生していたにもかかわらず、総理は足を延ばされることはありませんでした。鳩山総理大臣もまた、畜産農家の悲痛の叫びに、地獄絵図のような現場の惨状に、同情や共感を持ってはおられなかった、そう思わざるを得ないのであります。
 また、この問題について専門知識を有しているはずの農林水産省の官僚の方々は、大臣に危機感や緊急性を進言してきたのでしょうか。民主党政権の掲げる政治主導のもとで、何かといえば政務三役にお伺いを立てなければ動けない状況に陥り、萎縮してしまい、結果、対応に支障を来しているのではないでしょうか。
 鳩山総理にお尋ねいたします。
 口蹄疫対策本部長として、また民主党政権のリーダーとして、口蹄疫をかくも拡大させてしまったことの責任について、どのようにお考えになりますか。
 一刻も早い口蹄疫ウイルスの完全鎮圧が望まれます。そして、それと並行して、口蹄疫によって受けた甚大なる被害の復旧と復興に向けて、政治がしっかりとした道筋をつける必要があります。
 被害を受けたのは、発生農家やワクチン接種農家ばかりではありません。限られた元手を家畜に投資し、月単位、年単位で目いっぱいに回転させてようやく成り立っているのが畜産農家の実情であります。出荷が停止し、数カ月にもわたって種つけや出荷日程に狂いが生じることによる損失は大きく、多くの畜産農家が深刻な経営不安に直面しております。
 畜産は、宮崎県の主要産業です。関連する業種も多岐にわたり、畜産業が傾けば、それがそのまま地域経済や雇用への大打撃となります。大臣は風評被害は起こっていないとの御認識のようですが、実際は、例えば宮崎ナンバーのトラックが他県から拒絶されたり、あるいは、逆に、他県からのトラック輸送がとまって野菜が値上がりをするなど、宮崎の孤立感は深まっております。また、イベントや行事の中止、観光客の激減などは、強烈なボディーブローとなって地域経済に襲いかかってきております。
 すなわち、今、宮崎県で起きているのは、災害、激甚災害であります。したがって、家畜伝染病対策という範疇を超えた、総合的な対策を可能とする立法措置がぜひとも必要であります。
 自由民主党は、本日午前、口蹄疫対策緊急措置法案を国会に提出いたしました。
 そのポイントは、一、現行の家畜伝染病予防法では十分に対応できない消毒や埋却作業、非感染家畜の殺処分などを国の主導で措置できるようにすること、二、国は、現行法の枠を超えて、殺処分家畜の手当金の全額交付、焼却・埋却費用の全額国庫負担、移動制限に伴う損失補てんを行うこと、三、基金を創設し、畜産農家の経営再建や地域再生を支援することなどであります。
 立法措置をもって、国が口蹄疫対策を主導するとの強い意思をメッセージするとともに、口蹄疫によって生じたさまざまな損失などに国が責任を持つことを明らかにします。これによって、畜産農家を初め、関連自治体、関連産業などに安心感を与えることが何より重要だと考えるのであります。
 なお、現在、民主党や公明党におかれても、同様に、口蹄疫に関する法案を検討されているとお聞きしておりますが、この問題は、与党、野党とは言っておられない緊急の課題であります。各党で協議を早急に行い、法律を成立させることが肝要です。鳩山総理、口蹄疫対策の総責任者として、そのとおりだ、与党、野党の別なく一緒にやろう、そうおっしゃっていただけませんか。
 また、赤松農林水産大臣、このような特別立法措置の必要性についてどのように認識しておられますか。御答弁を求めます。
 今、畜産農家の皆さんは、たとえ制限区域から遠く離れた地域であっても、口蹄疫の恐怖と戦いながら、孤立感の中で必死に耐えています。しかし、その苦しみを、周囲の皆さんが、困ったときはお互いさまと分かち合おうとしています。そして、畜産農家の方々は、その温かい人の心に触れ、勇気づけられているのであります。自分はひとりぼっちじゃない、農家は孤立してはいない、そう感じることができたときに、ふさぎ込んでいた農家の方は大いに励まされるのであります。
 私は、はっきりと感じました。人々の心が一つになれば、決して乗り越えられない困難はない。宮崎の畜産は、今回、許容しがたい痛手をこうむりました。足腰の立たないほど打ちのめされたと言っても過言ではありません。
 しかし、JAの皆さんや、商工会の皆さんや、建設業協会の皆さんのように、郷土を愛する私たちは、畜産農家を囲んで、みんなで痛みを分かち合い、心を一つに結束し、必ずこの試練を乗り越え、再起をいたします。
 東国原宮崎県知事は、十八日、非常事態宣言を発しました。直面する危機に、県民一丸となって立ち向かおう、そう呼びかけたのであります。
 今、県内はもとより、全国からさまざまな方が、募金などの支援活動に取り組んでくださっています。原口総務大臣に御所感を伺いますが、ふるさと納税制度活用による御支援も急増しているとのことです。本当にありがたいことです。宮崎県民の一人として、心から厚く厚く感謝申し上げます。
 国民の皆様におかれましては、苦境に立つ宮崎県に対しまして、今後とも、どうぞ温かい御理解と御声援を賜りますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
 一刻も早い事態の終息を祈り、そして、罪もなく死んでいく数十万の畜魂に手を合わせ、安らかに眠れよとわびながら、私の質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 古川議員の御質問にお答えをいたします。
 口蹄疫の対策本部長としての責任についてのお尋ねであります。
 口蹄疫の発生は、言うまでもありません、危機管理上、大変重大な課題である、そのように認識をしております。したがいまして、私を本部長とする口蹄疫対策本部において、総力を挙げて、現在、対策に取り組んでいるところでございます。やり過ぎだと言われるくらいの断固たる決意を持って、口蹄疫の撲滅を図ることにより、責任を果たしてまいりたいと思います。
 ぜひ、与野党の別なく、この問題に対して対処してまいりたいと思っておりますので、古川議員の御協力もお願い申し上げます。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 古川議員の御質問にお答えをいたします。
 口蹄疫に関する特別立法措置についてのお尋ねでありますが、口蹄疫は、家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定するとともに、特に重要な疾病として同法に基づき防疫指針を策定し、防疫に万全を期してきたところでございます。
 今回の対応については、防疫指針に基づく防疫措置に加えて、疾病の発生状況を踏まえた専門家の意見、また地元の要望等を十分に受けとめ、きめ細かく実施してきたところでございます。
 具体的には、発生確認後、直ちに、口蹄疫防疫対策本部を開催し、移動制限や殺処分等の防疫措置の徹底を指示、宮崎県に加え、近隣県全域を対象とした全額国庫負担による消毒薬の散布、十年前に確認された発生と比べ、臨床症状や伝播力が強いとする牛豚等疾病小委員会委員の意見を参考に、殺処分を前提としたワクチン接種及び早期殺処分のための殺処分奨励金、経営再開支援金の交付等、適時適切に、前例にとらわれない対応を行ってきたところでございます。
 農林水産省といたしましては、今の立法措置につきましては、国会でも種々御議論があると承知をしており、その必要性について検討してまいりたいと思います。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣原口一博君登壇〕
○国務大臣(原口一博君) 古川議員から、ふるさと納税の活用による支援についてお尋ねがございました。
 ふるさと納税の制度の活用により、被害発生後、宮崎県に対する寄附が大幅にふえているとお聞きしており、地域に対する国民の皆様の思いに心から感謝を申し上げます。
 今回の口蹄疫被害に対しては、特別交付税措置を初め、宮崎県、各地方公共団体が万全の対策を講ずることができるよう、全力で支援してまいります。
 現行法でできることはすべてやる、できないことは枠を超えてでもやる、そういう検討をさせていただきたい。
 また、株式会社ゆうちょ銀行において、五月二十四日から、宮崎県口蹄疫被害に対する義援金の無料送金サービスを、全国のゆうちょ銀行及び郵便局の貯金窓口で実施しております。
 全国の皆さん、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。
 公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました、「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告に対して、総理ほか関係大臣に質問いたします。(拍手)
 初めに、口蹄疫の発生農家並びに関係の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 今、宮崎県において、農家の方々、地元の皆様、全国から駆けつけてくださった獣医師の方々、自衛隊員の皆様等、昼夜を問わず口蹄疫防疫作業に取り組んでおられる関係者の皆様の御努力に敬意と感謝を表します。
 さて、四月二十日に一例目の口蹄疫発生が報告されてから、政府はこの一カ月間何をしていたんでしょうか。
 十年前の二〇〇〇年に宮崎県と北海道で発生した際は、牛の処分頭数は七百四十頭でした。今回の殺処分対象頭数は、二十四日現在で、牛、豚合わせて、前回の二百倍近くの十四万五千三百五十八頭であります。国内史上最悪の状況になっております。
 政府は、五月十九日、発生地から半径十キロメートル以内のすべての牛、豚を殺処分することを決定しましたが、健康な牛、豚を含めて対象頭数は既に三十万頭に及んでおります。しかも、その政府決定は、宮崎県が前日の十八日に非常事態宣言を出してやっと重い腰を上げた格好であります。
 家畜伝染病の中でも口蹄疫は、陽性反応が報告されたら即畜舎内の全頭殺処分を実行しなければならないほど、伝播力が強い疫病であります。目に見えない敵との時間を争う戦いであり、迅速な対応が蔓延防止に不可欠なことは、世界的な常識であります。
 それにもかかわらず、所管大臣である赤松農林水産大臣は、四月二十日の報告以来、具体的な指示を出した形跡も見せず、外遊に旅立ち、一例目の発生から二週間以上たった五月八日に帰国、その時点で既に四十九例、六万頭以上の疑似患畜が確認されています。
 赤松大臣に質問いたします。
 大臣は、なぜ、口蹄疫が発生し、蔓延が心配される状況の中、九日間もの予定で外遊に出発されたのか。なぜ、道中予定を変更し、帰国の途につかなかったのか。なぜ、五月八日に帰国したその足で現地に赴かなかったのか。
 報道によると、大臣は、五月八日の夜、栃木県に行き、民主党の衆議院議員の支援者の会合に出ていたというではありませんか。現地の悲痛な声は大臣の心に届かなかったのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 さて、赤松大臣は、感染が確認されてから二十日たった五月十日にようやく宮崎県入りしましたが、やったことといえば、知事や市町村長、農業者団体と面会しただけであります。この時点で史上最悪の非常事態であるにもかかわらず、五月十一日の記者会見では、「県外に拡がったなんていうことになれば、これは、また新たに、今までの仕方で本当にいいのかどうか、検討しなければいけないけれども、幸いにして、」とこう言ったんですよ、「そういうことなかった、」などと、まるで第三者であるかのような悠長な発言をしています。
 また、赤松大臣が外遊中、農水大臣臨時代理を務めていた福島みずほ消費者・少子化担当大臣は、その間何をなさっていたのでしょう。
 五月の連休中、閣僚の多くが外遊に出かけたそうでありますが、この間、政府では、だれが指揮をとり、指示を出していたのでしょうか。本当に、万全の対応であったと胸を張って言えるものだったのでしょうか。総理にお伺いいたします。
 一万頭の家畜を処分するために必要となる埋却地は、およそ五ヘクタールと言われています。六万頭となると三十ヘクタールの埋却地が必要となります。家畜伝染病予防法では、家畜を所有する農家が埋却地を確保することとなっていますが、これほど広大な土地を農家や自治体が確保することは容易ではありません。とするならば、埋却地の確保から、消毒の徹底、全頭処分範囲の決定など、国土交通省、財務省、防衛省などの各省庁を初め、地方自治体、関係者と連携のもと、すべてを総理の陣頭指揮のもとに迅速に決めるべきではなかったでしょうか。
 つまり、今回の口蹄疫被害の拡大は、政府の初動対応のおくれが招いた人災であると断ぜざるを得ないのであります。
 農林水産省は、四月二十日の時点で口蹄疫防疫対策本部を設置していますが、さらに、政府は、五月十七日になって鳩山総理を本部長とする政府対策本部を設置しておりますが、完全に機を逸しております。総理、なぜ一カ月後だったのですか。認識が甘かったと言わざるを得ません。現場で対策に当たっている方々は、五月の連休も返上して、既に一カ月以上の間、口蹄疫の鎮圧のために戦い続けているのです。
 公明党は、四月二十三日に宮崎県議団から知事に対し要請を行い、四月二十九日には国会議員から成る防疫対策本部を設置し、五月上旬までに二回現地に参りました。地元農家や県会議員との意見交換を重ね、提言を政府に提出いたしました。また、いち早く、農家の方々に少しでも安心感を与え、自治体と連携してあらゆる防疫措置がとれるように、一千億円規模の対策費の準備を政府に訴えてきました。
 しかしながら、残念なことに、予算措置について明確なメッセージがないまま今日に至っております。さらに、埋却地の確保についても、国が主導して決めなければならないと訴えてまいりましたが、これについても埋却に要する経費の支援のみで、国有地などの利用を具体的に指示したということも聞いておりません。
 赤松大臣の帰国後の対応も、殺処分家畜の補償の評価額や、経営再開経費の支援の中身を見ても、現場感覚に乏しい内容ばかりであります。
 政府の初動対応のおくれによる人災であり、これは激甚災害であります。すべて政府の責任で補償することは当たり前ではありませんか。少なくとも、対象区域内の家畜に対するワクチン接種、殺処分を決定したのは政府である以上、その埋却地の確保と、それにかかる費用もすべて国が責任を持つべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 さらに、農林水産大臣が二十三日に「宮崎県の農家の皆様へ」と題して発表した声明には、今後の経営再開や関連産業の経営支援などについて、何一つ具体的な表明はありませんでした。一刻も早く、絶望感に打ちひしがれている対象地域の畜産農家、そして、牛、豚を取り扱う製造、加工、流通及び地域の飲食店を初めとするすべての営業者に対する経営と生活の安定を支援しなければなりません。宮崎県の主要産業である畜産業が、今、鳩山内閣によって壊滅させられようとしていると言っても過言ではありません。
 今後予想される、外食産業や観光業などに及ぼす二次被害、三次被害に対してもどのような支援をなされるのか、あわせて総理にお伺いいたします。
 その他、現行の家畜伝染病予防法では、埋却地の確保は家畜所有者が行わなければならないこと、消毒ポイントにおいて一般車両や物品について消毒義務がないことなど、現実には対応できない法制上の課題が浮き彫りになっています。
 今回の宮崎県における口蹄疫の爆発的な発生状況は、県内の畜産・酪農関係者にとって極めて深刻な状況であるだけでなく、我が国の畜産の崩壊にもつながりかねない非常事態であると認識すべきであります。
 私は、このような事態に迅速かつ的確に対応し、さらなる蔓延を防止するとともに、疲弊した畜産・酪農関係者を初め、地域への支援を強力に行うためにも、今申し上げたような課題に対応し得る立法措置を行う必要があると考えます。
 公明党は、口蹄疫対策特別措置法案を本日国会に提出いたしました。当然、政府もお考えになっていると思いますが、立法措置を含めた今後の支援のあり方について総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、総理並びに赤松大臣にお伺いいたします。
 政治は、結果責任であります。事ここに至っては、政治責任を明確にすべきであると思います。政治家としての身の処し方をお聞きし、質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 石田議員にお答えいたします。
 まず、口蹄疫への対応についてのお尋ねでございます。
 農林水産省は、四月二十日未明の発生確認後、赤松大臣を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を開催し、殺処分や消毒等の防疫措置の的確な実施を指示したところでございます。そして、四月二十八日以降、関係省庁の連絡会議を開催して対応しているところでございます。
 また、赤松農林水産大臣は、五月の連休の海外出張中においても、毎日の状況報告を受けて、政府として、例えば自衛隊の派遣を行うなど、対応を行っておったわけでございます。
 さらに、その対策を徹底するために、五月十七日には、私を本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、消毒の徹底や現地対策本部の設置などの基本的方針を決定したところでございまして、引き続いて、政府一体となって、感染拡大の防止や農家を初めとする地元の皆様方への支援に万全を期してまいりたいと考えております。(発言する者あり)
○議長(横路孝弘君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君)(続) 政府の対策本部設置についてのお尋ねでございます。
 これは繰り返しになりますが、四月二十日の口蹄疫の発生確認を受け、直ちに農水省に対策本部を設置いたしました。そして、宮崎県及び関係省庁と連携をしながら、殺処分や消毒等の防疫対応を実施してきたところでございます。
 しかしながら、残念ながら、口蹄疫の拡大に歯どめがかからなかったということがございます。したがいまして、政府として、一連の取り組みや対策をさらに徹底し、政府総力を挙げて対策に取り組むために、五月十七日、私を本部長とする政府の対策本部を設置して、万全の体制をしいたところでございます。
 ワクチンの接種家畜の埋却地についてのお尋ねでございます。
 五月の十九日、拡大しつつある口蹄疫についての対策をさらに強化し、総力を挙げて取り組むために、政府対策本部において、殺処分を前提としたワクチン接種及び経営再開の支援などの新たな防疫対策を決定したところでございます。
 埋却地の確保について、国有地などの使用を調整するとともに、埋却地をみずから確保した生産者の方々への財政支援を実施しているところでもございます。
 政府において、感染拡大の防止や農家を初めとする地元の方々の皆様への支援に、これからも万全を期してまいりたいと思っております。
 すべての営業をされておられる方々に対する今後予想される支援についてのお尋ねでございます。
 私を本部長とする口蹄疫の対策本部において、現在、総力を挙げているところでありますが、政府としては、感染拡大の防止はもちろんでありますが、大きな打撃を受けられた農家の経営再開に向けてのさまざまな支援、あるいは自治体への財政支援など、現地の声もしっかりと伺わせていただきながら、例えば雇用支援あるいは地域活性化対策など、できる限りの対策をこれからも工夫してまいりたいと考えております。
 さらに、口蹄疫に関する今後の支援についてのお尋ねでございます。
 現在、一般車両を対象にした消毒ポイントは約八十カ所ございます。これらに対して、当然、人的な支援並びに財政支援を実施しているところでございます。
 また、埋却場所については、既に、国有林などの国有地の提供に関する調整や、埋却地をみずから確保した生産者の方々への財政支援を実施しているところでございます。
 この問題、一刻も早く終息をさせてまいらなければなりません。したがいまして、前例にとらわれることなく、内閣の総力をかけて取り組んでいきたいと考えておりまして、立法措置につきましても、国会でも種々御議論があるということは十分に承知をしておりまして、政府としても、その必要性について積極的に検討してまいりたいと考えております。
 最後に、政治責任についてのお尋ねでございます。
 口蹄疫の発生は、危機管理上、大変重大な課題であると認識をしております。したがいまして、私を本部長とする口蹄疫対策本部において、現在、総力を挙げて対策に取り組んでいるところでございまして、断固たる決意を持って口蹄疫の撲滅を図ってまいりたいと思っておりますので、ぜひ公明党さんにも御協力を願いたいと存じます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 石田議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、私の国外出張についてのお尋ねであります。
 私の国外出張に先立ち、口蹄疫対策については、四月二十三日、種々の対策を行い、その上で、発生状況に応じたシミュレーションなどの事前検討を行い、政務三役で認識を共有し、出張したものであります。
 その上で、出張している間においては、危機管理のため、出張先において、口蹄疫の新たな発生等について、適切に報告を受け、必要な指示を出す体制、政務二役が交代で在京し、迅速な対応をとれる体制を整えていたところでございます。
 五月七日の福島大臣と東国原知事との人的支援等に関する意見交換について報告を受け、直接、現場の防疫課題を把握することを判断いたしました。早急に調整するよう指示し、十日、月曜日に出張することとしたところでございます。
 最後に、政治責任についてのお尋ねであります。
 農林水産大臣として、四月二十日以降、口蹄疫の感染拡大防止に最優先で取り組んできたところでございます。
 五月十七日には、対策に政府総力を挙げて取り組むため、内閣に、総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。五月十九日の第二回対策本部において、移動制限区域内の殺処分を前提としたワクチン接種による感染拡大防止対策及びワクチン接種農家等への支援策等を決定いたしました。
 引き続き、政府、宮崎県が一丸となって、迅速かつ的確な防疫措置を実施し、口蹄疫の感染拡大防止に万全を期す所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、口蹄疫問題について総理に質問します。(拍手)
 初めに、口蹄疫の感染被害農家及びすべての関係者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 今最も重要なことは、この口蹄疫を何としても抑え込み、拡散をさせないことです。そのためには、感染した家畜をいち早く殺処分して、埋却することです。しかし、家畜防疫上のこの基本的なことができていません。そのことが、今感染を広げている最大の原因です。
 殺処分対象家畜十四万五千三百五十八頭のうち、殺処分されていない家畜は六万七千七百六十九頭に及びます。驚くことに、五月七日に感染が確認された家畜も未処分のままです。埋却地の確保を家畜所有者や市町村任せにしていたため、その確保ができず、殺処分ができない感染家畜が滞留し、ウイルスが大量に排出され続けているのであります。
 殺処分に従事する獣医師を初め、家畜を誘導する人員も不足しています。埋却する重機なども十分とは言えません。これにワクチン投与家畜二十万頭の殺処分が加わるわけですから、事態は深刻です。
 政府は、責任を持って埋却地の確保を行うとともに、ありとあらゆる人的資源と機材を投入して、感染家畜の殺処分と埋却を行わなければなりません。それにふさわしい手だてがとられているのでしょうか。総理の責任ある答弁を求めます。
 畜産農家にとって、手塩にかけて飼育してきた家畜の殺処分を受ける苦悩は、筆舌に尽くせません。感染していない畜産農家も、いつ感染するかと日々不安な状況に置かれ、その精神的重圧は極限に達しています。このような畜産農家を支え、経営を守ることは、政府の最も優先すべき課題です。
 感染被害農家については、殺処分家畜の全額補償はもちろん、家畜の評価額の算定に当たっては、農家が再生産可能な価格で評価するなど、生産者の立場に立って行うべきではありませんか。
 感染被害農家が立ち直り、経営を再建するまで、政府は責任を持たねばなりません。
 畜産業は、ゼロからスタートする場合、家畜を販売して収入を得るまで、牛でいえば、三年ほどは無収入で、飼育経費がかかる状況が続きます。畜産農家は、多額の借金を抱え、飼料高の中、デフレによる販売価格の下落で、経営はぎりぎりの状況に置かれています。ゼロどころか、マイナスからのスタートです。
 このような状況で、経営再建のために新たな借金をすることができるでしょうか。政府の責任で、もとの経営を再建するまでの営農生活資金を直接支援するための特別措置法を早急につくるべきではありませんか。
 今、ワクチン接種が進められていますが、十分な畜産農家に対する説明と同意が前提であり、決して強制されてはなりません。その際、農家が最も不安に思っている経営再建のための政府による直接支援を明確にするべきです。そうしたことがなければ、農家の同意を得られず、ワクチン接種の効果を上げることができないことは明らかです。答弁を求めます。
 今回、口蹄疫被害がここまで拡大したことの原因と責任は、徹底的に究明されなければなりません。少なくとも、感染の急速な拡大を許したことは、政府の対応の不十分さを示しており、政府は、その反省の上に立って、口蹄疫を抑え込み、被害畜産農家の経営を再建するため、十分な予算の確保と必要な立法措置をとるべきであります。総理の明確な答弁を求めます。
(中略)
 以上、質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 赤嶺議員にお答えをいたします。
 まず、感染家畜の殺処分と埋却についてのお尋ねでございます。
 発生農場において埋却地の選定に大変御苦労されているということは、よく伺っております。埋却地の確保について、国有地などの使用を調整しておりますとともに、借地料等、真に必要な費用については、政府において支援をする方針を決めております。
 また、三十八都道府県から獣医師などの方々に現地においでいただいておりまして、自衛隊員や警察官を増員しております。必要な人員の確保を速やかに実施しているところでもございますが、引き続いて、政府の総力を挙げて対策に取り組んでまいりたいと思います。
 被害畜産農家の生活支援についてのお尋ねでございます。
 発生農家に対しては、全額補償を前提として、評価額確定前に迅速に手当金を交付して、市場価格などに基づく評価額の確定後、精算払いを実施するとともに、ワクチン接種から殺処分までの間の飼育コストも支援をするなど、生産者の立場に立って万全を期してまいりたいと思います。
 感染被害農家に対する経営再建についてのお尋ねでございます。
 発生農家や移動制限の影響を受ける農家への、殺処分による補償のみではなく、生活支援、経営再建維持についても、万全を期してまいりたいと考えております。
 政府として、一日も早く口蹄疫の清浄化をなし遂げ、あらゆる政策手段を用いて、農家の皆様が経営を再開できるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。ただ、法律をつくらなくてもこれは予算措置ができることだ、そのようにも考えているところでございます。
 口蹄疫へのワクチン接種についてのお尋ねでございます。
 このたび、口蹄疫の蔓延を何としても防ぐために、殺処分を前提としたワクチンの接種を開始しております。農家の皆様方には大変大きな負担になるということはよくわかっておりますが、御理解と御協力を得られるように、丁寧に御説明を申し上げていきたいと思っております。
 殺処分を余儀なくされた農家の方々に対しては、時価による評価で補償を行うとともに、経営再建のための対策に万全を期してまいりたいと思っております。
 また、口蹄疫を抑え込み、農家の再建を支援するための措置についてでございます。
 口蹄疫の発生は、危機管理上重大な課題であるとの認識のもとで、私を本部長とする対策本部において、防疫措置の徹底や、あるいは農家の経営再建の支援など、総力を挙げて対策に取り組んでいるところでございますが、断固たる決意を持って口蹄疫の撲滅を図ることによって、その責務を果たしてまいりたいと思っております。(中略)
 以上です。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 農林水産大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。農林水産大臣赤松広隆君。
    〔国務大臣赤松広隆君登壇〕
○国務大臣(赤松広隆君) 答弁をしていないということで御指摘がございましたので、少し丁寧にそのあたりを御説明させていただきたいと思います。
 私が、帰った日に、なぜそのまま宮崎に行かなかったのか、栃木へ行くとはけしからぬという御指摘だったと思います。
 私は、十四時間かけてニューヨークから帰ってまいりまして、ほとんど書類の整理等をしていませんでしたから、寝ておりませんでしたけれども、しかし、後輩の皆さんから、もう何カ月も前から実は約束をしておった会がございまして、そして、成田へ夕方に着いたんです。(発言する者あり)よく冷静に聞いてください。夕方に成田へ着いて、そして、成田から、栃木といっても一番千葉に近いところですから、約一時間で行けるんです。
 ですから、千葉経由で私は東京に戻り、そして、十日の出張ということは、もう現地から連絡をとりながら、行ったときには、何を今やらなければいけないのか、医者についても、今、その時点では獣医を、農水省から二十五人、そして都道府県から二十五名、計五十名出しているけれども、ぜひそれを倍にしたい、あるいは農水省の職員も十倍出したいということを、現地からもう連絡をしていて、そういうことができるかどうか、きちっとそれを事務方と打ち合わせして、そして十日に行こうということで、予定どおり、そうしたちゃんとした打ち合わせをした上で、これはできる、これはできない、そういうことをきちっと私自身が把握をして、三役とも打ち合わせをして、そして十日に宮崎に行かせていただいたということでございます。(拍手)
(中略)
○石田真敏君 自由民主党の石田真敏でございます。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました地域主権改革関連二法案及び地方自治法改正案について質問をいたします。(拍手)
 質問に先立ちまして、このたび家畜伝染病の口蹄疫によって大きな被害を受けられた皆様方に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 赤松農林水産大臣が、宮崎県で口蹄疫の感染が確認されていたにもかかわらず、先月末から九日間も外遊されたことについて、強い怒りを禁じ得ません。このことで初動がおくれたことは明らかであり、余りにもひどい危機管理意識の欠如、責任感の欠如であります。
 私が市長時代に言われたことは、災害が起きたときには、まず第一に役所に行く、そして対策本部を立ち上げる、そして現場に出て状況を把握するということでございます。決して、国の対策責任者たる大臣が長期外遊を強行するなどということは、考えられないことであります。決して容認することはできません。強く抗議をいたします。
 また、本日の総務委員会での近藤昭一委員長の採決強行という暴挙に、強い怒りを禁じ得ません。修正協議の一方的打ち切り、与党による突然の修正案提出、与党修正案への質問権剥奪、質疑打ち切り動議の強引な可決、本日の委員会運営は、だれが見ても数の力に頼った異常なものであります。
 さらに、その上、地域主権三法の趣旨説明、質疑をこの時間に行うとは、与党の暴力的議会運営もここにきわまれりであります。
 与党の猛省を切に願うとともに、総務委員長近藤昭一君と民主党筆頭理事福田昭夫君の自発的な辞任を強く求め、質疑に入ります。
 鳩山政権は、八ツ場ダム問題や普天間飛行場移設問題で地域住民を振り回し、子ども手当の拙速な実施によって地方自治体に過重な負担を押しつけてきました。そして、このたびの口蹄疫への対応によって、改革の一丁目一番地とされる地域主権は今や地に落ちました。
(中略)
 このたびの口蹄疫問題を見ても、あるいは大災害のときを思い起こしても、国と地方がお互い協力し合いながら、大きな課題を乗り越えていく方策を十分に講じておかなければなりません。どの部分を国が担い、どの部分を地方が担うのか、そのためにはどのような制度がいいのかが重要であります。
(後略)

第174回国会 内閣委員会 第6号 平成二十二年五月二十五日(火曜日)   午前十時一分開会

○岩城光英君 政治主導ということが鳩山内閣発足から言われ続けてきております。しかしながら、その実態ですけれども、国民が理解できる方向に導いていくのではなく、別な方向とか勝手な方向に進んでいて、その時々に言い逃れをしている、そんな印象が受けられます。
 例えば、宮崎の口蹄疫の問題、これも宮崎県のみならず全国の畜産農家、流通販売業者が不安のどん底に陥っておりますし、またそのおかげで、宮崎県中心に周辺の県のスポーツ大会とかイベント、こういったものも開催が断念せざるを得ない状況にもあります。
(後略)
○国務大臣(仙谷由人君) 今、沖縄の普天間問題や口蹄疫の問題を指摘されて、政治主導というのはうまく作動していないのではないかという御意見、御指摘がございました。
 私自身も、私どもがいろんな批判をお受けするときに、これは当たらずといえども遠からずなのか、全くレッテル張りの無理やりの批判なのか、それをよく謙虚に見極めて、正しい御指摘ならば、それは自らの中で消化して自らを変えなければならない、あるいは教訓化するということが重要だというふうに思います。
(後略)

第174回国会 厚生労働委員会 第23号 平成二十二年五月二十六日(水曜日)    午後一時二分開議

○坂口(力)委員
(前略) 幸いにして、前回のインフルエンザ、新型のインフルエンザは余り毒性が強くなくて、心配したほどではなかったということで、私たちもほっとしているわけです。しかし、今回、牛の口蹄疫の話が出まして、これだけ騒がれておりますし、大変なことに宮崎県はなっております。この状況を見ると、新型のまた新しいインフルエンザがもしも起こったとしたら、それは、初動態勢と申しますか、一番最初にどう手を打つかということがいかに大事かということをこの口蹄疫の問題は示しているように思います。
 そう思いますと、ワクチンの問題になるわけですが、ワクチンも、新しい病型と申しますか、新しい病原体がはっきりしないと、それに合わせたワクチンができない。日本はワクチンの生産体制も非常に弱いですから、そんなにも早くできてこない。少なくとも半年はかかる。半年ならばいい方で、一年近くかかるといったようなことになってくる。
(中略)

○足立大臣政務官 ワクチンとそれから治療薬という二点に分けて説明した方がよろしいかと思います。
(中略)
 以上が、ワクチンと治療薬についての説明でございます。

第174回国会 農林水産委員会 第14号 平成二十二年五月二十六日(水曜日)    午後一時開議

○古川(禎)委員 前回に引き続きまして、本委員会におきまして質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。委員長初め委員各位にお礼を申し上げます。
 そしてまた、昨日の衆議院本会議におきまして、鳩山総理・口蹄疫対策本部長が、与党、野党の別なく、一緒にこの事態に立ち向かおうという力強いお言葉をいただきました。また、先ほど参議院本会議におきましても、鳩山総理が、議員立法等の動きがあるようだが、力を合わせてこの難局を乗り越えるようにというようなことを発言されたやに聞いております。詳しくはまだ確認しておりませんが、NHKニュースでやっておりました。大変、大変ありがたいことだと思っております。
 まず、発生地を代表して選出いただいております議員の一人として、心から感謝を申し上げるとともに、今後この非常事態を一刻も早く収束させるために力を合わせていきたい、このように思っておるところでございます。
 山田副大臣におかれましては、昨日も、東京、そして一たん地元に、宮崎の方に入られ、そしてまた本日上京されてということで、大変お疲れさまでございます。
 ここで一つ感謝を申し上げなければなりません。
 ワクチン接種の対象エリア、これが日向の耳川以南ということで、地勢に沿った形で設定をいただいておりましたものが、きのう急遽、何だかそれがずっと北の方に延びるというような話がありまして、現場は大変心配をいたしました。本当に心配をいたしました。
 これはもう三千頭近くの牛、豚がおるわけで、この一カ月来、いろいろな方が紹介をしておられますとおり、家畜というものは農家にとっては家族同様のものなんですね。その命が一方的にワクチンのエリアに組み込まれてしまい、やがて命を奪われてしまうのかということで、大変現場は心配をされたわけでしたけれども、きちんとこの実態を見ていただいて、地形を見ていただいた上で的確に御判断をいただいたというふうに今情報をいただいたところです。大変ありがたく思っておるわけです。
 ただ一方で、副大臣、急遽、突然このような大事なことが、ある電話一本でワクチンの対象になりますよというようなことで、現場は大混乱があるわけですね。こういうことは慎重にお願いをしておかなきゃいけないと思うのですが、何かコメントがありましたら、お願いいたします。
○山田副大臣 現場においては、いまだに埋却をしなきゃいけない頭数が、患畜、疑似患畜を合わせまして六万頭、それがそのまま残っているものですから、まだ感染を続けております。仮にワクチンを打っていましても、本当に効くのは一週間と言われていますから、やはり感染は続きます。そうしますと、必然とこの円が少しずつ外側に広がってくるわけでして、ワクチンを接種する範囲がそれだけ外側に向かってくるということになってくるか、それが今、古川委員がおっしゃったことだと思うんです。
 今回、まずは、最初にワクチンを決めた、その最初の、そして、ここが本当に北限の地域だと防衛線を張ったあの耳川のところとか、それと南のところ、その辺で、最初にワクチン設定して決めた枠よりも内側の方をまず終わらせてしまうということをさせていただきたい。そして、様子を見まして、これ以上感染の拡大が広がりそうであれば、そのときに、すべての十キロの範囲内まで行くかどうかはもう一回考えさせていただければと考えておりまして、今のところ、そういう線で、完全にやらせていただきたい、そう思っているところです。
○古川(禎)委員 今後、さらに広がりそうな情勢が新たに発生をした場合にはということですよね。新たに飛び火をするとかという、新たな展開であればまたワクチネーションのエリアも当然変わってくるでしょうし、そのような意味でよろしいですね。
 というのは、この全頭殺処分を前提としたワクチン接種というものは、現行法、家畜伝染病予防法の枠内ではありません。ですから、あくまでも所有権、財産権との絡みでの個別の話が前提になっておりますので、そこは慎重に御検討もいただき、また御発言もいただきたいと思っております。
 本当に、ワクチンの接種という、もうこれは痛恨のきわみではありますけれども、しかし、いや、これは今が胸突き八丁で、日に日に厳しい状況が続いているけれども、何とかここを乗り越えることによって口蹄疫を退治しなきゃならぬのだ、そういう思いでおるところでございます。
 そして、この一カ月余り、口蹄疫と取っ組み合いをする中で、これは私の個人的な思いではありますけれども、現在の家畜伝染病予防法、昭和二十六年の法律なんですが、これが現代の畜産、あるいは情報通信が発達した現代において本当に体のサイズに合ったものになっているのかどうか、そういうふぐあい、迅速的確に対応しなければならないのに、この法律の枠組みが必ずしもそれに適したものになっていないのではないかというもどかしさ、実は、そういうものを感ずることが少なくありませんでした。
 十七日に政府に対策本部を設置いただいて、即日、山田副大臣は現地チームのリーダーとして現場に入っていただいたわけでございます。これは、遅かったけれども、大変感謝をいたしております。そして、現場で本当に頑張っていただきたいと思っております。
 ここで、現場で格闘していただいております副大臣の率直な今の感想として、やはり家畜伝染病予防法というものが今の畜産の実態に必ずしも即していないのではないか、危機管理において必ずしも使い勝手がいいものではないのではないか、そういう感想を持っておられませんか。率直なところをお聞かせいただければと思います。
○山田副大臣 今までの家畜伝染病予防法は、どうしても、牛を飼ったり豚を飼ったりしている農家というのは、かつては、それほどの頭数を飼っていたわけでもなかったし、一万頭とか二万頭豚を飼うとかということはあり得なかったことですし、そういう意味では、周りに埋却地があるんだということを前提にしておって、埋却地に心配がないという形での家畜伝染病予防法であったんじゃないか。
 今回、本当は七十二時間以内にはぜひとも埋めてほしかったものが、もう十日も十五日もさらされてしまった、これが本当に爆発した原因だと思っておりますが、埋却地がなかった。埋却地の選定に、あるんだったらもっと公共用地を使えばいいじゃないか、こう私は言って、すぐ知事さんにも町長さん方にも申し上げたんですが、家伝法がそうなっているし、既に自分の土地に埋めた人、それから土地を購入して新たに埋めた人、いろいろな形の公平感云々だとか、隣からの不平不満とか、悪臭とか、あるいはガスが出るとか、いろいろな形でなかなか一たん決まった土地も決まらなかったりとか、そういう埋却地の問題でこうなってしまったという気はいたします。
○古川(禎)委員 ありがとうございました。
 今回の事態が収束をして振り返ったときに、拡大の、蔓延の大きな要因の一つに、埋却地を確保できなかったがために、殺処分をしてすぐ埋却という対応がおくれてしまったために、拡大につながったのではないか、恐らくこれが大きな反省点になるだろう、そのように思っております。
 私は、地元が都城でございます。都城は日本一の畜産基地でございまして、私は初当選までに八年かかりましたが、毎月、家畜市場で競りが行われるときは、白いゴム長を履いて競り場を歩いておりました。
 また、私の政治活動のスタート地点は、とある養豚場に住み込んでの話でした。朝五時に起きまして、豚はブーブー、犬はワンワン、鳥はコケコッコーと大変騒々しい中を、豚小屋の世話をして、それから一日の政治活動が始まったわけでしたけれども、当時の豚小屋というのは、つっと中を歩くだけで体ににおいがしみつくんですね。もう今はそんなことはありません。今はいろいろな工夫がありましてそんなことはありませんが、当時はそういうこともありまして、子豚はかわいいなと思いながらやっておりました。
 この一月余りの間に、私は都城の家畜市場に何度か行きました。もちろん競りはやっておりませんよ、閉鎖をしておりますから。畜魂碑に手を合わせるために行くのであります。そして、その畜魂碑の前で手を合わせているときの胸のうちたるや、これは敗北感といいますか、喪失感といいますか、何とも言えない違和感をぬぐい去ることができないんですね。一生懸命、口蹄疫と格闘し頑張っているんだけれども、何万頭という牛や豚を殺さなきゃならない。一生懸命やっているんだけれども、やればやるほど、何となくこの数がふえていく、そういうニュースばかり。何ともいたたまれないような、人間は一体何をやっているんだろうか、そんな思いに駆られてしまうことがあるんです。
 そういうもやもや感を、私、自分の胸のうちに持っておりますときに、ある方からメールをいただきました。ちょっと紹介をさせていただきたいと思います。
 口蹄疫の件ではご心痛の事と存じます。今夕のニュースで、
これは五月二十三日、三日前です。
 県がすでにと殺処分しているはずの種牛を処分していなかったことを農林副大臣が非難しているのを見ましたが、思考停止しているのではと怒りを覚えました。これからの新たな発想の口蹄疫対策を志向するならば、固定観念の全てを殺すという発想を見直して、生かしてその後の病態を注意深く慎重に観察しようという発想もあって当然だと私はずっと思っておりました。全てを殺しては何も新たな対策は生まれようがありません。獣医学会がこのことを真剣に取り組んでいただきたいと心から願わずにはいられません。いくら感染力が強くとも、経済的影響力が甚大であっても、数十年前と進歩のない、とにかく全てを殺して蔓延を防ぐという発想が将来にわたってまかり通ることが、本当に正しいことなのでしょうか!?
これは、いろいろな御意見があります。賛否がありますから、今この場でこの是非を扱うつもりはありません。
 しかし、このメールを送ってくださったのは、私が尊敬するあるお医者さんです。獣医ではなくてお医者さんです。人格的にも立派な方です。この方が送ってくれたこのメールを読んで、私は、何となく胸のうちにあったもやもや感みたいなもののある側面を表現してくれているような気がしたんですね。
 きのうの本会議でも、冒頭に、ある養豚農家の詠んだ短歌を紹介させていただいたんです。これは地元の新聞、宮日新聞に紹介された歌なんですが、もう一度紹介をします。
  養豚の音なき終わりにすべもなく只ありがとうの感謝あるのみ
 そして、これはもう一つ実は掲載されていたんですね。
  近日に命絶たれる母豚あり日々出産をするもあわれぞ
 いろいろな委員会等の場でさまざまな方が報告をしておられますけれども、やはり畜産農家にとって家畜というものは家族であり、牛、豚の命なんですよね。
 先ほどの御紹介をさせていただいたメールにもあるんですが、四十九頭の種牛の話なんです。
 きょうの参議院の本会議でも、質問に対して総理が、口蹄疫対策本部長たる総理が、それはできないというようなことをおっしゃった、それは承知しております。
 そしてまた、この場でまた私が改めてこのことを申し上げること、自分が何を申し上げているかということについて、自分自身よく承知をいたしておるつもりでございます。承知いたした上で、あえて申し上げたいのですが、この四十九頭、これが今、口蹄疫にかかって今現在ばんばんウイルスを発生しているということであれば申し上げませんが、そうでなければ、県が今順番に、殺処分という言葉は悲しい言葉だけれども、順番にやっておるわけですが、そちらを今優先してやっておるわけでして、この事態そのものは、やはり現実として御容認をいただきたいと思うんです。
 私は、大臣や副大臣に対して、特例を設けてくださいとか、この種牛だけは特別扱いをしてくださいとか申し上げるつもりはありません。ここで何らかのコメントをいただこうとも思いません。ただ、今すぐ処分せよというようなことはあえておっしゃらずにおいていただきたいなということを切に願うのであります。
 また宮日新聞なんですが、これはおとといの新聞です。四十九頭について、副大臣が、示しがつかないからというようなことをおっしゃったときの後の、翌日の新聞なんですね。何と見出しがあるか。「「先が見えなくなった」 心の支え奪われ農家落胆」
 「宮崎の畜産をつぶすのか」「何のための政治主導だ」。東国原知事が種雄牛四十九頭を特例で「助命」するよう求めていた問題で二十四日、国は早々と殺処分の方針に鳩山由紀夫首相のお墨付きを得た。
云々と続いていくんですけれども、見出しにあるとおり、心の支えなんです。
 御存じのとおり、宮崎の畜産は打ちのめされて、そして打ちひしがれておるんです。今最も必要なのは、再起に向けた希望、望みなのだと僕は思うんです。
 ですから、特例を設けてくださいとは私は申し上げません。けれども、わかっていただきたい。わかっていただいて、じっと見守っておっていただきたいということを切に申し上げたいと思うんです。
 今、現場の対策のリーダーとして務めておられる副大臣、あるいは宮崎県の知事である東国原知事、お二人とも、この宮崎の畜産農家にとっては親みたいなものです。親が、今打ちひしがれて自信を失って悲嘆に暮れている我が子に対して、追い打ちをかけるように、望みを奪うようなことをおっしゃらないようにしていただきたいと思うんです。
 これはお願いです。よろしくお願い申し上げておきます。
○山田副大臣 古川委員の今の切々と述べていることは、私も、かつて畜産をやっていた者、牛を飼い、豚を飼っていた者としては、本当にその農家の気持ち、そういったものはわかっているつもりでおります。
 しかしながら、ここが大変大事なことですが、ワクチン接種は恐らく九五%終わりました。本当に県の皆さん方も町の皆さん方も大いに頑張っていただいて、よかったと思っていますが、その中に、自分で種牛を持っている民間の方がいらっしゃいます。その方は、何としてもワクチン接種に応じてくれません。もちろん殺処分に同意してくれません。
 そしてまた、繁殖農家も、よく気持ちはわかるんですが、子牛から飼っていきますから、これから先も何年も何年も一緒に暮らしていく牛がここで殺処分に遭うということになると、まさに自分も一緒に埋めてくれと言う農家もいる、どうしても同意できないと言っている、そういうお話も現場から聞いております。いろいろなことがございます。
 しかしながら、若い種牛の四十九頭について何とか残してもらいたい、宮崎の将来の畜産のためには残したい、それは古川委員も私も同じでございますが、ここは家畜伝染病予防法で、直ちにいわゆる殺処分し、直ちに埋却すること、そうなっております。やはり私は、ここは県は率先して、あそこにあれだけの埋却地もあるわけですから、やっていただかないとおかしいではありませんか、そう申し上げてまいりました。それはわかっていただきたいと思います。
○古川(禎)委員 お説ごもっともでございます。
 ですから、私は、自分がここで何を申し上げておるかというのは重々理解した上で、最後に一言申し上げますけれども、今、宮崎の畜産農家に必要なのは、心の支え、望みなんです。この事態を収束させた後、復興に向けて、再起するために、よし、もう一遍やってみようと、親として、子供が、よし、もう一遍再起しようというそのときのために、やはり望みは残しておいていただきたいと僕は思うんです。
 わかります。大臣のお立場として、苦しい胸の思いを持ちながらも、そうおっしゃらなければならないこともよく理解をいたしておりますから、もうこれは御答弁は求めません。
 牛に引かれて善光寺参りという言葉がありますけれども、牛は観世音菩薩だったんですよ。種牛だから、種牛ということだけで申し上げているんではないんです。やはり全般的に、先ほどのワクチンのエリアの問題もそうですけれども、大臣や副大臣の言葉は重いですよ。こうだと言ったら、そこでたちまち何万頭の、何千頭の牛や豚の命が左右される。でも、それは命だということをやはり胸に置きながら、御苦労だと思いますが、現場の対応にお取り組みいただきたいとお願い申し上げます。
 さて、幾つかあるんですけれども、ちょっと時間がなくなってまいりましたが、一つ、現場の指揮をとっておられる山田副大臣にお願いを申し上げたいことがあります。
 実は、これは風評被害と言っていいと思いますが、例えば宮崎ナンバーのトラックが県外に行きますと、追い返されちゃうのです。あるいは、県外のトラックも、野菜を初めいろいろなものを宮崎に運ぼうと思ったら、結局、宮崎に行った車は帰ってくるなというようなことになってしまうということで、なかなか持ってきていただけない。それで野菜が値上がりしたなんということも起こっていまして、宮崎県は今、孤立しております。
 この十キロから二十キロの間の早期出荷ということを打ち出していただいております。牛の約一万六千頭だったか、豚の三万二千頭ほどだったでしょうか、これを早期出荷というときに、やはりトラックに積んで運ぶんですね。ところが、宮崎県の畜産農家のみんなが困っているんだから応援してあげたいと思っても、そういう業者だったら取引お断りですよということが、現実の問題として今、目の前にあるんです。
 そこで、お願いなんですが、対策本部の方から業界等に対して、こういう早期出荷に当たって、正式に協力要請をかけていただけませんか。そして、そういうことだから、そして消毒等も徹底するので心配はないということを他県に対してもメッセージをいただけるような、そういう御配慮をぜひお願いしておきたいと思います。
 それともう一つ。ワクチン接種をして殺処分することになります。そして、奨励金、これは時価評価式で当たっていただくという言葉をいただいております。きのうの質疑等でもいただいております。
 申し上げるまでもありませんが、育成牛、繁殖豚、こういうものは、やはり将来の期待利益というものがあるわけですね。失うことによる逸失利益というものがあるわけです。そういったものをきっちり、これはもうわかっていただいていると思いますが、きっちり踏まえていただいた上での評価をしていただくように、お願い申し上げたいと思うんです。
 これは、銭金の問題ということを言っているんじゃありません。これは本当に現場で副大臣がまさに御苦労なさっているように、農家の皆さんは、我が子のような、家族同然の家畜を守りたいという気持ちをすごく強く持っているわけですよね。そういう方々と話をされるときに、やはり丁寧に丁寧に人の心に対して、そして人の心でもって相対するという、その丁寧な対処というものを、応じ方というものを常に持っておいていただきたいと思う。その意味で、今申し上げたように、奨励金の時価評価ということに当たっても、しっかりそこを評価していただく、ちゃんと見ているよということが伝わるような形でお願いをしたいと思うんです。
 でなければ、口蹄疫というのは、今回、宮崎で早期に鎮圧しなきゃいけないんですけれども、しかし、今後ほかの県においてまたいつ発生するかわからないわけですよね。そのときに、仮にそういうふうにして発生したとしても、いや、政治がこうやってきっちり現場の実情を把握した上で対処してくれたんだな、率先して自分たちも協力してやるんだ、そういう思いになるような事例を今回確立していただきたいと思うんです。そのような趣旨でお願いを申し上げておきます。
○赤松国務大臣 二点お答えしたいと思います。
 まず一つは、トラックの風評被害ですが、これは既に対策本部の中で、前原国土交通大臣からも、そういうことを聞いておるのでということで、トラック協会ばかりじゃなくて、問題は荷主さんですから、荷主さん等も含めてしっかりとその辺は周知徹底していきたいということが一点。
 それからもう一つは、そういう荷主さんにも安心感を持っていただくために、国土交通省としては、全面的に車両の消毒その他について、人も十分あるので協力したいということで、大分箇所もふやしていただいて、今やっております。
 委員の趣旨は当然だと思いますので、さらに徹底して、そのあたりを所管の国交大臣にも伝えまして、しっかりやってもらいたいと思います。
 二つ目の時価評価の問題ですが、これについては、疑似患畜の手当金と同様に、原則としては、三名以上の評価人でやるということになっていますが、今、こんな大混乱の中ですから、概算でとりあえずお支払いして、その後、しっかり時間をかけて、しかもその評価人の中には、県とか市とか町とかの、近くの役所の皆さん、それから農協の皆さん、そういう方にも入っていただいて、血統だとかあるいはいろいろございますね、そういうものもきちっと評価をしていただく中で、適正な時価評価をしていきたい、このように思っております。
○古川(禎)委員 大臣、ありがとうございました。
 副大臣、先ほどの、対策本部として、お願いします。
○山田副大臣 トラックのことについては今大臣からお答えがありましたが、私が気にしているのは、野菜、根物の出荷。これは土がついておりまして、それが市場から入荷を拒否されているというようなうわさがございました。
 それで調べさせていただきましたが、今のところそこまでには至っていませんでしたので何とか解決できましたが、これから先もそういうことは予測されると思います。そういう意味では、市場関係者にもしっかり、野菜等についてもいずれ周知しなきゃいけないときが来るんじゃないかなとは考えているところです。
 また、いろいろ、古川委員の話としては、特に繁殖牛のときに、これから本当にいい子牛を産むときの評価を単なる月齢でやってもらっちゃ困るというお話じゃないかと思うんですが、私も、その辺の事情はよくわかっています。血統ももちろんありますし、これまでどういう牛が、前の牛がどういういい牛であったとか、そういった、それまでの牛の価格等々も考えながら、この牛だったら、この繁殖牛、親牛だったらどれぐらいの価値があるというところは、きちんと評価員に評価していただくように、私からもそういうきめ細かいお話はさせていただきたい、そう思っております。
○古川(禎)委員 済みません、先ほど申し上げたのは、十キロから二十キロの中にいる家畜を早期に出荷するということを打ち出しておられますよね。出荷するときにはトラックに乗せなきゃいけないんですよ。ところが、業者がそれをトラックに乗せて運びたいけれども、協力したいけれども、しかし、それに協力してしまったら、ほかのところの仕事を失うんじゃないかという事態なんです。ですから、ぜひ対策本部として、出荷するときの運搬について、例えばトラック協会なりなんなりに対して公式にオファーしてください、そういうことです。お願いしておきます。
○山田副大臣 十キロ―二十キロ内で運ぶ、一たんそういう豚を運んだ場合において、その同じトラックでよそに行くときには、そこで使ったトラックだから困るということでは、やっていけないというお話なんですね。(古川(禎)委員「いや、済みません、ちょっと時間があれなんですけれども」と呼ぶ)
○筒井委員長 時間が余りないので、単刀直入に言ってください、古川さん。
○古川(禎)委員 ですから、要するに、その家畜を扱った業者は、ほかの荷主さんから仕事を切られちゃうんです。車を分けていますよといろいろ言っても、消毒をしていますよと言っても、やはり風評被害というのはあるんです。
 ですから、それを防止するために、ここは対策本部として腰を上げていただいて、きっちり正式に要請して、本部からの要請を受けて業者もその仕事を請け負うというふうにしていただくとやりやすいということなんです。
○筒井委員長 古川委員、それは各業界全部ですね、全部の業界に対して。
○古川(禎)委員 今、トラックのこと。畜産、家畜を運ぶトラックの話。
○山田副大臣 意味がわかりました。
 確かに、そういう心配があるかと思いますので、持ち帰って、どうしたら一番有効なのか検討させていただきます。
○古川(禎)委員 ぜひお願いします。
 終わります。
○筒井委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
 引き続き、口蹄疫の関連についてお伺いをしてまいります。
 四月二十八日に、私ども、谷垣口蹄疫対策本部長を先頭にいたしまして宮崎の現地入りをいたしまして、現地の市町村、生産者の関係者の皆様を初め、意見交換をさせていただきました。そのときの意見として、何をしていいかわからない状況が続いている、あるいは、今の国の対応では再起はできない、そういった声が相次ぎました。
 そしてまた、五月九日、谷垣本部長が鹿児島に入りましたときに、それを聞きつけた宮崎の被災地の首長さんがわざわざお越しになりまして、今に至るまで国からほとんど指示がおりない、ただ穴を掘って埋めろと言っているにすぎない、そう憤慨を込めておっしゃったのであります。
 これまでの間、赤松農林大臣は、宮崎の現地入りを一度も果たさず、陣頭指揮をとらないどころか、四月三十日から五月八日までの九日間、メキシコ、キューバ、コロンビアへの外遊に旅立ったのであります。そして、やっと宮崎入りをしたのは五月十日、発生から実に三週間を経過していたのであります。日本の畜産の危機、そして国の食料安保の危機に係るこの重大な危機において、何という危機感のなさ、危機管理能力のなさであろうかと現地からも大変な怒りの声が沸き上がったわけであります。赤松大臣が、火の手が燃え盛る中に、我々のまさに制止を振り切ってかの地へ行かれた。そのときに現地の人々は、国から見放されたと思ったでありましょう。現に、現地のかなりの方々からそういった声を寄せられたのであります。
 かの地における大臣の日程につきまして御答弁をいただきました。私もまた何度も議事録を読み返させていただきましたが、何度聞いても、何度読んでも、大臣がわざわざかの地に赴くべき緊急性を要する日程であったとは思えないのであります。ましてや、この国内の重大危機において、それをおいて大臣が行かれるべき理由は何もなかったと思います。
 本当に外遊をしてよかったと思っておられるのか、改めて大臣にお伺いをいたします。
○赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 再三にわたって、この委員会でもそれから本会議でもお尋ねをしていただいていますので、私は率直に申し上げておりますけれども、四月の二十日に口蹄疫の発症が明らかになったということで、直ちに対策本部を立ち上げて、そして専門家の御意見も聞きながら、あるいは十六年にできました指針もございますので、過去の例にも倣いながら、その時点でやらなければならないこと、今何が必要なのかということについて指示を出させていただいた。
 専門家は、とにかくまず消毒が大切なんだと。とにかくまず消毒を、全額国庫補助で消毒薬を確保し、直ちにまいてもらうようにということで、そういう手配もしながら、そして、この口蹄疫については、患畜あるいは疑似患畜については直ちに殺処分をする、そして埋却をする、焼却でもいいんですけれども、そのことが大切なんだということで、それを指示させていただいた。そして、それぞれ、現地の農政局の部長も派遣をし、また本省からも何人かの職員も派遣しながら、そして獣医師さん、宮崎県は二十人ぐらいしか獣医師さんがいないという話だったものですから、それではだめだということで、そういう手配をまずきちっとしたということでございます。
 それで、今、ゴールデンウイーク、三十日から八日まで行ったことにつきましては、議会の御理解も得る中で、かつて、OECDとか、マグロをやりましたCITESも私は出しまして、野党の皆さんがだめだと言われたときは行っていないんです。今回の場合は、御了解をいただいたので、じゃ、後の対策をきちっとやっていこうということで、臨時大臣は、これは大臣じゃないといけませんので福島大臣、そして省内における口蹄疫対策本部は、山田副大臣を本部長代理ということでその指揮に当たってもらう、そしてその期間はきっちり政務二役が東京へ残ってその指揮をとる。私とは……(発言する者あり)答えていないですか。
 そして……(発言する者あり)だから、出張そのものは、皆さん方は意味がなかったとか、そんなものはどうでもよかったと言われますけれども、私は、FTA、EPAの、ことしの秋に最終の、五年後の見直しということで、もう去年からずっとやってきているんです。そして、マジョルガ大臣は二月、三月に来ているんです。今度はうちから行って、最後の決着をしなきゃいけないところだということで、メキシコの仕事もきちっとやってまいりました。
 キューバについてもそれぞれ、これもおとといのことですけれども、長期債務問題について、この金額の半額、五百万ドルも、私が行って、もう振り込ませるようにしてきたんです。現に振り込んできたんです。そして、その債務問題について、これは直接私が申し上げて、向こうの中央銀行、そして国立銀行の代表者が来て、日本で今、二十四日から交渉しているんです。
 そして、ウリベ大統領とはコロンビアで、ペルーの次はぜひコロンビアだということで、そのことについての最終の確認をしてきたということで、もちろん口蹄疫は非常に重要な問題ですけれども、すべてこれだけでいいんだということではない、それも重要だけれども、あわせてこうした問題についてもやらなければならないということで、私は、自分の役割をきちっと果たしてきたというふうに思っております。
○小里委員 大臣の今のような答弁は、もう何度も聞かされました。何度聞いても、本当に、大臣がこれだけの宮崎の悲劇と引きかえにしてかの地に行かれるような、そんな理由には私には全く思えません。
 前回、答弁の中で大臣は、例えばキューバとの民間の間の長期債務の問題がある、この問題は、民間から要望を受け、そして自民党の古屋圭司代議士から、これは大臣が行かないと解決にならぬと強い要望を受けて行ったんだ、そのような御答弁でありました。
 古屋代議士から私のところに連絡が入った。とんでもない話だ、全く事実と違うと。古屋代議士は、赤松大臣がキューバに行かれると決定をしてから、それを大臣から聞いて、どうせ行かれるのであれば、こういう問題が今はありますよということを申し上げたのにすぎないのであります。決して、古屋代議士が、この件でもって大臣に行ってくださいと要望を申し上げたわけではありません。ましてや、この長期債務の問題は、長年かけて、キューバ議員連盟会長である古屋代議士あるいは先輩の議員の方々が取り組んできて、いよいよ最後のフォローの段階、別に大臣に行ってもらわなければ解決できないような、そんな話ではない、これがまた古屋代議士の話でありました。
 事ほどさように、今回の外遊につきましては、全くもって大臣の説明では納得ができないのであります。ちなみに、古屋代議士の名誉のために申し上げておきますと、彼は、もし大臣が相変わらずそういうことをおっしゃるのであれば、この場に来て証言を申し上げたい、そうおっしゃっていたことを申し添えさせていただきます。
 なおまた、いろいろキューバについては日程の中身についてお伺いしようと思っておりましたけれども、大分、これでもう半分以上時間を経過してしまいました。
 また、かなりの空白の時間があるんですね。もともと型どおりの会談であって、そして、農園とか芸術学校とか、実に視察の多い日程になっております。それに加えて空白の時間がある。これは、例えば五月の一日、五時間、あるいは二日午前中、あるいは五月の五日、五時間、いろいろ空白の時間がある。こういったところはホテルで休憩していたんだ、そんなふうにお答えになるのかもしれません。
 しかし、この古屋代議士の一件にしましても、そういった説明で簡単に納得をするわけにはいかないのであります。我々はまた、理事会を通じて、向こうでの証拠書類、車の運行記録を差し出していただきたい、そういうこともお願いをしておりますが、お答えはないままであります。
 赤松大臣の外遊中に、被害頭数は十倍になりました。さらに、その後の爆発的な感染拡大を考えますと、まさにこの連休中が、外遊期間中が対策の分水嶺であったなと私は思います。なおまた、赤松大臣以外にも、連休中に、中井国家公安委員長、前原国土交通大臣を初め、実に十一人もの閣僚が大挙して外遊に行ったのであります。国の危機管理の観点からいかがなものかと、私どもは警鐘を鳴らしておりました。
 また、連休期間中、業務日を除いて、政務三役のだれ一人、登庁をしていないのであります。農林水産省に出勤をしていないのであります。すなわち、五月一日、二日、三日、四日、五日そして八日、九日と、七日間、政務三役は対策本部を留守にしたのであります。
 この事態をどのように考えておられるか、赤松大臣、お答えください。
○赤松国務大臣 まず、副大臣の名誉のために言っておきますが、一日も登庁していないということですが、平日の六日、七日は山田副大臣は登庁いたしております。(発言する者あり)いやいや、じゃ、それは後から、日程はちゃんとありますから、言うと思います。
 それから、空白の期間で何かがあったかのごとく言われておりますが、これは全くそんなことはありません。遺伝子研究センターというのは、メキシコから約二時間から二時間半かかるところでございますし、それから、一たんホテルへ戻って夜の会議まで一時間、二時間あるとか、そういうことはありますが、じゃ、五時間あいているところというのはどこにあるんですか。それがわからないんです。
 それから、メキシコからキューバへ行くときは非常に便がなくて、二日の日曜日、この一時十五分しかないんです。ですから、私は、もっと早く一番で出て有効に使えるあれはないのかということで向こうでもやらせたんですが、この便しかないということで、そして、これは、ちょっと今、また正式に日程がありますからわかりますが、一つ、パナマ経由かどこかだったと思いますが、それで行ったというのと、あと、時差がありますから、一時十五分に出て十六時五十分にハバナに着いたということでございます。
 この日は事実上移動日ということで、約五時に着いて、六時にホテルに着いた。それから、この夜は日曜日でそういうあれですから、食事をしてそして休んだということで、特に何かをしたとか、これも事実じゃないことがわかって、当然のことですけれども、ゴルフをしていたんじゃないかとかなんとかいうようなことが全くでたらめだったということがわかりましたので、これは私としては名誉を守れたと思っていますが、全くこれほど多い日程を組むのかというぐらい、この旅行期間中、組んでいた。
 ただ、最後の飛行機が、直接コロンビアから日本にはないものですから、これはどうしてもニューヨーク経由なり、トロント経由なり、どこか経由で帰ってこないといけないものですから、そういう形で、帰るためにニューヨークで夜だけ泊まって、次の日の便で帰ってきたということでございます。(山田副大臣「委員長」と呼ぶ)
○筒井委員長 副大臣から答弁を求めますか。
○小里委員 もう結構です。時間がありません。(山田副大臣「ちょっと、一つだけ」と呼ぶ)
○筒井委員長 山田副大臣。
○山田副大臣 いつも赤松大臣の今度の連休中というお話ですが、実は、連休に入って旅行に行く前、政務三役を集めまして、赤松大臣から、今いわゆる十キロの範囲、最初の発生、二例目の発生、三例目の発生、川南の三キロから五キロの間に集中しておりますが、この十キロの範囲から外に出てよそに、例えばえびの、えびのは一回飛び火したんですが、そのように都城とかほかのところに出てくることがあったら、山田さん、そのときは対策本部をすぐ開いてくださいと。(小里委員「もうちょっとですから」と呼ぶ)ちょっと待ってください。そして、こういう方向でやりましょうと大臣から細かく指示を受けておりました。
 ですから、その間、私もずっと東京におりまして、絶えず動物衛生課に電話を入れて、そして、きょうの発生はどこどこで今検体はどこから来ているのかと。あるいは、いわゆる県外からもいろいろ、ずっとそのころありました。その都度、よし、今度そこから出たら対策本部を大臣に報告してやらなきゃいけないと。
 それまでは、実は、最初の二十三日の対策、三十日の対策等々でもってきちんと大臣がすぐに本部長として指示した、例えばえびの、ああいうところとか都農町とか木城町とか、非常にしっかりと、最初の私どもが示した指針どおりに一生懸命やって食いとめているところもあるわけなんです。たまたま、埋却地がどうしてもああいう形でごたごたした川南とかそういうところでクラッシュしたわけなんですが、そういう意味では大臣は的確に指示をしてやっておられた。
 私ども政務二役も、連休中それなりに絶えず待機しておったということは間違いございませんし、大臣にはその都度、朝昼夕報告をしておって、絶えず連絡もとっておった。そういう事実ですので、そこは誤解ないようにしっかりと、大臣もそれなりに本当に心配されておったということはわかっていただければと思います。
○小里委員 委員長、全く審議が進みません。どうかお取り計らいをよろしくお願いします。
 別に、大臣、私はゴルフの話なんてしていませんよ。ちゃんと裏をとった質問をしているわけであります。
 連休の期間中に七日間、政務三役は出勤をしていないんです。このことについてのお答えはありませんでした。この連休期間中、我々は何度か農水省へお伺いをし、また役人の皆さんに来ていただいて要請をいたしました。農水省の幹部は、まず三役に相談しなければ、政務三役に相談をして了承をとらなければと、それぞれのお答えでありました。即応できずに、そして決定をすべき、決断をすべき政務三役は持ち場にすらいなかったのであります。政治主導の名のもとに対策がさらにおくれていったことは言うまでもありません。
 現地対策本部設置の話もありました。一体、いつ設置したんですか。おくれにおくれたじゃないですか。見かねた私どもが五月十四日の衆議院農林水産委員会で、国が主導して徹底した対策を打つためには現地対策本部の設置が必要であると。そのときに山田副大臣は、今の体制で十分であると答弁をされました。しかしながら、方針を転換して現地対策本部を設置したのは五月十七日であります。発生から一カ月近くを経過していたではありませんか。
 この委員会で同僚議員が、江藤議員が、人工授精師、繁殖農家、肥育農家、酪農家の経営の問題、屠畜場の確保、あるいは排せつ物の処理など、具体例を挙げて、今目の前にある現場の窮状を訴え、課題を訴えましたときに、まるで今初めて聞いたかのような答弁でありました。ここに現地との大きな距離があったことは否めないのであります。
 現地の状況を目で見て、肌で感じて、東京との温度差を埋める、距離を埋めるために現地対策本部はあるんです。だからこそ、発生と同時に大臣もしくは副大臣が現地本部で陣頭指揮に当たるべきでありました。おくればせながら現地対策本部を設置して、山田副大臣が現地に常駐をするということを私は確認させていただいた。なのに、どうしてここにおられるんですか。いつ東京に帰ってこられたんですか。現地で陣頭指揮をとるはずじゃなかったんですか。全くもって私はこの対応が信じられないのであります。
 大きな災害時には、まず国のリーダーが現地に行く。そして、予算も制度もおれに任せろ、全責任はおれがとる、それで初めて現地は奮い立ち、対策が動いていくのであります。初動態勢のおくれは明らかであります。初動態勢のおくれと稚拙な対応がこういう際限なき被害を生んでいったのであります。
 現地対策本部の設置、時期的に十分適切であったとお考えですか。では一言、山田副大臣、お答えください。
○山田副大臣 いわゆる対策本部を現地に設けるかどうかは別としましても、赤松大臣から連休中に言われておったことは、そして私自身も考えておったことは、川南のあの中心地五キロ範囲内でおさまってくれれば、むしろ私どもが行くよりも、風評被害の方を恐れて、何とかそこでおさまってくれればというのが当時の気持ちでした。
 もちろん、連休中は休みですから、農水省は、動物衛生課はあいております。だから、行こうと思えば行けましたが、動物衛生課には、私は毎日、東京にいて連絡はとらせていただいておりました。当時、平尾局長も詰めておりましたし、私の秘書官を通じてでも、絶えず、どうなっているか、きょうの検体はどういうものがあったのかとか、そういう形でやっておりました。
 現地対策本部を十七日に立ち上げることになりましたが、その前の、たしか日曜日だったと思います、初めて新富町で発生したとき、これは容易ならざることだと思いまして、それで初めて実は大臣に連絡して、どうしても現地に私を行かせてくださいと。ぜひそういう形で、新たなステージというか、新たな全く別なところに発生したわけじゃありませんが、まだ十キロ、十キロが輪が広がっていっていますものの、その周辺ではありますが、やはりここは拡大が、いわゆるどんどん埋却ができていない状況ですし、これは大変だということで、そのときに初めて現地対策本部をつくっていただきましたが、時期的においてはそれなりに、それで今機能させていただいていると思っているところです。
○小里委員 全くありきたりの、相変わらずの言いわけ答弁であります。
 委員長、こういうだらだらした審議を待っている余裕は現地にはないんですよ。法案も早く成立をさせなければいけない。我々も必死なんだ。委員長、もっと審議促進をよろしくお願いしたいと思います。
 一つだけ指摘をしておきますが、予防的全頭殺処分の実施を我々は初期の段階から訴えておりました。五月六日、七日の農水省との折衝時には、三キロ圏内との具体的数字を挙げて提案をしました。また、参議院の野村委員が五月十三日には農林水産委員会におきまして、予防的全頭殺処分の必要性を再三にわたり、繰り返し繰り返し大臣に要請をいたしました。しかしながら、赤松大臣はこれを拒み続け、自分自身の信念においてこれはできないとまで言い切ったのであります。ところが、方針転換により予防的全頭殺処分の実施を決めたのは五月十八日、これも一カ月おくれであります。
 対象地域はこの間に何十倍にも拡大して、三キロ圏内どころか十キロ圏、二十キロ圏じゃないですか。新たに二十万頭以上の殺処分が必要となったのであります。決断のおくれが被害の拡大を招き、事態収拾を決定的に困難にしたということをあなた方は認識すべきであります。
 申し上げましたように、ここまでの現地の声を受け、議論を通して、我々は対策法案をまとめて、今与野党の折衝を重ねております。公明党さんからも案を提示いただいて、おくればせながら民主党からも案を御提示いただいて、そして今、必死の調整の中で、我々の意見をほとんど取り入れてもいただいた。今、最後の段階であります。しかしながら、金目のところが、どこまで国が補償してくださるのか、その担保の部分がどうしてもとれない状況であります。
 どうか委員各位の御協力を切にお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○赤松国務大臣 一点だけ訂正させてもらいます。
 先ほど、メキシコからキューバへ十三時十五分に出て十六時五十分、これは正しいんですが、私は経由のような気がしてちょっと勘違いしましたが、直通で参りました。実際は一時間です。
○筒井委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 私も時間をいただきましたので、質問をさせていただきます。
 まず大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、外遊につきましては、それぞれお話がありました。大臣もそう嫌な顔をしないでお聞きください。外遊につきまして、私も昨日の本会議では、なぜ行かれたのか、なぜ途中で帰ってこられなかったのか、そして、八日に帰ってなぜその足で宮崎に行かれなかったのか、こういうお話をいたしました。
 特に、外遊中のことにつきましてはもうたびたび触れられておりますけれども、私は、大臣、どう百歩譲っても、この八日の日になぜ栃木に行かなきゃいけないのかと。何カ月も前に決まっていたということをきのうおっしゃっておりましたけれども、それはそうでしょう、いろいろな御予定を組んでやっていらっしゃる。しかし、国外から帰って、やはりその足で宮崎に行くべきではなかったか。
 これは、いろいろと手を打っているからいいんだというお話もきのうありました。海外は海外で御自分の仕事が、大事な仕事があった、それは大臣の御主張であるでしょう。しかし、姿として、日本に帰ってきて、行くところが違っていたんじゃないですかと私は率直に思います。これは私はどう考えても、大臣の政治判断の間違い、そこは欠席をしてでも宮崎に行くべきだった、こういうふうに思いますけれども、大臣、今振り返って、栃木に行ったことはよかったのか。名前は申し上げませんけれども、民主党の衆議院議員の、支援する会に行かれた、これは間違いであった、このように私は思いますけれども、いかがですか。
    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○赤松国務大臣 昨日、本会議で同様の御質問をいただいて、お答えをさせていただきました。これは変わりません。
○石田(祝)委員 私、再度大臣に御答弁をいただく、そういう思いで申し上げましたけれども、変わらないということであります。
 海外から八日にお帰りになって、一日置いて宮崎に行かれた。その前に宮崎に行かれるチャンスもあったし、栃木に行かずにお断りをすれば、当然だ、農林水産大臣としてここに来るより宮崎に行くべきだ、そういうお声の方が当然出てくると私は思うんですね。それを、私も今、再度御答弁をお願いいたしましたけれども、大臣の考えは変わらない、きのうの答弁と同じだ、こういうことでありますから、大臣としては、宮崎へ行くより栃木に行ったその行動については反省すべきところはない、こういうことでしょう。まことに残念なお答えでございます。
 きょうは山田副大臣にも来ていただいております。私がお聞きをしたいのは、現地の雰囲気、空気をある意味では一番御存じなのが山田副大臣だろう、これは私はそのとおり率直に思いますので、一つは、先ほども御質問があったかもしれませんが、現地からのお声で、種牛四十九頭の処分の問題について。
 これはいろいろな御意見があるでしょう。当然、法律上の問題もあるし、そういう中で、地元の方はこの処分について、いや、法律で決まっているからそのとおりだ、こういうことで現地の方々の御理解というのは十二分にあるんでしょうか。それをまずお聞きいたします。
○山田副大臣 家伝法に基づいてこの口蹄疫という恐ろしい病気を一刻も早く封じ込めて撲滅するためには、殺処分して埋却する、これしかない、そう言われております。そんな中で、いわゆる陽性になった牛あるいは家畜伝染病予防法に言う疑似患畜の牛、それについても即刻、直ちに殺処分して埋却しなさいとなっているものを、一々、それぞれ了解をもらうとかあるいは同意をとるとか、そういうことをやらなければいけないような話ではないと私は思っています。
 それは当然のことながら、いわゆる畜産農家であったら、そしてまた県としては当然のこと、それをわかって、その上で本当に口蹄疫の殺処分、埋却をばんばんやっていって、そして早く封じ込める、これが一番大事だ、私はそう思っております。
 今回、種牛四十九頭について、ぜひ残してほしいという声も随分聞いております。しかしながら、それは、本来ならばもっと早く、すぐにでも殺処分しなきゃいけなかったものを、当然殺処分しておるものだと思っておったものを、県みずからがまだ殺処分も埋却もしていなかった。その間、あるいはまだウイルスをまき散らしているかもしれない。その辺は、私は厳しく県にも申し上げました。
 それは何も、県民とか県の理解、同意を得なければならないことだとは私は思っておりません。法律に従ってきちんとやるべきことだと思っているところです。
○石田(祝)委員 副大臣のおっしゃることは、私ももっともだと思います。しかし、我々が政策を実行したり政治上の決断をするときに、やはり当該の方々に御理解いただくということも当然大事なんですね。ですから、すぱっと竹を割るようにいかないことで現地もお苦しみだろうと私は思うんですよ。
 私は、これがいいとか悪いとかではなくて、理解を得られているんですかと。ですから、現地の空気を今の段階で、多分この中の、おれが一番知っているという方がいらっしゃるのかもしれませんけれども、現在、現地の対策本部長として指揮をとられている副大臣が一番その空気を肌身で感じているんじゃないか、こういうことであえてお聞きをしたわけでございます。
 だから、いいとか悪いとか、法律にのっとっておるとかのっとっていないとか、そういうことを言っているんじゃなくて、皆さんは、これは種牛というわけですから、結局大事な牛なんでしょう。これが、今は、経過を見てくださいという話だったろうと思いますけれども、私は、現地の理解が得られているかということをお聞きしておりますので、法律上の問題等は抜きにして、その点だけお答えを再度お願いいたします。
○山田副大臣 現地が、理解を求められたという意味がよくわかりませんが、少なくとも、現地の、知事さんではございませんが、畜産の責任者、押川次長さんは、私が話した限りでは理解いただいたと思っております。
○石田(祝)委員 引き続いて山田副大臣にお伺いをいたしたいと思います。せっかくきょう来ていただいておりますから。
 現地の対策本部を十七日に設置されて、本部長になられてほとんど行かれている、こういうことだというふうに聞いておりますけれども、この現地対策本部で、副大臣が東京にも、極端に言えば、大臣にも相談せずに自分の権限でできることというのは、例えばどういうことがございますか。
○山田副大臣 現地対策本部といいましても、私にできることは、実際には、第一義的には、法律上の受任事務ですから、口蹄疫対策は県がやることですから、県に対してできるだけ、さっき言った殺処分、埋却等々を急いでもらうこと。そういった、各町を回りながら、なぜそれができないのか、どうしたらそれができるかということを東京の本部の方に、農水省では大臣に報告しながら、私としてそれなりに県とか各町に、こういうふうにしていただけませんかとお願いをして回っているというところでして、特別に法律的に、私にそれだけの、現地の対策本部長として権限があるわけではありません。あくまで連絡調整、助言、そういった形のものではないか、そう思っているところです。
○石田(祝)委員 引き続いて御質問をいたします。殺処分に伴う交付金の割合の件でありますけれども、疑似患畜は五分の四、手当金で出ると。これは、全額、五分の五、こういう形には現行法の家伝法でできますでしょうか。
○山田副大臣 現行法の家伝法では五分の四、そうなっていると思いますので、残りの五分の一については特別交付金で支払いさせていただく。合わせて五分の五、時価評価で全額お支払いさせていただくということで整理させていただいております。
○石田(祝)委員 そうすると、特別交付金という名前で、今、法律を改正もせずに、新法もつくらずにできるという趣旨ですか。
○山田副大臣 特別交付金は総務省の判断、予算措置でできるものだと思っています。
○石田(祝)委員 ちょっと教えていただきたいんですが、総務省が特別交付金という名前をつければお金が出せるということですか。ちょっと私は理解できませんが。
 もう一回ちょっと答弁してください。
○山田副大臣 特別交付金ではなく特別交付税ということだそうですが、税金の中から手当てするということだと思います。
 その意味で、総務省がどういう形で、例えばこれまでは、鳥インフルエンザの場合には八割であったり、五分の一の残り分、そうあったらしいんですが、今回は総務大臣も、五分の一全額を支給したい、そう申していますので、そこはどういう形でやるかは私は存じていませんが、支払うことは間違いないものと思っております。
○石田(祝)委員 総務省にも来ていただいていると思いますので、後ほどそのこともお聞きをいたしたいと思います。
 それで、私がちょっと疑問に思うのは、評価額とか時価評価とか、こういう言葉が飛び交っているわけですけれども、今回の五分の四の家伝法での手当金、これを、残りの五分の一を何とか工夫してお出ししよう、こういうお気持ちであろうと思います。そこで、五分の五はいいんですけれども、評価額の五分の五、こういうことになるわけですね。ですから、この評価額が結果的に低ければ、当然金額も、全額出ても低い。ですから、この評価額という言葉がいろいろと、それぞれ解釈が違ってきているんじゃないか。
 これは、ある人によると、評価額と言われて、はい、そうですかと思っていたんだけれども、自分の思っているのと全然違う。例えば、感染をしていない牛に今回ワクチンを打って、殺処分前提のワクチンだと。では、そういうところは生産費を出してほしいと。いわゆる粗利益というんですか、粗収益という金額での額じゃなくて生産費を補助してほしい、生産費のことだ、こういう主張をされる方もいるんですね。
 ですから、評価額というのは一体何だ、これについて余り詳しい議論がなされていないように思いますけれども、これは大臣、副大臣どちらでも結構であります、評価額とは一体何ですか。
○山田副大臣 評価額については、肥育の牛とか豚であれば、食肉の市場で、この牛だったらどれぐらいの価格が決まるかということは、ほぼ推測ができると思っています。子牛とか繁殖の牛であったら、家畜市場で、ほぼ、この牛だったらという取引価格の標準みたいなものがまず出てくるんじゃないか。それをもとにして、牛の月齢、血統、品種等々を適切に評価して、もちろん、肥育牛であったら素畜にどれだけかかったかということも参考にしながら、三人の評価員で決めさせていただくことになっていくかと思います。
 具体的には、やはり標準的な価格に対して客観的に評価してもらう評価員が、いろいろな要素を加味しながら、その価格に上乗せしたり、それより下げたり、そういう作業がなされていくものかと思っております。
○石田(祝)委員 副大臣、そういう御答弁ですけれども、現実に、ある一つの農場では、牛が一千頭を超えて殺処分されましたよね。私が四月に、ちょうど副大臣と一緒の便で宮崎に入りましたけれども、そのときに宮崎県の方からお聞きをすると、殺処分するときには全部評価を終わって埋却しているんだ、こういうお話をいただきました。私も、そうかなと思ったんですが、その前後に一千頭の殺処分をしなきゃいけないところが出てきている。これは三人の方が本当に全頭できるのかと。
 ですから、ここのところですね、確かに血統を見て、育ちを見てなんといって、実際そんなことができますか、副大臣。
○山田副大臣 当然、殺処分するときに、委員も御承知のとおり、今、牛はトレーサビリティーができております。一頭一頭について、その血統と生まれた年月日、どういうえさをやったかということもほぼ記録ができておりますから、まずそれが一つ参考になります。
 それと、これは殺処分するときに全部写真も撮っております。写真を撮り、それなりにある程度の評価ができるような形のものは残っていると聞いておりますので、それを今後、もちろん、飼養主等々の意向も聞きながら、その評価員で最終的な評価をさせていただくことになろうかと思います。
○石田(祝)委員 今、データもある、トレーサビリティーで血統等もわかっている、写真も残っている、こういうことですね。ということは、一頭一頭できる、こういうお答えだろうというふうに受けとめました。
 それで、質問通告にもお書きしておったんですけれども、大臣また副大臣、二十二年度から、今までのマル緊を一本にして、新マル緊、こういうことになりました。私は、これはぜひ御要望もしたいんですけれども、生産費と実際の販売価格、それを補うためにマル緊という仕組みをつくっているわけですが、今回殺処分された牛にも、生産費と収益の粗利益の差、これは当然そういう方々もマル緊の掛金を払っているんじゃないでしょうか。ですから、ここは、殺処分して手当金を出すからマル緊については何もないよと、これはちょっと不合理ではないのかという気がいたします。
 ですから、これはマル緊の対象にして、ぜひお金を出すべきだと私は思いますが、この点、いかがでしょうか。
○山田副大臣 マル緊の制度でというのは、御承知のとおり、私もよくわかっているつもりではいるんですが、今回の場合は、時価評価という形になっておりまして、いわゆる時価評価ですから、今回、五分の五の評価の中においてはそれで十分賄えている。そういう意味では、新マル緊の、今度の新しい制度の補てんの必要はないんじゃないか。
 そのかわり、マル緊分については、たしか口蹄疫が発生してからは、その免除をすぐにしているはずなんです。そう考えているところです。
○石田(祝)委員 山田副大臣のお答えでありますけれども、例えば、直近のデータということで私、いただきました。
 これは牛のデータでありますけれども、二十一年十月から十二月、肉専用種、交雑種、乳用種と、この三つに分かれていただきました。ちょっと肉専用種で申し上げますと、粗収益八十六万九千四百五十三円、生産費が九十九万六千二十二円、差額が十二万六千五百六十九円、補てん金単価十万一千二百円、こういうデータをいただいております。ですから、これは今の副大臣の御答弁だと、時価評価だからマル緊が発動する余地のない十二分なお金が行くんだと。
 そうすると、例えば、今、生産費が九十九万六千二十二円と申し上げました。では、これだけ平均して出るんですか。そこまで全部見てくれるんですか、生産費まで。そういうお答えのように聞こえましたけれども、これはいかがですか。
○山田副大臣 マル緊の価格は、その都度、四半期ごとに変わってきますから、そのときの、これからマル緊の四、五、六の分が出てくるかと思いますが、その価格と、では実際に時価評価との差額があるとして、素畜費とかあるいは飼料費等々について不公平感を生じるようであれば、それを考慮して、五分の五の評価に、いわゆる不公平感のないような形での処理を考えてみたいと思います。
○石田(祝)委員 申しわけありませんけれども、もうちょっと明確にお示しをいただきたいと思います。先ほどはそういうお答えじゃなかったように思いますが。
 私が申し上げたように、それでは、これは去年の十月から十二月のデータでありますけれども、直近のデータということでいただきましたから、そのとおり申し上げますが、今までのマル緊という仕組みは、生産費と粗収益の差、そこを生産者にも一部お金を負担していただいて、一対三で国と出して、それで、その差額の八割までを補てんしましょう、こういうシステムですよね。
 ですから、今回、その生産費に当たるところまで評価ができて、実際出していただければ当然いいわけですけれども、そうでないところはマル緊で補うべきではないですかと。本人たちも、これはこれから払う方もいると思いますし、今回、本人負担は要らないよ、こういうことになっているわけですけれども、当然、国負担分があるわけです。それは一対三で出しておりますから、その差額は当然、八割掛ける四分の三、国の負担分は少なくとも出すべきではないか。
 私はこのように思いますけれども、そこの点はいかがですか。
○山田副大臣 今、石田委員がおっしゃっているように、できればマル緊制度の決まってくる価格と実際の市場価格との差額、販売価格との差額があるとしたら、マル緊制度であればこれだけもらえるものを、今回の時価評価であればこれだけしかもらえなかったということもこれは不都合だと思うので、ぜひ考慮させていただきたいと思います。
○石田(祝)委員 では、確認いたしますけれども、これは十キロ内、また、十キロ―二十キロ関係なく、移動制限区域内、搬出制限区域内関係なく、副大臣は、今までのマル緊制度の本旨にかんがみて、そういう対応ができるようにしたい、こういうことでいいですか。ちょっと答弁してください。
○山田副大臣 そのとおり考えていただいていいと思います。
○石田(祝)委員 では、わかりました。ありがとうございました。
 それで、もう一点、埋却場所の確保についてお伺いをいたしたいと思います。
 やはりどうしても、埋却場所の確保に現地は大変な御苦労をされております。それで、埋却の実施状況、現在のところ、何頭中何頭まで終わったと、これは一番新しいデータで御答弁をお願いします。
○赤松国務大臣 きょうは、先ほども現地と連絡をとっていたんですが、今、例のワクチンがあったものですから、ちょっとそちらに集中をしておりまして、豚についてはワクチンは全部終わった、あと牛が何千頭か残っているということで、それはきょうじゅうにほぼ終わります。そうしますと、並行して埋却もやっていたんですが、こちらにちょっと重点を置いていたものですから四千頭ぐらいしかきのうはできなかったんですね。ですけれども、きょうは、かなりこっちへシフトしていますので、一万頭ぐらい埋却ができそうだというふうに現地からは聞いております。
 そうしますと、今まで埋却しなきゃいけないのに埋却できなかったのが約六万頭と言われておりますので、このペースでいけば、かなり速いペースで残の六万、一万やればあと五万ですけれども、それぐらいができるのではないかというふうで、こちらのワクチン部隊も全部、今度は埋却の方に移しますので、そういうことでピッチを上げていきたい、このように思っています。
○山田副大臣 大臣がかわりに答弁していただきましたが、正確な数を申し上げますと、きのうまでで、まだ埋却処理対象頭数が六万七千三百十二頭ございます。大臣がおっしゃいましたように、きのうで四千頭、約三千七百七十頭埋却しておりまして、ワクチンもほぼ終わりましたので、きょうから一気に埋却の頭数はふえるものだと思っています。
 梅雨がこれから本格的になる前に、何とか急がなければいけない。できれば二交代でやれないか。投光器も二十四基ほど用意しておりますし、これから拍車をかけて、何とか埋却用地も県の方も出していただいたようですし、急ぎたいと思っています。
○石田(祝)委員 私は、この埋却場所の確保については自前で構えられた方もいらっしゃると思います。しかし、だんだんと頭数もふえてくるとなかなかこれは難しい、こういう現状だと思います。このところは御本人の責任でというのが大前提かもしれませんが、もう事ここに至っては、埋却場所の確保は国、都道府県が責任を持ってやるべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○赤松国務大臣 二日前の時点で、県の方もやっと四カ所出していただけました。農業大学校、茶業の試験場、それから家保が二つ、四カ所出していただいて、そこにかなり埋めることができると思います。
 それからもう一つは、私どもの国有林も、それは掘って砂だとか水が出るというところもありますが、そうじゃないところもあるので、ぜひそれも使っていただきたいというふうに今お願いしています。
 それから、新田原の飛行場につきましては、北澤防衛大臣の積極的な御提示によりまして、ここも鳥インフルエンザのときにかなりの地域で埋めました。ただ、地域の人たちが、においとかいろいろなことで、ここならいいけれどもここじゃだめだと言われるようなところもあるものですから、そういう地域の皆さんの御同意がいただけるところを今、現地で、自衛隊、施設庁と言った方がいいかもしれませんが、それと町長さんで個々に当たっていただいておる。では、ここはどうですか、ここを使ってもらえませんかということで自衛隊の方で言っていただいているものですから、そこであとは町が御理解をいただければ、どんどんとそういうところにも埋めていきたいというふうに思っております。
○石田(祝)委員 これも質問通告ではお話ししておりましたが、現在のところ、埋却場所の確保の実態ということで、面積的には、県、国それぞれ、何ヘクタール今まで県は構えたよ、国は構えたよ、これは数字はわかりますか。
○赤松国務大臣 今の四カ所のうち、茶業試験場と農業大学校はいいんですが、僕は家保と聞いていたんですが、ちょっと私の勘違いで、畜産試験場二件だそうです。数は四カ所ということで変わりません。
○山田副大臣 確保された面積について正確な算出は困難だということなんですが、大体、埋蔵頭数、牛は一ヘクタールに約二千頭、豚ですと大体一ヘクタールに五千頭と言われているようです。それから推しますと、今確保されている面積は約二十六ヘクタールではないだろうか、そう考えています。
○石田(祝)委員 副大臣、ちょっとそれは話が逆ですよね。普通は、これだけの面積が確保されているから、これだけ埋却できますということなんでしょう。
 私は、今にわかに聞いたわけじゃなくて、紙で、要するに、国とか県がこれだけしっかり今面積も確保して取り組んでいますよと、それを数字で示した方がいいのではないか、こういうことで、もう事前に、実はきのう質問する予定でしたが、延びましたから、二日前にもうお渡ししているんですよ。それを、何か今のような御答弁だと、これは全然お聞きになっていない、調べていないんじゃないかと思わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
○山田副大臣 埋却地については、私はずっと現地、各町を回りながらやかましく言ってきたんですが、都農町では、個人の土地で確保できているという町長さんの話でございました。西都市においても、ワクチン接種分については新たな土地が必要だけれども、今発生する分は十分確保していると。
 それで、各町それぞれ、私も聞いて回りました限りにおいては、かなり、民間で確保している分、それだけで百五十八カ所、県有地で今四カ所、国有地も今、新田原基地等々をしておりまして、県有地のうち、例えば農業大学校だけでも百ヘクタールはあると言われておりますから、十分な埋却地は用意できる、そう考えているところです。
○石田(祝)委員 私は温厚な人間なんですよ。しかし、副大臣、私はにわかに聞いているんじゃないんですよ。おとといの時点でペーパーにして渡して、やはりこれはもう国とか県が前に出て確保しないと埋却が進まないから、どれだけやっているんですかと。県はどれだけ確保したんですか、国はどれだけの面積を確保したんですか、これをお聞きするということで、通知もとっくに紙でやっているんですよ。そんな、都農町で民間地が、町長がとか、そういうことを言わないでくださいよ。県とか国が頑張っている姿を数字で示した方がいいんじゃないか、こういうことを申し上げておるのに、何ですか、今の答弁は。
 だから、調べていないなら調べていないと言ってくださいよ。これは僕はおとといちゃんと質問通告していますよ。ちゃんと答えてください。
○山田副大臣 県立農業大学校は五・七ヘクタール、畜産試験場川南支場が四ヘクタール、それから総合農試茶業支場というんですか、茶業試験場とお聞きしておりましたが、これが〇・六ヘクタール、そういうふうに私のところには今報告が上がっておりますが。(石田(祝)委員「それは県でしょう。国はどうなんですか」と呼ぶ)
○赤松国務大臣 国が、国の関係の土地と言った方がいいかもしれませんが、所有するのは県有林と、それから自衛隊の基地のところが主なところでございます。
 基地については、防衛大臣から地図をもらいまして、かつて埋めたところ、もう三年以上たっていますから、そこを掘り返すことはできます。
 しかし、先ほど言ったように、住民の皆さん方のにおい等に対する反対運動も非常に強いところでございますので、そういう住民の皆さんの御理解を得られるところということで、今、当該の町長さんとそれから自衛隊の方で話しておりまして、面積はたくさんありますが、どの地点に埋めるのかというところをまだ調整中で、何ヘクタールとかいうことは出ていません。
 おととい時点で、僕のところに、一つまとまったのが一万坪ぐらいの土地があって、町の方はぜひここで埋めたいということです。ただ、それについては、ここは買い取りということになるものですから、これは騒音対策ということでもともと買おうというところなんですが、そういう詳細な詰めを防衛施設庁と今やっておられると聞いていますので、何坪とか何ヘクタールとかということが決まったというふうにはまだ聞いておりません。
○石田(祝)委員 結局、今、埋却が進まない。ですから、きょうはちょっと確認しておりませんけれども、先日の質問では、五月七日の疑似患畜がまだ埋却できていない、こういうお話でございました。
 それで、毎日、情報というんですか、きょうはこうでしたというお話を聞くんです。そうすると、一例からずっと二百例を超えていただきますけれども、埋却が終わったら、処分が終わったら、グレーで網かけになっていますよね。そこがなかなか最近は出てこなくて、大体白く、まだこれからだというところがあって、結局、埋却場所がないということでいろいろなことがおくれていっている。
 ですから、そこを県とか国にしっかりやっていただく、そしてそれを面積で示してほしい、こういうことを申し上げたわけです。新田原の横の、基地の面積というよりは、では一体そこでどれだけの面積が使えるのか、そうするとここでどれだけ埋却できる、こういうことですから、副大臣のおっしゃるように一ヘクタールで二千頭だから云々という話じゃないんですよ。どれだけの面積だということをしっかり押さえていただきたいと思います。
 これはこれ以上申し上げません。もう何回もやりとりしておりますから、もう結構です。(山田副大臣「一言」と呼ぶ)はい、では一言。
○山田副大臣 新田原の基地については、新富町がいわゆるリングワクチンを打った牛を集めて埋めたいという話を、私と自衛隊の基地の皆さんとさせていただいております。
 場所も、その面積もほぼ確定しておりまして、こちら東京の方に投げて、今、多分もう話が決まったかと思いますが、一たん町が土地を借り上げて、そして、一応それを、民間の土地もあるものですから、基地周辺整備の土地として国が将来買い上げる形で、いわゆる豚八千頭分でしたか、牛六千頭分の埋却地をそれで確保しようとしているところでして、これは戻りましたら早急に詰めてみたいと思っているところです。
○石田(祝)委員 実は、宮崎の方から私も教えていただいたんですけれども、市とか町が独自で埋却場所を見つけてきたというときに、例えば、そういう農用地、これは国が買い上げるということですね。ですから、今お金はなくても将来必ず買うよ、こういうことの費用の全額負担をしてやらないと進まないんじゃないか、こういうふうに思います。
 今、一生懸命土地をお探しになっていらっしゃるのはよくわかるんですが、地元は地元で、それぞれの人間関係とかで、どうもあそこはいけそうだとか、あそこは今だれも耕している人がいないだとか、いろいろな情報を地元の人が持っていると思うんです。そこを市とか町が探してきた場合、これはどうしても最後はお金の話になりますから、それはもう国が責任を持って買うよ、当面買っておいてくれ、後でちゃんと手当てするよ、こういうことをすべきではないかと私は思いますが、この点はいかがですか。
○山田副大臣 それを現地でも何回も話し合ってまいりまして、国とも話させていただきました。その中で決まったのは、県の農業公社、そこが町が探してきた土地を買い上げる、その資金については基盤特別会計から、国から出しましょう、一刻も早く町の方もそうして埋却地を見つけてくださいという話で詰めておりますので、適当な土地を町が探してくれば、それは県の農業公社が買い、その金は国の基盤特別会計でお支払いする、そういうシステムはでき上がっております。
○石田(祝)委員 それでは、どんどん、そういうアナウンスが伝われば、こういう土地がある、ああいう土地がある、こういうことで前を向いて転がっていくのではないか、こういうふうに私は思います。
 それで、きょうは、総務省、小川政務官、よろしいですか。
 これは特別交付税でやるということがいろいろな対策のときに発表されております。私は、特別交付税でやるということそのものについてはちょっと違うのではないか、こういうふうに思っておりますから、今、新しい法律の中では、予備費から出すべきである、私どもはこういう主張をいたしておりますが、それはおいておきまして、例えば特別交付税ということをずっと政府が発表されておりますから、ちょっと確認をいたしたいと思います。
 まず、口蹄疫の対策に特別交付税は現時点で使えますか。
    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○小川大臣政務官 特別交付税につきましては、さまざまな自治体の需要を前提にその財政支援を行うというものでございまして、口蹄疫対策そのものが現在、省令の中に全部で五百項目ぐらい細目がございます、その中に直接書き込まれてはおりません。
○石田(祝)委員 ということは、大臣、特別交付税でやるということを発表されていますよね、これは将来にわたる決意表明ということですか。現時点では特交でできないと言っていますよ。
○小川大臣政務官 恐れ入ります。
 法制的に今省令にはないわけですけれども、既に政府として、全額を前提に、特にその五分の一の部分でありますが、特別交付税措置を行うという方針を明確にしているわけでございまして、十二月がその交付の予定時期でございます、それまでに省令改正を行うという決意でございます。
○石田(祝)委員 これは、総務省が、五百何項目ある中に口蹄疫対策は特別交付税の対象にする、こういう柱を立てられるということですね。ですから、特交の時期に間に合わせてやりましょう、こういうことだということですね。
 そうすると、小川政務官、特交というのは早く出せとか、すぐ出せとかいうことはできるんですか。
○小川大臣政務官 特別交付税そのものにつきましては、あくまでこれは宮崎県に対する、自治体に対する支援でございまして、農家との関係で申し上げますと、既に宮崎県が対策費用として予算計上を行う予定のように聞いております。二十八日から始まる県議会で御審議をいただくということでございます。
 これに対する後押しとなるのがこの特別交付税でございまして、法律で交付時期が十二月ないし三月と決まっているわけでございまして、原則的にはこれに応じた対応をとっていくということになります。
○石田(祝)委員 ですから、これはぜひ御検討いただきたいんですが、どういう形でこれから出されるようになるか。これからの新法、新しい特別措置法、私たちも今提案をして、精力的に話し合いをしておりますけれども、例えば特別交付税の分でほかの、今回の牛とか豚の直接殺処分のものに対する時価評価とか、そういう形の、五分の一ですね、五分の五から五分の四を引いた分、これは何らかの形でやられるかもしれませんし、そのほか周辺の対策でやられるかもしれませんが、そうすると、十二月までこれは待たなくちゃいけないということですね。
 例えば、宮崎はもう四月からそういういろいろな対策をやって、私も、お邪魔したときに、県の担当者から、これはもう議会のお許しを得て専決でやっていると。ですから、開かずに専決処分でやっているわけですね。宮崎県がお金があるかないかというのは私もよくわかりませんけれども、そんなに余っているところじゃないだろうと思うんです。そうすると、十二月の特交まで待てるのか。これは、その間、例えば普通交付税の前倒しをするとか、そういう対策をとってあげるべきではないか、こういうふうに私は思います。これは提案でもありお願いでもありますが、いかがですか。
○小川大臣政務官 大変重要な御指摘をいただいておるものと考えております。
 財政的な支援はもとよりでありますが、各自治体の個別の資金繰り、これにも十分な配慮をする必要があろうかと思います。
 そこでなんですけれども、交付税そのものにつきましては、大きくは普通交付税が九四%、特別交付税が六%であります。その大半の九四%について、四月、六月、九月、十一月ということで交付の時期が定まっております、それぞれ四分の一ずつ。
 ということは、当面の資金繰りですが、六月の二日に宮崎県向けに四百五十億の交付が予定されておりまして、これらも含めて対応を検討させていただきたいと思います。もちろん、要請があれば、御指摘のような前倒しも含めて十分検討してまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 それでは、ちょっとこれは大臣にお聞きをしたいんですけれども、今小川政務官からのお話があったように、普通交付税が九四%、特別交付税は六%と。大体一兆円ぐらいでしょうか、これは五百数十項目の柱があって、それぞれが特別交付税の対象になるよと。しかし、最終的に交付税として来るわけですから、このことに対してこうですよというのはないわけですね。
 例えば、五百項目すべてにおいて、自分たちはこういう要望を出しているんだけれども、お金が来ました、しかし、今回の例えば口蹄疫の問題で消毒の薬を買いましたと、これは特交で応援してあげようじゃないかといっても、それに対して幾ら来ているのかというのは実際わからないわけですね。
 それともう一点。済みません、これはまず先に政務官にお伺いをいたしたいんですが、口蹄疫対策という柱を立てて、十一月に省令改正をされるというふうにお聞きもいたしましたが、この特別交付税の額というのはふえるんですか。
○小川大臣政務官 よく御存じの上でのお尋ねかと思いますが、交付税の総額は、今年度で申し上げますと十六兆九千億円ということでございまして、そのうちの六%、一兆百三十億円が特別交付税ということでございます。これをその年度の特殊事情に応じて分配をするということでございまして、これにより、総額そのものがふえるものではございません。
○石田(祝)委員 これは大臣にお伺いいたします。
 毎日、私も、どんどん件数がふえるたびに、ああ、きょうもまだとまっていないか、こういう思いをしているんですが、今、特別交付税というふうに大臣も御発表になっていらっしゃいますけれども、そうすると、それにお金が現時点でも間違いなく何十億はかかるでしょう、五分の一の負担というところだけとっても。そうすると、全体の総額がふえない中で、口蹄疫が新しく特別交付税の対象になりましたよ、そこにどんどんどんどんお金がかかりますよと。
 現時点では宮崎県にこれは行きますよね。そうすると、総額がふえない中で、宮崎の方に厚く行っているねと。それは、みんなは応援してあげたいという気持ちも当然あるし、ほかの四十六都道府県、東京は違うかもしれませんけれども、では、宮崎対四十六、四十五という、我々からいったら嫌な話なんですけれども、お金の世界の中で対立みたいなことになってしまわないか。
 これは大臣、どうですか。
○赤松国務大臣 まず、少し整理してお話ししたいと思いますが、五分の一については、きょう午前中の参議院の本会議でも、原口大臣の方から、五分の一については特別交付税で措置をします、皆さん方、そうはいったって、実際に来たら少ない場合だってあるんじゃないかみたいな御心配があるといけないので、これは十二月にきちっと、この分ですよとわかる形で渡したいというお話が本会議場で答弁の中でございました。
 それを踏まえた上で、今の委員の御質問でございますけれども、特交でやるという場合は、今言われたように、決められた特別交付税分があって、その中でそれを使っていくわけですから、当然、そこへ使えばほかに行くべきものが減っていくということで、やはり他の都道府県に理解をしてもらえるような支出の仕方、中身じゃないといけない。当然のことですが、何でもかんでもすべてそこからというわけにはいかないということで、今回の場合は、こうした国民的な課題ですから、御理解をいただけるというのが、私は原口総務大臣のお考えではないかというふうに思っております。
 あとのものは、通常言われている私どもの予備費からの支出ということで、他の多くのものはそこから支出をしていくわけでございますので、たまたま、さっきの五分の四、五分の一のところについては、畜産共済に入っていない人もいるんだから、この人たちをどうするんだというところから実は話が出て、最終的には、その特交での処理ということが一番理屈もきちっと立つし、一番いいということで、そういう処理をさせていただいたということでございます。
○石田(祝)委員 これは、先ほど申し上げましたように、私たちも、現行の家畜伝染病予防法ではできないところがどうしてもあるので、新しい特別措置法をつくって対応すべきだと。ですから、そこのところを、総額が決まっているところに無理やり入れないで、小川政務官も前回ここで、御答弁のときに、これは激甚災害だということをおっしゃったように記憶をいたしておりますけれども、私はこれは予備費から別途明確にお出しになった方がいいと。そこでお金の手当てをして、この部分については、まさしく緊急的な、また、政務官もおっしゃったような、私もそう思いますけれども、一種の激甚災害、激甚的な災害である、こういう位置づけで予備費からお金を出す。これはどなたも反対される方はいないと思いますよ。
 そういう方がすっきりと明確になって、予備費から今回はやった、こういう一対一の関係にした方が、五百数十項目あるうちの一項目ではっきりさせるという、原口大臣が明確にするんだ、明確にわかるようにしますとおっしゃったということを今大臣に御紹介いただきましたけれども、それよりは予備費で出した方がいいのではないか、こういう提案を私は持っておりますけれども、大臣、いま一度御答弁をお願いします。
○赤松国務大臣 これは多分、財政法上の支出の問題やら、いろいろなことがあると思います。私どもにとって一番肝心なのは、要は、そうした被害を受けられた、今苦しんでおられる畜産農家の皆さんにとって、ちゃんと一〇〇%、五分の五、きちっとした額が時価評価に応じて出るんだということが重要なのです。
 あとは、必ずそれは出しますということを、鳩山本部長のもと、鳩山総理のもとでお約束をさせていただいて、そして、細目についてどういう処理をするかについては、これは農水省だけが勝手に決めるというわけに正直言っていきませんので、総務省、財務省と協議をして、少なくとも、畜産農家には御迷惑は絶対にかけない、全額きちっと出すということだけはこの場でお約束できると思います。
○石田(祝)委員 これで最後の質問にしたいんですが、今各党で協議をいたしております。家畜伝染病予防法では対応できないところを新法でと思っておりますけれども、この特別措置法、新法の必要性についての大臣の認識を最後にお伺いいたしたい。
○赤松国務大臣 これは与野党間で協議をされているということで、その協議の最中で、まだ結論はどうなったかも聞いていませんので、そういう段階で、ここは必要だ、ここは必要じゃないとかいうのはいささか問題があるんじゃないかと思います。
 しっかりと委員の皆さん方が、今の制度、法律の中ではここが足りないんだ、ここを補強しなきゃだめなんだということを議論していただくことは大変ありがたいことだと思っておりますし、その中身が合意のもとにもし出されるということであれば、それは決して否定するものでもない。むしろ、私どもがそれでよりやりやすくなれば、歓迎すべきことだというふうに思っております。
○石田(祝)委員 もうこれで終わりますけれども、本当にこの口蹄疫の問題は、私も何度か申し上げているように、与党野党を超えて、これはしっかりと、ある意味でいえば、この農林水産委員会に所属する委員の私たちに課せられた重大な使命だ。こういう思いで取り組みをいたしたいと思いますので、どうぞ、農林水産省、大臣、副大臣、政務官、特に財務省に負けないで頑張っていただきたい、このことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○筒井委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後七時四十分開議
○筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、口蹄疫対策特別措置法案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。
 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして、御説明申し上げます。
 本年四月、宮崎県において口蹄疫の発生が確認されて以来、関係者の懸命の努力にもかかわらず、感染の拡大が続いております。発生農家や周辺地域の農家の経済的、精神的負担ははかり知れず、地域経済にも重大な影響が及んでおり、宮崎県のみならず我が国の畜産の崩壊にもつながりかねない事態となっております。
 今回の口蹄疫は、その感染力の強さにより爆発的に感染が拡大しており、現地では、殺処分、埋却処理が追いつかない状況となっております。このため、政府は殺処分を前提としたワクチン接種という緊急措置を実施せざるを得ない状況に追い込まれております。
 こうした危機的状況を踏まえ、平成二十二年四月以降に発生が確認された口蹄疫に起因する事態に対処するため、口蹄疫の蔓延を防止するとともに、口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担、生産者の経営や生活の再建支援等の特別措置を講じようとするものであります。
 以下、その主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内において、消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、その使用する車両その他の物品を消毒しなければならないこととしております。
 第二に、都道府県知事は、口蹄疫の蔓延を防止するためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内において都道府県知事が指定する家畜を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができることとし、所有者が当該勧告に従わないとき等において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができることとしております。
 第三に、都道府県知事は、勧告に従ってその所有する家畜をみずから殺したため損失を受けた所有者に対し、その生産に要する費用その他の通常生ずべき損失として政令で定める損失を補てんしなければならないこととし、国は、都道府県知事がその損失の補てんを実施するために要する費用の全部または一部を負担することとしております。
 第四に、農林水産大臣が都道府県知事の申請に基づいて指定する地域内に存する死体の所有者が、当該死体を焼却または埋却することが困難なため、家畜防疫員に対し、これらの死体の焼却または埋却を求めた場合には、家畜防疫員は、当該求めのあった死体を焼却または埋却するものとするほか、国は、埋却の用に供する土地の確保、埋却のために必要な作業に従事する者の派遣その他の必要な措置を講ずることとしております。
 第五に、国は、口蹄疫の蔓延により経営及び生活が不安定になっている家畜の生産者、関連事業者等の経営の安定及びその生活の安定を図るため、事業再建等に必要な資金の無利子の貸し付け、施設または設備の整備等に要する費用の助成その他の必要な措置を講ずることとするとともに、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずることとしております。
 この法律は、公布の日から施行するものとし、平成二十四年三月三十一日までの時限立法としているところであります。それまでの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及び蔓延の防止のあり方等について検討を行い、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
    ―――――――――――――
 口蹄疫対策特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○筒井委員長 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。農林水産大臣赤松広隆君。
○赤松国務大臣 本法案の提出に際して、議員各位の御努力と御熱意に対し、心から深く敬意を表するものでございます。
 政府といたしましては、宮崎県における口蹄疫蔓延の状況にかんがみ、本法案に異存はございません。
 御可決いただきました暁には、その御趣旨を踏まえて、適切な運用に努め、口蹄疫の蔓延防止と生産者等の経営及び生活の再建等になお一層の努力をしていく所存でございます。
○筒井委員長 お諮りいたします。
 口蹄疫対策特別措置法案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○筒井委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。
 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○筒井委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時五十八分散会

第174回国会 議院運営委員会 第24号 平成二十二年五月二十六日(水曜日)   午前九時四十分開会
    ─────────────
○本会議における国務大臣の報告及びこれに対する質疑に関する件
○本日の本会議の議事に関する件
    ─────────────
○委員長(西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。
 まず、本会議における国務大臣の報告及びこれに対する質疑に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、本日の本会議において、「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について赤松農林水産大臣から報告を聴取するとともに、これに対し、民主党・新緑風会・国民新・日本一人十分、自由民主党一人十五分及び公明党一人十分の質疑を順次行うことに意見が一致いたしました。
 理事会申合せのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(西岡武夫君) 次に、本日の本会議の議事に関する件を議題といたします。
 事務総長の説明を求めます。
○事務総長(小幡幹雄君) 御説明申し上げます。
 本日の議事は、最初に、日程第一 国務大臣の報告に関する件(「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について)でございます。赤松農林水産大臣から報告があり、これに対し、外山斎君、松下新平君、渡辺孝男君の順に質疑を行います。
 次に、日程第二について、経済産業委員長が報告された後、採決いたします。
 次に、日程第三について、国土交通委員長が報告された後、採決いたします。
 次に、日程第四について、文教科学委員長が報告された後、採決いたします。
 次に、日程第五について、厚生労働委員長が報告された後、採決いたします。
 なお、本日の議案の採決は、いずれも押しボタン式投票をもって行います。
 以上をもちまして本日の議事を終了いたします。その所要時間は約一時間三十五分の見込みでございます。
 なお、開会に先立ちまして、本院の招待により来日されましたラオス人民民主共和国国民議会議長御一行を議長が紹介されますので、その際は一同御起立の上、歓迎の拍手をお願いいたします。
○委員長(西岡武夫君) ただいまの事務総長説明のとおり本日の本会議の議事を進めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、予鈴は午前九時五十五分、本鈴は午前十時でございます。
 暫時休憩いたします。
   午前九時四十三分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕

第174回国会 本会議 第24号 平成二十二年五月二十六日(水曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十四号  平成二十二年五月二十六日   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について)
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(「宮崎県で発生した口蹄疫」に関する報告について)
 農林水産大臣から発言を求められております。発言を許します。赤松農林水産大臣。

○国務大臣(赤松広隆君) 宮崎県で発生した口蹄疫に関して御報告いたします。
 初めに、口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げます。また、口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで昼夜を問わず防疫対応に当たっておられる方々には、心から敬意を表します。
 宮崎県において、四月二十日以降、二百九例の口蹄疫の発生を確認いたしております。農林水産省は、第一例の発生を四月二十日未明に確認したため、同日九時に私が本部長である口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、政府と宮崎県とが一丸となって、感染拡大の防止を第一に、殺処分等の防疫措置や発生農家及び関係農家の経営再開、維持のための対策を実施してまいりました。
 五月十七日には、内閣に内閣総理大臣を本部長とし、内閣官房長官及び私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、拡大しつつある口蹄疫についての対策を更に強化し、政府として総力を挙げて取り組んでおります。
 また、山田農林水産副大臣を本部長とし、各府省の責任者から成る現地対策本部を設置し、地元の要望等を受け止める体制を整備するとともに、迅速かつ的確な国との連絡調整に努めているところであります。
 口蹄疫は、牛豚等の病気であり、人に感染することはありません。また、感染した牛豚の肉や牛乳を摂取しても人体に影響はありません。このことを国民の皆様にお知らせし、冷静な対応をお願いしているところでございます。
 防疫措置の実施状況について御説明いたします。
 これまでのところ、九十二例については殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、百十七例については防疫措置を実施中でございます。
 専門家から成る牛豚等疾病小委員会では、今回の発生は十年前に確認された発生と比べ、臨床症状が強く出ること、伝播力が強いという特徴があると考えられるとしております。また、同小委員会において、川南町を中心とした多発地帯については、殺処分及び移動制限による方法のみでは蔓延防止が困難であり、排出されるウイルス量を抑制するためのワクチンの使用について検討すべき時期にあるとされたことを踏まえ、各生産者の皆様や関係市町村、関係団体の皆様の御理解を得て、五月二十二日より、移動制限区域内のすべての牛豚等を対象に、殺処分を前提としたワクチン接種を開始しました。五月二十五日の時点で、ワクチン接種対象の約九五%に当たる約十二万頭への接種を終えたところです。
 こうした防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行っております。具体的には、発生農場やワクチン接種農場、消毒ポイント等に農林水産省や都道府県等から獣医師等を派遣しており、本日までに延べ七千三百二十人を派遣しています。五月一日からは、宮崎県知事の派遣要請を受け、自衛隊が埋却場所の掘削や埋却等の防疫作業に従事し、本日までに延べ三千九百七十人が派遣されています。また、警察の管区機動隊の特別派遣により、消毒ポイントにおける警戒等防疫作業に対する支援活動を強化しています。さらに、埋却地の円滑な確保に向けて、埋却地の確保に必要な借地料に対する支援や、国有林のほか他府省が所管する国有地の活用に向けた調整を行っております。
 感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる現地調査や、発生農場に関する情報の収集、分析、ウイルスの解析を実施しております。五月二日には、今回のウイルスが香港、韓国と近縁のものであることを確認しました。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
 宮崎県並びに隣接県である大分県、熊本県及び鹿児島県全域において、全額国庫負担により消毒薬を配布し、散布を行っているほか、一般車両も含めて消毒を行うポイントを増加させているところです。本病の蔓延防止のためには、各農家等における消毒や衛生管理が極めて重要であることから、各農家等における散布の徹底をお願いをしています。
 また、全国の牛豚等の飼養農場に対し緊急調査を実施しております。これまでのところ、宮崎県以外に口蹄疫の発生は確認されておりませんが、引き続き、各都道府県を通じ、全国の農場に早期発見、早期通報の徹底を指導してまいります。
 なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止等が行われることがないよう、適切な対応を求めております。
 各地方農政局、地方農政事務所等の約一千七百名の食品表示Gメンの職員が、五月二十五日時点で一万三千七百九十八店舗の小売店を巡回し、宮崎県産の牛肉は使用していませんなど消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された六店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
 次に、発生農家の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明します。
 まず、発生農場の経営を維持するため、殺処分した疑似患畜に対し、家畜伝染病予防法に基づき交付する手当金について、昭和二十六年の法施行以来初めて、大幅に簡素化された申請書類による概算払を実施しています。申請書類が届き次第、ちゅうちょなく迅速に各農家の皆様に交付してまいります。また、同法に基づくいわゆる五分の四の手当金に加えて、家畜評価額との差額五分の一を県が負担した場合に、家畜共済の加入者を含め、全額特別交付税で措置することとしたところであります。
 これに加えて、四月二十三日に関連対策を発表し、また、その後の発生事例の増加及び発生地域の拡大に伴い、同三十日には追加的な対策を講じたほか、これまでの状況や現場の御意見等を踏まえ、五月二十一日に更に対策の拡充、見直しを行うことといたしました。
 具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大したほか、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄各県の子牛・子豚出荷農家もその対象とし、融資枠も二十億円から百億円に拡大しております。
 家畜を出荷できない搬出制限区域内における畜産農家については、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金を免除するほか、滞留する子豚の淘汰や出荷適期を超えた肉豚の出荷に対し助成金を交付するとともに、九州、沖縄各県において肉用子牛生産者補給金における飼養開始月齢の要件や肉用牛肥育経営安定特別対策事業における登録月齢の要件を緩和することとしています。
 このほか、出荷できない肉用子牛を農協等が離農跡地を利用して肥育することに対する補助など、諸般の対策を行うこととしております。
 農林水産省としては、引き続き、今回の発生を我が国畜産業の危機と考え、口蹄疫の蔓延防止を最重要課題と位置付け、関係府省の御協力をいただきながら、政府と宮崎県とが一丸となって防疫措置を的確に実施してまいります。
 また、口蹄疫に関する国民への正確な情報提供を徹底し、冷静に対処したいと考えており、国民の皆様には御協力をお願いをいたします。
 さらに、地域経済への影響を最小限とするよう経営支援対策の円滑な実施に全力で取り組んでまいります。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
○議長(江田五月君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。外山斎君。

○外山斎君 民主党・新緑風会・国民新・日本の外山斎です。ただいま議題となりました口蹄疫問題に関しまして、会派を代表して質問をさせていただきます。
 まず、質問に先立ち、今回、私の選挙区である宮崎県において、口蹄疫の発生により被害に遭われた農家を始め、多くの畜産関係者並びに地域で生活する皆様方に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 四月二十日に口蹄疫の第一例目が宮崎県都農町で確認されてから一か月以上がたちました。その間、国には様々な対策を打ち出していただいておりますが、被害はとどまるどころか、むしろ拡大をしております。被害件数は、今日現在で二百九例、殺処分対象は約十四万八千頭となっております。宮崎県を始めとする南九州は日本の畜産の基地であります。この口蹄疫問題は日本の畜産の危機であり、我が国の危機であります。
 まず、与野党の国会議員の皆様にお願いがあります。どうかこの問題を政争の具に使わないでいただきたい。また、政局にしないでいただきたい。今、我々がやらなければならないことは、この国家の危機に、日本の畜産の危機に、我々国会議員が一丸となって見えない敵である口蹄疫に対峙していくことであり、苦しまれている農家の皆様に希望を与えることであります。それを現場の方々も多くの国民の皆様も望んでいるわけであります。宮崎県民の一人としてお願いを申し上げます。
 そこで、鳩山総理にお尋ねいたします。
 十七日に総理を本部長とした政府の口蹄疫対策本部が開催され、基本的対処方針が決定されました。その方針では、今回の発生地域は畜産への依存度が極めて高い地域であることを踏まえ、発生農場や移動制限の影響を受ける農家の生活支援、経営再建・維持のための対策に万全を期すると明記をしていただいております。
 総理御自身が指示を出されたとおり、平成二十二年度予算の予備費の中から十分な予算を確保して、農家や地域の皆様に生活支援や経営再建の不安がないように政府が責任を持って対策を進めていくという明確なメッセージを出していただくことが一番大事なわけであります。一千億円の予備費を充てるという報道もありますが、総理、いま一度、生活支援、経営再建などに必要な予算については国が責任を持って確保することをお約束していただきたいと思います。総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、特例措置に関して質問をさせていただきます。
 宮崎県家畜改良事業団が飼育していた種牛の農場で肥育牛から口蹄疫が確認されたことにより、種牛を含めた殺処分の方針が決まりました。しかしながら、種雄牛という特殊性から、宮崎県の東国原知事からも、四十九頭の種牛を何とか残してくれないかという声があります。
 確かに、家伝法に従えば直ちに殺処分をしなければなりません。しかしながら、次の日本の畜産を背負うエースになる可能性も高いわけであり、今残る五頭と四十九頭は、宮崎県、そして日本の畜産にとって残された希望なのです。国の考えとしては、仮に感染しているとウイルスを拡散させることになり問題が大きいとのことでありますが、今現在、発症は確認されておりません。どうか政治判断で、日本の畜産を守るために、宮崎の畜産を守るために、四十九頭の種雄牛を特例として経過観察措置へと方針の見直しをお願いしたいと思いますが、総理の御判断をお聞かせください。
 次に、これまでの政府の対応についてお伺いいたします。
 政府は、一例目が発生した四月二十日、直ちに農林水産省内に赤松農林水産大臣を本部長とする口蹄疫対策本部を立ち上げ、防疫措置に全力を挙げる方針を確認しました。つまり、初動対応はしっかりなされたのであります。しかし、その後、発生の拡大を見る中で、新たな一手を打ち出すわけでもなく、当初の防疫措置を徹底するだけでした。専門家で構成する牛豚等疾病小委員会も、必ずしも現地の事情に精通していないこともあり、パンデミックを想定した戦略的対応策を打ち出した形跡はありません。
 農林水産省は、これまで専門家の意見を聞いた上で対応策を検討するという姿勢に終始してきましたが、そうした待ちの姿勢が今回の蔓延を許したと言われても仕方がないのではないでしょうか。専門家のお墨付きを得てからでなければ対策が進められないというのであれば、爆発的に広がるウイルスを抑え込むには後手後手の対応となってしまいます。現地の要望に耳を傾け、もっと早く現地対策本部を設けるべきだったのではないでしょうか。
 今回の教訓を糧に、専門家の意見と現地の詳しい状況とを照らし合わせ、迅速かつ柔軟に判断する体制を整備することが極めて重要だと考えますが、鳩山総理と赤松農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、消毒の徹底についてお伺いをいたします。
 発生農場の消毒については、法で義務付けられ、消毒方法も法令で規定されておりますが、制限区域や幹線道路を通行する車両、人の靴底等に対する消毒は詳しくは書かれておりません。そのため、消毒ポイントを多数設置しても消毒方法がまちまちであり、一般車両の消毒に至っては任意で協力をしていただいている状況です。これでは、せっかく制限区域を指定しても、ウイルスの拡散を防ぐことはできないのではないでしょうか。
 発生農場以外の消毒についても、法令あるいは防疫指針の中で詳しく定めておくべきだと考えますが、赤松農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。
 また、慢性的な人手不足に直面している現地からは、知事の要請で出動している自衛隊員にも、埋却処分だけではなく、消毒ポイントでの消毒作業等幅広くかつ臨機応変に対応してほしいとの要望があります。大規模災害とも考えられる口蹄疫被害であり、ワクチン接種後は更なる防疫の強化が必要になるわけでありますから、自衛隊員の出動と作業についてはもっと弾力的に判断できるようにすることが必要だと考えますが、鳩山総理の御所見をお伺いいたします。
 最後に、今回の口蹄疫が一日も早く終息して、宮崎県が元の平和な畜産県の姿を取り戻し、全国の農家や消費者に安心、安全を宣言できるよう、関係省庁一体となって事態に対処していただきますよう強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 外山議員にお答えをいたします。
 まず、農家の生活支援、経営再建の十分な施策の実行についてのお尋ねでございます。
 私を本部長とする口蹄疫の対策本部において、政府の総力を挙げて対策に取り組んでいるところでございますが、発生農家の皆様方に対しましては、手当金を迅速に概算払をいたしまして、時価評価の確定後に精算をするということなどによって補償に万全を期してまいりたいと思いますが、さらに、飼育コストへの支援やあるいは経営再開までの間の支援策を講ずるなど、農家の方々の生活支援、経営再建に全力を尽くしてまいりたいと思っております。予算について申し上げれば、予備費の活用も視野に当然入れさせていただいて、必要な額を国が責任を持って確保いたします。
 四十九頭の種雄牛の取扱いについてのお尋ねでございます。
 確かに四十九頭の種雄牛については、同じ敷地内で口蹄疫が発生したことから、家畜伝染病予防法上、感染の疑いのある牛として殺処分することが必要だと私ども政府としては認識をしております。種雄牛は県の貴重な畜産資源であると承知をしておりますが、多くの農家の皆様方に殺処分が前提となるワクチン接種に御協力をいただいている中で、他の農場における防疫措置を円滑に実施するためには、防疫対応を行っている地域の家畜を特別扱いすることは残念ながら適当ではないと考えております。ただ、政府としては、宮崎県の畜産復興に向けて、国が保有しております宮崎牛の種雄牛の提供など、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、専門家の意見と現地の状況を踏まえた迅速かつ柔軟に判断する体制の整備についてのお尋ねでございますが、農林水産省としては、四月二十日の発生確認直後、直ちに口蹄疫防疫対策本部を開催をし、あらかじめ定められた防疫指針に基づいて、専門家の科学的見地からの意見を伺いながら、殺処分や消毒などの防疫対応を迅速かつ的確に実施をしてまいったところでございますが、残念ながら口蹄疫の拡大に歯止めが掛からなかったということでございまして、政府としての一連の取組や対策を更に徹底をする、総力を挙げて対策に取り組むため、五月十七日に政府の対策本部を設置をして、その下に現地対策本部を設置をする等万全の態勢をしかなければならないといたしたところでございます。引き続きまして、現地対策本部において現地の皆様方の御要望を十分に受け止めさせていただきながら、専門家の皆様方の御意見も踏まえながら、迅速かつ柔軟に判断をしてまいりたいと思っておりまして、外山議員にも是非御協力を願いたいと存じます。
 自衛隊の災害派遣についてのお尋ねでございます。
 自衛隊は、五月一日、宮崎県知事からの要請を受けて、これまでに延べ約四千名の隊員の皆さんが、厳しい環境の中、埋却の作業だけではなくて、消毒ポイントでの消毒など幅広い活動に柔軟に既に対応いたしているところでございまして、今後とも、自衛隊の活動については、宮崎県と現地対策本部との間で密に連携を取らせていただいて、適切に実施をしてまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 外山議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、判断体制の整備についてのお尋ねでありますが、口蹄疫は、家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定するとともに、特に重要な疾病として同法に基づき疾病指針を策定し、防疫に備えていたところでございます。
 今回の対応については、発生確認後直ちに防疫専門家を現地に派遣し、防疫指針に基づく防疫措置に加えて、疾病の発生状況を踏まえた消毒を徹底すべきとの専門家の意見、また人員の増派等地元の要望等を十分に受け止め、その対応について細かく実施をしてまいりました。
 五月十七日には、政府総力を挙げて口蹄疫の感染防止に取り組むため、内閣に総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。また、山田副大臣を本部長とする現地対策本部を設置し、総理補佐官及び各省担当責任者が常駐し、地元との連絡体制を強化いたしました。
 専門家からのワクチン使用を検討すべき時期との意見を踏まえ、現在、十キロメートル圏内のすべての牛、豚を対象にワクチン接種を実施しているところでございます。昨日現在で、豚については全頭のワクチン接種が終了いたしました。牛については若干残っているという状況で、全体としては九五%を超える実施率ということで、何とか今日中にはほとんどの牛、豚のワクチン接種が終了するのではないかというふうに思っております。
 農林水産省といたしましては、引き続き、専門家による科学的な御助言を踏まえた的確な防疫措置を実施するとともに、現地の方々からの要望を十分受け止め、一日も早く口蹄疫の清浄化が成し遂げられるよう全力を尽くしてまいる所存でございます。
 次に、消毒の徹底についてのお尋ねでありますが、今般の宮崎県における口蹄疫の感染拡大を防止するため、移動制限区域等を設定するとともに、家畜伝染病予防法による防疫指針に基づき消毒の徹底に努めているところです。
 まず、発生農場付近については、畜産関係者の農場への出入り時の消毒、ウイルスに汚染するおそれのあるすべてのものに十分な消毒を行い、加えて、移動制限区域の出入りによる感染を防止するため、消毒ポイントを移動制限区域の境界部分を中心に百六十か所余り設置し、そのうち八十か所では一般車両も対象とした消毒を実施しているところでございます。これら消毒を通じた防疫措置が円滑に進むよう、全額国費による消毒薬散布の決定、消毒ポイントへの人的派遣、延べ一千百七十六名等を実施しております。
 政府、宮崎県が一体となり、引き続き全力を尽くし、口蹄疫対策に万全を期していく決意でございますので、議員のまた御協力、御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○松下新平君 イギリスで二〇〇一年に口蹄疫が猛威を振るいました。その被害は、感染施設数二千三十、殺処分された家畜は六百万頭を超え、損害額は日本円で一兆円にも達しました。終息の後、翌年、この事例を分析した調査報告書には次のように記されています。政府の危機管理の失敗と、初動の対応の遅れやワクチン接種を見送ったことが挙げられています。
 議場の皆さん、国民の皆さん、このイギリスでの教訓を心に留めてお聞きいただきますようにお願い申し上げます。
 自由民主党を代表して、ただいま報告のありました宮崎県で発生した口蹄疫に関し、質問いたします。
 手塩に掛けて育ててきた家族同然の家畜を何の落ち度もないのに処分させられた農家の皆さん、今日は大丈夫か、今日は大丈夫かとおびえながら必死の防疫を取られている農家の皆さん、この間、この時間も必死に殺処分や埋却、消毒など一連の作業に従事されている方々など、関係すべての皆さんのお顔を思い浮かべながら、農家出身の一人としてもただしてまいります。なお、答弁が不明確、不十分である場合には、再質問、再々質問を行う考えがあることをあらかじめ申し上げます。
 我が国でも、十年前に宮崎、北海道で口蹄疫が発生いたしました。実に、前回発生から九十二年を経ての発生でした。宮崎、北海道で起きているのではない、日本で起きているんだ、これは当時の自由民主党総合農政調査会最高顧問の江藤隆美先生が関係者に呼びかけられた言葉です。
 九十二年たってですから、だれも経験がないわけです。現場は経験がない中でしたが、必死の防疫で協力しました。私も地元の県議会議員として対処しておりましたので、鮮明に覚えております。まさにこの言葉どおりに、日本全体の防疫の観点から、政治のリーダーシップによって、発生直後、即座に予備費を含め百三十億を確保し、様々な施策を次々に打ち出し、最小限にとどめることに成功したのでございます。OIEは、この早期の終息に世界に例を見ないと絶賛し、我が国の獣医学、家畜衛生は高い評価をいただいたのでございます。もちろん、今回の発生ケースと様々な状況の違いはございますが、肝心なのは、リーダーの認識、心構えが重要だということです。
 家畜伝染病への対処は、イギリスの教訓のとおり、時間との勝負です。初動が決定的に重要であり、最悪のケースを想定して行うのが危機管理のイロハでございます。当時、江藤隆美先生も宮崎の選出ということで奮闘したこともあったでしょうが、それよりも増して、大所高所から日本の防疫の認識、重要性による取組が功を奏したのだと考えます。これは宮崎、北海道で起きているのではない、日本で起きているんだ、この認識を改めて共有したいと思います。
 そこで、昨日、非常に看過できない閣僚の発言がありましたので、まず最初に防疫対策の本部長として鳩山総理の答弁を求めます。
 その発言とは、中井洽国家公安委員長の昨日の閣議後の会見での発言です。口蹄疫が広がっているこの問題に関して、隔離したエース級種牛六頭のうち一頭が感染の疑いで殺処分されたことについて、中井大臣は、信じられないような隔離の仕方、同じトラックで運ぶとか、同じ牛舎に入れていたとかと述べたとされています。宮崎県の東国原英夫知事がエース級以外の種牛四十九頭の延命を求めたことについては、中井大臣は、六頭の隔離のやり方を失敗したから、残りを何とかというのはちょっと違うと批判されましたと報道しました。
 これは全くお門違いです。そもそも、初動がきちんとされていれば、このような事態にならなかったのです。本末転倒です。鳩山総理を本部長とする防疫対策本部が設置され、中井大臣はこのメンバーでもあり、このメンバーの発言ですから看過できません。
 さらに、会見では、米軍普天間飛行場の移設問題に関連し、社民党の福島みずほ党首の言動について質問された際、福島党首が宮崎の御出身と述べた上で、宮崎の人というのは口蹄疫の対策でも頑固なところがあるから、赤松さんも苦労していると発言したと報道されました。
 私は耳を疑いました。今、苦しい、厳しい宮崎県、宮崎県民の置かれている状況に何と卑劣な発言でしょうか。もちろん、宮崎出身だから悔しいといった次元ではなくて、対策本部のメンバーである大臣として全くなっておりません。そのような認識で危機管理ができますか。それが生活第一を掲げる政党ですか。一事が万事です。中井大臣のこの発言に対して、防疫対策本部長として、鳩山総理、即刻罷免してください。
 四月二十日の疑似患畜確認から今日で一か月と六日になります。既に関係者の体力、気力共に限界に達する中、更に大量の未患畜の牛、豚までも手に掛けなければならない、このことがどんなにつらいことか、総理、分かりますか。また、関係者の皆様が今後の生活にどんな不安を感じておられるか想像できますか。
 殺処分された牛や豚について、個別の家畜の価格に見合った時価評価方式で全額補償することなどが宮崎県と合意されています。しかし、これは最低限の補償であります。鳩山総理、農家を始めとする感染地域の方々は、この瞬間も口蹄疫と闘っておられ、毎日が不安でなりません。感染を一刻も早く止めると同時に、現在の合意から一歩も後退することなく万全の補償を実施されることをこの場でお約束願います。
 さらに、地元の試算を勘案しますと、現状復帰には一千億円、一千五百億円を超える予算が必要と言われております。総理は、昨日の衆議院本会議で古川代議士の質問に対して、やり過ぎたと言われるほどやりますと答弁されました。有り難いことです。それでは、具体的にやり過ぎだと言われるほどとは補償にどれぐらいの予算が必要と考えるのか、併せてお答えください。総理、沖縄普天間基地の移設先が座礁してしまったように、努力したけれども、頑張ったけれどもできませんでは話になりませんよ。
 今回の発生に当たって、こんなにも感染が拡大し三十万頭以上の殺処分に及んでしまったのはなぜでしょうか。それは、政府の危機意識が余りに低く、初動が遅れ、感染封じ込めに失敗したことにほかなりません。標榜する政治主導が泣きます。政務三役がかえって足かせになりました。山火事で例えれば、火が蔓延してから消防団が出動するようなものです。私の五月十三日の参院農林水産委員会での質問に対して、赤松大臣は、口蹄疫自体の報告を受けたのは第一例目確認の前日の四月十九日とおっしゃいました。あれだけ韓国などで猛威を振るっていたにもかかわらず、遅過ぎます。
 自民党政権下での対応を紹介しましたが、私どもは、当時の経験を生かし、発生後直ちに党内に対策本部を立ち上げました。そして、発生翌日には我が党の宮腰農林部会長と地元議員が、四月二十八日には本部長である谷垣総裁も現地入りし、農家の方々の声を直接伺った上で、計三回にわたり政府に具体策を申し入れてきました。感染拡大防止のため防疫対策を徹底すること、このようなきめ細かい要求をいたしました。
 しかし、その時点で、鳩山総理、赤松大臣に危機意識は全く希薄でした。特に赤松大臣は、我が党が、先ほど申し上げましたように、谷垣総裁の視察結果を踏まえ、万全の対策を申し入れたまさにその日、外遊に出かけました。四月三十日から五月八日まで、メキシコ、キューバ、コロンビアへ外遊に出かけました。赤松大臣はよく農林水産委員会の答弁で、今ごろでは駄目だ、私に前もってなぜ言わなかったのかとおっしゃいますが、我々は、この非常事態に大臣が国を離れる場合ではないと外遊の取りやめを前もって要請しておりました。それを振り切っての外遊でした。
 畜産農家の皆さんが苦しんでいる真っただ中、九日間にもわたって外遊に出かけられた目的は何でしょうか、そして成果はどのようなものでしょうか。農水省はEPAに関するものと説明されていますが、訪問先の一つであるメキシコとは二〇〇五年に既にEPAが発効済みであります。口蹄疫発生の最中、どうしても行かなくてはならなかったんでしょうか。赤松大臣、被災された畜産農家の皆さんが納得する答弁をしてください。
 また、鳩山総理は、赤松大臣が口蹄疫対策より優先された外遊は適切な対応だったと考えておられるのですか。いかがですか。また、先ほど、赤松大臣が今回の口蹄疫の説明を受けたのが発生確認の前日ということを余りにも遅過ぎると指摘しましたが、鳩山総理自身がこの口蹄疫について認識されたのはいつの時点ですか。併せてお答えください。
 我が党は、蔓延する状況に苦渋の政治判断をすべきと、五月六日に一定エリア内における全頭殺処分、これを要請しておりました。しかし、当初、政府は拒否しました。そして、発生から一か月たってようやく方向転換をしました。初動段階で迅速に対策を打ち出していれば、被害の拡大防止だけでなく、財政支出も抑えられたはずであります。明らかに政治判断のミスです。鳩山総理、今回の口蹄疫の大量感染は、政府の認識の甘さ、危機に対する感覚の鈍さが引き起こした人災ですよ。正直な考えをお聞かせください。
 最後に、今後の対応について、鳩山総理、原口総務大臣にお伺いいたします。
 自民党は昨日、家畜の全頭処分や埋却を国の責任とし、被災農家への手当金や処分費用を国の全額負担とする口蹄疫対策緊急措置法案を衆議院に提出いたしました。家畜伝染病予防法は昭和二十六年の制定であり、現代のグローバル化、経営の大規模化には対応できません。地域再生支援のために基金を創設し、地域の実態に即した対策を柔軟に行えるようにすることが急務であります。政府・与党の皆さんには積極的に協議に応じていただき、一刻も早く感染を食い止め、殺処分した畜産農家への補償を法的に裏付けして、関係者を安心させていただきたいと思います。鳩山総理、我が党の提案に対して、待ったなしの状況にどう対応されますか。明確にお答えください。
 原口総務大臣には、昨日の衆議院本会議で古川代議士の質問に対して、現行法でやることはすべてやる、現行法にないものは枠を超えてやると勇ましく答弁されました。それでは、具体的にお伺いします。何をしてくださいますか。財源の心配はありませんか。明確な御答弁を求めます。
 このような状況下でありますが、涙の出るような有り難い話もありました。宮崎県にふるさと納税制度に基づく寄附の申出や義援金が全国から多数寄せられていることです。全国各地から励ましの声も元気が出ます。本当に皆様方の善意が身にしみます。宮崎県民の一人として、心から厚く厚く御礼を申し上げます。
 十年前の口蹄疫も原因の特定には至りませんでした。原因が特定できないということは、不可抗力、天災と同じです。ある日突然、通常の生活が壊れてしまうのです。皆さん、これまで日本各地で幾度となく被災した地震や豪雨災害と同じではないでしょうか。今後、日本のどこで発生するか分かりません。日本の防疫の課題としてとらえることが重要です。
 冒頭にイギリスでの二〇〇一年の報告書を紹介しましたが、イギリスでは、六年後に再び発生したときにはこの教訓が見事生かされ、約一か月間で終息することに成功したそうです。二十一世紀は人類とウイルスとの闘いの世紀になると予測する学者もいます。我々は謙虚に、そして周到に備えておかなければなりません。
 私たち自由民主党は、これからも現場に足を運び、皆様たちの声を真摯にお聞きし、解決策を見出していくことをお約束します。そして、今回の口蹄疫の一刻も早い事態の終息を祈り、畜産王国宮崎の復活を誓い合いながら、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 松下議員にお答えをいたします。
 まず、中井大臣の発言についてのお尋ねでございます。
 四十九頭の種雄牛につきまして、同じ敷地内で口蹄疫が発生したことから、家畜伝染病予防法上、感染の疑いのある牛として殺処分することが必要でございます。種雄牛は県の貴重な畜産資源であると承知をしておりますけれども、多くの農家の皆様方に殺処分が前提となるワクチン接種に御協力をいただいている中で、他の農場における防疫措置を円滑に実施するためには、防疫対応を行っている地域の家畜を特別扱いすることは適当ではないと考えております。その意味で、中井大臣の口蹄疫に関する発言は誤解を招く表現があったかもしれないと思っておりますが、このような緊迫した状況の中で、口蹄疫の蔓延防止への大臣の強い思いから発したものだと受け止めております。
 農家への万全の補償についての質問でございますが、農家の皆様方にとって、大切に育ててこられた豚や牛に心ならずも殺処分を前提にワクチンを打つことや飼育途上の豚や牛を早期に出荷せざるを得なくなることは、言葉には表せないつらい話であると私も理解をいたします。政府として、一日でも早く口蹄疫の清浄化を成し遂げるとともに、農家への時価評価での補償やワクチン接種から殺処分までの間の飼育コストの補てんなど、農家の皆様方の補償に万全を期してまいることをお約束をいたします。
 補償に係る予算についての御質問でありますが、殺処分を余儀なくされた農家の方に対しては、時価による評価で補償を行うほか、生活支援あるいは経営再建支援など万全の対応を講ずることといたしております。これらの措置を着実に実施、実行してまいるために、予備費の活用も視野に入れて必要な財源を確保いたします。
 農林水産大臣の海外出張についてのお尋ねでありますが、赤松農水大臣は、四月三十日から五月八日までの間、メキシコなどを訪問いたし、EPAの再協議や水産資源管理の協力など当面の懸案事項について意見交換を行ったと承知をしております。この間も赤松大臣は、連日、本国の農水省と連絡を取りながら口蹄疫についての指揮を執り、例えば政府といたしましても、自衛隊の派遣など適切な措置を講じていたものだと、そのように理解をいたしているところでございます。
 口蹄疫を認識した時期でございますが、農林水産省から、四月二十日未明の発生確認直後に速やかに報告を受けております。
 政府の危機管理についてのお尋ねでございますが、口蹄疫の発生は危機管理上重大な課題であると認識をしております。したがいまして、四月二十日の発生確認直後、防疫措置の実施など迅速に対応し、現在は口蹄疫対策本部において総力を挙げて対策に取り組んでいるところでございまして、断固たる決意を持って口蹄疫の撲滅を図ることによってその責任を果たしてまいりたいと考えております。
 自民党提出の口蹄疫対策緊急措置法案についてのお尋ねでございますが、現在、一刻も早く終息をさせるために、殺処分などの防疫措置の実施や農家への補償、さらには経営再建支援など、前例にとらわれることなく内閣の総力を懸けて取り組んでいるところでございます。なお、この立法措置に関しましては、強制殺処分などについてその必要性を認識しているところでございます。現在、各党でも議員立法が検討され提出をされていると伺っております。したがいまして、政府としても、各党とも連携を取りながらしっかりと対応してまいりたいと、そのことを申し上げておきます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣赤松広隆君登壇、拍手〕
○国務大臣(赤松広隆君) 松下議員の御質問にお答えいたします。
 私につきましては、海外出張についてのお尋ねでございました。
 私は、今総理も申し上げましたように、四月三十日から五月の八日までの間、メキシコ、キューバ及びコロンビアを訪問し、懸案の外交事案について対処してまいりました。
 メキシコでは、昨年四月以降、EPAの五年後ということで再協議を行っております。本年二月、三月と先方のマジョルガ農牧大臣が来日して、私との交渉を行ってまいりました。双方の立場は接近しつつありますが、今回私が訪問して交渉することで、鉱工業品も含めて協議全体が詰めの段階に入ったと認識をいたしております。
 キューバでは、私は、悪化する食料事情に対処して、水産、米等の技術協力につき要望を受けるとともに、両国間で懸案となっている債権問題について、カストロ議長等へ解決の道筋を付けるよう強く促してまいりました。その結果、おとといでございますけれども、民間長期債務の半額がキューバから日本に振り込まれました。そして、中央銀行副総裁、それから国立銀行副総裁も私の強い進言によって二十四日から日本に来て、今、日本のこうした公的及び民間債務の交渉が始まったところでございます。
 コロンビアからは、かねてからEPA交渉開始の要請がありましたが、直接ウリベ大統領等に会い、農業のセンシティビティーが確保されなければならない旨を交渉の前提として申し上げてまいりました。
 このほか、各国との間で、ワシントン条約締約国会議、CITES、捕鯨、WTO、APEC、生物多様性条約などに関し、当面する懸案事項について意見交換を行ってまいりました。
 なお、この間も私は、連日、本国の農水省と連絡を取りながら口蹄疫についての指揮を行ってきたところでございます。(拍手)
○国務大臣(原口一博君) 松下議員から口蹄疫対策の今後の対応についてお尋ねがございました。
 口蹄疫の発生は危機管理上重大な問題であり、防疫対策が迅速に実施されるよう、まずは現行法の枠組みの中でできる限りの対応をする必要があると判断し、殺処分した家畜の五分の一の農家負担分について宮崎県が肩代わりをする場合には、今回の特例措置として全額を特別交付税で措置することとしたものでございます。今までは五割の措置でございました。これを十割の措置にする。しかも、特別交付税は込みで来ますから、どの部分が口蹄疫対策か分からないという宮崎県の、あるいは市町村からの御要望を受けて十二月に交付をすると、こういうことを決定したところでございます。
 また、現行法の枠を超えた対応について、地方財政を所管する大臣として、地元自治体の意見も十分にお聞きした上で、今議員がお話しになりました指定区域内の家畜の殺処分あるいは埋却あるいは疑似患畜等の処分、こういったものについても地方の負担が予想をされます。そういう負担に、地元自治体にこたえるべく、十分にお聞きした上で関係省庁に対して法的な対応も含めて検討を求めるなど、適切に対処してまいります。(拍手)
    ─────────────
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。ただいま議題となりました宮崎県で発生した口蹄疫に関する報告に対して、公明党を代表して、鳩山総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 本題に入ります前に、口蹄疫の発生農家及び経済的並びに心身共に様々な影響を被っている方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い清浄化と生活の再建をお祈り申し上げます。また、昼夜を分かたず防疫対応に当たっておられる方々に心より敬意を表します。
 それでは、本題に入ります。
 口蹄疫はウイルス性の伝染病で伝染力が強く、一度侵入すると大流行を起こすため、各国が防疫対策に力を注いでいます。
 日本でも二〇〇〇年に約九十年ぶりに宮崎県と北海道で発生しましたが、そのときは牛のみの感染で七百四十頭の処分を行い、三か月で終息しました。
 今回、十年ぶりに四月二十日に宮崎県で口蹄疫が確認されたわけでありますが、既に昨年より東アジア各地で口蹄疫の感染が確認されており、本年一月二日には韓国でも発生したことから、農林水産省は一月七日と四月九日に都道府県に対し注意喚起を通知していました。しかし、残念ながら、今回は二〇〇〇年と比較にならないほどの大規模発生となってしまいました。
 そこで、まず赤松農林水産大臣に、二回の注意喚起通知発信時の口蹄疫国内発生の危機認識について伺います。また、赤松農林水産大臣から鳩山総理に、口蹄疫国内発生の危険性について、いつごろどのように報告をしていたのか、伺います。あわせて、一月七日の注意喚起通知後に政府としてどのような具体的な対策を行ったのか、赤松農林水産大臣に伺います。
 公明党は、口蹄疫疑似患畜が宮崎県内で相次いで確認されたことを重視し、四月二十三日に、公明党宮崎県本部が東国原宮崎県知事に対して、一層万全な蔓延防止のための防疫措置の実施、畜産農家等に対する経営安定化のための総合的な対策を求める申入れを行いました。また、四月二十九日には、東順治副代表を本部長とする公明党口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、同日、現地調査を行いました。
 現地では、県内外からの応援も得て、連休返上で消毒や殺処分、埋却などの作業に必死に取り組んでいる一方で、赤松農林水産大臣は一度も現地に入ることなく、四月三十日から五月八日までメキシコ、キューバ、コロンビアへと海外出張に出かけてしまいました。その間は、福島国務大臣が農林水産大臣臨時代理を務めることになりました。
 そこで、赤松農林水産大臣に伺います。
 口蹄疫は拡大の一途をたどっておりましたが、外遊中、農林水産省防疫担当者あるいは宮崎県知事と口蹄疫対策についてどのような情報交換をし対応を省庁に指示していたのか、お答えください。
 次に、宮崎県出身の福島国務大臣に伺います。
 臨時代理の職責にある間、どの程度の頻度で口蹄疫の情報を受け、どのような蔓延防止対策に取り組まれていたのか、また、現地調査の必要性についてどのように考えておられたのか、お答えください。
 また、平野官房長官に伺います。
 防疫体制強化や関係農家等の支援のためには、道路や空港などでの消毒の徹底や埋却地の確保、自衛隊の応援、関係畜産農家への金融・財政支援といった関係省庁との連携が重要となります。関係府省の局長級会議の開催が四月三十日と遅れたのは何ゆえなのか、お答えください。
 次に、鳩山総理に伺います。
 赤松農林水産大臣の外遊など担当大臣の危機意識の欠如、関係省庁連絡会議の開催の遅れ、また、全閣僚による政府対策本部の発足が五月十七日になり、口蹄疫発生から一か月後と遅きに失したこと等に対してどのように責任を感じておられるのか伺います。
 さて、公明党の口蹄疫防疫対策本部と農林水産部会は、これまでの現地調査や関係畜産農家などの要望を踏まえ、五月十二日に平野官房長官並びに赤松農林水産大臣に対して口蹄疫防疫に関する提言を行いました。その主要項目である、一、殺処分された家畜に対する一〇〇%の補償、二、殺処分された家畜の埋却場所の確保、三、処分までの期間に掛かる費用負担の軽減、四、殺処分・埋却費用などを全額国庫負担とすること、五、出荷停止などで収入が途絶える農家に対する一時金支給、六、畜産経営再建支援及びウイルスの国内侵入ルート並びに蔓延原因の解明と抜本的な予防策の検討について、赤松農林水産大臣にその後の対応を伺います。
 さらに、防疫対策や畜産農家等の支援などで公明党は一千億円規模の措置を求めていましたが、この点について鳩山総理の実施に向けての決意を伺います。
 また、これらの対策を迅速に行うためには特別措置法の制定を急ぐ必要があります。公明党は、一、殺処分された家畜等に対する全額補償、二、所有者に代わる国や県などによる埋却の推進、三、地域内を移動する人や車両等の消毒義務付け、四、非感染牛の予防的殺処分とその補償などの内容を盛り込んだ法案を五月二十五日に参議院に提出しました。この口蹄疫対策特別措置法案についての鳩山総理の所見を伺います。また、政府として、緊急対応のための新法案提出や家畜伝染病予防法の改正などを検討しているのか否かについて鳩山総理に伺います。
 次に、赤松農林水産大臣に伺います。
 殺処分予定であるが未感染のまま生き延びられる可能性のある種雄牛を守るための特例的措置を行うこと、及び新たな種雄牛の育成に対する支援策について、並びに不足している家畜の疾病予防や食肉検査に当たる公務員獣医師確保対策についてお答えください。
 最後に一言、鳩山総理に申し上げます。
 為政者に対する戒めとして先憂後楽という中国の格言があります。今回の口蹄疫の蔓延防止対策に見られた初動の遅れと後手後手の対応は、為政者として心得るべき先憂の危機管理が鳩山内閣には欠けていることを如実に示しています。
 鳩山総理におかれましては、民の憂い募りて国滅ぶというもう一つの中国の故事に思いを致し、そのような結果を招くことがないよう、国民の憂いを敏感に感じ取り、リーダーシップを発揮して課題解決を図っていただきたい。もし、担当大臣がその任に堪えざると判断したならば、あるいは自らがその任に堪えざると自覚されたならば、国民の憂いが更に増大することがないよう、迅速、的確な行動を取られますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 渡辺議員にお答えいたします。
 政府の対応とその責任についてのお尋ねでございます。
 農林水産省としては、四月二十日未明の発生確認直後、直ちに赤松大臣を本部長とする口蹄疫対策本部を開催し、殺処分や消毒などの防疫措置の的確な実施を指示したところでございます。なお、四月二十八日以降、関係省庁の連絡会議を開催をして対応もいたしております。また、農林水産大臣、五月の連休の海外出張中にも、毎日の状況報告を受けて、政府として、例えば自衛隊の派遣などを行う対応をしていたということでございます。
 さらに、対策を徹底をしていくために、五月十七日に口蹄疫対策本部を設置をし、消毒の徹底、さらには現地対策本部の設置などの基本的方針を決めたところでございます。対策本部の方針に基づいて、断固たる決意で口蹄疫の撲滅を図っていかなければなりませんし、その責めを果たしてまいりたいと存じます。
 防疫対策や畜産農家等の支援についてのお尋ねでございます。
 政府としては、感染拡大のための防疫対策はもちろんでありますが、大きな打撃を受けられた農家の経営再開に向けての様々な支援や自治体への財政支援など、これも総力を挙げて対策に取り組んでまいりたいと存じております。
 公明党提出の特別措置法についてのお尋ねでございます。
 現在、一刻も早く終息させてまいるために、前例にとらわれることなく内閣の総力を挙げて取り組んでいるところでありますが、公明党さんが今四つの観点から御主張されましたが、具体的に私ども政府が考えております措置は、まず一番目に、家畜の評価額と手当金の差額を県が措置をした場合における全額の特別交付税の措置、二番目として、埋却地を確保するための国有地などの使用の調整や埋却地を自ら確保した生産者への財政の支援、三番目として、一般車両を対象にした約八十か所を含む約百六十か所の消毒ポイントに対する人的支援及び財政支援、さらに四番目として、殺処分を前提としたワクチン接種及び経営再開支援を実施をしているところでございます。
 したがいまして、御提案の法案につきましては、国会で御議論いただくべきものではございますけれども、そこに盛り込んでおられる内容は既に政府で実施済みのものも多いというふうに理解をいたしているところでもございます。
 なお、新法の提出及び家畜伝染病予防法の改正についてのお尋ねでございます。
 口蹄疫の発生は危機管理上重大な課題であるとの認識の下、口蹄疫対策本部において総力を挙げて取り組んでいるところでありますが、一刻も早く終息をさせるために、断固たる決意を持って臨まなければなりません。立法措置についてでございますが、強制の殺処分などについてはやはり立法措置が必要であろうか、そのようにも認識しております。したがいまして、現在、各党で議論をしていただいておりまして、議員立法も既に提案もされているというところでもございますが、政府として連携を取りながら対応してまいりたいと考えておるところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣に答弁させます。(拍手)
○国務大臣(赤松広隆君) 渡辺議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、口蹄疫国内発生の危機意識についてのお尋ねでありますが、農林水産省は、口蹄疫の国内発生を未然に防止するため、各都道府県に対し近隣諸国での口蹄疫の発生に関する情報提供を行ってきたところでございます。特に、台湾や韓国での発生の確認を受け、昨年二月十九日、本年一月七日及び四月九日には、都道府県に対し早期警戒や衛生管理の徹底などの防疫措置に万全を期すよう再三にわたり要請をしてまいりました。
 また、我が国への口蹄疫ウイルスの侵入を防止するため、本年一月七日付けで、韓国からの豚肉等の輸入手続を停止するとともに、口蹄疫発生国からの入国者の靴底や車両の消毒などの水際対策を改めて徹底してきたところでございます。このように、近年の我が国周辺地域における口蹄疫の発生に対し危機意識を持って対処してきたところでございます。
 次に、鳩山総理への報告についてのお尋ねでございますが、農林水産省では、四月二十日の未明の口蹄疫発生確認後、直ちに私を本部長とする口蹄疫防疫対策本部を開催し、移動制限や殺処分等の防疫措置の的確な実施を指示いたしました。総理へは、口蹄疫の発生確認直後、官邸及び内閣官房を通じ速やかに報告し、その後も随時状況を報告いたしておるところです。
 総理からは、五月一日、自衛隊の宮崎県への災害派遣の御指示をいただくとともに、五月十七日には、政府総力を挙げて口蹄疫の感染拡大防止に取り組むため、内閣に総理大臣を本部長、官房長官と私を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置いたしました。
 引き続き、本部長である総理の指揮の下で、口蹄疫の拡大防止のため、関係省庁と一体となって総力を挙げて対策に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、一月七日以降の政府の口蹄疫対策についてのお尋ねでありますが、本年一月の注意喚起通知は、韓国において数年ぶりに口蹄疫が発生したことを受けて発出したものであり、各都道府県に対し、早期警戒や衛生管理の徹底などの防疫措置に万全を期すよう要請いたしました。
 具体的な対応としては、我が国への口蹄疫ウイルスの侵入を防止するため、同日付けで韓国からの豚肉等の輸入手続を停止するとともに、口蹄疫発生国からの入国者の靴底や車両の消毒などの水際対策を改めて徹底したところです。
 さらに、四月九日には、韓国における新たな発生が確認されたことから、改めて都道府県に注意喚起の通知を発出をいたしました。
 次に、外遊中の対応についてのお尋ねでございますが、私の海外出張に先立ち、口蹄疫対策について、発生状況に応じたシミュレーションなどの事前検討を行い、政務三役が認識を共有いたしました。その上で、出張している間には、出張先において口蹄疫の新たな発生や防疫措置の実施状況について毎日報告を受け、指示をいたしたところでございます。私が出張している間は、政務二役が交代で在京し、宮崎県とも連携して迅速な対応を取れる体制を整え、私も口蹄疫の新たな発生や防疫措置の実施状況についてその都度報告を受け、必要な指示をしていたところです。
 次に、公明党の口蹄疫防疫に関する提言についてのお尋ねでありますが、口蹄疫については家畜伝染病予防法において法定伝染病に指定するとともに、特に重要な疾病として同法に基づき防疫指針を策定し、防疫に備えてきたところでございます。今回の対応については、防疫指針に基づく防疫措置に加えて、疾病の発生状況を踏まえた専門家の意見、また地元の要望等を十分に受け止め、きめ細かく実施してまいりました。
 具体的には、疑似患畜については手当金を概算払で速やかに支払うとともに、家畜の評価額と手当金の差額五分の一について県が措置した場合、全額特別交付税を措置、蔓延を防止するための殺処分を前提としたワクチン接種及び経営再開支援等、適時適切に前例にとらわれない対応を行ってきたと認識をいたしております。農林水産省としては、引き続き専門家による科学的な御助言を踏まえた的確な防疫措置を実施するとともに、現地の方々からの要望を十分に受け止め、一日も早く口蹄疫の清浄化が成し遂げられるよう全力を尽くしてまいる所存でございます。
 最後に、種雄牛保護等と公務員獣医師確保対策についてのお尋ねでございます。
 種雄牛につきましては、御承知のとおり、法に従って宮崎県が疑似患畜としたものでございます。また、法律には疑似患畜としたものはできるだけ早く殺処分をしなければならないというふうに書いてあるわけでございまして、種雄牛が県の貴重な畜産資源であると承知はいたしておりますけれども、こうした法の原則があるということを是非御理解をいただきたいと思います。
 しかしながら、多くの農家の皆様に殺処分が前提となるワクチン接種に御協力をいただいている中で、防疫措置を円滑に実施するためには、防疫措置の基本を遵守することが重要であり、特別扱いすることは適当ではないと考えております。
 新たな種雄牛の育成支援策については、宮崎県の方針も伺いながら、現在、独立行政法人であります家畜改良センターが持っております宮崎県の種雄牛を始めとした遺伝資源を宮崎県に提供するなど、最大限支援をしていきたいと思っておるところでございます。
 今般の宮崎県における口蹄疫の防疫対応については、各都道府県から派遣された獣医師の方々に多大なる御協力をいただいていると承知をしております。こうした公務員獣医師や産業労働獣医師については、獣医系大学の学生に対する修学資金の給付等の対策を通じて、その確保に取り組む方針でございます。
 以上です。(拍手)
○国務大臣(福島みずほ君) 口蹄疫の被害に遭われているすべての皆さんに心からお見舞いを申し上げます。また、現在、現場で献身的に取り組んでいる皆さんに心から敬意を表します。
 農林水産大臣臨時代理として、口蹄疫の新たな発生や防疫措置の実施状況について、その都度報告を受けていました。四月二十九日に宮崎に入られた山田副大臣からは、その後、発生状況やそれらへの対応策、また畜産農家への経営支援等の関連対策の説明を受け、しっかり対応するよう指示をいたしました。
 七日の閣僚懇談会では、関係各省と連携し、防疫措置を的確に実施すること、国民への正確な情報提供を徹底し、いわゆる風評被害が広がらないよう冷静に対処することなどについて、農林水産大臣臨時代理としてお願いをいたしました。また、同日、東国原知事と埋却地の確保や人員支援、生活支援、経営支援について意見を交換し、要望を伺いました。
 その後、消費者担当大臣として十六日、宮崎県を訪れ、知事と更に意見交換を行いました。また、川南町へ行き、川南町長、現場で対応されている自衛隊や国や県や市町村の担当の皆様、そして商工会議所の皆様と意見交換をいたしました。また、農家の方々とは直接会うことは禁止されておりまして、電話やあるいは文書をたくさんいただきまして意見交換をいたしました。
 今日に至り、口蹄疫が撲滅されていないことは極めて残念です。私のふるさと宮崎の畜産に関して、現地で把握した課題や要望を今後の対応に生かし、生活支援や宮崎県の畜産の救済と再建に力を尽くしてまいります。(拍手)
○国務大臣(平野博文君) 渡辺議員に、関係府省の局長会議の開催が四月三十日と遅れたのはどういうことかと、こういう御指摘でございますが、政府といたしましては、四月の二十日の口蹄疫発生確認後、直ちに農林水産省におきまして赤松大臣を本部長とする対策本部を立ち上げ、防疫措置、経営対策、消費対策、防疫措置に取り組む農家を支援をすることを主眼に対策を開始をいたしました。
 その後、発生している農家が大部分牛であったことなどの状況を踏まえつつ、農水省を中心に追加的な防疫措置を実施をしてきたところでございます。
 内閣官房としても、四月の二十日の発生確認後、直ちに官邸、関係省に発生情報を同報するとともに、危機管理の観点からは緊急連絡体制など養鶏における鳥インフルエンザ対策と同様に連絡網を立ち上げ、順次、発生状況等の関係省庁への情報提供を行ってまいりました。また、ゴールデンウイークを控え、交通、観光、学校などの関係者への情報掌握、食肉の安全性などについて正確な情報提供の促進、普及を図ってきたところでございます。
 しかしながら、四月の二十八日にえびの市での大規模な発生が確認され、移動規制区域等が熊本県、鹿児島県に及ぶ事態となったことから、内閣官房主催で関係省庁の課長級の会議を始めたわけでございます。各省が把握している情報の交換を行うとともに、宮崎県関係者の風評被害の影響等について関係省庁と協議をいたしました。
 四月二十九日、山田農水副大臣が宮崎県対策本部との意見交換を開始し、さらに四月三十日、宮崎県におきまして特に豚の発生頭数が大幅に増加をした事態を踏まえ、内閣危機管理監が主宰をする局長級の関係省庁連絡会議を開催し、自衛隊派遣の準備に着手したところでございます。
 このように、政府としては、口蹄疫の発生確認後、迅速に対応を講じてきたところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
○議長(江田五月君) これにて質疑は終了いたしました。
(中略)
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十四分散会

第174回国会 議院運営委員会 第34号 平成二十二年五月二十七日(木曜日)    午後四時五十八分開議
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十一号  平成二十二年五月二十七日    午後一時開議
 第一 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第四 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第五 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
 第六 口蹄疫対策特別措置法案(農林水産委員長提出)
    ―――――――――――――
 一、日程に対する討論
  日程第一 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)(修正)
   反対 自民、公明、共産、みんな、日本、国守
  日程第二 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
          反対 自民、みんな、日本
    総務委員長の報告(日程第一は修正、第二は可決)
             近藤 昭一君
    討論通告
     日程第一に反対             谷  公一君(自民)
     日程第一及び第二に賛成             野田 国義君(民主)
     日程第一に反対             西  博義君(公明)
    ―――――――――――――
○松本委員長 それでは、本日の本会議は、午後五時二十五分予鈴、午後五時三十五分から開会いたします。
 なお、本日の本会議は、休憩することといたします。
 この際、休憩いたします。
    午後五時十九分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

第174回国会 本会議 第32号 平成二十二年五月二十七日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十一号  平成二十二年五月二十七日    午後一時開議
 第一 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第三 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第四 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 第五 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
 第六 口蹄疫対策特別措置法案(農林水産委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 厚生労働委員長辞任の件
 厚生労働委員長の選挙
 総務委員長近藤昭一君解任決議案(浜田靖一君外六名提出)
 日程第一 放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 社会保障に関する日本国政府とアイルランド政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第四 航空業務に関する日本国と中華人民共和国マカオ特別行政区との間の協定の締結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第五 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件
 日程第六 口蹄疫対策特別措置法案(農林水産委員長提出)
 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後五時三十九分開議

○秋葉賢也君 自由民主党の秋葉賢也です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました総務委員長近藤昭一君解任決議案について、提案の理由を御説明いたします。(拍手)
 まず、案文を朗読いたします。
  本院は、総務委員長近藤昭一君を解任する。
   右決議する。
 以下、その理由を説明いたします。
(中略)
 政府と与党が一体となって、その権力を維持することに躍起になっており、国民の利益といったことは二の次、三の次にされているのではありませんか。口蹄疫の被害拡大をほったらかしにして海外出張を強行する大臣の方が、よほど権力の濫用、私物化だと思うのは私だけでしょうか。少なくとも、強行採決を繰り返す近藤昭一君の方がよほど権力を濫用しているのは間違いございません。
(中略)
 総務委員会での強行採決も、法案成立を約束なさった大幹事長の気持ちをそんたくし、功を争うかのように強行採決したのでしょう。
 鳩山内閣は、時がたてばたつほど、国民の期待を失い、見放され、信頼を失ってきています。時がたてばたつほど、政策のぶれがあらわになり、政策の中身の粗さが、そしてまた政策のもたらす悪影響が明らかになり、危機管理が試されたときも極めてお粗末な対応しかできないということが、今回の口蹄疫対策で白日のもとにさらされました。このままでは、間違いなく、日本が、我が国が壊れてしまいます。
 一方、内閣支持率低下に反比例して、国会運営は、強引に、強圧的に、そして暴力的になってきています。焦りといら立ちとおびえが反映され、正常な感覚を失いつつあると言っていいでしょう。
○議長(横路孝弘君) 谷公一君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○谷公一君(続) 私たちは、前政権の施策を隠れみのに何の議論もせず、どさくさに紛れて、数の力で放送法等を改正するようなことに、到底賛成などできるわけはありません。
 以上申しまして、私の討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

 日程第六 口蹄疫対策特別措置法案(農林水産委員長提出)
○議長(横路孝弘君) 日程第六、口蹄疫対策特別措置法案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。農林水産委員長筒井信隆君。
    ―――――――――――――
 口蹄疫対策特別措置法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔筒井信隆君登壇〕
○筒井信隆君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本年四月以来、宮崎県で発生している口蹄疫は、関係者の懸命の努力にもかかわらず、感染の拡大が続いており、発生農家や周辺地域の農家の経済的、精神的負担ははかり知れず、地域経済にも重大な影響が及んでおり、宮崎県のみならず、国の畜産の崩壊にもつながりかねない深刻な事態となっております。
 今回の口蹄疫は、その感染力の強さにより爆発的に感染が拡大しており、現地では、殺処分、埋却処理が追いつかない状況となっております。このため、政府は、殺処分を前提としたワクチン接種という緊急措置を実施せざるを得ない状況に追い込まれております。
 こうした危機的状況を踏まえ、本案は、平成二十二年四月以降に発生が確認されました口蹄疫に起因する事態に対処するため、口蹄疫の蔓延を防止する措置として、車両等の消毒の義務化、患畜等の死体の埋却等の支援、患畜等以外の家畜の殺処分等について定めるとともに、口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担、生産者の経営や生活の再建支援等の特別措置を講じようとするものであります。
 この法律は、公布の日から施行するものとし、平成二十四年三月三十一日までの時限立法としており、それまでの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及び蔓延の防止のあり方等について検討を行い、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとしております。
 本案は、昨二十六日の農林水産委員会において、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。

第174回国会 内閣委員会 第7号 平成二十二年五月二十七日(木曜日)   午前十時開会

○平野達男君 仙谷大臣と林法案提出者から本当に奥の深い内容のある答弁いただいたというふうに思います。
 私もそこまで深い認識は持っておりませんが、幾つかの点でかなり共感できる点があります。
 私は民間の経験はございませんけれども、先般、今、宮崎県で口蹄疫が大流行しておりますけれども、この口蹄疫の関係で、ある動物の病気には全く関係のない会社と思われる方が私の知人のつてを伝って来ました。これは元々フィルムを作っている会社なんですが、このフィルムを作っている会社が何と抗ウイルス剤の研究をやっているということなんです。
 こういう、要するに、まさにさっき林先生からもお話ありましたけれども、会社が自らもうとにかく生き残るためにどんどんどんどん内部改革を進めていくという、やっぱりエネルギーがあるし、そうしないと残れないということだと思います。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。よろしくお願いいたします。
 今日は仙谷大臣に質問ということで、仙谷大臣といえばと申しますか、先日、テレビ局の方とお話をする機会がございまして、某テレビ局の幹部の方々だったんですけれども、私から見たら、政権交代、政権交代ということで選挙の前は随分民主党さんにひいき目の放送が多かったんじゃないかなと内心感じていたようなテレビ局であったわけでございますが、その方たちが、いや、鳩山政権、実は僕たちも期待をしていたんだけれども、裏切られた気持ちがしています、国民の皆様も同じなのではないか、期待から失望に変わり、それが現在は危機感に変わっている、このままではいけないという気持ちなのではないですかという会話の中で、大臣たちはどうでしょうかねという話になって、いや、大臣も、A大臣はお粗末だし、B大臣は質問が取れないと官僚を土下座させるらしいとか、そんなうわさもあるよ、これうわさであるとマスコミの方がおっしゃったんですが、その中で、いや、そうやって消去法でいくと仙谷大臣しか残らないといった話でありましたので、消去法といえどもそんな仙谷大臣に今日は議論ができるということで大変楽しみにしてまいりました。やはり政治家というのはリーダーシップを持って、そして信頼をされるということがすべての始まりだと思っております。
 そういう意味では、おととい、看過できない発言がありましたので、仙谷大臣に是非御所見を伺いたいのですが、口蹄疫の問題に関する中井国家公安委員長の発言なんです。
 今日は、実は福島県も農業委員会の集まりがございまして、皆さん来ていらっしゃるんですが、福島県もこの口蹄疫、決して無関係ではございませんで、宮崎県の子牛を仕入れています。又は妊娠した母牛をそのまま仕入れて、大事に育てている畜産農家もございますし、さらには、最近は福島牛も輸出を始めておりまして、北米に輸出しておりまして、それをまた更にシンガポールやいろいろ今年から広げようと思っていたところ、口蹄疫が国内で発生をいたしますと国際ルールにのっとって輸出が停止をいたしますので、これはもう食肉として加工して輸出する段階になっておりましたものを急遽国内販売ルートを探さなければいけないということで、対策本部を設けてやっているところでございますが。
 そんな全国畜産業者又は農業者の方を不安に陥れている口蹄疫の件について、おとといの閣議後の会見で中井洽国家公安委員長が、社民党の福島みずほ党首の言動について質問された際、福島みずほさんが宮崎の御出身と述べた上で、宮崎の人というのは口蹄疫の対策でも頑固なところがあるから赤松大臣も苦労していると発言したと報道されました。
 これはもう本当に耳を疑うような発言でございます。宮崎県の方々がこの口蹄疫の対策でどんなに苦労なさっておられ、政府に対してどんなに真剣な思いで要望しているか、このことはこの福島県の農業委員会の場でも話題にされましたところでございますので、是非同じ内閣の一員として仙谷大臣がこの御発言についてどう思われるか、感想をいただきたいと思います。
○国務大臣(仙谷由人君) 中井大臣がそういうことをおっしゃったというのは今初めて伺いまして、どういう状況下で、どういうやり取りの下でそういうことを言われたのか言われていなかったのか、全く私は確認すべきものを持っておりません。
 森議員もお仕事柄そうでありましょうけれども、私は基本的に自分の目で見て触ってみてあるいは感得できたもの以外はなるべく外に向かってコメントをしないと、それが私ども、特に法律家として仕事をしてきた者の務めというか癖というか、そうでないと、余り風評を基にコメントするとどんどんどんどんそれが広がっていくことになると。やっぱり自分の目で見た、聞いたことを、そのニュアンスも含めて感じ取って、それについて論評はしなければいけないときにはするつもりでありますが、今回の場合は全く私分かりませんので、今初めてお伺いしましたので、私の論評は控えさせていただきたいと存じます。

第174回国会 議院運営委員会 第25号 平成二十二年五月二十八日(金曜日)   午前九時四十分開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○本会議における議案の趣旨説明聴取及び質疑に関する件
○本日の本会議の議事に関する件
    ─────────────
○委員長(西岡武夫君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。
 まず、本会議における議案の趣旨説明聴取及び質疑に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、放送法等の一部を改正する法律案につき、本日の本会議においてその趣旨説明を聴取するとともに、自由民主党一人十五分及び公明党一人十分の質疑を順次行うことに意見が一致いたしました。
 理事会申合せのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西岡武夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(西岡武夫君) 次に、本日の本会議の議事に関する件を議題といたします。
 事務総長の説明を求めます。
○事務総長(小幡幹雄君) 御説明申し上げます。
 本日の議事は、最初に、放送法等の一部を改正する法律案の趣旨説明でございます。まず、日程に追加して提出者の趣旨説明を求めることを異議の有無をもってお諮りいたします。異議がないと決しますと、原口総務大臣から趣旨説明があり、これに対し、世耕弘成君、澤雄二君の順に質疑を行います。
 次に、日程第一及び第二を一括して議題とした後、国土交通委員長が報告されます。採決は二回に分けて行います。
 次に、本日委員会議了の口蹄疫対策特別措置法案の緊急上程でございます。まず、本案を日程に追加して議題とすることを異議の有無をもってお諮りいたします。異議がないと決しますと、農林水産委員長が報告された後、採決いたします。
 なお、本日の議案の採決は、いずれも押しボタン式投票をもって行います。

第174回国会 農林水産委員会 第10号 平成二十二年五月二十八日(金曜日)   午前九時一分開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○口蹄疫対策特別措置法案(衆議院提出)
    ─────────────
(中略)
○委員長(小川敏夫君) 口蹄疫対策特別措置法案を議題といたします。
 提出者衆議院農林水産委員長筒井信隆君から趣旨説明を聴取いたします。筒井衆議院農林水産委員長。
○衆議院議員(筒井信隆君) ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本年四月、宮崎県において口蹄疫の発生が確認されて以来、関係者の懸命の努力にもかかわらず、感染の拡大が続いております。発生農家や周辺地域の農家の経済的・精神的負担は計り知れず、地域経済にも重大な影響が及んでおり、宮崎県のみならず我が国の畜産の崩壊にもつながりかねない事態となっております。
 今回の口蹄疫は、その感染力の強さにより爆発的に感染が拡大しており、現地では、殺処分、埋却処理が追い付かない状況となっております。このため、政府は殺処分を前提としたワクチン接種という緊急措置を実施せざるを得ない状況に追い込まれております。
 こうした危機的状況を踏まえ、本案は、平成二十二年四月以降に発生が確認された口蹄疫に起因する事態に対処するため、口蹄疫の蔓延を防止するとともに、口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担、生産者の経営や生活の再建支援等の特別措置を講じようとするものであります。
 以下、その主な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一に、農林水産大臣が車両等の消毒の義務を課す必要がある地域として指定する地域内において、消毒のための設備を設置している場所を通行しようとする者は、その使用する車両その他の物品を消毒しなければならないこととしております。
 第二に、都道府県知事は、口蹄疫の蔓延防止のためやむを得ない必要があるときは、農林水産大臣が患畜等以外の家畜の殺処分を行う必要がある地域として指定する地域内において都道府県知事が指定する家畜を所有する者に、期限を定めて当該家畜を殺すべきことを勧告することができることとし、所有者が当該勧告に従わないとき等において緊急の必要があるときは、都道府県知事は、家畜防疫員に当該家畜を殺させることができることとしております。
 第三に、都道府県知事は、所有する患畜等以外の家畜を自ら殺し又は殺されたため損失を受けた当該家畜の所有者に対し、その生産に要する費用その他の通常生ずべき損失として政令で定める損失を補てん又は補償しなければならないこととし、国は、都道府県知事がその損失の補てん等を実施するために要する費用の全部又は一部を負担することとしております。
 第四に、患畜又は疑似患畜の死体の焼却又は埋却の支援を行う必要がある地域として指定する地域内に存する患畜等の死体の所有者が、当該死体を焼却又は埋却することが困難なため、家畜防疫員に対し、これらの死体の焼却又は埋却を求めた場合には、家畜防疫員は、当該求めのあった死体を焼却又は埋却することとするほか、国は、埋却の用に供する土地の確保、埋却のために必要な作業に従事する者の派遣その他の必要な措置を講ずることとしております。
 第五に、国は、口蹄疫の蔓延により経営及び生活が不安定になっている家畜の生産者、関連事業者等の経営の安定及びその生活の安定を図るため、事業再建等に必要な資金の無利子の貸付け、施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他の必要な措置を講ずることとするとともに、国及び地方公共団体は、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずることとしております。
 この法律は、公布の日から施行するものとし、平成二十四年三月三十一日までの時限立法としているところであります。それまでの間に、効果的な家畜伝染病の発生の予防及び蔓延の防止の在り方等について検討を行い、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しを含め、所要の措置を講ずるものとしております。
 以上が本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(小川敏夫君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。
──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 口蹄疫対策特別措置法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(小川敏夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前九時八分散会

第174回国会 本会議 第25号 平成二十二年五月二十八日(金曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十五号  平成二十二年五月二十八日   午前十時開議
○本日の会議に付した案件
 一、放送法等の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 一、日程第一及び第二
 一、口蹄疫対策特別措置法案(衆議院提出)
     ─────・─────
○議長(江田五月君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 放送法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。原口総務大臣。
   〔国務大臣原口一博君登壇、拍手〕
○国務大臣(原口一博君) 放送法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
(中略)
    ─────────────
○議長(江田五月君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。世耕弘成君。
   〔世耕弘成君登壇、拍手〕
○世耕弘成君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました放送法等の一部を改正する法律案について、総務大臣に質問をさせていただきます。
 まず、本論に入る前に一言申し上げます。
(中略)
 また、口蹄疫問題についても、民主党政権の極めて場当たり的な姿勢が被害を拡大させたことは明らかです。
(中略)
 それでは、本論に入ります

 口蹄疫対策特別措置法案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(江田五月君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長小川敏夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔小川敏夫君登壇、拍手〕
○小川敏夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、平成二十二年四月以降発生が続いている口蹄疫の問題に的確に対処するため、人や車両の消毒の義務化、患畜等を殺処分された農家に対する補償の充実、埋却用地の確保など埋却処分の迅速化に向けた国の支援、大臣が指定する区域内における非感染家畜の殺処分の実施及び農家に対する損失の補てん等の蔓延防止措置を講じ、さらに、都道府県が口蹄疫に対処するために費やした防疫費用の国による負担、家畜の生産者を始めとする畜産関連事業者の経営及び生活の再建並びに地域の再生のための基金の創設など、特別の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者筒井信隆衆議院農林水産委員長より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(江田五月君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           百九十  
  賛成             百九十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○議長(江田五月君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時四十九分散会

第174回国会 本会議 第33号 平成二十二年五月三十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十二号  平成二十二年五月三十一日    午後一時開議
(前略)

○高山智司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 浜田靖一君外六名提出、経済産業委員長東祥三君解任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(横路孝弘君) 高山智司君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。
    ―――――――――――――
 経済産業委員長東祥三君解任決議案(浜田靖一君外六名提出)
○議長(横路孝弘君) 経済産業委員長東祥三君解任決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。梶山弘志君。
    ―――――――――――――
 経済産業委員長東祥三君解任決議案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔梶山弘志君登壇〕
○梶山弘志君 自由民主党の梶山弘志でございます。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました経済産業委員長東祥三君解任決議案について、提案の理由を御説明いたします。(拍手)
(中略)
 しかし、振り返ってみますと、まず、与党民主党がやってきたことは、我々が国民生活の不安を取り除くために実施した平成二十一年度第一次補正予算の凍結、鳩山総理、小沢民主党幹事長の政治と金をめぐる問題による政治への信頼の低下、普天間問題における鳩山総理のリーダーシップの欠如、宮崎県で発生した口蹄疫に対する危機管理能力の低さの露呈など、国益にとってマイナスばかり目立ち、多くの国民が現政権に対して落胆をあらわしている状況は、昨今の世論調査を見ても明らかであります。
(後略)

○小里泰弘君 自由民主党の小里泰弘でございます。
(中略)
 さて、私は、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党及びたちあがれ日本を代表して、ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案について、提案の理由を説明いたします。(拍手)
(中略)
 去る四月二十日、宮崎県において家畜伝染病たる口蹄疫が発生し、日に日に感染が拡大し、きのうの時点で、発生事例は二百三十八農場、殺処分の対象は予防的殺処分を含め三十万頭に迫り、家畜伝染病としては空前の被害となっております。
 激しさを増す感染拡大に、防疫措置のための人員や埋却用地の土地の確保も追いつかず、まさに現地は阿鼻叫喚の地獄絵であり、畜産関係者や対応に当たる職員を初め、心身ともに限界状態に達しております。
 思えば、十年前の口蹄疫発生時においては、当時の自民党の江藤隆美対策本部長を先頭に、早期の十分な予算措置を初め、政府・自民党と自治体、現地関係者との連携による迅速な対応で、発生四例、殺処分対象は七百四十頭の段階でこれを封じ込め、被害を最小限度に抑えたのであります。
 発生と同時に、発生農家の周囲五十メートル圏を完全に交通遮断し、五十キロメートル圏から封じ込めを図り、徐々に包囲網を狭めるなど、迅速かつ周到な対応が功を奏したのであります。
 自民党農林部会を朝昼晩と毎日開催し、悲壮なまでの激論を交わし、関係者一丸となって臨んだこのときの初動防疫は、OIE、国際獣疫事務局により、日本の畜産、獣医の底力が世界に示された快挙、関係機関一体となった対応は世界に類を見ないと、極めて高い評価を得たのであります。
 この経験を踏まえ、私ども自由民主党は、今回、発生と同時に農林部会を招集し、情報収集とともに対策を取りまとめ、三次にわたり政府に対策を要請したのであります。衆参農林水産委員会を初め関係委員会でも必死の議論を重ね、あらん限りの情報とノウハウを提供し、対策の徹底を訴えてまいりました。
 さらに、四月二十七日、東国原宮崎県知事から、十年前の自民党のノウハウで支援いただきたいとの要請を受け、翌二十八日、谷垣対策本部長を先頭に、宮崎県へ赴き、県や関係市町村、生産者団体と意見交換を行い、これに基づき、対策を政府にまた訴えたのであります。
 日増しに被害が拡大する中で、この宮崎での意見交換会では、何をしていいかわからない状況が続いている、十年前と比べて国の対応が遅い、今の国の対応では再起できないとの声が相次いだのであります。また、五月九日にお会いした被災地の市長さんは、国からほとんど指示がない、ただ穴を掘って埋めろと言っているにすぎないと、政府の対応に憤慨を込めて言われたのであります。
 この間、赤松農林水産大臣は、一度も宮崎に入らず、陣頭指揮をとらないどころか、何と四月三十日から五月八日までの九日間、我々の制止を振り切って、メキシコ、キューバ、コロンビアへの外遊に費やし、やっと宮崎に入ったのは五月十日、実に発生から三週間を経過しておりました。
 宮崎県、鹿児島県は、日本の畜産の一位、二位を争う畜産県であります。日本の畜産の一大危機、そして国家の食料安保にかかわるこの緊急事態に、何という責任感の欠如、危機管理能力の欠如でありましょうか。
 赤松大臣が、感染拡大の燃え盛る火に目をつぶり、中南米歴訪の外遊に旅立ったあのとき、被災地の人々は、いよいよ国に見捨てられたと思ったでありましょう。
 かの地における赤松大臣の日程は、型どおりの会談と農園等の視察、また空白の時間も多く、大臣みずからが行かなければならない緊急性は全くなかったのであります。ましてや、日本の畜産のこの悲劇と引きかえに行かなければならない理由がどこにありましょうか。
 赤松大臣が外遊に旅立つ直前の四月二十八日、初めての豚への感染が確認をされました。牛の数千倍もの感染力を持つ豚への感染で、ステージは大きく変わったのであります。パンデミックは十分予想し得たはずであります。
 まさに信号が黄色から赤に変わったそのとき、赤松大臣は外遊を強行したのであります。外遊中に被害頭数は十倍になり、さらにその後の爆発的感染拡大につながったことを考えますと、まさにこの連休が、対策の立案、実行の分水嶺であったと考えます。
 農林水産大臣としての危機管理義務を果たすことなく、九日間もの華やかな外遊を優先した、この一事をもってしても万死に値するものであります。
 なお、赤松大臣以外にも、連休中に、中井国家公安委員長、前原国土交通大臣を初め、十一人もの閣僚が大挙して外遊に旅立ち、日本を留守にすることに、国の危機管理の観点からいかがなものかと私どもは警鐘を鳴らしておりました。
 加えて、連休期間中、業務日を除いて、政務三役のだれ一人、農林水産省に登庁をしておりません。すなわち、五月一日、二日、三日、四日、五日、そして八日、九日と七日間、政務三役は対策本部を留守にしたのであります。感染は休日も関係なく拡大し、現場関係者に休みはありません。現場のニーズは間断なく上がってまいります。当然のこととして休日返上で対応に当たるべきこの緊急事態に、何というていたらく、何という怠慢でありましょうか。
 五月十一日、衆議院農林水産委員会における我が党議員の外遊についての質問に対して、赤松大臣は、私一人がいなかったからといっていささかも支障があったとは理解していないと、この緊急事態に際し、まるで自分が最高指揮官であることを忘れたかのようなていでありました。さらに、同日の答弁では、一定の地域に押し込むことができている、評価いただきたいと、大臣も副大臣も胸を張るに及んでは、私たちは耳を疑わざるを得なかったのであります。
 この連休期間中も、我々の要請に対して農水省幹部は、まず政務三役に相談しなければ、政務三役の了承を得なければと、即応できず、決断すべき政務三役は持ち場にすらいなかったのであります。政治主導の名のもとに、さらに対策がおくれていったことは言うまでもありません。
 政府の現地対策本部の設置もおくれにおくれました。見かねた私どもが、五月十四日の衆議院農林水産委員会で、国が主導して対策を打っていく上で現地対策本部の設置が不可欠であると訴えた際も、今の体制で十分であるとの答弁でありました。方針を転換して現地対策本部を設置したのが五月十七日、実に発生から一カ月近くを経過していたのであります。
 農林水産委員会で我が党の江藤拓委員が、人工授精師や畜産農家の経営の課題、屠畜場の確保、排せつ物の処理など具体例を挙げて現場の窮状を訴えた際に、山田副大臣は、今初めて聞いたかのような答弁でありました。ここに現地との大きな距離が存在したのであります。現地の状況を目で見て、肌で感じ、東京との温度差を埋めるべきが現地対策本部の役割であります。だからこそ、発生と同時にこれを立ち上げ、少なくとも副大臣みずからが常駐し、陣頭指揮に当たるべきでありました。
 関係省庁との連携体制の構築もおくれ、鳩山総理を本部長とする政府対策本部の設置もまた発生から一カ月後でありました。総理官邸の認識の甘さはもちろんのこと、口蹄疫対策における鳩山総理のリーダーシップもまた、今に至るまでほとんど見られないのであります。
 これは災害であり、国の危機管理が問われております。私は、阪神・淡路大震災に際し、担当大臣秘書官として対策の一端を担い、また、平成十八年の鹿児島県北部豪雨災害に際しては、地元代議士として対応に当たりました。
 そのときの経験として、わきまえるべきは、大きな災害時には、まず国の指揮官が現地に行くことであります。そして、予算も制度も任せろ、責任は全部自分がとるという、国の確かなリーダーシップとバックアップがあって初めて現場は奮い立ち、迅速かつ適切な対応が進むのであります。
 震災は、地震がおさまればやがて終息に向かいます。豪雨災害は、雨がおさまれば終息に向かいます。しかしながら、口蹄疫は、日に日に感染が拡大していきます。それだけに、自然災害以上に初期対応がすべてを決するのであります。
 ことしに入り、中国、台湾、韓国と口蹄疫が発生し、感染が拡大をする中で、水際での防疫や現場における症状の確認、検査の徹底など、国の体制と指導が十分であったとは思えません。急を要する消毒薬の手配も一週間おくれ、十日おくれとなり、関係者は現地調達を強いられ、肝心の発生地において消毒薬にも事欠くありさまでありました。自治体に対する具体的指示もほとんどなく、初動対応のおくれは枚挙にいとまがありません。
 特に、発生地における家畜の殺処分や埋却のおくれは決定的な致命傷となりました。人員や用地の確保がおくれ、感染源が大量に長期にわたり放置され、被害が広がっても仕方がない状況をつくったのであります。国が用意した埋却用地は、掘ったら水が出る防風林や、岩山そのものの国有林であり、全く用をなさないなど、政府による対応の稚拙さと決断のおくれは隠しようがありません。
 感染拡大のさなかにおいては、後手後手に回ることなく、先回りした対応が求められます。特に、発生地を中心に、一定のエリアを定め、牛、豚のいない空白地帯をつくることで、それ以上の蔓延を防ぐことが期待をされます。
 我々は、この予防的全頭殺処分の実施を初期の段階から訴えてまいりました。連休中には、三キロ圏内との具体的範囲も挙げて提案し、さらに、五月十三日の参議院農林水産委員会では、我が党の野村哲郎委員が繰り返し予防的全頭殺処分の実施を迫ったものの、赤松大臣は、制度上できない、効果がないとこれを拒み続け、ついには、自分自身の信念においてこれはできないと突っぱねたのであります。
 ところが、方針転換により、予防的全頭殺処分の実施を決めたのが五月十八日、時既に発生から一カ月を経過し、対象地域は、三キロ圏内どころか、十キロ圏、二十キロ圏と何十倍にも拡大をし、新たに二十万頭近くもの処分が必要となったのであります。決断のおくれが被害拡大を招き、事態収拾を決定的に困難にしたことは、返す返すも残念でなりません。
 四月三十日に我々が自衛隊派遣のおくれを指摘したときに、政府は、自衛隊を派遣すると事が大きくなる、現地が動揺すると消極的な対応でありました。そして、自衛隊の第一陣が着任したのは五月一日と、事態発生から十二日を経過しておりました。現場や私どもの指摘を受けて、消毒ポイントにおける一般車両への消毒を実施したのは五月八日、発生から十九日を経過しておりました。
 お金の心配をしていたのでは、自治体や現場の初動態勢が整わない、畜産農家も経営への不安から取り組みに十分な協力ができない、したがって、初期の段階で十分な予算措置のメッセージを発しなければならないと、これは、十年前の教訓であります。しかるに、今回は、状況把握と決断がおくれ、これなら頑張れる、再建できると思えるメッセージを政府はいまだに発していないのであります。
 毎年子牛を産んで家計を支え、子供を進学させ、多くの思い出とともにある母牛に、手ずから最後のえさを与えて殺さなければならない生産者の気持ちが、大臣にわかるのでありましょうか。口蹄疫で乳が出なくなった母豚にかわり、もうすぐ死ぬとわかっている子豚を抱いて、泣きながら哺乳瓶でミルクを与える子供の気持ちがわかるのでありましょうか。一生懸命仕事を手伝ってきた子供たちが、心に傷を負い、不登校となり、夫婦げんかも絶えない。この原因をつくったのはだれでありましょうか。このような心の傷は深く、お金では解決できません。
 伝説の種牛と言われ、長年にわたり畜産界に大功労をなした安平も、エース中のエースであった忠富士も、殺処分の対象となりました。宮崎県の畜産のみならず、日本の畜産の至宝ともいうべき多くの種牛を失い、今や宮崎牛は絶滅の危機にあります。三十六年かけてブランド化にこぎつけた先人の歴史と努力が無に帰そうとしているのであります。
 近年におけるえさ代の高騰と畜産価格の低迷で畜産農家の体力が弱る中、九州全域にわたる競り市の停止、出荷の停止により、えさ代がかさみ、家畜の価値が下がり、多くの畜産農家が苦況に立たされております。
 蔓延を防ぐために、人が集まる多くの集会やイベントが中止され、人や物の移動が困難となり、商店街は灯が消え、畜産関連業界だけでなく、広く地域経済社会に深刻な影響を及ぼしております。軌道に乗りかけていた国産ブランドの輸出も、非清浄国となったことで輸出停止を余儀なくされ、再開のめどは立っておりません。せっかく切り開いた販路や評価が失われる事態に直面をしているのであります。
 今次の対応は、十年前の初動防疫における誇るべき国際的評価をも地におとしめ、我が国の防疫に対する信頼を大きく失墜せしめたのであります。多くの畜産、酪農家の悲劇を生み、地域に、そして日本の畜産にはかり知れない打撃を与えた責任は、挙げて政府にあります。なかんずく、赤松大臣の責任は、決して免れることはできません。
 結果にすべてがあらわれております。現実は目の前にあります。県の対応が遅かった、法定受託事務だからと県に責任を転嫁するような政務三役の姿勢は、断じて許されるものではありません。これは国家の危機管理であり、食料安保は、国が最後まで責任を持つべき最たるものであります。
 この期に及んでも、赤松大臣は、お決まりの言いわけ答弁、時間稼ぎ答弁を延々と繰り返し、全く反省の色を見せないどころか、何も反省すべきことはない、謝るべきこともないと言い放ったのであります。もはや、赤松大臣の責任感の欠落と現状認識の欠如は覆い隠しようもありません。
 本来、赤松大臣は、農業、農村とは縁遠い環境で活動を展開してこられました。果たして、農業の現場の本質がわかっているのか、農民の心がわかっているのか、通常の委員会審議を通じてもおぼつかないものを我々は感じておりました。不幸にも、今回、危機管理においてそれが露呈したのであります。
 なお、報道によると、赤松大臣は、きのう、宮崎県を訪れ、東国原知事に陳謝し、初めて現地の被害農家を訪問したということであります。しかしながら、農家での滞在時間はわずかに十分間、防護服も着用しておらず、牛舎にも入らなかったとのことであります。すなわち、ワクチンを接種され、殺処分を待つ牛を見ることもなかったのであります。
 方針が迷走し、農家の心を振り回し、ちまちましたことをやっても仕方がない、全頭殺処分だと、先般、記者会見で言ってのけたという赤松大臣に、農家を思う親身な姿勢は見られなかったのであります。
 処分に心を痛め、被害に苦しむ農家は落胆をし、なぜこんなに被害が広がったのか、手塩にかけた牛を殺す気持ちがわかるかと、多くの農場主から詰問される場面もあったということであります。
 また、けさの新聞では、鳩山総理が韓国・済州島で記者会見し、口蹄疫の被害が拡大している宮崎県を近く訪問する意向を表明したという、悠長な姿勢がむなしく掲載されていたのであります。
 赤松大臣に対する現地の信頼は既になく、鳩山総理に対する期待は全くありません。あるのは、不信と怒りであります。そして、日本の畜産を思い、農業、農村を思い、食料安保を願う多くの国民が、今、怒りの声を上げております。
 私たちは、あらん限りの手を尽くし、口蹄疫の猛威から日本の畜産を守り、国民の食の安保を図っていかなければなりません。
 また、被災農家の生活支援や再建支援を初め、今回の口蹄疫で生じたあらゆる費用や経済的損失を、制限区域の内外を問わず、国が全面的に補償し、支援を図っていかなければなりません。
 対策推進のために、私どもは、口蹄疫対策特別措置法案を提案いたしました。
 すなわち、車両等の消毒の義務づけ、感染し、または感染するおそれのある牛や豚の処分、焼却、埋却の支援措置、その所有者の経済的損失の全額補償、防疫要員の確保のための支援措置、予防的殺処分の制度化と所有者の損失補てん、生産者等の経営の再建のための支援措置、地域再生のための基金の設置などを内容としております。
 今回の政府の対応の反省と今後の課題にかんがみ、対策推進のための特別措置を定めるものであり、ほぼ我々の案に沿って成立をいたしました。
 対策推進のポイントはリーダーであります。この際、口蹄疫対策の迅速化を図り、実効を上げていくために、赤松大臣のみならず、政務三役そろって交代し、新たな体制をもって事態に臨むべきであります。
 なお、昨年十一月、赤松大臣は、大規模な政治資金パーティーを開催いたしました。農林水産省が所管をする業界団体やパチンコ業界、労働組合の代表者らが呼びかけ人となり、会費は一人二万円で、報道によれば、出席者は少なくとも七百八十人に上ったとされます。
 事前の衆議院予算委員会において、私が、閣僚のパーティーの自粛を規定した大臣規範に抵触すると指摘したのに対し、ごく近しい人たちの、限られた範囲での開催であると強弁し、私どもの制止を振り切ってパーティーを強行開催したのであります。
 そもそも、民主党のマニフェストでは、企業、団体の献金及びパーティー券購入の禁止をうたいながら、さらに大臣規範を犯してまでの開催は、倫理観の欠如を伺わせ、大臣としての資質を大きく疑わせるものでありました。
 また、赤松農林水産大臣の政党支部や資金管理団体には、全日通労働組合を初め労働組合側から、二〇〇二年以降、合計で一億一千八百万円に及ぶ寄附がなされております。
 ちなみに、直嶋経済産業大臣側には、二〇〇三年以降、トヨタ関係の労組を初めとする自動車関連の労組側から合計二億八千六百万円余りもの資金提供がなされ、平野官房長官側には、二〇〇三年以降、松下労組を初めとする労組側から合計二億一千七百万円余りの寄附がなされております。
 現在の鳩山内閣において、労働組合の組織内候補たる大臣は七人、これを含め、多くの民主党議員が労組から巨額の資金提供を受けているのであります。
 そもそも、労組マネーについては、従来、どのように調達をされ、どのように使われているのか、不透明な実態が指摘をされ、民主党の小林千代美衆議院議員をめぐる北海道教職員組合による政治資金規正法違反事件により、その一端が浮き彫りになりました。あるいは、公務員が法に違反して堂々と選挙活動や政治活動に励む状況は、目に余るものがあります。
 これまで、民主党は、いわゆる族議員について厳しい批判を展開してまいりましたが、今、民主党は、人も金も票も労働組合に依存し、労組が政策にも強い影響力を行使するという実態が明白になっているのであります。
 かつて、企業ぐるみ選挙が批判をされ、政党と企業との人や金の関係が幾たびかの法改正で整理されてまいりました。労組が政権と深いかかわりを持つようになった現在、今度は、民主党と労働組合との人、金、票の関係がきちんと整理されないといけないのであります。しかしながら、民主党政権は、この問題に向き合おうとしないどころか、さらに労働組合との癒着を深めているのであります。
 鳩山総理と小沢幹事長をめぐる政治と金の問題では、二人の政治活動を支えてきた秘書が五人も逮捕、起訴されました。鳩山総理も小沢幹事長も、知らなかったと繰り返し、すべての責任を秘書に転嫁し、不十分かつ不可解な説明に終始し、疑惑の全容解明にはほど遠く、到底国民の理解は得られない状況であります。
 鳩山総理は、平成の脱税王、うそつき総理とやゆをされ、小沢幹事長は、土地転がし、政党転がし、ゼネコン転がしと指弾されながら、予算委員会での参考人招致や証人喚問にも全く応じようとせず、約束をした証拠書類の提供もいまだにないままであります。
 さらに、小沢幹事長に関連して、岩手めんこいテレビをめぐる架空株主疑惑にも答えがないままであります。
 社会に大きな影響を与える公共の電波として、厳に公平性が確保されるべき放送事業が、特定政治家に偏って立ち上がり、会長人事がゆがめられたのではないかと疑われております。そして、架空の株主構成により、会社の誕生基盤、存立基盤そのものが揺らぎかねない問題であり、さらに、放送行政への信頼が失墜しかねない大きな問題であります。
 政権のナンバーワン、ナンバーツーをめぐって相次いだ政治資金に関する事件や疑惑が未解明なまま、政治への信頼を大きく失墜させました。国民が持っていたであろう、透明でクリーンな政治への期待を裏切った責任の大きさは、はかり知れないものであります。
 普天間問題では、迷走に迷走を重ね、問題をこじらせ、国家の安全保障と国際的信頼を失墜せしめ、あげくに、社民党の政権離脱という事態となりました。
 相次ぐ公約の破綻しかり、そして今回の口蹄疫への対応しかり、今や民主党政権における統治能力の欠如は、目を覆わんばかりであります。
 そして、小沢幹事長を頂点とする選挙目当ての独裁政治、恐怖政治とあわせ、国家の運営を極めて危ういものにしているのであります。
 この決議案は、鳩山内閣において初の閣僚に対する不信任決議案であります。これは、ひとり赤松農林水産大臣だけにあてられたものではなく、民主党政権の現状を憂え、国家の行方を憂え、打ち鳴らす警鐘であります。
 議員各位の御賛同を切に願い、趣旨弁明といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。森本哲生君。

○森本哲生君 民主党の森本哲生でございます。
 民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました赤松農林水産大臣の不信任決議案に対し、反対の立場で討論いたします。(拍手)
 討論に入る前に、宮崎の皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げます。
 このたびの口蹄疫につきましては、まさに想像を絶する出来事であり、皆様方にとってどれほどつらく、悲しいものであることか、今もその現実が続いていると思うと、筆舌では尽くしがたい、つらく、やるせない気持ちでございます。
 何の罪もない家畜が殺傷される、他を生かすために、みずから育てた命を絶たなければならない、新しい命の誕生を喜んであげることもできない、ともに生き、ともに生かされてきた農家の皆さんのことを思うと、胸が張り裂けんばかりの悲痛な叫びが聞こえてくるのであります。
 口蹄疫が発生して、きょうで四十二日目。口蹄疫を担当する私ども農林水産委員会の委員を初め、多くの仲間から、何をおいても現地に駆けつけたい、そして実態を見せていただきたい、そうでないと、昼夜必死に頑張っていただいている農家や関係者の皆さんのお気持ちを十分理解することができないのでは、そのような声をたくさんいただきました。しかし、今回の口蹄疫が極めて感染力の高いものだけに、そのことも許されず、道休議員を中心に、地元の議員の皆さんの情報をもとに、その対策を行ってきたところでございます。
 そのための具体的な方策として、五月二十八日に口蹄疫特別措置法を成立させていただきました。この法律は、与野党全会一致で可決され、大変ありがたいことと感謝をいたしております。しかし、この法案は、与野党議員の皆さんの中でも激しい賛否の議論が行われました。
 どのような措置が本当に農家の方々や、酪農、畜産界にとって必要なのか、国の関与を強くすることで農家の皆さんの活動をさらに制約することになりはしないか、他方、口蹄疫の拡大防止や生活再建は喫緊の課題、けんけんがくがくの議論の末、ようやく深夜に法案の骨子がまとまったのでございます。
 しかし、そんな努力でつくり上げた法案の直後に大臣不信任が提出されたことは、極めて残念であります。野党の皆さん方からは、事実でないことも含め、さまざまな御指摘、御批判をいただいておりますが、私どもが大臣を近くで拝見させていただいている限り、政務三役がしっかりと連携されて、でき得る限りのことはしっかり対応しておられます。
 今は、大臣を先頭に一日も早く口蹄疫を終息させるのが、国民から負託を受けた我々国会議員の使命ではないでしょうか。
 国権の最高機関としての国会の役割、それは、現下の課題に少しでもスピーディーに対応すること、野党の皆さんもそのことを強調されてきたではないですか。今、大臣の不信任を出されるということは、燃え続ける火災現場で指揮官を交代させるようなものじゃないですか。
 赤松大臣は、マグロ交渉などに見られるように、的確な判断力と強いリーダーシップをお持ちの大臣です。今この段階で大臣をやめさせて何が得られるのでしょう。事ここに至っては、大臣が口蹄疫対策業務により多くの時間を割けるようにしていただくのがよりよい結果につながると確信いたしております。今、国会でこんな争いをしていてはいけないのです。(発言する者あり)
 聞いてください。
 最後に、もう一度、宮崎の皆様方に申し上げます。
 私の選挙区松阪は、有名ブランド松阪牛の産地でございますが、宮崎の牛のおかげで今日のあることに感謝申し上げます。
 今は、生きることもつらいとお思いになることもあるでしょう。私たち議員も全力を尽くします。そして、必ず耐え忍べば報われることを信じてください。
 昭和初期の総理大臣の指南役として政治の師と仰がれた佐藤一斎先生の「暗夜を行く、暗夜を憂うなかれ、ただ一灯を頼め」という言葉があります。どんな暗やみの中でも、どん底に落ち込んでも、あすは必ず来ます。日は上ります。小さな光、自分を信じて、希望という光を信じて頑張っていただきたい。多くの仲間が応援をしています。そして、多くの仲間そして私ども議員が宮崎の地を訪問できる日が一日でも早く来ることを祈りながら、願いながら、反対討論といたします。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 森山裕君。

○森山裕君 自由民主党の森山裕でございます。
 ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に賛成の立場から討論をいたします。(拍手)
 賛成の第一の理由は、赤松農林水産大臣の口蹄疫に対する見識の希薄さと対応の甘さがあるからであります。
 口蹄疫は、ウイルスによる急性伝染病で、伝播力が極めて強く、感染速度が速く、一たび流行すると広範囲に広がり、国内の畜産業のみならず、国際間の畜産物防疫に多大な被害を及ぼす家畜伝染病であります。
 十年前の平成十二年三月二十五日に、宮崎県の農場で口蹄疫の疑似患畜が診断をされました。四月にも宮崎県の二農場、五月には北海道の一農場でも診断をされました。我が国では九十二年ぶりの発生であり、畜産関係者を震撼させました。
 政府・与党、地方公共団体、獣医の皆さん、農業団体、畜産関係者等が一丸となって対応し、宮崎県で三十五頭、北海道で七百五頭を殺処分して、六月九日に終息しました。九月二十六日には、国際獣疫事務局によって、日本は口蹄疫に対する清浄国であると再び認定をされました。我が国の迅速な対応は、国際的に高い評価を受けました。
 九十二年ぶりの発生であった前回の見事な対応に比較して、今回の対応はお粗末そのものであります。この差はどこに起因をするのでしょうか。それは、赤松農林水産大臣の口蹄疫に対する見識の希薄さと対応の甘さによるものであります。
 第二に、危機管理能力の欠如であります。
 危機管理の要諦は、最悪の事態を踏まえ、対策を果敢に遂行すべきことにあるとされております。
 四月二十日に疑似患畜が確認をされ、四月二十三日には、ウイルスの伝播力が牛の千倍以上とも言われている豚にも感染が確認をされました。四月二十八日には、牛への感染が急増し始めました。
 五月一日からの連休を控え、交通量の増大が予想されていたにもかかわりませず、蔓延防止体制も、防疫体制も整っていなかったのであります。
 そこで、私ども自民党では、赤松大臣の外遊を取りやめるべきであるとの申し入れをいたしました。しかし、残念ながら、五月一日から八日まで、内閣法第十条の規定により、臨時に農林水産大臣の職務を行う農林水産大臣臨時代理として福島みずほ君を指定し、赤松大臣は外遊を強行されました。
 赤松大臣が日本を留守にしている間に、私どもの心配が現実となり、感染地域は他の地域へと拡大し、患畜頭数は爆発的に増加をいたしました。
 帰国後の十一日の農林水産委員会で、外遊についてただされると、赤松大臣は、「こういう時代ですから、リアルタイムで、仮にメキシコに行っておりましても連絡がとれますので、随時連絡をとりながら、」「一定の範囲の中で何とか封じ込めることが今できている。」と、のんきな答弁をされました。
 ところが、五月十七日に、口蹄疫を小丸川から南下させてはならないという地域の皆さんの強い思いを打ち砕くかのように、新富町の酪農家でも感染が確認をされ、感染地域は拡大を続けました。
 外遊の訪問先は、口蹄疫発生の重大さを認識されている中南米の畜産国であります。日程を変更し、繰り上げて帰国することに理解を示していただける国であったはずであります。しかしながら、赤松大臣は、外遊を中断されることもなく予定どおり続けられました。
 赤松大臣の外遊中にも、発生農場や周辺の地域では、国、地方公共団体、農協を初め、畜産団体の職員、獣医の皆さんやボランティアの方々が、連休返上で懸命に蔓延の防止と防疫に取り組んでおられました。赤松大臣が宮崎県の県庁所在地である宮崎市を訪問されたのは、発生から三週間後の五月十日でありました。
 ノーブレスオブリージュという言葉があります。身分の高い者はそれに応じて果たさなければならない社会的責任と義務があるという言葉です。赤松大臣にこの心構えがあるようには見受けられないのであります。危機管理に対する資質を備えていないということであります。
 第三に、法令違反の状態を放置し続けているということであります。
 私は、平成十二年の宮崎県での口蹄疫、平成十六年の地元鹿屋市で発生をした豚コレラの疑似患畜を国会議員として経験いたしました。この経験から、ウイルスとの戦いは科学を信じる以外に方法はないという思いを強くいたしました。
 家畜伝染病予防法は、まさに科学的知見により法制化されております。私どもは、科学の力を信じ、真摯な対応をしていかなければなりません。この道しかウイルスとの戦いを克服できる道はないのであります。家畜伝染病予防法第十六条、屠殺の義務では、直ちに屠畜すること、第二十一条、死体の焼却等の義務では、遅滞なく焼却または埋却することを規定しております。このことは、速やかに殺処分をすることにより、感染拡大を阻止しようとするものであります。
 口蹄疫への効果的な対応は、数日ではなく、数時間以内の活動が成功を左右すると言われております。国際連合食糧農業機関の口蹄疫緊急時対策の準備によると、豚が呼気に排出をする空中ウイルスは牛の三千倍に達するとされております。感染が拡大し、シカやイノシシなどの野生動物に広がると、我が国は口蹄疫の汚染国から抜け出せなくなってしまうのであります。
 五月三十日現在、殺処分しなければならない牛三万二頭のうち殺処分をした頭数は一万二千百二十六頭であり、豚十三万三千四百七十四頭のうち殺処分をした頭数は九万九千八百八十七頭であります。牛一万七千八百七十六頭、豚三万三千五百八十七頭が、信じられないぐらいの多くの頭数が殺処分をされないまま残されている現実があります。赤松大臣は、口蹄疫のウイルスが猛威を振るい、感染が急速に拡大をし、空気感染が懸念をされているにもかかわらず、法令違反の状態を放置しているのであります。
 最後に、政治責任であります。
 口蹄疫発生以来、宮崎県を初め、隣県の熊本県、大分県及び鹿児島県では、家畜市場は開かれておりません。繁殖農家、肥育農家、養豚農家、酪農家は、一日も早い清浄化を祈り、耐え忍んでおられます。家畜商、人工授精師、レンダリング業者を初め、家畜関連業者も収入の道が閉ざされているのであります。また、九州各地で催し物が中止を余儀なくされております。
 このような中、五月十六日に口蹄疫対策本部では、十キロから二十キロを緩衝地帯とするため、牛と豚の早期出荷促進策を打ち出しました。ところが、二十キロメートル圏内にある食肉処理場では、処理に三カ月以上かかると言われています。さらに、食肉処理時に発生をする残渣の処分場は確保できていない状態であります。
 政治主導を振りかざし、対応は後手の連続、打ち出す対策は、見通しのない、実現不可能なものであります。
 赤松大臣は、辞任について問われた五月十八日の記者会見で、御批判は御批判としてあれば、不信任案を出すなり、もし野党が出されるのであれば、それは出されればいいのではないか、ただ、私自身は、やってきたことについて、全く、そういう反省をするところ、おわびをするようなところはないと述べられました。
○議長(横路孝弘君) 森山裕君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○森山裕君(続) 二十五日の農林水産委員会では、結果としてこれだけの広範囲に口蹄疫が広がった、そのことについては、大変それは申しわけない気持ちでいっぱいですと、みずからの結果責任を認められました。
 口蹄疫は、多くの分野、多方面に甚大な被害をもたらしております。感染地帯とその周辺の地域からは、悲痛な叫びが連日のように報じられております。地域経済そのものが存亡の危機に瀕しております。日本全国の畜産が、感染の恐怖と不安におののいております。
 赤松農林水産大臣が農林水産行政のトップであることは、地方経済の基幹産業である農業の将来を奪うだけでなく、地方経済そのものの崩壊を招きます。
 以上、農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に対しての賛成討論といたします。
 議員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 石田祝稔君。

○石田祝稔君 公明党の石田祝稔です。
 討論に先立ちまして、発生農家の皆様並びに関係者の方々に心からお見舞いを申し上げます。また、現地において昼夜を分かたず防疫対策に当たってくださっている皆様に、心から感謝申し上げます。
 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案に賛成の立場から討論いたします。(拍手)
 四月二十日の発生から、本日で四十二日目であります。口蹄疫の疑い事例は、五月三十日現在、二百三十八例に達し、疑似患畜は発生以来十六万三千四百九十二頭になりました。口蹄疫はいまだに制圧できておりません。
 我が子同様に慈しみ育てた牛、豚が自分の眼前で殺処分される、また、殺されることを前提にワクチンを打たれる。農家の皆様のお気持ちを思うとき、おかけする言葉すら思い浮かびません。
  銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも
万葉集にある山上憶良の歌であります。まさしくこの思いで育て上げたのではないでしょうか。
 大臣は、ここまで被害を拡大させたという責任をどのようにお考えでしょうか。
 発生から九日目の四月二十八日、既に国連食糧農業機関は、今回の口蹄疫の発生について、英国初め欧州で蔓延し、百二十億ドルの被害をもたらした二〇〇一年のような惨事に発展する可能性を指摘し、国際的監視強化を呼びかけました。赤松大臣、あなたは当然このことを知っていたのではないですか。知っていて、二日後の四月三十日から九日間の中南米訪問に出かけたのであります。野党から厳しく反対の声が上がる中、無責任にも外遊を強行したのであります。
 あなたが外遊している間、五月二日には累計約九千頭、五日には累計二万七千七百七十二頭が殺処分対象になっているのです。この五日、宮崎県知事は非常事態に相当すると発表しましたが、あなたのもとにこうした報告は入っていたのではないですか。ところが、あなたは一向に帰ってこようとはしませんでした。全く危機意識に欠けたお粗末な対応であったと言わざるを得ません。
 日々入ってくる口蹄疫蔓延の被害状況を聞いて、なぜ日本に戻るべきだと思わなかったのでしょうか。大臣たる者、本来ならば、現場の方々と痛み、苦しみをともにすべき立場ではないのですか。あなたが外遊先で眠っているその時間に、日本ではたくさんの方々が眠れずに苦闘を続けていたのです。人間として真摯に深く反省すべきではないでしょうか。
 また、帰国したその日も、成田から直接その足で宮崎へ向かうのが責任者であるあなたの当然の行動だと思います。この五月八日までに、既に殺処分対象頭数は六万二千頭を超えていたのです。
 一体何を考えて、栃木の衆議院議員の後援会の会合を優先させたのでしょうか。あなたの心の中で、宮崎より栃木が優先をされたと言わざるを得ません。あなたのそうした行動を見て、国民がどう感じるかわからないのですか。あなたには危機管理意識が全く欠如しているだけでなく、現地の方々の悲痛な叫びが心に届かなかったということであります。
 いずれにせよ、世間がゴールデンウイークだからといって、あなたのように国家の要職にあり、しかも重大な事案を抱えている責任者が、細心の注意も持たずに、海外に出ていったきり帰ってこない。これでは、国民はたまりません。ましてや、被害に遭われて苦しんでいる方々は救われません。
 帰国後のあなたの数々の発言も大変に議論を呼びました。
 五月十一日、私一人がいなかったからといって、いささかも支障があったとは理解していない。十八日、やってきたことについては全く、反省するところ、おわびするようなところはない。十九日、具体的に私のどこが間違っていたのかを教えてほしい。
 去る二十五日、私ども公明党は、現行の家畜伝染病予防法では対応できない防疫対策上の課題や被害農家の方々への支援策を盛り込んだ、口蹄疫対策特別措置法案を国会に提出いたしました。その後、民主党、自民党の独自案も踏まえ、三党での修正協議を行い、二十六日に衆議院で委員長提案の後可決、二十七日に衆院本会議で可決、参議院へ送付され、二十八日に成立いたしました。各党の提出日からわずか四日での成立でありますが、宮崎で奮闘されている皆様のことを思えば、当然のスピードであったと思います。
 これによって、経済的に大変な目に遭われている被害農家の方々に対して、申請なしでの仮払い、支援のための基金の創設など、迅速かつ確実な支援策が可能となりました。本来であれば、政府が率先して新法制定に動くべきでありました。
 大臣、事ここに至れば、自身の不明を恥じて、被害者の皆様に真摯にこうべを垂れ謝罪すべきであります。
 これ以上、農林水産大臣の職を汚すべきではありません。出処進退はみずから決せよと申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 赤嶺政賢君。

○赤嶺政賢君 私は、日本共産党を代表して、赤松農林水産大臣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 不信任に賛成する理由は、口蹄疫問題をめぐる大臣の対応が不信任に値するからであります。
 宮崎県における口蹄疫の被害は、五月三十日現在、感染家畜数で十六万三千四百九十二頭に及び、被害農家の経営や精神的打撃は甚大です。被害は、地域経済、関連産業にまで広がり、宮崎県全体を揺るがしています。
 このような事態を招いた責任は、家畜伝染病予防の最終的責任者である赤松農林水産大臣にあり、その責任は重大です。
 そもそも、口蹄疫は、極めて感染力の強い、最も恐れられている家畜伝染病であり、世界各国とも、国が責任を持って迅速に対処しています。口蹄疫対策で何よりも重要なことは、初動で抑え込むことにほかなりません。
 今回、四月二十日に一頭目の感染が発覚して、その三日後には、既に三月三十一日の時点で、県内の水牛が感染していたことが判明しました。少なくとも、三月三十一日以前に口蹄疫が宮崎県内に侵入し、二十日間以上感染が拡大し続けていたことが明らかになったのです。
 この事態に直面して、市町村や県任せにせず、国が感染拡大を防止するために全力を挙げるべきでした。
 ところが、大臣は、感染拡大防止の先頭に立つどころか、四月二十九日から外遊に出発し、電話で感染拡大の状況を確認していたにすぎません。しかも、責任を問われて、赤松大臣は、一切反省することはないと強弁したのであります。畜産農家の方々の思いを踏みにじる暴言は、断じて許せません。
 私たち日本共産党が四月二十七日に現地調査を行った際、地元自治体から、埋却場所の確保ができず殺処分ができない、感染が広がりかねない、町だけの力では埋却地の確保はできない、国が主導的にやってほしいとの訴えを受けました。これを受け、翌二十八日には、農林水産副大臣に対して、国が埋却処理を責任持って行うことを申し入れました。
 ところが、その後、大臣は、埋却地の確保に何ら主導的な措置をとりませんでした。
 その結果、感染被害は急速に拡大し、殺処分対象家畜十六万三千四百九十二頭のうち、殺処分されていない家畜は五万五千百九十一頭、そのうち埋却地が確保されていない家畜は三万一千七百四十八頭に及びます。
 驚くことに、五月七日に感染が確認された家畜が未処分のままという事態まで招いたのです。未処分の感染家畜からは大量のウイルスが放出されており、これが今回の爆発的な感染拡大を招いたことは明らかです。
 一刻も早く口蹄疫を抑え込むために、埋却地の確保を含め、必要な手だてをとってこなかった大臣の責任は極めて重いと言わなければならず、不信任決議案に賛成するものです。
 今必要なことは、この口蹄疫を何としても抑え込み、拡散をさせないために、国が責任を持って埋却地の確保を行うとともに、ありとあらゆる人的資源と機材を投入して、感染家畜の殺処分と埋却を行うことです。同時に、感染被害農家が立ち直り、経営を再建できるまで、政府が責任を持って対応しなければなりません。
 先週、口蹄疫対策緊急措置法が成立しましたが、被害農家からは、生活保障の具体策が見えてこない、一時的な国の補償ではとても生活していけないとの悲鳴の声が上がっています。政府の責任で、被害農家がもとの経営を再建するまでの営農生活資金の直接支援を行うよう強く求め、討論を終わります。(拍手)
○議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百四十七
  可とする者(白票)       百四十一
  否とする者(青票)        三百六
○議長(横路孝弘君) 右の結果、農林水産大臣赤松広隆君不信任決議案は否決されました。(拍手)

第174回国会 内閣委員会 第8号 平成二十二年六月一日(火曜日)   午前十時開会

○金子恵美君 それぞれの省庁によってその上限値も決定されているようでもございます。
 もう一つお伺いさせていただきますと、今も少し触れてはいただきましたが、加算等もあるということではございますが、当該職種の行う業務の執行に著しい支障があるものと認めるときは、平成二十一年度新規採用数の範囲内で加算することができるということでございます。
 著しい支障があるとはどのように測ることができるものでしょうか、お伺いさせていただきたいと思います。
○大臣政務官(階猛君) 著しい支障というのは、例えば刑務官や海上保安官など、治安の最前線で勤務する専門職種などについて、これを採用抑制を厳しくやっていきますと、国民の命を守るという観点から、業務の執行に著しい支障が生ずるおそれが強いということで、これに当たると考えております。
 また、昨今では口蹄疫問題、大変な深刻な問題になっておりますけれども、口蹄疫対策などについても、こちらはしっかり人員を確保しないと検疫業務に著しい支障を来すということで、こちらも配慮させていただいていると、こういうことでございます。
○金子恵美君 ありがとうございます。
 治安の最前線で国民の命を守るということと、また食の安全の問題も、今お触れいただきました口蹄疫の問題というのが今大変なことになってございますけれども、ただ、やはりまずは命を守るためには食の安全、食を守るということもありまして、農水省に関しましてはこれの加算というところもあるのだというふうに解釈をさせていただきまして、今後もそのような考え方を引き続きしていただき、しっかりとした対応をしていただきたいというふうに思ってございます。

第174回国会 本会議 第35号 平成二十二年六月十一日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十三号  平成二十二年六月十一日    午後一時開議

○内閣総理大臣(菅直人君)
(中略)
 また、今この瞬間も、宮崎県の畜産農家の方々は、我が子のように大切に育てた牛や豚を大きな不安を持って世話をしておられます。地元では、口蹄疫の拡大をとめようと懸命な作業が続けられています。政府は、迅速な初動対応や感染拡大の阻止に総力を挙げるとともに、影響を受けた方々の生活支援・経営再建対策に万全を期してまいります。
(後略)

第174回国会 本会議 第27号 平成二十二年六月十一日(金曜日)   午後二時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十八号  平成二十二年六月十一日   午後二時開議

○内閣総理大臣(菅直人君)
(前略)
 また、今この瞬間も、宮崎県の畜産農家の方々は、我が子のように大切に育てた牛や豚を大きな不安を持って世話をしておられます。地元では口蹄疫の拡大を止めようと懸命な作業が続けられています。政府は、迅速な初動対応や感染拡大の阻止に総力を挙げるとともに、影響を受けた方々の生活支援・経営再建対策に万全を期してまいりたいと思います。

第174回国会 議院運営委員会 第40号 平成二十二年六月十六日(水曜日)    正午開議

○逢沢委員 私ども自由民主党は、今国会の会期を九日間延長することを提案し、強く主張をするものであります。
(中略)
 野党は、以前より、政治と金の問題、普天間問題等の外交、安保の問題、経済財政に加え、口蹄疫問題に関して予算委員会での十二分な質疑が必要である点で一致をし、現場はもちろんのこと、国対間、幹事長間で何度も国会の延長また予算委員会等の開会を要求し、六月十四日には、野党六党首が集まり、与野党党首会談を呼びかけたのであります。
(後略)

○遠藤(乙)委員 公明党を代表いたしまして、会期延長問題につきまして発言をさせていただきます。
(中略)
 さらに、口蹄疫の問題も、大変な危機管理の失態があり、大変国民を不安に陥れておる。特に、畜産業の将来にとっては大変深刻な事態にあるわけでありまして、これに対しても十分な論議が必要であります。
(後略)

第174回国会 本会議 第37号 平成二十二年六月十六日(水曜日)
    ―――――――――――――
  平成二十二年六月十六日    午後一時 本会議

○赤澤亮正君 私は、自由民主党・無所属の会の赤澤亮正です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。(拍手)
(中略)
 さらに、国政のもう一つの分野においても同様の事態が起きております。それは、危機管理分野であり、口蹄疫への対応の問題であります。
 四月二十日に第一例目の疑似患畜が確認されてから、自民党は、直ちに対応を開始し、幾度にもわたり政府・与党に提言を行いました。
 口蹄疫の恐ろしさを知り尽くしている自民党は、十年前に発生した口蹄疫を七百四十頭の殺処分で封じ込めて世界的に絶賛されたそのノウハウを余すことなく政府・与党に伝えようと全力を挙げました。しかしながら、今の政府・与党の反応は、口蹄疫の恐ろしさも十分に認識しておらず、そして何よりも、自民党の提言は聞きたくないという態度がありありでした。そうでなければ、自民党の提言を直ちに実施したはずであります。
 自民党の提言の具体的内容には、予防的全頭殺処分を行うこと、現地対策本部を設置すること、直ちに自衛隊の出動を求めること、一般車両の消毒も行うこと、被害に遭われた農家の補償や再生産開始のための財政支援を行うための十分な予算の確保などが含まれておりましたが、いずれも即日行われることはありませんでした。
 特に重要な予防的全頭殺処分と現地対策本部の設置に至っては、実現したのは、自民党が提言してから約一カ月後のことでした。そのころには、初期に口蹄疫を封じ込めることは手おくれ、不可能となっており、その後、自民党政権の殺処分頭数である七百四十頭の数百倍の家畜の殺処分を余儀なくされました。まさに人災であります。
 菅総理、あなたは、自分が手塩にかけて育てた家畜が殺処分をされ埋却されるときに、自分も一緒に埋めてくれと言う畜産農家の気持ちがわかりますか。
 さらに、その後、自民党の案を丸のみして口蹄疫対策特措法を制定しましたが、いまだにその法案が求める予算措置はできていません。ここにおいても政権の責任は明らかであります。今の政府・与党に危機管理の能力は全くないということであります。現地対策本部長として責任を果たせなかった山田当時の副大臣が幾ら大臣に昇格しても、全く危機管理に期待はできません。
 民主党の皆様、菅内閣の閣僚の皆様は、事実から虚心坦懐に学んでいただきたいと思います。外交・安全保障の目下の最大懸案である普天間問題、経済財政分野の目下の最大懸案である財政再建、危機管理の目下の最大懸案である口蹄疫対策についても、皆様が取り組みを進めると、最後はすべて自民党案に収束するではありませんか。
(後略)

○大村秀章君 自由民主党の大村秀章です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案に対しまして、断固賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 六月二日、鳩山前総理が八カ月の迷走を続けたあげく、政治と金、普天間、口蹄疫、経済無策などで行き詰まり、突然、政権をほうり投げました。無責任のきわみであります。
(中略)
 さて、口蹄疫の問題では、宮崎県の畜産農家を初め関係者に心からお見舞い申し上げます。国会としても万全の対策を講じることをお誓い申し上げます。
 しかし、民主党政権は、ここでも驚くべき危機管理能力の欠如、無能ぶりを露呈いたしました。
 宮崎県で四月二十日に感染が確認されてから、鳩山前総理を本部長とする対策本部を立ち上げたのが、一カ月おくれの五月十七日。赤松前農水大臣は、あろうことか、四月三十日から九日間も中南米を外遊。この間、山田副大臣も一週間農水省に出勤しておりません。無責任のきわみであります。
 そして、政府の対策は後手後手に回り、今や三十万頭に上る殺処分をしなければならない状況に追い込まれました。山田副大臣自体、五月の半ば、初めの埋却処分がおくれ、感染拡大を招いてしまったと述べ、初動のおくれと責任を認めています。にもかかわらず、大臣に昇格。
 菅内閣には責任という概念があるんですか。今や、感染は宮崎県全域に広がり、九州及び日本の畜産の危機です。非常事態を宣言して国会を延長して毎日審議をして対策に万全を期すべきとの申し入れを、十一日、仙谷官房長官に行いましたが、ナシのつぶてです。民主党政権の無策による人災にもかかわらず、危機感も責任感もゼロと言わざるを得ません。
(後略)

    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 討論の通告があります。順次これを許します。鈴木克昌君。
    〔鈴木克昌君登壇〕
○鈴木克昌君 民主党の鈴木克昌であります。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論をいたします。(拍手)
 昨年の総選挙で三百八議席という圧倒的国民の皆様の支持を受けて誕生した民主党を中心とした連立政権、この九カ月の足跡を振り返れば、決して平坦な道程を歩んできたわけではありませんでした。それは当然であります。我々の政権が挑戦し続けているのは、長きにわたる自民党政権が築き上げてきた既得権益構造がはびこる政治、行政を根底から覆す大改革であるからであります。
 自民党政権下の内閣は官僚の実効支配を許し、与党議員は族議員として隠然と影響力を行使することに奔走し、主権者たる国民の声は遠く届かなかった官邸と霞が関。我々は、ここに国民、生活者の息吹を強く吹き込むことに挑み続けているわけであります。
 多くの抵抗があります。場合によってはサボタージュもあるでしょう。そして、日々膨大なエネルギーを必要とする難事業であります。しかし、政治家が主導し、責任をとりながら、行政の英知を束ね、活用し、我が国の新しい道筋を切り開き続けているのです。
 昨年の政権交代後、直ちに事務次官会議を廃止して、閣僚が政策を直接協議、調整する仕組みに改めました。各府省においても、大臣、副大臣、政務官の政務三役が政策決定を行う仕組みを導入し、政治主導の体制整備を進めました。
 これまでは、丸投げされた官僚が事前に省庁間で根回しをして、閣議は、議論もなく、ただサインをするだけのセレモニーでした。自民党の諸君は、本当にこれが内閣のあるべき姿と今もお考えなのでしょうか。
 官邸においても、省庁においても、政治家が責任を持って議論を重ね、政策を決定する。スマートなセレモニーとはほど遠くとも、時には手間取ることがあっても、まだまだ未熟な部分が残っていても、本当の政治の姿はこちらの方にあるのではないでしょうか。
 政治家が国民、生活者から負託された責任を貫く、その結果、事業仕分けに象徴されるように、税金の使い道の透明性が高まり、これまで見過ごされてきた無駄遣いに切り込むことができました。
 また、今年度の政府予算は、公共事業費を一八・三%減とする一方で、社会保障費は九・八%増、教育費も五・二%増など、予算配分を大きく見直し、国民の命と暮らしを守る予算とすることができました。これは、官僚支配の自民党政権では到底でき得なかった、大改革を象徴する一例であります。
 厳しい経済情勢を背景とした税収の落ち込み、そして自民党政権が無責任に積み重ねてきた巨額の財政赤字、この過酷な条件の中でも、民主党マニフェスト政策を中心に、既に多くの実績を上げてきています。
 子ども手当、高校の無償化、農業の戸別所得補償、数々の雇用政策、支援、また生活保護の母子加算復活や父子家庭の児童扶養手当給付、そして肝炎被害者、水俣病被害者、被爆者の方々の視点に立った政治判断、これらはいずれも、自民党政治ではあり得なかった施策の数々であります。国民の皆様からお預かりした税金を、必要としている当事者に無駄なく活用する施策。当たり前のようですが、実は、これは改革の大きな特徴でもあります。
 これまでの事業は、税金が当事者に届くまでに幾重にも不透明な仕組みや団体などが介在し、利権や天下りの温床となっていました。言葉をかえれば、使われた税金の多くが、政策や事業の目的とはかけ離れた不透明な世界に吸い取られていたのであります。
 自民党政権の強大な負の遺産に決してひるむことなく、民主党政権は、改革の険しい道を一歩一歩その歩みを重ねているのであります。
 国民の皆様の期待を受けて誕生した前鳩山総理は、結果としては申しわけないことになったわけでありますが、新しいリーダーシップのもとでもろもろの課題を進めていく、このように判断をいたしました。そして、身を引く勇断をされたわけであります。
 菅内閣は、この勇断を受けて、民主党が進めるこの国の大改革、再生の歩みを決してとめることなく、さらに加速するために発足いたしました。
 菅総理は、既に所信表明において、強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現で元気な日本を復活させる道筋を具体的に説明いたしました。
 そして、民主党は、予算委員会の開催や党首討論開催を野党に呼びかけ、国会の場での政策討論実現を提言いたしました。しかしながら、野党は、これを拒んだのであります。全くもって驚くべき暴挙であります。あげくの果てが、この内閣不信任決議案であります。
 国民の前での正々堂々とした政策議論からひたすら逃げて、相も変わらぬ日程闘争という旧態依然とした国対戦術、そしてアリバイ闘争に、国民の信は到底あり得ません。野党の諸君は、真摯に国民の声に耳を傾け、猛省すべきであります。
 反対のための反対、批判のための批判を弄するのではなく、政策を持って論を闘わす、責任ある政党に脱皮することが今何よりも国民から求められていることを受けとめるべきであります。
 民主党が進める大改革は、歴史の必然であることを確信します。そして、議題となった内閣不信任決議案を否決することは、未来から託された使命であると確信をいたしております。
 議員各位、決して時計の針を逆に戻してはなりません。ともに、これまでの既得権益構造との決別を誓い、政治家が国民、生活者から負託された責任を全うする政治を再生させようではありませんか。
 本院が良識を持って圧倒的大差で菅内閣を信任し、日本の政治をさらに一歩二歩進めることを切に願い、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 大村秀章君。
    〔大村秀章君登壇〕
○大村秀章君 自由民主党の大村秀章です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました菅内閣不信任決議案に対しまして、断固賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 六月二日、鳩山前総理が八カ月の迷走を続けたあげく、政治と金、普天間、口蹄疫、経済無策などで行き詰まり、突然、政権をほうり投げました。無責任のきわみであります。
 会期末に十日間もの政治空白、与党による前代未聞の無責任な審議拒否とも言えるありさまです。
 ただ、新政権ができたら代表質問と一問一答の予算委員会をやる。そこでの議論で論点を掘り下げて、国民の皆様に各党の政策を判断していただく。当然のことであり、準備をしておりました。
 しかし、ここでまた、突然、与党から審議拒否されてしまいました。
 何と、予算委員会を全く開かずに何が何でも国会を閉じる、そして一切議論せずに参院選に突っ込む、菅総理の答弁は危なっかしくて、政策も準備不足で、とても議論にたえるものではない、一問一答の予算委員会はもたない、荒井大臣に至っては、事務所費問題の説明が全くできない、これ以上不祥事が出てきたらたまらない、とにかくさっさと国会を閉じて議論にふたをしてしまえと、民主党参議院側が、輿石会長を先頭に、強硬に主張したと報道をされております。
 菅総理に申し上げます。
 なぜ逃げるのですか。なぜ逃げるのですか。なぜ国会の議論から逃げるのですか。なぜ予算委員会の議論から逃げるのですか。そんなに国会の議論が怖いのですか。国会で議論を重ねれば、次から次へとぼろが出て、化けの皮がはがれて、もたない、国会論戦にたえられない、だから逃げるのですか。いつからそんな腰抜け、ひきょう者になったんですか。あなたは何のために総理大臣になったのですか。議論から逃げるためですか。恥ずかしくありませんか。恥ずかしくありませんか。
 そもそも、不十分とはいえ、予算委員会を衆参一日ずつでもやろうと提案してきたのは、民主党ですよ。樽床委員長ですよ。それが、先ほど言った理由で、参院の輿石会長のツルの一声で、とにかく選挙のためには国会を閉じろといって、予算委の提案を今週になって突如、撤回してきました。
 これが事実のすべてでございます。にもかかわらず、先ほどの鈴木議員のあの発言は何ですか。盗人たけだけしいとは、このことでございます。十分反省していただきたい。うそを言わないでいただきたい。うそを言わないでいただきたいと申し上げたいと思います。
 新政権になって、選挙を前にして予算委員会を開かなかったことはありません。国会の慣例、ルールを、民主主義を踏みにじる、まさに暴挙であります。ぼろが出ないうちに選挙との、党利党略そのものであります。
 この一連の経過のどこに、菅総理、あなたのリーダーシップがあるのですか。いきなり輿石参議院会長の言いなりではないですか。小沢・輿石ラインのなすがままではないですか。あなたが所信表明の最後で強調した、政治的リーダーシップが最も欠如している総理があなたではないですか。このことだけで、あなたに総理大臣の資格がないことが満天下に示されたと言えます。
 さて、鳩山政権がすべてに行き詰まって退陣しても、選挙目当てに表紙を変えただけで、国政のすべてに停滞と混乱をもたらした民主党政権の本質は何ら変わりません。この九カ月間、日本の政治経済を著しく劣化させた民主党亡国政権の大罪を指摘したいと思います。
 まず、政治と金、違法献金の問題。
 鳩山前総理の、六億円の脱税、元公設秘書二人が有罪。小沢民主党前幹事長の、四億円の不動産を政治資金で購入した際の政治資金規正法違反事件、石川知裕議員を含む秘書三人が逮捕、起訴。小沢氏自身も、検察審査会で起訴相当とされました。また、小林千代美議員の選対幹部の元連合札幌会長が公選法違反事件で有罪。さらに、北海道教職員組合からの違法献金事件で、自治労、北教組関係者も有罪。
 これだけ政治と金、違法献金問題が頻発したにもかかわらず、民主党は、鳩山前総理、小沢前幹事長らの証人喚問等にふたをし、議員辞職勧告決議案をも握りつぶしてきました。信なくば立たず、政治に一番大事な信頼を踏みにじってきたのが民主党政権であります。
 そこに、荒井、川端、蓮舫、三閣僚の実態のない事務所費問題。たった二時間だけの限定説明では、事実確認のしようがありません。なぜ全面公開できないのですか。これでは、疑惑がさらに深まったと言わざるを得ません。特に荒井大臣の事務所費には、少女漫画や下着まであるとの報道がありました。その説明も支離滅裂です。
 荒井大臣を隠すために予算委員会をやめて国会を閉じるんだと言われています。汚名返上というなら、荒井大臣、ぜひ全面公開して説明してください。それができないなら、菅総理がかつて言っていたように、潔くやめてください。川端、蓮舫両大臣も同じです。
 次に、沖縄の普天間基地移設の問題も、あいた口がふさがりません。
 最低でも県外移設、沖縄の青い海を埋めることは自然への冒涜、腹案がある、五月末に決着すると言い続けてきたのに、このありさまです。八カ月迷走を続けたあげく、名護の辺野古の現行案そのもの。我々の政権が誠意を持って積み上げてきた沖縄の方々との信頼は、こっぱみじんにぶち壊され、沖縄では、民主党政権に対する怒りが沸騰しています。
 この間、アメリカとの信頼関係は地に落ちました。オバマ大統領を、トラスト・ミーと言って翌日裏切り、その後、まともな会談も開けません。戦後日本の平和と安定、経済発展は、この日米同盟があったればこそ。これをずたずたにし、ゼロどころかマイナスにしてしまった民主党政権の責任は、国の安定の基盤を揺るがし、経済、産業を含め、はかり知れない国益を損なったという意味で、まさに万死に値します。
 菅副総理は何をしていたんですか。所管外だからだんまりですか。鳩山総理がこけるのを待っていたのですか。副総理は共同責任ではないのですか。
 岡田外務大臣、前原沖縄担当大臣、北澤防衛大臣も同罪です。嘉手納統合案から徳之島まで、実に多くの閣僚が思いつきも含めて無責任な発言を繰り返し、迷走を続けたあげく、頓挫しました。鳩山内閣の閣僚全員の責任です。
 しかし、関係閣僚は、そろいもそろって留任です。全く理解できません。菅内閣には、この問題についての責任感のかけらもないと言わざるを得ません。
 さて、口蹄疫の問題では、宮崎県の畜産農家を初め関係者に心からお見舞い申し上げます。国会としても万全の対策を講じることをお誓い申し上げます。
 しかし、民主党政権は、ここでも驚くべき危機管理能力の欠如、無能ぶりを露呈いたしました。
 宮崎県で四月二十日に感染が確認されてから、鳩山前総理を本部長とする対策本部を立ち上げたのが、一カ月おくれの五月十七日。赤松前農水大臣は、あろうことか、四月三十日から九日間も中南米を外遊。この間、山田副大臣も一週間農水省に出勤しておりません。無責任のきわみであります。
 そして、政府の対策は後手後手に回り、今や三十万頭に上る殺処分をしなければならない状況に追い込まれました。山田副大臣自体、五月の半ば、初めの埋却処分がおくれ、感染拡大を招いてしまったと述べ、初動のおくれと責任を認めています。にもかかわらず、大臣に昇格。
 菅内閣には責任という概念があるんですか。今や、感染は宮崎県全域に広がり、九州及び日本の畜産の危機です。非常事態を宣言して国会を延長して毎日審議をして対策に万全を期すべきとの申し入れを、十一日、仙谷官房長官に行いましたが、ナシのつぶてです。民主党政権の無策による人災にもかかわらず、危機感も責任感もゼロと言わざるを得ません。
 さて、日本経済は、リーマン・ショック後、私たちの自民党政権下で講じた経済対策によりようやく持ち直してきましたが、今まさに瀬戸際、正念場に来ております。
 経済効果の少ないばらまきで財政を悪化させ、成長回復に向けた処方せんもない、鳩山政権の経済無策は看過できない、経済政策を大転換し停滞を打開せよと読売社説が指摘をしておりますが、そのとおりだと思います。
 今の日本に必要なのは経済の成長戦略、大事なのは企業と生産基盤を国内に残すこと、そのための政策を我々自民党政権では進めてまいりました。
 しかし、今の民主党政権の政策は真逆であります。昨年十月、三兆円も景気対策のための補正予算を執行停止、今年度予算で二割も公共事業を削減、デフレを推進、円高を放置し産業の空洞化を促進、CO2の二五%削減を強行採決しました。本当にこれを二〇二〇年に実行すると、日本国内では、製造業、物づくりも、鉄鋼、セメント、鋳物といった素材産業も、エネルギー産業も、成り立ちません。まさに企業の追い出し政策です。
 この間、事業仕分けなるもので、科学技術予算を無駄と決めつけ、大幅に削減しました。蓮舫大臣の二番じゃだめなんですかとの発言が全世界の科学者、教育関係者、産業関係者から失笑と怒りを買ったのは記憶に新しいところですが、それだけでは済みません。日本はとうとう将来の成長の種になる科学技術まであきらめたのかという、誤ったメッセージとなってしまいました。
 今回の「はやぶさ」の帰還も同じです。世界に冠たる快挙と菅総理も口では言いながら、後継機の開発費を、我々の政権で十七億円で要求していたものを、事業仕分けでばっさり切って、何と三千万円。今後のめどが立たず、関係者は途方に暮れています。これが菅前財務大臣と川端文科大臣の成果ですか。確かなのは、民主党政権に成長戦略は全くないということであります。
 また、先日強行採決した郵政改革逆戻り法案も象徴的です。郵政を国営に戻して、受け入れ限度額を倍に、マネーを民間から国に還流させて国債に積むだけ。経済成長に何ら寄与することなく、財政規律を麻痺させ、財政破綻のそのときまでただ国債を買い続け、ある日突然、国債暴落とともに崩壊、破綻します。
 こんな愚かな間違いだらけの政策しか出てこない国に、だれが投資しますか。日本企業もどんどん海外に逃げ出しています。ギリシャの次は日本。そして、日本が破綻したときは、だれも助けられません。世界経済が恐慌に陥るときです。こんな破綻シナリオを回避するためには、参院選で民主党亡国政権に鉄槌を下し、我々自民党の成長戦略を断行するしかありません。
 このほかにも、繰り返されるマニフェスト違反のオンパレード。脱官僚をあきらめ、公務員改革は天下りフリー、年金も二年で集中的にやらない、医療制度は先送り、診療報酬も実質マイナス、B型肝炎訴訟は和解を先送り、子ども手当も満額断念、暫定税率の廃止もやらない、無料化と言っていた高速料金は多くは値上げ。今や、民主党マニフェストは、うそと詐欺の代名詞とまで言われる始末でございます。
 十回の強行採決を繰り返したあげく、法案の成立は戦後最低の五〇%台、政権運営の責任はみじんもありません。
 そして、連立政権も、鳩山前総理が辞職し、福島党首も県外、国外の約束をたがえられたあげくに更迭、亀井代表も郵政法案成立の約束を裏切られて辞職。政権発足当初の三党首は、すべて閣外に去りました。もはや連立政権の体をなしておりません。
 以上、民主党政権九カ月の、恐るべき無能、無策と迷走、混乱を指摘いたしました。
 それは、鳩山内閣から菅内閣にかわっても、表紙がかわっただけで、本質は変わりません。今や、民主党政権、菅内閣の存在そのものが、日本にとって災いのもととなっています。その存在が一日一日と続いていくことが、日本に最大不幸社会をもたらすことは明らかであります。
 鳩山前総理は、平成の脱税王でルーピーでした。小沢前幹事長は不動産王で、閣僚には、マニフェスト違反王からスキャンダル王まで盛りだくさんであります。
○議長(横路孝弘君) 大村秀章君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○大村秀章君(続) それを統括して恥じない菅総理、あなたは、さしずめ、日本に最大の不幸をもたらす大魔王、不幸の大魔王であります。究極の王様です。しかし、国民にとって、すべてこんな王様、願い下げであります。一刻も早く退治できるよう、断固闘います。
 そして、日本を不幸のとりこにするあなた方、あなた方、あなた方民主党を追い払い、我々の手で、自民党の手で、もう一度、夢と希望にあふれる一番の国にいたします。すべての人が、地域が、安心、希望、誇りを持てる社会をつくります。
 そのためにも、不幸の大魔王である菅総理、おのれを知って退陣した鳩山前総理と同様、一刻も早い退陣と衆院総選挙で国民に信を問うべきことを申し上げます。
 どうか、議員の皆さん、特に与党の皆さん、良心のかけらでもあるなら、この不信任案に賛成し、日本を救おうじゃありませんか。
 特に、沖縄、鹿児島の皆さん、普天間でこれだけ裏切られてもいいのですか。宮崎の皆さん、口蹄疫対策に万全を期して、農家の皆さんの心にこたえませんか。そのためにも、これらの施策にすべて後ろ向きな菅内閣をかえて、倒して、新しい体制をつくりませんか。
 与野党の枠を超えて賛成を賜りますよう、議員の皆様の良心に心から期待をして、私の菅内閣不信任決議案の賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 遠藤乙彦君。
    〔遠藤乙彦君登壇〕
○遠藤乙彦君 公明党の遠藤乙彦でございます。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題になりました菅内閣不信任決議案に賛成の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 まず冒頭申し上げたいのは、六月八日に菅新内閣が発足し、つい先日、十一日に総理の所信表明を伺ったばかりであります。
 まさか、本日、菅内閣不信任決議案が提出され、それに賛成せざるを得ないというのは、まことに遺憾と言うほかありません。内閣発足後わずか九日間で内閣不信任案が出されるなど、前代未聞、憲政史上初の珍事であり、言葉をかえれば、菅内閣がいかにまれに見る異常な強権内閣であったかの証左でもあります。
 結論から申し上げれば、菅新内閣は、残念ながら、全くその任にたえない内閣であり、即刻退陣を求めるものであります。
 以下、その理由を端的に申し上げます。
 第一に、菅内閣は、平気で人をだます裏切り内閣であります。
 これまで国会では、政権がかわった場合、直ちに予算委員会を開会し、国民の前で新しい総理の政治姿勢について与野党で議論を行うのは当然のことであり、憲政の常道でありました。ところが、菅政権は、あろうことか、衆参で予算委員会を全く開かずに、国会を本日閉じようとしております。
 そもそも、野党の強い要求で渋々衆参一日ずつの予算委員会の開催を提案したのは与党の方じゃありませんか。その提案をみずから突如撤回し、会期を本日で閉じてしまう行為は、まさにペテン師そのものであり、言論の府を土足で踏みにじる行動にほかなりません。
 さらに、昨日は、参議院において、問責決議案等の上程を避けるため、ひそかに本日の参議院本会議立てを見送り、閉中審査手続を含め、すべての議案の審議を与党みずから放棄しようとたくらんだのであります。野党の強い抗議で断念したものの、もはや正気のさたとは言えないと思います。
 一方、菅総理は、郵政改革について、六月四日の国民新党との連立政権合意において、郵政改革法案を速やかに成立を期すとしましたが、それを、舌の根も乾かぬ、わずか数日でほごにしてしまいました。この裏切りによって、国民新党亀井代表を閣僚辞任に追い込んだわけであります。これが政権与党のすることでしょうか。
 郵政改革法案そのものには重大な問題がありますが、ここで申し上げたいのは、菅総理は、連立のパートナーでさえもいとも簡単にだますということであります。社民党もまた、同様の憂き目に遭わされたのであります。まさに、約束は破るためにあるというのが菅民主党内閣のモットーのようであります。
 このように、平気で相手をだまし、裏切る。そんな人間に一国の総理が務まるわけがない、国政をゆだねるわけにはいかないと断言するものであります。
 第二に、菅内閣は、疑惑隠し内閣であります。
 そもそも、菅総理、あなたは、鳩山前政権の中で、副総理兼財務大臣として、政権の中枢として大変重要な位置にありました。政治と金の問題や普天間問題など九カ月間にわたる鳩山失政の責めは、鳩山総理のみならず、当然、あなたにもあるわけであります。そのあなたが、総理になられた最初の所信表明の中で、私も前内閣の一員としてこうした状況を防げなかった責任を痛感していますとおっしゃいました。
 ところが、実際には、菅新政権は、この言葉を翻し、わずか数日のうちに全く逆のことを行ってきたわけであります。
 すなわち、小沢氏の元秘書で逮捕、起訴された石川知裕議員や、北海道教職員組合から違法な企業・団体献金を受け取り、選挙対策の資金管理責任者に有罪判決が下った小林千代美議員に対する辞職勧告決議案についても、幾ら野党が採決を迫っても、今日までたなざらしのままであります。
 また、鳩山総理は、実母から提供された資金の使途について、裁判が終われば書類の返還を求めて、そしてそこで皆様方に見ていただきたいと国会で答弁しておりました。しかし、いまだに、その資料の提出に全く応じようとしておりません。
 菅総理が本当にクリーンな民主党に変わるというならば、すぐにでも、党代表として、党に、具体的な行動として、疑惑解明を指示すべきではありませんか。ところが、あなたは、役職を退いて責任はとったと言い逃れをするだけで、全く疑惑を解明しようとしておりません。
 さらに、菅総理、あなたは、民主党代表選の出馬会見で、小沢氏について、小沢幹事長は、国民のある種の不信を招いたことで、しばらくは静かにしていただいた方が、本人にとっても、民主党にとっても、日本の政治にとってもいいと発言をいたしました。
 あなたは、小沢幹事長が国民の不信を招いたことを認めているならば、静かにしてもらうのではなく、国会や国民の前で小沢氏に堂々と説明してもらうのが筋ではないのか。それでは、ほとぼりが冷めるまで、選挙に勝つまでは隠れていてくださいということではありませんか。それこそまさに小沢隠し・疑惑隠し内閣そのものであると言わざるを得ません。
 また、先ほど触れたように、菅代表率いる民主党は、選挙前に国会で追及されたくないばかりに、予算委員会を開会せずに今国会を閉じようとしております。臭い物にはふたとばかりに、あなたは逃げてばかり。三十六計逃げるにしかず、まさに逃げる奇兵隊であります。その姿は選挙至上主義そのもので、すべての疑惑にほおかむりをしたまま選挙に逃げようとしております。
 こんなことを国民がわからないと思っているんでしょうか。この民主党の浅ましい対応には、新聞各紙も、到底容認できないなどと、厳しく糾弾いたしております。まさに党利党略の疑惑隠し内閣であると強く指摘するものであります。
 第三に、菅内閣は、マニフェスト詐欺内閣であります。
 昨年の民主党マニフェストで掲げられた高速道路の無料化についてであります。これは、菅総理が、平成十五年、民主党代表であったときから、あなたが最も強く推進してきたと認識をしております。
 ところが、高速道路の無料化をめぐる混乱ぶりは、本当にひどい。本来高速道路料金の割引の原資となる財源の一部が高速道路建設に充てられることになり、無料化どころか、一律二千円という負担増を国民に押しつける案を提示。さすがにこれには民主党内からも異論があり、とうとう、うやむやにしてしまいました。まさに国民を愚弄しております。
 マニフェスト違反は、これ以外にも、高校生の所得税特定扶養控除の縮減や、十五歳以下の扶養控除について住民税分の廃止、自動車関係諸税の暫定税率の廃止の撤回など、数え上げれば切りがありません。
 長妻厚生労働大臣は、先日、子ども手当二万六千円支給は難しいと発言し、子ども手当の満額支給を事実上撤回いたしました。これこそ、うその典型ではありませんか。この一点だけで、長妻大臣は辞任に値します。
 財源の目当てもなく、国民にうその公約で選挙民をだまし、政治不信を招いたその罪は、日本の歴史に残る巨悪と言わざるを得ません。
 ところが、所信表明演説で、菅総理は、これらマニフェストが実現できなかったことを何ら総括もしようとしていない。私を信頼していただきたいと述べていますが、そんな総理の言葉にだれが耳を傾けるというんですか。まさに菅内閣は、マニフェスト詐欺内閣、国民だまし内閣と言わざるを得ません。
 第四に、菅内閣は、そもそも閣僚の任にたえ得ない、資質なし内閣であります。
 まず、昨日まで衆参代表質問でも糾弾され、本日参議院で問責決議案が提出された荒井国家戦略担当大臣であります。荒井大臣は、政治団体の事務所費経費で、事もあろうに、女性の下着や少女漫画を政治資金で購入していたというのだから、ただただあきれるばかりであります。恥を知るべきであろうと思います。
 荒井大臣は、菅総理、あなたの側近中の側近であり、北海道選出議員でありながら、その事務所は、あなたの選挙区である東京・府中市にあるというではありませんか。その事務所は、実体のない名ばかりのものであることが明らかになっております。荒井大臣は、合法だからいいとか、領収書を出さなかった自民党よりもましとか、言いわけをしておりますが、そんな言いわけに国民はだれも耳をかしません。
 荒井国家戦略担当大臣の身体検査はしたんですか。任命した菅総理は責任を明らかにするべきであると強く申し上げておきたいと思います。
 また、蓮舫行政刷新担当大臣についても、男性公設秘書が、深夜、痴漢を働き、警察の事情聴取を受けました。まさに言語道断であります。この秘書を直ちに解雇することなく、記者の追及にも秘書をかばうなど、倫理観欠如も甚だしい。秘書の罪は議員の罪。あなたには行政刷新を語る資格はないと指摘せざるを得ません。
 そして、一番資質が問われるのは、菅総理、あなたであります。
 総理は、六月四日の代表選前の演説で、私も一〇〇%真っ白というところまで自信はありませんがと発言しました。自分が真っ白でないから、他の疑惑の議員にも厳しく対応できないんですか。そんなあなたを総理としなければならない国民こそが、あなたの言葉をかりて言えば、まさに最大不幸ではありませんか。
 政治の要諦を示した中国の古典「貞観政要」に、次のような言葉があります。「君は舟なり、人は水なり。水はよく舟を載せ、またよく舟を覆す」とあります。船出したばかりの菅船の船底には、はや不信という巨大な穴がぽっかりあいており、転覆は時間の問題と自覚すべきであります。
 どうか、総理、あなたが本当に国民生活のことを思うのであれば、即刻、辞任をするか、あなたが野党時代に言ってきたように、衆議院を解散して国民に信を問うべきであると強く申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(横路孝弘君) 穀田恵二君。
    〔穀田恵二君登壇〕
○穀田恵二君 私は、日本共産党を代表して、菅内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)
 政治を変えてほしいという国民の期待とみずから掲げた公約を裏切ったことに対する国民の大きな怒りの前に、鳩山内閣は退陣を余儀なくされました。
 鳩山内閣の副総理だった菅総理は、その政治のかじ取りに共同の責任を負っているのであります。ところが、菅総理には、その自覚も反省も見られません。
 菅氏は、民主党代表選の出馬会見で、普天間基地問題と、政治と金について、二つの重荷を総理みずからがやめることで取り除いていただいたと言い放ちました。そして、所信表明演説において、これと同様の認識を繰り返したのであります。前任者がやめたことをもって、これだけ重大な問題を一件落着として水に流そうとする姿勢は、鳩山内閣を退陣させた国民の声を愚弄するものだと言わなければなりません。
 国民に背を向ける菅内閣の姿勢は、この間の短期間の議論、論戦を通じても浮き彫りになっています。
 第一に、政治と金の問題です。
 代表質問で我が党は、菅総理に対し、民主党代表としてのリーダーシップを発揮し、小沢氏の証人喚問に応じるようただしました。しかし、菅総理は、民主党幹事長職を辞したことでけじめをつけた、国会招致は国会が決めることとの答弁を繰り返すだけでした。鳩山内閣を含め、政治と金の疑惑究明に一切応じようとしない民主党政権の対応は、自民党政権時代と比べても、異常なものです。
 菅氏は、これまで、政治と金の問題が起こったとき、時の総理に証人喚問の実施を求めてきたではありませんか。手のひらを返したような態度をとる菅総理に、クリーンな政治を語る資格はないと言わなければなりません。
 第二に、普天間基地問題です。
 沖縄県名護市辺野古に巨大な新基地を建設する、米軍の訓練を徳之島初め全国各地に分散する、これが、移設先探しの迷走、逆走の果てに日米合意として鳩山内閣が残したものでした。自公政権時代の方針にUターンしたというだけでなく、より悪いものになったと言わざるを得ません。
 ところが、首相指名を受けた菅氏は、真っ先にオバマ米大統領と電話会談し、県内移設の日米合意について、しっかり取り組んでいきたいと誓約したのです。どこの国の総理かと言いたい。
 この態度は、菅氏みずからのこれまでの言明に照らしても、筋が通らないものです。民主党の要職にあった菅氏は、海兵隊撤退論、抑止力否定の主張を繰り返してきました。なぜ、みずからの主張を翻したのか、総理の本会議での答弁では、心変わりについてまともな説明はありませんでした。
 県内たらい回しは許さない、移設先探しでなく基地撤去を、この沖縄県民の声は、後戻りのない不動の総意であります。日米合意後に行われた琉球新報、毎日新聞の合同世論調査では、辺野古移設に反対が八四%と、圧倒的な声となっているのです。日米合意の撤回、無条件撤去しかありません。この声を米国政府にぶつけることこそ、日本政府がなすべき仕事ではありませんか。逆の方向を向く菅内閣の姿勢は、不信任に値するものだと言わなければなりません。
 第三に、国民生活と経済財政の問題です。
 菅総理は、強い経済、強い財政、強い社会保障を掲げましたが、だれにとっての強さなのかが問われています。
 経済のあり方についてはどうか。
 大企業を強くすれば暮らしも経済もよくなるとした自民党流の経済政策の破綻は、今や明白です。労働者、中小零細企業に犠牲が押しつけられ、経済成長もとまりました。この大企業応援から国民生活応援の経済運営にかじを切るのかどうか、菅総理から明瞭な答弁はありませんでした。
 そればかりか、試金石の一つである労働者派遣法改正問題では、製造業派遣、登録型派遣の原則禁止を言いながら、政府案は、穴だらけのざる法になっています。我が党はその抜本修正を求めてきましたが、菅総理は、内容を変更する考えはないと拒否したのであります。人間らしい労働のルールをとの願いに背を向けるものであります。
 社会保障はどうか。
 強い社会保障を掲げるなら、少なくとも、自公政権が進めた社会保障削減路線がもたらした傷跡を直すことに全力を挙げるべきです。ところが、傷跡の象徴たる後期高齢者医療制度について、菅総理は所信表明演説で一言も触れませんでした。民主党は、政権についた途端、直ちに廃止という公約を投げ捨てて、先延ばししました。そればかりか、うば捨て山の入山年齢を七十五歳から六十五歳に引き下げる新制度まで検討する始末です。公約違反と国民への裏切りそのものです。
 財政のあり方についてはどうか。
 日本経団連の四月の成長戦略に掲げられた法人税減税、消費税増税という方向を、民主党の選挙政策に盛り込むことについても否定しませんでした。
 大企業減税の穴埋めに消費税増税という道は、財政再建にも社会保障財源にも役立たず、国民生活と日本経済を危機に導くものであり、我が党は断固反対するものであります。
 以上、短期間で浮き出てきた菅政権の基本姿勢は、端的に言って、アメリカには忠誠を誓い、財界の求めにこたえるものだと言わざるを得ません。
 予算委員会の論戦もやらず、ぼろが出ないうちに選挙に逃げ込もうとする菅政権の姿勢は、党利党略以外の何物でもないことを最後に厳しく指摘し、賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(横路孝弘君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(横路孝弘君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(横路孝弘君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百六十八
  可とする者(白票)       百五十三
  否とする者(青票)       三百十五
○議長(横路孝弘君) 右の結果、菅内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

第174回国会 農林水産委員会 第17号 平成二十二年七月二十八日(水曜日)    午前十時開議
六月十六日
本日の会議に付した案件
 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫問題等)
     ――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
 この際、篠原農林水産副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産副大臣篠原孝君。
○篠原副大臣 農林水産副大臣を拝命いたしました篠原孝でございます。
 山田大臣を補佐いたしまして、郡司副大臣、それから佐々木政務官、舟山政務官とともに、農林水産業政策全般にわたりまして一生懸命頑張らせていただきますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○筒井委員長 農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫問題等について調査を進めます。
 この際、政府から説明を聴取いたします。農林水産大臣山田正彦君。
○山田国務大臣 宮崎県で発生した口蹄疫に関して御報告いたします。
 初めに、口蹄疫の発生農家及びワクチン接種農家の方々におかれましては、心からお見舞い申し上げますとともに、口蹄疫の清浄化のための防疫措置への御協力に改めて感謝申し上げます。また、口蹄疫の発生現場及び消毒ポイントなどで昼夜を問わず防疫対応に当たってこられた方々に対し、心から感謝申し上げます。
 宮崎県においては、四月二十日以降、二百九十二例目の口蹄疫の発生を確認しました。農林水産省は、第一回目の発生確認後、口蹄疫防疫対策本部を立ち上げ、宮崎県と一丸となって、一般道を含む消毒や家畜の殺処分等の防疫措置、埋却地の確保、発生農家及びワクチン接種農家の経営維持、再開のための対策を実施してまいりました。
 五月十七日には、内閣総理大臣を本部長とし、内閣官房長官及び農林水産大臣を副本部長とする口蹄疫対策本部を設置し、拡大しつつある口蹄疫についての対策をさらに強化して、政府として総力を挙げて取り組んでまいりました。
 同時に、各府省の責任者から成る現地対策本部を設置し、当時農林水産副大臣でありました私が本部長として、その後、篠原農林水産副大臣が本部長として常駐し、地元の要望を受けとめるとともに、迅速かつ的確な国との連絡調整に努めてまいりました。
 まず、防疫措置の実施状況について御説明申し上げます。
 今回の口蹄疫発生への対応については、四月二十日の発生以来、防疫措置を迅速かつ的確に実施するため、宮崎県に対し必要な人的支援を行ってまいりました。具体的には、自衛隊、警察に防疫作業に従事していただいたほか、全国の都道府県、家畜改良センター、生産者団体等から防疫措置に必要な獣医師等を派遣していただき、関係者が一体となって対応してまいりました。
 しかし、今回発生した口蹄疫は、感染力、伝播力が強いウイルスであったことに加え、畜産密集地帯での発生であったこと、埋却地の確保がおくれたことなどにより処分が間に合わなかったことから、専門家から成る牛豚等疾病小委員会の意見を踏まえ、我が国で初めて緊急的ワクチン接種を実施いたしました。ワクチン接種家畜の殺処分については、本委員会で御提案、可決いただきました口蹄疫対策特別措置法に基づき実施し、対象農家には同法に基づき補償を行うこととなります。
 この結果、七月五日までに、発生農場の家畜二十一万千六百八頭とワクチン接種農家の家畜七万六千七百五十六頭のすべてについて、殺処分、埋却、消毒までの防疫措置を完了し、昨日、二十七日の午前零時をもって、すべての移動制限、搬出制限を解除することができました。
 他方、大量の家畜排せつ物に含まれるウイルスについては、ブルーシート等により封じ込めを行ったものの、完全に死滅するまでには一定の時間を要することから、口蹄疫の清浄化及び家畜の再導入のためにはウイルスを十分不活化させる必要があります。このため、引き続き、現地に職員を駐在させ、家畜排せつ物等の適切な処理や消毒等を徹底することとしております。
 感染経路の究明については、専門家から成る疫学調査チームによる調査を進めるほか、調査結果を防疫対策に直ちに反映させる観点から、国及び宮崎県の担当者に農場での衛生管理に詳しい臨床獣医師を加えて現地調査チームを組織し、現地に常駐させ、現地調査の体制を強化しております。引き続き、感染経路の早期究明に努めてまいります。
 今後、口蹄疫の蔓延防止のために殺処分に応じていただいた方々の犠牲を無駄にせず、また、炎天下や雨の中で黙々と埋却等の作業に御協力いただいた方々の労苦に報いるべく、第三者検証委員会を設置し、今回の対応を徹底検証するとともに、今後、二度と今回のような大量の殺処分といった事態を招かないよう、国と地方が一体となって取り組んでまいります。
 また、我が国の清浄性を証明するためのサーベイランスを実施し、国際的に我が国が清浄国として認められるよう努めてまいります。
 なお、食品産業事業者に対し、食肉や牛乳の安全性に問題があるかのような告知や、安全性を理由とした販売停止などが行われることのないよう、適切な対応を求めてきました。
 各地方農政局、地方農政事務所等の約千七百名の食品表示Gメンの職員が、七月二十六日時点で、三万六千百八十二店舗の小売店を巡回し、宮崎県産の牛肉は使用していませんなどと、消費者の誤解を招く不適切な表示が確認された十五店舗について、表示の撤去、是正などの指導を行っています。
 次に、発生農家等の経営再開や周辺農家の経営維持のための対策について御説明いたします。
 まず、発生農場及びワクチン接種農場の経営を維持するため、殺処分した疑似患畜及びワクチン接種家畜に対して、家畜伝染病予防法及び口蹄疫対策特別措置法に基づき、手当金及び補てん金を交付することとし、それぞれ概算払いを実施しています。手当金については、既に対象農家の約八割に交付済みであり、今後、時価評価による精算払いを行うことといたしております。また、両者とも地元負担のないように対応しています。
 これに加えて、発生三日後の四月二十三日に関連対策を発表し、その後も、発生事例の増加及び発生地域の拡大等の状況や現場の御意見等を踏まえ、適宜適切に対策の拡充、見直しを行ってまいりました。
 具体的には、当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の貸付対象者を移動制限区域内から搬出制限区域内の農家に拡大したほか、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄各県の子牛、子豚出荷農家もその対象とし、さらに、融資枠を二十億円から三百億円に拡大することにいたしております。
 また、移動制限や家畜市場の閉鎖などを踏まえ、出荷が遅延した肥育牛、肥育豚及び子牛に対する助成措置を講じるとともに、肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる新マル緊や養豚経営安定対策の生産者拠出金の免除等の対策、措置も講じております。
 農林水産省としましては、これらの対策をきめ細かに実施し、一日も早く、口蹄疫の清浄国への復帰と農家の経営再開、地域の再建が図られるよう努めてまいります。
(中略)
 委員各位におかれましては、引き続き一層の御理解と御支援をお願いいたします。(拍手)
○筒井委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。
○道休委員 おはようございます。民主党の道休誠一郎でございます。
 本日は、口蹄疫の問題について集中討議をさせていただく予定でございますが、まずその前に、梅雨前線の大雨による被害を受けられた四十二都道府県の皆様に対しましては、心よりお見舞い申し上げると同時に、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 御案内のとおりに、口蹄疫、七月の二十七日、宮崎県で第一例の四月二十日のケースが確認されて以来九十九日目にして、ようやく制限解除、そして宮崎県は非常事態の宣言を解除することができました。これまで、農林大臣初め政府御当局者の皆様、そして宮崎県、被災に遭われました市町村の皆様の、本当に一丸となっての夜を徹しての作業に対しまして心から敬意を表すると同時に、まだまだ気の抜くことのできない口蹄疫、まだ児湯地区におきましては、御案内のとおりに、ふん尿の処理という大事な大事な作業が残っております。
 口蹄疫は、皆様御案内のように、十年前に宮崎県、北海道でA型という型で発生し、当時は、宮崎県におきましては三十五頭の殺処分、北海道においては七百余頭の殺処分だけで処理が終わりました。
 しかし、今回の口蹄疫、御案内のとおりに、ここ数年来アジア地区で、特にことしに入って香港、中国、韓国、台湾で猛威を振るっているO型であるということが疫学チームの証明でわかってきております。
 この口蹄疫、一説によりますと、豚が一頭感染してまき散らすウイルスの数が、一頭につき四億個、それくらい、牛よりも一千倍以上も感染力が強いと言われております。この口蹄疫に対しまして、宮崎の畜産はもとより、日本の畜産業そして農業、地域経済、あらゆる面で、日々の生活に至るまで大きな大きな被害を、そして影響を出したことは皆さん御案内のとおりでございます。
 私も、宮崎県民の一人として、児湯地区の皆様、あるいは西都市、宮崎市、えびの市、都城市、今回の口蹄疫が発生した地区の皆様と、制限期間中は、私はこのウイルスの怖さが身にしみておりますので、五月の中旬までは週末ごとに都農町や川南町の役場にお伺いし、あるいはJA尾鈴の事務所にお伺いして、ここにいらっしゃる江藤先生も本当によく現地で動いていらっしゃったということを、私もお顔を合わせながら、一緒に頑張りましょうという言葉を交わさせていただいたこともございます。
 本当に、現地の皆さんがしっかりと、この口蹄疫について二度と起こさないために頑張っていこうというふうに、今立ち直りの一歩を始められたところでございます。
 しかしながら、今回の口蹄疫、御案内のとおりに、四月二十日の発症以来、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、牛が七万頭そして豚が二十二万頭余り、合計二十九万頭に近い数の家畜が殺処分されました。そして、我が国において初めてワクチンの投与による、接種による殺処分というのも行われました。
 この口蹄疫を二度とこの日本の地から起こさないために、我々は今回の教訓をしっかり検証すると同時に、また必要な手だてはしっかりやっていく、そういうことでこれから、本当に立法府が国民の経済、日常の活動を守っているんだということをわかっていただけるようにしっかりと動いていく必要があると思っておりますので、これから具体的に質問に入らせていただきますが、まず、皆さんと一緒に、ここにいらっしゃる農水委員会の皆さん、本当に心を一つにして、畜産宮崎、そして日本の畜産を世界に誇れる先進的な畜産業に変えていくために頑張っていきたいというお誓いを申し上げて、まず質問に入らせていただきます。
 先ほどから申しておりますように、今回の口蹄疫、四月二十日の感染以来、第一症の確認以来、七月四日の宮崎での発症を最後に今発症はとまっておりますけれども、いろいろなターニングポイントが四月二十日以降あったと思っております。
 まずは、ゴールデンウイークを境に、残念ながら非常に爆発的な感染が広がってしまった。そして、その現状を受けながら、五月の二十二日には、ワクチンの接種という、本当につらいつらい決断であったと思いますけれども、この決断をせざるを得なかった。その殺処分等を行いながら、しかし今、七月の二十七日には、宮崎県知事もおっしゃっています、何とか一息つけるかもしれない。しかし、まだ予断を許さない。
 こういう一連の流れの中で、大臣にお尋ねしたいと思いますが、爆発的な拡散、そして途中、えびの市や都城市、日向市そして宮崎市への飛び火的な汚染の拡大がありました。こういうことを踏まえまして、大臣としての対応の御認識と、そして、その対応についての評価をお聞かせいただきたいと思います。山田大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 今回の口蹄疫の発症そのものが、かくも、二十九万頭の牛、豚を殺処分する、大変な犠牲を払うことになった。
 この原因、事情というのはいろいろあると思いますが、一つは、今回は、十年前と違ってO型で強い伝播力があったということ。もう一つは、ちょうど児湯地区という家畜の密集した地域であったこと。やはり、それに加えて、今、疫学調査チームの調査等によりますと、三月の中旬には既にウイルスがその地域に入っておったんじゃないか、四月二十日、国が報告を受けた時点では、少なくとも十農場以上に発症しておったんじゃないかという疫学調査チームの中間報告がございますが、そういった意味で、いわゆる対応がおくれたということも一つあるんじゃないか。殺処分埋却地、これに、非常に密集飼いであったり、いろいろな事情から大変混乱した。さまざまなものが要因となって今回こういう感染拡大をしてしまった。
 しかし、そう言いながら、ここに至るまでそれこそ皆さんが一丸となって、何とか一応の終息を得ることができた。まだまだ油断できませんが、そこまでは来られたんじゃないか。これは本当に皆さん方が、県も市も町も一丸となってやっていただいたおかげだと感謝いたしているところです。
○道休委員 口蹄疫の殺処分が実際に進んでいく中で、一軒一軒の農家にとって、牛一頭、豚一頭、それが全国的に賞をもらった牛であろうとなかろうと、一頭の命は変わらないわけですね。そして、大事に大事に育てられた牛や豚が、ワクチンの接種によって殺処分されなきゃいけない。本当に、現地の、現場の農家の皆さんの御心痛たるや想像に余るわけです。
 しかし、私は、一連の流れの中で一つ気になることがございます。
 先般まで問題になっておりましたけれども、県の家畜改良事業団、ここの種牛を六頭、特例として、例外的に移動した。そして、その六頭のうちの一頭がその後発症した。残り五頭については、しっかりと疫学的な証明もしながら、感染していない、感染したこともない、大丈夫であるということで、今生きています。
 一方で、大臣もおわかりの高鍋の薦田さんの種牛、こちらも立派な牛であるというふうに言われておりましたが、これについては対象地域、規定に沿ってしっかりと殺処分されました。これについては、現地で、知事初め各首長さん初め皆さんが、薦田さんのお気持ちも察しながら、恐らく大臣もお話しされたことはあると思いますが、薦田さんと副大臣も現地でお会いになったと思いますけれども、この牛を殺処分しなければ清浄性が確保できないという議論がございます。
 ただ、私自身は、OIEが、しっかり清浄性を確認する上でこの五頭については問題ないということを言ってくるであろうという大臣のお言葉もいただいておるわけですけれども、OIEが清浄性を確認してくれるかどうかも含めまして、私は、一次産業、特に宮崎の場合は、畜産という非常に大きな力のある、商品と言うと語弊がございますけれども、成長エンジンがあるというふうに確信しております。そして、日本がこれからは工業製品だけでなく、トヨタやソニーだけでなく、日本の農産品をしっかりと世界に売り込むことができる産業であり、また日本を再生する産業であると確信しております。
 しかしながら、今、現地でお話を聞いていると、ある県外の業者さんから、あの五頭が生きている限りはなかなか宮崎に買いに行けませんよというようなお声もあるやに聞いております。
 この五頭の存在がひょっとしたら、これは私の取り越し苦労かもしれませんが、今、日本はアメリカと、牛肉についてはBSEの問題で厳しい交渉をやっております。口蹄疫の問題とBSEの問題を同じ枠内で論じることができないことは私もわかっております。まず、BSE、怖い病気ですよね、人間にうつります。しかしながら、口蹄疫は人間には無害である。
 しかしながら、そういうことがわかっていても、政治的な世界では、ひょっとして対米交渉の中でアメリカが交渉の項目として出してくるのではないかという懸念を、私自身はほかの分野でアメリカといろいろな交渉をしてまいりました。からめ手でやってくるんですね。そして、自分たちの戦略をしっかり他国にわからせる、あるいは押しつけるという言葉が適切かどうかは知りませんが、そういうことを私は目の当たりにしております。
 それを思うにつけ、この五頭の存在そのものが、日本の畜産の世界への進出のひょっとしたら障害になる可能性があるのではないかというような危惧を持っておることは事実でございます。
 これについて大臣はいかに思っていらっしゃるか、お聞かせください。
○山田国務大臣 日本はワクチンを今回緊急措置として接種いたしましたが、ワクチンを接種した以上、そのリング、その地域内のワクチン接種偶蹄類はすべて殺処分しなければ清浄国になれないと私は思っております。そんな中で、今回、薦田さんにも御無理をお願いいたしました。
 実際、県の種牛五頭が現在残っております。それについてもいろいろ今とかく言われていることは承知しております。それについては家伝法の特例を認めているわけですが、これは別々に飼養管理されておって、しかも、PCRの検査を経過観察しましても陰性であったこと、及び、これは特措法のできる前、リングワクチンの接種をする前の状況下であったこと、当時、赤松大臣が三つの条件を付して特例を認めたわけでありますが、そういった趣旨からしても、今回、口蹄疫の清浄国として、陰性である牛だから、もともとワクチン接種前の牛だからといったいろいろな事情をもとに、OIEに対しては清浄国であることの主張をさせていただきたい、そう思っております。
 米国大使のルースさんともお会いいたしましたが、口蹄疫については、日本も本当に奇跡的にああいう形でおさまってよかったという形で言っていただきまして、それ以上は何もありませんでした。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 日本の畜産、一次産業がこれから日本の成長エンジンになる、地方が日本を変えていくという確信のもとに、また、この畜産、宮崎牛も含めまして、世界で非常に高い評価を受けていることはもう皆さん御案内のとおりでございます。今、アメリカ、中国、いろいろなところで、いわゆる和牛、日本の牛に対する需要がある。これは、中国とかアメリカとかに限らず東南アジア一円でも、日本の牛が食べたいという方がたくさんいらっしゃいます。
 私も、海外で、いろいろなところで生活をしていましたけれども、本当に日本食がこれから世界基準になる、日本の文化が世界基準になっていくというふうに確信しておりますが、その中で、この畜産というのは今我々がもう既に手にしている財産でございますので、しっかりとこの財産を日本の産業あるいは日本の国を元気にするために積極的に使っていただくことをお願いしたいと思います。
 続きまして、口蹄疫の対策。
 宮崎県も、既に五次にわたる補正予算を組んで、国からの資金援助もいただきながら動いておりますけれども、現地で一番心配な声として聞けるのは、やはり宮崎県も市町村ももうぎりぎりのところまでお金を使っている。宮崎県に至りましては、いわゆる基金が五十億円を切ってしまっている。御案内のとおり、これから台風や大雨のシーズンになってまいります。追加的な支出が必要になる部分も出てくるかもしれません。
 実際に予備費や財政支援が今までのところどう行われたのか、そして、これからどういう御予定であるのかについてお聞かせを願いたいと思います。大串政務官にお願いしたいと思います。
○大串大臣政務官 お答え申し上げます。
 口蹄疫の被害農家に対する御支援等々でございますが、これにつきましては、家畜伝染病予防法、そして今般成立させていただきました口蹄疫対策特別措置法に基づいて殺処分をされた家畜に対する手当金などの支払いということに充てるために、これまで三回にわたって計四百十一億円の予備費を計上しまして、今、支払いの手続を進めているところでございます。これがこれまでのところでございます。
 今後でございますけれども、この手当金の支払いについて、現在、予備費、四百十一億円のところまで確定しておりますけれども、さらに想定を上回る部分が必要になるということが明らかになってきたときにおいては改めてこれを追加することなども含めまして、必要な財源の措置を講じていきたいというふうに思います。
 さらには、経営が、再開が非常に大変な状況になられている被害農家の方々もいらっしゃいます。この被害農家の経営再開等に関する支援というものについても、地元の皆様の要望も踏まえながら、真に必要な措置をしっかり検討して実行してまいりたいというふうに思います。
 以上でございます。
○道休委員 予備費等を含めた国からの支援、これにつきましては、やはり一方で特別交付金の手当て等も必要になると思うんですが、それにつきましても、もし可能でございましたら小川政務官の方からお話しいただければと思います。
○小川大臣政務官 道休先生初め、本当に地元の関係者の皆様の御苦心に心から敬意を表したいと思います。
 地方交付税、特別交付税による措置でございますが、従来は、地方負担分の五割とか八割とかが限度いっぱいでございました。今回は、事の重大性にかんがみまして一〇〇%特別交付税で措置をするということでございます。
 被害額がまだ、もちろん算定中ではございますが、例えば宮崎県さんの予算措置の状況を御紹介いたしますと、損失補償に七十八億円、その他消毒ポイントの設置等々を含めまして百十七億円余りの予算措置がなされております。直接はこれらの金額が特別交付税措置の対象になろうかと思います。
 あわせて、ふだんですと三月まで交付をお待ちいただくわけですが、今回は十二月分で対処したいと考えております。
○道休委員 非常に前向きの力強いお言葉をいただきました。本当にありがとうございます。
 宮崎県民も、知事を筆頭に、畜産復興に向けて、あるいは宮崎県の経済を強くするということに向けてしっかりやってまいりますので、財務省、総務省そして農水省を中心に、官民一体の努力に向けて御支援をいただきたいと思っております。
 続きまして、確かに畜産農家は、御案内のとおり直接に被害を受けて、今本当に畜産が続けられるかどうかという危機的な状況になっております。しかしながら、今回の口蹄疫は、御案内のとおりに、県全体の県民生活に影響を与えました。いろいろなお祭りやイベント、そしてさきに行われた参議院選挙も、運動制限、本当に重要な運動ができないような状況が生まれるほど大きな影響を受けております。畜産農家だけでなく、農家だけでなく、県民の一人一人の生活、特に地域の飲食業や販売業そして製造業といったいわゆる中小企業の皆さんも、お店によっては水道や電気の基本料が払えない、それくらい危機的な状況に追い込まれています。簡単に言えば、四月二十日以降三カ月間収入がない状態が続いております。
 そういう厳しい状況の中で、被害農家については重点的に国の御支援もいただけると先ほどからお話をいただきました。しかしながら、地域にはいろいろなお仕事をされている方がいらっしゃいます。中小企業支援対策について松下経産副大臣に、現在の状況と、それから、これからの取り組みについてのお話を伺えればと思いますが、お願いいたします。
○松下副大臣 経済産業省でございます。
 中小企業支援対策として、これまでに、相談窓口の設置や政策金融の手続の簡素化それから返済条件の緩和を実施しておりまして、七月二十二日までの実績は、相談件数が千二百十六件、融資や保証が五十億三千万円、返済条件の緩和が二十四億円でございます。
 昨日、宮崎県において家畜等の移動制限や非常事態宣言が解除されたことを踏まえまして、宮崎県からの要望にこたえて、口蹄疫により被害を受けている中小企業の方々それから商店街の方たちにさらなる支援を行うことを公表いたしました。
 具体的には、まず、宮崎県の中でも特に口蹄疫被害の大きい地域、そこで、使用期間とか地域を限定したプレミアム商品券について、関係の団体の協力を得て、八月のお盆前にも発行できるように取り組んでいきたい。金額の規模等についても今具体的に相談中でございます。
 それから、宮崎県が検討中の、今委員もおっしゃいましたけれども、商工関係のイベント等を助成するためのファンドの創設、これは、中小企業基盤整備機構の災害時の融資制度を活用いたしまして支援したいと考えています。しっかりやってまいりたいと思って、今規模等についても具体的に相談しているところでございます。
 よろしくお願いします。
○道休委員 副大臣、どうもありがとうございます。
 宮崎県におきましても今具体的に復興策を練っている段階だと思います。この復興策が具体化するにつれて国へのお願い等もあると思いますが、本当に宮崎県を救っていただくためにも、皆様の前向きの御検討をお願いしたいと思います。
 続きまして、今回の特措法の中で、やはり、一つ、県民あるいは自治体の大きな関心は、基金の創設、二十三条でうたわれておりますが、これが具体的にどうなっているんだろうという心配が地元から流れてまいります。これについてお話を伺えればと思いますが、大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 地元が、商店街とか中小企業等まで含めて非常に疲弊している、トラックの運送業その他の皆さん方も大変であるということは、私が現地にいるころからよくお聞きしておりました。
 そのために、特措法の中に、基金を設けてというくだりがございます。正確に言いますと、特別措置法は、地域の実情に応じ、きめ細かな措置を積極的に実施できるよう、「基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」となっております。基金の設置もうたわれておりまして、これもできないものかどうかという形で、農水省だけではこれについてはどうしようもありませんで、財務省及び内閣全体で考えていただけるべきものと考えておりまして、今、官邸の方で、内閣府の方で宮崎県からいろいろと要望を聞いているところだと聞いておりまして、その上でいろいろ判断されるものと思っております。
 宮崎県のそういう中小零細企業、商店街の皆様方も含めて、関係者が一日も早く再開できるように、私どもも、できるだけのことを農水省としても手を打たせていただきたいと思っているところです。
○道休委員 力強いお言葉、ありがとうございます。
 私も同じ認識でおりますので、しっかりと宮崎県の経済の復興に向けて皆さんのお力をおかしいただきたいと思います。
 資金手当てについては、基金の設立についてはいろいろな方法もあるんでしょうが、私は個人的には、恐らく法改正等も必要になると思いますけれども、宮崎県口蹄疫復興債券とか、あるいは宮崎県復興宝くじの発行とか、そういうようないろいろな資金の調達方法も考えていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間もなくなってきました。最後の質問でございますが、これは大臣にぜひともお願いしたいと思っています。
 口蹄疫の発生状態の前に戻すのが果たしていい畜産、いわゆる畜産業のあり方なのかというようなことも個人的には考えております。今、児湯の町には牛、豚は一頭もおりません。これから非常にクリーンな、先進的な畜産をこの地区に導入していただく、ある意味での機会であるかもと思っています。この点につきまして、大臣、いかに考えていらっしゃるか。具体的なことを言っていただくのは難しいかもしれませんが、それについての大臣の所見を聞かせていただければありがたいと思います。
○山田国務大臣 これから八月いっぱいというか、八月の下旬までにいわゆるふん尿の切り返しとか処理等が終わって、家畜の再導入という時点で、いろいろお聞きしてはおりますが、豚については無菌豚の養豚を始めるとか、いろいろと、今回こういう口蹄疫に感染、そういうことのないような、防疫措置、衛生管理のしっかり行き届いたような形での家畜導入、いわゆる再開支援、そういった意味では、密飼いといったものについても、埋却地がないとか、ああいう状況が発生しましたので、いわゆる出口も考えた畜産というものをしっかり構築していただければなと考えているところです。
○道休委員 どうもありがとうございます。
 宮崎の畜産の再建は恐らくこれからの日本の農業のあり方を方向づける一つの大きなターニングポイントになると私は確信しております。特に、一次産業の六次産業化等を含めまして、これからここにいらっしゃる皆さんの、委員の一人一人のお力をおかりしながら、現地で、現場の見える農業行政を私どもは推進してまいりたいと思います。政府・与党そして野党の皆さんの一体のお力をいただきながら、しっかりと、宮崎そして日本の畜産を世界に誇るべきものにするために頑張っていきたいと思います。よろしく御支援のほどお願いいたします。
 どうもありがとうございました。

○筒井委員長 次に、宮腰光寛君。
○宮腰委員
(前略)
 次に、口蹄疫対策特措法について伺いたいと思います。
 四月二十日の一例目の口蹄疫確認以来ほぼ百日、きのうで制限区域はすべて解除となりました。しかし、これで安心というわけにはまいりません。全会一致で成立した口蹄疫対策特措法に基づき、引き続き再発防止に取り組むとともに、生産者等の経営や生活の再建、地域の再生に向け、特措法の趣旨に沿って長期にわたる対策を講じていかなければなりません。
 そこで、問題の第一。第六条の予防的殺処分により生じた通常生ずべき損失に対する補てんや補償について、休業補償を含む経営再開までの営業損失を政令に盛り込んでいないというところが第一の問題であります。
 これは、我が党の主張だけではなく、民主党さんが農林水産議員政策研究会でまとめられた法案要綱においても、通常生ずべき損失について、わざわざ米印を打って「権利対価補償(家畜全評価額)のみならず休業補償(営業損失)等の付随的損失も含む。」というふうに要綱で明記されているように、特措法提案者の共通認識であると私は思っております。
 休業補償を含む経営再開支援策なしでは、経営再建は不可能であります。これを政令に書き込んでいないのは、私は、政府の不作為による法律違反であると言わざるを得ない。今後早急に政令を改正すべきと考えておりますけれども、その意思はおありでしょうか。
○山田国務大臣 確かに、通常生ずべき損害と書いております。
 解釈だと思いますが、いわゆる家畜そのものの評価、一〇〇%の評価額と、殺処分を勧告してから殺処分するまでの、かかる経費、飼料代を今計算させていただいておりますが、それを今私どもは、通常かかるべき損害だと、そういう解釈をさせていただいておるところです。それに加えて、互助基金等の加入にかかわらず、それぞれに、経営再開支援金については支払いをさせていただくつもりでおりますので、その中でも十分見ていただけるのではないか、そう考えているところです。
○宮腰委員 詳細については後ほど我が党の議員も質問するということになると思いますので。私は、今のは政府の不作為による法律違反だと思っております。
 それから、問題の第二。第二十条の、家畜等の移動等の禁止等により生じた損失の補てんということでありますけれども、現在、宮崎、鹿児島、熊本の三県を対象に、えさの助成や子牛の販売価格の算定特例が設けられております。しかし、それ以外の県では融資のみの対応となっております。これはおかしい。
 例えば沖縄県などでは、家畜の出荷おくれに県単独でえさ代などを助成し、JAも子牛に対して仮払いを実施しております。特措法の趣旨は、農水省がホームページで公表しているQアンドAに挙げられている支援策に限らず、損失というふうに認められれば、この特措法に基づいて必要な措置を講ずることを予定しているのであって、私は、交付税措置などでは不十分だというふうに考えております。
 三県以外でも二十条の損失補てんの対象にすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○山田国務大臣 三県に絞ったということは、鹿児島県、熊本県も一時的ではありましたが、移動制限区域に入ったということを根拠にして、鹿児島、熊本県においては、子牛の価格とかその他はやはり下がるんじゃなかろうかということをもとに、そういうふうに対策を打たせていただきました。
 大分県も隣接県であり、沖縄とか長崎、佐賀、そういったところも家畜市場をとめておりましたし、それなりに畜産農家は自主的に家畜の出荷を抑えておりましたし、損害は生じております。
 そう考えていきますと、山口とか、九州を越えてやはり出荷を規制しておったり、そういうところも多々ありまして、どこまでをどうするかということは非常に難しい分野で、いわゆる特措法としては、今言った宮崎、鹿児島、熊本をその対象とし、今現在、特別交付金でその他の沖縄とか佐賀とか長崎、そういったところにおいて見られないかどうかというのを検討させていただいているところです。
○宮腰委員 きのうで制限区域がすべて解除になって新たなステージに入ったということでありまして、現に損失が生じている、自主的な家畜市場の開催の停止などであっても、ちゃんと特措法に明記してありますよ。それを、今の段階でまだ明確な御答弁をいただけないというのは、私はいかがなものかと思います。
 問題の第三、第二十三条。先ほど道休委員も質問しておいでになりましたけれども、地域再生のための支援ということであります。これは古川官房副長官にお聞きしたいと思います。
 条文は、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施するための基金の設置その他の必要な措置を講ずるということになっております。阪神・淡路大震災や中越大地震の際にも基金が設置され、災害復旧以外でも、地域再生や観光振興など、きめ細かな復旧支援に大きな役割を果たしてまいりました。
 法案を審議した五月末の段階では、口蹄疫が全国に拡大する可能性がその時点では否定できず、基金をどこに置くのか、どう運用するかなどの点については留保したものでありますけれども、きのう制限区域が全面解除されたことにより、事態は新たな段階に入りました。早急に基金を設置し、経営の再建や地域の再生に全力を注ぐべきと考えますが、内閣としての見解を官房副長官からお聞きいたしたいと思います。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
 先ほど委員から御指摘がございましたように、特措法におきまして、地域の実情に応じ、きめ細かな措置を積極的に実施できるよう、基金の設置その他の必要な措置を講ずるものというふうに規定をされております。
 このため、畜産業につきましては、農林水産省内に特別チームを設けまして、補助事業や融資制度等の各種支援対策が円滑に活用されるよう、現地の相談等にきめ細やかに対応し、発生農場等の経営再開や畜産業の振興を最大限支援する。さらに、商工業につきましては、関係団体の協力を得て、プレミアム商品券の実現を支援するほか、宮崎県が検討中の商工関係のイベント等を助成するためのファンドの創設を支援する。加えまして、観光業につきましては、観光誘致キャンペーンの実施など、観光振興策の検討を進めております。さらに、雇用対策につきましても、雇用維持を支援する雇用調整助成金の支給要件を緩和する。今申し上げたように、宮崎県からの具体的な要望も踏まえて、地域経済の復興支援に政府として全面的に対応していく考え方でございます。
 昨日開催されました口蹄疫対策本部におきましては、菅総理から、雇用対策、さらには関連産業や商工業、観光業など地域経済の復興支援が課題となっておりますので、今後とも、宮崎県など地元の要望を聞いて支援を検討していくので、各閣僚においては積極的に対応するようにとの指示があったところでございますので、その指示に従って内閣として対応してまいりたいというふうに考えております。
○宮腰委員 質問に答えておりません。基金はどうするのかという話なんですよ。今の答弁は法律違反だ。
 特措法では、基金の設置は当然実施すべきものとして例示をし、その上でさらに、その他の必要な措置を講ずるとしたものであり、立法者の意思は明確であります。今のお話は、あれもやります、これもやります、やっていますというお話ですが、基金については全く答えがありませんでした。
 これは、例えば農水省のQアンドA、「基金の設置は、地域経済の再建・再生を図る手段の例示として示されているものであり、実際にどのような措置を講じるかは、関係府省とともに、今後検討していく」というふうになっておりますけれども、これは誤った法律の解釈であります。
 こんな解釈がまかり通れば、議員立法の意味がなくなりますよ。どう考えているんですか。全会一致で成立をしたこの法律です。今のような答弁では、内閣総理大臣が現場に行って何をおっしゃっても、だれも信用しなくなりますよ。基金の設置は当然やるべし、その上でさらに、その他の必要な措置を講ずるというふうになっているわけでありまして、今の御答弁では議員立法の意味がなくなる。こんな解釈がまかり通っちゃいかぬ、私はそう思うんです。
 政府の都合ではなくて、国会が定めた特措法に基づいて早急に経営再建あるいは畜産の振興を含む基金の設置を求めるものでありますが、今度は山田大臣の御見解を伺いたいと思います。
 先ほどのような、基金設置ができないものかというような答弁では、これは現場の畜産農家なり地域の皆さんが本当に落胆しますよ。
○山田国務大臣 特措法には、先ほど条文も、私、読み上げましたが、例示として基金の設置を挙げておりまして、今、古川官房副長官の方から、そういった例示的ないわゆる支援対策、それについて雇用調整金等々いろいろございました。今、地元に私が三週間入り、そして、特措法の後の経緯から見ますと、地元としては、商工関係者、中小企業者含めて、ぜひ基金の設置をしてほしいという強い要望があることは私もよく承知しております。
 それでいて、今回、本当に基金を積めるかどうかというのは、今、予算編成中、予算の概算要求中でありますから……(宮腰委員「ことしの予算でですよ」と呼ぶ)いずれにしましても、財務省、内閣全体で、今、宮崎県から要望を丁寧に聞いた上で、その上で、どのような対策をするかということを講じているところだと聞き及んでいるところです。
○筒井委員長 古川副長官、先ほど、基金についての答弁がなかったので、もし今できればそれを。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
 先ほどから申し上げておりますように、私どもは、法の規定に基づきまして、地域の実情に即して、宮崎県などの地元の要望も踏まえて、今後とも政府としては全面的なできる限りの対応をしてまいりたいということでございます。
○宮腰委員 こんなばかな解釈がまかり通ったら、議員立法なんか本当に意味がなくなってしまいますよ。
 山田大臣、あさってから始まる今度の臨時国会、恐らく大臣所信をお聞きする機会があると思います。そのときに、明確に、基金を設置するということを所信の中に盛り込んでいただくように努力をしてください。お願いします。
(中略)
○宮腰委員 終わりますが、科学的知見が得られていない段階で無理無理政治判断をすると、普天間のようなことになるんですよ。それだけ申し上げて、終わりたいと思います。

○筒井委員長 次に、江藤拓君。
○江藤委員 宮崎県の江藤拓でございます。
 本日は、両筆頭それから委員長、この閉会中審査を開催していただきまして、まことにありがとうございます。そのことにまず感謝を申し上げたいと思います。
 約九十九日ぶり、ようやく移動制限等が解除になりました。新聞等では、宮崎には明るい兆しが差しているとかいう記事が躍っておりますけれども、現地はまだ全くそういう状況じゃありませんよ。八月二十七日、堆肥、ふん尿の処理が終わるまでは、これは終息宣言はできません。終息宣言が終わったからといって、すぐに競りが開けるわけではありません。児湯郡の競りは多分九月の中旬以降になるでしょう。五カ月おくれるんですよ、五カ月。子牛は五百キロを超えますよ。そういう厳しい厳しい状況の中であります。そして、終息宣言が終わっても、再建に向けての闘い、これが一番、本当の苦しみの闘いだと思います。
 私、この選挙後に地元を回りまして、愕然としました。いつも元気がよくて、私の背中をたたいて、ああ、拓ちゃん、元気でやっちょるかいと言うような人がみんな、魂を抜かれたみたいに、意見交換会の場でいすに座って黙っているんですよ。朝起きて、牛の世話をして、一日、家族合わせて仕事をしてきた、その仕事を全部奪われた。生きる希望を奪われた。今も本当に悲惨な状況であります。決していい状況にはなっていないということを御指摘させていただきたいと思います。
 きょうは、そちらの方に宮崎県の建設業協会の方が実はお見えになっていらっしゃいます。なぜ来られたか。今回の口蹄疫、この方々がおられなければ埋却はできませんでした。無償の奉仕ですよ、無償の奉仕。お金にはなりません。しかも、受注していた工事は全部ストップ、やっちゃいけない。それでも一生懸命皆さん方は御努力をいただいた、そのことで国から表彰していただきました。そのことについては、その御労苦に対してこたえていただいたということで、大変感謝を申し上げたいと思います。
 自民党それから公明党、我々は、参議院選挙前に、この参議院選挙、今やっちゃいかぬ、まだ潜伏期間も終わっていないのにどうして選挙をやるんだと仙谷官房長官に申し入れました。そして、不測の事態に備えるために、口蹄疫対策特別委員会を絶対設置してくれとお願いをいたしました。これも断られました。
 そして選挙戦に突入したわけでありますが、恐れていたとおり、この選挙の真っただ中に、後ろに松下議員がおられますけれども、新たな口蹄疫の発生が起こってしまいました。パニックですよ。まさに選挙どころじゃない。地域の方々は、殺処分、消毒、埋却、防疫、そういう仕事に忙殺されまして、選挙なんてもう頭から吹っ飛んでいましたよ。そういうときに選挙をやったことについては、私は、与党の責任は重いというふうに思うわけであります。
 参議院におきましてはもっとひどいですね。総理に対する問責決議案、それから議長への不信任案を廃案に持ち込みたいということで、閉会中審査の手続もせずに国会を閉じてしまいました。ひどいですよ。そのために、参議院は、本会議はもちろん、すべての委員会において閉会中審査が今できません。大雨、洪水が日本列島を襲っておりますね。きょう、災害対策特別委員会の委員は現地視察に行っております。私も委員なんですが、これがありますから行けませんでしたけれども。そして、あす閉会中審査を開いて、委員からの報告、政府からの報告をいただいて、そして質疑をする予定になっています。参議院はこれもできないんですよ。
 どういうことなんですか、この政府は。私は、これはまさに現政権が危機管理能力が全くない、それから責任感が全くない、そして現政権には政権担当能力がないことの証左であるということを厳しく申し上げまして、質問に入らせていただきます。
 まず、大臣にお尋ねいたします。今、宮崎県民の間に広がっている気持ち、国に対する思い、どんなものだとお感じになっていらっしゃいますか。それは、政府に対する不安、疑念、そして将来に対する大きな不安でありますよ。それに満ち満ちております。基金のこともあやふやで。
 さきの参議院選挙で、余り言うと嫌みかもしれませんが、宮崎は大勝利でした。すべての市町村で勝ちました。全国で三番目の得票を得ました。その選挙結果について大臣もお感じになることがあると思います。率直に御感想をお聞かせいただきたいと思います。
○山田国務大臣 たしか宮崎日日新聞の記者からも参議院選挙について聞かれたと思いますが、そのときお答えしたのが、今回の参議院選挙、宮崎においては、まさに口蹄疫のそれこそ真っただ中というか、大変な状況下にあったので、それぞれ選挙運動もできなかった。民主党から出た新人も、ほとんど知名度がなかった、運動できなかった、そういったこともあったんじゃなかろうか。実際、では、私ども国がやった今回の口蹄疫対策について、だからといって、大変な批判を受けているんだ、そこまでは今私どもは思っていないところです。
○江藤委員 大臣、物すごく認識が甘いですよ。
 例えば、爆心地である川南町の話をしましょうか。投票率は衆議院選挙に比べて一五%も落ちました、一五%ですよ。それでダブルスコアですよ。都農町もダブルスコアですよ、木城町もダブルスコアですよ、新富町もダブルスコアですよ。西都市、これまで私が一番選挙の弱いところです、いい票をとったことがありません。そこでもダブルスコアですよ。政府による口蹄疫対策その他もろもろが、被災された方々、御苦労された方々に高く評価をされていれば、いい票が出ますよ間違いなく。いい票が出ますよ。
 民主党という政党は、これまで民意という言葉を野党時代にさんざん使ってこられましたね、直近の民意。口蹄疫に対する国の対応については、畜産農家、地域経済、農家の方々、あらゆる産業の方々が明らかにだめ出しをしたんですよ、間違いなく。したんですよ。そう受けとめてください。別に私は意地悪を言いたくてこんなことを言っているんじゃないんです。
 私が今回委員会で質問に立つということを地元で言いましたら、江藤君、どうしてもあんたに聞いてもらいたいことがあると。何ですかと聞きましたら、怖いと。我々は怖いんだ、こんなに大差で勝ってしまって、ぼろぼろにやっつけてしまって、これで政府が腹を立てて、ああ、もうこれ以上宮崎のことは余り熱心にやる必要はない、やりたければ県の単独事業でやればいいじゃないか、町の単独事業でやればいいじゃないか、そういうことになりはしないかということを、そんなことはないとおっしゃるでしょうけれども、本気で心配しているんですよ。
 政治は怖いんですよ。なぜかというと、小沢氏の政治手法がそうだったからです。そうでしょう。土地改良の予算にしたって、農道の予算にしたって、ばっさばっさやったじゃないですか。農協に対する態度にしても、森林組合に対する態度にしても、協力するなら金をつけるけれども、そうじゃないんだったらばっさり切って捨てるぞと。そういうことがありますので、非常に恐れているわけであります。
 ですから、大臣、お願いします。
 大臣を私は信じると就任の日に申し上げました。ですから、この選挙結果は、よくやってもいただいていると思っているんですよ、一〇〇%だめだと私は言っているんじゃないんです。例えば十キロ圏内の補償の金額であるとかそういったものについて、非常によく地元の声も聞いてつくっていただいたものも多々あります。でも、満足はされていないし、将来に展望が開けるような内容ではないんですよ、間違いなく。
 ですから、大臣、先ほどいろいろと御答弁もありましたけれども、どんなことをしても、この口蹄疫に関する、長い闘いですよ、本格的に復興するまでには五年、十年かかりますから。この間政府として、そのときには政権交代しているかもしれませんけれども、きちっと対応する、予算の心配はないと明言をしていただきたい。よろしくお願いします。一言で。
○山田国務大臣 財務大臣でもなく総理大臣でもないので、私から明言ということはできるわけではありませんが、現地に三週間いて、現地の農家の皆さん方の気持ちはわかっているつもりでおります。私もかつて畜産をやっていた経験もありますし、その再開に向けては農水大臣としてできるだけのことはさせていただきたい、そう思っております。
○江藤委員 大臣、残念ながら政治には限界があります。それは、私は、おやじの秘書もしておって、政治家を三期やらせていただいて、すべての国民の皆さん方の要望に一〇〇%こたえることは難しい、そのことはわかります。でも、宮腰筆頭からも御指摘があったように、特措法もつくり、菅直人総理大臣の所信表明演説もあるわけですから、それに基づいてしっかりやっていただきたいんです。今回、予備費で八十八億円追加していただきましたね。うれしいですよ。ありがとうございます。でも、全然足りませんよ。全然足りないということを申し上げます。
 それでは、もう大分時間が経過してしまいましたが、これまでの委員会で私が何度も質問をいたしましたけれども、十分な回答を得られませんでした。まとめて聞きます。通告しましたからね、事細かに。事細かに御丁寧に通告しましたから、端的に御回答を求めます。副大臣でも大臣でも結構でございます。
 まずは、家畜疾病経営維持資金。これについては、貸付限度額の拡大や据置期間の延長が絶対必要だということを私は何度も申し上げました。でも、結局のところ、枠の拡大とか金額の増大とか、そういったものしかやっておりません。これはやるんですか、やらないんですか、イエス、ノーでお答えいただきたいと思います。
 次に、人工授精師、削蹄師、酪農ヘルパー、乳牛検定員、これらの畜産にかかわる人たちは全く仕事がないんですよ、これからずっと。この三カ月、仕事はありませんでした。これから先もないんですよ。この人たちのいわゆる所得の補償、そういった支援、雇用対策、これはやる気がありますか、ないんですか、お答えをいただきたいと思います。
 次に、水田利活用自給力向上事業の飼料米についてお尋ねいたします。
 前の委員会でも何度もお尋ねをいたしました。十アール当たり八万円ということで始まった事業ですよね、十アール当たり八万円。しかし、需要先が見つからなかったら、買い手が見つからなかったら三万五千円しか払いませんということに今なっております。これは酷ですよ。例えば、宮崎でホールクロップサイレージにして、熊本の人は買ってくれますか、買いませんね。鹿児島は買ってくれますか、買ってくれませんよ。やはり怖いんですよ、正直なところ。ですから、需要先を一生懸命探してみて、それでも見つからなかった場合は八万円を当然払うべきだと私は思います。
 この御答弁を三個まとめてよろしくお願いいたします。副大臣でも大臣でも。端的に。
○山田国務大臣 ちょっと、一遍に聞かれるとわかりにくくなったんですが。
 まずは、家畜疾病維持資金の拡大ということです。これについては、確かに、一戸当たり、個人だと二千万、法人だと八千万だと思ったんですが、一年据え置きの五年の支払いでしたか、二年据え置きの五年支払いでしたか、そういった形でやらせていただこうと、それは思っておりますが、それを、それでは足りない、その返済期間も長くしてくれという御趣旨かと思います。
 今回、宮崎の児湯地区だけに限らず、熊本にしても鹿児島にしても、幅広く、できるだけ、今回そういった出荷できなくて困っている農家等々もありますので、家畜疾病維持資金については、これまで二十億の枠を三百億に広げさせていただきました。
 二番目に、飼料米の前……(江藤委員「人工授精師とか削蹄師とか酪農ヘルパーの問題です」と呼ぶ)はい、わかりました。
 人工授精師の仕事がなくなって収入がない、これについて補てんしてもらえないかというお話の質問は聞いております。
 しかし、これにつきましても、例えば人工授精師さんについてだけそういう補償をするとか、ではそのときに、トラック、飼料を運搬したトラックの運送業者もしばらく仕事がない、ではその人たちに対してはどうしていくのか。際限なく補償しろ補償しろという形になれば、それができるわけではございません。そのために、今言ったようにファンドあるいはセーフティーネット資金、非常に安い、低利での無担保無保証の融資制度とか、あるいはいろいろな制度資金が用意されておりますし、雇用調整金等々についても今回特例措置を設けていただいております。それで何とか解決していただければと考えております。
 さらに、飼料用米について、作付申請している場合には八万円出せることになっておりましたが、肝心の実需、いわゆる畜産農家との契約は実際には履行できなくなってどうしたらいいかというお話は私が現地にいるときからいろいろお聞きしておりました。
 今、農水省、農政局、農政事務所にも話しまして、宮崎にいる養鶏農家、鶏卵農家、そういったところとマッチングしていただいております。または、どうしてもマッチングできなくて、この時点でもう飼料用米の栽培はやめたいといった場合には十アール当たり三万五千円は出せるようにしたい、そういう形で整理させていただきました。
○江藤委員 ゼロ回答ですね、ゼロ回答です。全くのゼロ回答ですよ。
 何でトラックと人工授精師を一緒にするんですか。人工授精師は家畜を相手にした仕事しかできないんですよ。削蹄師だってつめを切る仕事しかできないんですよ。何でそれとトラックを混同するんですか。全くひどい答弁だと思います。とめたいところですけれども、次に移らせていただきます。
 これからは、現場に即した質問もしていきたいと思います。
 まずは、さきの国会でつくった口蹄疫対策特別措置法、これは明らかに修正する必要がありますね。例えば十九条「口蹄疫に対処するために要する費用の国による負担等」、この条文の「費用の全部又は一部を負担する。」、この表現がやはりまずかった。私も自民党案の法案の提出者の一人ですから責任を感じております、すべてそちらの責任にするつもりはありません。一緒にこれは直しましょうよ。全部国庫が負担するというふうに書きかえるべきであります。
 そうしたら、よし、国がそこまで踏み込んでやってくれるのであれば、苦しいけれども、つらいけれども頑張ろうという気持ちにみんななりますよ。そういう明るいモチベーションを国が苦しんでいる方々に与える、それが国の一番の仕事じゃありませんか。
 先ほど、また宮腰筆頭から、特措法の八条それから二十条、これに対する御質問がありました。これもひどいですね。時間もないし、もうここは省きます。宮腰筆頭の御意見に全く賛同するものでございます。
 それから、家伝法の改正について。
 篠原副大臣、宮崎、大変御苦労さまでした。最後まで、選挙期間中も御滞在いただきまして、意見交換をさせていただきまして、大変感謝をいたしております。
 最後の日に電話で意見交換を若干させていただいたときに、篠原副大臣が、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、こういったものとの整合性も、家伝法の改正とかそういったものをするときには一緒にやらなきゃいけないねということを御提言いただきました。私はそこまで知識がありませんので、ああ、なるほどなと思いました。
 ですから、副大臣、ぜひ、関連する法律、徹底的に洗い出していただいて、万全を期したいと思うんですよ。次の発生がないことを祈りますけれども、あやふやな解釈ができないような、びちっと責任の所在が明らかになるような法律にしなければならないと思うんです。そういうふうに私は考えておりますが、副大臣の御所見をいただきたいと思います。
○篠原副大臣 お答えいたします。
 家畜伝染病予防法は、農林水産大臣が科学的知見に基づいて防疫指針をつくり、大半の業務を法定受託事務として、地域の実情に精通している都道府県知事に任せております。
 口蹄疫特別措置法につきましては、国が直接やれるものもあります。例えば、具体的な例で申し上げますと、曽於市と都城市はすぐ近くで、あそこで発生したら、もう鹿児島県、宮崎県なんて言っていられませんで、そういった場合は国が直接やる形になっておりますけれども、やはり原則的には、予防的殺処分とか消毒とかいうのは都道府県知事の法定受託事務になっております。
 ですから、今回、そういった法律のもとに国と県が一体となっていろいろやってまいりました。しかし、最後のところで、いろいろ国だ県だというのがございました。これは、菅直人総理がすぐに宮崎県に来られまして、国家的危機管理だというふうに発言して、だから国が全面的にバックアップするという発言をして帰られました。私はそのとおりだと思います。
 江藤委員に私の意見として申し上げましたのは、これは人の病気じゃないんですが、感染症、これにもかかわりますし、もっといくと国の一難あるときにもつながっていくわけですね。今盛んに地方分権、地域主権ということで、これは大事だと思います。しかし、このようなものについては逆でして、国が最初から指揮権を発動して、統一的な見解に基づいて、これは表現が的確かどうかわかりませんけれども、びしばしとやるということが必要なんではないかと思っております。この点では、山田大臣がきのうかおとといの記者会見でも申し上げておりますけれども、検討してまいる予定でございます。
 既に我々は、第三者を含めた検証委員会を設けまして、一体この対応がどうだったかというのをきちんと見直すことにしています。そういった過程におきまして、どこをどのように変えたらいいんだろうというのをきちんと見きわめて、改正に進んでまいりたいと思います。
 それから、何よりも、この法律は既に、検討するんだということを附則の六条におきまして、時限立法で、それまでにきちんと再度見直すと言っておりますので、口蹄疫特別措置法の附則ですけれども、そのようにしてまいりたいと思います。
○江藤委員 ありがとうございます。
 確かにおっしゃるとおりでございまして、今回口蹄疫が発生して一番問題だったのは、どこが司令塔なのかはっきりわからなかったんですよ。例えば、都農町、川南町で問題が起こったときに、家保にお尋ねをすると、都城の家保に聞いてくださいとか、わけがわからぬですよ、どこが司令塔でどこが情報管理をしているのか。こういったこともきちっと今後やらなきゃなりません。
 ですから、今副大臣が言われたように、まず、何が何でも国が責任をとるんだ、地方自治の時代とはいっても地方自治体に責任を押しつけるようなことはしないという確固たる法律改正、私はこの点非常に暗くございますので、副大臣の御指導をよろしくお願いいたします。
 次に、特措法の二十三条、もう随分議論がなされましたから、そして副官房長官もかわられましたので、さっき聞いていらっしゃらなかったでしょう。ですから、話がかぶりますのでこれはどうしようかなと思いますけれども、とにかくこれはやらないとまずいです。
 選挙期間中に、大臣は、都城に来られて、白紙だとおっしゃいましたね、白紙だと。宮崎日日新聞にそれが出ました。宮崎県民は本当にいすから転げ落ちるぐらいびっくりしましたよ。ええって。これに希望をつないでいたのに、この時期になってまだ白紙なのと。その白紙というのはどういう意味なんですか。省庁間の連絡がうまくいかないのか、協議がうまくいかないのか、それとも全く手をつけていないのか、一体どういうことなのかということです。もしこれができなかったら、宮崎県民の、いわゆる畜産家の、畜産に関係する人たちの心は現政権からは完全に離れますよ、完全に。これは裏切りです。法律違反でもありますし。
 ですから、先ほど議論にありましたように、まず基金をつくって、そして、中小企業庁もいいでしょう、プレミアム商品券もいいでしょう。
 プレミアム商品券もおかしいですよ。例えば、二十キロ圏外のところも、五ケ瀬とか椎葉とか、あんなところの商店街もプレミアム商品券を出しているんですよ。二十キロ圏内だけしか対象にしないんですか。
 話せばどんどん長くなりますからやめますけれども、これは何が何でもやっていただかなければ困ります。この件は、先ほど古川副官房長官から御答弁いただいたんです。せっかく来ていただいて大変申しわけないんですけれども、御答弁いただきましたので、飛ばさせていただきます。申しわけございません。御用があったら御退席していただいて結構でございます。
 次に、制限区域外で、家畜市場の開催を自粛している地域、独自に防疫に取り組んでいる地域に対する支援、これについて指摘をさせていただきたいと思います。
 これは、発生県以外、大分とか佐賀とかこういったところも同じ支援が絶対に必要ですよ。制限区域外は殺処分されなかった、発生しなかった、よかったなとみんな思っているかというと、全然そんなことありません。今すごく苦しんでいます。
 例えば、具体的にいいますと、発生農家やワクチン接種農家は、法律に基づいた補償、それから義援金、全国からも随分集まりました、そういったものがありましたから大変助かった部分もあるわけでありますけれども、しかし、競りの開催や種つけを自主的にやめているところについては何にも支援がないのであります。制限区域外の延岡とか高千穂、種つけを始めたのは七月の十六日です。やっと種つけを再開しました、びくびくしながら。この三カ月間種つけをしなかったということがどういうことだか、大臣ならおわかりになると思う。三回発情を見逃したんですよ、三回発情を見逃した。繁殖の世界ではこれは大変なことですよ、大問題ですよ。将来に大きな不安材料となります。
 ですから、最近は、江藤君、久しぶりにトンボを使ったよという農家の方がいらっしゃいました。大臣はトンボというのを御存じですか。もう古い話ですから。トンボというのは、イージーブリードというものなんですけれども、女性もいらっしゃいますが、膣に挿入しまして発情を促進するというものです。こんなものは今まで要らなかったんですけれども、それさえ使わなければならなくなったというような厳しい状況なんです。そして、発情サイクルが狂うと、これまた受胎率が下がるんですよ。種つけしても、ちゃんと受胎するかどうかわからない。
 非常に苦しい状況に二十キロ圏外の人たちも追い込まれているんだということであります。その分はやはり補償した方がいいんじゃないですか。当然私はすべきだと思います。一頭の繁殖母牛が、その生涯の中で七産、八産、九産できたものが、例えば四産とか五産しかできなかったら、将来当然得られるはずの所得が得られなかったということになるわけですから、これはやはり国の責任において私は補償していただきたいと思います。後ほどこのことについては答弁をお願いします。
 さらに深刻なこともあります。種つけを三カ月やめました。これによって、次なる影響は、来年の、十一月、一月、競りに出す子牛がいないんですよ、当然のことながら。年末の十一月と年始の一月、一番お金の支払いの多いときですよ。このときに出す牛がないということは、これは大変なことですよ。このことについては、ぜひ今後、党内でも議論をいたしますけれども、民主党内でも、与党の中でもぜひ議論をして、対策を打っていく必要があります。このときに繁殖農家が倒れてしまう可能性がある。ぜひ御検討いただきたいと思います。今すぐ答えるのは難しいと思いますから、御答弁は結構です。
 それから、制限区域外の種つけの自粛は、家畜伝染予防法、これに基づいてやったものじゃありませんよね。法律的に言えば、法律に書いていないことを勝手にやったんだという解釈もできるわけであります。でも、それでは政治の温かさ、ぬくもり、思いやりというものはそこにはかけらもありません。口蹄疫が発生したことによって被害を受けた人、特措法にも書いてありますよ、ですから、すべての方々にしかるべき支援ができるように私はしていただきたい。勝手にやったんだから知らぬよというような態度をとるのであれば、私は政府を許せませんよ。
 制限区域外でも影響を受けた方々、十分な財政措置を行いますというふうに、今御答弁いただけますか。大臣、よろしくお願いします。
○山田国務大臣 人工授精師の皆さん方がいわゆる種つけを自粛しておった、その結果、こういうことになってしまった。確かに、三カ月、えさ代はかかるわけですから、三カ月自粛しておれば、それだけ経費もかかるということはわかります。
 しかしながら、移動制限区域内の話ですか。(江藤委員「外」と呼ぶ)外、移動制限の外。であれば、普通であれば、それは種つけしてもよかったんじゃないかという気が私はしないでもありませんが。
 自粛なさったということで、その分についても損害を見てくださいと言われると、今、なかなかそう簡単なものじゃないなという気が私自身はいたしております。
○江藤委員 非常に冷たい御答弁ですね。
 菅直人総理大臣は、万全の措置を講じますと言ったんですよ。万全というのは百点でしょう。みんなが納得する、どこまでやっても、それは要望には切りがないかもしれない。だけれども、将来間違いなく得られるはずだった所得が失われるんですよ。人が亡くなったときには、例えばどんな会社に勤めていたとか年齢が幾つだったとか、それによって生命保険の金額だって変わるわけじゃありませんか。少し話が飛躍していると思うかもしれませんけれども。
 これは、種つけすればよかったじゃないかというようなことを、百日たって今の段階で大臣の口から出るとは、私は想像もしませんでした。ひど過ぎますよ。これは要望書として自民党としてきちっと提出をさせていただきますので、検討してください。
 宮崎県は、口蹄疫の予算を、補正予算五回編成しました。その総額は、一般会計の一割、五百九十二億円ですよ。そして、基金残高は二百十九億円まで減ってしまいます。そして、口蹄疫発生によって宮崎経済が物すごく傷ついた。建設業も厳しい、法人税を払える企業はつるべ落としに減っていますよ。来年度はどれほどの企業が法人税を払えるかどうかわかりません。県の自主財源はぎゅっと縮小するでしょう。それは地財法の中で穴埋めはしてもらえるんでしょうけれども。財政は厳しいんですよ。
 さらに言わせていただくと、宮崎県は、ずっと東国原知事のもとで財政再建のための努力をしてきました。それでも追っつかずに、毎年基金から百五十億円を切り崩して予算編成をしてきました。二年後には予算編成ができません、宮崎は。宮崎は予算編成できません、そうなってしまいます。そのことを十分考慮していただいて、これから宮崎県に対する支援をしていただきたいということは、これは要望であります。
 特交という話が先ほども出ておりましたけれども、特別交付税は交付税全体の六%、これはルールですよね。そうすると一兆円になります。そして、そのうち都道府県に毎年配分されるのは、例年一千二百億円ぐらいですね。最近は、先ほどお見舞いも言われましたけれども、水害が発生したりしております。これから大型の台風が来るかもしれない、もしかしたら地震が来るかもしれない。そうなると、そういうお金はこの特交から出るわけですね。そうなると、足りなくなる可能性があるんじゃないですか。もちろん、予備費で全部それを見るというのを断言してくれれば、それで私は納得いたしますけれども。
 今回の八十億円を追加して四百十一億円となったこの予備費、このことも必ず、あわせて十分な予算は確保しますと、宮崎県民を安心させるために御答弁を求めます、大臣。
○山田国務大臣 宮崎県の県の財政事情も非常に厳しいお話も伺いましたし、各都道府県とも、自治体も国も厳しい財政状況にあるわけでして、その中で、今回こういう口蹄疫という災害の中で、商工業者とかいろいろな方々が、旅館も観光業者も、それなりに被害をこうむっているということもよく承知しております。
 その中で、支援策について、特別交付金、いわゆる交付枠、交付税といったものをできるだけ迅速に、あるいは予備費の中からでもできるだけ迅速に早く出そうということは私が現地にいるときから随分話してまいりましたし、そういう意味では、仮払い、特交の概算払い等々もさせていただいてまいりました。今回も、もちろん内閣全体の問題ではありますが、今、宮崎県の要望をあれこれ聞いておるところですので、十二分に、できるだけのことはさせていただきたい、そうお答えさせていただきたいと思っています。
○江藤委員 きょうのところはその御答弁で納得をさせていただきたいと思います。
 次に、私は、参議院選挙後、直接農家の皆さん方と各地でたくさん座談会をやりました。その中でいただいた疑念や不満、御質問についてお披瀝をいたしますので、ぜひお聞きください。その上で、これまで打ってきた政府の対応が十分であるのかどうか、そのことを私はゼロベースで考えてもらいたいと思います。
 JA尾鈴の調査。約九割が再建したいと。JA尾鈴というのは都農と川南を管轄しております。九割の畜産農家が再建したい。すばらしいことですよ。しかし、その四割は、それに当たってはとても資金が足りないという回答をしているんです。自分のところに家畜が何頭いるかわかりますから、掛け算をすれば幾らもらえるかすぐわかるわけですよ。能力加算とかそういう部分は後でありますけれども、大体見当はつきます。四割の方々がとても足りないと言っているという事実を、まず大臣はよく御認識ください。
 菅総理は、前も言いましたけれども、所信表明演説で、影響を受けた方々の生活支援、経営再建に万全を期しますと言ったんですからね。菅内閣なんですから、総理大臣をうそつきにしないようにしてください。
 そして、六月十二日、総理就任後初めて、総理は宮崎県にお越しになりました。そのとき、びっくりしましたよ。日本の酪農にとって国家的危機だ、口蹄疫の問題が終息した後は、国において全力を挙げ、必要なことは全部やると。必要なことは全部やる。
 このことはもう責めません、認識が甘いんですよ、総理大臣は。畜産のことを酪農と言い間違える。宮崎県民、あきれ返っておりましたけれども、ここは大目に見るとしましても、最後の言葉、再建に向けて全力を挙げる、これが一番大事なんですよ。
 埋却、殺処分、蔓延防止、これはまさに闘いでした。これからは帳簿とにらめっこしながらの本当に苦しい闘いですよ、再建に向けての闘いというのは。これに全力を尽くすと、宮崎までわざわざやってきて言ったんですからね。これも必ず、総理大臣は内閣全体の問題だとおっしゃいました、守らせてください。これがもし参議院選挙目当ての発言だとしたら、私は許しませんよ。そのときは、大臣にも総理大臣にも私はおやめをいただきたいというふうに思います、責任をとって。
 これからは、時間の関係上、通告を細かにいたしましたから、一遍に聞かれて困るとさっき言われた。通告を細かにしたんですから、丁寧に。もう時間がありませんからいっぱい質問します。端的にお答えください。
 まず、子牛出荷遅延対策。助成対象、平均出荷日齢と三十日の翌月一日からというものがありましたが、これを、自民党農林部会の厳しい指摘を受けて、翌月一日というものを外しましたね。しかし、三十日は残りました。この三十日というのは何なんですか。農林省から説明を受けました。意味がわかりません、全く。農家の方々にも意味がわかるという人は一人もいませんでした。これはやめてください。平均出荷日齢にすれば簡単に済むことです。
 それと、一日当たりのえさ代四百円。これもだめです。まず、家族労働費が十分に練り込まれていない。そして、牛がどんどん増体すると食べるえさの量がどんどんふえていっている。これじゃやれませんよ。これも見直してください。
 それから、家畜共済。前にも指摘しましたけれども、疑似患畜農家は対象ですね。県が五分の一を払う。だけれども、ワクチン接種農家にはお金がもらえない。無事戻しの分、自分が払った積立金の分だけ返ってくるというお話ですよね。不公平じゃありませんか。農家の間に不公平感があるということが農政全体に対する不信感につながるんですよ。ですから、県が見舞金として払うのであれば、五分の一相当を国が払えばつじつまが合うじゃないですか。平等じゃありませんか。私はそれが大変有効だと思います。
 そして、経営を再建しても、収入を得るまでには、長い人だと大体三年はかかりますね。経営が順調になるまでには十年かかると言われています。それは畜種によって違いますよ、豚や、酪農や、繁殖、肥育、それは違いますけれども、十年かかると言われております。しかも、その間は、家畜の導入費、えさ代、生活費、借金の返済、出費はどんどんふえていくわけであります。ですから、今までにいただいたお金では足りないということであります。どうやって生活したらいいかわからぬと。だから四割の方が金が足りないというアンケート調査が出るんですよ。
 しかも、この手当金、ありがたいです、仮払いも迅速にやっていただいて大変結構だったと思う。しかし、これに税金がかかるのか、所得としてみなされるのかどうか、いまだに政府からははっきり示されていない。どういうことですか、もう百日もたっているのに。七月、八月に決算を迎える法人はどうしたらいいんですか。もう七月も終わりますよ。早くはっきりしてくださいよ。とにかく遅いんですよ、仕事が。遅いんです。
 たくさん申し上げましたけれども、まとめて御答弁をお願いします。あと五分しかありません。
○山田国務大臣 一遍に三つも四つも言われるとちょっと困るんですが。
 まず、子牛が三十日を超えた件について、何で三十日だというお話だったんですが、まず、競りは月に一回とか、私の田舎では二月に一回とかということで、生後八月から十月ぐらいまでの間に出荷して、平均生後九カ月ぐらいで出荷しているんでしょうか、結構その間の幅があります。仮に一月出荷がおくれたとしても、その月齢の子牛というのはそれだけ増体して、それなりに競りでは価格は上がってまいりますので、その分については三十日という設定をしたんじゃないか、そう考えているところです。
 あと、ワクチン接種農家に対して、共済に入っている農家と共済に入っていない農家ですか、それについての質問だったと思いますが……(江藤委員「入っていない農家じゃないです。殺処分されたところは、五分の一出て、共済金も出たでしょう」と呼ぶ)
 殺処分されたところは、いわゆる特措法に基づいて五分の五、全額出ますから、これは共済の適用がありません。共済の適用がないので、共済に入った人と共済に入らなくて殺処分を受けた人と、不平等じゃないかというお話がありましたので、共済に入っていた人は、その分の掛金を払ってもらうとか、そういう措置はさせていただいたと思っております。
 税金について、いろいろ、どうなるのかというお話ですが、これについては、篠原副大臣が今回税制調査会の委員になりましたので、税制の中で検討させていただきたい、そう思っております。
○江藤委員 三十日の話は、三十日以内に出荷できればそれでいいでしょう。三カ月たったんですよ、百日。だから、この三十日は見るのは当たり前です。考え直してください。
 えさ代の話は御答弁がありませんでしたね。考えてください。
 共済の話はよくわかっていらっしゃらない。無事戻しという話はもうよく知っていますよ。だけれども、いわゆる疑似患畜で殺処分された人は五分の四が出て、五分の一相当は県から見舞金が出て、さらに共済金の支払いが受けられる。だけれども、ワクチン接種農家は、国から五分の五出るから、共済金の今まで払った分、一頭当たり二千円とか三千円ですよ、それしかもらえない。蔓延防止に協力をして泣く泣くワクチン接種を受け入れたのにもらいが少ないというのはおかしいじゃありませんか。これは国の思いやりですよ。思いやりとして、御協力いただいてありがとうございますといって相当額を払ったって大した金額じゃないじゃないですか。万全な対策と言うんだったらそれをやってくださいよ。
 それから、税金のことですけれども、私は、法人は七月、八月と言いましたよ。早くやってください、早く。早くやってもらわないと本当にみんな困っているんですから。金ないんですから。借金して税金を払えという話になりますよ。
 あと五分しかありませんね。それでは何をやりましょうか。二十五ページ中十四ページしかできておりません。(発言する者あり)次をやりたいので、済みません。友党の御意見ですけれども、次へ行かせていただきたい。
 次に、競りが本格的にまた再開された後の心配を申し上げます。
 購買者の方々に対してはいろいろとお金を提示されていますね。九州管内は一頭当たり千円だ、九州管外は二千五百円だと。こんなのは全く話になりません、全く話になりませんよ。
 なぜかというと、もう牛は、例えば児湯は、八月の競りは、先ほど言いましたように九月の中旬なんですよ。五百キロですよ、もう若牛ですよ、子牛じゃありませんよ。普通、牛の購買者というのは、トラックを引いてきて、二十六頭ぐらい載せるんですね。でっかい牛ですから、十八頭とか十九頭しか載りませんよ。ということになれば購買者はどうするかというと、トラックの台数をふやすか、もしくは買う頭数を減らすしかない。これは大変ですよ。
 口蹄疫が発生してすぐの委員会で、私は赤松大臣に申し上げました、いわゆる十年前にやった市場に対する支援百万円、これをやる必要がありますよと。そして、あのときは一笑に付されましたね、そんなものは国民の理解を得られないと。でも、百万じゃとても足りない話になっていますよ。実際に予備費だけで四百十一億円プラス八十数億円じゃありませんか。とんでもないお金がもうかかっているわけであります。このことについても十分に御検討をいただきたいと思います。このことはもう御答弁は求めません。
 次に、マル緊、これが非常に問題になっています。
 二十キロ圏内は免除ですね。積立金も免除です。ところが、二十キロ圏の外になると、これは免除になっておりません。これは不公平ですよ。
 それに、疑似患畜やワクチン接種で殺処分された牛、これは四―六月期に出るであろうマル緊が出ないんですよね、出ないんです。お金をもらえないんですよ。ワクチン接種を受けないで生き延びていれば、これはもらえたお金ですよ。国に協力したためにもらえるはずのお金がもらえない、これはおかしいじゃありませんか。
 実施要綱を読みました。確かに、その中には「契約肥育牛を販売した場合」というふうに明記をされております、「販売した場合」と。販売していませんよ。殺処分したということは、ある意味、国に買い取ってもらったのと同義だというふうに理解していいんだろうと私は思います。ですから、殺処分された牛に対しても、みんな財政的に苦しんでいるんですから、四―六月期のマル緊をきちっと支払っていただきたい。これは養豚経営対策の拠出金についても同様の対応を求めたいと思いますが、御答弁を求めます。
○山田国務大臣 マル緊事業そのものは、生産費と、いわゆる販売高、収入との差額の八割を補てんする、売った場合に経費がかかり過ぎた場合に補てんするという制度です。
 今回は、そうじゃなくて、いわゆる殺処分する、ワクチン接種した家畜に対しては全額、損失の八割ではなく全額補てんする、時価評価による評価ですから、そして、ワクチンを打っていわゆる殺処分するまでの間の飼料代も見ておりますから、マル緊制度以上に十分な手厚い手当てをしたものだと私は考えておりますし、さらにそれにマル緊制度の分まで上乗せしろというのは、ちょっとそれはという気がいたしております。
○江藤委員 大臣、それはごまかしですよ。最初にマル緊のことも考えて価格の設定をしましたか。していないでしょう。まあ、したと言われればそれまでかもしれませんけれども。私が地元でこの足で歩いて、我々は積立金を払ってきたんだ、ワクチン接種を受けなければ今も生きていてマル緊が出るんだ、どうしてもらえないんだ、そういう生の声なんですから、現地の声にはこたえてくださいよ。
 もうあと二分ぐらいしかありませんから、ぼんと飛ばします。
 ふん尿、堆肥の問題です。これは、七月一日、農林省から通告が来ました。これは確かに、全部埋めようと思ったら、六メートルの幅で十キロ掘らなきゃなりません、十キロ。とんでもない量なんですよ。ですから、ブルーシートでやるという方法も仕方がないかもしれませんが、しかし、地元では水分量が多い、ことし、宮崎は雨がすごい多いんです、にわか雨とか。本当に六十度以上になるのかどうか不安で仕方がないんですよ。大臣はこれで間違いなく大丈夫だというふうに断言できるかどうかをお聞きしたいんですが、時間がない、もうやめろということでありますので、もう答弁は求めません。
 最後に、お願いをいたします。
 本当であればまだ聞きたいことが山のようにあって、あれでありますけれども、ぜひ、すべてが一段落をしたら、国による慰霊碑の建立それから慰霊祭、それをきちっと私はやっていただきたいということを強く最後に要望したいと思います。私は、今回の口蹄疫問題で人生観が変わりました。人間というのはいかに罪深い生き物なのか。産業動物とはいえ、これほどの家畜を殺してしまって、それであとは経営再建だ、それだけじゃいかぬと思うんですよ。きちっとした慰霊祭をやって、みたまの安らかなることを祈って、そして次のステップを踏むということが必要だと思います。ぜひこれは御検討ください。
 そして、口蹄疫は八月二十七日で終わるんじゃありませんよ。途中でも申し上げましたけれども、経営再建こそが最も厳しいイバラの道なんです。ですから、これからの委員会でも、これから二年、三年、四年、政権交代があってもなくても、このことについては、委員各位の皆様方、政務三役の皆様方、御協力をいただいて、ぜひ風化させることのないように、忘れることのないように、いつもお心にとめていただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○筒井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○筒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂本哲志君。
○坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。
 午前中の宮腰委員そして江藤委員に引き続き、口蹄疫の問題で質問をさせていただきます。
 四月二十日の、口蹄疫、宮崎での発生から一週間あるいは二週間、十日たった時点で、私たちは、今回の口蹄疫はこのままでは済まない、昭和二十六年に成立した家伝法では到底これは処理することができない、そういうことで、特措法の成立、特措法の設置、これを呼びかけました。
 私自身も、今の家伝法上の問題、あるいはこれからの再建のための支援、こういったものを考えるときに、農林省でできる財政支援、あるいは総務省での特交の本来の法の趣旨、そういったものを考えた場合には、どうしてもやはり特別措置法が必要であるというようなことで主張をしてまいりました。
 そういう質問もしたところでありますが、当時の赤松農林水産大臣は特別措置法の成立に消極的でありました。現行の法律の範囲で処理できる、財源的にもそれで十分であるというような趣旨の答弁をされております。
 しかし、私たちは、到底それでは無理だということで、五月の十八日に自民党内でPTをつくりまして、宮腰先生に座長になっていただきまして、都合七回、日夜含めて、専門家も呼びまして審議をいたしました。そして条文をつくり上げて、委員会の方に提出したところであります。
 この間、民主党さんの方でもいろいろな論議があって、特措法の準備はされたようでありますが、結局未提出となっております。未提出となりましたその案文を後で拝見させていただきましたけれども、例えば、本部の設置は明記されていないとか、あるいは蔓延防止の措置に関するその他の規定がないとか、あるいは家畜の所有者に対しての支援措置が交付金制度や現行の家伝法の延長線上にあるとか、非常に大ざっぱで、法案あるいは条文と言える代物ではありませんでした。
 結果として、委員長が特措法の必要性を認められ、そして委員長提案、また自民党、公明党が提出しました特措法案、こういったものも含めて、最終的に全会一致で国会終了前に成立をいたしました。
 もし、あの特措法が成立しないまま国会を閉じていたならば、今ごろはどうなっていただろうかというような気がいたします。支援措置にいたしましても、あるいは補償措置にいたしましても、あるいは埋却、殺処分にいたしましても、どれだけの混乱が生じていただろうかというふうに思っております。
 そういう点で、当時、特措法の成立に消極的でありました赤松大臣のもとで副大臣をされておりました山田大臣、今改めて、私たちは特措法をつくっていて、まずその礎ができてよかったなというふうに思うんですけれども、大臣として今度の特措法に対してどう思われていますか。
○山田国務大臣 赤松大臣当時、特措法については確かに消極的ではございました。確かに、家伝法に基づいて、えびの市においては、まさに七十二時間以内に殺処分、埋却をきちんと終えて、そして発生を封じ込めることができた。えびの市のように、川南とか、あの地域でもそうしておれば、私は、特措法の必要はなかったんじゃないか、そう思っております。
 しかしながら、川南の発生のときには、我々国が四月二十日に聞いた時点では、抗体検査結果等によりますと、既に十農場以上で発生しておった。そういう中において、埋却地もない。私が行ったときも驚きましたが、埋却地にすぐ埋めてくれと言っても、不公平が生ずるから埋められないとか、いわゆる殺処分できないでいる牛、豚の疑似患畜、患畜だけで七万頭という事態にまで至った。そういうときに、ワクチンを接種するしかない、そうなりますと強制殺処分をするしかない。消毒も、単に一般車両まできちんと消毒するとしたら、強制的な消毒しかない。そうなってきたら今の家伝法では間に合わない。
 そういうところから、私は、当時の筒井委員長にお願いいたしまして、ぜひ特措法をつくっていただきたいと。赤松大臣にもお願いいたしまして、ぜひ特措法で強制殺処分並びに強制消毒等をやっていただきたい、そしてリングワクチンを接種して、何としても封じ込めなければいけない、そういう判断のもとに特措法をお願いいたしました。そういう意味では、あの時期特措法は必要であった、それは私自身もそう考えておりました。
 ただ、発生直後、えびの市のように本当にマニュアルどおりに、当時の指針どおりにやっておれば、あれだけの拡大は防げたはずです。
○坂本委員 宮崎のことは江藤先生あたりが一番知っていると思いますけれども、えびのに飛び火して、そこで事態を収拾したことと、それから川南町、こういったところで発生し、結果として蔓延を招いたことを私は同時に考えてはいけないと思うんです。飼育の仕方あるいはその経営体、全く違いますから、私たちは、えびの市になぜ飛び火したのか、もっと突き詰めてやるべきだと思っております。
 なかなかこれは裏がとれませんので、できておりませんけれども、私自身は、これからさまざまな家畜の伝染病が出てくる、そういう中において常に、昭和二十六年に制定された家伝法、これでは処理できないんだ、間に合わないんだ、そういう危機感はいつも持っていていただきたいし、特措法の準備というのは、発生時点から、この事件が、あるいはこの口蹄疫がどれだけ大きなものに広がるか、そしてそこでどういう処理をしなければいけないかというのは当然、所管の大臣として、あるいは所管の政務三役としてわかるはずでありますので、ぜひ当初から特措法の準備、こういったものは入念にやってほしかったなというふうに思いますし、今、特措法の必要性を十分認められたのであるならば、法に従って、午前中に基金の問題等も出てきましたけれども、後でまた質問いたしますけれども、ぜひその重要性もお認めいただきたいというふうに思います。
 そして、家伝法の問題でありますけれども、これからの口蹄疫あるいはBSE、あるいは家畜に関する伝染病、これは世界同時多発テロと同じような意識を持って対処していかなければ大変なことになるというふうに思います。
 そういう点で、家伝法の問題について言えば、これは昭和二十六年に、先ほどから言いますように、成立をしております。そして、その法の組み立ては、農林水産省の省令に従って、その地域地域の都道府県知事が報告について判断する、あるいは処理について判断する、あるいはいろいろな状況について判断する。省令の指針に沿って知事が判断するというような法の組み立てになっております。
 これは、当時の畜産というのがまだまだ地域で小規模で、そして個性のある、特性のある飼育の仕方をしていたということからきていたと思います。そういうことで、地域の判断にゆだねるということが多かったわけでありますけれども、今のように大規模化、そして非常に広域化、そして繁殖から肥育に対しての移動の拡大、こういったものも非常に大きくなっているわけですので、私はこの点も踏まえて抜本的に改正をしていかなければならないと考えます。
 そのためにはかなりの時間も必要であると思いますが、まず、都道府県知事というのが主語になっている部分がかなりございますので、これをやはり、国の権限を強化する、主語を国にすること、そして早急に封じ込め、あるいは処理しなければいけない。このことに対しての緊急性を考えた場合には、国の権限をもっと強くする、そして国の責任も強くする、またその後の支援措置も強くする、こういう対応がやはり必要であると思います。
 そういうことで、今後の改正に当たっての論点、そしてその論点を整理して家伝法改正まで持っていくためにはいろいろな論議が必要だと思いますけれども、時期的に見ていつぐらいに改正法案を出されようとするのか、このことをお答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 今回の口蹄疫対策は家伝法その他に基づいて当初なされたわけですが、これは法定受託事務で、第一義的には県の方でやるということになっておりました。しかしながら、実際には、あれだけの感染拡大で、国の対応がおくれたとか、国の責任が国会でもいろいろ取りざたされてしまいました。そういう意味からも、今回、こういう場合においては、単なる県に任せるだけではなく、実際に国がみずから出向いて危機管理をやらなければいけないんだ。それは確かに、私ども今回の件で、学習いたしましたと言ったらおかしいかもしれませんが、そう考えさせていただきました。
 そういう意味で、家伝法における危機管理、こういったものについては、今回第三者委員会を立ち上げましたので、客観的に、今回の場合にも、国のどこに初期の対応のおくれがあったのか、県のどこに対応のおくれがあったか、市町村においてはどうであったか、そういったものも含めてすべて検証したいと思っております。できれば八月、あるいは九月の初めには中間報告を取りまとめられればと思っているところです。
 それをもとにして、私どもは家伝法の抜本的改正、見直しを図りたいと考えておりまして、できれば来年の通常国会に家伝法の改正法案を出させていただきたい、そう考えているところです。
○坂本委員 家伝法の改正といっても、今の家畜伝染病、さまざまな症状あるいはさまざまな病気、こういったものがあります。一カ月、二カ月、三カ月の審議でもって、それで抜本的な改正というのはなかなか厳しいと思われますが、本気で来年の次期通常国会に提出する、スケジュールとしてはそれでいいんですか。もう一回お伺いします。
○山田国務大臣 そのつもりで準備いたします。
○坂本委員 ぜひその審議の過程で、地域の実情、宮崎県も含め、あるいは九州も東北も、あるいは本州、それぞれの畜産地帯、あるいは外国の事情も含めながら、本当に現代の家畜伝染病予防に資するような予防法に改正していただきたい。私たちも、そういう点では今後大いにいろいろな議論をさせていただきたいと思っております。
 そして、私が特別措置法の主張をいたしましたときに、総務省に対しましても、やはり予算措置の問題で非常に無理があるところが出てくる、一方で農林水産省の交付金を共済金に使い、その上乗せ分を特別交付税、特交でやる、特交の趣旨と農林水産省の方の法の趣旨が本当にそれで整合性がとれるのか、農林水産省あるいは総務省、こういったところの調整というものをもっと入念にやるべきではないかというようなことを申し上げました。
 今、各自治体は、緊急的にみずから予算を組んで、消毒をやり、あるいはさまざまな支援措置を都道府県独自でやっております。例えば熊本県の場合には、消毒だけで三億二千万の予算を組みました。また、家畜市場のおくれに対しましては、家畜市場は自分の運営がありますので早く開きたい、県は開いてくれるなというわけでありますので、県が音頭をとって相対取引で子牛の売買をお世話するからというようなことまでやりました。
 県独自でいろいろな財政的な措置を緊急的にやったところでありますが、緊急にはやりましたけれども、この後、果たしてどれだけの措置がどういう形で来るのかというのが非常に不透明であります。特別交付税でどこまで見てくれるのか、あるいは地方交付税の対象になるのかどうか。また一方で、農林水産省の交付金がどこまで来るのか。
 先ほど午前中に言われましたように、搬出制限区域にかかった鹿児島と熊本については遅延支援対策というのが適用されるけれども、それ以外の佐賀や大分には支援されない。そのことは、果たして法の優越性というのはどちらにあるのかということを考えた場合には、非常にやはり地方としては混乱するであろうというふうに思います。
 ですから、これはまず総務省にお伺いいたしたいと思いますけれども、これまでさまざまに行われました防疫対策、こういったものに対する措置、あるいは県独自の支援措置、そういったものに対して今後どういう仕切りをしていくのか。どういう形で、特別交付税の枠を決めるのではなくて、特別交付税の筋道というものを立てていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
 そしてもう一点、きょう午前中に基金の問題がございました。基金は今回の特別措置法で明記されていることであります。これは本来ならば内閣府でありますけれども、私は、地域の支援にかかわることでありますので、最終的にはその仕切りは総務省がやるべきであるというふうに思っております。その基金のあり方、今後の設置についてもあわせて総務省の方にお伺いいたしたいと思います。
○小川大臣政務官 まず、さきの国会を含めまして、本委員会でさまざまな御議論をいただき、御指導をいただいてまいりましたことに深く敬意を表したいと思っております。それがあってこそのこの間の具体的な措置の検討であり、この間の成果であろうと思っております。
 その意味で申し上げますと、幸いにもと申し上げますか、宮崎県以外では殺処分あるいはこれに伴う損失補償ということは出なかった。非常に不幸中の幸いであり、先生のお地元である熊本県を初めとしたさまざまな関係者の御尽力のたまものであろうと思います。
 しかし、今御指摘になられましたとおり、車両消毒の義務づけ指定地域としてさまざまな御負担をいただいている。消毒ポイントの設置だけで三億円余り、その他の農家に対する支援を含めますと六億円余りの予算措置を熊本県におかれては既になさっておられる。
 午前中の御答弁でも申し上げましたが、こうした特措法に基づく事業、またそれに伴う事業については、その地方負担分を全額特別交付税で措置をさせていただく決意でございますので、ぜひとも御理解をいただきたい。大変強い決意で臨んでおりますことを改めて強調させていただきたいと思います。
○坂本委員 その決意をぜひ現実のものにしていただきたいと思いますが、これは通告しておりませんでしたので、基金のことについてはいかがですか。
○小川大臣政務官 大変失礼をいたしました。
 基金につきましては、その成り立ち等々、まだ法律の条文そのものが非常に骨格だけでございまして、この具体的な検討はこれからでございます。
 いずれにしても、十分地元の都道府県の御意向などをよく踏まえながら、関係省庁とも協議をしてまいりたいと思っております。
○坂本委員 基金の問題については、またこれから予算委員会等々で質問があります。ぜひ地域支援措置として設置しなければいけないことであるし、総務省はまさに先頭に立ってそのことを主張していただきたいというふうに思います。
 あと、それぞれ各論について御質問させていただきます。
 まず、今回の口蹄疫、一月に韓国で発生をいたしました、一月七日だったですかね。それから一時終息をいたしまして、また二月から三月にかけて韓国で発生した。その後、四月の二十日に日本での、宮崎での発症が確認されたというような経緯をたどっております。私は、この一月に韓国で口蹄疫があった時点で、あるいは台湾で口蹄疫が大きな問題になった時点で、もっと大きな警告あるいは警報を出すべきであったというふうに思います。
 その出し方というのはいろいろあると思います。各県によっては、ステージ別にいろいろな、レベルワンからレベルフォーまで、あるいはレベルファイブまでつくっているところもあります。農林水産部長で対応するところ、あるいは県知事で対応するところをつくっておりますが、国においては、今、そういった警報あるいは警告についての統一的な基準がありません。
 これからは、朝鮮半島にいたしましても、中国にいたしましても、台湾にいたしましても、この口蹄疫の問題はやはり常態化してきます。その都度その都度、非常にきめ細かな警告体制が必要と思います、警戒情報システムを新たに策定すべきであるというふうに思いますが、まずその点についてお答えください。
 それからもう一点、一緒に質問します。
 それと、早期発見ができなかったということは事実でありますし、農業新聞等によりますと、あるいは疫学の調査チームによりますと、三月の時点で本来ならば発症していたんだというようなことが報告をされております。
 やはり、早期発見のための対応策が必要であります。しかし、今、特に肥育につきましては、三百頭、四百頭ではなくて、千頭、二千頭の単位で飼育の大型化が進んでおります。果たしてこの状態で目視あるいはその他の検査も含めて早期発見ができるのかどうかというのは非常に難しい問題であると思いますが、私は、管理獣医師を含め、社員への教育の徹底、そして国や都道府県が責任を持って早期発見のための研修体制を常時開いていく、さらには、さっき言いましたように、台湾の情勢、朝鮮半島の情勢、中国の情勢、欧州の情勢、オーストラリアの情勢、こういった情勢を逐次情報として発信していく、この繰り返しが本当に大切だと思います。
 この警戒のための情報システム、そして早期発見のための研修やその他の国の、制度化、これについてどうお考えでいらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 昨年の台湾の発生とか韓国の発生、発症等々については、私ども農水省としてはよく承知しておりましたので、昨年、再三にわたって、近隣各国でこうして口蹄疫が発生していて日本も非常に危険なので厳重な警戒をするようにというのは、各都道府県に通知しておきました。特に、昨年の十二月には、いわゆる殺処分の用意、埋却地まで確保しておくようにという通知も国としては出しておきました。
 しかしながら、今回、残念なことにこういうことになってしまいましたが、実は昨日、全国の都道府県の畜産課長さん及び畜産関係団体、農水省の講堂に約二百人ほど集まっていただきまして、その中で、早期発見、早期対応について、宮崎の口蹄疫の実情を報告しながら皆さんにお話をさせていただきました。
 それ以前に、今回、私の方で新しい指針を、これから先も、今もアジアで猛威を振るっている口蹄疫がいつ日本で発生をするとも限らない。そんな中、まずは、各農家が異常な家畜、いわゆるよだれを出したりびっこを引いたりする家畜について早期に発見したら、二時間以内に獣医さん、家畜防疫員が現場に駆けつける。駆けつけてデジタル写真を撮ったら、その写真を動衛研、国の方に送っていただければ、今はほぼ写真判定で一〇〇%確認できます、写真判定で確認したらすぐに折り返し連絡をするので、それに基づいて二十四時間以内に必ず殺処分していただきたい。そして、七十二時間以内に埋却していただく。そういうマニュアル、指針を今私どもの方で各都道府県に徹底させていただいているところです。
 いずれにしても、これから先、またこういう事態がいつどこで起こってもおかしくないという状況下にあります。全国の畜産農家、畜産関係者の皆さん方は、より厳しくこの口蹄疫対応、危機管理に対してしっかりやっていただきたいし、国としても、国の家畜改良センターにおきまして、今回、緊急部隊というのを用意いたしました。もし仮にどこかで発生したら、直ちに駆けつけて、資材その他も含めて、約四十人のメンバーを今構成して待機させているところです。万全の用意はさせていただくつもりでおります。
○坂本委員 去年から厳重な警戒体制をとっていたという割には、現実的に結果として初動態勢がおくれたというのは、私は言いわけでしかないというふうに思います。ですから、しっかりとした警戒体制、情報システムはつくっていただきたい。
 それから、今言われましたけれども、何百頭、何千頭といる中で、写真を送って、それで早期発見というのは、非常に考え方そのものが安直であるというふうに私は思います。PCR検査でも出なかった牛が大変多いわけです。また、黒毛和牛の場合には非常に見分けがつきにくい、目視でも見分けがつきにくいという問題がありますので、私は、もっと専門家の意見を取り入れて、本当に綿密な形での早期発見、何ができるのか、どういう形でできるのかということをやるべきであるというふうに思います。
 そしてもう一つ、発症後の蔓延対策でありますけれども、今回は宮崎という地域でした。川南町、都農町にしても、前は海でありました。そして、九州の中の宮崎であります。宮崎に封じ込める、封じ込めるという点では、私はそれは成功したのかもしれないと思います。しかし、これがえびのから鹿児島あるいは熊本に広がっていた場合にはまた大変な問題になっていたでありましょうが、条件としては、例えば宮崎から隣接他県に広がったら南九州で抑える、あるいはそれから広がった場合には九州でやはり抑えていく。九州の場合には一つの島でありますので、いろいろな対応の仕方があると思いますが、これがもし近江牛の肥育地帯や松阪牛の肥育地帯、あるいは東北の米沢牛や盛岡牛あたりの肥育地帯で起きた場合、この風評被害あるいは都市経済への混乱、大都市近郊や本州で起きた場合の混乱というのは大変なものになると思っております。
 私は、ステージ別にそういう蔓延防止対策あるいは防疫対策を今しいておかなければいけないというふうに思っております。移動制限区域の十キロ、あるいは搬出制限区域の二十キロ、さらにはそれ以外の防疫体制についてももう一回練り直すこと、広域体制としてどこまでどれをどうするのかということをもう一回練り直す、その用意をぜひしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○篠原副大臣 委員の御指摘は、ごもっともだと思います。
 我々日本では、OIEの基準があるわけですけれども、それに基づきまして、移動制限区域は十キロ、搬出制限区域は二十キロにしております。蔓延防止のことを最優先した場合は、十年前がそうだったわけですけれども、三十キロとか五十キロとか、広げた方がいいわけですけれども、先ほど午前中、江藤拓委員の質問の中にもありました、移動制限、搬出制限を受けますと、非常に出荷がおくれたり授精ができなかったりして、経済的に打撃が大きくなるわけです。ですから、どこをピンポイントとして防疫措置を講ずるかというのは、各国とも頭を悩ませているところではないかと思います。
 我々は、今のところ、ほかの地域で発生した場合にも十キロを移動制限区域とし、二十キロを搬出制限区域とするということでいいのではないかと思っております。なぜかといいますと、確かに、川南のところでは初動がちょっとおくれたんだろうと思います、蔓延してしまいましたけれども、よく例に出されますえびの市の場合は、先ほど山田大臣が説明しましたとおりでございますけれども、早期発見、そしてすぐ、二時間で連絡し、二十四時間で殺処分し、七十二時間以内に埋却措置を講じるということで封じ込めしておるわけです。ですから、こういったことでもって処置していかなければならないんじゃないかと思います。
 ただ、今御指摘の、では本州で、もっと都市の地域で起こった場合はどうかというと、これはやはり全く違った対応をしなければならないんじゃないかと思っております。そういった場合は、その時々で機敏な対応をして、防疫措置をきちんとしてまいりたいと思っております。
○坂本委員 その時々でというのが、また今回のような事態を招くんですよ。ですから、シミュレーション、マニュアル、これは全国どの地域でどういう規模で発生したか、発症したか、これに向けてやはり今からつくっておくべきである、でないと大変なことになってくると私は思っております。
 きょうは文部科学省と国土交通省からも来ていただいておりますので、こちらの方の質問を先にやらせていただきます。
 今回、獣医師の確保が大変でありました。獣医師の育成、養成、これは非常に、特に大動物、産業用動物の場合には難しくなってきております。どうしても、小動物あるいはペット用、こちらの方に六割から七割の方が志願される、そして大動物は三割から四割である、その中で産業用動物は一割に満たないというようなことであります。
 特に私立大学は、獣医学科が五大学あると聞いていますが、私大の運営上、ほとんどがやはりペット、小動物を中心とした獣医師の育成でありますので、産業用動物は、どうしてもこれは国立大学が責任を持って育てるということでやらなければなりません。十年ぐらい前に、宮崎大学や鹿児島大学、あるいは西日本の獣医学科関係の大学を再編して、そこで獣医学部として大動物、産業用動物の獣医師を育成するというような案が立てられたようでありますが、それぞれの大学の思惑が交錯いたしまして、それが頓挫をいたしてしまいました。
 これからの産業用動物の獣医師確保対策あるいは獣医師の育成対策についてどういうようなお考えでおられるのか、まずお伺いをいたします。
 そして、国土交通省には、やはり港湾そして空港の、人の検疫体制が本当に必要だと思いますし、特に靴底についたさまざまなウイルスに対する防疫体制をやらなければ、いつ、どこから、どういう形で入ってくるかわかりません。釜山と福岡を結ぶフェリーもありますし、それから船舶もあります。あるいは、中国の方から、韓国の方から、それぞれの空港には特別便あるいは定期便が来ております。
 人に対する防疫体制、これを農林水産省ともどもに連携してやっていくべきだと思いますけれども、それぞれに、文部科学省、国土交通省からお答えをいただきたいと思います。
○鈴木副大臣 お答えを申し上げます。
 現在、大学におきます獣医師の養成は、十六大学で総定員九百三十名によって行われております。この中で、産業用動物の獣医師の養成に大きな役割を担っております国立大学の獣医学科等は、御指摘のように、入学定員、それに伴いましての教員数等々も小規模でございますので、お話ございましたように、昭和五十年代よりこの再編についての議論が行われてきておりますが、御指摘もいただきました、これまでの統合を中心とした提案は、それぞれの大学、そして何よりもそれぞれの御地元の御同意が得られていないということで、実現に至っていないというのが現状でございます。
 一方、大学院における獣医学教育の充実、連携強化を図るという観点からは、平成二年に、東日本そして西日本それぞれに連合大学院を設置いたしておりまして、高度な専門能力を備えた獣医師や研究者を輩出しているところでございます。
 加えまして、統合ということになりますと、統廃合ということになりますので、これは先ほど申し上げたように大変厳しいわけでございますが、現在、大学設置基準を改正いたしておりまして、複数の大学の学部が共同で教育課程を実施することは可能といたしております。
 これを踏まえまして、現在、幾つかの獣医系大学におきまして、例えば、北海道大学と帯広畜産大学でありますとか、あるいは岩手大学と東京農工大学でありますとか、山口大学と鹿児島大学、こういった大学におきまして、それぞれが得意とする分野を結集した形での獣医学の共同教育課程の実施に向け検討を進めているところでございまして、文部科学省としても、そうした設置の促進に努めてまいりたい。いずれも平成二十四年四月の開始を目指しておられるというふうに伺っておりますので、私どもとしてもそれを応援してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○長安大臣政務官 お答え申し上げます。
 私ども国土交通省といたしましては、五月中旬から、国道上での車両用消毒マットや消毒槽の設置協力等を行ってきたところでございます。
 六月十日に都城市で患畜が確認されたことを受けまして、空港及び港湾を含む公共交通機関において、移動制限区域及び搬出制限区域内を通過する路線における乗客用の消毒マットの設置、及び自治体等から要請があった場合の協力等を行うよう、各事業者や出先機関に対しまして要請を行ってきたところでございます。
 また、六月十一日に西都市、日向市及び宮崎市におきまして患畜が確認されたことを受けまして、九州地方整備局また九州運輸局の合同支援本部を設置いたしまして、自治体等からの要望や現地の対策状況に係る情報収集、対策の検討、協力を行っているところでございます。
 二十七日、昨日でございますけれども、宮崎県内のすべてで移動制限区域及び搬出制限区域が解除されたところではございますけれども、国土交通省といたしましては、引き続き、空港、港湾における水際対策や現地の復興を含む口蹄疫対策を積極的に推進していく所存でございます。
○坂本委員 いつ、どこから、どういう形でウイルスが入ってくるかわかりません。今の搬出制限区域内の空港、港湾ということではなくて、やはり全地域で日常の防疫体制を実施すべきであるというふうに私は思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 時間がなくなりましたので、最後、一つだけ要望をしておきます。
 やはり埋却処分には限界があります。特に、熊本のように飲料水を全部地下水に頼っているところでは、仮に埋却処分が行われるとなると、これは大変な反発を招くことになります。やはり、焼却処分、埋却処分、それぞれ含めたものが必要であると思います。
 熊本も、そして鹿児島も宮崎も化製場を持っております。焼却施設を持っております。かなりの頭数を焼却することができますので、それに、搬出として欠かせない密閉の移動車両をブロック単位で配備すること、そして、いざとなったときに、発症した場合には焼却処分を含む処分を断行する、このことがこれから最も求められると私は思いますので、これは要望として大臣の方に訴えをし、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、徳田毅君。
○徳田委員 自由民主党の徳田毅でございます。
 山田大臣とは島嶼議員連盟でも御一緒させていただき、当選当初より御指導もいただいてまいりました。今、大臣に就任され、このように委員会で議論できることを大変うれしく思いますが、きょうは、口蹄疫ということもあり、厳しい議論になることもどうか御理解を賜りたいということを思います。
 二十七日午前零時をもって、移動・搬出制限区域の制限というものは解除されました。また、非常事態宣言も解除された。口蹄疫との闘いに取り組んでこられた農家の方々、または市町村、国、行政の方々、また、きょうはJAの方々もいらっしゃいますし、江藤先生の質問の途中には建設業の方々も来られておられましたが、そういう方は、本当に皆さん一体となって抑え込みに取り組んでこられてこの日を迎えた。本当に皆様の御労苦に心からの敬意と感謝を申し上げたいということを思います。
 しかしながら、今回解除をされたとはいえ、先ほど江藤先生が言われていたとおり、これから、再建、地域の再生、これこそが本当のイバラの道だということでございます。口蹄疫特別措置法というものを成立させ、そして、今回また政省令というものも出てまいりましたが、しかしながら、ここについて本当に十分かどうかという声も上がっております。この辺についても、きょうの質問でしっかりと議論をしてまいりたいと思います。
 まずもって、山田大臣は、三週間にもわたり宮崎にも行かれておって、そして地域の悲惨さ、凄惨さというものを目にしてこられたんだということを思います。
 今回殺処分された家畜は計二十八万八千六百四十三頭と、我が国の家畜伝染病史上最悪の被害ということになりました。なぜこれほどまで感染が拡大してしまったのか。または、感染経路についてもこれから検証されると思いますが、それでは、これまでの政府の取り組みについて反省はなかったのか、問題はなかったのか。
 まず、この九十八日間を振り返って御感想をいただきたいということを思います。
○山田国務大臣 政府の対応について怠りがあったのではないか、もっと万全の対策ができたのではないか、あるいは、第一義的には、法定受託事務ですから、宮崎県の対応についておくれはなかったのか等々について、今、第三者委員会を立ち上げまして検証していただくところでございます。早ければ中間報告を八月の下旬でもまとめていただければと、十月、十一月までにはその報告をいただきたいと思っているところです。
 なお、私に、なぜあれだけ拡大をしたのかと聞かれるということであれば、やはり早期発見、早期処分。えびの市のように、マニュアルどおりに七十二時間以内に埋却処分できておればあれほどまでの感染拡大はなかったんじゃないか。実際に抗体の検査を見てみますと、三月中旬にはもう発症しておったんじゃないか、ウイルスが入っておったんじゃないか。四月の二十日、国に報告した時点では、少なくとも十農場においては発症が認められる。
 そういう状況で、その間、県として、県の防疫体制はどうであったか、やはりおくれというものもあったんじゃなかろうかという気はいたしております。それらを含めて第三者委員会できちんと、また、国も、国家的危機管理として私が現地に出向いたのが五月の十七日だったわけですが、そういったものについてもどういうものであったかということも含めて、検証して第三者委員会での評価をいただければ、それをもとにし、今後二度とこういうことにならないように家伝法の改正へつなげていきたい、そう考えているところです。
○徳田委員 これからしっかりと検討していただきたいと思いますが、私も、農林水産委員ではありませんが、やはり、鹿児島でもありますし、隣県宮崎で起こったこの口蹄疫について大きな関心を持ち、何度もこの農林水産委員会の議論を聞いてまいりました。
 初動の段階で、例えば消毒液を国から宮崎に持ち込むのが、四月二十日に発生が確認されてから一週間以上おくれたということも指摘がありました。赤松農水大臣が外遊に行ったということについても大きな問題となりました。
 私からすると、そうした議論の中で、赤松大臣からは、本当に適当ではない、もっと言えば、きょう大臣が冒頭にごあいさつの中で言われておりましたが、雨の中、炎天下の中で殺処分や埋却に取り組んでこられた方々を逆なでするような発言もあったのではないかということを思いますが、その辺についてもあわせてやはり反省をしていただきたいということを思います。
 さて、この口蹄疫について、今、解除ということになりましたが、まだまだ排せつ物の処理等が残っているということを聞きます。これについて地元の御意見を聞きますと、これが本当に適切に処理されているのか、また、その処理が農家任せになっているのではないかという声もあります。その辺について、今、国や自衛隊が入っているという話も聞きますが、この排せつ物の処理が本当に適切なのか。今回、六十度以上にしてということでありますが、それは、どこからの根拠でその規定を設けられたのか、それについて教えていただきたいということを思います。
○篠原副大臣 排せつ物は、委員御指摘のとおり、たくさん残っております。患畜の発生した農場については、六週間、そのふん尿の中にもウイルスが残っていると言われております。ワクチン接種農場については一週間、七日間ということで、これは、いろいろな経験上我々が知っている範囲のことではそういうことになっております。
 ですから、今どういうふうにしているかといいますと、これから切り返し、それから運搬があるわけです。
 口蹄疫のウイルスというのは、蔓延力は物すごいんですけれども、皆さん御存じのとおり、pHがちょっとずれるだけでだめになる、それからもう一つ、温度がちょっと上がって、今委員が御指摘になりましたとおり、五十度か六十度になると死滅するということが言われております。ですけれども、切り返しや運搬のときに飛散して、それがまた蔓延の原因になるということも考えられるわけです。ですから、そういったことを慎重にしなければならないということで、堆肥温度を上昇させたりすることによって今後処理していこうということにしております。
 今の予定では、そういうことを繰り返しながら、今まで搬出制限解除は地域ごとにやってまいりましたけれども、これは全体でこの程度でいいじゃないかということで、八月下旬をめどに、すべての制限解除に向けて準備をしているところでございます。
 それから、これはまだ、こんなに大きくというか広く口蹄疫が発生したことがないわけでして、我々も知り得ないことがいっぱいありますので、農家も悩みが深いということはわかっておりますので、私などは、先週、三十五日間の宮崎市の滞在を終えて帰らせていただきましたけれども、農林水産省の専門家の職員を五人現地に残しまして、相談窓口を開きまして、いろいろなことについて、悩み事があったら、わからないことがあったら聞ける体制になっております。その点では、県と国と一体になって十分やっているところでございます。
○徳田委員 ありがとうございました。
 膨大な量だということをお聞きしますので、やはりそうした部分についても引き続きしっかりとした御支援をいただきたいということを思いますし、また、きょう議論の中にもありましたが、中国などでは口蹄疫は今も蔓延している。宮崎にかかわらず、全国でいつどこで起こってもおかしくはない状況の中で、やはり全国的な防疫体制の強化というのが必要だと思います。
 ちなみに、私の選挙区にある大規模農家に聞きますと、やはりこれから、消毒槽であったり噴霧機であったり、そうした部分についてもしっかりと整備を行ってほしいと。今は民間が個人的に購入をしているような状態でありまして、今畜産業というのは大規模化が進んでいる中で、そうしたリスクも大きくなってきているということもありますので、あわせて御議論をいただければありがたいということを思います。
 そして、これからの経営支援、経営再開の支援、そういう部分について今回議論に移ってまいりたいと思います。
 まず一つ、やはり、きょうの議論を聞いていまして、本当に政府が万全の措置を講じようとしているのか、その姿勢に疑問を持たざるを得ません。鳩山前総理また菅総理が宮崎に行かれて、しっかりと県民の皆様にお約束をされた。しかし、今回、口蹄疫特別措置法に基づく政省令が公布されましたが、この内容というものは、被害に遭った農家の方々や地域にとって本当に納得いくものであるのかどうか、そこに大変疑問を持たざるを得ません。
 まず、この議論を始める前に、被害に遭った農家の方々や地域について万全の措置を講じていこうと本当に考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
○山田国務大臣 これからまさに経営再開に向けてどういうことができるかということだと思います。
 まずは、早く、殺処分した家畜に対する評価分相当を、仮払い、概算払いという形で今支払いをさせていただきました、これから精算払いをしながら、このままでいけば、新しい家畜の導入が九月の初めにはできるようになると思っております。
 そのときの再開支援についても、互助基金相当で、かなりの、それなりの経営再建に向けての支援ができるものと私は思っておりますが、それでも足りない場合には、家畜疾病維持資金、またセーフティーネット資金、あるいは家畜の導入をリース事業でやるとか、その支払いは六年間待つとか、いろいろな手当てを私ども考えておりまして、経営再開については十分な支援をさせていただきたい、そう考えているところです。
○徳田委員 十分な支援をさせていただきたいという力強いお答えもいただきましたので、それでは、この問題点について一つ一つお伺いしたいと思います。
 まず、今お話にも出ました家畜疾病経営維持資金、これについては融資枠を百億から三百億に拡大、貸付限度額を一・三倍にしていただいたということでありますが、しかしながら、江藤先生の御指摘にもあったとおり、これはもう借金がふえるだけだという話であって、そして、牛については、やはり経営再開までは六年と言わずもっとかかるんではないか。そうすると、返済猶予期間というものもさらに延長が必要かもしれませんし、さらには返済期間の延長も必要なんだということを思いますが、その点についてこれからまた考えていただけるか、お答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 今のところ、家畜を導入する、繁殖牛を導入するにして、実際に九カ月齢の子牛を買って、数カ月育てて、はらませて云々するとしたらやはりまた一年、そして実際にそれが出荷できるまでにはさらに六カ月かかるとか、いろいろかかっていくことはよく承知しているつもりです。
 そのためにも、繁殖牛を導入するときに、お金がなくても、リースで繁殖牛を導入できて、かつ六年間で子牛の売却でもって払えるようなシステム、そういう制度というのを今構築しておりまして、いろいろな形で、繁殖牛、肥育牛、養豚、養豚の一貫経営についても、きめ細かな経営再生チームというのを昨日課長補佐クラスでチーム編成をいたしました。それをもとにして、経営再開支援に向けての対策を十分出していただきたいと思っております。
○徳田委員 それでは、そのチームでもって、この貸付制度についても、本当に弾力的な柔軟な制度にやはり考えていただきたいということを思います。
 そして、家畜疾病経営維持資金、この制度については、対象地域が九州、沖縄とまで広がっています。ここには、家畜市場の開催中止の影響を受けた九州、沖縄の子牛、子豚出荷農家を支援するということであります。
 その一方で、出荷遅延対策、こちらについては、宮崎、鹿児島、熊本に限定されている。なぜこれが宮崎、鹿児島、熊本に限定されているのか。先ほど、午前中の議論にもありましたが、沖縄でも、そして大分でも山口でも、競り市場の自主的な中止というのは行っている、そこには必ず損失が生まれている。それはお認めになられると思いますが、しかしながら、そうした部分については、それでは出荷遅延対策を適用する必要はないと考えられる理由を教えていただきたいと思います。
○篠原副大臣 この子牛出荷遅延緊急対策事業は、口蹄疫の発生したところだけじゃなくて、発生するリスクがあるということでいろいろな自粛措置を講ずる地域も入れようということで検討いたしました。
 ただ、どこにするかということでございますけれども、今ありました、宮崎は当然発生源でございますけれども、鹿児島と熊本は搬出制限区域にひっかかる、入っているわけですね。そういった観点で、大分からも要望はございましたけれども、搬出制限区域に入っていないということで、この関係している三県に限定させていただきました。
 それから、各県は、そんなわけにいかないということで、自主的な子牛の出荷遅延対策をやっております。それにつきましては、総務省に対して特別交付税措置を要請しているところでございます。
○徳田委員 この出荷遅延対策で、先ほど言われたように搬出制限区域にひっかかるということはどう関係があるのか、全くわからないんですね。
 それでは、ひっかかるからこちらについては出荷遅延対策で対策をし、ほかの地域については、県独自の支援策が行われる場合特交で賄う、なぜそこが特交で賄われるのか。いつ競り市場がある予定であり、それがどこで中止をされたか、そういうものは全部把握できるはずでありますし、また、四月の競り市、五月の競り市、こちらには、しっかりと登録検査をして、そしてどの牛を出すかというのは確定しているわけですから、そうしたものについての調査をすれば損害額というのは見えてくるはずだということを思います。そうした部分について、それでは、宮崎、鹿児島、熊本以外は特交でやるという理由について教えていただきたい。
○山田国務大臣 徳田委員の地元である徳之島とか奄美大島、私の出身地の五島、沖縄の各離島においても、同じように家畜の競り市場は今回全部閉じておりました。その間、宮崎や熊本や鹿児島と同じように損害が生じております。
 しかしながら、宮崎と鹿児島と熊本においてはそれなりの措置をし、それ以外のところにおいてはしていないというのはおかしいじゃないかというのはごもっともな御意見だとは思いますが、先ほど副大臣が答えましたように、いわゆる搬出制限区域に鹿児島も熊本も入っていまして、入っている以上、この地域からの家畜の買い入れ等については各地域が非常に警戒して、それなりに経済的損失を受けるのは大きいのじゃないか、そういう配慮もあってそうしたわけです。
 ただ、沖縄とか奄美大島とか佐賀とか長崎とか大分とかにおいても同じようなことはありますので、できれば特交等で、そういう交付金で手当てができないかどうか、今農水省の方で総務省の方にお願いして、検討して、できるだけの配慮が畜産農家に対してできればと考えているところです。
○徳田委員 いま一つよくわからぬのですが、そこよりも大事な部分がありますので、次に行きたいと思います。
 こちらについて、助成単価が日数掛ける四百円となっています。この日数掛ける四百円という積算根拠を教えていただきたいんですが、これには家族労働費なども含まれていないと。なぜ労働費が含まれないのか。自民党の中で議論をしたときに、では、えさは牛が勝手に食べに来るのかという話もありました。これはなぜ四百円なのかということを明確にお答えいただきたいと思います。
○篠原副大臣 四百円の補助単価の算出根拠でございますけれども、どこの増嵩する経費とかまで見るかということは当然議論になったと承知しております。
 我々は、飼料代それから光熱水費、動力費、いわゆる物財費、これを子牛の生産費調査から算出いたしまして、一日当たりとして計算いたしました。家族労賃は入っておりませんけれども、これは子牛の生産費というのがそうなっているからですけれども、子牛だけじゃなくて母牛の、両方の物財費も入っているわけです。ということで、それなりの単価ではないかというふうに考えております。
 それから、先ほどの答弁の延長線でございますけれども、なぜほかの県にまでというのは確かにそのとおりなんですけれども、きちんとした理屈になっているかどうかわかりませんけれども、一応、強制的に搬出制限をした、そこのところは面倒を見なければいけないということで、その区域が入っている鹿児島、熊本県はきちんと手当てをしなければいけないということで対象にいたしました。ほかのところは、まあ同じような影響を受けているんでしょうけれども、国なり県なりが強制的に搬出制限をしたわけではないので、自主的にやっていただいているので、そちらでやってくださいという、お答えになっているかどうかわかりません、これが一応の線引きでございます。
○徳田委員 搬出制限にかかった、かからないと言われますが、競り市を自主的に中止したというのは感染拡大を防ぐためですよね。その努力があってこそ今回の非常事態宣言また搬出制限区域の解除ということにつながったわけですよ。みんなそういった努力もしているということについては何の評価もしていただけないということですか、それでは。
 それともう一点。今ので、それでは家族労働費を含まない理由になるんでしょうか。一日遅延をした場合、それではそのコストはどれぐらいと算出されますか。労働費まで含めたら幾らですか。牛も大きくなる、えさ代も多くなる、手もかかる、それを皆さん、農水省としてはどのように考えておられますか。
 もう時間がないので、もう一点ちょっとお伺いしたいと思います。
 当該農家の前年度の平均出荷日齢プラス三十日を超えた日から、解除後直近一回目の市場再開日または二回目の市場開催日の期間となっています。これについても、なぜ三十日なのか。先ほども午前中にお伺いしたんですが、これはいま一つ理解できないんですね。農家の人たちも理解できない。なぜ三十日ということを設ける必要があるのか。先ほども申し上げましたが、四月に出す子牛、五月に出す子牛というのは、登録検査を経てリストアップされているはずなんです。それであれば、予定されていた競り市の日からしっかりと助成金を計算して交付していただくのが正しいやり方だと思いますが、なぜ三十日を超えた日から直近の市場再開日ということになるのか。
 もっとひどい話は、六月十六日に私たちが農水省から説明を受けたときは、これは、当初は平均出荷日齢プラス三十日の翌月一日からとなっていたわけです。これが今変更になった、緩和していただいたとはいえ、皆さんの姿勢に、それでは万全の支援をしていこうという姿勢が見えないんですよ、全く見えない。はっきり言えば、出し惜しみしているようにしか見えないんです。それで農家が救われますか。
 もう一度この辺について、農家の人たちが理解、納得ができなければ、何のための支援策ですか。そして、今の説明で、被害に遭った方に本当に御理解いただけると思いますか。もう一度お答えいただきたいと思います。
○山田国務大臣 午前中も同じような質問がございましたが、子牛の場合は大概生後八カ月とか十カ月ぐらいの間に一般に家畜市場に出荷する、そう思っております。家畜市場も、地方によって毎月というところはありますが、二月に一回とか一月に一回というところです。どうしても一月ぐらい出荷が、今度の競りに出そうか次の競りに出そうかという形で、農家もいろいろ考えたり、相場を見ながら調整しているのが一般です。
 そうした中で、仮に一月出すのがおくれたとしても、そのころの、九カ月齢ぐらいの牛というのは、それだけ体重もふえて、それなりにそこそこの評価も上がりますので、一月はそのまま正当な評価ができるものとして、その次の月からの分としての損害分として計上させていただいたというところです。
○徳田委員 農家の支援を行う場合は、農家の支援をしっかりと行おうと思うのであれば、やはり市場の仕組みというかシステムというものをもう少し考えた上でしていただかないと、今言われていることも間違いだという声も上がる。二百八十日が適齢日齢ですね。二百八十日と三百二十日では価値も全然違ってくる。こうしたことも本当にそれでは御理解をいただいているのか。今の説明では全く違うように、御理解をされていない中でこの支援策を策定されたように思います。
 もう時間がありませんので、もう一点、どうしても申し上げたいのは基金の話であります。
 午前中も話しました。口蹄疫特別措置法第二十三条です。こちらに、「地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施することができるよう、これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」と書いてあります。
 これが例示として解釈できますか。基金の設置はした上で、それで不足する部分を適切な措置を講ずる。それは全会一致でつくったわけですから、皆さんもよく御理解いただいた上でこの文言を盛り込んでいただけたと思いますが、これはあくまでも例示としてとらえて、それでは基金は、午前中の話では、もうやらない、つくらない、設置しないというふうに私には聞こえたんですが。
 それは、大臣にも内閣官房にもお答えいただきたいと思いますが、設置をされますか。はっきりとお答えいただきたいと思います。
○古川内閣官房副長官 お答えいたします。
 午前中も回答申し上げましたけれども、昨日開催された口蹄疫対策本部におきましては、菅総理から、地域経済復興支援のために必要な措置について、今後とも、宮崎県など地元の要望を聞いて支援を検討していくように、各閣僚におかれて積極的に対応するようにという御指示がありました。
 そういう指示のもとで、今後さまざまな支援法を検討していくものというふうに考えています。
○徳田委員 これは委員長提案でつくった法律なんですよね。委員長、これで、こんな答弁、納得できますか。なぜ……
○筒井委員長 今、答弁を求めているのはだれとだれとだれですか。
○徳田委員 大臣もお答えいただきたいと思いますが、今の古川さんのは答えになっていませんよ。なっていないですよ。御自身でもおわかりでしょう。
 菅総理が万全措置を講ずることを指示したのではないですか。そして、なぜここに基金の設置ということを明記されているか。これは、地域の再生というものを複数年で行っていかなければならない、中長期的に行っていかなければならない中で、使い勝手のいいお金をしっかりと確保しようということではありませんか。もう一回答えていただきたい。
○筒井委員長 古川官房副長官、基金の問題に限定して答弁をお願いします。
○古川内閣官房副長官 繰り返しになりますけれども、この問題につきましては、総理からも、これは、宮崎県の要望等を踏まえて、地域の実情に応じた必要な支援措置を全面的にとっていくべきだ、そういうような考え方をいたしておるということでございます。
○徳田委員 今の答弁では答えになっていないのはだれもがわかっているはずです。
 それでは、今度は口蹄疫の対策本部長の菅総理に、ここへ来てしっかりとお答えいただかなければなりません、どういうつもりでそういう指示を出されているのか。
 皆さん、基金をつくって、今、宮崎県でも再生プランというものをつくっている途中ではありませんか。それは、基金が設置されるかされないかでは大違いですよ、その中身についても。何年計画でできるのか、どういうことを具体的に行っていこうとされるのか。では国からです。ここには、法律として基金を設置すると示されているわけですが、では、これはどれぐらいの規模で、どういう骨格のものなのかというのを、まず、本来であれば国から示してもらわなければなりません。
 大臣、今のお答えについて、内閣の姿勢についてどう思われますか。三週間地元に張りついて、地域の凄惨さ、悲惨さというのをごらんになってこられたはずです。そして、基金の必要性というのも感じておられると思いますが、どう思われますか。
○山田国務大臣 基金について、確かに特措法については書いております。基金その他の措置についてと、きめ細かい対応策をと書いておりますが、それについての解釈をどうとるかということなんでしょうが、私が農水大臣としての立場からすれば、できるだけ基金の創設をお願いしたいと考えておりますが、これは内閣全体の問題でありまして、今、内閣が宮崎県側から要望を聞いた上でいわゆるきめ細かい、基金も含めて、基金もその一つであり、きめ細かい対応策を今内閣で検討しているというところですので、それを待ちたいと思っているところです。
○徳田委員 地元の要望を聞いた上でということを言われましたが、それではこの政省令の数字についても地元の要望は十分聞かれたんですか。きょう朝、民主党の議員の方が質問されておりましたが、この数字を地元に持って帰れるのか、私は不思議に思います。これは民主党の皆さん、特に農水委員会の皆さんがしっかりと議論をされて、そして被害に遭われた農家の方々が納得いくものを出されないと、それは与党議員としての務めではありませんか。
 これで質問は、もう時間もないので終わりたいと思いますが、地域の要望を聞くのは当然の話ですよ。本来であれば、もっと早くにこうした委員会も開き、政省令も決まる前にこうした議論も行わなければならなかったんですよ。しかし、皆さん勝手に決めて、こんな不十分なのが出てきた上に、今度は基金をつくるかどうかを明言しない。これは法律違反ですよ、はっきり言えば。マニフェスト違反どころじゃないんですよ、法律違反なんです。
 地域の実情、地域の今の被害状況、解除されたとはいえ、いまだに悲惨な状況が続いていると本当に思うのであれば、本気で、こうした口蹄疫、せっかく特別措置法をつくったわけですから、これに基づいた支援策というものを、皆さんの方でしっかりと十分なものを考えていただきたいということをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○筒井委員長 次に、東順治君。
○東(順)委員 公明党の東順治でございます。
 私も、ただいま徳田委員から鋭く御指摘のあった、まさにこの基金問題というのが全くネックになっているというところから質問せざるを得ないという思いでいっぱいでございます。
 ただいま主張がありましたとおりの思いも私は抱いておりまして、我が国は法治国家でございます。法治国家というのは法のもとに運営される国家のことをいう。この特措法という法律ができて、何か解釈の問題であるというような、妙な、わき道に話がそれ始めているということは、私は、国家として非常な危惧を実は感じているわけでございます。
 この特措法で書かれている二十三条のところなんですけれども、これは「基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」ということが、ワン・オブ・ゼム、例示の一つであるというふうには、とてもそういうふうに、どこからそういう解釈が出てくるのか。基金を設置するんだ、そのほかに必要な措置をまた講ずるんだ、こういうふうに書いているわけでございまして、これが法律ですよ。
 しかも、これは立法府として提示して、正式に法律として成立して、この特措法のもとに今回の口蹄疫問題というのは対処されているわけですから。消毒の問題から、あるいは埋却の問題から、全部この法律によって施行されているわけでございますから、何かここのところだけ全然全く違う解釈に持っていこうとするということは、私は甚だいかぬことであるというふうに思います。
 しかも、この法律の最後の「本案施行に要する経費」というところで、「本案施行に要する経費としては、約一千億円の見込みである。」こう明示されているわけですね。それなのに、一体どういうことなのか。
 先ほどから、地元の要望が出てくればというような発言がありますけれども、私は、一昨日地元に行ってきましたよ。よく地元の方たちに意見を聞いてきましたけれども、まさに県当局や責任ある人たちが言っていることは、早く、早くこれを実現してほしい、基金を実現してほしい、どうなっているんですか、早く基金を実現してほしい、その全容がわからないものだから物すごくこちらとしては打つ手が打てなくて非常にじれったい思いをしているんですよ、早くともかく基金をどうして実現しないんですか、こういうことなので、地元の要望どころではなくてもう切望になっているわけでございまして、それに対してどういうふうに思われるのか。私がこうやって質問するとまた同じような答弁が官房副長官あるいは農水大臣から出てくれば、大変に失望します。しかし、聞かざるを得ない。
 きょう、官房副長官、おいでいただいております。私は、今回の答弁者として、内閣官房長官、ぜひ来ていただきたい、どうしても来られなければ官房副長官、おいでいただきたいと、それこそ切望をいたしました。それは、いわゆる政府の防疫対策本部という立場でぜひ出てきてほしいという思いを込めてそのように願ったわけでございます。きょうは官房副長官おいでになっていますが、この対策本部でのお立場というのはどういうお立場なんですか。
○古川内閣官房副長官 私も、対策本部には毎回出席させていただいております。
○筒井委員長 古川副長官、対策本部における古川副長官の立場はどうかという質問に答弁ください。
○古川内閣官房副長官 官房長官が副本部長でございますので、その官房長官を補佐する立場でございます。
○東(順)委員 ぜひ対策本部の責任ある当事者としての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 さて、この二十七日でもって、一つの区切りと言ったらなんですけれども、当然、来月の二十七日まで、終息宣言というものを目指しているわけですから、とてもとても油断はできませんが、ひとまず今回の口蹄疫問題、まさに牛、豚二十八万八千三百頭、防疫に携わった人たちの延べ人数が十五万人、この口蹄疫に寄せられた真心からの義援金が二十六億四百八十七万円、またピーク時における消毒ポイントが三百四十八カ所、イベントの中止、延期が二百八十四件と、これは大変な出来事でございます。
 幸い、昨日をもって、例えば甲子園の地方大会、野球場のスタンドにようやく一般の観覧者も入ってこられるというような映像がテレビに流れ始めました。あるいは、図書館も自由に開放されたというような明るい映像がようやく流れ始めたということでございますけれども、問題はこれからのステージでございます。まさに復興、再建という、ある意味ではこれまで以上に相当な難儀を伴う新しいステージへと入ったわけでございます。
 そういうところで、宮崎県の方も復興対策本部というものを立ち上げたようでございます。また、商工会とか経済界、いろいろな人たちを入れて連絡会議という形にもしたようでございますけれども、これからこの第二ステージというものは、本当に、県を挙げて、これから県の命運をかけての大きな大きな闘いに入るんだろうというふうに思います。
 そこで、私が一昨日東国原知事と意見交換した際に、知事が切望しておりました、県は復興対策本部を立ち上げたが、国はどうなっているんでしょうかねと。
 私は、先回、やはりこの農水委員会に差しかえで質問をさせていただいた折に、やがて、これは農水省だけの問題ではなくて、この復興、再建ということになってくると、もうさまざまな各省庁にわたる問題が惹起をしてくる、そのときに、だれが責任を持ってみかじめるんだ、だれが司令塔になるんだ、その体制を今からつくっておかなければ、これは大変な混乱が生じるんじゃないかということを申し上げました。だから、まさにこの口蹄疫の特命担当大臣というものをきちっと置くべきである、そしてそのシステムをつくる、そしてこの第二ステージというものに向かい合っていかなきゃいけない、こう主張いたしました。まさにそのときが来たわけでございます。
 知事も、国の司令塔はこれからだれなんでしょうか、どなたを相手にして国と県の連係プレーを進めていけばいいんでしょうかということをおっしゃっておられました。
 私は、今の立場では、この間も農水省の皆さんに確認したんですけれども、それは政府としての防疫対策本部です、対策本部長は菅総理です、こう言っていましたけれども、菅総理は、これに特化して、いわゆる司令塔として当たるということは現実的にはなかなか難しい。そうすると、だれなんですか。各省庁が、省庁の大臣があまたおられるけれども、そこに対してきちんと調整をし、指令を送り、全体の司令塔として物事の解決に、対処していくというのは一体だれなんですか、そのことを思うわけでございます。
 したがいまして、ぜひそういう、いわゆる司令塔という体制、それは官房長官がこの期間その司令塔になるということもあるかもしれません。私は、今もなお特命大臣というものを、この復興支援というものがきちっと軌道に乗るまでつくるべきだという考え方でございますけれども、古川官房副長官、これについてどのようにお思いでしょうか。
○古川内閣官房副長官 政府といたしましては、復興も含めて、今、対策本部、総理を先頭にしてやっているわけでございますが、今後とも、もちろん今委員からも御指摘があったように、各省庁において必要なことを随時迅速に実行していく。そうした進捗状況などは、官房におきまして随時把握した上で、長官の指示のもと、私ども、適切な調整や指示を行ってまいりたい。
 そういった意味では、官房長官を中心にやっていきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 さあ、そこで、現実の問題として、最初に私は触れましたけれども、副長官、まさに基金、これはどうするんですか。これについてどうなんですか。もう一度答弁願います。
○古川内閣官房副長官 先ほど来から申し上げている話でございますけれども、総理からは、復興には万全の措置をとるようにという御指示はありまして、それぞれ各省でも今対応しておりますし、必要な対応を考えているところでございます。
 委員からもお話がありましたように、県庁において、先般、六月二十八日でございますけれども、復興本部が設置されたというふうに伺っております。そして、ここの復興本部におきまして、今後、被災農家への支援や被災地域の振興、県内経済の活性化及び失業者等の雇用対策等を内容とする復興計画を策定する予定というふうに伺っております。
 したがいまして、基金の問題も含め、国としてどのような対応をとっていくかにつきましては、この宮崎県が策定する復興計画も踏まえつつ、政府として全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 万全の対応をするという一丁目一番地が基金なんですね、まさに。そのために、この特措法のまさに魂ということで基金を設けるということをうたっているわけで、その金額は一千億円が見込まれる、こううたっているわけですから、まず早急に基金をきちっと立ち上げるというところからぜひ入ってもらいたい。いかがですか。急いでもらいたい。地元はもう本当に急いでくれということですけれども。再度伺います。
○古川内閣官房副長官 御意見として受けとめたいと思います。(発言する者あり)
○筒井委員長 古川官房副長官、基金を設置することを前提に検討するという趣旨なんですね、先ほどから述べられているのは。そうではなくて、基金の設置そのものもどうするかを検討するという趣旨なんでしょうか。この基金に限定しての答弁をもう一度お願いします。
○古川内閣官房副長官 基金の設置も含めて、国としての対応について検討するということでございます。
○筒井委員長 そうすると、もう一回確認しますが、基金を設置するかどうかを含めて検討する、設置しない場合もあるという、今の答弁の趣旨はそうですか。その点だけちょっと答えてください。今、ちょっとその答弁。(発言する者あり)
 では、今、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○筒井委員長 では、速記をもとに戻してください。
 あるいは、私の方で、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、一千億円というのは基金の金額ではありませんので、東さん。
 その一千億円という金額の問題は別にして、基金の設置はもう前提にして、どういうふうに、どういう形で設置するかを検討するという趣旨なのか、それとも、設置するかどうかも含めて検討する、その場合には、設置しないこともあり得るという趣旨の答弁なのか、その点だけはっきりさせてください。
○古川内閣官房副長官 基金の設置の問題につきましては、先ほど来から申し上げておりましたように、県において、これは今どういう要望をつくられるかということを検討しているところでございまして、県からの要望もない中で国の方でつくるという話ではございませんので、そうしたものを踏まえた上で、私どもとしては基金設置も含めて、復興対策について検討してまいりたいということでございます。
○筒井委員長 では、今の……(発言する者あり)はい、ちょっと待ってください。
 今の趣旨、答弁は、設置をするかどうかも含めて検討すると。つまり、設置しないこともあり得るという答弁というふうに解釈せざるを得ません。(発言する者あり)だけれども、その答弁を前提にして審議を進めてください、今ので。いや、もう審議を進めますので。(発言する者あり)
 では、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○筒井委員長 では、速記再開してください。
 答弁としては明確な答弁ですから、それが違法であるか、あるいは不当であるかどうか、それも含めて審議に入ってください。理事会協議もいたします。まずは質疑続行してください。
○東(順)委員 委員長の御裁定はよくわかるつもりですが、つまり、質問と答弁がかみ合っていないということなんです。つまり、これは一丁目一番地ですから、基金を立ち上げるということが法律にうたわれているんだから、この立ち上げはいつになるんですか、早くやってくださいという質問を私はしているんですが、その前提が全く違う形の答弁しか出てきていないんで、これはちょっと、これから先、やりとり、質問ということにはなかなかいかないんだろうなと思いますけれども。そういう気持ちです、率直な気持ち。
○筒井委員長 その趣旨はわかりますが、前提がもう違うんですね、立場が。
○東(順)委員 いや、立場じゃないんじゃないかな。
○筒井委員長 法律上の前提として基金を設置するかどうかを含めて検討するとこちらは言っておられるし……(発言する者あり)それはこちらの方の。
 いずれにしても、これは再開されているので、設置を含めて検討するという答弁を前提に質疑を続けてください。それが不当である、違法であるという主張はもちろん構いませんというか、理解できますが。
○東(順)委員 それは質問できません、そういう委員長の御裁定であれば。それ以上質問はできません。だって、成文化されている法律なんだもの。それを、設置するかどうかを含めて検討するというんだったら、それはちょっと、全く違います。
○筒井委員長 法律解釈について全然正反対の考え方があるのはしばしばあることで……(発言する者あり)いや、これはとめる必要はないと思います。法律解釈について全然意見が違うという、正反対の立場というのはあるので。(発言する者あり)だけれども、一応解釈としてそういうふうな主張ですから、こちらの方は。答弁自体が不明確だったらそれは明確にさせてもらいますが、明確にしていますので。それを前提にした、違法である、不当である、そういう質疑をしていただくことになると思います。(発言する者あり)いやいや、もう続けてください。速記はもう再開します。(発言する者あり)
 質疑続行いたします。そして、この問題、議員立法なものですから、この法律に対する解釈も含めて、理事会で協議をして決めたいというふうに思っております。
 東先生、質疑を続行してください。答弁があいまいな場合とは違いますので。(発言する者あり)いや、答えているんですよ、それが。こちらにいい方向じゃなくて、答えているんです。
○東(順)委員 既に成案になっている法律で、この法律のもとにさまざまな具体的な施行がなされている。その法律そのものが、もう一度検討をして、場合によってはこれを改正することもあり得るかもしれないというような趣旨の御答弁でございますから、これはそもそも、この委員会での質問そのものが僕は成立しないと思います。したがって、これ以上は私はもう質問はいたしません。そういう思いでございます。よろしくお願いします。
○筒井委員長 そうしたら、東君の方から、結果としては、この後質問を続行しないという態度が出されましたので、では、ここで東君の質疑は終了とせざるを得ません。
 では、その次の質問者の方に引き継ぎたいと思います。それでよろしいですか。(発言する者あり)
 東さん、さっき終了宣言されましたが、配慮して今待っておりますが、終了宣言は撤回されますか。(東(順)委員「しません。もう、ここに座っていますよ、終わるまで」と呼ぶ)座っている。終了はしない。さっきの終了宣言は撤回ですね。(発言する者あり)
 東君。
○東(順)委員 このような事態になったことは、まことに残念でございます。
 全会一致で、委員長提案でこの法律が成立をし、この法律のもとに、口蹄疫対策、消毒や埋却やさまざまなものが進められてきて、そしていよいよ復興、再建という第二ステージに入ったときに、まるで急ブレーキをかけるかのように、この基金というものが、こういう形でもう一度検討するというようなニュアンスが出たことは大変残念です。宮崎の方たちがもしこの事態を知ったらば、大変な驚きと大きな大きな怒りに包まれるんだろう、私はこのように思います。したがって、私はきょう質問を放棄させていただきました、残る質問を。
 最後に、委員長としてこの事態をどのようにお取り計らいになるか、その御発言を聞いて、私は質問を終わりたいと思います。
○筒井委員長 言われましたように、委員長提案で全会一致で成立した法律でございます。その場合の法律の各条項の意味内容、解釈権は提案者にあると言われております。
 それを含めて理事会で協議をして、その中で合意して、その意味内容の確定を含めて明確にさせて、それに対する対処の方法も理事会の中で協議をして、決定をしていきたいというふうに考えております。
○東(順)委員 終わります。
○筒井委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社民党の吉泉です。
 異様な雰囲気です。重い雰囲気です。この場の中で質問させていただく、大変、自分自身も慎重にまた構え方をしておるところでございます。
 東委員については、本当に残念だろうというふうに思っています。きょうのこの大切な口蹄疫の集中質問に対し、それぞれ地元に帰って、畜産農家、さらには商工業者、ホテル等々含めて、今の置かれている現状、そのことを含めながら、きょうの質問に臨んだんだろうというふうに思っています。しかし、残念ながらこういう事態。
 私は、もっともっと、そういう意味では、私ども議員ではございますけれども、ぜひ政府等についてもしっかりした対応をお願いしたい。まずそのことを申し上げさせていただきながら、質問させていただきます。
 私の手元に、県知事からの、対策本部長農林水産副大臣篠原殿、口蹄疫被害からの復興に関する要望書、これを七月十六日、知事は出したわけでございます。その中に基金の問題が出ているわけです。この扱いが、宮腰委員の最初の質問から、基金に対する答えが非常にちぐはぐです。
 だとするならば、知事が十六日に出して、きょう二十八日でございます。その間、副大臣として、この要望書、この中身に対する基金の取り扱い、これはどういうふうにきょうの日まで対応してきたのか、まずお伺いいたします。
○山田国務大臣 内閣の中における口蹄疫対策本部、その中においては、宮崎県の現在のいろいろな、中小企業の、観光その他も含めて、大変な状況にあるということについては、十分話し合いさせて私からも報告させていただいておりまして、そういう対策、この法案にあるように、必要な費用について、基金も含めていろいろなことが必要であるということは申し上げておるところです。
 そういう中で、今、内閣として、先ほど午前中からいろいろ話しておりますが、いろいろな対策を今講じております。いわゆる経営再開に向けての支援、あるいは家畜のリース事業、あるいは雇用調整金の本来なら出せないところを出せるようにするとか、きめ細かい、この法案にあるような費用、そういった対策を講じている。
 この法文の解釈においても、法文を読み上げてみましても、それらのきめ細かい措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとしている、そう条文上はなっておりますので、恐らく内閣の解釈としては、対策本部の解釈としては、必要な費用に、今いろいろな予備費から、きょうも八十八億出しましたが、十分充てている。そういう意味では、基金その他、いわゆるそれを十分法律的には満たしているんだという解釈のもとに、先ほど古川官房副長官がお答えしたのではないか、大臣としてはそう考えているところです。
 農水の分野としましては、できるだけ、本当にきめ細かい対策を、必要な費用を、どんな形であれ、基金という形であれどういう形であれ、出してもらえればありがたいと思っているところです。
    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○篠原副大臣 今、委員御指摘の要望書でございますけれども、私あてだけではございませんで、山田農林水産大臣、それに菅直人総理大臣のところにも届いております。
 ですから、先ほどのいろいろ議論がありました点についてちょっと申し上げると、宮崎県でいろいろ要望があるというこの七項目めに基金の設置が入っているわけです。三ページにびっしり書かれた要望書でございますけれども、宮崎県としては少なくとも基金の設置はもう国にお願いしているというふうにとっていいんじゃないかと思います。それで我々がどのように検討するかという状況だと思います。
○吉泉委員 ぜひ、内閣の段階についても、その辺の流れ、そういったところをきちっと踏まえながらお願いをしたいというふうに思います。
 また戻るというふうな部分は言いません。
 ただ、私ども社民党としても、対策本部を持ちながら、私自身も今週の日曜日、月曜日、現地に行ってまいりました。そして、知事、川南町の町長、それから二例目から九例目までの、出た農家の現状、さらには埋却地、この部分をつぶさに現地を調査させていただきました。
 川南町の段階においては、まさに畜産の町、その町が、牛、豚、鳴き声一言もなし、そして地下に重なって埋められている。埋却地に行ったときに、私ども調査団は自然にこうべを垂れ、手を合わせてきたところでもございます。
 宮崎県の県議団、それぞれ有識者、経済界、弁護士等々含めて、今のこの二カ月間、さらには三カ月間、県生活衛生組合の連合会、このことで意見を交換しながら、宮崎市内で発生をしてから、ホテル、旅館、約一万五千人の宿泊のキャンセル、さらには美容、理容業、飲食業、軒並み三〇%以上のダウン、こういう現状を県議団として率直に受けとめながら、どう再興していくのか、こういう意味で、県議団として、基金の具体的な案、これを練り上げて、知事の方に要望もしてきた、こういう現状でもございます。
 そういう中において、地方の新聞にも出ています。社説に出ています。復興をしていくために、畜産農家だけでなく全体に、この宮崎県をどうしていくのか、こういう意味の中で、やはり原資が必要だ。これは全体的に私は一枚岩になれるんだろうというふうに思っています。
 そんな面では、私ども、これから委員会の中で理事会なりそういった形で詰めさせていただくという委員長判断でございますから、それにゆだねます。しかし、ぜひ前向きに、今の宮崎県が置かれている現状、このことをきちっと踏まえながら頑張っていただきたいというふうに思っています。
 自分自身、日曜日、タクシーに乗りました。そうしたらドライバーさんが何と言ったのか。二十七日、移動解禁になる、高校野球の準決勝、この準決勝が二十七日、そこから応援に行かれるんだと。今まで高校の球児が全然観客のいない、そういう中でプレーをしてきた、こういった部分も含めて、そういう二十七日の楽しみというものについて私どもに話をしてくれました。
 そんな面の中では、本当に山田大臣を初め多くの関係者の皆様が、一県だけで封じ込めできた。まだまだ油断は許さない、こういう状況でございますけれども、本当に多くの皆さん、一生懸命頑張っていただいた。こういうことに対しては、本当に心から敬意を表させていただくものでもございます。
 しかし、今の現状の中において、やはり感染ルートを含めて、徹底調査、このことをお願いしたい、これが二例目、三例目、そういう農家の方から出た意見でございます。
 そういう中で、質問をさせていただきたい、こう思っております。
 疫学チームの二十三日に出された内容、そのことについて、畜産農家の、あの現場にいる、近くにいる農家の人たちから見れば、相当不満だ、何でこういうふうな報告が出るのかと。いわゆる感染元はどこなのか、なぜ宮崎県に、それも川南町に来るのか、そのウイルスが、何で宮崎なのか、そして何で川南なのか、こういうふうな非常に戸惑いも含めた、この疫学チームの結果に対して非常に戸惑いを見せながらも、非常に信用もできない、こういう言い方でもございました。そんな面の中で、知事からも、感染ルートを含め徹底した調査、この部分を分析も含めてやってほしい、こういうものも要望されたわけでもございます。
 そんな面で、これからの進め方、いわゆる第四回の疫学調査チームのこの段階であとは終わりなのか、それとももっともっと、今言ったように一つのウイルスの、日本に、宮崎県に来た、川南に来た、その感染ルートというものをどういうふうに解明していくのか、納得していくのか。このことを県民さらには畜産農家が聞きたい、ぜひお願いしたい、こういう声でもございますので、その辺の今後の進め方についてお聞きをしたい。
    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○篠原副大臣 口蹄疫対策は非常に多岐にわたるわけですけれども、一番大事なのは、私は畜産農家の不安を取り除くことがまずあると思います。次に蔓延の防止、そして復興支援、この三つに分けられると思います。感染経路の究明というのは、農家の不安を取り除くことについては一番大事なことではないかと思っております。
 ですから、我々はまず国の段階で口蹄疫疫学調査チームを結成いたしました。これだけでは足りないということで、現地の疫学調査を充実すべく、国と県、それから現地の農場のことに通暁しております臨床獣医師を加えました現地調査チームを結成しまして、今までいろいろ調べてまいりました。
 そして、今委員御指摘の第四回の疫学調査チームの結果でございますけれども、簡単にこの内容に触れさせていただきますと、まず一番に、一体このウイルスはどこから来たのかという点。これは、韓国、中国ですね、香港、こちらの方に口蹄疫が発生しておりました。このウイルスは七系列に大体分けられるそうですけれども、O型と称される、香港の口蹄疫と似ている遺伝子配列だということで、これは大体わかっております。ですから、明らかにアジア地域から人とか物を通じて入ってきたということはわかるんですが、その後一体どこで、どこからどのように入ってきたのかということまでは特定する段階には至っておりません。
 まず、国内に入ってきたということ、どうやって入ってきたかというのを特定するのが大事でございますけれども、そのほかにも疫学チームの調査というのは大事でございまして、では一体どうやって日本国内でもって広まっていったのか、これはそれなりにわかっておりまして、六例目の農場への侵入時期は、一例目は都農町の四月二十日なんですけれども、三月中旬ごろにはもう入っていたんじゃないかということがわかっております。十農場以上に四月二十日以前にウイルスが侵入していたということがわかります。
 それから、今、川南町の話が出てまいりましたけれども、あちらは相当あっちこっちに散らばってしまいまして、人、車両その他でもって周辺の農家にうつっていったということがわかっております。
 それから次に、もう一つ、我々の立場からすると非常にいい事例を提供してくれていると言ってはなんですが、それに当たるのは、リングワクチンの外に出ました都城、西都、日向、宮崎でございます。これについては、同じ飼料会社の人それから車両でもってウイルスが伝染していった可能性が強いということがわかっております。
 その都度、きのう七月二十三日のものも皆様方に速やかに公表しているところでございます。
 今後のこの疫学チームの調査でございますが、この後、いろいろ今までに得られたデータの究明を急ぎまして、八月中に疫学調査チームの中間取りまとめを行うことにしております。それを踏まえて、またその後どうするかということを検討してまいる所存でございます。
○吉泉委員 もう時間がないということでございますけれども、まさに今、川南さらには宮崎県の中において、地方のミニコミ新聞さらには週刊誌、こういったところで感染の源云々かんぬんというふうな部分の中で記事が多くなっているわけでございますけれども、また、そのことも含めて、裁判とかそういったところなんかも動きがあるようでもございます。
 私どもも、社民党対策本部として、やはりこのことについては現地と合わせながら、徹底してこの感染ルート、さらにはなぜ宮崎に、川南に来たのか、このことも私どもとしても調査に入りたい、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 あと、最後、お願いを申し上げます。埋却地の問題でございます。
 先ほどもお話ししました。元気な牛、豚が地下に潜っている、それも三段、四段で潜っている、埋められている。こういう状況の中で、今現在、公社保有地、個人所有地及び公有地から、五市七町で二百五十二カ所、百四十二・三ヘクタールある埋却地でございます。この埋却地を今後どうしていくのか。だれが管理をし、そしてまた畑なり田んぼ、この部分はまさに土地評価も下がるわけでございますから、この埋却地、それから管理の問題を含めて、今の、非常に環境問題、これももうハエが発生している、悪臭が出ている、こういった埋却地も自分自身も見てきました。
 そういう中において、どういうふうにこれをどこが、県がやるのか国がやるのか、または所有者がこの部分をやるのか、このことについて明快な回答をお願い申し上げます。
○山田国務大臣 現地での埋却、私もあの現場におって見てまいりましたからよく承知しておりますが、その後、土中からぶくぶくとガスが噴き出てくる、異臭がする、そういったものも見てまいりました。
 そんな中で、環境保全に対してどういう形でやっていくかということは県とも市町村長さんとも随分話をさせていただきまして、環境対策については、単なる殺処分、埋却ではなく、おがくずとか、あるいは木酢液とか、そういったものについても、いわゆる埋却地に相応する経費等を国の負担でやらせていただいているところです。
 これから先、あと何年かかるかわかりませんが、環境にも十分配慮していかなければいけないと考えておりまして、今後の措置について、どのようになっていくか、それはしっかり考えていきたいと思っておるところです。
○吉泉委員 ありがとうございました。
 やはり、封じ込めが先だ、まず何でもありき、頼む頼む、こういうふうに私どもは言って、お願いをしてきたんだろうというふうに思っています。そして、その結果、今、ここまで一定の、新しいステージに向かう、そういうときに、それぞれ地方の県、市町村、そういったところについて、これからその部分を、どういうふうにして約束したことを履行していくのか、このことがまた頭の痛い状況になっているというふうにも思っています。
 そういった面で、私どももぜひ精いっぱい、この口蹄疫について、二度とあってはならない、そしてまた宮崎県の復興、このことに向けて全力で頑張っていく、そういう決意を述べさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○筒井委員長 篠原副大臣、答弁はありますか。
○篠原副大臣 済みません。先ほどの答弁で、ちょっと修正をさせていただきたいと思います。
 宮崎県からの要望でございますけれども、正確に言いますと、宮崎県に再生、復興のための基金を設置したいと考えておりますので、口蹄疫対策特別措置法第二十三条に基づく地域再生の支援策として、当該基金造成に対する支援をお願いいたしますと。宮崎県の要望は、国に基金をつくってほしいということではなくて、宮崎県自体に基金をつくって自由にそれを使いたい、それに対する支援を国にお願いしたいということでございます。
 先ほどのはちょっと正確じゃなかったと思いますので、訂正させていただきます。
○筒井委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十二分散会

第174回国会 災害対策特別委員会 第5号 平成二十二年七月二十九日(木曜日)    午後一時開議

○高橋(昭)委員 衆議院議員の高橋昭一でございます。
(中略)
 そしてまた、口蹄疫の件で、宮崎の古川禎久委員、きょうも御質問に立たれますが、国会の本会議での御質問を聞かせていただいて、私は本当に、これは党派を超えて心が震えるものがありました。
 といいますのは、やはり災害対策というもの、口蹄疫もそうですが、国家の基幹的な大きな問題でありますから、これをしっかりと本当に前向きに頑張っていくというふうなことを、このまず初めの閉会中審査で、私もこれからの国会がそのような動きになっていけるようにと願ってやまないと申し上げまして、質問を始めさせていただきたいと存じます。
(後略)

○古川(禎)委員 自由民主党の古川禎久です。
(中略)
 都城は、口蹄疫でございまして、七月二日午前零時に移動制限が実は解除され、その翌日、七月三日の未明にくだんの大雨が降ったわけでございます。
 私も、本当に忘れられません。午前二時前から午前六時半近くまで、大変な雷、落雷です。遠雷が遠くで稲妻が光るというのではありません。バキバキ、ガラガラ、ドカンという、本当に空襲を受けているような雷、落雷がひっきりなしなんですね。四時間以上にわたって、落雷が本当にすぐ間近に続くんです。いまだ経験したことのない異様な光景でございました。
 今回、宮崎県は、口蹄疫で二十九万頭になんなんとする家畜を失ったわけですが、これは家畜の魂の叫びではないか、私はそう思ったわけですけれども、翌日、多くの皆さんも同じような感想を言っておられました。その口蹄疫で非常に精神的に参っておるところに引き続いて起こったのが今回の豪雨災害だったわけですね。災害というものは本当に人の心を意気消沈させますよ。
(後略)

○小川大臣政務官 御質問の御趣旨はごもっともと思いながら、お聞きをしておりました。
 特別交付税措置で算定しております費目は、全部で五百項目近いものがございます。この中には、当然、最近発生いたしました口蹄疫対策も追加する必要がございますし、あるいは最近の豪雨被害も含めてでございますが、いずれにしても、こういうものに対して、財源に限りがございますし、他の自治体からも十分な理解をいただかなければなりませんが、御質問の御趣旨については十分受けとめなければならないと考えております。
○高橋(千)委員 ぜひこれを前向きに、もちろん口蹄疫の問題も含めて、十分な措置をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
(後略)

第175回国会 予算委員会 第1号本国会召集日(平成二十二年七月三十日)(金曜日)

○石破委員 (前略)
 口蹄疫について伺います。
 基金の造成はいつまでになされるのか。このことは、前大臣は、特措法の必要なんかないんだとおっしゃいました。我が党の制止を振り切って外遊に出かけられました。
 私は、つたない経験から申し上げれば、危機管理の要諦というのは三つじゃないかなというふうに思っている。誤っている点があればぜひ御指摘をいただきたいけれども。一つは、まず、権限を持った最高責任者が現地に赴くことですよ。少しでも非があったら責任をほかに転嫁しないことですよ。そして、ありとあらゆる手段を打つことですよ。この三つが危機管理の要諦である、私はそう信じています。
 我が党の浜田国会対策委員長代理が制止をしたのに振り切って、私は前大臣ですから、状況が変わったのは別だけれども、不要とは言わないが不急の用事で十日間外遊をされた。私がいなくても、私よりも優秀かもしれない今大臣をやっておられる副大臣、あるいは政務官がいるから私がいなくても問題ないんだというふうにおっしゃった。その政務官のお一人もデンマークに外遊をされて、自衛隊が出れば不安に思う人がいる、そういうことで、自衛隊の出動もおくれるようなありさまだ。
 口蹄疫がなぜ怖いか。世の中には、治るんだからいいじゃないか、殺さなくても、そういうことを言う人がいましたね。それは大きな認識の間違いですよ。つまり、罹患したお母さんから生まれた子供は死亡率が物すごい高い、このことを忘れているから、あるいは知らないから、かわいそうじゃないかみたいな議論が出る。
 私は、七割の人たちが続けたいと言っておられる、本当にありがたいことだと思う。そして、全国からいろいろな善意が寄せられている。私は、日本の畜産はどうしても再建をしなければいけないし、宮崎にありとあらゆる手だてを施してこの畜産を再生させる、それは国家の義務であると考えている。
 しかるに、この法律に定められた基金、これについてまだ明確なお答えがない。この基金はいつまでに、どのような形でつくるのか、農水大臣、お答えください。
    〔伴野委員長代理退席、委員長着席〕
○山田国務大臣 お答えします。
 確かに、実際に口蹄疫で、宮崎の農民も、そして農民に至らず商工関係者も大変な痛手を受けております。宮崎だけではなく、鹿児島も、熊本も、いわゆる搬出制限区域にかかりました。そんな中で、九州全体がかなり厳しい影響を今も受けていることは事実です。
 そんな中、特措法に、基金を設けたい、基金その他の必要な措置をするというふうに、地域振興のためになっておりますので、ぜひ基金の創設をしたいと考えております。
 いつまでにという先ほどの御質問でございましたが、今、私ども農水省だけでは到底できませんし、もちろん、経済産業省、国土交通省、内閣府、全体で、宮崎県側の要望をお聞きした上で、しっかりとその対応を検討させていただきたい、そう考えているところです。
○石破委員 総理、これは、今農水大臣がいろいろおっしゃいましたが、可能な限り政府として、総理は全力を尽くすと現地でおっしゃいましたね。可能な限り早くこの基金の創設、今農水大臣は、ほかの役所もいろいろあるとおっしゃった。では、総理がおっしゃってください。一日も早くこの基金を創設する、今ここでお約束ください。
○菅内閣総理大臣 私も、就任間もなく現地に参りまして、まず、その時点では、何としても拡大感染を抑える、それの御協力をお願いし、そして、終息した段階では、畜産農家はもとより、地域の振興に対しても全力を挙げるということをお約束してまいりました。
 手だてとしてどういう形が適切なのか、それはそれぞれの役所も含めて、大臣を含めて検討いただかなきゃなりませんが、少なくとも、私が出かけていって申し上げた、できるだけの対応はするという、そのお約束にふさわしい対応をするよう各大臣に指示をしたいと思っております。
○石破委員 もう一つだけ、口蹄疫に関して申し上げておきましょう。
 家畜伝染病予防法の改正、これは急がなければなりませんよ。この特措法の期限が切れるまでに、いろいろな内容を定めた家伝法の改正、これも必ず行わねばならない。時間は短いんです。危機管理なんです。国会さえ何とか乗り切ればいいというものではないことは、総理は危機感を持って考えておられるはずです。少なくとも私はそう信じたい。立場は違うけれども、日本国内閣総理大臣として、あなたはその危機感を我々と共有している、そのように信じたいのです。
(中略)
 以上です。

第175回国会 農林水産委員会 第1号 平成二十二年八月三日(火曜日)    午後四時一分開議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 農林水産関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○筒井委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事会の協議に基づき、口蹄疫対策特別措置法第二十三条の基金の設置について、委員長から一言申し上げます。
 皆さんに「口蹄疫対策特別措置法第二十三条の「基金の設置」について」と題する書面を机上配付させていただいております。この趣旨をお読みいただければよろしいんですが、基金の設置が必要であるという趣旨、これを明確にしております。
 そして、この法律は議員立法で全会一致で成立した法律でございますが、各党、与野党間の協議における共通認識も基金の設置を行うということで進められて、そういう条文になったものでございます。
 基金の設置は前提でございますが、しかし、設置主体、これを国にするのか県にするのか財団等にするのか、あるいはその具体的な内容に関しては、これはまだ立法時においては確定していなかったものでございます。
 これらの点をこの書面において確認し、理事会でも確認をしたものでございます。
 以上であります。
     ――――◇―――――
○筒井委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産関係の基本施策に関する事項
 食料の安定供給に関する事項
 農林水産業の発展に関する事項
 農林漁業者の福祉に関する事項
 農山漁村の振興に関する事項
以上の各事項について、実情を調査し、その対策を樹立するため、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○筒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○筒井委員長 この際、山田農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣山田正彦君。
○山田国務大臣 農林水産委員会における農林水産大臣の所信をこれから述べさせていただきます。
 農林水産委員会の開催に当たりまして、委員長にお許しをいただき、所管大臣として所信の一端を申し述べます。
 初めに、宮崎県の口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々には心からお見舞い申し上げます。また、昼夜を問わず防疫対応に従事された方々に心から感謝申し上げます。
 今回の口蹄疫の防疫対応については、四月二十日の発生以降、自衛隊、警察などの御協力をいただきながら、政府と宮崎県が一丸となって、一般道を含む消毒や家畜の処分、埋却等の防疫措置を実施してまいりました。その結果、七月二十七日午前零時をもって、すべての移動制限、搬出制限が解除されました。
 しかしながら、大量の家畜排せつ物に含まれるウイルスについては、ブルーシート等による封じ込めを行ったものの、完全に死滅するには一定の時間を要します。引き続き、現地に職員を駐在させ、家畜排せつ物の適切な処理や消毒等を徹底することとしております。
 今後、口蹄疫の蔓延防止のために殺処分に応じていただいた方々の犠牲を無駄にせず、また、炎天下や雨の中で黙々と埋却等の作業に御協力いただいた方々の労苦に報いるべく、第三者検証委員会を設置し、今回の対応を徹底検証するとともに、今後は、二度と今回のような大量殺処分といった事態を招かないよう、国と地方が一体となって取り組んでまいります。
 また、宮崎県の畜産の復興、地域の再建については、農林水産省に経営再開を支援する特別チームを設置し、一日も早い農家の経営再開が行われるよう努めてまいります。
(後略)
    ―――――――――――――
○筒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川村秀三郎君。
○川村委員 民主党の川村秀三郎です。
 本日は、基本政策に関する質疑ということで、口蹄疫に関して御質問をさせていただきます。
 御案内のとおり、私の地元宮崎県におきまして、四月二十日に口蹄疫が発生を確認されました。そして、大変な猛威を振るいまして、結局二十九万頭近くを処分するという事態にまでなったわけであります。おかげさまで、県、地元市町、国を挙げての御尽力がありました。そしてまた、地元のJA、消防、警察、地元の建設業、そしてまた全国からの獣医師、警察、自衛隊の派遣など、関係機関からの御支援、御協力によりまして、去る七月二十七日に家畜の移動・搬出制限が解除できたわけでございます。そして同時に、県の非常事態宣言も解除されたわけであります。
 今回の口蹄疫は、畜産業はもちろんでございますけれども、宮崎県の農業全般また関連産業、そして地元の商業、観光の関連産業などなど、宮崎県の地域経済、あらゆる分野に甚大な被害をもたらしております。地域経済が停滞しております。雇用や生活の不安、環境対策など、さまざまな課題が生じております。気を緩めるわけにはいきませんけれども、終息の見通しが立った今、まさに口蹄疫被害からの再建、復興が喫緊の課題であります。
 県においては、復興対策本部を設置いたしました。そしてまた同時に、市町村や経済団体も参加をした口蹄疫対策連絡会議を発足させました。そして、先週末ですが、口蹄疫復興に関する緊急要望を取りまとめました。その中で、八分野、三十九項目にわたる要望をされております。すべてをこの委員会で取り上げるわけにはいかないんですが、何点かお尋ねをしたいと思います。
 まず最初の点は、基金の問題でございます。
 この件につきましては、先日のこの農水委でも多くの委員から取り上げられました。そして、残念ながら、政府の方からは、基金創設については県の要望を待って検討ということで、設置自体についての明言はなかったわけであります。先ほど、冒頭、委員長が見解を示されました。立法趣旨というのは、二十三条の趣旨というのは、当然に実現を予定している代表例ということで、この見解を示していただきました。
 そして、先ほど言いました県の緊急要望の中にも、口蹄疫被害からの再生、復興を図るために宮崎県が設置に向けて検討を進めています口蹄疫復興対策基金、これは仮称でございますけれども、これに対して財政支援を行ってほしいということが要望されておりまして、金額的には、事業規模として三百億円という具体的な数字が想定をされております。
 要望の理由でございますけれども、再生、復興のためには国の制度あるいは事業による対策だけでは足りないということで、県や市町村におきますさまざまな取り組みを迅速にかつタイムリーに、そしてまた地域の実情、ニーズ、こういうものに応じて柔軟かつ的確に対応する必要があるということ、そしてまた、ある程度長期にわたるということを想定して、継続的に実施する必要があるから復興基金をお願いしたいんだ、こういう理由であります。
 そして、実際、では、この基金の活用で具体的に何を想定しているかということでございます。
 県の要望の中では、例えば消毒の問題。これは、もう今後は極めて小規模のところから大規模なところまで消毒を徹底しなければなりません。その施設整備も必要であります。それから、今回の口蹄疫の消毒で消石灰をかなり使いまして、施設にさびが出るとか、いろいろな老朽化が非常に起こっております。そしてまた、汚泥の問題もあって、活性汚泥が死んでしまった、そういうことでやりかえをしなくちゃいけない。さまざまな小規模な施設復旧であるとか補修等が必要になってまいります。
 また、これは後でも触れますけれども、一応終息の見通しはついたけれども、農家の方々は大変に不安を持っておられます。本当に大丈夫なんだろうかという不安がまだあるわけであります。そのためにも、試験的に家畜の導入をやるような、そういう試みも必要であります。
 それから、大量の家畜を埋却いたしましたけれども、その埋却地にかかわる環境対策、こういうものもきめ細かく今後実施をしていかなくちゃいけない。水道問題、水の問題も出てくる可能性があります。現に出ているところもあります。
 そしてまた、先ほど言いましたように、この被害は広範囲に及んで、商業とか工業、地元の産業に影響を与えているということで、それぞれの地域が、創意工夫といいますか知恵を出しながら、地域復興を何とか図っていきたいということで、さまざまなアイデアを出して頑張ろうとしております。そういうものを支援していかなければならない。こういうものは、一々大きな制度をつくって国が認可をしてということではなかなか進みません。そういう意味でも、既存の枠にとらわれずに、地域や個別のニーズを踏まえたきめ細かな対応をするためにも必要なものだと私は考えます。
 そういう意味で、今申し上げましたように、この二十三条の立法趣旨、そして県の要望、こういうものを踏まえて、ぜひここではっきり農林大臣にこの基金の設置について明言をしていただきたいと思います。ぜひ御答弁をお願いいたします。
○山田国務大臣 先ほど筒井農林水産委員長がまとめていただきました、いわゆる特別措置法の二十三条に基づく基金については、内閣府、官邸とも相談の上、設置させていただきます。その内容、時期等々については、各省庁にもまたがることですので、これから検討させていただきたいと思っています。
 先ほどの要望事項で消毒の云々等々にありましたが、そういったものについては、今回、予備費とか、あるいは消費・安全交付金とか、あるいは施設の整備費や、強い農業づくり交付金とか、いろいろな形で対応できるものもあるのではないかとは思っておりますが、いずれにしましても、どういう形でやるかということはこれからしっかり検討させていただきたい、そう思っているところです。
○川村委員 今大臣から設置については明言をしていただきました。本当にありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
 ただ、重ねてで恐縮でございますけれども、やはりスピーディーにやっていただかないといけない。後手後手に回ったのでは、本当に、せっかく復興に向けて動き出している動きがとまってしまうんです。そういう意味でも、ぜひ早急に結論を出していただきたい、中身を固めていただきたいと思います。
 そして、消毒の話もございましたが、過去に済んだ消毒についてはそういうこともあるかもしれません。今後、まさに小規模のものも含めていきますと、個々の農家にやるような話になりますので、国の大きな予算の中で、そういった個々の農家の要請に対応するようなものは多分私は無理だと思います。やはり基金をつくって非常に機動的にやっていかないといけない、そういうものが多いと思うんですね。全体の大きなシステムをつくるのは国の制度になじみますけれども、本当にかゆいところに手が届くような対策はやはり基金の中で、細かい事業にも出せるような、そういう基金がぜひ必要だと思っていますので、その点を配慮して、ぜひスピーディーにお願いをしたいと思います。
 次の質問をさせていただきます。
 この土日、ここにいらっしゃる道休議員とか宮崎の参議院の外山議員ともども、何人かの町長さんにお会いしまして、今後に向けての御意見等を伺ったわけでございます。その中で強く言われましたのは、農家の皆さんの再開の意思というものは非常に高いんです。九割以上の方が何とか再建にいきたいということで希望を出しておられます。ただ、皆さん、不安をお持ちなんです。本当に始めていいんだろうか、そして、万が一自分のところで出て、またほかのところに迷惑をかけたら、これは申しわけない、そういう気持ちもあって、やはり様子見をしなくちゃいけないというようなことがあります。
 理論的には、堆肥の問題が片づく八月末、その翌日からでも導入は可能なはずなんですが、今申し上げたように、すぐには再開できないという気持ちを持っておられます。しかし、再建がおくれればおくれるほど、非常にすそ野が広いので、畜産業のみならず、関連産業、地域経済の復興もおくれるわけなんです。ですから、この不安感をいかに早く払拭するか、これが今一様に求められていて、農家のニーズが高い、こういうことを聞いております。
 そして、先ほど言いました県の要望の中では、二つほど具体的な提案がなされております。
 一つは、酪農家のぬれ子、乳用種とか交雑種の子牛を、牛農家でありますとか豚農家に二頭ぐらいずつ試験的に飼ってもらう、そして発生がなければ、個々の農家、それぞれの農家が安心して再導入に取り組めるというようなことで、これは、今、酪農家の子牛、ぬれ子が非常に滞留しています。移動制限、搬出制限、競りが開かれないということで滞留していますので、これを有効活用するという意味でも非常にいいですし、そして、今言いましたように、肥育農家であれ繁殖農家であれ、そして養豚農家であれ、二頭ぐらいずつを飼うことによって安心する、身をもって清浄性が確認できるということで、非常にこれは有効な、一石二鳥にも三鳥にもなるような対策だと思います。これをぜひ実現しなくちゃいけないなと思います。
 もう一つは、中間保有と言っていますけれども、JAとか経済連あるいは地区連等が、ある程度まとめて自分たちが飼う、そしてそれをまた農家に配分するといったようなことでリスクを軽減するということも案として入っております。
 早期に再建に着手することで、いわゆる関連産業、これまで人工授精も控えておりましたから、人工授精師の皆さん、あるいは削蹄師の皆さん、いろいろな、運送、飼料、えさですね。関連産業の維持、雇用の維持にもつながると思いますので、国としてもこういう取り組みを積極的に支援していただきたいと思うわけですが、こういう点についてのお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
○篠原副大臣 ただいまありました二つの提案の、最初の方についてお答えさせていただきます。
 疑似患畜が確認された農場、それからワクチン接種区域の農場における家畜の導入に当たりましては、口蹄疫の再発防止に万全を期さなければなりません。
 それで、今どうしているかといいますと、川村委員の中にもありましたけれども、殺処分が終了してから、一週間ごとに三回ほど消毒をきちんといたします。それから、まだ家畜排せつ物が残っております。これはウイルスがありますので、疑似患畜が確認された農場では六週間、ワクチン接種農家では一週間、これが不活性化あるいは死滅化には絶対必要でございます。そういったことを完了していること、これを条件としております。
 それから、今ありましたように、初めてのことですので、再開はしてはいいんだと、八月下旬に大体その期日が来るということはわかっておるわけですけれども、農家は非常に不安でございます。それは承知しておりますので、家畜排せつ物の処理に当たりまして、詳細なマニュアルをつくりまして、農家の皆さんを相手に説明会を開いております。そして、適切な切り返し等をやっていただくことにしております。六十度ぐらいになりますとほとんどのウイルスは死滅するということになっておりますから、そういうことをしていただくと万全に近づくことになります。
 それから、せっかくのいい機会というか、こういうことがありましたので、一体、家畜排せつ物の中にどの程度ウイルスが残っているのか、あるいはどのようにしたらリスクが低減できるのかというようなことも緊急調査しております。
 それから、具体的な提案の、おとり牛の関係ですけれども、豚よりも牛の方が非常に敏感であり、かかりやすいということで、我々は、そういうことを、ぬれ子牛がどうだということまで具体的には指示しておりませんけれども、急に再開するのではなくて、試しにぬれ子牛もいいんだろうと思います、それを少数、今までは五百頭とか飼っていたところを、ほんのわずかだけ飼ってみて、これで万全だったらばやっていけるんじゃないか、そういったやり方で再開したらどうだということを宮崎県に要請しております。
 いずれにいたしましても、我々は、農家が安心して再開できるように全面的な支援をしてまいる所存でございます。
○川村委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 そして、三点目でございますが、宮崎は農林水産業が基幹産業でございます。これと同時に、やはり観光立県でもございます。口蹄疫の影響で観光客の落ち込みが大変著しい。旅館等によっては、予約が五割減、八割減になってしまったというところもいっぱいあるわけでありまして、この速やかな回復が必要でございます。
 終息宣言まではまだちょっとありますけれども、非常事態が解除されたということで、八月一日、ついおとといでございますけれども、全国高校総合文化祭という、文化系の甲子園という大会が宮崎で行われました。秋篠宮、同妃殿下そして佳子内親王も来ていただきまして、多くの高校生等が参加するということで、私も開会式に出ましたけれども、こういう催しが宮崎で行われますと、やはり終息に向かっているんだなということを実感できましたし、私だけではなくて県民皆さんが元気が出てきたと思います。
 こういったことを次から次にやはり打っていただきたいなと思います。官民一体になった取り組みで、ぜひ、宮崎に観光客なり来訪者がふえるような施策をやっていただきたいと思うわけでございます。いろいろな会議の招致でありますとか、あるいは旅行会社等に対する働きかけとか、観光需要を喚起するための優遇措置等を国としても講じていただければ大変ありがたいと思いますので、この点、国交省の藤本政務官、ぜひ明確に御支援をお願いしたいと思います。
○藤本大臣政務官 川村委員にお答えいたします。
 観光は宮崎県の中でもやはりリーディング産業の一つであるということは認識をされていると思いますが、私どもも全く同じ認識でございまして、宮崎県の地域経済、元気を回復するためには、やはり観光の需要を拡大するということが大変重要であるということを認識しております。
 二十七日に非常事態宣言が解除されて、すぐに、前原大臣からも、宮崎県の観光需要の具体策を考えろということの指示を受けております。宮崎は、県としては、八月一日から九月三十日までの実施期間で「来て!みて!宮崎キャンペーン」をもう実施されて、誘客対策を図っているということで認識をしておるんですが、観光庁としては、旅行業界を通じて宮崎へのいわゆる送客の強化、これを要請しました。それとあわせまして、旅行各社においても、料金的に比較的安目の、格安ツアーなども企画して実施をしているということで、宮崎を支援する動きが進んでいるわけです。
 このように、国そして県のキャンペーン、そして旅行会社の積極的な、自発的な、いわゆる魅力的な旅行商品をつくっていくということを、三者が一体となって総合的に、それぞればらばらでやりますと予算的にもなかなか厳しいところがあるんですが、そこをやはり三つが連動してやっていくことが大切であるということで、旅行客にとってはお得感のあるような旅行商品の造成などを含めて、観光庁が中心になって頑張ってやっていきたいと思っております。
 ありがとうございます。
○川村委員 大変ありがとうございます。
 我々も頑張りますので、ぜひ国交省におかれましても最大限努力をしていただきたいなと改めてお願い申し上げます。
 もう時間が参りました。
 地元では、今回の反省も踏まえまして、再建に向けて、単純に前の姿に戻すのではなくて、もう畜産をやめて、川南とかこういう地域は畑作地帯でもありまして、畑作に転換をする。そのためには、やはりその製品の受け皿としてのいろいろな加工場も必要だ。それから、畜産も、いっぱい飼って密度を上げるのではなくて、加工して直販をするとか、そういう動きが出ています。そういう意味で、理想的な畜産経営あるいはその複合経営というものを模索する動きがありますので、これについてもぜひ、基金の中でも対応しようということにはなっておりますが、農水省においてもしっかり支援をしていただければと思います。
 以上、お願いを申し上げまして、終わります。
 きょうは、ありがとうございました。

○筒井委員長 次に、小里泰弘君。
○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 早速質問に入ります。
 今回の口蹄疫への対応を振り返りますときに、多くの教訓あるいは反省点を生んだと思います。例えば、初期のころ、国からの消毒薬の手配がおくれたと言われます。あるいは、一般車両への消毒がおくれました。自衛隊出動要請がおくれました。そういったことを含めた、自治体への国の指示、指導というものが欠落をしておったんじゃないかということも指摘をされております。あるいは、現地対策本部、大臣、大変御苦労をいただいたわけでありますが、この現地対策本部の設置も、政府対策本部の設置も約一カ月おくれたのであります。あるいはまた、殺処分、埋却のおくれは、感染源が長らく放置された状況をつくりました。決定的な致命傷となったわけであります。同時にまた、予防的全頭殺処分、これは私どもが早期の段階から再三要請をいたしましたが、残念ながら、これもおくれにおくれて一カ月おくれとなりました。
 こういった政府の対応のおくれあるいは欠落が際限なき被害拡大を生んだ、このことは謙虚にまた反省をしなければならぬと思います。大臣として、一連の対策をどのように総括されるか、お伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 いかにも国の責任だと言わんばかりのお話かと今賜りましたが、もともと疫学調査チームからも、今、第三者委員会でもこれから検証していただきますが、国が実際に口蹄疫の発生を聞いたのは四月二十日でございます。ところが、実際に発症しておったのは三月の中旬から下旬。四月の二十日、そのときまでには既に十農場で、抗体検査の結果によっては発症が確認されております。県の家畜保健所、そこに三月の三十一日には検体もとっておったわけですから、それを早く国の方の動衛研に送っていただいていれば、口蹄疫であることが早く確認できて早期の対応ができたのじゃないか。
 口蹄疫の、家畜伝染予防法に基づく国の指針につきましては、えびの市のように、都城のようにしっかりと早期対応をとっておれば十分それで防げる、そう考えておりますが、そういう意味では、今の家畜伝染予防法でも、これは第一義的には法定受託事務で、県の責任でやるべきことでもございます。そうかといって、国としてもいろいろと反省すべき点は今考えているところです。
 いずれにしましても、どこにどのような教訓、学ぶべきところがあったかということは、今、第三者委員会、検証委員会でもってこれからはっきりされていくべきことで、あながち県の初動のおくれだとは、それだけだとは私は思っておりません。
○小里委員 法定受託事務の話がまたありました。法定受託事務は本来的には国が果たすべき役割であるということは御案内のとおりであります。
 ましてや、今回は、いわゆる大災害、国の危機管理に係る話であります。何より、食料安保というものは国が最後まで責任を持つべき最たるものであります。大災害というものは、どの地域にも満遍なく発生をするものではありません、ある日突然に特定の地域に降りかかる。それだけに、予算も権限も、あるいは人もノウハウも、集中的に投入して打開を図っていかなければならぬのであります。そこには当然国のリーダーシップというものが期待をされます。
 殺処分を初め、家伝法どおりに対策が実行されなかった、あるいは想定外の事態に十分な対応ができなかった、その責任は国と県の双方にあると私は思います。ここは、大臣がおっしゃったように、謙虚に客観的に検証をいただいて、今後の対応に生かしていただきたいと思います。いたずらに私は国の批判をするつもりはありません。未来を見据えて、しっかりともに取り組んでまいりたいと思うところでございます。
 そこで、多くの教訓を生んだ今回の口蹄疫の問題であります。法定受託事務の扱いを含めた国の権限強化をいかに図っていくか、現地対策本部や政府の体制のあり方というものをどうとらえていくのか、予防的殺処分のあり方、車両等の消毒のあり方、埋却場所の確保の問題、各地域における防疫資材の備蓄、配備のあり方など、多くの課題を残しました。
 それぞれについてマニュアルの再構築をしていかなければなりません。まずは農家におけるマニュアル、自治体におけるマニュアル、国におけるマニュアルというものを再構築しないといけない。そこには家伝法の改正も当然伴ってまいります。事に臨む大臣の方針というものをお伺いしたいと思います。
○山田国務大臣 今回、本当にさまざまなことを、現地に、またこちらにもいて学ばせていただいたと思っております。
 一つは、今委員が御指摘のように、やはり国家的危機管理として国が前面に立ってやること、これは、今回、家伝法の改正においてもぜひやらなければいけない、そう考えております。
 実際に、今回一つの大きな教訓であるんですが、既に六月中にマニュアルをつくって各都道府県に配付し、各都道府県の畜産課長さんも集めて先般お話ししたところですが、いわゆる家畜の異常、よだれを垂らしたりびっこを引いたりしたら、異常を農家が見つけたら、二時間以内に防疫員、獣医さんがそこに出かけていくということ。それで、デジタルカメラで写真を撮って、すぐ国の方に、家畜衛生研究所、動衛研の方に送ってもらうと写真で今判定できる。二十四時間以内に、その写真で判定して黒とわかれば、殺処分して、七十二時間以内に埋却していく。
 これからグローバル化して、またいつ、どこに発症するかわからないときに、そういったマニュアルを今しっかりと、そして、家畜改良センター、国の組織において今チームをつくりまして、いざ発症したときには、直ちに一切の資材を持って、獣医師さん等々を含めて駆けつけられるような緊急チームを編成できております。
 いずれにしましても、今回大変な教訓を、大変な犠牲を払った上でいただいたということで、私ども、しっかりとその対応に取り組ませていただいているところです。
○小里委員 ありがとうございました。
 しっかりと今回の教訓を生かして防疫体制の再構築をお願いしたいと思います。
 さて、口蹄疫発生後の競り市が再開をされました。私どもの鹿児島で見ました場合に、例えば出水地域で平均で二万四千円値下がりをしております。指宿地域で二万六千円の値下がり、逆に、曽於地域では一万二千九百円ぐらいの値上がりをしております。これは四月に比べて、口蹄疫発生前に比べてそんな動きであります。八月に入りましてからは、平均すると一万一千円値下がりをしております。七月の平均値で六千六百円のマイナスということでございます。
 率直に言いまして、思ったほどは下がらなかったかなという気がしないでもありません。
 ただ、県により、例えば出荷日齢が三百六十日以上の肉用子牛につきましては、基準価格以上で買い上げる購買者に対して、雌の子牛で二万五千円の助成、あるいは去勢牛で三万円の助成を行っております。これがかなり下支えになったんじゃないかと推定をするところであります。また、えさのやり方を工夫いたしました。繁殖農家が、子牛が大きくなり過ぎる過程で、肥育農家のえさのやり方を取り入れて、そこをやっていただいた。したがって、肥育農家、購買者が買いやすい状況になったということも言えます。
 そういった、自治体あるいは農家の懸命の努力がありまして、こういう状況に何とか、落ちついているとは言いませんが、一つの価格の成績になっているわけであります。
 そこで、今後また宮崎県側で、例えば八月二十九日に高千穂市場が皮切りでしょうか、再開になりますし、今後ともそれぞれの市場の動向というものが目が離せないわけであります。
 肉用牛繁殖経営支援事業の特例措置として、七月から九月の、第二・四半期の県平均売買価格が適用されます。そして、四半期ごとの交付となります。したがって、十月にその支払い額というものが確定をして、十一月に支払われるということになります。ただ、これだと、資金繰りに困っている農家が大変困る。それ以上にまた窮地に立たされるわけであります。そこで、月ごとの平均売買価格の適用ができないか、あるいは月ごとの支払いが迅速にできないかという要望をいただいております。
 また、四分の三の交付ではなくて全額の交付をお願いできないか。今、県でこれに補完をいたしまして、約九〇%が補てんをされているわけでありますが、ぜひともさらなる国の支援をお願いしたい。
 また、前から御指摘がありますように、飼料代四百円だけじゃなくて、労賃も、労力経費も見ていただきたい、そういう切なる要望がいまだに上がっているわけであります。
 特措法第二十条では、この補てん、まさに全額を予定していると私どもは思うところでございますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○篠原副大臣 肉用牛繁殖経営支援事業の特例措置について、細かい御要望、御質問がございました。
 肉用子牛については平成二十二年度から肉用牛繁殖経営支援事業を措置しまして、今小里委員御指摘のとおり、四半期ごとに全国一本の平均価格で発動基準価格、例えば黒毛和種だと三十八万円ですけれども、これを下回った場合に四分の三を支援交付金として交付するという措置を講じてまいりました。
 そして、今回の口蹄疫の発生に対しましては、現行対策の枠組みをそのまま維持しつつ、今、これも御指摘がありましたが、四半期ごとに、七月から九月における平均価格について、特例で、全国一本だったわけですけれども、宮崎、鹿児島、熊本では影響が大きいだろうということで、県ごとに算定した地域平均の売買価格を用いて支援交付金を算出することといたしております。これは、口蹄疫の発症でいろいろ影響があった地域に対する特別の措置でございます。
 このほかに、資金繰りが一時的に悪化した場合には、もろもろの資金、例えば、家畜疾病経営維持資金、それから農林漁業セーフティネット資金、それから家畜飼料特別支援資金等の利用が可能になるようにいろいろ措置してございます。
 それで、細かい御指摘ですけれども、毎月やってくれないかということでございますけれども、小里委員のところの地元ではどうでしょうか、毎月市場が開設されているところと隔月のところと三カ月に一回のところと、いろいろあるのではないかと思います。ですから、それぞれの各市場の価格を平均的に反映して計算するには四半期ごとが一番適当じゃないかということで、四半期ごとに我々はしております。これが計算上の事情でございます。
 それからもう一つ、四分の三ではなくて全額補てんしてもいいじゃないかということでございます。全額というのは、全額の方がいいのはわかっておるわけですけれども、ほかの県との公平感とかいう問題もありまして、差額の四分の三を交付する現行の仕組みの中で対応してまいりたいと思っております。
○小里委員 県の平均価格にしていただいた、これはありがたいことでございます。
 それと、四半期か単月ごとかというのは、農家が資金繰りに困っておりますから早期に支払いをお願いしたいということでございまして、その観点から対応をお願いしたいと思っているところでございます。
 申し上げましたように、特措法の第二十条では、家畜市場の自主的な開催の停止による農家の損失につきましても「当該家畜の所有者の当該損失を補てんする」としております。ここには、家畜所有者の損失額全額を国が補てんするという立法者意思というものが込められていると私は認識をしておりますし、こここそ立法過程で、立案過程におきまして腐心をしたところであります。制限区域の内外を問わず、自主的な競り市の停止による損失に対しても全額補てんを予定していると私は信ずるところでございます。
 また、これから将来への、いざというときの防疫対応を図るときに、制度に対する信頼、行政に対する信頼というものがなくてはならぬ。これをしっかり確保していくためにも、ここは温かい手厚い対応をぜひお願いしておきたいと思います。
 次に移ります。
 鹿児島県内でも、競り市の中止のみならず、感染拡大防止のために、スポーツ大会あるいはこの時期の夏祭りのほとんどなど、多くのイベントや行事が中止に追い込まれました。交流人口の減少によりましても、例えば六月の調査におきましては、観光地、鹿児島の霧島とか指宿地区で宿泊客数が激減をいたしまして、前年同月比で一七%減少をしております。県境の商店、観光地におきましてはゴールデンウイーク中の人出が例年と比べて二十万人減少したという数字が挙がってまいっております。また、例えばスポーツ大会が中止をされますと弁当の注文が減ります。あるいはまた、曽於地区におきましては、商店街の八割が売り上げが減少をしたという事例もあるのであります。
 川村委員御指摘のように、宮崎県のみならず、鹿児島県におきましても地域経済に広範囲に深刻な影響を及ぼしているのであります。そこで、鹿児島県側におきましても、地域再生の基金に対する期待というものがとみに高まっているのであります。
 先ほど、委員会冒頭、委員長から、今回の基金の設置につきまして、これは立法者意思として、唯一の代表的な事例であって当然実施されるべきものという委員会の確認の披露がありました。そしてまた、大臣におかれては、きのうの予算委員会でも、基金の設置を明確に表明いただいたところでございます。
 そこで、基金の規模、対象地域、内容、窓口、スケジュール等を明確にしていく必要があると思いますが、この基金の設置に臨む、その辺の大臣の方針についてお伺いをいたしたいと思います。
○山田国務大臣 基金の内容、範囲それから時期等については、各省庁にまたがるので、これから検討していくところですが、鹿児島県も一部、熊本県も一部、搬出制限区域にかかっているところもございます。
 いろいろなことを考えさせていただいておりますが、基金の内容等についてはどういう形にするか、本当に基金じゃないと対応できないもの、そういったものになっていくかとは思っておりますが、各省庁にまたがるもので、これから官邸とも相談しながら詰めていきたいと考えているところです。
○小里委員 基金の規模、対象地域、内容、窓口等についてお伺いをしたわけでありますが、考え方としては、大胆に、広範囲に、きめ細かに、そして実効ある基金となりますように、ぜひ職務に照らして大臣の御奮励、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
 時間がありませんので、赤潮被害の問題に移らせていただきたいと思います。
(中略)
○小里委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 質問を終わります。ありがとうございました。

○筒井委員長 次に、赤澤亮正君。
○赤澤委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 久しぶりに農林水産委員会の質問でございますので、我が国にとってなくてはならない宮崎県の畜産について、しっかりと再生の道を歩むことを期待しておりますし、そのために、農林水産省政務三役の先生方には獅子奮迅の活躍をしていただきたいということを、冒頭、申し上げます。
(中略)
 私は、何と危機管理の意識の薄い方かなと。自分が想定しているシナリオが崩れたときのことを何も考えない人だなと思って、案の定、口蹄疫の問題で危機管理の意識なり対応能力の欠如も露呈して、私が米価が下がった後で追及する前にもうやめてしまわれたわけであります。
(中略)
○赤澤委員 私は、そこについてはもう見解が全く違っていまして、その認識は甘いだろうと思います。在庫が過剰であって、それについての圧力というのが今後必ず働いてくるというふうに考えております。ですので、その点についても本当に今から備えをしておいてほしいんです。前大臣が余りに危機管理の意識や能力がない方だったので、本当に口蹄疫含め混乱が生じたことは間違いのないことなので、山田大臣にはぜひ、その辺、今から検討を始めておいていただきたいということを申し上げておきます。
(中略)
 最終的には、米価が下がればその分財政支出は固定部分を翌年多くしなければならなくなります。物の道理として、五中三とかいろいろな考え方がありますけれども、徐々に徐々に用意しなきゃいけない財政支出の額がふえていく、そういうことでありますから、最終的には、今のまま、想定の一番恐れていることが起これば、下落した米価と不十分な補償の挟み打ちに遭う米農家が救済されないという事態があり得るということです。農林政務三役の危機意識、危機管理能力の欠如で、口蹄疫問題と同様、農家を苦しめることになると私は考えます。
(中略)
 長くなって失礼をいたしました。以上でございます。ありがとうございました。

○筒井委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
(中略)。
○石田(祝)委員 それでは、口蹄疫の基金の問題で、ちょっと確認しつつ、御質問をしたいと思います。
 冒頭、委員長からも御発言がありましたが、あえて確認をさせていただきたいと思います。
 せんだっての委員会で、我が党の東委員が、特措法の二十三条の基金について御質問をいたしました。極めて不十分な答弁でありましたので、東委員もあえてそれ以上の質問をしなかった。その後、理事会協議等で一応の確認もできましたが、なお答弁として確認をいたしたいと思いますが、これは、農林水産大臣、また内閣官房から来ていただいておりますから、お答えを願います。基金はつくる、こういうことでよろしいんでしょうか。
○山田国務大臣 筒井委員長のもとで成立させていただきましたし、基金は創設させていただきます。
○古川内閣官房副長官 お答えします。
 今大臣がおっしゃったとおりでございます。
○石田(祝)委員 これは、二十八日の答弁とは、古川官房副長官も若干御修正をなさったと。つくるということでございますが、国につくるか地元につくるか、また、別の団体、法人等をつくってやるか、これはいろいろあろうかと思いますけれども、いつつくり、実際お金を造成するか、どういうふうな性格を持たせるか、その辺のことはお考えになっていますか。これも大臣と副長官にお願いします。
○山田国務大臣 これから内閣とか各省庁ともあわせて検討させていただきたい、そう思っておりますが、基金の中には、震災等のそういう基金の場合には、運用益でやる基金というのが一般のようです。
 いろいろなことをこれから検討させていただきたいと思っているところです。
○古川内閣官房副長官 ただいま大臣から御答弁がございましたさまざまな点を勘案いたしまして、効果的、効率的な事業の運営という観点を踏まえまして、農林水産省におきまして、今後、宮崎県から要望を十分に聞いた上で、基金の具体的な内容を協議していただくことになるというふうに考えております。
○石田(祝)委員 副長官、今回のこの問題について、委員長があえて労をとっていただいて、やはり立法者の意思の尊重、こういうことでおまとめをいただいたと思います。
 この基金をつくるに際して我が党も提案をいたしましたが、やはりこれから復興対策を考えた場合に、農林水産省の関係だけじゃない、商工業者や、またいろいろな方々の復興の問題も出てくるので、今でいえば省庁が広くわたるだろう、そしてもう一つは複数年にわたる可能性がある、こういうことで基金をという発想だったんですね。これはほかの、もうちょっとつけ加えるお考えが他党からあるかもしれませんが。
 ということは、これは、農林水産省でやれという話じゃなくて、官房が農林水産省とよく連携をとっていただいて、そうしていただかないと、例えば経済産業省にかかわる部分は農林水産省ではできないですよね。ここのところは官房の方で引き受けて、基金の造成、運用、こういうものに当たるというお考えはないんでしょうか。
○古川内閣官房副長官 もちろん、最終的には官房の方で取りまとめをさせていただきますが、まずは、中心になっております農林水産省において、地元であります宮崎県の要望を十分に聞いた上で、基金の具体的内容を農林省中心に検討していただいて、最終的には、他省庁の分も含めて、政府全体として官房で取りまとめさせていただくということでございます。
○石田(祝)委員 副長官、やはりちょっと腰が引けていますよね。
 山田大臣のおっしゃることも私は実はよくわかるんですよ。今の法律の中で、農林水産省の範囲はできるだけのことはできる、しかし、これから復興対策になると、当然いろいろなところがかかわってきて自分のところの範囲を超えるから、これはなかなか自分のところではできにくい、こういうお考えがあったように私は先日の委員会の御答弁もお聞きをいたしました。ですから、副長官、これは内閣官房が引き受けて、ほかの省庁にまたがる部分も含めてしっかりとやるべきではないのか、私はこのことだけは申し上げておきたいと思います。
 特別交付税について確認をさせていただきたいんです。
 実は、きょうは渡辺副大臣に来ていただいているんですが、特交、特交という話がありまして、いかにも、今でも、特別交付税で全部やれるところはやるんだ、こういう御答弁がいろいろなところからありますし、発言もあります。
 渡辺副大臣、この特別交付税というのは、口蹄疫は入っているんですか、今。
○渡辺副大臣 お答えいたします。
 現在の特別交付税の算定項目の中には入ってございません。
○石田(祝)委員 私は大変不思議に思うんですけれども、これは、どこからお金を出すのか、そういう議論をしたときに、私たちは、予備費でやるべきだと。特別交付税は枠が決まっているし、いろいろな、災害対策とか、やってほしいところが全国にもある、それを例えば九州の宮崎に特化して特交をやると、これはほかのところが影響を受けるわけですから、予備費でやったらどうか、こういうふうなことを随分主張してきましたけれども、いや、特別交付税だ、特別交付税だ、こういうお話が続きまして、では、特別交付税の柱に立ててくれているのかと思ったら、まだ立っていないわけですね。
 これだけ、一千億の規模の特別措置法もつくって、そして政府を挙げてやっている。私たちも一生懸命取り組んでいる。これで、特交、特交という発言をしながら特別交付税の算定項目にいまだに入っていない。そして、これは省令でできるというんですね。ですから、法律を改正するとか閣議決定で、政令でやるとかいう話じゃありません、総務省の中でできる話です。
 なぜこれを、特交の算定項目にちゃんと入れましたよ、安心してください、特別交付税でやれるところはもうやりましたよ、柱も立てましたよと、何で今ごろまでやっていないんですか。これは、皆さん、特別交付税に当然入っているだろうと思っている方はたくさんいますよ。これはなぜ入っていないんですか。なぜやらなかったんですか。
○渡辺副大臣 原口大臣は、もうこれまでも、この特措法に基づきます宮崎県の負担分につきましては交付税で措置をするということは重ねて申しております。それだけに、省令改正を行えば、これは大臣決裁でできるわけでございまして、閣議決定も要らないわけでございます。
 問題は、今どれだけの額が必要かということにつきまして、宮崎県と、あるいは宮崎県の県議会や宮崎の市長さんも副大臣室にお見えになりましたけれども、まだ、この必要とされる額、現在、予算計上ベースでは、疑似患畜とワクチン接種家畜の殺処分に係る宮崎県の負担は七十八億円出ておりますが、それ以外の、要は口蹄疫被害からの復興ということにつきまして、どこまでのことを措置するかということで、今きめ細かく要望を聞いているところでございますので、御存じのとおり、特別交付税の交付は十二月と三月でございまして、これは法改正しないと十二月交付を前倒しすることはできません。
 しかし、省令の改正はおっしゃるとおりできますので、これにつきましては、大臣は宮崎県等と話をして、必要な額が決まり次第省令を改正する、そういう立場でございます。
○石田(祝)委員 この口蹄疫の問題は、副大臣、よくお聞きをいただきたいんですけれども、私たちは、まず現地の方々に安心感を与えなきゃいけない。ですから、まず私たちが最初に提案したのは、とにかくお金はこれだけ用意をしたよ、こういう安心のメッセージを送れ、また特命担当大臣をつくれ。こういう、これは実際いろいろな省庁がかかわってまいりますけれども、現地の方が、ああ、自分たちのことを本当に心配してここまでやってくれるのかと、安心のメッセージを送る必要があるということでいろいろと申し上げてきました。
 ですから、大臣が特別交付税でやりますよと、こういう御発言があったのも事実でありますけれども、そうしたら明確になぜ早く柱を立てないのか。お金が決まらないと項目を立てられないんですか。五百ある項目全部、お金が決まっているんですか、今。そうじゃないんでしょう。そういう項目が決まった後で、では一体幾らになるんですか。これは積算もあるでしょう。
 しかし、特交の算定項目にちゃんと入れましたよ、御安心ください、基金もつくるし、こういう特別交付税でも、全国の他県の御了解もいただいて御理解もいただいてやりますよと、これをしないからメッセージが伝わらないんですよ。ただ十二月に出すんだからそれまででいいだろうなんということじゃないんですよ。これは大至急やってください。
○渡辺副大臣 一つ申し上げますと、例えば川南町の家畜排せつ物等については、まだ引き続き移動制限というのが解除されておりません。ですから、これに幾ら、どれだけかかるかということも含めまして、とにかく私たちは交付税でやるということはお約束をします。ですから、特別交付税の項目の中に追加することは、大臣と相談をして速やかにしたいというふうに思っております。
 ただ、その金額につきましては、まだこれから、要望のある額、いろいろきめ細かく我々は宮崎県の立場に立って、あるいは宮崎県周辺の被害に遭われている自治体の立場に立って、できるだけ、これは総理からも発言がありますけれども、積極的に対応するようにという方針でございますので、金額につきましては、この後まだまだ加算をしていくと思いますけれども、まず安心感を与えるという委員の御指摘につきましては、これは私どもも、大臣も含めて全く同感でございますので、安心感を与えるべく、直ちに対応を考えたいと思っております。
○石田(祝)委員 渡辺副大臣にせっかく来ていただいていますが、最後に一言だけ申し上げますと、政務官が二十九日の災害対策特別委員会で、もう既に項目に入っているかのごとき発言をなさっております。ですから、これは明確に間違いですから、よく発言を精査して訂正をなさった方がいいと私は思います。
(中略)○石田(祝)委員 終わります。

○筒井委員長 次回は、来る六日金曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十一分散会

第175回国会 予算委員会 第2号 平成二十二年八月三日(火曜日)    午前九時開議

○斉藤(鉄)委員
 (前略)
 それから、口蹄疫対策、これも危機管理の問題でしたけれども、この危機管理の問題については省略をいたします。もう既にいろいろ取り上げられました。
 私は、現場の声、先日も、公明党の国会議員が、七月二十七日、現地に行って地元の声を聞いてまいりました。そして、大きく分けて二つ。一つは、基金を早くつくってほしいということでした。これは、我々公明党が先導してつくりました口蹄疫対策特別措置法、その二十三条に、これからの復興、現地は大変な状況にあります。これを復興させる、その復興の「措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。」このようにあるわけですけれども、なかなかその基金の設置が決まらない。これをぜひ早くつくってほしい、地元で使い勝手のいい基金をぜひつくってほしいという声がありましたが、山田大臣、どうですか。
○山田国務大臣
 (前略)
 それはともあれ、口蹄疫に対しては、私ども国としての危機管理はさせていただき、特措法に基づいて基金を設置し、そして、地域の振興のために宮崎県等の要望を聞きながらしっかり対応させていただきたい、そう考えております。
○斉藤(鉄)委員 では大臣、もう一度確認です。基金は設置するんですね。
○山田国務大臣 これから、基金の設置はいたします。中身等、時期等については、各省庁もそれぞれ関係がありますので、内閣と一体となって検討させていただきたい、そう考えております。
○斉藤(鉄)委員 基金の設置を明言されました。
 次に、もう一つの声は、政府の窓口を一本化してほしい、一元化してほしいという声がありました。中央の対策本部、本部長は総理です、それから農水省にも対策本部がある、どこに行っていいのかわからない、こういう声を聞きましたけれども、総理、それは中央の対策本部長として窓口の一本化を指示していただけますか。
○仙谷国務大臣 お答えいたします。
 口蹄疫対策については、内閣官房で口蹄疫対策本部を責任を持って行っておりますので、当然のことながら一本化されている、こういうふうに考えております。

○阿部委員
 (前略)
 最後に、山田農水大臣に伺います。
 この間の口蹄疫対策、いろいろな方から御質疑がございました。そして、基金の立ち上げ、東国原知事は三百億程度の基金の立ち上げをとおっしゃってございますが、まずこの口蹄疫問題、大臣は、連休明けからずっと現地で詰められて、御自身も畜産農家であったこともあり、非常に丹念に拾っていかれたと思います。そこでの教訓と今後の取り組み、特に、基金のことは伺いましたので、もう一つ、例えば被害のひどいところを震災特区のようになさるお考えについて御答弁をお願いいたします。
○山田国務大臣 お答えいたします。
 今回、本当に、口蹄疫対策で、早期に発見して、写真判定でもやり、二十四時間以内に殺処分して七十二時間以内に埋却すればそんなに怖いものではないということがわかってまいりました。
 そして、確かに今回、あれだけの被害、二十九万頭の殺処分をしましたので、疲弊した農家等々についても大変な状況にあります。
 しかし、その中で、農家もですが、それに周りの環境、例えば削蹄師とか人工授精師とか、観光業者も含めていろいろな方々、そういったものに対して、さらにこれから先、きめ細かいいろいろな制度というか、いろいろな手当てを、必要なものをしていく必要があるだろうと。特区までは考えていませんが、基金の中の、これから先、宮崎県の要望も聞き、いろいろな形で官邸、各省庁一緒になって取り組んでいきたい、そう考えているところです。
○阿部委員 原因の究明、感染ルートの究明と、そして今大臣がお答えいただきました生活再建のためのさまざまな手だて、現政権には鋭意邁進していただけることを重ねてお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。

第175回国会 予算委員会 第1号 平成二十二年八月四日(水曜日)   午前八時五十九分開会

○山田俊男君 山田俊男であります
 西田議員とは論調が、トーンが大分違いますが、大事な農業政策について議論をさせていただきます。
 質疑に先立ちまして、口蹄疫で大変な御苦労を被られた宮崎県を中心とする農業者の皆さん、それから地域の皆さんにお見舞いを申し上げると同時に、政府におかれても今後の対策に、再建に遺漏がないよう万全を期していただきたい、お願いする次第であります。

(後略)

○松下新平君 自由民主党の宮崎県選出、松下新平です。
 私は、宮崎県で発生いたしました口蹄疫に関しまして質疑と提案をいたします。
 申し上げたいことはたくさんございますけれども、時間の制約がございまして、菅総理に率直な御意見をお伺いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に端的にお伺いいたします。菅総理、今回の口蹄疫の問題、どのように考えていらっしゃいますでしょうか、お答えください。
○内閣総理大臣(菅直人君) 私も総理就任直後、たしか四日目でしたか、宮崎県に参りまして、実際の畜産農家の皆さんにお会いすると同時に、知事始め関係市町村の長、さらには東京から出かけていた各関係者ともお話をいたしました。
 まず、その時点で考えたことは、とにかく感染の拡大をいかにして押しとどめるか、そのために全力を集中する。そして、それがうまくいって口蹄疫が収まった中では、しっかりと畜産を含め、それの再開ができるような、そういう支援をする。この二つのことをその場でもお約束をいたしました。
 幸いにしてといいましょうか、幸いと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、拡大が止まって終息の段階を迎えて、これからは、まだまだ完全には気を緩めてはいけないと思いますが、畜産を含めた再生といいましょうか、そのことをしっかり取り組む時期に来ていると、このような認識を持っております。
○松下新平君 総理、全く認識が甘いと思います。お配りした資料を御覧ください。(資料提示)四枚目です。これは国家の危機管理の問題です。安全保障です。食の安全保障なんです。宮崎だけの問題ではありません。国の防疫をどのように考えるか。まさに、二十一世紀は人類とウイルスの闘いと言われております。そういった認識では、この国を預かる本当に気概があるのか疑わざるを得ません。
 次のフリップを見てください。口蹄疫をめぐる主な動きです。四月二十日に第一例が都農町で感染疑いを確認されました。その後、自由民主党は現地に入りまして、現地の声を聞き、政府に申入れを四回行いました。それに対して民主党の対応はこちらに書いてあるとおりです。三週間たってようやく赤松農林水産大臣が宮崎入りをしました。その間に九日間も中南米に外遊に出かけていた。我々は、国にとどまって宮崎に入って防疫の指示を取るべきだと再三再四申し入れましたが、こういった有様です。まさに、山火事であれば山が火事で蔓延している中で消防団が駆け付ける、その事態と同じであります。全く対応が甘いわけです。遅いわけです。
 そのことについて政府の責任をどう考えますか。菅総理、お願いします。
○国務大臣(山田正彦君) 私から先にお答えいたします。
 いわゆる口蹄疫は、疫学調査チームの調査報告にありますように、既に三月の中旬には宮崎で発生していることが分かりました。三月三十一日に家保、宮崎県の家畜保健所において口蹄疫発症のウイルスのある検体を入手しております。国に届出が県からあったのは四月の二十日です。四月の二十日以前に既に十農場で発症したことは抗体検査によって明らかです。
 一方、えびの市のように、国の最初の四月二十日の指針どおりにいわゆる二十四時間以内に殺処分して七十二時間以内に埋却しているところは収まっています。そういう意味では、国に初動のミスがあったとかということは、なかったものだと私は考えているところです。
○松下新平君 総理、お願いします。
○内閣総理大臣(菅直人君) 山田農水大臣は副大臣の時代からこの問題の最前線で頑張っていただいていて、赤松農林大臣の後をお願いをいたしたわけであります。
 そういう意味で、私も、就任したのは六月の八日ですが、十二日に現地に入りました。この過去のどの時点でどういったことというのはかなり専門的な分野に入りますので、そういう点で今、山田大臣の方から、そうしたウイルスの検出がどの時期になされて、そして県から国に対する知らせがどの時期にあってということの説明がありました。
 いずれにいたしましても、そうした中で国家的な危機だという認識は私も当時から持っておりまして、私が担当する時期においてもそういう意識の中で、もうその時点ではかなりの拡大が出ておりましたので、まずはとにかく感染拡大を防止するために自衛隊を増派し、あるいは警察関係者も増派し、あるいはいろいろな機関を通して獣医師さんにもより多くの方に参加をしていただく、最大限の行動を取ったつもりでありまして、そういうものが合わさって終息に向かってきている、このように認識をいたしております。
○松下新平君 政府が四月二十日に現状を認識したというのは全く遅過ぎますよ。今日は傍聴席に宮崎県議会から二十名来ておりますけれども、腰が抜けますよ、そんな発言だと。
 そして、これ見てくださいよ。赤松大臣が外遊している間に、これ大事なときなんですよ、このときに牛の千倍と言われる豚に感染したんですよ。そのときが、きちっとやっていればこんなことにならなかったんですよ。何考えているんだ。(発言する者あり)いやいや、私は菅総理と今日は話します。
 口蹄疫対策特措法二十三条、菅総理、御存じですか。
○委員長(平野達男君) 山田農林水産大臣。(発言する者あり)まず、山田農林水産大臣。
○国務大臣(山田正彦君) いかにも赤松大臣が外遊していて対応が遅かったかのような言い方をされておりますが、実際に国の指針どおりにやっているところ、例えばえびのとか、また都城辺りも、もう写真判定で分かりますから、早く殺処分、埋却したところは収まったんです。言わば、川南その他において確かに豚の発生があっているんですが、(発言する者あり)まず、まず、いいですか、これは法定受託義務で県がまずは第一次的に防疫義務に従事する仕事だったわけです。私が国の現地対策本部長として出かけていったときには、まだ道路の消毒すら、道路の一般車両の消毒すらしていなかったんです。そのときに県知事さんに、何で車の消毒もしないんですかと。そうしたら……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。
○委員長(平野達男君) 静粛に、静粛に。
○国務大臣(山田正彦君) そうしたら、交通渋滞を起こすからできないんですと言われたんです。それくらい県の対応は遅れておったと、私は今になってはっきり申し上げます。
 そういう意味では、もう本当に、今回、私ども国も反省すべき点はあると思います。これからこういう口蹄疫の危機管理は県に任せるのではなく国でもって危機管理を直接対応する、そういう形で、家伝法も含めて、新しいマニュアルも含めて、今その指針も発表し、その対応策、それを今取ろうとしているところです。
○委員長(平野達男君) 内閣総理大臣、特措法二十三条に関しての質問が出ていますので。
○内閣総理大臣(菅直人君) この問題に関して、たしか通常国会の段階だと思いますが、いろいろな意味で特措法が必要だということで、二十三条では、今後の地域経済の再建、活性化を図るために基金の設置についても規定されていると承知をいたしております。
○松下新平君 篠原副大臣が現地の対策本部長として指揮を執っていただきました。篠原副大臣ははっきり、国の責任じゃないとこの防疫はできないと言われているんですよ。
 山田大臣、宮崎のせいにするんですか。(発言する者あり)法律の不備だったら我々も同じですけれども、そういった発言はないじゃないですか。宮崎のせいにしないで法律の不備と言ったらどうですか。(発言する者あり)
○委員長(平野達男君) 静粛にしてください。
○国務大臣(山田正彦君) そのとおりで、だからこそ特措法を一日で与野党含めて作っていただいたわけだし、それで強制殺処分もでき、日本で初めて政治決断でワクチン接種やったわけです。
 これから先、口蹄疫とかそういう大きな危機管理に対しては、県に任せるのではなく、国が責任持ってやれるような法体制の整備、家伝法の改正も含めて、今新しいマニュアルも作って、先般、各都道府県の畜産課長さんたち等々集めて示しましたので、法改正も今検討しているところで、次の通常国会に是非出させていただきたいと思っております。
○松下新平君 今の大臣の答弁は宮崎に対する見解を訂正するということでよろしいですか。
○国務大臣(山田正彦君) いいですか。今回、この口蹄疫は我々いろんなことを教訓として受けました。そういう意味で、今第三者委員会をつくりました。この中には弁護士さんも入っていますし、いろんな専門家が入っております。その第三者委員会の下に、国の責任はどうだったか、県の対応はどうだったか、市町村の対応はどうだったか、そういうことも含めて第三者委員会でもってしっかりと検証をしていただきたいと、そう思っているところです。
○松下新平君 冒頭に申し上げましたけれども、国家の危機管理なんですよ。安全保障なんですよ。その認識は全く甘いんです。民主党では危機管理できないと断言できます。
 口蹄疫対策特措法二十三条、これ資料を渡してありますけれども、これがまさに再建の生命線なんです。赤で書いておりますけれども、基金の設置その他の必要な措置をとると明確に書いております。地域再生のキーワードなんです。
 制定されて二か月たちますけれども、この基金はどこにあるんですか。総理、答えてください。総理です、総理。対策本部長の総理、お願いします。
○委員長(平野達男君) 質疑者は静粛にお願いします。
○松下新平君 公正にやってください、公正に。
○内閣総理大臣(菅直人君) 現在、基金の在り方をめぐって関係者が大臣を中心に議論を進めていただいております。
○松下新平君 総理、制定されてから、施行されてちょうど二か月ですよ。この間、何も進んでいないんですか。スピードが大事なんですよ。宮崎の状況、鹿児島、熊本、同じですよ。もう一度答えてください。
○内閣総理大臣(菅直人君) 私もすべてを承知をしているわけではありませんが、少なくともこの件に関して県の方からもいろいろな要望がいただいておりますし、またもちろん、いわゆる畜産農家ばかりでなく関係する町の復興といったことも含め、観光も含め、どういう範囲にどういう形で基金を積むのがいいのか、そういうことを、そういったまさに宮崎県の関係者も含めた議論をしていただいていると、そういうことを承知しておりまして、先ほど申し上げたように、私が総理に就任した段階ではまだ感染拡大のおそれといいましょうか、そういう状況がありましたので、まずは感染拡大を食い止めるというところからスタートをし、その時点でも、これが終息したときにはこういった再建に向けて全力を挙げることを現地でもお約束をいたしましたので、先日、衆議院の答弁でも、そのお約束にたがわないような内容の基金の在り方をきちっと決めてくれと、このことを担当大臣中心に議論をいただいている段階です。
○松下新平君 全く危機管理なっていないですよ。
 宮崎は、先週三十九項目の要望書を出しております。待ち切れないから三百億の基金を設置してやると言っております。財源の裏付けははっきりされておりません。今、急を急ぐんです。スピード感、それでいいんですか。
 私は、ここで一千億の基金を提案します。総理、この場で約束してください。
○国務大臣(山田正彦君) 特措法二十三条に基金の規定があります。それを受けて、総理からも基金設置するようにという指示をいただいております。今、宮崎県側の要望も受けているところですが、それを基に、農水省だけではどうしようもありませんので、経済産業省あるいは総務省等々とも詰めて、基金をどういう形にするのか、そういったことを含めて、今鋭意取り組んでいるところです。
 今、対応が遅いじゃないかというお話ですが、今回、家畜を殺処分した場合の評価についても概算払、仮払いをすぐにやりましたので、農家の、いわゆる畜産農家の手元には今恐らく百億を超える金額は支払がなされているものと。国の方からは二百億から三百億はもう既に県の方に支払っておりますし、概算払、仮払いを急いでくれ、農家は収入がないんだからということで、今回異例の措置として早く、いろんな手当ても迅速に今やっているところで、国としてはしっかりとその対応はこれからもやらさせていただくつもりです。
○委員長(平野達男君) 松下新平君、時間ですのでまとめてください。
○松下新平君 はい、まとめます。最後にまとめます。(発言する者あり)
○委員長(平野達男君) 静粛に、静粛に。
○松下新平君 一千億の基金については、関係の有志の仲間、皆さんと一緒に強く働きかけていきたいと思います。
 以上で終わります。

第175回国会 予算委員会 第2号 平成二十二年八月五日(木曜日)   午前九時開会

○辻泰弘君 そこで、具体的に最近政府として講じられた対策、直面された諸問題についてお伺いしていきたいと思います。若干時間の関係で足早に行かせていただきたいと思いますけれども。
 まず、昨日も議論がございました口蹄疫の問題でございます。
 農水大臣にお伺いしたいと思いますけれども、まず今回の口蹄疫問題に対する国、地方のこれまでの取組について、それぞれの反省すべき点も含めて総括的に御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 辻委員にお答えします。
 今回の口蹄疫は、昨日も少し話しましたが、三月の中旬にはもうウイルスが入ってきておって、農水省が報告を受けた四月二十日以前には十農場でもう発生しておった。そんな中で、非常にあれだけの感染拡大を見たのは、埋却地がなかった、いわゆる畜産形態が密飼いになってしまっておったということも大きな原因じゃなかったかと、そう思っております。
 そんな中で、七万頭からのいわゆるウイルスを発散する患畜、疑似患畜をそのまま放置してしまって、これまで前例にないワクチン接種という政治決断して封じ込め、国としても図った。そのために最終的に二十九万頭という牛豚を皆さんが殺処分せざるを得なかった重い結果になったわけですが、でも当時の勢いからしますと、都城、鹿児島、九州の畜産まで危うくなりそうでしたが、まさに農家の皆さんとか県とか市とか、あるいは機動隊あるいは警察、自衛隊、自衛隊の皆さん方が大変頑張ってくれて、全国から獣医師さんも毎日百人から百二十人集まっていただきまして、そうして本当に封じ込めることができた。皆さんも本当に一致結束してやれたと。本当に大変これで大きな犠牲を払ったけど大きにいろんなことを我々教訓として受けることができたと、そう思っているところです。
○辻泰弘君 私、山田大臣が、五頭でしたか、最後に殺処分するというときに涙をこらえて記者会見をされていたのが本当に印象的で、本当に思いを込めて、熱意を込めて取り組んでおられたなというのを実感しておるわけでございますけれども、御努力に敬意を表する次第でございます。
 そして同時に、地域経済再建のための基金を創設する、また家畜伝染病予防法の改正をすべきだと、こういった御見解も示されているわけですけれども、その具体化について御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 畜産農家の皆さん方には今、仮払い、概算払、進んでおるんですけれども、その周りの商店街の皆さん方が八割も売上げが減少したとか、非常な打撃というか、いろんなトラック業界とかいろんな関連産業が、観光産業も含めて打撃を受けています。
 今朝も、先ほど直嶋経済産業大臣ともお話ししたんですが、そういった人たちに対する経済産業省からも一種のファンドとかクーポン券をお盆前にやりたいというお話でしたが、そういったものを、今日総務省の原口大臣もいらっしゃいますが、官邸の菅総理の指示の下、一つの基金を創設してその運用益でそういったきめ細かい対策ができるように図っていければと思っております。
 もう一つ目のいわゆる家伝法の改正に伴う等々の件ですが、今回特措法を急遽作っていただきました。しかし、特措法でも最終的にはなかなか殺処分が代執行しなければできないとかいろんな問題も呈しましたので、やはりこれから本当に今度は家伝法を抜本的に改正して、そしてこのような口蹄疫、例えば韓国ではA型が一月に発生して三月にO型が発生する。もう中国も、東アジアは全部猛威振るっていますから、またいつどこで発生するか分からない。そのときに迎えて、国が責任を持って危機管理をやる。もう自治体じゃなく国が前面に出てやるという形での対応、指針、そういったものを、今第三者委員会の検証を待って、来年、通常国会にて家伝法の抜本改正に是非与野党一緒になって検討させていただき、国家的危機管理に備えたいと、そう考えているところです。
 どうかよろしくお願いいたします。
○辻泰弘君 今大臣おっしゃいましたように、人と物の交流がますます活発化する中で、いつまた発生があってもおかしくないという状況でございますので、予防対策に万全を期すように改めてお願いをしておきたいと思います。

第175回国会 農林水産委員会 第1号 平成二十二年九月七日(火曜日)   午前十時開会
  本日の会議に付した案件
○農林水産に関する調査
 (戸別所得補償制度に関する件)
 (過剰米・米価下落対策に関する件)
 (口蹄疫問題等に関する件)
 (北海道における畑作振興に関する件)
 (赤潮被害対策に関する件)
    ─────────────
○委員長(小川敏夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
(中略)

○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。
(前略)
 そこで、時間がありませんので早速質問に入りたいと思いますが、大臣は口蹄疫の問題で宮崎にも入っていただき、副大臣時代、常駐していただき、そしてまた大臣になってからもいろいろ対策を取っていただきました。このことについては心から感謝を申し上げる次第であります。
 ただ、私は、宮崎県が八月二十七日、終息宣言をいたしました。しかし、まだまだ今からいろんな課題が残されておるところでありまして、この百三十日という口蹄疫の発生してから終息宣言が出るまでの間、宮崎を始め鹿児島、そして熊本、九州各県の皆さん方、家畜市場を閉鎖しながら、そして広がらないようにということで今まで取り組んできました。さあ、いよいよ終息宣言が出た、今から畜産農家の経営再建なり、あるいは地域の経済の再生に向けて取り組んでいかなきゃならない。そのときにこの基金というのが、私どもは特措法の中でこのことを取り上げさせていただきました。ただ、大変この基金問題については迷走に迷走を私は重ねていたというふうに思います。
 この口蹄疫の措置法がどうなっているかといいますと、二十三条の基金の創設については、口蹄疫の蔓延が地域経済に重大な影響を及ぼしている状況にかんがみ、地域経済の再建及びその活性化を図るため、地域の実情に応じたきめ細かな措置を積極的に実施できるよう、これらの措置に必要な費用に充てるための基金の設置その他の必要な措置を講ずるものとあるわけであります。
 このことについては、もう御承知のとおり、七月二十八日の衆議院の閉会中審査で、私どもの宮腰委員なり、あるいはまた江藤委員、徳田委員、そして公明党の東委員から質問がありました。そのときの答弁では、山田大臣も、そして内閣の古川官房副長官にしても大変あいまいな答弁で、これは審議が中断したことは御承知のとおりであります。その後どうなったかといいますと、八月二日の予算委員会で我が党の石破政調会長が同様の質問に対し、山田大臣から基金を是非設置したいという大変前向きな答弁をいただいておりました。しかしながら、ようやくこの基金の設置を山田大臣の口から言明されたわけでありますが、その後の取組というのが見えてこない。
 そして、私は非常にがっかりしました。それはいつかといいますと、八月三十一日、山田大臣の記者会見におきまして、口蹄疫の基金問題で記者さんから進捗状況を聞かれたときに大臣はこう答弁しているんですよ。今、うちの官房長が官邸とやっているようですが、少しずつ動き出しているようです。少しずつ動き出しているようです。詳しい内容については事務方から聞いていただければと思います。人ごとの発言じゃないですか。あれだけ私どもの衆議院の方で委員会でもこの基金問題を取り上げて、そしてマスコミも大きく取り上げました。政治主導が私は聞いてあきれる。事務方に、官房長に聞いてやってみてくれ、官邸と今やっているんだから、こんな事務的な話じゃないんだと思うんですよ。その後、宮崎県、鹿児島県、いろいろと基金の問題を要請に上がったけれども、確たる答弁を役所からもいただいてない。
 そこで、具体的に聞きたいと思いますけれども、大臣、この基金の進捗状況はどうなんですか。そして、具体的にもう少し申し上げますと、この基金の規模はどのぐらいなんですか。そして、この基金はどこに設置するんですか。国ですか、宮崎県ですか、鹿児島県ですか、それぞれの県に設置するんですか、こういうのがまだ分かってない。そして、この基金は阪神大震災のような運用益でやるのか、あるいは取崩しでやるのか、そういうことをまだ何にも決まってない。そして、いつまでつくるのか。今、現場が一番知りたいのは、いつ基金はできるんだということばっかりなんですよ。ですから、このところをはっきりと今日は大臣の口から是非お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 基金については是非設置したいと、そういうふうに予算委員会で答弁させていただきました。その前に官邸とも私ども相談いたしまして、当時の農水委員会、筒井農水委員長が整理していただいたので、その趣旨に沿って基金を設置しようという形で官邸の方も御了解いただきました。
 その中身についてですが、基金の運用益でするのか取崩し型にするのか、宮崎県につくるのか、あるいは南九州、あるいは九州全体につくるのか、いろんなことが今検討されていると聞いておりますが、宮崎県側からの要望を聞いて検討するというお話をさせていただいてまいりました。宮崎県側からの要望でも、県の単独の公共事業だけで二百億もあるという事情もあります。これは基金にはふさわしくないんじゃないかというような見解もあるようでして、今経済産業省、国交省、私ども農水省、財務省、総務省等々含めてどういう基金にするか、私ども農水省としては、所管省庁としてはできるだけ早くいずれかの方向で決めていただきたいと、そう考えて今交渉しているところです。
 なかなかいろんな問題があってそう簡単にまだ事は進んでいないというのが現状です。
○野村哲郎君 まだそういう状況なんですか、大臣。この内閣は遅いですよ。口蹄疫の初動対応も遅れたということは再三指摘されたんですよ。そして、いよいよ復興に向けて、さあ宮崎県、鹿児島県、熊本県、みんな行政も団体も農家も一緒になってやろうじゃないか、あるいは地域の産業も一緒になってやろうじゃないかというときに、まるで人ごとのようじゃないですか。
 法律ができたのは六月の四日ですよ、施行されたのは。何か月ですか、三か月ですよ。まだこんな状況ですか。あなた方の取組というのはそういう状況なんですよ。現場の皆さん方の切実な思いというのが全く大臣は分かっていない。みんなどういうふうにしてやろうか、今日もいろんな方々が見えていますよ。さあ、今日は山田大臣から基金の在り方について方向性をきちっと出してもらえるんだろうと思って、みんな今日は聞きに来ていますよ。なぜこの段階になって、三か月も経過したのにまだそんな状況なんですか。どのぐらいの規模で、あるいはどこに設置するのかも決まっていない。取崩しなのか運用なのか、しかも、いつまでにつくるんだという明確なアナウンスをしてくださいよ。そうしますと地元もみんな落ち着くんですよ。なぜそこができないんですか、大臣。なぜネックになっているんですか。
○国務大臣(山田正彦君) これは農水省で決めることではありませんで、官邸が中に入って、総務省、財務省、経済産業省、国交省も含めてその中で考えなければ、その中で決めていかなければならない問題ですから、農水省、私がお答えする立場でこの問題については今ないわけですが、農水省としては、いよいよ昨日から家畜の導入が始まったようですが、家畜導入等々についての再生支援基金とかそういったもの、そしていろんな手当て、いわゆる畜産の再生に向けてあらゆる形でのいろんな手当ては、かなりきめ細かくそれに係る費用は手当てさせていただいていっているつもりです。
○野村哲郎君 私どもは役所の皆さんも呼んでいろいろ聞きましたよ。そうすると、この事務局は今農水省にあるんでしょう、基金の窓口は。内閣じゃないですよ。今日来てないですか、担当課長が。
 内閣も呼んで私どもは話をしましたよ。みんなお互いに、この基金は内閣官房の問題だ、内閣官房は、いや、それは農水省だとボール投げをしているだけですよ。だから時間掛かっているんですよ、皆さん。こんなことがありますか。担当大臣ですよ、山田さん、あなたは。何でそのことを自分、自らのこととして考えて内閣をつつかないんですか。だから、いや、それは内閣が考えることだ、内閣に言わせりゃ、いや、農水省が窓口だ。当然そうですよ。国交省に影響があったり環境省に影響があったりいろんなところの省庁間をまたがるから、私も農水省の管轄じゃないと思いますよ。だけれども、農水省が受けた以上は担当大臣たるあなたが指示を出せば進むんじゃないですか。おかしいですよ。
 だから、いつまでもこういうことをやっていると、民主党政権というのは何にもやらない政権なんだ、基金はつくると言ったけれども、その絵姿も全然出てこない。そうでしょう。今さっき聞いた具体的な話、じゃ、どこにつくるんですか。各県から、宮崎県から出てきた、公共事業が二百億だという今話がありました。国が何にも示さないから皆さんそれぞれ各県が、私の鹿児島もそうですよ、思い思いのところでやってくるんですよ。今回の復興基金についてはこういうような形でやってくれという話をしないからこういうことになっているんじゃないですか。思い思いで出てきますよ。それをどう集約していくんですか。やはり政治主導ならば政治主導らしく、こういう基金にして、いつまでにこういうものを出せ、そして各県を集めて議論をしていく。そして、メニューならメニュー方式でもいいですよ、そういうことすら何にも検討されていない。
 もうこれ以上私はできませんよ、質問が。ずっと今までと同じ答弁ですよ。
○国務大臣(山田正彦君) 基金の在り方については、農水大臣としては私なりの考えがあります。私なりの考えについては官邸に伝えてあります。
 各省庁間においていろいろ詰めていきますと、経済産業省においても既にやっているもの、エコポイントに近いいろんなファンド、基金とか、そういったものもありますし、農水省もかなりやっております。そういったきめ細かい対策に、じゃ、それに何を上乗せできるのかという細かい詰めはかなりやっているところでして、まだまだそれが最終段階に至っていないと、そう考えていただければ結構かと思います。
○野村哲郎君 こういう形で大臣と意見交換するのは本当に残念なことです。
 私どもは、もう少し役所がスピード感を持ってやってもらわなければ、現場の皆さん方がどれほど困窮しているか、あの現場を見たのは山田大臣とそれから篠原副大臣だと思いますよ。早く復興させなきゃいけない、そういう思いがひしひしと伝わっているはずなんですよ。私の考えは官邸に伝えてありますとおっしゃるけれども、だったらその熱意をもう少し、一歩でも二歩でも踏み出してくださいよ。全然伝わってきません。官房長にただ任してありますとか、官房長が、今少しずつ進んでいますとか、こんなことを地元の人が聞いたら、これはもうとてもじゃない、山田大臣は大臣の資格があるのかというのを問いたいですよ。
 場合によっては私どもは次の臨時国会で不信任案を出しますよ。そのぐらいの覚悟はしておってください。こんな遅々と進まない基金創設というのはありません。時間がありませんし、また明日、衆議院の方で同じような質問があると思いますから、明日までにある程度方向をきちっと出してください。そのことをお願い申し上げます。
 時間がありませんので、次に進みます。
 私は、今回の対策で、皆さんがいろいろなことを考えて打っていただきました。そして、その中でどうしても、これまで役所の皆さん方と意見交換はするけれども、再三再四にわたって私どもが申し上げているんですけれども、全く動きがない。六月の十六日にこういう対策を打ちます、六月の十六日というのはもう四か月前ですよ。そのときに何をしたかというと、私どもが申し上げたのは、農家が競り市に出せない、この競り市に出せない間のえさの、これは負担は国がやりましょう、こういうことで、もちろんこれは特措法にも書いてあるわけですから、当たり前のことだといえば当たり前のことなんです。ただ、そこが非常にこそくなことをされている。
 何かというと、二つありますよ。一つは、一日のえさ代を四百円ということを皆さん方が提示されました。そして、もう一つ納得がいかないのが、いつまでに出荷ができなかった、何日間出荷ができなかった、単価が出ますと、その日数を掛ければいいわけです。ただしかし、この日数計算においてもう誠にこれは、現場のことが分かっているのかよと言いたいようなことがあるんです。それは、日数算出において、二十一年度の平均出荷日数プラス三十日とされているんですよ。なぜこのような日数計算になるのかどうか。
 その今二つ、四百円とこの日数計算の根拠を示してください。
○国務大臣(山田正彦君) まず最初の三十日の部分についてですが、私どもの田舎では競り市は二月に一回ですが、多いところで一月に一回、一月に一回か二月に一回競りがなされていると思っています、子牛の競り。そうしたときに、三十日ぐらいというのは、大体、今度の競りで出荷するか出荷しないかというその範囲内であって、その出荷のそれを超えたときに、三十日を超えたときに価格は上がってくるんじゃないか。そうであれば、三十日を過ぎた分についてえさ代、三十日分までは自ら負担してもらうのが、当然と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そこはそうしていただければ有り難いと、そう思っております。
 また、四百円でしたっけ、一日。これについて少ないじゃないかと言われ方があるかと思いますが、これについては、確かに家族労働費は入れておりません。しかしながら、実際に掛かる費用を何とか補てんする、特措法の趣旨からして、私としてはそこまでさせていただければと思っているところなんです。同時に、えさ会社にはその支払を猶予してもらうようにすぐに連絡しておりましたし、そういう意味でも、ある程度そういう形でできるんじゃないか。
 先生、鹿児島ですが、沖縄、私の住んでいる五島列島においても三か月間出荷できませんでした。しかし、その出荷遅延したそのえさ代等について一円も出ません、これは。大分も隣県ですが出ません。鹿児島はただその一部が掛かっただけに、この制限区域に、それですべての農家にそれだけのことが出ているわけですが、今回九州全域で出荷をやめております。九州全域で被害が出ております。しかし、中でもいわゆる鹿児島とか宮崎とか熊本においてその補てんをしようとしてやっているわけですから、何もかにも、これもあれもというわけにはいかないということは御承知いただければと思います。
○野村哲郎君 大臣、私は、何もかにもという話ではないんですよ。先ほど来質問いたしておりますように、この平均の出荷日数プラス三十日というのはどういう根拠でと質問しましたら、いや、一か月、毎月開かれるところもあれば二か月に一遍開くところがある、その三県の多分平均を取られた。役所の説明もそうでしたよ。まさしく役所が説明するとおりのことを今大臣は説明されたんですよ、答弁されたんですよ。大臣は畜産については相当造詣は深いということを言っておられます。本当にこれでいいとお思いなんですか。
 じゃ、一つ言いましょう。牛ほど競り市に出す日数がきちっと決まっているものはありませんよ。証拠を見せますよ。
 私は全市場回りました。これは伊佐の、伊佐という私どもの地域の競り名簿です。五月十四日なんです。五月十四日に名簿はでき上がっていて、出場させる牛は全部決まっている。いつ開いたか、八月の八日に開いたんです。その名簿をそのまま使っているんですよ。いつ出すか分からないというのはうそなんですよ。こんなばかなことがありますか。
 あともう一つ見せますよ。これは曽於という大産地の名簿です。四月と五月のが、これは四月にもうでき上がっているんですよ。このまんまの名簿を今回の競り市で出しているんです。どうですか、全部牛は分かるんですよ。だから、いつ競り市に出すのか分からないから平均的に取ったって、何でこんな実態にそぐわないようなのを、役人の皆さん方が言うのをうのみにされたんですか。
○国務大臣(山田正彦君) 競り名簿に記載されて予定されておったという事実は承知しているつもりです。その競り名簿に、そこに出すか出さないかというのは農家の判断です、それはね。そのときに、そのときに、いいですか、私も競り市場はよく行っておりますから分かります。六か月齢で出す人もおれば七か月齢で出す人もいる、八か月齢で出す人もいる。それは必ず七か月齢で出すとは限っていないわけです。それはその人、例えば私という農家は、大概この人は少し大きめで出すとか、あるいは小さくても出すとかという、その農家、各農家が決めていくわけで、その予定が確かに競り市場の名簿になっているわけで、その間のずれというのは一月ぐらいあって、一月ぐらい過ぎると、余計大きいものになってくると、肥育する側が子牛を買いに行ってもその分だけ価格が下がるということはあり得るから三十日という数字を取ったと、そう考えていただければと思います。
○野村哲郎君 いや、山田大臣は牛のことは十分お詳しいと私どもは聞いておりました。
 先ほど言うように、農家が自主的にいつ出すかというのは決めるわけじゃないですよ。これは、競り名簿は五月十四日にできているんですよ、十四日の分ですよ。これが今度の八月八日にも使われたんですよ。
○国務大臣(山田正彦君) いや、だから……
○野村哲郎君 ちょっと待ってください、これは購買者にも全部送るわけですよ。出てこないとか出てくるとかというのは農家の判断だとおっしゃった。そんなことはありませんよ。みんなこの名簿どおりに出てくるんですよ。それは確かに自家保留したのが出てこないのが何頭かおりました。だけど、ほとんど、九九%は出てくるんですよ。
 ですから、私が何を言いたいかといったら、こういう実態があるにもかかわらず、何で一か月間引くんですか。一か月間、四百円にしたときに一頭当たり一万二千円じゃないですか。農家にとって、今回安くなった、私の地元でも一万五千円から二万円前年に比べれば安くなっているんですよ。しかし、国からえさ代の補てんがあるからまあ我慢してもう少し続けるか、こういう気持ちに今農家の皆さんなっているにもかかわらず、何でこんなこそくなことをするんですか。
 一頭一頭分かるわけですから、一頭一頭分かるんですよ、豚と違うんですよ。牛は全部三か月になれば鼻紋を取る、そしてこれは何月何日の競り市に出してください、そしてこの名簿ができ上がってくるんですよ。何でこういうことを平均的に、しかも日本全国を対象にしたわけじゃありませんよ、先ほどおっしゃったように、鹿児島と宮崎と熊本、三県の市場の分でしょう。何でこういうことが、細かなことができないんですか。法律違反ですよ、これは。
○国務大臣(山田正彦君) いいですか、子牛の競り市場の名簿に載っているのは事実です、それは。この競り市場に載せた名簿に対しては農家ももちろん出しますよね。そのために買いに来るわけですから、家畜市場さんが。
 ところが、その名簿に載せるかどうかの判断は、何か月齢で載せるか、何か月齢でその競りに出すかというのは農家の判断じゃありませんかと。その月齢期の三十日ぐらいの期間というのは、えさをやった分だけ、増体した分だけ競り市場で値段は上がっていくのが通常なんです。そうであれば、当然、今回は三十日を引いても何もおかしくないと考えていますが。
○野村哲郎君 私は、ずっと金額も、大臣、体重と金額をずっと競りのたびに書きましたよ。今大臣は、大きくなればなるほど価格は上がるとおっしゃった。逆ですよ。
 肥育農家の購買者の皆さん方は、大体二百七十日齢で三百キロですよ、二百七十日で三百。それが四百キロも四百五十キロも、これはもう子牛じゃないんです、成牛になってきているんですよ。そうすると、肥育農家は、もう成年になった、成人になったその牛を買って今からどういった肉質ができるかというのは大変心配されているんですよ。
 ですから、価格が上がらない。四百キロのものが三十何万でしか売れないんですよ。ですから、前回よりも下がっているし、あるいは前年度よりも下がっている。しかも、体重は大きい。五十キロから百キロ、ふだんのものからすると大きいわけですよ。にもかかわらず安いんです、安いんですよ。
 今、大臣は全然状況を御存じない。体重が乗ればそれだけ価格が上がるんだと、そんな認識だったら、私はもう本当に大臣として情けなく思いますよ。しかも、大臣はいつもおっしゃっているじゃないですか、畜産は、おれは昔畜産経営やっていたんだと。全然分かっておられないですよ、現状を。
 どうですか。もう私も本当にあきれ返って、さっきの基金の問題もですけれども、これもそうなんですよ。全く大臣として疑いたくなるような答弁を先ほどからされておりますけれども、これ以上本当に質問は、委員長、できませんよ。
○委員長(小川敏夫君) 山田大臣、答弁ありますか。
○国務大臣(山田正彦君) 先ほどからと同じことで、同じ答弁にしかなりませんが、いわゆる三十日ぐらいの前後というのは、私は結構、増体の分だけはほぼ、三十日超えて大きくなり過ぎると今言ったように価格は下がっていきますよ、それはね。だから、その分見ていきましょうという形で一日四百円考えているわけですから、だからそれなりに十分措置はしていると思っていますがね。
○野村哲郎君 いや、私が言いたかったのは、何で平均の日数とプラス三十日で、こういう算式で、農家にせっかくもう一遍再興してくださいよという意味で、もう一遍再建してくださいよという意味で国から手厚い私は支援があるとみんな農家の皆さんは思っているわけですよ。それがこういったような算式で日数計算までされて、喜ぶどころか、私どもは説明できないんですよ。ずっと私は参議院選挙のときも、これを、民主党はこういうことをやっているんですよということを言いたかったけれども、農家の皆さんに不安を与えちゃいかぬと思って言わなかった。だけれども、いまだに私どもは説明できないです。
 大臣、今度農家の皆さんに直接説明してくださいよ。そうするとあなたも絶対にこの現場の気持ちが分かりますから。実態に即してやれということですよ。何で役人の言うことばっかりうのみにしてそれを答弁されているんですか。それ以上の答弁は出てこないじゃないですか、あなたの答弁の中には。だから私は言うんですよ。もう少し政治主導だったら政治主導らしく、こういう問題があるぞということを現地の農家の皆さんあるいは団体の皆さんや、いろんなところから聞いてくださいよ。絶対にこのことは私どもは許容できませんから。
 もう次に行きます。時間ありません。
 それと、養豚問題です。これも皆さん方が新しく養豚経営安定対策事業をおつくりになりました。もう時間がありませんのでくどくど申し上げません。二つ問題があります。
 一つは何かといいますと、来年から新制度になって、農家の皆さん方が非常に不安がっている。それは、皆さん方の政権になってからいろんなことが直接払い、直接払いとおっしゃるものですから、そうすると今年は、今までどおりでJAなり出荷団体なり、それが県を通してALICに来ていました。これは中抜きをして農家が直接申請するようになっていますよね。今年は旧来のやり方と直接申請と二つあって、どちらでもいいですよと、こういうような状況になっている。来年からはこれはもう直接申請だと、こういうふうになっていまして、このことに農家が不安を覚えているんですよ。
 それで、もう時間がありませんので余り聞きませんが、要は、直接申請をした農家というのが養豚農家どのぐらいあるのか。私も自分のところを調べました、農家の皆さんが心配しているものですから。わずか六百戸の中でうちではたった七戸。山田大臣のところは三百十数戸の養豚農家の中でゼロですよ、ゼロ。いいですか、ゼロですよ。ですから、こういうことを本当にばさっと来年から直接申請だよということでやられるのか、そのことを一分でお答え願います。
○国務大臣(山田正彦君) 農畜産機構のいわゆる仕分の中でも、いわゆる中間を抜いて直接支払をするようにという指摘は前からなされておりまして、今回特に畜産においてはALICから、養豚生産者に対してALICから直接支払をしていくという形を取らさせていただく。今回は、今までの農業団体、いろんな組合団体を通じてでもできる、直接でもできるという、そういう方式にさせていただきました。
 確かに、事業になかなか参加しにくい小さな規模の生産者とかあるいは高齢者の皆さん方、そういった方々も何とか直接支払に、いわゆるALICからの直接補てんに参加できるような方法を何とか来年度に向けて検討していきたいと、そう考えております。
○野村哲郎君 何らかの検討をするということを今おっしゃいました。そういう私は答弁をいただきたかったんです。来年からもう全部すべての養豚農家は直接申請だよといいますと、申請書類だ、あるいは契約書だ、出荷証明書だ何だって、もう大変複雑になります、煩雑になります。それは企業経営をされている養豚はいいですよ。だけれども、家族経営の養豚農家はこういう直接的な申請というのはなかなか慣れていないから難しい。しかも、これは国の金ですから、最後はこれは会計検査の対象になっていくわけですから、そのことに対して不安を覚えている。
 ですから、大臣、少なくとも農家の皆さん方が、大変すばらしい制度をつくっていただいた、このことは評価するんです。だけれども、こういったような直接申請、直接交付をする、その仕組みもいいですよ。だけど、来年から一方的にぱっと直接申請に切り替えろ、これじゃ農家が大変迷ってくる。ですから、できるだけこれは、徐々に徐々にそういう方向に向けるならいいですよ。来年もまだこの二者択一でどっちでも選びなさいよというぐらいの緩やかなやり方をしていかないと。
 ただ、もし緩やかなやり方をやらないということで来年からやるよということになれば、これは私どもは甘味資源で、甘味資源でやっているんですよ。農家はできません。今度の米の交付金もそうですよ。百三十万農家って非常に手柄話をされていますけれども、これが農政事務所に直接来たらどうしますか。パニックですよ。養豚農家は少ないから、全国で六千戸だからまだいいですよ。だけど、百三十万農家が全部農政事務所に申請してきたときに、その対応は本当にできるんですか。それはもう米のことは私は言いません。
 だから、そのぐらい難しい様式、難しいというかいろんな手間が掛かる。そして会計検査の対象にもなる。農家は申請しませんよ、家族経営の。と、どうなるかといいますと、皆さんが一番今まで言われていた、そういう小規模の養豚農家あるいは高齢の養豚農家は申請しなくなるということですよ。こういう農家をセーフティーネットから外してしまう、そういうことに結果的になるんです。ですから、あなた方が今までずっと言ってこられたようなことが家族経営の養豚農家をつぶすのではないかということなんですよ。そのことを申し上げた。
 もう一つ、もう一つこの問題にあります。
 それは何かというと、税法の問題ですよ。今まで、私ども、公明党さんとのこの十年間の連立の中でやってきたこの養豚の仕組みは三年一期だったんです。農家の積立金も、あるいは団体からの農家の負担を軽減するための助成も三年一期でした。すべてこれは所得税法上の必要経費なり法人税の損金として認められてきたんですよ。しかし、今回は一年でしょう。
 これは税法上はクリアしているんですか。そのことだけイエスかノーかで。
○国務大臣(山田正彦君) 今回はその税法上の特別な措置は認められていないと思っておりますが、来年度の税制改正要望においてこれはやらさせていただきたいと思っております。
○野村哲郎君 制度を導入するときには、税対策まで考えて何でやっていないんですか。だったら今年は、来年の申告のときには税金を納めなきゃいかぬですよ。何でこういうことを、最初導入されたときに私どももあっと驚きましたよ。ああ、私は六年間、この養豚のセーフティーネットをつくってほしいということをずっと言い続けました。できませんでした、私どもの時代には。これはやっぱり民主党政権さすがだと思いましたよ。だけど、何でここまで詰めたものを出さなかったんですか。皆さん、農家の、これに直接申請した人たちは、あるいは直接申請でなくても、みんな税金が掛かるんですよ。今までは掛かっていなかった。
 そして、もう一つ大きな問題は、農家の負担を軽減するために団体やいろんなところが助成しているんですよ。掛金が大きいと農家が入りにくい。だからいろんな人たちが助成している。これも損金算入で認められた。何で税金まで払って負担をしなきゃならないかと、こういうことになってくるんですよ。何でここまで詰め切ったもので実施されなかったのか。
 じゃ、ないということですね。私は帰って言いますよ、来年はどっと税金が来るぞということを。
○国務大臣(山田正彦君) 現行型の活用方式、県団体が積立金を管理するか、今年限りの仕組みであり、三年以上実施するという損金算入の指定の条件を満たさないということになっております。
 確かに、いろんな意味で税制については、私も、今回は仕分の方も先行しておりましたので直接支払制度を先に実施させていただきましたが、来年度、その税制に関しても十分な要求を税制要求においてさせていただきたいと考えているところです。
○野村哲郎君 来年の一月の確定申告のときには、養豚農家の皆さん方にはそのことはきちっと私どもは申し上げておきます。
 税金の対策もなしにこの制度を導入した。何でそこまで詰め切ったものでないものを、私どもは二月か三月ですか、この仕組みを聞いてびっくりしました。おお、いいことをやっていただいたと思ったんですけれども、そこまできちっと整理されたものだろうと思うんですよ。政策決定のプロセスがおかしいんですよ、あなた方は、言っておきますけど。だから、大臣も、篠原副大臣はいらっしゃらなかった、政務官はいらっしゃるんですよ。何でこのことまで議論をして、税対策はきちっとやっているんだねというところまでやってこのゴーサインを出さなかったのかですよ。もう走っているわけですから、もう手遅れですよ。来年以降はって、今年の税調で、税制改正で何とかやるからと。今年の分は課税される、そのことだけははっきり申し上げておきます。
(後略)

○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。閉会中審査ですので、今日は重要な課題について的を絞って質問をさせていただきたいと思います。
 まず、口蹄疫対策に関して質問をさせていただきます。
 四月二十日の最初の口蹄疫発生確認から七月四日の発生例を最後に新たな発生は確認されておらず、昨日より清浄化確認のためのサーベイランスが開始されたところまで来たわけでありますけれども、これまで御苦労されました宮崎県、鹿児島県、熊本県などの関係者の皆様に御慰労を申し上げるとともに、全国から御支援を賜りました皆様方に対しまして、心から敬意を表したいと思います。
 さて、質問に入らさせていただきますけれども、最初に再発防止対策について質問をいたします。
 今回の宮崎県での口蹄疫発生の感染経路の究明の現状と今後の調査研究などによる究明の方針について、並びにアジアでの口蹄疫発生の現状と国際協力による疫学調査、また口蹄疫根絶に向けての協力体制の構築などについて山田農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 口蹄疫対策は一応終息できたと思っておりますが、で、新しい牛も導入できました。しかし、今後どういうふうになっていくかといいますと、韓国では一月に発生したA型が、四月にO型が発生するという、中国でも、またアジアでは台湾でもそうですが、依然として猛威を振るっておりますので、いつ入ってくるとも限らない。それに対する緊急対策、私が今回いろんなことで学習した結果、いわゆる二十時間以内に殺処分できれば必ず蔓延を防ぐことができると、そう確信するに至りました。
 そういう意味で、韓国とも話してまいりましたが、中国とも今回、日中韓でひとつ共同研究しようじゃないかと。今、第三者委員会で、検証委員会、これを精力的にやっていただいておりまして、今月の半ばぐらいまでに中間報告が出るかもしれません。そういったことを基にしてしっかりとこれからの対策をやっていきたいと、家伝法の改正も含めてそう考えているところです。
○渡辺孝男君 私は、感染経路の究明の方がどこまで進んでいるかという質問もさせていただきましたが、黄砂運搬説等も学者の中では出てきているということでありますので、この感染経路の究明は現状はどの程度まで進んでおられるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 失礼いたしました。
 感染経路については、疫学調査チームというのに今やっていただいております。この中には民間の獣医さんも入ってもらったりしながら、かなり厳しくやっていただいたつもりです。
 いろんなことが分かってまいりました、感染ルートは。当時のその農場の日誌とか、どこにどういうえさを運ぶトラックとかそういったものが入ったとか、そういったあらゆるもの、あるいは聞き取り調査等を基にしてやっているものですから。ホームページで公表されているものもありますが、その中で、かなり正確な疫学調査の中で、今回の感染が何に基づいたものであるか、どこから入ってきたものであるか、これについても何とか究明できないかとやっているところですが、現時点では不明です。
○渡辺孝男君 なかなか前回の発生のときにも感染経路等は解明されなかったということでありますけれども、再発防止に関しましてはこの感染経路の解明ということがやはり大変重要だろうと。そうでなければ、またいつ口蹄疫が発生するか、宮崎県だけでなくて、ほかの畜産の盛んな県でも発生する可能性が出てくるわけでありまして、皆不安を持って経営をしているわけでありまして、これはしっかり日中韓共同等の研究も進められて解明に努力をしていただきたいと思います。
 先ほど大臣の方からも家畜伝染病予防法の改正のお話も出てまいりました。今回、予想外の大きな被害を被ったわけでありまして、この家畜伝染病予防法も今回の対策等の経験を踏まえて改正が必要であろうと、そのように考えておりますけれども、政府の改正に向けての方針について大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) まず一つは、感染経路を今回明らかにするに当たって、単なる今までのところ立入調査は一応できるようにはなっているんですが、任意の聴取しかできていなかったとか、いろいろあります。しかし、実際にやるとしたら、司法警察員のいわゆる資格を持った調査員、そういった形でかなり強制捜査も必要であると今回現地にいてつくづく感じました。そういう意味で、家伝法においては、いわゆる立入検査等に伴う強制捜査権も付与した防疫員というものの必要性が一つあります。
 二つ目は、今回、非常に殺処分するための埋却地、これについて随分、かつてこの家伝法ができた時代はすぐそばに埋められたんでしょうが、今は密飼いをやっております。そういう、いわゆる私に言わせれば出口のないといいますか、そういう飼い方はいかがなものかと。そういったもので、そういった場合の殺処分、埋却の在り方も含めて、いわゆる家畜の飼い方も含めて、ひとつもう一回今度の検証の結果を待って検討させていただければなと。
 それと、やはりこれは、これまでの家伝法では県が、法定受託業務ですから県の方でいわゆる口蹄疫対策をやることになっております。実際、口蹄疫ぐらいの家畜伝染予防法になりますと、国が直接自ら国の危機管理として責任持ってやる、こういう体制をきちんと整えなきゃいけない、そのためにも法的整備が必要であると、そう考えております。
 幾つかはございますが、検証の結果を待ってそういうところをしっかりと対応を検討していきたいと考えているところです。
○渡辺孝男君 今回の宮崎県を中心として、様々な大変な御苦労をしながら防疫体制、あるいは今後の経営再建のためにどのようなことをしていったらいいのか、そういう大変な経験をされたわけでありますけれども、またこれからも対策を進めていくわけでありますけれども、今後ほかの県でもそのような感染がいつ起こるかは分からないということがありますので、今回のこういう経験を生かして、宮崎県からの要望では家畜防疫研修施設を国が関与しながら整備したらどうかというような御提言もあるわけでありますけれども、この点に関しまして農林水産省としてどのようなお考えを持っておるか、お伺いしたいと思います。
○副大臣(篠原孝君) 家畜防疫技術を常日ごろから向上しておかなきゃならないということは、渡辺委員の御指摘のとおりでございます。
 農林水産省は、毎年、動物衛生研究所におきまして、農林水産省が主催いたしまして、家畜防疫員、各県のです、都道府県の家畜防疫員を対象にいたしまして、病性の鑑定、それから牛、豚、家畜ごとの病気についての家畜衛生講習会を開催しております。こういったことをちゃんとしていく必要があるんじゃないかと思います。
 宮崎県でも、宮崎県だけでは対応できなくて、各都道府県から家畜防疫員、現場の実態を承知している家畜防疫員の方に来ていただきました。知識、経験についても異なるということで、常日ごろから準備しておかなくちゃならないと思っております。
 ただ、だからといって、宮崎県の先ほどから話題になっております基金等の要望の、この分厚い要望書の中の一つに宮崎県にも研修施設というのがありましたけれども、これはやっぱり狭い日本ですからあちこちに研修施設は必要ないんじゃないかと思います。東京に来ていただいて、同じ技術でもって同じように研修していただいて技術水準を一定に保つということで、東京の施設を充実して活用していくことで十分ではないかと思っております。
○渡辺孝男君 ちょっと大臣がお席を外しましたので、また戻ってきてから質問をする項目もございますので、少し質問を飛ばさせていただいてと思っております。
 口蹄疫に対し、口蹄疫の、経営再建、地域復興のためにはやはり基金というのが大変重要でございまして、先ほどからもいろいろ議論が大臣とあったわけでございますけれども、宮崎県としては三百億円規模の三年間取崩し型の基金創設を要望をしておるわけでございます。また、鹿児島県の方も地域の活性化のために基金創設を求めているわけでありますけれども、先ほどの大臣の答弁をお聞きしますと、検討はしているけれどもまだすぐにという段階に来ておらないようでありますけれども、この点について、大臣、あっ、済みません。
○国務大臣(山田正彦君) どうも済みません。
 基金について。
○渡辺孝男君 基金の方で。
 先ほども質問ございましたけれども、質問通告もしておりますので、宮崎県、鹿児島県等、基金創設について計画を立てておるわけでありますけれども、やはり政府の基金に対する支援、これは口蹄疫対策特別措置法で、第二十三条で設置のことを決めておるわけでありますけれども、大臣に是非とも早急にこの基金設置に向けて、また基金の在り方について方針を示していただきたい。今努力中ということでありますけれども、重ねてその点を要求したいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(山田正彦君) 先ほどもそういうお話出ましたように、農水省だけでというわけにいかない話ですので、財務省、経済産業省、総務省ともよく連絡を取りながら、できるだけ早く取りまとめることができるように検討を是非やらせていただきたいと思います。
○渡辺孝男君 そのほかにも、基金での支援ということの以外にも様々な口蹄疫で被害を被った県では対策を講じておるわけでありまして、基金の支援に適さないような対策についてはやはり特別交付税措置が必要であろうと。それからまた、手当金等が農家さんに渡るわけでありますけれども、これも是非とも非課税措置を農林水産大臣から関係大臣に要求をしていただきたい、実現を図っていただきたいと思います。この点について一言お話しいただければと思います。
○大臣政務官(舟山康江君) 御指摘のとおり、様々な対策を打たせていただいておりますけれども、今農林水産省といたしましては、防疫措置に要した残りの県負担分、それから復興対策に要する費用について、総務省に対して特別交付税の措置を要請しております。
 また、その非課税の扱い等ですね、そちらについても、課税の取扱いにつきましても特例措置を創設するよう要望しているところでありますので、是非実現できるように精力的に交渉していきたいと思っております。
(後略)

○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。時間十五分ですので、早速質問に入りたいと思います。
(中略)
 それじゃもう一つなんですけれども、口蹄疫の問題です。
 終息宣言を受けていよいよ産地の復興が最大の課題ということでありまして、私も実は八月の十六、十七と現地に行ってまいりました。終息に向かったということで、ずっと農家を回ったんですけど、もうとにかく畜舎という畜舎は全く一頭もいないと、閑散とした状況の中で農家の皆さんが肥料の、堆肥の切り返しを一生懸命やって、とにかくもうこれで絶対に菌は発生しないということでの安心をつくらなきゃということで、本当に頑張っておられたわけですね。
 それで、私が行った農家の一つは、要するに、発生はしなかったんだけれどもワクチンを打って、やっぱり止めるために六百七十頭の牛を全部亡くしてしまったという農家で、そこの方がおっしゃっておられましたけれども、息子たち夫婦は頑張ると言っていると、だから何とかやっぱりつなげていきたいという思いを話をされていまして、やっぱりそういう復興しようということでの思いにこたえていかなきゃいけないということを痛感をしました。
 ところが、先ほどもちょっと議論があったんですけれども、依然として明らかになっていないのがこの特措法二十三条の基金の問題なわけです。それで、宮崎県としても三百億円の基金の設置ということで要請をしてきていて、先ほどのやり取りの中でも、要は、県とも話をして、県でどういうふうなものにするかということを待っているかのような話もあったわけですけれども、やっぱり時間が掛かってきていると。これはもう本当に現地にしてみたら、いつになったら早く煮詰まるのかという思いで来たわけで、これに対して大臣としてどういうふうに受け止めてどうしようとしているのかということで、明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(山田正彦君) 農水省としては、できるだけ早くという形で、いわゆる官邸にも、財務省、総務省にもお願いしているところですが、具体的に農水省の事務方でも官邸の事務方でも財務省の事務方でも詰めてもらっております、現段階で。あとは、最終的には官邸でどう調整していただけるかなと私は思っているところなんです。私なりの考え方も話ししておりますし、農水省でできる部分についても、こういうものは農水省でできますと、そういう話もしておりますし、あと、できるだけ早く決まっていただければ私も有り難いかなと思っているところなんですが、急がせるようにしたいと思います。
○紙智子君 八月の二十七日に枝野幹事長が宮崎県に行った際に、三百億円の規模の基金について、既存の制度、枠組みの下ではなかなか難しいということを述べられたという報道があったんです。これはどういうことなのかというふうに思うわけですね。既存の制度、枠組みの中では、基金の問題が特措法でも決まっているにもかかわらずこういう話をされたというのは、やっぱりそこに何かがあるというふうに思うわけですけれども、この点については把握されているんでしょうか。
○国務大臣(山田正彦君) 枝野幹事長がどのようにおっしゃったか私も定かじゃないんですけれども、ただ、基金について私どもも各省とも検討した中で、宮崎県が三百億の要求の中の二百億円は県の単独の公共事業なんです。これは、いわゆる復興資金とはなじまないだろうと、いわゆる基金としてはなじまないだろうと。そういう形でもっと、いわゆる観光とか中小零細企業に対するいろんな対策を経済産業省でも考えておりますし、我々農水省としても家畜の導入等々についてのいろんなことを今も手当てさせていただいておりますが、いろんなことを考えておりますので、そういったものを含めた、そういった本当に何が必要なのかという形で結構詰めの段階に入ってきているんじゃないかと考えているところです。
○紙智子君 補助金の、その補助金適正化法というものに何かちょっとかかわるという話もちょっと耳にもしたんですけれども、それがあるのであれば、そういうことの法改正も含めて考えるべきだというふうに思うんです。
 それで、基金の設置の問題は、特措法で全会一致でこれ確認しただけでなくて、大臣自身も八月四日の予算委員会、質問の中で、総理からも基金を設置するようにという指示をいただいたんだと、で、どういう形にするのかということを含めて鋭意取り組んでいるという答弁をされていて、それからもう一か月過ぎて、特措法ができてからは三か月たっているわけで、やっぱりもう待てないということになっているわけです。余りにもやっぱり遅いと言わざるを得ないわけで、今せっかく復興に向けて意欲を持ってやっていこうとしているときに、その出ばなをくじくということになりかねないというふうに思うわけです。
 ですから、是非、まあ大臣としての考え方も示しているということなんですけれども、必要となるならばその特措法の改正も含めて、そういう、さっき言ったような適正化法に引っ掛かるということであればそれを変えるということも含めて政治主導でやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山田正彦君) 確かに、補助金の適正化法というのは、これ、財務省所管の法案なんで私からは何とも言えませんが、いわゆる取崩し型の基金については結構厳しいんじゃないかと思っていますが、阪神大震災のときのように運用益利用型の基金とかいろいろあるかとは思っております。
 今回、宮崎県側からの地域の自主的判断を生かした柔軟な事業展開が可能となるような基金という要請については、やはりいわゆる一定の制限受けざるを得ないものと、財務省との私どもの折衝ではそう言われておりますので、そのためにその適正化法を変えるということも、今ここでそうするということも何かおかしなことではないかなと、やはり今できる範囲での基金というものを早急に詰めさせていただければと考えているところです。
○紙智子君 現地から共通して出されているのは、やっぱり使い勝手がいいやり方ということをおっしゃっていて、それで急がれるということだと思うんですね。それで、本当に、ルールというか、必要な、何でもかんでもとはもちろんならないと思いますけれども、そういうやっぱり全体を復興させていくということで必要な対応策を基金の趣旨に基づいてやっていく必要があるということを改めて申し上げておきたいと思います。
(後略)
○委員長(小川敏夫君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会

第175回国会 経済産業委員会 第2号 平成二十二年九月八日(水曜日)    午前九時開議

○近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。
(中略)
 口蹄疫の問題のときもそうでした。ゴールデンウイークのとき、政策が不在となりまして対応が適切になされずに、殺処分される家畜の数がゴールデンウイークの前と後とでは十四倍にもふえたことが御記憶にあると思います。その後の混乱は、御承知のとおりです。今回も、時あたかも夏休み中です。休みに弱い民主党と指摘されても仕方がないのではないでしょうか。
(後略)

第175回国会 厚生労働委員会 第3号 平成二十二年九月八日(水曜日)    午後一時開議

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 民主党代表選が行われている中、多くの課題が発生をいたしております。ただいまも指摘にありましたけれども、多剤耐性菌の問題、公明党の坂口元大臣も非常に懸念を持っております。帝京大学での院内感染また新種のNDM1という菌等々、口蹄疫問題を振り返りましても、初期対応の甘さと申しますか、危機意識の欠如から甚大な被害が発生をいたしました。ぜひこの問題にも危機感を持って全力で取り組んでいただきたい、このように思うわけであります。
(後略)

第175回国会 青少年問題に関する特別委員会 第4号 平成二十二年九月八日(水曜日)    午前十時開議

○道休委員 どうもありがとうございます。
(中略)
 また、今、人員や専門性がまだまだ足りないということを言われておるんですが、ちょっと話は違いますけれども、私は農水委員会にも属していまして、実は口蹄疫は、御存じのとおり、皆さんの御支援で何とかおさまったんですが、口蹄疫の対応を見たときに、家畜伝染予防法とか防疫マニュアルが時代に即応していないということは言われるんですが、ただただ、しかし、そういうような状況の中でも決められたことをしっかりしていた。例えば四十八時間以内の目視というようなことが決められておれば、それはやっていただければ、ひょっとしたら防げることもあるのではないか。
 ちょっとわき道に話がそれたんですけれども、ルールとして決められたものはしっかり守っていただく、これがやはり悲劇を少なくする基本的なことであるし、また、そのルールがまだまだ足りないのであれば、現状を反映していないのであれば、それに対してしっかりとルールを変えていく、あるいは法律を変えていくということもお願いしたいと思いますので、この点についてはよろしくお願いしたいと思います
(後略)

第175回国会 農林水産委員会 第3号 平成二十二年九月八日(水曜日)    午前九時開議
    ―――――――――――――
○皆吉委員 民主党・無所属クラブの皆吉稲生でございます。
 本日は質問の機会をいただきましたことに、委員長初め各理事、委員の皆様方に心から御礼を申し上げます。
 さて、私は、この夏発生をしました八代海における赤潮被害の問題と口蹄疫の問題について触れさせていただきます。
(中略)
○皆吉委員 ぜひ政府としても、景気対策として新たな補正予算等を検討されているとお伺いいたしておりますので、その中にしっかりと足らざる部分を組み込んでいただいて対応いただくように要請させていただきます。
 時間がありませんので、総務省の関係も簡単に質問させてください。
 総務省の特別交付税として、どのような経費を見込んでおられるのか。そして、十二月支給に間に合うのか。さらには、赤潮対策分として、その特交の内訳として明示ができるかどうかをお伺いしたいと思います。
○小川大臣政務官 お地元におかれましては、本当に、春先の口蹄疫から夏の赤潮と、大変な御苦心かと思います。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
 今の御質問ですけれども、昨年の赤潮被害に対しましても、地元鹿児島県を含めて七つの県市町に対して特別交付税による措置をさせていただきました。この対象経費でございますが、主に養殖業者の皆様の資金繰りを支援する際の、借り入れ、これに対する利子補給、それから、へい死をした魚の埋設処理に伴います漁協へのその費用の補助、これらを対象経費として措置をいたしております。
 あわせて、去年までは三月分で措置をしてきたわけですが、今回の御指摘もございますので、ぜひ十二月分として措置をする。当然そのためには省令改正なども必要になりますので、それらも含めてぜひ検討をさせていただき、その際には当然明示をすることを前提に検討させていただきたいと思います。
○皆吉委員 最後に、口蹄疫の問題について御質問させていただきます。
 鹿児島県は、御承知のように、肉用牛、豚とも飼養頭数が全国一位の畜産県でございます。宮崎における口蹄疫の発生は鹿児島県全体を震撼させてまいりました。一頭の患畜も出さないために懸命の対策を講じてまいったところでございます。そして、消毒ポイントの設置やあるいは競り市の中止、そして五月のゴールデンウイーク以降すべてのイベントが中止をされ、そしてまた地域のさまざまな集まりも自粛をされてまいりました。また、夏のシーズンの観光客も激減をしたところでございます。地域の経済に大きな打撃を与えています。
 そこで、お尋ねをいたしますが、宮崎においては基金の創設など復興に向けた協議がなされておりますが、隣接県などの被害の状況について把握をされておられるのか、そして各県の方々をお呼びして政府として事情の聴取をする意向があるのかどうか、また基金については宮崎に限ったものなのかどうか、それらについて政府の考え方をお聞きしたいと思います。
○篠原副大臣 基金についてのお尋ねでございます。
 この点については、昨日の参議院農林水産委員会でもいろいろ質問を受けておりますし、きょうも、小里委員それから江藤委員からも宮崎の関係で御質問が来ております。
 鹿児島県からも基金の設置については要望がございます。ですから、我々は事務的に要望を伺っているところでございます。できますならば、宮崎県だけじゃなくて、隣接の熊本県、大分県等でも被害が生じているわけですから、こういったものに柔軟に使えるような基金を創設したいと思っておりまして、なるべく早く取りまとめるべく政府全体で準備しているところでございます。
○皆吉委員 ありがとうございました。
 ぜひ、基金について、今のお考えに基づいて早急に結論を出していただき、対応をいただきますようにお願い申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
(中略)
 最後、口蹄疫関係を若干お伺いしたいと思います。
 基金についてのお話、今副大臣から前向きの答弁をいただいたところでございます。
 前回の質問の中で、基金の規模、対象地域、内容、窓口、スケジュールを明確にしていただきたい、そのようにお願いをいたしました。前回の質問から一カ月余り経過をしているわけであります。まだ詰まっていないということであれば、これをいつまでに明確にされるか、お伺いをしたいと思います。
○山田国務大臣 いつまでにというか、今早急に詰めている、そうお答えをきのうもさせていただいたところなんですが、きのうもまたいろいろと検討させていただきました。
 内容が、畜産関係、農業関係だけでも五十六億ほどの要求が宮崎県側から上がってきたわけですが、その中で、農水省のこれまでの予算、制度で対応できるものとか、あるいは基金からやった方がいいものとか、いろいろと検討させていただいて、私ども農水省としてはこれこれだということで、各省庁、観光とか云々もそれぞれ上がってきております。
 中でも一番問題なのは、宮崎県から上がった二百億の、公園とか道路とか、いわゆる公共事業は口蹄疫とは直接関係ないんじゃないか、こういったところまで基金ではどうかというような、いろいろなところで、先般うちの小川総理補佐官が行ったときにまた新たな提案もいただいたようですが、それも含めて今検討しているところでして、できるだけ早く結論を出したいと考えているところです。
○小里委員 この基金の問題は、昨日、参議院の農水委員会におきましても、我が党の野村哲郎委員から再三再四にわたりまして質問を繰り返したところでございます。全く今の答弁と同じような答弁でございました。
 現場はいつまでも待っておれない。今までの対策がそうであったように、さらに再生に至るこの方策まで遅きに失するということであっては、地域がさらにこれから頑張っていこうという気には到底なっていかないと思いますので、ぜひ具体的に、目に見える形でお示しをいただくようにお願いをしておきたいと思います。
 また、口蹄疫対策、今後さらに中期、長期にわたって続けていかなければならぬと思います。例えば、人工授精を一カ月、三カ月中止をしました。この影響というのは、まず十、九カ月後前後ぐらいにあらわれてくるということは、大臣も副大臣も御案内のとおりであろうと思います。その他いろいろな、今回の口蹄疫による後遺症、ひずみというものが中長期にわたって生じてきます。しっかりとそれぞれの段階において国として支援を行っていただけますようにお願いを申し上げまして、質問を閉じさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○江藤委員 宮崎県の自由民主党、江藤拓でございます。
 きょうは、閉会中審査、委員長、ありがとうございます。両筆頭、御苦労いただきまして大変感謝をいたしております。筆頭にお土産までこの間いただきまして、ありがとうございました。
 八月二十七日、長い長い時間がかかりましたけれども、ようやく終息宣言を宮崎県は迎えることができました。やっと宮崎県民の顔にも笑顔が戻ってまいりました。イベントが一斉に再開されまして、復興イベント、焼き肉イベント、頑張れ宮崎イベント、たくさんの方が集まって、本当に盛り上がりを見せております。しかし、でもそれは、表面的なものであるというのは言い過ぎかもしれませんけれども、本当の意味で畜産がいやされたのか、地域経済がいやされたのかというと、決してそうではありません。ただ、一つの区切りを迎えてほっとしたというのが正直な宮崎県民の感想であります。
 最初にお尋ねをいたします。
 この節目の日を迎えて、大臣は、口蹄疫がここまで蔓延した、終息宣言まで百二十九日間もかかった、ワクチンを接種することまで農家に強いなければならなかった、そのことについて責任をお感じになっていらっしゃいますか。前にも聞きましたが、改めてお聞きをします。
○山田国務大臣 今回、宮崎県で口蹄疫が発症して、ようやく終息を迎えることができました。それについては、二十九万頭の牛、豚の殺処分をするに至った、いわゆるワクチン接種という日本の歴史で初めてのことをやらざるを得なかった、そういう意味では、今回、口蹄疫の発生をそこで食いとめることはできたものの、本当に非常に重い責任は感じております。
○江藤委員 責任を感じているというお言葉をいただいて、ほっといたしました。そのお気持ちがまずなければ、これからの再建に向けての建設的な議論は私はできないんだろうというふうに思っております。
 この第三者委員会による、口蹄疫対策検証委員会、これは一生懸命ばりばりやっていただいた方がいいと思います。もう二度とこういうことが起こらないように、精いっぱいの努力をしていただきたい。ただ、メディア等で伝わってくる、そういうマスコミ情報でしか私はありませんけれども、お聞きをすると、一義的な責任は、どうも、宮崎の対応が遅かった、市町村の対応が悪かったんだというような表現が随所に見られる。
 でも、法定伝染病である以上、日本国に口蹄疫ウイルスが侵入した時点でまず国に責任があるということは、釈迦に説法かもしれませんけれども、もう一度委員の皆さん方も、三役の皆さん方も胸に刻んでいただきたい。このことをまずやらなければならない。空港をどうするのか、港をどうするのか、これからきちっとした議論をしていきたいというふうに思います。
 現場は必死でやりましたよ。ある県庁職員、四十数歳ですけれども、子供が二人、奥さんのおなかの中には三人目の子供がいる。毎日埋却処分、灼熱の太陽の中で。家から出た途端に倒れて、そのまま亡くなりました。そういうことは報道されませんけれども、みんな自分たちのできることを必死にやったんですよ、必死に。
 今回の口蹄疫、私も含めて口蹄疫にかかわった人間はすべて反省すべき点がある。政府の責任がすべてであると言うつもりは私は決してありません。ですから、反省をもとにして、これから二度と起こらない議論をぜひしていただきたいというふうに思います。
 ただ、非常に私は不満な点がある。私も、前、石破大臣のときに政務官をやらせていただきました。事故米の問題が発生をいたしましたね。そのとき、民主党の先生方から徹底的に追及されましたよ、徹底的に。そして、私たち政務三役、そして官房長、それから事務次官、みんな給料の返納をいたしました、一〇%か二〇%。我々は一カ月分丸々返納いたしました。
 責任を感じているとおっしゃいますけれども、国民の皆さん方がわかるような具体的な責任のとり方を、銭金の問題だと言っているんじゃないんですよ。口では反省しているとおっしゃるけれども、その反省が姿に見えないということを非常に私は残念に思います。
 そういうことをする、この節目に当たって、一応終息した節目に当たって、そういったことをお考えがあるかどうか、御答弁を一度求めます。
○山田国務大臣 どういう趣旨かよく理解できませんが、いずれにしましても、今回、ワクチン接種するという、本当にまだ口蹄疫にもかかっていない、疑似患畜でもかかっていない農家に対しても犠牲を強いさせた、そういう意味では重い責任は感じております。
 しかしながら、何とかこうして皆さんの努力で、皆さんが本当に献身的にやっていただけたからこうして口蹄疫を食いとめることができた。
 では、こういう口蹄疫の発生が、どこに原因があったのか、どういう事情があったのかということになりますと、疫学調査の結果によっても、既に三月の中旬には宮崎県にウイルスは侵入してきている。そして、四月の三十日には宮崎県の家保に検体は持ち込まれている。そして、四月の二十日、国にその報告がなされた時点においては実際に十農場以上でウイルスの発症が認められる、抗体検査の結果では。
 そういう状況の中において、県も一生懸命努力した、そしてその後、国も一生懸命努力した、そんな中で、国の指針どおりにやったえびの市とかあるいは都城はきちんとそれをおさめることができた。そのために宮崎県の方々も随分頑張られた、そういうことではありませんか。
○江藤委員 責任を感じていらっしゃるとおっしゃったから、それをわかりやすい形で示すのが、やはり大臣としての歳費、給与なりの国庫への返納。宮崎県民も大変な痛みをこうむったんですよ。地域経済も大変な痛みをこうむったんですよ。職を失った人もいるんですよ。だから、それに対してこたえる対応をする気がないのかと聞いたけれども、全く意味がわからないという答弁ですから、もういいですよ、もっといっぱい聞きたいことがありますから。
 そして、八月二十八日、「新生!みやざきの畜産」の総決起大会が開かれました。(山田国務大臣「ちょっと、委員長」と呼ぶ)だめです。総決起大会が開かれました。農家や行政関係者の、ほぼ千三百人……(山田国務大臣「委員長、ちょっと先に一言言わせて。さっきの質問について」と呼ぶ)質問中ですよ。聞いてないもん。聞いたことに答えればいいんですよ、大臣は。
○筒井委員長 これが終わったときに、一緒に答えてください。
 はい、続けてください。
○江藤委員 言いたいことを言うのは、この場じゃありませんよ。私の質問に答えてください。
 一千三百人が集まって、みんなで立ち直って頑張ろうという大会を開いたんですよ。そして、高校生たちが畜産農家を励ます歌を歌い、スクリーンには死んでいった牛や豚の姿が映されて、祭壇でみんなで献花をして、そして畜産の後継者、肥育、繁殖、養豚、そういう青年たちが、必ず我々は再起するという力強い決意表明もありました。そして、川上典子さん、川南の酪農家ですよ、女性一人で十六頭のホルスタインの面倒を見てきた人。四年前にはがんも患って、一度は酪農をやめようかと思った。だけれども、彼女が追悼の言葉を述べられました。無念の思いで死んでいった牛や豚のためにも、みんなが手をとり合って畜産を営んでいくことを約束する、私ひとりぼっちだけれどもと。私と同世代ですよ。
 そういう場面に、私は当然、対策本部長である内閣総理大臣が御出席いただけるものだと思っていました。それが無理なら、大臣がお越しいただけるものだと思っていた。百歩、千歩譲って副大臣、政務官かと思っていた。政務三役、だれも来なかったじゃないですか。そのとき宮崎県民がどれほどがっかりしたと思いますか。みんな愕然としていましたよ。
 小川さんが来てくれた。小川さんは、壇上に立たれて、誠意を込めておわびを言ってくれました。そして、一生懸命取り組むという言葉も言ってくれた。小川さんの言葉は、これは了として私は認めます。小川さんじゃ役不足だとか、そういう批判をしているんじゃないんです。ただ、県民としては、最初に発生したとき、私が言ったでしょう、私なんかを畜産農家は待っているんじゃないんだ、赤松大臣、あなたが現場に駆けつけることをみんな待っていたんですよということを言いました。
 この終息のタイミングに国のしかるべき方が来て、ともに頑張りましょう、国も頑張ります、県も市町村も関係団体も農家の皆さん方も、二次的、三次的被害を受けた方々も、全力を尽くしますからともに闘いましょうというお言葉が私はいただきたかった。どうして来てくれなかったんですか。その日、何をされていたんですか、大臣。副大臣は何をされていたんですか。政務官は何をされていたんですか。政務三役は五人もいるじゃないですか。何でだれ一人来れないんですか。
○篠原副大臣 僣越でございますが、副大臣の私の方からお答えいたしたいと思います。
 おわびいたします。すべての非は私にございます。私の健康管理不行き届きで風邪を引いてしまいまして、先ほども二回ほど大きなくしゃみをして皆さんに御迷惑をおかけしていると思いますけれども、風邪を引いてしまいまして、急遽行けなくなってしまいました。それで、八月二十六日に急遽宮崎県に連絡して、私が行けませんということで。
 それで、今、江藤委員御指摘のとおり、ほかにおられたわけですけれども、余りにも急だったということで、ほかの政務三役もそれぞれもうイベントがありまして、出席が決まっておりました。山田大臣は、日中ハイレベル経済対話に出席するために、二十七日の金曜日から三十日の月曜日まで中国へ出張予定でございまして、もともと出席できなかったんです。それで、現地対策本部長として指揮をとっておりました私が「新生!みやざきの畜産」の総決起大会に参加するように、大臣から特別に指示がございました。
 実は私も楽しみにしておりました。そして、現地の方々に感謝申し上げるとともに、二十九万頭の家畜の霊を慰めて、復興対策に向けて皆さん頑張っておられるので激励しようと思いまして、私がちょっと手を入れましたペーパーを用意しておったわけですけれども、急遽参加できませんで、すべての非は私にございます。
 そのときに、今御指摘のとおり、農林水産省からだれか一人ということはあったんですが、副本部長として行っておられました小川勝也総理補佐官がおられるので、総理補佐官にお願いしますということで、我が方から一人も政務三役が出席できなくなってしまったことは深くおわび申し上げます。
○江藤委員 今度、質問主意書で、五人の方々がその日どこにおられたか、大臣のはわかりましたけれども、きっちりお尋ねをさせていただきたいと思います。
 やはり農林水産省なんですよ、来ていただきたいのは。さっきも言いましたでしょう。小川さんじゃだめだと私は言っていません。彼は私に控室で正直に言われましたよ、きょうは副大臣が来られないので、私になってしまいました、申しわけないと。非常に誠実な方だ。ですから、彼を責めるつもりは全くない。ただ、宮崎県民がどれだけ落胆したかということは胸に刻んでください。
 それで宮崎県民が何を感じたか。宮崎のことは真剣に考えてくれていないんじゃないか、もう基金もできないんじゃないか、課税問題も解決していただけないんじゃないか、そういうふうに私にみんなが言った。(発言する者あり)揚げ足取りなんかじゃないよ。だれが揚げ足取りをしているんだ。私は地元の人たちの声を代弁しているだけ。揚げ足取りなんか全くしていない。
 それでは次に、基金の問題についてお尋ねをさせていただきます。
 基金の問題ですけれども、これは先ほど小里委員から質問がありましたから、くどくはもうやりませんけれども、これはちゃんと特措法にのっとって設置されるんですね。それだけ、簡略にお答えください。
○山田国務大臣 設置いたします。
○江藤委員 先ほど、早急にという御答弁がありましたが、早急にというのは、いつを想定していらっしゃいますか。御答弁願います。
○山田国務大臣 前々から申しておりますように、これは農水省の、私が大臣の決断でできる話ではございません。農水省もですが、厚生労働省も、それから経済産業省も国土交通省も絡んでまいりまして、今それこそ各省庁で、官邸を中心として各省庁での調整をやっているところです。
 もう少し、その経緯、プロセスをお話しさせていただこうかと思っております。
 なぜ今おくれてきているかということも、いろいろあるんですが、一つは、宮崎県側から取り崩し型で三百億要求しております、これは。ところが、その三百億のうち二百億というのは、公園とか道路とか、いわゆる口蹄疫とは、全くとは言いませんが、直接関係のないそういう工事が含まれておりますし、畜産関係におきましても、大きく三つあります。今後の種畜の造成支援、これが約八億円、地域を主体とした消毒体制の整備六億円、防疫体制に係る施設の整備、そういったもの十二億円、いろいろあります。
 しかし、その中で、消費・安全対策、その他いわゆる整備対策で農水省でできるもの、そして、農水省としては、この基金でできるものとしては、今後の種畜の造成支援約八億円という形になります。(江藤委員「それは資料を全部私は読んでいますから、委員長、いいです」と呼ぶ)ちょっと聞いてください。そういう形で、私ども、この基金については細かく、今それぞれの省庁の、例えば経済産業省ではどの事業についてどのように、そういう詰めを今やっている段階なんです。
 ところが、宮崎県側の要望では、総額三百億で取り崩しで欲しいという話をしているところで、なかなか宮崎県側の要望と折り合っていないというところでおくれていると考えていただければ結構です。
○江藤委員 早急にという言葉を広辞苑で引いてくださいよ。早急にという言葉を小里委員の質問に対して答えたんですよ。早急にというのはすぐということじゃないですか。今のお話を聞いていると、いつになるやらわからぬというふうにしか聞こえませんよ。
 いいですか。八月二十三日、対策本部長である菅総理大臣、民主党の対策チームの要望に対して官邸で、早ければ八月中、遅くとも来月初めには結論を出したいと。総理大臣ですよ、一国の。政治主導なんでしょう。総理大臣、対策本部長がそう明言されているんですよ。党内で、民主党の先生方、あなた方にそう約束したんですよ。それをやらないのは民主党議員に対する裏切りでもないんですか。
 だから、私は、早急にできるものだとこのとき思いましたよ。もう九月の第二週じゃないですか、きょうは。しかも、代表選挙か何か知りませんけれども、もう政治そっちのけで、わあわあわあわあやっていらっしゃいますよね。
 それから、言いたいことはもう山ほどありますけれども。
 いろいろお話がありました、二百億の公共事業がどうのこうの。先ほどちらっと言われましたね、新しい提案を宮崎県から受けたと。八月二十八日、小川補佐官が東国原知事から新しい提案を受けていますよ。
 最初は三百二十二億三千万円、取り崩し型でお願いしたいということだけれども、補助金適正化法の問題とか、いろいろクリアしなきゃ、問題があるからこれは難しいと。それから、国土交通省から、具体的な箇所づけがないのでいいとも悪いとも判断しようがない、そういう返事をもらいました。県に聞いてみたら、どこの工事をどれぐらいの規模でやるか出せというならすぐ出せると言っていますよ。そういう指導が国交省からまずない。
 それで、折れたというのは言い過ぎかもしれませんが、新しい提案の内容は、百二十億円規模の取り崩し型の基金を頼みたい、農畜産業の再生のために緊急的な対応が必要な事業を三年間でやらせてくれと。だから、公共事業を削ったわけですよ。そして、国で三千億程度の基金を設置して、基金は補助金適正化法の対象になりませんから、これは宮崎だけじゃなくて、鹿児島も熊本も、もしかしたら長崎も、市場閉鎖されたわけですから、使える。そういう国の大きな基金を使って、その運用益、十年間で、国に、やらせてほしいという提案をしたわけであります。
 このことについて、早く結果を出してください。宮崎県にとっては、三百二十二億の取り崩し型ですよ、でも、東国原知事も県も、余りにも国のガードがかたいので、折れて、第二の提案をしているんですから。しっかりこれを受けとめてください。
 適正化法とか何とかかんとか言いますよ、一括交付金がだめだとか言いますよ。だけれども、例えば、平成二十年八月、リーマン・ショックのとき、麻生内閣で、平成二十一年五月、地域活性化・経済危機対策臨時交付金というものを補正予算で計上しました。そのときには宮崎県には九十一億円来たんですよ、宮崎県に九十一億円。大変助かりました。そのうちの二十七億円を宮崎県は基金にして、それで公共事業をやったという実績があるんだから。過去実績がないと言うような役人もいるみたいだけれども、このことも党内で、閣内で、きちっともう一回、今すぐにでも、この委員会が終わったら議論をして、早く結論を出してください。このことは要望にとどめておきます。もう答弁は要りません。
 次に、手当金についてお願いをします。
 手当金、きょう返事をください。課税するのか非課税なのか。一千万もらおうが二千万もらおうが三千万もらおうが、後で五〇%課税されて持っていかれるんだったら、使えませんよ、この金は。(発言する者あり)
 今筆頭からも言われましたけれども、特措法の二十七条、読みましょうか。「国及び地方公共団体は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延が牛、豚等の家畜の所有者に与える影響に配慮し、必要な税制上の措置を講ずるものとする。」。全会一致ですよ、皆さん。委員長提出法案ですよ、特措法は。皆さん方も賛成したんですよ。やらなかったら法律違反ですよ。やることがありがたいとかなんとかいう話じゃなくて、立法府は責任を果たしたんですよ、行政府がちゃんと法律にのっとって、ちゃんとやってくださいよ。
 早く農家は経営再建計画を立てたい。競りが再開になった、牛を買いに行っていますよ。(山田国務大臣「委員長」と呼ぶ)まだ終わっていないから、待ちなさいよ。(山田国務大臣「そんなに興奮しないで、ちゃんと冷静に話しましょう」と呼ぶ)興奮させるようなことを言うからですよ。
 では、もうちょっと冷静にやりましょう。
 今、いわゆる概算金をもらいましたけれども、肥育農家は大分使っちゃいましたよ、今回の競りが再開されたことによって。価格が高いから。予想された、自分で買いたい頭数も買えない、そういう状況の中にあるんですよ。物すごい不安ですよ。もしかしたら、五〇パー、これは所得とみなされて持っていかれるかもしれない。会う人、会う人が、江藤君、手当金はどうなるの、いつ結論が出るのと。
 きょう返事してくださいよ、非課税にすると。御答弁を求めます。
○山田国務大臣 法律で、非課税にする、そういうふうにしているわけですから、当然非課税になります。ただ、それを早くやってくれということで、これも法案を通さなきゃいけませんので、次の臨時国会で出してほしいと私の方で財務省にお願いしているところです。
○江藤委員 それでは、そのことが宮崎県の農家の方々にきちっと伝わるような形で、必ず法案という形で提出をして、課税はいたしませんということを、総理大臣談話でもいいですよ、対策本部長なんだから。これをやってください。やっていただけますか。
○山田国務大臣 それは総理大臣がやるべきことではありません。
○江藤委員 内閣の一員なんですから、そういうふうに働きかけをしてくださいよ。冷静に話しますから。
 それでは次に、共済金の話。これも何度もしました。患畜、疑似患畜のところは、五分の一の部分は県が見舞金という形で出した。しかし、ワクチン接種農家のところはそれが出ない。無事戻しの分しか出ない。物すごい不公平感ですよ。最近、ようやく百二十九日を過ぎて、私は呼ばれるんです、いろいろなところで、江藤の話を聞きたいといって。しょうちゅうを飲みながら、ビールを飲みながら、ざっくばらんな話をしています、いろいろなところで。おかしいじゃないか、共済金を払っていた人間も払っていなかった人間も同じ扱いなのかい、おかしいじゃないかと。
 そうであれば、私はここで一つの提案をしたいと思います。県は見舞金という形で払いました、見舞金という話で。国は、ワクチン接種協力金、ワクチン接種に賛同してくれて、受け入れてくれてありがとうという形で、それに相当する額を出したらいかがですか。そうすると不公平感がなくなる。御感想だけで結構ですから、御答弁を求めます。
○篠原副大臣 江藤委員の御指摘の問題は、私が現地対策本部長で行ったときに一番最初に皆さんから要請を受けた問題でございます。そのときから不公平感があって、こういうふうになってしまうと……(江藤委員「不公平」と呼ぶ)不公平になってしまうということで問題になっておりまして、あちらの方でその期間中に何とかしろという指示を私もいたしまして、やっとでき上がったものが、これは不十分かもしれませんけれども、共済の掛金として払ってしまったものをお返しするというのを、宮崎県の共済の規定を変えて手当てしたところでございます。
 それでも、返るのは大体数千円でございまして……(江藤委員「二、三千円ですよ」と呼ぶ)数千円というのは、ほかの皆さんは五万円とか六万円とかの見舞金が行っている。そうすると、十倍以上の差があるということで、その不公平感がずっとあるのは承知しております。
 しかし、今のところは全く同じですし、その問題は解決しておりません。
○江藤委員 非常に率直な、正直な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 これは、もう日本で口蹄疫が発生しないということを私は神に祈りますし、そのために、我々政治も、防疫体制を含めて、マニュアルも含めて万全の体制を組んでいかなきゃいかぬと思う。
 だけれども、起こってしまったときには、ワクチン接種をやはりお願いしなきゃいけない場面も出てくる可能性があるわけですよ。そのときに、ちゃんと国はやってくれるからワクチン接種を受け入れようという体制を、副大臣、築いておいた方がいいと思いませんか。そう思うでしょう、正直なところ。うなずいていらっしゃいますよ。ですから、ここのところは、将来の口蹄疫発生に備える意味でも、ワクチン接種農家が割りを食わないように、きちっとした改正をもう一度政務三役の中で御議論ください。ぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、今回の競り、全部三十八万以上です、今のところ。きのう東臼杵がちょっと下がってしまいましたけれども、ほかのところは非常に高い。さっきも言いました百万円以上の繁殖雌牛も出ております。その数字、平均価格だけを見れば、ああ、宮崎、口蹄疫の影響が少なかったね、よかったねというふうに思われるかもしれませんけれども、決してそんなことはありません。
 高千穂の例だけを紹介しますけれども、雌で四百三十四日齢、四百三十四ですよ、それで十二万八千円しかしていない、十二万八千円しか。去勢でも、三百六十日やって二十五万しかしていない。だから、私は、一頭一頭に着目をして、再生産可能価格の四十万の差額を払ってあげないと農家はつぶれますよという話を再三この委員会で申し上げたんですよ。
 そういうことを、もう一度、今回の競りの結果を見て、よろしければこれをあげますから、競りの名簿を、御検討していただく考えはありますか。大臣、副大臣、どちらでも結構です。
○篠原副大臣 この点につきましても、前回の農林水産委員会でも御指摘を受けております。
 我々もそのことは承知しておりまして、困るんじゃないかということで、宮崎県、鹿児島県、熊本県につきましては、全国の平均が三十八万円だったわけですけれども、そうじゃなく、今は下がっている、県ごとに算定して、そしてその地域の平均販売価格と比べて支援金を出せるように手当てしておりまして、三県につきまして……(江藤委員「だからもう意味がないんだから、全部三十八万以上なんだもの」と呼ぶ)でも、下がっている場合も、下がる場合もあるわけですよ。あるわけですから、高く売れている場合は問題がないわけですね、下がった場合について手当てしておくということで御了承いただけたらと思います。
○江藤委員 これでやめますけれども、認識が違うんですよ。平均では確かにいいんですよ、平均では。だって、十万円の牛がいても、百万円の牛がいれば、平均五十五万でしょう。平均を見ちゃだめなんですよ。この名簿を見て、一頭一頭見なきゃだめなんですよ。これがきめ細やかな政治なんですよ。それが求められているんですよ、今回は。民主党さんは、自民党政権時代に、小規模農家切り捨てだといって随分責めたじゃないですか。小規模農家が切り捨てになっちゃうからこういうことをしないでくれというお願いですから、御検討をお願いします。このことはこれで終わります。
 それで、今回、前回も言いましたけれども、自家保留、これについて、私は、どうしても支援が欲しいです。高千穂の競り、二日間行われましたけれども、自家保留頭数は百四十四頭ですよ。自家保留しました、それは、将来の、自分のところにいい雌を残したいという気持ちだから、自分の勝手だといえば勝手かもしれない。だけれども、競りで牛を売らないということは、その分収入がなかったということだから、経営は苦しいということですよ。
 今の国の制度でありますよね、優良繁殖雌牛更新促進事業。これは導入費用の三分の一を補助する、上限二十万。自民党政権時代につくったものですけれども。でも、これは自家保留は認めていない。農協等が買って、リースで出した場合だけは認めましょうというものですよね。これを、特例で、自家保留をした人にも何らかの手当てを私はぜひしていただきたい。これはいい考えだと私は思っておりますが、いかがですか。大臣でも副大臣でも結構です。
○篠原副大臣 この点についても、手当事業なんだけれども、自家保留については面倒を見ていないのという、たしか前回これを御指摘があったかと思います。しかし、これは、出荷遅延等により自家保留している牛も対象にしてほしいという要請、やはり私がいたときからありました。
 その理由は二つあります。経営外からの導入でないということ。二つ目ですけれども、新たな費用が発生していないんです、ですから現金支出を伴わない。ですから、先ほどの上限二十万円、導入費用の三分の一というのを、一体これはどうやって計算するのかという問題が生じてしまいます。
 これは一度試みたことがあるわけでございますけれども、自家保留していると、売買がないもので、それで会計検査院から不適切だという指摘を受けまして、そういった売買行為がないものまで対象にできないということで今の形になっております。
○江藤委員 今の御答弁は、副大臣のおっしゃるとおりです。全く間違いがありません。
 しかし、今回は、口蹄疫というものが発生して、たった各市場一回の競りだけですから、これから恒久的に続けてくださいという話をしているわけではないわけですよ。今回一回目の競りだけでいいわけですよ。もしかしたら二回目、三回目ぐらいまでで、済んでしまうわけですよ。そんな、ずっとやってくれという話じゃないんですよ。口蹄疫の影響を受けた牛についてお願いしたいということでありますから、検討はしてください。御要望をさせていただきたいと思います。
 串間の市場では百五万ですよ。これを買ったのは西都の人。小林の市場、百十六万、みんな雌ですけれども、これは児湯。そして延岡、百七万、これは尾鈴。全部、殺処分を受けて空白になったところですよ。みんな必死になって、いい雌を自分のところに引いて帰りたい。しかも、今委託していますからね。まだ持って帰るのが怖いんですよ。委託料を高千穂の農家に払って、そしてその分をお金をさらに払って、今まだ買った牛は高千穂にいます。そういう状況を御存じですか。そういうこともやはりきめ細かく私は知ってほしいと思う。
 この価格が高いというのは痛しかゆしなんです。今まで二十キロ圏外で、ようやく市場が再開された人たちにとっては、高く売れてよかった。私も市場に行っていて、やはり、ばばばばばっと値段が上がっていくとうれしくてたまらぬですよ。いい気持ちですよ。思わず拍手をしましたよ。だけれども、逆に、目線を変えて、これから導入しようという人の立場に立って考えてみると、高過ぎて買えない。かといって、県外業者も来ていました、三重とか、そういう本場の人たちが。県外には出したくない、もう熾烈な争いで百十七万という価格になったわけです。
 ですから、二十三カ月月齢になったら八十一万ということになっていますよね、評価が。それに、例えばA評価だったら七万円つけましょう、血統加算とか能力加算をつけましょうということになっていますけれども、十カ月で購入して、それで百日後に屠殺をしたとすることになれば、八十一万の五〇%ですから、こうなってこうなっている。もう政務三役には釈迦に説法ですけれども。それに加算がついたって六十万そこそこですよ。
 その人たちが百万円以上の金をかけて、今再生のために牛を買っているんですよ。実際、この八十一という数字も難しいと思う。でも、現状、私は市場を全部回ってみて、これは八十一じゃ足らぬなという感想を率直に持っておりますので、これも検討課題として、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 そして、出荷遅延対策、次、私がやらせていただく時間がもうないので、答弁は求めませんが、野村先生がきのうは随分やっていただきましたのではしょりますけれども、おかしいですよ、四百円。家族労働費が入っていないということ自体が畜産政策の理念自体に外れているじゃないですか。マル緊事業のは家族労働費を入れていますよ。何でこれは入っていないんですか。
 そして、これは東臼杵のこの間の競りのものです。赤い線がちょっと引いてありますね、委員の皆さん。この赤い線が引いてあるのは全部日齢が四百日超えちゃっているんです。子牛じゃありません。つないである場所が繁殖農家というだけであって、育て方は肥育農家の育て方をしていますよ。なれないけれども、農協とか肥育農家の方々の御指導をいただいて、絶対肉質を落とさない、いい牛をつくるんだということで、金をかけて手間をかけて繁殖農家の方々が一生懸命やったんですよ。だったら、三百日ぐらいを超えてから後のえさのやり方というのは、肥育は六百円でしょう。四百日から四百五十日を引いた部分の百五十日は少なくとも六百円払うのが普通じゃありませんか、だって、そういう育て方をしたんだから。
 このことは今御答弁は難しいと思う。これは絶対検討すべきですよ、繁殖農家が大赤字ですから。検討しますか。では御答弁を求めます。
○山田国務大臣 きのうも参議院の委員会でお答えしたと思いますけれども、あれから出荷月齢と増体及び価格の変動等々を見てみましたけれども、三十日、そこにして……(江藤委員「そのことは私は触れていません」と呼ぶ)家族労働費のこと。家族労働費を入れていないじゃないかというお話のようですが、よく考えていただきたいと私は思うんです。
 というのは、今回出荷しなかったのは、確かに、宮崎県も鹿児島県も熊本県も大分県もそうです。しかし一方、沖縄も長崎も佐賀も、例えば沖縄の島々も五島列島も、みんなこれは出荷できなかったんです。しかし、そういう方々は、こういう四百円とか一日とかえさ代、もちろん家族労働費は入っていませんが、そういったものも一切もらっていないんです。だから、そういう意味では、今回の口蹄疫被害というのは、何も宮崎県だけじゃないんです。これは全九州に及んでいるわけです。
 しかし、本当に今我々が、宮崎の今回のこの対策のために国がどれだけのお金を投じてきているか、それはしっかりわかっていただきたいと思っております。
○江藤委員 私は零点だと言っているわけじゃないですよ。評価すべき点ももちろんあります。そうやって、例えば五島列島あたりで払っていないということであれば、みんなに払えばいいじゃないですか。それは基金でやればいいじゃないですか。もっと広げればいいじゃないですか。簡単な話ですよ。
 もう時間がないのでどんどん行きます。ここは飛ばします。(発言する者あり)もういいです、まだ聞きたいことがあるから……(発言する者あり)何だって。帰れ……(発言する者あり)今から聞きます、では先に厚労省に聞きます。済みません。失礼しました。
 雇用調整助成金について聞きます。
 副大臣に私は感謝をしているんです。この口蹄疫が発生したときに、私は政務官と同期ですから、相談に行きました、本会議のときに。雇用調整助成金が使えるようになったけれども、畜産は使えない、大変だ、何とかしてくれと言ったら、よし、では、副大臣のところに一緒に行こうと。行きましたよね、副大臣のところに。副大臣は、最初はちょっと嫌そうな顔をされていましたけれども、その後、真剣にお話を聞いてくださって、なるほど、江藤君、よくわかった、省内で十分相談をして、御要望にこたえられるように頑張ってみるよと言ってくださいました。私は本当に副大臣には感謝をしております。ありがとうございました。
 しかし、結果はちょっとだめだったですよね、結果は出ませんでした。でも、ゼロではありませんでした。そのときにいただいた結果が、移動制限解除直後からは使えますという御回答をいただいた。これは三歩前進とは言わないけれども、二歩前進ぐらいですよ。ゼロ回答ではなかったことを私は感謝しました。本当にありがとうございます。
 そして、いよいよ百二十九日が過ぎて、今おとりを入れたり、そういうことが始まっているわけでありますけれども、尾鈴の畜産法人が申請書を作成しまして、宮崎労働局に持参したんですよ。そうしたら、市町村の導入の許可が出ていないので実質的には移動制限状態と同じだから、受理できないというふうに言われちゃったんですよ。これは話が違うと思われませんか、副大臣。御答弁を求めます。
○細川副大臣 江藤委員にお答えいたします。
 結論から申し上げますと、許可が出ていないということで対象にならないということではなくて、雇用調整助成金の対象となります。(江藤委員「直後から」と呼ぶ)はい、直後から。
○江藤委員 ありがとうございました。
 きのう役所から聞いた返答と副大臣から聞いた返答が違いますので、政治主導ですから、ぜひよろしくお願いします。
 時間が来ましたからこれで終わりますけれども、本当の意味での口蹄疫の終息、それは百二十九日じゃありませんよ。経営が再建されて、二次被害、三次被害、四次被害、観光とかトラックとか、トラックなんて宮崎県外ナンバーを取って仕事をしているんですよ、入ってくるなと言われて。そういう人たちがそういう障害なく仕事ができるようになったときが本当の意味での口蹄疫終息でありますので、委員の皆様方には、ぜひ風化させることなく、これからも口蹄疫問題、必要なことはどんどんこの委員会で提案してまいりますので、前向きな御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○石田(祝)委員 質問をさせていただきたいと思います。公明党の石田祝稔です。
 まず、口蹄疫についてお伺いをいたしたいと思います。きょうは財務省からも来ていただいておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 いろいろと質問もありましたが、基金の設置について、大臣はできるだけ早くやりたい、こういうお答えでしたが、一つはどのような基金にしていくのかということと、そして、いつまでに設置をするのか、このことをお聞きいたしたいと思います。
 この基金の設置については、当委員会でも相当な議論がありまして、最終的には委員長がさばいていただいて、まず立法者の意思を尊重すべきであるということで、基金の設置も政府としてはやる、こういうお答えがあったように思います。
 これで、特措法をつくりまして、施行されて、もう三カ月過ぎました。いろいろと議論をなさっていることはよくわかるんですけれども、ちょっと時間がかかり過ぎているんじゃないのか。いろいろな各省庁が関係しているということで、そこと詰めているということでありますけれども、これは、窓口というか、きょうは答弁を山田大臣がなさるようでありますが、政府を代表しての御答弁だろうと思いますけれども、いま一度、どのような制度にするのか、いつまでに設置をするのか、明確にお答えをいただきたいと思います。
○山田国務大臣 石田委員にお答えいたします。
 きのうから参議院の委員会でもその話を聞かれておりまして、きょうもずっとこの基金の問題なんですが、官邸とも、きのう参議院の委員会の後も私も相談させていただきました。できるだけ早く結論を出して、この基金の創設を宮崎県のためにも早くやりたい、そういう思いは皆さん方と一緒なんです。
 実際に、その中身について、一度、三百億の取り崩し型という話もあったんですが、これについては、先ほど言った、二百億は公共事業等々で無理だということになってきて、県側には一度そのことは話しております。そのことについて、小川補佐官に対して県側が、新たな提案をいただいております。今これについて細かい検討をしているところなんです。
 実際に、これについても、今国の方で県側に対して、金額は確かに少し下がってきたのと、運用益の部分といわゆる取り崩し型と併用型の要求かと聞いておりますが、それについても、その中身の詳細について各省庁で今持ち帰って検討しておりますが、さらにその詳しい内容を県に問い合わせしているというのが現状なんです。その上で、県側に対して、最終的にこれでいいか、そういう話し合いで、いずれ近いうちに決着できるものと考えておりますが、いずれ近いうちの、近いうちがいつかということは今ここで定かに申すわけにはまいりません。
○石田(祝)委員 いずれ近いうちにという御答弁ですが、近いうちはいつかは言えないと。結果としては何もおっしゃっていないのと同じじゃないでしょうか。
 基金をつくるということは、先ほど申し上げたようにいろいろ議論もありましたけれども、これはつくるということであります。それと、その中身をどうするかということは、これは当然、ある意味でいえば、基金の姿をまず見せて、そしてどういう事業をやるかというのはその後でもできる話じゃないでしょうか。基金の金額を決めるために今事業がどういうものがふさわしいかと、それが積み上がらないと基金そのものを設置ができないというのは、ちょっと私は違うんではないかと思います。
 まず、この基金をつくろうという議論をしたときに、やはり国がしっかり関与するんだという姿、また、複数年度にわたる場合もあるので、予算措置ではなくて基金をつくれば機動的にできるんじゃないか、こういう議論が議員立法のときに各党であったように私も記憶をいたしております。
 ですから、これは、中身を積み上げて、その結果、では幾らでつくろうというんじゃなくて、まず、基金を国がしっかり、これだけまず基金を積む、実際の事業については、これは当然直接関係ないものとかふさわしくないものがあるかもしれません。それについて議論をするのは結構だと思いますけれども、それが、各省庁が全部話が終わらないと基金そのものの設置がいつになるかわからないというのでは、ちょっとこれは国の姿勢として私はいかがなものかな、このように思います。
 積み上げじゃなくて、まず基金の設置をして、その後、どういう事業が本当に復興に対していいのかという議論にしていかないと、いつまでも基金ができない、こういうことになりはしないかと思いますが、山田大臣、もう一度御答弁をお願いします。
○山田国務大臣 運用益だったら補助金適正化法の適用はありませんので、自由に宮崎県側としても使えるわけですが、取り崩し型になりますといろいろな制約がありますし、非常に一つ一つ詰めていかなきゃいけないという形になってまいります。
 運用益に関しましても、では運用益型にしても、幾ら積むかということは、運用益を年間幾らという形で何年間にするかというところで、その使用目的についてもある程度県側とそれぞれの対応ができなければ難しいという話もありまして、やはり、農水省の私どもの判断だけで、ではこれですぐ基金でこうしましょうというわけにはまだ至っていないというところなんです。
 ただ、いずれにしても、今、併用型を私としてはまとめたいとは思っておりますが、できるだけ早くそうしたいと考えております。
○石田(祝)委員 大臣、ちょっと確認させてもらっていいですか。今、併用型を目指したいとおっしゃったのは、これは基金型と取り崩し型を折衷した基金をつくるというお考えということですか。
○山田国務大臣 これは私の考えなんですが、まだ本当に、各省庁の理解も、財務省、総務省の理解も得なきゃいけませんから、私は併用型でどうかと考えているところです。
○石田(祝)委員 大臣のお考え、そういうお考えということでありましたら、それはしっかり主張していただいて、今の段階では、一日も早くつくってくれ、こう申し上げるしかないですね。残念ですけれども、百日がもう過ぎようとしているわけですね、法が施行されてから。いまだ具体の姿がお示しできないというのはまことに残念なことだろうと私は思います。
 基金はそういうことで、ぜひ一日も早くということの要望をする以外ございませんが、手当金の非課税措置についてお伺いをしたいと思いますけれども、二十三年度の税制改正要望にも農林水産省としてお挙げになっていらっしゃいます。これは、現在の検討状況と、いつまでにこれをはっきりできるのか、このことをまず農林水産大臣または農水省にお伺いします。
 委員長、時間とめてよ。(山田国務大臣「聞こうと思っていたら、後ろからいろいろメモが出されて」と呼ぶ)政治主導だからメモを入れるなと言えばいいんだよ。
○山田国務大臣 済みません。今、手当金の非課税措置についての質問だったんですかね。(石田(祝)委員「そのとおり」と呼ぶ)失礼いたしました、どうも。
 これにつきましては、ぜひ私もそうしたいと思っておりまして、法律でもそうなっておりますし……(発言する者あり)はい。できるだけ臨時国会でお願いしたい、早くそうしないと宮崎県民は安心しないからという話はさせていただいておりますが、先ほど後ろからメモが入りまして、臨時国会にできるかどうか財務省としてはわからないけれども、二月まで、いわゆる申告時期には間に合うように頑張りたいというお話でございます。
○石田(祝)委員 大臣、何という答弁をなさるんですか。結局、財務省が後ろでいろいろ言うとおりやるということですか、それは。いや、だから、メモが入ってきて、財務省がこう言っている、ああ言っていると。ちょっと何か政治主導とは違いますね。何か情けないような気が私は正直いたします。
 これは法律にも書いているからということですから、財務省、政務官が来ていますから、財務省はそういうお考えですか。
○古本大臣政務官 お答えいたします。
 まず初めに、大変な被害の中で大変な御苦労をされておられます畜産農家の方々に心からお見舞いを申し上げますと同時に、諸先生方におかれましては大変真摯な御議論をいただいておりますことに敬意を表する次第です。
 お答えいたしますと、今大臣からお話がございましたが、今般の口蹄疫につきましては、口蹄疫の対策特措法に基づきまして、発生農場に対して交付される手当金や、ワクチン接種を行った勧告農場に交付される補てん金など、さまざまな措置が行われるというふうに理解をいたしております。
 その上で、これらの手当金あるいは補てん金につきましては、口蹄疫対策特措法第二十七条に規定いたしました。この規定につきましては、実は、諸先生方御案内のとおり、過般の、まさに自民党の宮腰先生初め野党の諸先生方から御提案いただき、そして、与党の先生方とも協議をされた結果の議員立法で措置がされた特措法だと承知をいたしております。(発言する者あり)失礼いたしました。委員長提出の特措法だと承知をいたしております。
 しかるに、その特措法に定めております二十七条のポイントは、「国及び地方公共団体は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫のまん延が牛、豚等の家畜の所有者に与える影響に配慮し、必要な税制上の措置を講ずるものとする。」こううたっております。この点につきまして、恐らく、いつまでに、どのように、こういうことだと思いますので、少しお答えいたします。
 家畜の評価額を発生農場や予防殺農場に交付するものと、あるいは経営再開を支援するために発生農場や予防殺農場に交付するもの、それぞれによってこれは性格や対象が異なるというふうに理解をいたしております。
 その上で、こうした各手当金などの性格やその交付の実態なども踏まえまして、どのような税制上の措置が一番適当なのかということを、まさに現在、農水省の原局の方でその要望を、諸先生方からも恐らくヒアリングをなさりながら取りまとめをいただいているというふうに承知をいたしておりまして、財務省としては、そうした農水省の要望をまずは聞かせていただいた上で今後の対応を判断していきたい、こういう立場でございます。
○石田(祝)委員 これは、私、先ほど言いましたよ。農林水産省の二十三年度、まあ二十三年度は私は遅いと思うんですけれども、明確に税制改正要望の中に入っています。それで、大臣は、これは当然やりたい、そして、ちょっと答弁を修正なさったんでしょうか、臨時国会で法案を出したい、こういうお話でございましたけれども、古本政務官もお聞きになっていたと思いますよ。そういう御答弁の後の答弁を求めているわけですから、農林水産省のお考えをまとめてなんという段階じゃないんじゃないですか。
 ですから、これは、大臣がそういう意思がある、そして立法者の意思も当然そういうことで全会一致で、これは課税すべきではない、それを「税制上の措置」と書きましたけれども、そういう趣旨なんですね。
 ですから、これは、ぜひ立法者の全会一致の意思を尊重していただくと同時に、農林水産大臣もそのお考えである、また現地の皆さんもそれを当然期待なさっている、こういう、地元と、そして国会の全会一致と、そして行政府の農林水産省、全部一致しているわけですから、これは別に財務省がどうこう言う必要は全然ないんじゃないでしょうか。お認めをいただく以外の選択肢は私はないと思います。
○古本大臣政務官 失礼いたしました。
 先ほどの大臣の答弁はもちろん私も伺っておりました。その上で答弁をもちろんさせていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたように、先般の特措法は、まさに諸先生方の御議論の中で、委員長提案という形で御提出をいただいている経緯がございます。その中で、第二十七条で、別途「税制上の措置を講ずる」、こううたっております。したがいまして、臨時国会がそもそもいつ召集されるか等々も含めて、これはハウスの御意思も当然あるわけでありますので、この臨時国会においてどういう措置をするかということをこの時点で財務省として何やらお約束するということは、これは責任を超えているというふうに受けとめております。
 その上であえて申し上げれば、これは閣法で提出をするのが適切なのか、引き続いて、これはハウスの問題ですので、極めて僣越でありますが、先生からのたってのお尋ねでありますのでお答え申し上げるならば、過般の対応と同様のような対応もこれはあり得べしというような状況の中で今いろいろと御議論をいただいている、こういうことだと思っております。
○石田(祝)委員 政務官、税制の問題を議員立法でやっていっても大丈夫なの、これはいいですか。やればできますよ、当然。しかしそれは、もう議員立法で何をやってもいいですよということを行政府のあなたがおっしゃるというのはどうですか。これはやはり、内閣が責任持って法律をしなくちゃいけないんだったらするべきではないんですか。
○古本大臣政務官 お答えいたします。
 議論を少し整理した方がいいと思うんですね。
 今現在宮崎で大変御苦労なさっている方々が、大体大宗を占めているのは個人所得課税が対象になると思います、ほとんどの方が個人所得税が対象になると思う。一部法人系の方もいらっしゃいますね。
 ですから、個人所得課税の申告のタイミングになるのは来年の二月、三月にかけてだというふうに思います。しかるに、措置をするならば、恐らく、臨時会が催されるだろうタイミングに合わせて議論をしなければ来年の個人所得課税の確定申告に間に合わない、これは御指摘のとおりでありますし、そのことは重々承知をいたしております。他方、法人税につきましては、それぞれ決算月によって変わりますので、これは、場合によっては、既に決算月を迎えるだろう法人においては何も三月決算とは限りませんので、この点についての対応もあわせて御議論をいただかなければならないと思っています。
 税を議論いただくのは、政府税調で議論をし、そしてそれに基づいた議論で別途法律を手当てしていくというやり方が第一ではありますけれども、過去において、極めて臨時で、かつ緊急で必要な場合において、極めてまれでありますけれども、議員立法あるいは委員長提案等々の、ハウスの御意思で対応いただいた例もあるやに承知をいたしてございます。
○石田(祝)委員 これは、二月が確定申告ですから、それに間に合わせるようにというお答えだと私は受けとめました。
 考えてみたら、通常国会の召集が一月になったときに、大体開会の冒頭で米の臨特の非課税措置をやった記憶も今よみがえってまいりまして、それは、確定申告に間に合わせよう、こういうことで、全会一致で政府提案を、私たちも当時野党の時代からも賛成をしてまいりましたので、これについてはぜひ遺漏のないようにお願いをいたしたいと思います。
 それで、所得税というのは結局、例えば国民健康保険とか、いろいろなところにはね返るんですよ。ですから、税の議論だけではなくて、いろいろなものにはね返っていくということもこれは念頭に置いておいていただかないと、例えばさっき言った国民健康保険だとか、そういう保険料、保険税の金額、また、例えばどこかのところに入居する、使用する、そういうときの課税標準になりますから、そういうことも踏まえて、臨時国会ということであれば、ぜひ、これは政府が召集されるかどうかよくわかりませんけれども、早く処理をして安心をしていただく。
 これはやはり安心をしてもらわないと、使っちゃったんだけれども、だめだったから税金を払えと来たら、これはもう皆バンザイになりますから、ぜひこの点についてはお願いをいたしたいというふうに思います。
 それでは、古本政務官は結構でございます。
(中略)
 以上で終わります。
(中略)
○筒井委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会

第176回国会 本会議 第3号 平成二十二年十月七日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成二十二年十月七日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)

○井上義久君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました菅総理の所信表明演説に対し、質問をします。(拍手)
(中略)
 地域経済は本当に疲弊しています。ある自動車メーカーの下請企業は、エコカー補助金が終わり、メーカーの生産調整で受注量が激減、加えて、円高を理由にコスト削減を迫られているが、原材料は値下がりしていないと悲鳴を上げております。また、ある革製品を扱う中小企業は、この春の口蹄疫問題で輸出品価格が暴落した上に、今回の円高で、このままでは国内の業界は全滅だ、うちもだめかもしれないと苦しい胸のうちを明かしていました。あげくは、円高によって仕事がなくなり、海外移転を真剣に検討を始める企業がふえており、国内産業そして雇用の空洞化の懸念は足元から迫ってきております。総理、これが現場の声です。
(中略)
 また、宮崎県の口蹄疫被害に対し支給される手当金について、非課税扱いとする税制改正を早急に実現させるとともに、我が党の主張で特措法に盛り込んだ基金を一日も早く設置し、地域の実情に即して復興のためにも使えるよう、使途を拡大すべきです。総理の見解を伺います。
(中略)
 政治は国民のためにあります。公明党は、国民の声を真摯に受けとめ、国会における真剣な議論を通じて、国民生活を守り、国益を守るために全力で闘うことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(菅直人君) 答弁に入る前に一言申し上げます。
(中略)
 猛暑等における農林水産業被害と口蹄疫被害への対応についてお答えを申し上げます。
 農業共済では、猛暑、酷暑による減収や品質低下に伴う収入減については、既に補てんの対象となっているところと承知をしております。
 漁業や養殖業の一部で海水温の上昇による影響が出ていると聞いており、被害が発生した場合には、漁業共済による損失の補償や融資により被害漁業者の経営の安定に資するよう、速やかに対応してまいりたいと考えております。
 今回の口蹄疫の発生農場に交付される手当金などについては、口蹄疫対策特別措置法の趣旨を踏まえ、必要な免税措置が講じられるよう調整をいたしているところです。口蹄疫対策特別措置法に基づく基金については、法の趣旨に即したものとなるよう最終調整を行っており、近日中にも案を取りまとめてまいりたいと考えております。
 高額療養費制度、子宮頸がんの予防及びうつ病対策についてお答えを申し上げます。
(中略)
 以上、答弁とさせていただきます。(拍手)

第176回国会 本会議 第2号 平成二十二年十月七日(木曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二号  平成二十二年十月七日   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る一日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小坂憲次君。
   〔小坂憲次君登壇、拍手〕
○小坂憲次君 私は、自由民主党を代表し、菅内閣総理大臣の所信表明演説に対し、質問をいたします。
(中略)
 この春、宮崎県で発生した口蹄疫被害が拡大していたさなか、現地で対策の指揮を執るべき農水大臣は外遊予定を変更せず、危機意識の薄さを満天下に示しました。我が国の畜産業が被った大きな打撃の責任は、当時の大臣と総理にあることは疑うべくもありません。
(後略)

第176回国会 本会議 第3号 平成二十二年十月八日(金曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第三号   平成二十二年十月八日   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、同予備員、裁判
  官訴追委員及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
     ─────・─────
○議長(西岡武夫君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。
○山口那津男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました菅総理の所信表明演説に対し質問します。
(中略)
 私は、去る十月三日、青森県の陸奥湾でホタテガイの養殖を営む漁業者を訪問しました。高水温によるかつてない被害が懸念される中、現場の漁業者からは、災害による収入減の補てんや風評被害対策を求める深刻な声が上がっています。また、口蹄疫被害からの復興にあえぐ畜産農家、さらに円高により悲鳴を上げる中小企業。総理、あなたには本気で国民生活を守ろうとする覚悟は見受けられない。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第3号 平成二十二年十月十三日(水曜日)    午前九時開議

(前略)
○宮腰委員 整合性に随分こだわっておいでになるようでありますが、危機感もそれから柔軟性もなかった口蹄疫の対応、これによって蔓延を招いた。今の米の過剰を放置すれば、米価下落の蔓延は来年以降も確実に続くことになります。何のために戸別所得補償をやったのか。意味がありません。
 戸別所得補償と言いつつ、実質は全国一律の支援単価であります。秋田県のように、全国一律の単価によっては収入減をカバーできない場合、なぜ政府として責任をおとりにならないんですか、鹿野大臣。
○中井委員長 ちょっとお待ちください。ちょっと待ってください。
 口蹄疫の問題も出ましたし、先ほどは名指しで篠原副大臣を言われましたから、両方、二つ答えてください。米価下落の問題、責任と、それから口蹄疫の問題。(宮腰委員「委員長、時間がないんです、後もあります」と呼ぶ)そうですか。質問されたら答弁するのが義務ですから……(宮腰委員「いやいや、後の質問もありますから」と呼ぶ)それでは、口蹄疫のことはいいですか。(宮腰委員「いいです」と呼ぶ)はい。
 それでは、鹿野農水大臣。
(後略)

○遠藤(乙)委員 いずれにしても、猛省を踏まえて最大の努力をしていただきたい、強く要請したいと思っております。
 それから、外交問題そのものではありませんが、危機管理、これも非常に全体に関連しますのでお聞きします。お聞きしますといいますか、意見を述べたいと思うんですが、先般の口蹄疫の問題がありました。これはやはり民主党政権の大きな失敗だったと私は思っております。
 二〇〇〇年に口蹄疫が発生しました。これは宮崎県、北海道で発生をしましたが、大変初動がうまくいって、初動段階でこれは制止することができた。全体で七百四十頭の殺処分で終わったわけであります。ところが、今回、二〇一〇年の宮崎県で発生をした口蹄疫は、あっという間に広がり、初動で失敗したことにより、最終的には二十八万八千三百頭の殺処分を行ったわけであります。
 ぜひ私は申し上げたいんですが、実は、もう三月末ごろから口蹄疫の発生は伝えられておりました。四月の末、連休前のときになって、民主党政権、鳩山政権の閣僚の出張案件が、私は議運の理事会の理事をやっておりますので、出てきた。その中で農水大臣の出張も入っておりました。私はそれを見て、こんな時期に出張していいのかということを問題提起しまして、もう口蹄疫が発生している、陣頭指揮をしてやるべきではないかという趣旨で、大丈夫かということで申し上げたわけであります。
 官邸を代表して出てこられた当時の官房副長官は、大丈夫です、万全の体制をとっております、御安心くださいと大見えを切ってこの出張案件を押し切ったんですね。ところが、連休が明けてみたら、燎原のごとく広がって、大変な悲惨な実態になってしまいました。
 これは一事が万事ということだと思いますけれども、やはり民主党政権にこういった口蹄疫という非常に重大な問題について危機意識が薄かった、管理ができなかった、管理危機ではないか、管理危機内閣だと私は当時思ったわけでありまして、案の定、連休明けに大変な悲惨な事態になりまして、やっと八月に入って終息をしましたが、まさにこれも民主党政権の危機管理意識の薄さ、強く私はこれは指摘したいと思っております。
(後略)
○仙谷国務大臣 口蹄疫問題から危機管理の問題に問題提起をされておりますので、お答えをいたしたいと存じます。
 まず、口蹄疫でございますが、少なくとも菅内閣が成立した、六月の八日だったと思いますが、それ以降の動きは、戦力の集中的投入といいましょうか、逐次投入を絶対やってはならない、一挙にここは埋却に、本格的に、どんなことがあっても取り組むべしというのが総理の指示でございまして、現に六月二十日までにはその計画ができ上がって、つまり二週間たたずにほぼ口蹄疫ウイルスの広がりをなくすることができたというふうに事実としてなっております。
 私は、そのことについて、口蹄疫の危機管理というのは、それは集中的な投入、あるいは各省庁間や宮崎県との調整というものに手間取っておりましたけれども、少なくとも六月の八日以降にはこれが極めてスピーディーに運んだということが一つであります。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第3号 平成二十二年十月十五日(金曜日)   午前九時一分開会

○白浜一良君 公明党の白浜一良でございます。
 議題に入る前に、昨日の国会の動きを通しまして、一問だけ農水大臣に確認をいたしたいと思います。
 宮崎県の口蹄疫、終結いたしまして、今畜産業も再建の過程でございますが、もとよりこの問題、我が党はいち早く現地調査をいたしまして、対策特措法を原案作りまして、各党の協力でさきの国会で特措法が成立いたしました。
 残る課題は、国からいわゆる手当金、特にもう断腸の思いで牛や豚を殺処分されたと、そういう農家に対して手当金を出そうということですが、これにもいわゆる所得税も住民税も掛かるわけですから、これを掛からないようにしよう、免税措置をしようということでいろいろ働きかけてまいりましたが、昨日、民主党の方でも最終的にこの案をのまれるということで、早ければ来週中にも議員立法でこの措置をしようということが決まったと。大変喜ばしいことだと思うわけでございますが、この措置をしても再建のためにはこれからも大変努力が要ると思います。
 そういうことも含めて、農水大臣の感想と決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(鹿野道彦君) 口蹄疫対策に取り組んでいただいた関係者の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。
 今、白浜先生からお話がございましたけれども、今後のことにつきましては、税の問題につきましても御検討をしていただいているところでありますけれども、現在、第三者による口蹄疫対策検証委員会におきまして、口蹄疫発生前後の国あるいは県なりの防疫体制というものがどうであったのかということを含めて検証いたしているところでございます。
 先月の十五日でございますけれども、これまでの議論を整理して、言わば中間報告という形で公表させていただきましたけれども、大体十一月中くらいまでには最終報告を出していただきたいと、こんなふうに思っておりますが、それを受けて、家畜伝染病の予防法の改正等、今後の口蹄疫の防疫対応の強化につなげていきたいと、こんなふうに思っております。
○白浜一良君 検証も大事でございますが、再建支援もずっと大事でございまして、しっかり支援をしていただきたいと思うわけでございます。
(後略)

第176回国会 議院運営委員会 第4号 平成二十二年十月十九日(火曜日)    午後零時三分開議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件
 各種委員等の選挙の件
 本日の本会議の議事等に関する件
     ――――◇―――――
○川端委員長 これより会議を開きます。
 まず、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件についてでありますが、裁判官弾劾裁判所裁判員である小平忠正君、古賀一成君及び同予備員である松原仁君並びに裁判官訴追委員である奥村展三君及び同予備員である松崎公昭君、吉田おさむ君から、それぞれ辞職願が提出されております。
 本件は、本日の本会議において議題とするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○川端委員長 次に、各種委員等の選挙の件についてでありますが、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件が本会議において許可されましたならば、引き続き同裁判員及び同予備員並びに同訴追委員及び同予備員の選挙と、お手元の印刷物にあります各種委員の選挙を行うことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 この選挙は、その手続を省略して、議長において指名することになりますから、御了承願います。
 なお、後任の候補者として、民主党・無所属クラブ及び自由民主党・無所属の会から、お手元の印刷物にあります諸君を届け出てまいっております。
    ―――――――――――――
 一、各種委員等の選挙の件
  裁判官弾劾裁判所裁判員
   牧野 聖修君(民主)
   後藤  斎君(民主)
   古本伸一郎君(民主)
  同 予備員
   大谷 信盛君(民主)
   手塚 仁雄君(民主)
   (予備員の職務を行う順序は、大谷信盛君、手塚仁雄君、柴山昌彦君、福田昭夫君の順序とする。)
  裁判官訴追委員
   赤松 広隆君(民主)
   大島  敦君(民主)
   武正 公一君(民主)
   齋藤  勁君(民主)
   三日月大造君(民主)
  同 予備員
   山井 和則君(民主)
   泉  健太君(民主)
   楠田 大蔵君(民主)
   (予備員の職務を行う順序は、山井和則君、村井宗明君、泉健太君、稲田朋美君、楠田大蔵君の順序とする。)
  検察官適格審査会委員
   川内 博史君(民主)
   辻   惠君(民主)
   (現に予備委員である石関貴史君は川内博史君の予備委員とし、また現に予備委員である太田和美君は辻惠君の予備委員とする。)
  日本ユネスコ国内委員会委員
   松野 頼久君(民主)
   高井 美穂君(民主)
  国土審議会委員
   津島 恭一君(民主)
   小川 淳也君(民主)
  国土開発幹線自動車道建設会議委員
   長安  豊君(民主)
   石原 伸晃君(自民)
    ―――――――――――――
○川端委員長 次に、本日総務委員会から提出された平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案、財務金融委員会から提出された平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案の両法律案について、それぞれ委員長から緊急上程の申し出があります。
 両法律案は、本日の本会議において緊急上程するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
○川端委員長 次に、本日の本会議の議事の順序について、事務総長の説明を求めます。
○鬼塚事務総長 まず最初に、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員並びに裁判官訴追委員及び同予備員辞職の件についてお諮りをいたします。
 辞職の件が許可されましたならば、引き続いて各種委員等の選挙を行います。この選挙は、動議により、手続を省略して、議長において指名されることになります。
 次に、動議により、総務委員会の法律案を緊急上程いたします。原口総務委員長の趣旨弁明がございまして、全会一致でございます。
 次に、財務金融委員会の法律案を緊急上程いたします。石田財務金融委員長の趣旨弁明がございまして、全会一致でございます。
 本日の議事は、以上でございます。
    ―――――――――――――
○川端委員長 それでは、本日の本会議は、午後零時五十分予鈴、午後一時から開会いたします。
    ―――――――――――――
○川端委員長 次に、次回の本会議及び委員会は、追って公報をもってお知らせいたします。
 なお、明二十日水曜日午前十一時から理事会を開会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時六分散会

第176回国会 財務金融委員会 第1号 【平成22年10月19日】
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件

○石田委員長 次に、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。
 まず、本起草案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 本年四月以降に発生が確認された口蹄疫は、関係者の懸命の努力により八月に終息宣言がなされましたが、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、これにより、宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けております。
 本起草案は、このような状況にかんがみ、「必要な税制上の措置を講ずる」とした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して、緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 本起草案は、個人または法人が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの期間内に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金や口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等の交付を受けた場合に、当該交付を受けた手当金等について、税制上、次の特例措置を講ずるものであります。
 第一に、個人が交付を受けた手当金等については、当該手当金等の交付を受けた日の属する年分の当該交付により生じた所得に対する所得税を免除することとしております。
 第二に、法人が交付を受けた手当金等については、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額は、当該交付を受けた日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとしております。これにより、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額に対しては法人税が課されないことになります。
 なお、本特例措置による国税の減収額は、約十三億円と見込まれております。
 以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案
(後略)

第176回国会 総務委員会 第1号 平成二十二年十月十九日(火曜日)    午前十一時四十分開議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案起草の件

○原口委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得た次第でございます。
 この際、私から、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 まず、本起草案の趣旨について申し上げます。
 本年四月以降に発生が確認された口蹄疫は、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けております。本起草案は、このような状況にかんがみ、「必要な税制上の措置を講ずる」とした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して、緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 次に、その内容について申し上げます。
 個人住民税の所得割の納税義務者が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの間に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金や口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等の交付を受けた場合に、当該手当金等の交付により生じた所得に係る個人住民税の所得割の額を免除するものとしております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○原口委員長 お諮りいたします。
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○原口委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十三分散会

第176回国会 本会議 第4号 平成二十二年十月十九日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成二十二年十月十九日    午後一時 本会議    午後一時二分開議

○小宮山泰子君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 総務委員長提出、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案(総務委員長提出)
○議長(横路孝弘君) 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。総務委員長原口一博君。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔原口一博君登壇〕
○原口一博君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、法案の趣旨につきまして御説明申し上げます。
 本年四月以降に発生が確認された口蹄疫は、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けております。
 本案は、このような状況にかんがみ、「必要な税制上の措置を講ずる」とした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して、緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 次に、その内容につきまして御説明申し上げます。
 個人住民税の所得割の納税義務者が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの間に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金や口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等の交付を受けた場合に、当該手当金等の交付により生じた所得に係る個人住民税の所得割の額を免除するものとしております。
 本案は、本日総務委員会におきまして全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○小宮山泰子君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 財務金融委員長提出、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。
○議長(横路孝弘君) 小宮山泰子さんの動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(財務金融委員長提出)
○議長(横路孝弘君) 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。財務金融委員長石田勝之君。
    ―――――――――――――
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石田勝之君登壇〕
○石田勝之君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 本案は、口蹄疫対策特別措置法における税制上の措置に関する規定を踏まえ、平成二十二年四月以降発生が確認された口蹄疫により被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して、緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 個人または法人が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの期間内に、家畜伝染病予防法や口蹄疫対策特別措置法の規定により交付を受けた手当金等について、税制上、次の特例措置を講ずるものであります。
 第一に、個人が交付を受けた手当金等については、その交付により生じた所得に対する所得税を免除することとしております。
 第二に、法人が交付を受けた手当金等については、その手当金等に係る利益の額に相当する金額は損金の額に算入することとしております。これにより、その手当金等に係る利益の額に相当する金額に対しては法人税が課されないことになります。
 本案は、本日財務金融委員会において、内閣の意見を聴取した後、全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(横路孝弘君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(横路孝弘君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(横路孝弘君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十三分散会

第176回国会 農林水産委員会 第1号 平成二十二年十月十九日(火曜日)   午前十時開会

○国務大臣(鹿野道彦君)
(中略)
 最後に、宮崎県で発生した口蹄疫については、今後、第三者検証委員会の最終報告に基づき、二度と今回のような甚大な被害を招かないよう必要な措置を講じてまいります。
 宮崎県等の畜産の復興や地域の再建に当たっては、畜産再生に向けた基金の設置等の支援策を取りまとめたところです。また、議員立法により法案提出されている発生農場に交付される手当金等に係る免税措置については適切に対応してまいります。これらを活用して、被害を受けた農家の生活再建と地域経済の再生に努めてまいる所存です。
 以上、農林水産政策に関する基本的な考え方を申し上げました。
 現在、私自らが率先して、副大臣、政務官とともに農林水産業の現場を回り、農林漁業者の方々とひざを交えた意見交換を行っているところであります。
 今後の政策の推進に当たっては、このように現場の生の声をつぶさに伺い、積極的に政策に反映するとともに、分かりやすく丁寧な説明を行い、国民の皆様により一層の関心を持ってもらえるような農林水産行政の推進に努めてまいります。
 委員長を始め委員各位におかれましては、今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
(後略)

第176回国会 文教科学委員会 第1号 平成二十二年十月十九日(火曜日)   午前十時開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
    ─────────────
○委員長(二之湯智君) この際、高木文部科学大臣、笹木文部科学副大臣、鈴木文部科学副大臣、笠文部科学大臣政務官及び林文部科学大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。高木文部科学大臣。
○国務大臣(高木義明君) この度、菅内閣において文部科学大臣を拝命いたしました高木義明でございます。
(中略)
 医師不足解消や新成長戦略実現のための医学部の入学定員の増員や、社会の要請にこたえる優れた医療人の養成、地域医療において中核的な機能を担い、高度医療を開発、提供する大学病院の機能の充実に努めます。さらに、口蹄疫等の家畜伝染病に対応した獣医師の養成強化に努めてまいります。
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第1号 平成二十二年十月十九日(火曜日)   午前十時開会

○山田委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、農林水産委員長に就任いたしました山田正彦です。
 初めに、宮崎県における口蹄疫の発生農家及び関係農家の方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
 去る六月四日に、本委員会で起草された口蹄疫対策特別措置法が公布、施行されましたが、引き続き、口蹄疫の防疫措置等についても委員各位とともに尽力してまいりたいと思います。
(中略)

○鹿野国務大臣 おはようございます。
 農林水産委員会の開催に当たりまして、委員長にお許しをいただき、所管大臣として考え方の一端を申し述べます。
(中略)
 また、国際的な管理下にある水産資源について、科学的知見に基づき持続的な利用が確保されるよう、適切な資源管理に努めてまいります。
 最後に、宮崎県で発生した口蹄疫について、今後、第三者検証委員会の最終報告に基づき、二度と今回のような甚大な被害を招かないよう、必要な措置を講じてまいります。
 宮崎県等の畜産の復興や地域の再建に当たっては、畜産再生に向けた基金の設置等の支援策を取りまとめたところであります。また、議員立法により法案提出されている、発生農場に交付される手当金等に係る免税措置については適切に対応してまいります。これらを活用して、被害を受けた農家の生活再建と地域経済の再生に努めてまいる所存であります。
(後略)

第176回国会 文部科学委員会 第1号 平成二十二年十月十九日(火曜日)   午前十時開会

○田中委員長 この際、高木文部科学大臣、笹木文部科学副大臣、鈴木文部科学副大臣、笠文部科学大臣政務官及び林文部科学大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。高木文部科学大臣。
○高木国務大臣 このたび、菅内閣において文部科学大臣を拝命いたしました高木義明です。
(中略)
 医師不足解消や新成長戦略実現のための医学部の入学定員の増員や、社会の要請にこたえるすぐれた医療人の養成、地域医療において中核的な機能を担い、高度医療を開発、提供する大学病院の機能の充実に取り組みます。さらに、口蹄疫等の家畜伝染病に対応した獣医師の養成強化に努めてまいります。
(後略)

第176回国会 外交防衛委員会 第2号 平成二十二年十月二十一日(木曜日)   午後一時二分開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○外交、防衛等に関する調査
 (尖閣諸島周辺領海内における我が国巡視船と
 中国漁船との接触事案に関する件)
 (日中関係に関する件)
 (朝鮮学校への高校無償化適用に関する件)
 (日韓併合百年の総理談話に関する件)
 (日米同盟に関する件)
 (防衛大綱の見直しに関する件)
 (武器輸出三原則等の見直しに関する件)
 (宮崎県で発生した口蹄疫への対応に係る自衛
 隊の災害派遣に関する件)
(中略)
○谷岡郁子君 確認いただけたものというふうに思いたいと思います。
 次に、この間の自衛隊の様々な活動、私は大変感謝と感激を持ってこの推移を眺めさせていただいておりました。特にこの間口蹄疫がございましたね、宮崎県で。これは、場合によって他県等へも広がれば日本の安全保障を本当に脅かしかねないゆゆしき問題であった、相手が生物であるだけに大変な問題であったろうというふうに考えております。
 これを宮崎県内に封じ込めるために自衛隊の方々が頑張られたというふうに理解をしておりますが、このことにつきまして、自衛隊の出動の規模、延べ人数、期間そして作業の内容など概要を御説明いただけますでしょうか。
○大臣政務官(広田一君) 谷岡理事の御質問に御答弁申し上げます。
 自衛隊は、七月二十七日までの約三か月間、逐次派遣規模を拡大しながら、陸自の第四十三普通科連隊を主力として隊員延べ一万八千七百二十人派遣をさせてもらいました。家畜の埋却場所の掘削であるとか畜舎の清浄化などの消毒作業、これは合計百三十八か所、消毒ポイントにおきましては二十四時間対応したわけでございますけれども、これも計十五か所など行わさせていただきました。これらの対応につきましては、宮崎県知事始め関係市町村から高く評価されたところでございます。
 実際、私も宮崎県の都城の長峯市長にも直接お伺いをさせていただきました。当初は、初期段階におきましてはやり取り等で課題等もございましたけれども、本当に自衛隊の隊員が献身的に活動をしてくれた、日々日々評価が上がったということでございます。
 そして、自分たちの寝泊まりにつきましても、ほかの応援の方々がホテル等に宿泊するときに自衛隊員は体育館で寝泊まりをして、本当に現場等にもすぐ行けるような対応をしたということでございます。そして、作業が終わって撤収するときには、地元の住民の皆さん、全然動員をしたわけではありませんが、何百人集まって涙を流しながら隊員を送り出した、そういったようなお話も直接お聞きをいたしました。そういった意味でも隊員は非常に一生懸命取り組まさせていただいたというふうに思っております。
○副大臣(篠原孝君) 今の食料自給率にお答えする前に、先ほど触れられていました自衛隊と口蹄疫の対策でちょっと感謝の意味を込めまして申し述べさせていただきたいと。
 私、三十五日間宮崎市に滞在いたしまして現地対策本部長をしておりました。感動いたしましたことはたくさんあるわけでございますけれども、その一つが自衛隊の皆さんの大活躍です。埋却措置というのは普通の方には多分できなかっただろうと思うんです。それから、交通の規制、危機管理、すべて自衛隊の人たちにやっていただきまして、川南町を去るときはもう拍手で見送られております。非常に我々も感謝しております。
 安全保障、軍事的な安全保障もあるかと思いますけれども、食料安全保障も重要でございまして……
(後略)

第176回国会 経済産業委員会 第2号 平成二十二年十月二十一日(木曜日)   午前十時開会

(前略)
○関口昌一君 とにかく、今地方の商店街というのはもう大変な状況になっているということ、やっぱり今若手も中心に商店街の活性化ということに頑張っているところでありますので、これはもう是非ここはしっかりと確保してもらいたい。これは強く要望をさせていただきたいと思っております。
 それから、あと、中小企業の基盤整備機構が行う高度化事業の見直しということで、これは実は不用資金として約二千億の国庫返納という判定結果が出たわけでありますが、この件に関して、経済産業省として全額国庫負担は難しいというような幹部の発言がございましたけれども、これは事実でしょうか。
○国務大臣(大畠章宏君) 御指摘のように、中小機構について、今年の四月の事業仕分において、保有する資産のうち二千億円程度を国庫返納すべきというコメントをいただいていることは事実でありますけれども、これに対して中小機構は、議員御指摘のように、御理解のように、中小・ベンチャー企業向けファンドへの出資や高度化融資などの事業に加えて、これまで能登半島地震やあるいは宮崎県の口蹄疫対策等について被災した中小企業への支援を行ってきたという実績もございます。
 本件については、中小企業支援施策へのニーズや災害時のこのような迅速な対応などを踏まえて総合的に検討すべき課題だろうと私としては考えておりまして、改めてその問題を整理して、このコメントに対しては対応してまいりたいと思います。
(後略)

第176回国会 財政金融委員会 第2号 平成二十二年十月二十一日(木曜日)   午前十時開会

  本日の会議に付した案件
○平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時
 特例に関する法律案(衆議院提出)

○委員長(藤田幸久君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院財務金融委員長石田勝之君から趣旨説明を聴取いたします。石田勝之君。
○衆議院議員(石田勝之君) おはようございます。衆議院の財務金融委員長の石田勝之でございます。
 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。
 本年四月以降に発生が確認された口蹄疫は、関係者の懸命の努力により八月に終息宣言がなされましたが、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、これにより、宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けております。
 本法律案は、このような状況にかんがみ、「必要な税制上の措置を講ずる」とした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、個人又は法人が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの期間内に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金や口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等の交付を受けた場合に、当該交付を受けた手当金等について、税制上、次の特例措置を講ずるものであります。
 第一に、個人が交付を受けた手当金等については、当該手当金等の交付を受けた日の属する年分の当該交付により生じた所得に対する所得税を免除することといたしております。
 第二に、法人が交付を受けた手当金等については、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額は、当該交付を受けた日を含む事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとしております。これにより、当該手当金等に係る利益の額に相当する金額に対しては法人税が課されないこととなります。
 以上が本法律案の趣旨及び概要であります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤田幸久君) ありがとうございました。
 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(藤田幸久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
(後略)

第176回国会 総務委員会 第2号 平成二十二年十月二十一日(木曜日)   午後一時六分開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、公務員制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査
 (行政制度、地方行財政、消防行政、情報通信行政等の諸施策に関する件)
 (郵政改革に関する件)
 (一般職の職員の給与等についての報告及び給与の改定についての勧告等に関する件)
○平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)

○委員長(那谷屋正義君) 次に、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院総務委員長原口一博君から趣旨説明を聴取いたします。原口一博君。
○衆議院議員(原口一博君) ただいま議題となりました法律案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、本案の趣旨について申し上げます。
 本年四月以降に発生が確認された口蹄疫は、我が国の家畜防疫史上最大級の被害をもたらし、宮崎県及びその周辺地域の経済全体が深刻な打撃を受けております。本案は、このような状況にかんがみ、必要な税制上の措置を講ずるとした口蹄疫対策特別措置法第二十七条を踏まえて、被害を受けた発生農家等の税負担の軽減を図り、地域の基幹産業である畜産業の早期の再建を目指して、緊急に対応すべき措置を講じようとするものであります。
 次に、その内容について申し上げます。
 個人住民税の所得割の納税義務者が、口蹄疫対策特別措置法の施行の日から平成二十四年三月三十一日までの間に、家畜伝染病予防法第五十八条の規定による手当金や口蹄疫対策特別措置法第六条第九項の規定による補てん金等の交付を受けた場合に、当該手当金等の交付により生じた所得に係る個人住民税の所得割の額を免除するものとしております。
 なお、この法律は公布の日から施行することとしております。
 以上が、本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(那谷屋正義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。──別に質疑、討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(那谷屋正義君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第2号 平成二十二年十月二十一日(木曜日)   午前十時一分開会
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (EPA(経済連携協定)・TPP(環太平洋連携協定)交渉に関する件)
 (戸別所得補償制度に関する件)
 (過剰米・米価下落・品質低下対策に関する件)
 (口蹄疫問題に関する件)
 (農業農村整備事業予算に関する件)
 (鳥獣被害対策に関する件)
 (漁業所得補償制度に関する件)
 (水産加工品の輸出促進策に関する件)
    ─────────────
○委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働大臣官房審議官唐澤剛君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(主濱了君) 農林水産に関する調査を議題として、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○外山斎君 おはようございます。民主党の外山斎です。
(中略)
 それでは次の質問に移らせていただきますが、お隣の韓国の中西部で鳥インフルエンザが発生したと聞いております。各県や各自治体、生産者に対する注意喚起等はどのようになっているのでしょうか。
○大臣政務官(田名部匡代君) 先生今お話しになられたように、今月の十八日に韓国で鳥インフルエンザが発生をいたしました。その日付けで、我が国といたしましても、韓国からの家禽及び家禽肉の輸入は禁止をしたところであります。
 先生御指摘のその情報提供ということ、今の取組に関してでありますけれども、一つは農林水産省のホームページに情報の提供をしております。ただ、なかなかホームページで情報提供しても御覧いただけないということもございますので、都道府県、そして獣医師会、また畜産関係の団体の方々を通じて農家の皆様に注意喚起をしていただくということを取り組んでいます。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 どうしてこの質問を聞いたのかといいますと、今回、私の選挙区でもあります宮崎県で口蹄疫が発生いたしましたが、お隣の韓国で先に発生していて、農水省としては各県や自治体に対して注意喚起等をしていたわけでありますが、後になって農家の方々といろいろお話をさせていただくと、当時、韓国等で口蹄疫が発生したということを知らなかったという農家の方が数多くいらっしゃいました。農家の方々に対して、そういった鳥インフルとか口蹄疫が我が国の近隣で起こっているという情報が正確に伝わっていれば、様々な事前の防疫体制というものは取られていた可能性もあるわけでありますから、そこ辺りが正確にやっぱり生産者の方に伝わるような仕組みに農水省としては変えていただきたいと私は思います。
 それでは、ちょっと次の質問に変えさせていただきますが、口蹄疫に関してお尋ねをさせていただきます。
 今年の四月に、私の選挙区でもある宮崎県において口蹄疫が発生をいたしました。四月二十日に第一例目が確認をされたわけでありますが、約二十九万頭の牛、豚が殺処分されるという大惨事になりました。今回の口蹄疫は我が国にとって二度目の経験であったわけでありますが、十年前に発生した口蹄疫でも、侵入ルート等の解明には至っておりません。ウイルスの侵入と伝播経路の解明は大変難しいのかもしれませんが、口蹄疫疫学調査チームも検討会を継続して開催しているようですので、侵入と伝播経路の解明が今どのようになっているのか、お聞かせください。
○副大臣(篠原孝君) 口蹄疫の感染経路の究明についてでございますけれども、今、外山委員触れられたとおりでございまして、疫学調査チームというのをつくりまして検討してまいりました。八月末に中間的整理をしております。分かっていることと、なかなか難しくて分からないことがございます。
 分かっていることは、香港や韓国、ロシアから分離した株と非常に近いウイルスであるということが分かっております。それで、これらの近隣諸国から人や物を通じて感染してきたということが分かっております。具体的な感染経路でございますけれども、初期の事例を中心にして調査はしてまいりましたけれども、アジアの近隣諸国というのは分かっておりますけれども、特定な人と物というのはまだきちんとしておりません。更なる調査が必要じゃないかと思っております。
 ですから、今やっていることでございますけれども、疫学調査チームは、初期の発生事例農家に重点を絞りまして、更に情報収集しておるところでございます。そうした検討結果については、更に調査、分析いたしまして、きちんと公表してまいりたいと思います。
 ただ、限界もありまして、各農場で人や物の出入りをちゃんと記録したりする義務というのは別にありませんので、調査対象の方の記憶に頼ってやっているような状況でございますので、なかなか限界もあると思います。しかしながら、調査分析を進めまして、今後の防疫体制の強化に努めるためにも、こういった結果はきちんと分析し公表してまいりたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 いろいろな検証によると、三月二十七日ですかね、水牛農家が初発だったんではないかという調査もあります。水牛農家は第六例目であったわけでありますが、宮崎県内において多くの農家さんが第七例目の大規模農場が可能性として高いんではないかという声なんかもあります。そういったところも含めて、ちゃんと元従業員等含めて調査をしていただきたいと思っております。
 なかなかルート解明、侵入経路の解明等は難しいのかもしれませんが、難しいならそれとは別に国としての防疫体制というものをしっかり取っていかないといけないと思っております。二度とこのような事態を招かないようにするためには万全の水際対策等が必要なわけでありますが、現在お隣の中国やまたモンゴルでも口蹄疫が発生しておりますが、そちらの国の方から入ってきた、日本に入国した方々に対する防疫体制は現在どのようになっているのでしょうか。
○大臣政務官(田名部匡代君) 今委員がおっしゃったように、本年に入って中国や韓国また台湾でも口蹄疫が発生しているということで、これだけ人や物が行き来する中で、非常に我が国においても口蹄疫の危険性というのは高い状況にあるというふうに認識をしております。
 まず一つ、取組としては当然発生した国からの牛肉等の輸入を禁止をするということ。そして、今空港なんかで靴底の消毒をするということで、この消毒によってウイルスを防ぐと、入ってくるのを防ぐということを取り組んでおります。さらには、第三者によります口蹄疫対策検証委員会において更なる検証が現在行われているというふうに思っております。
○外山斎君 是非、入国の際の防疫、消毒等というものはしっかりやっていただきたいと思います。
 ただ、その発生している国から来た人だけに対して消毒をするというのでは、今いろいろ、例えば経由便とか、例えば他の国に寄って日本に入ったりする人たちもいます。
 私も以前、イギリスにいた当時、イギリスで口蹄疫が発生し、日本に帰国したら、ドイツを経由して帰ってきたわけでありますが、イギリスから入国する人に対してはそういった消毒は行われていたわけでありますが、ほかの国を経由して帰ってくる人たちに対しては何ら消毒がされていなかったということもありますので、そこ辺りも含めてちゃんと関係機関と連携を取っていただいて、しっかりした消毒体制というものを取っていただきたいと思っております。
 その中でまた、国によっては例えば入国する際に農場への立入りをしたかどうかを申告させるというような入管の検査があるようですが、そういったものも含めて我が国としても私は導入する必要性があるのではないかと思っております。
 そこに対する農水省としてのお考えをお聞かせください。
○大臣政務官(田名部匡代君) 先生お話しになられたようにオーストラリアであるとかアメリカでは、過去一定の期間に農場に立ち入ったかどうか、その有無を申告するというような取組をしているところもございます。
 私たちも、今後、そういった諸外国の取組も踏まえ、さっき申し上げた検証委員会のそういった御意見も踏まえて、更なる措置というものを強化していく必要があると思っておりまして、もう一つは、検疫探知犬というのが日本にも二頭いるんですけれども、その手荷物をその探知犬がにおいで肉が入ってきていないかとかという、においでかぎ分けるというような、まあ二頭しかいないんですが、そういったことも、探知犬も利用しながら検疫の強化が図れないかどうか、そんなこともしっかりと検証しながら取り組んでまいりたいと思います。
○外山斎君 お答えありがとうございます。しっかりとした対策を練っていただきたいと思います。
 次に、牛豚等疾病小委員会に関してお尋ねをいたします。
 今回の口蹄疫では様々な判断が牛豚等疾病小委員会の開催後に下されております。しかしながら、農水省の決定に影響を与えている委員会の割には、口蹄疫発生中の委員会の開催の頻度が低かったようにも感じられます。
 私も口蹄疫が発生している中、農水省の担当の方々を呼んでいろいろと意見交換をさせていただいて、その中で地元の団体や農家の方々が求めている対策についていろいろお話をさせて、伝えさせていただいておりましたが、その中で農水省の担当官が私に言われたのが、当初ですけど、口蹄疫、これは大体エリア内に収まっているから想定内ですと、私が飛び火するのではないかと言っても、大丈夫です、想定内ですということで当初ありました。
 後でいろいろ調べてみますと、牛豚等疾病小委員会も同じようなことを言われていたわけであります。私自身は、その牛豚等疾病小委員会が農水省をリードしていたのか、農水省が牛豚等疾病小委員会をリードしていたのかというのは知る立場ではありませんが、やはり地元の正確な情報が正確には伝わっていなかったのではないかなと思っております。
 また、その牛豚等疾病小委員会のメンバーを見てみますと、専門家は多いのかもしれませんが、現場や現地の事情等に精通した人が少なかったように感じます。農水省の決定に大きな影響を与える委員会であったわけでありますから、現場の声を正しく酌み取りながら頻繁に委員会を行えるように組織を改編するべきだと考えますが、農水省としてはどのようなお考えでしょうか。
○大臣政務官(田名部匡代君) この牛豚等疾病小委員会についてでありますけれども、これまでに五回開催をされておりまして、随時委員の意見を聞いてまいりました。
 その上で、防疫対策というものを実施してきたわけでありますけれども、先ほど申し上げた口蹄疫の対策検証委員会では、この小委員会の開催の頻度であるとかワクチンの接種のタイミングなど問題があったのではないかという、そういった御指摘もあり、小委員会の在り方そのものを検討すべきではないかという御指摘があったところです。そういうことも踏まえて、私たちもこの検証委員会の最終報告というものを踏まえて、小委員会の在り方、また構成等についても検討していく必要があるのではないかと考えています。
 先生おっしゃったように、できるだけ現場で仕事にかかわっていらっしゃる皆さんの声がしっかり聞けるような体制を取っていく必要があると考えておりますので、例えばオブザーバー的な形で御意見を聞くだとか、そういったことも検討してまいりたいと考えています。
○外山斎君 お答えありがとうございます。是非、やはり現場だからこそ分かっている情報等もありますので、そういった方々が国に対してちゃんと正確な情報を伝え、そしてまたこうやった方がいいんじゃないかということを言えるような仕組みに変えていただきたいと思っております。
 今回の口蹄疫で牛豚が約二十九万頭殺処分されるという未曾有の大災害になったわけでありますが、ここまで被害が大きくなった理由には様々なことが挙げられると思います。いかに迅速に殺処分を行うか、また感染が拡大しないように封鎖等を行うかが大事だと思いますが、後の検証でも明らかになりましたが、発生が確認された時点では既にほかの農場にも飛び火していた例もありました。そのようなことから、発生するや否や早期にその農場を殺処分すると同時に、半径数百メートル、周辺の完全な封鎖と、そこにもし農場があるんだったらそういった農場も含めて私は殺処分、さらにはその周辺の狭い範囲でよいのでワクチン接種して封じ込めることが現実的な対応と思います。
 私も当初から、今回口蹄疫が発生したとき、農水省の方々にも、やっぱり韓国のように半径五百メートルですべての農場を殺処分する方がいいんじゃないかということを伝えさせていただきましたが、なかなかそれはできませんというお答えでありました。
 そして、いずれ家伝法の改正になるわけでありますが、農水省としてはどのように今後の殺処分を含めて封じ込めを考えているのか、お聞かせください。
○副大臣(篠原孝君) 口蹄疫の蔓延防止には、今、外山委員御指摘のとおりでございまして、早期発見、それで早期埋却処分、これがベストだと思っております。
 隣の韓国では、原則五百メートル以内に予防的殺処分ができると、場合によっては三キロメートル以内も予防的殺処分をするという、そういう措置を講じているのを承知しております。
 我が国におきましても、最初はちょっと戸惑いがあったかもしれませんけれども、私は六月九日に農林水産副大臣を拝命いたしまして、農林水産省には一時間しかおりませんで、次の朝一番早い便で宮崎に行きまして、三十五日間おったわけですが、その私が行ったときにはえびの方式というのが盛んに言われておりましたが、えびの市に、ちょっと遠いところですが、飛び火したと。そのときにもう宮崎県の方は学習しておられまして、四月二十八日に発生したわけですけれども、一日で埋却処分をしてしまったと。こういうやり方が有効だと分かりましたので、その後、その後というか、六月九日に都城市に飛び火し、六月十日には西都、日向、宮崎に飛び火したわけですけれども、これは東国原知事がよくおっしゃいますけれども、初動はともかくその後は万全であったと、私はそのとおりだと思います。今申し上げました都城、西都、日向、宮崎、全部一日でもう埋却処分をしております。こういったことが有効ではないかと思っております。
 現在、第三者によります口蹄疫の検証委員会を開いておりまして、八月五日に第一回を開催いたしまして、つい最近、十月十九日には宮崎県の口蹄疫の検証委員会と合同の委員会を開きまして、十二回開いております。中間的な整理というのを九月十五日にしておりますけれども、ここでは予防的殺処分にどういうふうに触れているかといいますと、初動が一番大事であると。そう簡単にワクチン接種をしたり予防的殺処分をするのは良くないと。つまり、今、二回、三回触れられましたけれども、二十九万頭もの牛と豚を処分するというのはやっぱり異様ですので、なるべくそういうことは避けるべきであると、初動が一番大切だというのが一つでございます。
 それから、初動の対応で蔓延防止ができなかったときは、ここからがちょっと問題なんですが、経済的補償も含めてきちんとしまして、予防的殺処分も、家畜伝染病予防法の改正を予定しておりますけれども、そういったところにちゃんと位置付けていくべきではないかという指摘を受けております。
 農林水産省といたしましては、今もやっているわけですけれども、検証委員会の最終報告を踏まえまして、家畜伝染病予防法に予防的殺処分も必要とあらばきちんと位置付けてまいりたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございます。
 確かに早期に殺処分するのは、これは私は絶対やらないといけないと思っております。
 えびのや都城ですぐに封じ込めることができたのはそういったことがあったのかもしれませんが、ただ、現実問題として、都農町で発生したとき、これはもう四月二十日に明らかになったわけでありますが、その時点では既にもうほかの農場にも飛び火していたわけであります。そういった事態もあるわけでありますから、やっぱり韓国のように、私は、どこかが発生したら半径何百メートル以内の農場はすべてもう殺処分しているというやり方でないと、多分えびのとか都城というのは川南とか児湯郡の方から飛び火してきて、それでウイルスが広まってなかったからできたことであって、都農、川南みたいにもう既に発見できたときには蔓延していたというような事例というのも今後起こり得ることだと思っておりますので、是非予防的殺処分を考えていただきたいなと思っております。
 今回の口蹄疫で殺処分が遅れた背景には埋却地の問題もあったわけであります。家伝法が制定された昭和二十六年当時と比べると畜産は大型化し、家畜所有者が、疑似患畜が発生した場合、自らの責任で焼却又は埋却を行うとの家伝法上の義務を果たすことは大変今は困難になってきております。そういうこともあって、特措法では、農水大臣が指定する地域において患畜等の所有者は家畜防疫員に焼却又は埋却を求めることができるとするとともに、埋却地の確保や作業従事者の派遣について地方公共団体の努力義務、国の義務を定めました。
 特別措置法ではその附則において家伝法の抜本的見直しを含む検討を行うとしておりますが、患畜等の所有者において埋却地を確保すべきとなっている現行法をどのように農水省としては見直すおつもりなのか、考えをお聞かせください。
○副大臣(篠原孝君) 埋却には埋却地が必要でございます。家伝法は確かに古い法律でございまして、こんなに規模が拡大することを予定していなかったわけですね。ですから、小さな生産者、畜産農家を想定しておりますので、農家が埋却地を確保するようにという規定になっております。
 しかし、現実には土地の制約というのはそれほどなかったもので、耕種型農業というのは規模拡大が進まなかったんですが、畜産においては、まず鶏で進む、鳥で進みまして、豚で、牛にと、もう大規模農場ばかりになって、宮崎県はそのいいある意味では見本だったのではないかと思います。想定外の大きさになっておるわけですね。ですから、川南町や児湯地区の大規模農家が埋却地に困ったと、これが初動が遅れた原因になっておるわけでございます。
 こういった指摘は、先ほども申し上げました第三者の検証委員会でも九月十五日に指摘しております。
 どうしていくかというと、現実がそういうふうに進んでしまっているわけでして、やはり都道府県が中心になってもらわなければならないと、都道府県が市町村、国と協力して埋却地の確保に努めるということが現実的じゃないかと思っております。こういったことをまだ検討していただいておりまして、この検討委員会の報告を待ちまして、先ほどと同じなんですが、予防的殺処分と同じでございます、家畜伝染病予防法の中に入れ込むかどうかということも含めまして検討してまいりたいと思っております。
○外山斎君 お答えありがとうございました。
 それでは、総務省の方にお尋ねをいたしますが、今回の口蹄疫で多くの自治体が基金を取り崩して蔓延防止の様々な対応や農家への支援に対応したわけでありますが、これらの自治体は、基金の取崩し分に対して交付税措置をしてほしいとの声があります。総務省としては自治体の基金の取崩しにどのように対応されるつもりなのか、お聞かせください。
○大臣政務官(逢坂誠二君) まず冒頭に、今回の口蹄疫対策については、宮崎県はもとより九州各県の農家の皆さん、関係者、関係団体の皆さんが本当にもう大変な御努力をされて対応されたということに対して、心からのまたお礼を申し上げると同時にお見舞いを申し上げたいと思います。
 それで、まず口蹄疫対策でございますけれども、これはもう政府を挙げて取り組むことだというふうにしているわけでございまして、総務省としては、地方公共団体が万全の対策を実施できるように、地方公共団体が負担した経費については、今、外山委員から御指摘のありました例えば財政調整基金などの取崩しで対応した経費を含めて特別交付税措置をすることとしております。特に、口蹄疫特措法に基づく殺処分の損失補償や消毒ポイントの設置、運営経費などについては、今回の特例措置として全額を特別交付税で措置をすることとしております。
 さらに、復興対策として、農畜産業振興機構に設置される基金に関連する地方負担分、さらに基金事業以外に宮崎県などの地方公共団体が独自の判断で行う風評被害対策や農家支援対策等の単独事業についても、その八割を特別交付税で措置することとし、関係地方公共団体の円滑な財政運営に支障が生じないよう適切に対処してまいりたいと思っております。
 なお、これらの特別交付税措置でございますけれども、これまでこうした措置については三月の交付分で対処することとしていたわけですが、今年度からは基本的には十二月分で対処できるように何とかできないかということで今事務手続を進めているところでございます。
 以上です。
○外山斎君 お答え、ありがとうございました。自治体は大変心配しておりますので、どうぞ万全の対策を取っていただくことをお願いいたします。
 それでは、獣医師の問題についてお伺いをいたします。
 今回の口蹄疫では多くの獣医師の先生方が殺処分やワクチン接種に従事をされました。その中には、自主的というか、地元の対策本部に行ったら是非来てくださいという返事があったので参加された開業獣医師の先生方もいらっしゃったわけでありますが、その方々には今回手当等は支給をされておりません。
 家伝法の枠内でいえば、県からの要請があった獣医師に対しては雇入れ獣医師として手当の支給があります。しかしながら、今回のように大規模に発生し、獣医師が足りないということで、市町村からの依頼なので献身的に従事された獣医師の先生方もいらっしゃるわけでありますが、ボランティアということで切り捨てるのではなく、何らかの対応が私は必要だと思いますが、農水省としてはどのようなお考えでしょうか。
○副大臣(篠原孝君) 今回の口蹄疫、未曾有の大変な事態でしたので、延べ二万五千人の獣医師の皆さんに、獣医師の皆さんだけじゃないんですが、二万五千人の方々にいろいろ参加していただきました。その中には民間のボランティアの方が相当おられたというのは承知しております。予想よりも長期化いたしましたし、その皆さんに多大な負担を掛けているということは我々承知しております。
 今御指摘のようなことがありましたので、農林水産省としては、ボランティアに参加した方、ちょっとぐらいだと思ってこれ来ていただいたんですが、ところがちょっとどころじゃなくて何週間にもなり、地元の県に帰って獣医師活動をしようと思ったら一週間現場に出てはいけないというようなこと、後でみんな分かってくることなんですが、大変だったわけです。それは何も手当がないのはおかしいじゃないかというのは、私が三十五日間いる間にももうそういう指摘を受けております。
 手当てはしておりまして、雇入れの手続を行った獣医師の手当については、家畜伝染病予防費、負担率が二分の一でございますけれども、これが活用できるということで宮崎県には通知しております。ですから、宮崎県の方はこの通知を基にきちんと手当てをしてくれていると思っております。
○外山斎君 ちょっと私の聞いている質問とは若干違うんで、今副大臣がお答えになったのは県が管理している雇入れ獣医師の話なんですけれども、私が話しているのはどちらかというと、児湯地域に特に多いんですけれども、民間の開業獣医師さんがいらっしゃいまして、地元の対策本部へ行ったら手伝ってよということで、その方々も当初は数日間程度だと思って従事をされたわけです。しかしながら、ずっとこれが長期化していって、なかなかやっぱり、獣医師という立場で殺処分やワクチン接種を行っている上で、なかなかやっぱり周りとの関係等もありますので、これは抜け出せなくなっていって、最後まで従事していたわけでありますが、要はその期間、全く日当等を含めて出なかったという問題があります。
 ほかの、例えば農済とか、ほかの県からの獣医師さんというのは多分給与をもらっていながら参加しているわけでありますが、地元の、特に発生地域の開業獣医師さんというのはもう全く所得がなく手伝っていたわけであって、口蹄疫ワーキングチームでも何人かの民主党の議員の先生たちでいろいろと獣医師の先生方ともお話をさせていただいたときに、やはりこういった問題があるから対処してほしいというお声がありました。
 だから、私が言っているのは、そういった民間獣医師の人に対して何らかの対応が必要なのではないかということであって、農水省としてはどのように考えているのかお聞かせくださいということなので、改めてお聞かせください。
○委員長(主濱了君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○副大臣(篠原孝君) そういう、我々は手当てし切っていると思っておりましたけど、今そのような事態が生じているということでしたら、宮崎県と連絡を取りましてきちんと対処したいと思っております。
○外山斎君 まだちょっと聞きたい質問はありましたが、もう時間ですので、これで質問を終わらせていただきます。

○野村哲郎君 自由民主党の野村哲郎でございます。
(中略)
 さて、この一年間、新政権になりましてから、赤松大臣そして山田大臣と一年間でお二人、三人目で鹿野大臣でありますが、私どもはこの委員会でいろんな議論をさせていただきました。特に戸別所得補償制度のモデル事業を実施された年でありましたので、ほとんどの質疑はこれに充てられたと。あるいはまた、口蹄疫が、先ほども質問がありましたけれども、口蹄疫も発生しましたので、この問題が中心になっていたと思いますが、思いますが、ただ、赤松大臣、山田大臣とはなかなか議論がかみ合いませんでした。
(中略)
○副大臣(篠原孝君)(前略)
、農業団体も一丸となってこうした誤った運用を直していただくことが一番だと思います。それは我々、ある程度そういう動きはあるのかなというのは想定いたしましたけれども、それが蔓延しているとしたら、やっぱりそれは根絶、口蹄疫と同じですけれども、そうした動きは根絶しなければいけないと思っております。
○野村哲郎君 今お答えいただきましたけれども、確かにこの政策を進めていかれる三役の皆さん、あるいは役所の皆さんもそうあるべきだろうということは分かっていますけれども、実態、現実としてこういうことが、性善説でお考えになったものが悪用されている、運用でどうにかそこをやっぱり是正していかなきゃならないというのは分かりますけど、これがどれほどまで功を成していくのか分かりませんが、いずれにしても現実はそういうところがいっぱい出てきたということだけは是非御承知おきいただきたいと思います。
(後略)

第176回国会 本会議 第4号 平成二十二年十月二十二日(金曜日)   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第四号  平成二十二年十月二十二日   午前十時開議
 第一 平成二十二年四月以降において発生が確 認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出 )
 第二 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、永年在職議員表彰の件
 以下 議事日程のとおり

○議長(西岡武夫君) 日程第一 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長藤田幸久君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔藤田幸久君登壇、拍手〕
○藤田幸久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院財務金融委員長提出によるものでありまして、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等の交付を受けた個人及び法人について、所得税の免税及び法人税の損金算入の特例措置等を設けようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院財務金融委員長石田勝之君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(西岡武夫君) 日程第二 平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等についての個人の道府県民税及び市町村民税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長那谷屋正義君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔那谷屋正義君登壇、拍手〕
○那谷屋正義君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に起因して生じた事態に対処するための手当金等の交付を受けた個人について、当該手当金等の交付により生じた所得に係る道府県民税及び市町村民税の所得割の額として政令で定める額を免除しようとするものであります。
 委員会におきましては、衆議院総務委員長原口一博君から趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
○議長(西岡武夫君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
○議長(西岡武夫君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
○議長(西岡武夫君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十五  
  賛成            二百十五  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第2号 平成二十二年十月二十六日(火曜日)    午前十時一分開議

○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。
 四十五分間、きょうは、鳥獣被害対策、森林・林業、水産業、時間があれば口蹄疫、これらについて質問をさせていただきたいと思います。
(後略)

○江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。
 大臣、御就任おめでとうございます。副大臣それから政務官、皆さん、本当におめでとうございます。尊敬される先生ばかりが御就任をされまして、頼もしい思いもいたしておりますが、今の答弁を聞いておりますとちょっと不安にもなりました。また、政務官のお父さんには、私はアイスホッケーをしておりまして、その時代に、お父さんにリンクまで来てコーチまでしていただきまして、個人的にも大変お世話になりまして、よろしくお伝えをいただきたいと思います。
 きょうは、十月二十日の鹿野大臣の発言に沿って私とすれば質問させていただきたいというふうに考えておりますが、まあ突っ込みどころがたくさんあり過ぎまして、しかも我が政党には論客がそろっておりますので、重複を避けた形で議論をしていきたいというふうに思っております。
 それに先立ちまして、まず口蹄疫について触れさせていただきたいと思います。
 きょうで口蹄疫が発生してから百九十日です。そして、終息宣言がなされてからはや六十一日がたちました。そして、八月三十一日から、いわゆる観察牛、おとり牛を入れて、感染しないかどうか経過措置を見てきました。これも、先週の金曜日に、全部無事だということで観察が終わりまして、これで十一月一日から論理的には経営再開ができるというところまでこぎつけることができました。農家にも地域にも大分笑顔が戻ってきつつあります。意欲も高まっています。
 しかし、その一方で、例えば、消石灰を吸い込んでうちの子供がぜんそくになったとか、殺処分の現場を見て、心に傷を負ってしまって不登校になったとか、それとか、中には、もうこんな思いをするのは嫌だからこの際畜産はもうやめるという方がおられるのが残念なことですけれども、そういう方をみんな励まして、これから、少しでも多くの方がもう一度畜産の世界に帰ってこられるように努力をしたいというふうに思っています。
 一連の対策に関してはいろいろ言いたいことはあります。百点とは到底申し上げられません。しかし、ここでけちをつけても仕方がありませんので、もういたしません。
 だけれども、委員の方々、皆さんそうですけれども、一生懸命、真剣に、真摯に御議論いただいたことは間違いのないことであります。宮崎県も、市町村もです。ですから、そのすべての皆様方に、この場をかりまして、私は宮崎県の人間としてお礼を申し上げたい。皆様、本当に御苦労さまでございました。ありがとうございます。そして、この間、全国から、本当に物心両面、たくさんの温かい御支援、例えばネットで物を買うとか、お手紙をいただくとか、寄附金ももちろんですけれども、義援金、こういったものでどれだけ宮崎県民が励まされたかわかりません。そういった方々にもこの機会を通じましてお礼をぜひ申し上げておきたいと思います。
 しかし、委員の皆さん、それから三役、委員長にもぜひお願いをしたいんですが、口蹄疫の最終的な終息は、本当に農家の経営が軌道に乗るとき、そして宮崎県の経済が復活するとき、そのときが口蹄疫問題の解決のときですから、それまでは温かい御理解、御支援、真摯な御議論をどうぞよろしくお願いしたい。これは私からのお願いでございます。
 先日、政府が設置をいたしました口蹄疫対策検証委員会の委員長さん、山根義久先生、この方とお話をする機会を持つことができました。いろいろ刺激的な御発言もありましたが、この場では避けさせていただきます。
 そこで非常に印象に残ったのは、まずは、こういうことは責任の所在をはっきりせないかぬと。それはどこにあるべきかという意見は、やはり国だというのが御意見でございました。それから、水際対策がやはり日本は他国に比べて非常に不十分だねと。これだけアジア各国で、モンゴルでも出ているのに、まだそんなに強化されていない。何か犬を使ってどうたらこうたらという話は聞いていますけれども、全然、そんなに強化されたという感じじゃありません。このことを指摘されていました。
 そして、イギリスでは、越境性動物疾病については、今は家伝法によって初動は県の責任ということになっていますけれども、大発生したときに、二〇〇六年に、国にこの責任を一元化しよう、口蹄疫が次に起こったら全部国で対応しようということで、DEFRAという機関をつくったということを教えていただきました。これによって、口蹄疫が発生したら、国の担当官が、専門家ですよ、すぐ行って、そして価格交渉もして、殺処分してすぐ埋めたから、二〇〇七年は最小限の被害で済んだと。なるほど、すばらしいな。
 今の政治の流れからいいますと、例えば出先機関の統合であったり地方分権の推進であったり、そういうことを考えると、国にそういう機関を新設するということは、これは流れに逆行するかもしれませんけれども、しかし、本当であれば、日本全国に広がってもおかしくない、九州全体に広がってもおかしくない、大変な事態だったわけですから、今後また与野党を超えて議論させていただいて、このことも一つの参考としていきたい。これは御提言でございます。御答弁を求めるものではありません。
 それから、農家からたくさん言われることは、よかった、経営再建しよう、頑張ろうという人の中に、でも拓ちゃん、怖いとよと。なぜかというと、感染経路が解明されておらぬやないかと。原因が究明されていないじゃないかと。これが究明されないと、次起こったときには本当に首くくらにゃいかぬと。だから何が何でも原因究明、これが一番の要望ですよ。ですから、先ほどの山根先生からもなかなか難しいだろうというお話いただきましたけれども、時間をかけてでも、大きな予算をかけてでも、ぜひとも今回は政府としてこのことには力を注いでいただきたい。これはまたお願いでございます。
 五月の二十日に、思い出しますけれども、都農町の寺迫というところに発生したんです。委員長と副大臣は御存じですね。寺迫に出たときに私はもう目の前が真っ暗になりましたよ。寺迫というところは特殊なところで、都農町寺迫、日向市寺迫、旧東郷町寺迫があるんですよ。広域なんですね。日向に入ったのか東郷に入ったのか。東郷に入ったら、これは山ですから、これでもう県北もおしまいだと思いました、正直言って。それから県北の畜産農家は眠れない夜が始まりました。しかし、非常に初動の態勢がよかった、いろいろな反省もありまして。国の御協力もいただきました。そして、耳川を越えることはありませんでした。
 この成功例に、原因究明も大事ですけれども、ぜひ成功例によく学んでください。都城とか、それからえびのも最小限でとどめましたね。どうしてそれができたのかと成功例に学ぶということもぜひやっていただきたい。
 そして、宮崎県でとどめたということは、私は褒めろとは言いませんけれども、国際的には高い評価もいただいているということを御紹介させていただきたいと思います。
 長々しゃべりましたけれども、ここから、篠原副大臣、集中しますけれども、通告してありますので、簡略に、短く、いっぱいありますから、御答弁よろしくお願いします。
 前に何度もやったことですけれども、家畜共済基金について。いわゆる疑似患畜農家は五分の五プラス五分の一で五分の六出る。だけれども、ワクチン接種農家は掛金を支払っていても出ない、見舞金の形の部分が。私は国が出してくれということを言いました。お答えいただいておりません。
 これは大事な問題なんですよ。なぜかというと、もうあってはならないことだけれども、もしまた口蹄疫が発生したときに、ワクチンを打たせてくれと言ったときに、だって、おまえ、うちの牛は元気やし、ワクチンを打ったら共済金分出らんのやろと言って、合意をとるのが難しくなることがあるかもしれない。もしかしたら、共済に入ること自体をちゅうちょする人も出てくると共済制度自体に亀裂が入ることも考えられますよ。ですから、これはやはり不公平感をなくすという観点で、ぜひ検討してください。
 それから、自家保留。何度も言いましたね。優良繁殖雌牛更新促進事業、単年度事業ですけれども、これは自家保留を認めておられない。だけれども、今回は、一回の市場で二百頭、三百頭規模で自家保留なんですよ。自分のところにいい牛を残したい。だけれども、売らなければ収入がないですから、生活が苦しいんですよ、そういう人ほど。だから、そういう人に何とか手を差し伸べてもらいたい。これも前に言ったことです。
 それから、出荷遅延対策。平均出荷日齢プラス三十日、この三十日とは一体何だと言ったら、何じゃかんじゃずっとへ理屈をこねていましたけれども、ようやくどうも政府内で三十日を取っ払うという方向で今議論が進んでいるそうです。このことは了としたいと思います。遅いですけれどもね。遡及性を持ってやってくださいよ、遡及性を持って。きょうからの分じゃなくて。
 そして、繁殖農家は、二百八十日ぐらいを過ぎたら、その後のえさのやり方は肥育農家のえさのやり方をしているんですよ。何回も言ったじゃないですか。えさ代が余計にかかっているんですよ。繁殖は四百円、肥育は六百円。この二百円分は最低でも上乗せしてもらわないと合いませんので、ぜひやっていただきたい。
 それから、参議院の委員会で、ボランティアで活動された民間の獣医師の先生方に報酬を支払うことを前向きに検討すると篠原副大臣は答弁されましたね。ところが、宮崎の新聞では支払うと出たんですよ、支払う。宮崎の獣医はもう皆もらえると思っています、もらえると思っているんです。必ず出してください。
 そして、それだけじゃなくて、それに付随して、人工授精師、削蹄師、それから酪農ヘルパー、それから乳牛検定員、筆頭なんかよく御存じでしょう、北海道ですから。こういう方々も収入が断たれているわけですから、何らかの政府の温かい手を差し伸べていただきたい。重ねてお願いをいたします。
 これも前に質問をしたことですけれども、三カ月間種つけしていません。来年の十一月から翌年の一月まで出す牛がありません。年末年始に収入がない。農家は大変ですよ。このことについては今のうちに何らかの手を打っておく必要があると前の委員会でも申し上げましたが、副大臣、まとめて御答弁、簡略にお願いします。
○篠原副大臣 数えてまいりますと六個の要望があったと思います。そのうちの大半はきちんと処理してございます。順番にお答えさせていただきたいと思います。
 一番最初の共済の関係でございますが、これは、私さんざん検討いたしました。しかし、これが一番だめでして、共済制度をなかなかいじれませんで、この前御答弁したとおりでございまして、例外的にワクチン接種農家に一部返還する、これ以上のことはできない。
 それから次に、自家保留牛。これは、簡単に言うと、半分よくなったんじゃないかと思います。やはり自家保留牛というのは外からの導入でないし、繰り返しになりますけれども、それから費用が発生していないということで、だめなんです。ところが、今般の緊急総合経済対策で、一年でやめるということになっておりましたけれども、もう一年延長して、自家保留牛はだめなんですが、そのほかの一般的なものについてはもう一年延長して適用するということになりましたので、これは半分おこたえしたことになるのではないかと思います。
 それから、三十日。今の質問の中でもお答えになったようですけれども、これは基金の効果でございます。畜産再生基金事業をスタートすることになっておりまして、三十日までの間であっても宮崎県がちゃんと認めた場合は助成対象とするという方向で検討しておりまして、宮崎県と今調整中でございます。これは確実に三十日以内でも支払いできるようになるかと思います。
 それから、ボランティアの獣医師の皆さんでございますけれども、宮崎県に対して説明いたしました。そして、今宮崎県とは、手当を支払う方向でやっております。(江藤委員「これも基金」と呼ぶ)いや、これは、家畜伝染病予防費の活用が可能であるので、これでもって手当てするということで、基金ではありません。
 それから、人工授精師の場合は、これもちょっと無理ですが、これは前のお答えと同じでして、セーフティーネット貸し付けの利用等で御勘弁願いたいというふうに思います。ただ、江藤委員御存じだと思いますけれども、これは政府のものではありませんけれども、やはり見ている人は見ておられるんじゃないかと思います。宮崎県の義援金とかそういうのでいろいろやっておられるのではないか。
 それから、子牛の不在についての部分でございますけれども、これは基金の事業があります。今宮崎県の要望がありますので、三カ月授精できなかった分、これはやはり大問題でございますので、これも何とか手当てできるように今検討中でございます。
○江藤委員 さっきも言いましたけれども、ワクチン接種をやはり犠牲的精神で受け入れやすいようにしておかなきゃいけないんですよ。だったら、ワクチンを打ってもらわないで、疑似患畜になっちゃった方がもらいは多い、現実にそうなっちゃいますからね。これはまた個人的に話しましょう。
 そして、自家保留の話ですけれども、これは単年度事業を一年度延ばしたからって、だめですよ。もう競りは終わっちゃったんだから。そうでしょう。ほとんど、第一回目の競りが。これもまた話をしに副大臣室に行きます。
 次に、出荷遅延対策。基金からと言いますけれども、基金というのは、こういうのに使ってもいいけれども、後でも言いますけれども、基金というのは畜産関係に断定したものではありませんから、こんなところで金を食われたくないんですよ。国が出してください、これは国が。このボランティアの民間獣医師の部分と同じように。
 そして、確かに、義援金が人工授精師の人たちに回りましたよ。スズメの涙ですから。金額は御存じのはずです。
 そしてまた、最後の、三カ月間牛がいないという、これはまた基金でやれということですから、後で基金については集中的にやりますけれども。これじゃ、使える金がどんどんどんどん、本来国でやるべきものが基金から削られてしまう。非常に不十分でありますので、私はちょっとがっかりいたしました。
 ですから、基金について次はお尋ねをいたします。
 ALICで積む事業規模は五十億円ですね。だけれども、基金規模は三十三億円。十七億円は南九州の四県で負担をしなさいということになっています。各負担分に対しましては三分の二の地方交付税措置をするということですから、最終的には各県の負担は九分の一で済む。ゼロ負担ということはやはり法律上ありませんよね。これはまあ了としたいと思います。
 ここで私がお尋ねしたいのは、この五十億がいよいよさあ使える段階になったときに、宮崎に何ぼ行くんですか、小里先生のところに何ぼ行くんですか。これをだれがどう仕切るかですよ、だれがどう仕切るのか。勝手に話し合うのか国が指導するのか、ここについて、農林大臣、お考えをお聞かせください。
○篠原副大臣 済みません。私がこれを担当していまして、ちょっと細かいことだと思いますので。
 これは、どういうところにどれだけ行くかというのは、各県が策定します事業計画に基づきまして、それにのっとって配分することにしております。まずそれが基本でございます。
 ただ、宮崎県に限定されるものと、ほかの県にも適用できるのがございまして、当然ですけれども、宮崎県が一番多くなるはずでございます。
○江藤委員 事業計画は鹿児島も相当出すよね。鹿児島の先生方は、自民党の部会で議論したときに、二千億の基金を要望したいという話をされたわけですから。これは各県けんかになりますよ、たった五十億しかないんだから。これはちゃんとうまい仕切りをしないと混乱を招く。我々も、宮崎県に発生したがゆえに、鹿児島、熊本に御迷惑をかけたという負い目もあります。しかし、一番多く被害を受けたのは宮崎県であることも間違いがない。ですから、このことについてはきちっと考えてほしいと思います。
 次に、国交省にお尋ねをいたします。
 当初、県は、三百二十億円、取り崩し型の基金。取り崩し型、いわゆる補助金適化法の適用を受けない、使い勝手のいい金を要求いたしました。私は正しい要求だったと思いますよ。ところが、そのうちの二百億円ぐらいが公共事業関係じゃないか、そんなの認められないということでバツになりました。それに対するお答えが、この二百億円については、国交省の社会資本整備総合交付金、これで手当てしますから勘弁してくださいということでございました。これは間違いなく、我々の期待を裏切るようなことにはなりませんか。御答弁をお願いします。
○津川大臣政務官 お答えをいたします。
 私も先般までは農林水産委員会の委員でございましたから、口蹄疫、現場で大変な状況であったということは十分承知をしているつもりでございますし、また、今、現場の皆様方を初め、復興対策、本当に大変なる御努力をいただいているということを承知しているところでございます。
 今御指摘をいただきましたとおり、国土交通省の分野でございますが、国土交通省といたしましても、この宮崎県の口蹄疫復興対策については積極的に支援をするということを決定させていただいております。その上で、社会資本整備につきましては、国が実施をします直轄事業につきましては着実にやらせていただきたい。それから、県などが実施をする被災地復興などに係る社会資本整備事業につきましては、宮崎県からの具体的な要望をいただきまして、今委員からも御指摘をいただきました社会資本整備総合交付金の中で、しっかりと活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 よろしくお願いします。
○江藤委員 八十点の御答弁をいただきました。ありがとうございます。
 ただ、くぎを刺しておきますけれども、毎年毎年、当然各工事事務所に予算配分がされるんですよ。その分もカウントして幾ら予算がつきましたというのは許しませんからね。上積みをのせなきゃだめですよ、上積みを。何ぼ上積みされたかというのを私はちゃんと見ますからね。それが不十分だったら、国交委員会に乗り込んでいって大臣に直接たださせていただきたいと大臣にお伝えください。
 次に、一千億円の運用型基金についてお尋ねをさせていただきます。
 説明者によっていろいろ、これがどれぐらいで回るのか、答えが違うんですよ。私も、野村総研とかそういうところのいわゆる金融の専門家と話をすると、ゼロ金利ですからね、経済失政ですから。この中ではリスクもとれないので、まあ、せいぜい〇・四%ぐらいで回れば御の字じゃないのというのが話でした。これは正しいかどうかは知りません、私の友達の私見ですからね。
 単純計算すると、運用期間が五年間、五年間で二十億、たった二十億ですよ。一つの市に渡すにしたって二十億というのは少ない金ですわ。県に二十億。宮崎県民は一千億円もらえると思っていますよ。一千億基金を積むと言うから、普通の人はそう思いますよ。でも、実際使える金はたった二十億。これはもうがっかりも甚だしい。
 総務省にお尋ねをしたいんですが、私は〇・四と言ったけれども、どれぐらいで回るというふうに考えていらっしゃいますか。
○逢坂大臣政務官 江藤議員の御質問にお答えする前に、私も田舎で町長をやっておりまして、今回の口蹄疫の対応、対策というのは本当に大変なものだっただろうというふうに推察をしておりますし、その御労苦に対して心からの敬意を申し上げたいと思います。
 基金の運用でございますけれども、現在、五年物の地方債、これの最近の金利情勢、議員が御指摘のとおり〇・四%程度というふうに伺っておりますので、その金利で運用されるものというふうに推察しております。
 以上でございます。
○江藤委員 だから、〇・四%、宮崎県民は一千億円万歳と言ったら、実は二十億円が真水だということが明らかになったわけであります。そして、大臣、もしかすると〇・四を割り込むことだってあるわけですよ、運用次第では。〇・二になれば十億円しか出てこない。この場合は大臣の職権で、予備費を使うなり、どこからの金でもいいですよ、必ず、最低でもこの二十億、私は最低五十億はないと困ると思っていますけれども、今言っても無駄なようでありますから、ぜひそのことはお願いをしたいというふうに思います。
 そもそも勘違いをされていらっしゃるんですね。さっきも言いましたように、基金の創設を宮崎県が望んだのは、畜産の再生をやるために基金をつくってくれと言ったんじゃありませんよ。このことで二次的、三次的、四次的被害を受けた宮崎県経済、観光も含めてみんなどえらい目に遭った。そういう宮崎県経済全体を底上げするために取り崩し型の三百二十億の使い勝手のいい基金をつくってくれと言ったのに、実態は、五十億のうちの何ぼが宮崎県に回ってくるかわからぬ、一千億から二十億しか回ってこない。全く私はがっかりです。非常に悲しい気持ちになります。
 大臣も、所信の中でこうおっしゃっていますよ、基金の設置等の支援策を取りまとめ、それにより地域経済の再生に努めてまいる。それにはとても足りないお金だ、事業規模だということを、大臣、御認識ください。ぜひよろしくお願いします。
 そしてまた、総務省に重ねてお尋ねをしますけれども、阪神・淡路大震災のとき、八千八百億円基金を積みましたね。そのときは金利も高かった。かなりの金利で回りましたね。そして、最終的に処理をするときには七五%国が面倒を見ましたね。
 今度は、何で宮崎の基金の場合は三分の二なんですか。宮崎が三三・三%じゃありませんか。神戸とか兵庫県と比べたら、宮崎県の財政ははるかに厳しいですよ。基金も枯渇しそうだ。三割自治の代表のような県ですよ、宮崎県は。そういうところへ、地方の苦しい県に、どうして阪神・淡路大震災並みの補てんをしてくれないんですか、総務省は。御答弁を求めます。
○逢坂大臣政務官 ただいまの江藤委員の御質問にお答えいたします。
 確かに、阪神・淡路大震災におきましては、県が基金造成のために発行した地方債の利息、その六分の五を対象として、九五%を普通交付税により措置をしたところでございます。すなわち、実質でいいますと七九%、これを交付税で措置したということになります。
 今回の口蹄疫でございますけれども、家畜伝染病としては本当に、先ほど私も言いましたとおり、かつてない甚大な被害で、地域ではもう本当に御苦労が多かったということを実感いたしておりますけれども、過去の大災害と比較して、中越沖地震、これは平成十九年に発生でございますけれども、これの被害額が約一兆五千億ございました。阪神・淡路の場合、これは被害額が十兆程度なんですね。そこで、そういったことも勘案しまして、中越沖地震のときと同程度の措置をするべきことが適当というふうに判断をしたわけであります。
○江藤委員 地震と口蹄疫を同列に扱うのは間違いだという御答弁だったと思います。こんなことを言われるのは嫌だと思いますよ、でも、宮崎県民の畜産農家の方々の中には、政府の無策によってここまで拡大してしまったんだという声はいまだに強いんですよ。だから、温かい手を差し伸べてください。もう一回持ち帰って、政務官、検討してくださいよ。たかだか一三%けちるのやめてよ。基金の総額自体が一千億しかないんだから、金額にしたら大したことないじゃないですか。これは持ち帰って、ぜひ私のところに、農水委員会でも結構ですが、御返答いただきたいと思います。
 口蹄疫はもっとありますけれども、時間が全然なくなっちゃったので、ちょっと口蹄疫を飛ばします。もう政務官、結構です。ありがとうございました。両政務官、ありがとうございました。
 米の所得補償、これを次に予定しておりましたけれども、今村先生のお話を聞いておって、今さら私がやる必要はないという判断に至りましたので、ここは飛ばさせていただきます。通知はしておりましたけれども。
 それで、お聞きをしたいのは、御発言の中の二ページに書いてある「攻撃型の農林水産行政」、赤澤先生もさっき言われていましたけれども、これはどういう意味ですか。簡単にお答えください。
○鹿野国務大臣 私は二十一年前に農林水産大臣を拝命しました。江藤議員のお父上がそのときは農林水産大臣になるんではないか、こう言われたときであります。そして、運輸大臣になられて、思いもかけない私が農林水産大臣になったということを、今、御子息の江藤議員の質疑を聞きながら思い起こしているところでございますけれども、今日まで二十一年間に、ではどう農林水産業を取り巻く状況が推移をしてきたのか。
 一つは、自給率四九%が四〇%、こういうことで、この二十年間に九%引き下がった。そして、農業者の所得も、説明を受けたらば、半分になってしまった。また、耕作放棄地も、もう四十万ということで、かなりの増大だ。そして、では農林水産省の予算はどうなのかというふうなことを聞きましたところ、確かめましたけれども、当時は三兆一千億超すところの予算でありまして、今二兆五千億、七千億近く減っておる。
 何とも言えない感じを持ちまして、こういう状況でありますと、常に受け身の対応きりできなかったんじゃないか、あえて申し上げますならば。当然、そういう中で、攻勢をかけたいろいろな施策も行われてきたということもあるかもしれませんけれども、どちらかといえば受け身にならざるを得ない、そういうようなことであったんではないか。そういう意味で、この農林水産行政も、思い切った攻撃型というような姿勢がまず大事ではないか。
 その攻撃型の姿勢の基本は、農林水産業という第一次産業が非常に重要だということをより多くの人に知ってもらうことから始めなきゃならない、それが私の一番の根幹にあったわけであります。ゆえに、戸別所得補償も、六次産業化も、あるいはその他の、いろいろ所信で申し上げたそういう施策を打ち出していき、それを実行していくのがまさしく攻撃型の農政じゃないか、こういうふうに考えておるところであります。
    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕
○江藤委員 大臣のお気持ちはよくわかりました。
 農業所得が減ったということはありますけれども、インフレ率を換算したら確かにそうですよ。金額ベースでいうとそんなには減っていません。もう一回、役所に帰って、統計をよく見てください。それはちょっと認識が違うと思います。
 それから、農業予算も減ったのは、民主党政権になって減ったんじゃないですか。我々のときは、補正予算を入れて三兆円を超えたんですよ、最後は。私は政務官でしたから。三兆円を超えたんですよ、ふえたんですよ。民主党政権になって二兆五千億に下がったんですよ。これから補正でまたふえるんでしょうけれども。
 では、私に言わせていただきます、攻撃型農政とはどういうものか。それは戦える体制を築くということですよ。まず一番必要なのは農業の基盤の整備ですよ。先ほども今村委員の方からもちょっと触れられましたけれども、いわゆる陣地を固める予算ががっぽり削られてしまって、陣地も脆弱なのに戦えと言われても、竹やりで戦うような話ですよ、それ。各地で悲鳴が上がっておりますよ。
 それで、三ページではこうおっしゃっていますね、「下支えに不可欠な農業の生産基盤の整備を推進してまいります。」。そして、結果として、来年度概算要求で一七・八%増、二千五百八億を要求されていらっしゃいますね。確かに今年度に比べればふえたでしょう。でも、比較すべきは、二十一年度予算と比べてどうかということなんですよ。
 きょうは松木政務官が御不在で非常に残念です。私、党から言われて、北海道に出張に行ってまいりました。後継者の方々、畜産家、酪農家、畑をやっている方、いろいろな方と意見交換しました。非常に言われたのは、ある人からはこう言われましたよ。江藤さん、戸別所得補償なんか要らぬ、子育て支援も要らぬ、そんなことよりも、雨が降ってもちゃんと収穫がある、そういう基盤整備、暗渠を入れてくれ、額に汗して働いたらちゃんと金が稼げて、それで子供が養えるような、そういう整備をやってくれ、それがおれたちの一番の望みだよ、そう言われました、私は。なるほどなと思いました。伊東先生も御一緒だったですよ。
 実際に、排水不良地域を中心に六カ所の新規採択を求められていますね。そこのお二人は北海道ですけれどもね。認められたのはたった一カ所じゃないですか。また大雨が降ったらまたタマネギもジャガイモも全滅ですよ。整備をしたところは収入はある。基盤整備がおくれたところは全滅、廃農ですよ、離農ですよ。四十万ヘクタールとかいうけれども、逆に耕作放棄地をふやそうとするような政策をしているんですよ、大臣。そのことを私は自覚してほしいと思いますね。
 今村委員がお聞きをしましたので重なりますけれども、このような予算の流れでいいと思いますか。もう細かい説明はさっき午前中私ちゃんと聞いておりましたので、重複は避けてください。十分であるか、このままの流れで十分であるか不十分であるか、午前中聞いていましたから、それだけ簡略にお答えください。時間がかなりやばくなってきました。
○鹿野国務大臣 いろいろ今江藤議員から申されました。
 農業基盤整備のことも、私どもも、そういう実態というふうなものをいろいろな関係者からもお聞きしておりますし、特に、更新の必要性、あるいは老朽化した中でやはり何とか対応していかなきゃならない、そして新しい新規事業を待っておったんだというようなこと等々もいろいろな関係者の方々からもお聞きをしておりまして、そういう意味で、本当に限られた予算の中でも、関連予算を含めて、二十三年度、重ねて申し上げますけれども、一八%ほど前年に比べて伸ばした形でも要求しております。予備費それから今回の補正という中でもできるだけ対応すべく努力をしていかなきゃならない。こういうような姿勢でおるところであります。
○江藤委員 お気持ちはわかります。しかし、政治は結果なんですよ。結果イコール予算なんですよ。どれだけの金がついたか。
 ちょっと、では説明しましょう。農山漁村整備交付金、一千五百億出ましたね。これはさっき午前中の御答弁から漏れました。本当は言わなきゃいけなかったんですよ、これ。これから八百六十三億円ついています、八百六十三億円。いや、だって、いいことですから、自慢していいことですから。そして、これはおっしゃいました、予備費から二百八十億円ついていますね、二百八十億円。これを合わせても、二十一年度と比べると四三・三%の減であります。
 そして、きょう閣議決定された補正予算の内容を見ました、きょう昼急いで帰って。農業農村整備事業が二百七十九億、農業活性化緊急基盤整備事業が三十億、農山漁村地域整備交付金が三百二十一億。この一番最後の農山漁村のものは全額が来るわけじゃありませんね。わかりませんけれども、このうちの三分の一が基盤整備に来たとしましょう、仮定です、仮定。それで私計算をしてみますと、それでも二十一年度比三六・二%減なんですよ。全然足らぬのですよ。
 はっきり申し上げます。もうきょう概算要求の内容、閣議決定されちゃいましたけれども、二千五百億規模の農業農村基盤整備事業の予算が確保されなければ、自民党政権のときのような、自公政権の時代のような基盤整備はできない。新規採択は受け付けられない。やっている事業も、事業の完成時期がおくれるということですよ。そのことを私はきっちり自覚をしてほしい。このことは、ページの三ページ、「下支えに不可欠な農業の生産基盤の整備を推進してまいります。」さっきも言いました、この大臣のお言葉と全く整合性がとれません。何か御答弁したいことがあればどうぞ。なければ結構です。
○鹿野国務大臣 先ほど数字でいろいろ説明もいたしましたし、また千五百億のことも言われたわけでありますが、私どもとしては、もう本当に今の財政事情というふうなものは御承知のとおりでありまして、そういう中で、具体的な整備事業が非常に大事だというようなことで取り組んでおることは、いささかなりとも評価をしていただけるんじゃないか、こんな思いをいたしまして、これからも努力をしていきたいと思っております。
○江藤委員 努力をしていただくことは当然であります、当然であります。
 さっきも言いましたけれども、北海道で六カ所申請をして、ほぼ大丈夫だろうと思っていたものが一カ所しか採択されないという現実の問題が起こっております。今村先生からも、ダムはできたけれども下流に水がおろせないと。何をやっているのかよくわからぬですよ、これじゃ。それこそ無駄遣いじゃないですか。つくったものは有効に利用しなくちゃ。これは当たり前のことだと思います。
 それでは、五ページのところにさわらせていただきます。
 食の安全、安心確保のくだり、「科学的知見に基づく施策の強化、」に取り組むということをおっしゃっていらっしゃいますね。
 ところが、前原さんがクリントンさんと会って、今、米国牛の輸入は二十カ月月齢以下に制限しておるわけでありますけれども、月齢制限緩和を一つの可能性として検討する、できるだけ早く結論を出すと。とんでもないことを言いましたね。とんでもないですよ。これに対して大臣は、どういう気持ちで言ったかわからないのでコメントを避けますというような、非常に何か弱腰なコメントを新聞記者さんにされているわけでありますけれども、消費者との信頼、これなくして日本の農政はないんです。日本の農業の強みは、安心、安全、そしておいしいということですよ。これが揺らいでしまったらどうしようもありませんよ。ゆゆしき問題でありますから、このことはきちっと受けとめていただきたい。
 大臣にお願いしたいことは、クリントンさんでもいいです、例えば農務長官のトム・ビルサックさんでもいいですよ。最高責任者なんですから、我々の国としては絶対に二十カ月月齢、科学的見地に基づいて可とされざるうちは受け入れるつもりはないということを言っていただけたんですか、それともこれから言うつもりですか。簡単に御答弁をお願いします。
    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○鹿野国務大臣 実務者の間で検討しているというようなことはもう先生御承知のとおりでありまして、それに対して具体的にまだ何も決まったわけではありません。あくまでも科学的知見に基づいて判断をしていきたい、こう思っております。
○江藤委員 それを守ってください。それを絶対に死守してください。
 非常に前原さんは、私も人間的には尊敬する、すばらしい政治家だと思うけれども、余りにも軽率きわまりない。断固抗議をさせていただきたいと思います。
 次に、FTA、TPPのことについて若干触れるつもりで三ページぐらい用意をしていますが、もう時間もありませんし、赤澤委員が随分突っ込んだ質問をされましたので、多くは触れません。FTA、TPP、もう多くは触れません。
 ただ、大臣、ちょっとお尋ねします。通告していなくて申しわけないんですが、今、牛肉の輸入関税、どれぐらいか御存じですか。牛肉輸入関税、御存じですか。御存じなければいいです。三八・五%です。牛肉・オレンジの自由化をしたときに七十数%から始まって、だんだん下がって、今、最低税率の三八・五まで下がって、そして、一定数量よりも輸入量がふえたらセーフガードが発動されて税率は五〇%に上がるというのが今の制度です。
 もし、もしも、四割も安い牛肉が海外から入ってくるということになったら、それが今すぐじゃないにしても、十年先入ってくるということが確定されたら、今回、口蹄疫で被害を受けた人たちはもう再建の意欲を失いますね。いずれ殺されるということですよ、いずれつぶされるということですよ、苦労したって。
 ですから、テレビでごらんになったでしょう、オーストラリアあたりじゃもう和牛の生産が始まっているんですよ。冷凍精液もあるんですよ。篠原副大臣、よく御存じでしょう。そういう時代の中で、このTPP、我々みんな共通認識を持っていることを頼もしく思いますけれども、ぜひこのことについては、日本全体の経済を考えなきゃいけないということはわからぬでもないですけれども、しかし、このことによって本当にがけっ縁から突き落とされる人が出てくるということをよく御理解いただきたいと思います。
 林業についても用意しておりますけれども、時間もなくなりましたから林業については省かせていただきますが、やはり一つだけ言っておきます。
 森林・林業再生プランに基づいて、私の地元の椎葉村で今機械が動いています、ドイツの機械が。これはお粗末きわまりないですよ。最初は、機械を入れようと思ったら、国からこの機械を使ってくださいよと。道が狭くて入りません。そして、オーストリアとドイツから何か専門家が来ましたけれども、来たけれども仕事がないから、しばらくいて、しょうちゅう飲んで帰りました。そして今週末また来ました。結局、宮崎県がこの機械なら我々の地域で使えますという機械に機種変更して、今はまずまずうまく事業は展開しています。しかし、比較的平たんな土地なんですよ、今やっているのは。椎葉にはそういうところもちょっとはあるんです。これが中山間地域の林業で本当に使えるものかについてはきちっとした検証をしてください。御答弁は求めません。
 聞きたいことがもっといっぱいあるんですけれどもね。
 漁業につきましても、では一つだけ、積立ぷらすの部分。
 積立ぷらすの部分は、参加をしても、例えば、台風で生けすが壊れた、魚が逃げた、赤潮で魚が死んだ、補償対象外。五百六十億円もこの共済制度の改正について予算をつぎ込むんでしょう。これをやれば九割補てんになるわけですよ。岩盤部分は八割しかありませんから。積立ぷらすの要件の緩和を私は要求させていただきたいと思います。
 そして、先ほども御意見ありましたけれども、これは戸別所得補償じゃありません。戸別所得補償の一環だと強弁をされていましたけれども、これは共済制度の見直しにすぎない。そのことだけはつけ加えさせていただきたいと思います。
 きょうは、委員長がおられてなかなか申し上げづらいことを、これからあと二分間だけ申し上げさせていただきます。
 私は非常に困っております。地元の方々からいろいろな陳情、御意見、御質問を賜ります。そうすると、例えば厚生労働省であったり国土交通省であったり、投げるわけですね。そうすると、資料と同時にQアンドAという形で大変御丁寧な対応を、野党の私であっても、してくださいますよ。括弧、農林水産省を除く。何でくれないんだ、何でおまえ、ちゃんと対応してくれないんだと聞いたら、政務三役の御意向です、政務三役の御意向ですと。ひどいじゃないですか、委員長。
 私は、だから、新しい大臣になったときに、同じ質問書を二カ月前に出しました、鹿野大臣のところに。二カ月たってもいまだにナシのつぶて、ナシのつぶてであります。大臣は、このようにおっしゃっています、十一ページで。「現場の声をつぶさに伺い、積極的に政策に反映する」と。野党の私の声は現場の声じゃないんですか。
 松木政務官は就任のごあいさつのときにこうおっしゃいましたね、与党、野党の区別なく、建設的によりよい農政を目指して力を合わせて議論をしましょうと。私は本当にその言葉に感銘を受けました。ぜひ私もそうしたいし、足引っ張りの質問なんかはしたくない、提案型の質問をしていきたい、そう心がけたい。委員長に怒られましたけれども、なるべく冷静に委員会運営もしたいというふうに思っております。
 だけれども、野党から出た問いかけに対しても、警察庁だってきちっと出してくれるんですよ、QアンドA方式で。何で農林水産省だけ出さないんですか。私は農林水産省に仲間がたくさんいますけれども、出したいんですよ、お役所の人たちは。はっきり言いますもん。実名を出したら、あなたたちは多分左遷しますから、実名は出しませんけれども。
 本当に、私も、野党とはいえ、選挙区で選ばれたのは私でありますから、四万票以上の票の差をつけて。私の声にも、行政を抑え込むことなく、ちゃんと私たちの質問には答えていただきたい。そのように改革をしていただけますか。大臣、御答弁をお願いします。
○鹿野国務大臣 いろいろお話がございましたが、通常業務に差し支えない範囲内できちっと対応するようにしていきたい、こう思っております。
○江藤委員 ありがとうございました。そのようにぜひお願いします。
 この委員会は特別な委員会で、対決ばかりではなくて建設的な委員会にしていきたいと思っておりますので、今後とも努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
 これで、時間が過ぎましたから質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○鹿野国務大臣 最後にちょっと。
 いろいろと江藤議員から御指摘いただきましたけれども、例えば牛肉の問題も出されましたが、農業者の側だけで、理解がそこでとどまっているということではなしに、牛肉を生産することが、農林水産業がいかに大切かということをやはり消費者の人にも理解してもらうことによって、これからも、次の世代にしっかりと農林水産行政を守っていくことができるんじゃないか。
 そういう意味で、私は攻撃型のその根幹は多くの方々にいかに理解してもらうかというようなことだと申し上げたのも、ぜひひとつ御協力をいただきたいと思います。
○江藤委員 異論はございません。終わります。ありがとうございました。

○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
(中略)
 また、他の災害との関連もおっしゃいました。この前の口蹄疫のときもそうでありますが、我々は、やはり目の前にある災害に対してしっかり対応していく、現にこれだけの被害が発生をして、たくさんの漁業者の皆さんが困っているわけですから、そこにしっかりと対応していくということがやはり必要なんじゃないかと思います。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第4号 平成二十二年十一月一日(月曜日)    午前九時開議

○武部委員
 (中略)
 宮崎県の口蹄疫での対応、私はあえて政府に申し上げておきますけれども、こうした災害などに対しては、迅速に万全の体制をとるということが被災地の皆様方のみずからが立ち上がろうとするその勇気をサポートすることになりますので、ぜひ今後、十分注意を喚起し、徹底して指示を関係者にしていただきたいと思います。
(後略)

第176回国会 行政監視委員会 第1号 平成二十二年十一月一日(月曜日)   午後三時二十分開会

○大臣政務官(田名部匡代君) 先生が昨年三月に御指摘をされた農畜産業振興機構の件についてでよろしいでしょうか。
 これに関しては、交付金を抑制したということと、あと、畜産業に対する経営安定、これに対しての資金、その実施が必要であったということ、そしてまた、四月に発生をした口蹄疫の対策、こういうことがあったので、先生の御指摘をされている保有金はどうなっているんだということだと思うんですけれど、二十二年度末には大幅に減少する見込みであるということであります。
 しかしながら、じゃそういういろんな対策をやったから保有金が少なくなっただけでしょうということになってしまうので、これは先生が御指摘をされたように適正にしっかりと見ていく必要があると思っておりまして、役所の皆さんから適切な水準としてまいるという私レクチャーをいただきましたけれど、この適切な水準というのはどのぐらいでしょうかというやり取りが実はあったわけなんです。検討しますとか、適切なということを言っていますと、なかなか、あればあっただけ、これが足りなくなったら困るからこのぐらい必要なんですよ、これが適切なんですよと言われてしまうと、そのままずるずるいきかねないので、しっかりとこれまでのことを振り返って検証しながら、その水準はどの程度のものなのかということを見極めて判断をしてまいりたいと考えています。

○国務大臣(蓮舫君) 行政刷新会議は法律に基づく行政の意思決定機関である閣議において決定され設置されているものであり、法令上の根拠は存在していると考えています。
 なお、同じように閣議決定によって設置された重要な会議の例はほかにも、地域主権戦略会議あるいはアイヌ政策推進会議あるいは口蹄疫対策本部などがありまして、我々の行政刷新会議だけが特例で閣議決定で設けられたのではないと承知をしております。
 なお、過去、旧政権におきましても、経済対策閣僚会議のように与党の国会議員が参加した例もございます。経済対策閣僚会議は、これは、私どもの行政刷新会議は閣議決定でございますが、経済対策閣僚会議は閣議口頭了解。これは全閣僚が構成員で、その他の出席者としては、自民党の幹事長、政調会長、参議院会長、参議院幹事長、あるいは公明党の幹事長、政調会長、参議院会長、参議院幹事長、日本銀行総裁等。そして、こうした国会議員の皆様方も出席者として経済対策等の決定に関与をしている。その意味において、私どもの行政刷新会議だけが特例の扱いではないと承知しています。
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第3号 平成二十二年十一月五日(金曜日)    午前九時三十分開議

○赤澤委員 
(前略)
 それは何かといえば、重要な国政上の課題、民主党が一生懸命取り組むと、勉強が進むと自民党の政策に戻ってしまうということですよ。普天間の基地移設問題がそうだったんじゃないですか。無駄を省けば消費税を上げなくていいと言っていたのはどうなったんですか。とにもかくにも、安全保障、外交問題あるいは経済財政問題、重要な国政の課題で、民主党が政権をとってから、まじめに取り組めばどんどん自民党案に戻ってくる。同じことに私はなると思いますよ。当委員会で真剣に取り組んだ口蹄疫問題もそうでした。つけ加えておきます。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第6号 平成二十二年十一月八日(月曜日)    午前九時二分開議

○平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。
(中略)
 いずれにしましても、こういう中で、国民の皆さんは危機管理、いつ何が起こるかわからないのが危機管理です、本当に今の内閣で大丈夫なんでしょうかという大変な不安を抱いていると思います。口蹄疫とかいろいろな問題がありましたけれども。
 まず、総理、今までいろいろな問題がありました、中国船の問題、それから口蹄疫、これはまだ続いていますけれども、こういった問題について、内閣として危機管理はきちんと的確にできたとお思いですか。そして、これから起こるであろういろいろな問題、これについて内閣として的確にできると思われますか。
○菅内閣総理大臣 私が六月八日に総理大臣に就任して、たしか一週間目ですか、宮崎に入りました。そして口蹄疫の農家を訪れ、また知事や地元の首長さんと集まりました。率直に言って、そこから相当の馬力を出して自衛隊の増派、警察官の増派、そして全頭埋却等を始めて、その後拡大がとまり、現在、一応、終結宣言になりました。わざわざ言っていただきましたが、私は、この口蹄疫に関してはかなり迅速にやれた、こういうふうに思っております。
 そして、尖閣諸島の問題に関して言えば、今、まさに議論をいただいているいろいろな問題が起きております。私は、もうしばらくこれが、何年かわかりませんが、たった時点で振り返っていただければ、冷静にしっかりとした対応をしたものだな、このように必ず言われると信じております。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第9号 平成二十二年十一月十五日(月曜日)    午後三時五十八分開議

○服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の二〇一〇年度補正予算案に対し賛成、自由民主党及びみんなの党提出の組み替え案に反対の立場で討論を行います。
(中略)
 今回の政府提出補正予算案には、待機児童の解消対策、新卒者・若年者支援の雇用対策、地域医療再生臨時特例交付金の拡充、児童虐待対策、安心こども基金の拡充、電線の地中化など身近な公共事業、公立学校や病院の耐震化、太陽光発電化、脱アスベスト化の促進に向けた地域活性化交付金の創設、地方交付税の増額、生活困窮者の生活支援対策、林業再生プランの推進、海上保安庁の体制整備の支援、中小企業支援の強化、口蹄疫対策基金などなど、社民党も提案し、かつ要求してきたものが多数盛り込まれているものになり、評価をいたします。(後略)
(後略)

第176回国会 安全保障委員会 第4号 平成二十二年十一月十六日(火曜日)    午前九時開議

○下地委員 おはようございます。
 国家公務員の数を減らす、国家公務員の給与を減らす、こういうふうな時代の流れというか、今、安住副大臣がおっしゃったような形になってまいりました。しかし、自衛隊の場合においても、国際貢献をしなければならない、沖縄においては爆弾処理であったり、今度の奄美の災害でも自衛隊の活躍がありましたし、宮崎の口蹄疫でも、牛が亡くなる、その処理というのは、現場でやっている人たちは本当に大変なものだったと思うんですよね。
 そういう意味では、流れの中で人件費を削減するとかテクニカルに準自衛官をやるとかという話がありますけれども、やはりあなたは評価されているよ、給与だけじゃなくてあなたは評価されているよという何かをやった後にこの給与の話をやらないと、表現がいいか悪いかわかりませんけれども、一つの間違いというか、今度の海上保安官の問題のような状況が起こりかねない精神状態になるのではないかと私は思うんです。
 そういう意味では、この給与の問題というのは、全体的な流れの中と評価の基準というのを分けて考えたやり方をしていかなければいけないんじゃないかなと思います。そのことについて、安住副大臣、お願いします。
○安住副大臣 私や北澤大臣も本当に全く同じ認識で、日ごろ大変、奄美もそうでございますし、大地震、災害等におけるそれぞれの、特に陸上自衛隊の評価というのは、それぞれの地域の皆様にはもう十分認めていただいていると思うんですね。
 ですから、そうした方々への配慮をしつつ、さはさりながら、全体の国家として見たときに、現実に私たちとしては、今の状態よりも、できれば人的な要員全体も確保したいとは思っておりますけれども、しかし、この財政難の折の中でそれがままならないわけですから、工夫と同時に、いわゆる名誉だと私は思いますが、そういうものをしっかりと持ってもらって精強性を確保するというふうな制度設計を、ぜひ皆様方の御支援をいただいてやっていきたいというふうに思っております。
(後略)

第176回国会 本会議 第9号 平成二十二年十一月十六日(火曜日)

○服部良一君 社民党、服部良一です。
 私は、社会民主党・市民連合を代表し、政府提出の二〇一〇年度補正予算三案に対し賛成、自由民主党提出の組み替え案に反対の立場で討論を行います。(拍手)
(中略)
 今回の補正予算案には、介護施設整備の推進、待機児童の解消対策、新卒者・若年者支援の雇用対策、地域医療再生臨時特例交付金の拡充、児童虐待対策、安心こども基金の拡充、橋梁の修復など身近な公共事業、公立学校や病院の耐震化、太陽光発電、脱アスベストの促進に向けた地域活性化交付金の創設、地方交付税の増額、生活困窮者の生活支援対策、林業再生プランの推進、海上保安庁の体制整備、災害対策や中小企業支援の強化、口蹄疫対策基金などなど、社民党も提言し、かつ要求してきたものが多数盛り込まれることとなり、評価いたします。
(後略)

第176回国会 予算委員会 第6号 平成二十二年十一月十八日(木曜日)   午前八時五十分開会

○丸川珠代君 自衛隊の最高指揮官として、今のような暴力装置というような発言に、あれだけの、ただ形だけ謝っただけで本当に隊員の士気が維持できると思いますか。命を懸けて国を守っている人たちにこれで納得がしてもらえると思っているんですか、あなた、最高指揮官として。
○内閣総理大臣(菅直人君) 私も、先日の自衛隊の観閲式に出かけて、大変多くの隊員が訓練に励んでおられる姿を拝見をいたしました。また、少し古い話になりますが、カンボジアにおけるPKO活動に出ておられた自衛隊の部隊に訪問をしたこともかなり以前ですけれどもあり、現地の皆さんにも大変感謝をされていた、そういう姿も見ております。そういう意味で、私は、更に言えば、国内でも宮崎の口蹄疫などでも大変御苦労いただいたと、このように思っております。
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第5号 平成二十二年十一月二十五日(木曜日)   午後三時四十二分開会

○福岡資麿君 まず、今大臣の御答弁の中に、今日までの経緯を踏まえということをおっしゃっていただきました。十分頭に入っていらっしゃると思いますが、まず、赤松大臣の時代に、参議院選挙前に政府・与党の方向性を示すということを言明されています。これは、アセスを前提としながらも、アセスの結果を待つんではなくて、その前に政治判断として方向性を示すということを再三再度にわたって赤松大臣はおっしゃっているわけであります。大臣の言葉をそのまま引用すれば、参院選前に結論を出さなければ国民に対する裏切りとまで御本人でおっしゃっているわけであります。
 しかしながら、鳩山政権が総辞職をされまして、後の山田大臣に移られました。山田大臣が判断ができなかったその理由としましては、ちょうどそのとき口蹄疫の問題が盛んでございまして、口蹄疫の問題の対応に追われているので、現地になかなか入って地元の御意向を聞く、そういう機会が設けられないと、だから、自分としては九月にでもまた地元の声を聞いた上で最終判断をしたいということを前の山田大臣はおっしゃっているわけでありまして、これも結局、早く結論を出すと言いながら、口蹄疫の問題でやむなく先延ばしになったと、そういうスタンスなわけであります。
 今度、鹿野大臣にお聞きしたいのは、もう口蹄疫もある程度終息をいたしました。現地の方のお話を聞く機会も、お忙しいでしょうけれども、つくろうと思えばつくれない環境にはないわけでありますし、少なくとも同じ民主党内閣の中で参議院選前に判断を示すということが延び延びになっている、そのことについて早急に判断を示されるのが筋だと思うんですが、その点についてどう思われますか。
○国務大臣(鹿野道彦君) 御指摘の経緯につきましては、赤松大臣、山田大臣、前大臣、元大臣、そういうようなことで取り組んでこられたということを承知をいたしております。非常に有能な大臣であられたわけですけれども、私はどうもなかなか有能でないだけに、自分自身、頭をちょっと整理もしなきゃならないし、冷静にやっぱり見極める必要もあるなと、こんな思いの中で、私としても自分自身の、先ほど申し上げましたけれども、経緯等々につきまして改めてしっかりと精査をしていかなきゃならない、そんな思いをいたしておるところでございます。
(後略)

第176回国会 本会議 第10号 平成二十二年十一月二十六日(金曜日)   午後五時五十一分開議

○森まさこ君 私は、自由民主党、みんなの党を代表して、ただいま議題となりました国務大臣仙谷由人君問責決議案について、提案の趣旨を御説明いたします。
  本院は、国務大臣仙谷由人君を問責する。
(中略)
 以上、列挙したとおり、普天間無策、口蹄疫の問題など、外交問題と危機管理の甘さを指摘されて失脚した鳩山政権を引き継いだ菅内閣は、全くその反省の上に立っておらず、尖閣諸島問題、北方領土問題と立て続けに外交上の失策を演じたばかりか、北朝鮮砲撃事件でも危機管理の甘さを露呈しました。その中心で権力を行使してきた仙谷官房長官の国民への責任は見逃すことはできません。
 仙谷長官のその傲慢な発言、失言、失策の数々には与野党を問わず批判が集中しています。仙谷官房長官がそのいすに座り続けることそれ自体が国益を損なっています。私は、一刻も早く菅総理が官房長官を罷免する、若しくは官房長官が自ら職を辞すことが日本の国益を守る道であると確信しております。
(後略)

第176回国会 農林水産委員会 第5号 平成二十二年十二月三日(金曜日)    午前九時三十一分開議
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
     ――――◇―――――
○山田委員長 これより会議を開きます。
 この際、御報告申し上げます。
 今会期中、本委員会に付託になりました請願は二件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会等において協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。
 なお、お手元に配付いたしておりますとおり、今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、口蹄疫対策の強化等に関する陳情書外十件であります。
 また、本委員会に参考送付されました地方自治法第九十九条の規定に基づく意見書は、EPA・FTA推進路線の見直しを求める意見書外四百二十一件であります。
 念のため御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
○山田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 第百七十四回国会、加藤紘一君外四名提出、農業等の有する多面的機能の発揮を図るための交付金の交付に関する法律案
 及び
 高市早苗君外十六名提出、森林法の一部を改正する法律案
並びに
 農林水産関係の基本施策に関する件
 食料の安定供給に関する件
 農林水産業の発展に関する件
 農林漁業者の福祉に関する件
 農山漁村の振興に関する件
以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。
 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、閉会中、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前九時三十四分散会

第176回国会 農林水産委員会 第6号 平成二十二年十二月三日(金曜日)   午前十時七分開会

  本日の会議に付した案件
○日米FTA反対、農家経営の危機打開に関する請願(第三四号外三件)
○汚染米の食用への転用事件の全容解明と徹底回収、外米(ミニマムアクセス米)の輸入中止に関する請願(第五二六号)
○米価の回復と価格の安定、ミニマム・アクセス米の輸入中止に関する請願(第五二七号)
○特措法に基づく基金の早期創設と口蹄疫被害の全面補償に関する請願(第五二八号)
○EPA・FTA推進路線の見直し、日米FTAの推進反対に関する請願(第五六二号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ─────────────
○委員長(主濱了君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 これより請願の審査を行います。
 第三四号日米FTA反対、農家経営の危機打開に関する請願外七件を議題といたします。
 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致しました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ─────────────
○委員長(主濱了君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(主濱了君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(主濱了君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時九分散会

第176回国会 農林水産委員会 第6号 平成二十二年十二月八日(水曜日)    午後一時開議
本日の会議に付した案件
 農林水産関係の基本施策に関する件
 農林水産関係の基本施策に関する件(口蹄疫問題等)
     ――――◇―――――
○山田委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網屋信介君。
○網屋委員 民主党の網屋信介でございます。
(中略)
 時間が余りございませんので、十五分ということなので、ちょっと飛び飛びで申しわけないんですが、きょうまた口蹄疫の関係の参考人質問ということもございますが、私の方から一つだけ。
 私は鹿児島の出身でございまして、今回の口蹄疫の問題では、宮崎が中心にいろいろな問題が起こったわけでございますが、幸いにもと言ったら失礼ですけれども、鹿児島には口蹄疫は発生しなかった、結果的にはそういうことであります。しかしながら、現実問題は、防疫体制を物すごくしいて、物すごいお金も実はかかっている。
 今回、総務省さんといろいろお話をして、特別交付税等々で何とかという話もしておりますが、これから、今は時限立法がありますけれども、家畜伝染病予防法の改正等々、もしくはつくりかえ、いろいろ細かな作業が始まるんだと思いますが、これは質問というよりもぜひともお願いなんですが、やはり発生した県、都道府県だけではなくて、周辺地域の防災についても、その辺のカバーをちゃんとやっていただきたい。
 最初から、例えば対策本部はそこだけじゃなくて周りも一緒にやるとか、そういうことをぜひとも御考慮いただけないだろうかということで、政府の御見解といいますか、覚悟といいますか、一言聞かせていただければというのが趣旨でございます。
○篠原副大臣 南九州地域の畜産業全体の振興については、農林水産省は、何々県というふうに区別することなく積極的に対応してきたところでございます。
 それから、今網屋委員御指摘の基金ですけれども、農畜産振興機構に五十億円できておりますが、この対象も、事業対象として七つほどあるんですが、宮崎県に限るものもございますけれども、七つの経費のうち四つほどはほかの県でも自由に使えるようになっております。例えば、例で挙げますと、資源循環型畜産としての再建に向けたTMRセンター及び堆肥センターの設置、口蹄疫の発生により影響を受けた畜産農家に対する出荷遅延対策、それから食肉等地場畜産物の需要拡大のためのPR活動の支援というようなものは、今既に対象となっております。
 それから、別途、やはり大変だということで、鹿児島県なり熊本県でもこういった対応をしてほしいという要望がありましたら、我々はそれに応じて措置していく所存でございます。
○網屋委員 いろいろなところで御尽力いただいたことに、本当に感謝申し上げます。
 ただ、法律的な部分、それは出てからの話ですけれども、出る前に、実際に周りで何か起こったときに機動的にできるような、一回一回の話ではなくて、法体系をぜひとも御構築いただけるようにお願いを申し上げて、私の本日の質問とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○石田(祝)委員 きょうは閉会中審査ということで、御苦労いただきました委員長並びに両筆頭に感謝申し上げたいと思います。またやるべきときがあれば、ぜひ閉会中でもやっていただけるようにお願いをしたいと思います。
 冒頭、鳥インフルエンザの問題と韓国における口蹄疫の問題、二つあわせてお聞きをいたしたいと思います。
 これから、これもまた季節的に容易ならざる時期にも入ってまいります。現状と、それからとられた対策、そして、特に口蹄疫については、今回、宮崎の問題がどのように生かされているのか、この点もあわせてお答えをお願いいたします。
○松木大臣政務官 では、ちょっと細かくお答えさせていただきます。
 島根県における高病原性鳥インフルエンザの発生においては、今回初めて、確定診断を待たずに、症状等を考慮して疑似患畜と判定をしました。そして、十一月二十九日の夜、農林水産省の対策本部を開催して、防疫方針を決定させていただきました。防疫方針を踏まえて、十一月三十日に、農水省の防疫専門家及び動物検疫所の緊急支援チームが派遣されました。そして、同日、私も現地に赴いて、国と県の緊密な連携を確認させていただきました。
 十二月二日、移動制限区域内における周辺農場、これは四農場ですけれども、その清浄性確認検査の結果、すべての農場で陰性を確認し、これらの農場の卵の出荷再開を決定させていただきました。そして十二月五日には、焼却、消毒を含めて、発生農場におけるすべての防疫措置を完了ということになっております。移動制限区域内での新たな発生が認められない限りにおいて、十二月二十七日の午前零時に移動制限が解除される予定でございます。
 また、今回のウイルスについて、H5N1亜型の強毒タイプであることを確認したところでありますし、全都道府県において警戒を強化することが必要であるというふうに考えております。
 農林水産省としましては、引き続き、気を緩めることなく発生予防に全力を挙げる考えでございます。口蹄疫のことも踏まえて、なるべく早く、しっかりと対応をとっていくということを考えました。
 以上です。
    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○篠原副大臣 韓国の口蹄疫については私の方からお答えいたします。
 韓国の口蹄疫は、六月に一たん終息したんですけれども、十一月二十九日に、慶尚北道の安東市におきまして養豚農家で口蹄疫の発生が確認されたことを公表しております。
 これを踏まえまして、我が国では、口蹄疫に対する警戒をさらに強化する必要がありますので、全都道府県に対して、畜産農家への指導を徹底するよう要請いたしました。これが一つでございます。二つ目は、動物検疫所に対しまして、水際措置の徹底を指示しております。
 十二月六日現在でございますけれども、三十一件発生しておりまして、殺処分頭数も約十万頭を超えていると聞いております。
 したがいまして、我が国では、韓国における口蹄疫の感染が、また我が国に参りまして拡大してはよくないので、十二月六日付で、畜産農家向けのパンフレットを作成いたしまして、全都道府県、畜産関係団体に送付して、農家にこれを配付するように要請したところでございます。
 引き続き、全国の都道府県とも連携し、口蹄疫の発生予防に全力を挙げてまいりたいと思っております。
○石田(祝)委員 口蹄疫の問題は、これからまた午後、参考人の御意見も聞きますけれども、その中でやはり、いろいろな指針とかそういうものが、県までは行っているけれども、生産農家のところに十二分に伝わっていなかった、こういうことが書かれてございました。
 ですから、今回も、生産農家のところに配った、そこまで行くようにしている、これはこれで結構ですけれども、ぜひ、こういうものは、情報伝達すると、一番最前線のところに伝わっているかどうかというのは確認しなきゃいけないんですね。
 ただ流せば、どんどんと水が高きから低きに行くようにいくだろう、それを思ったら間違いなので、パンフレットをつくった、チラシをつくった、では最前線の農家に副大臣が一本電話して、ちゃんと来ていますか、こういうことになっていますよと、これは確認すれば一発でわかります。ぜひ、そういう点もお願いをいたしたいと思います。口蹄疫のとうとい犠牲が無駄にならないように、二度と起きない、防疫体制をしっかりする、こういう点でぜひ御奮闘をお願いしたいと思います。
(中略)
     ――――◇―――――
○山田委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件、特に口蹄疫問題等について調査を進めます。
 本日は、本件調査のため、参考人として、日本獣医師会会長・口蹄疫対策検証委員会座長山根義久君、弁護士・口蹄疫対策検証委員会委員郷原信郎君及び独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所企画管理部長、口蹄疫疫学調査チーム長津田知幸君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、山根参考人、郷原参考人、津田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 それでは、初めに山根参考人、お願いいたします。
○山根参考人 口蹄疫対策検証委員会の座長の立場から、これまで取りまとめを行いました内容につきまして御説明申し上げたいと思います。
 皆様御存じのように、平成二十二年の四月二十日に宮崎県で一例目の発生が確認されました口蹄疫は、同県の川南町を中心とする地域におきまして、爆発的に感染が拡大されました。最終的な殺処分頭数は、我が国の畜産史上最大規模であります約二十九万頭、正式には二十八万八千六百四十三頭でございます。防疫対応には相当の財政負担が必要になるとともに、地域社会、経済社会にも甚大な被害をもたらしたわけであります。
 そうした背景をもとに、平成二十二年七月、農林水産大臣の要請によりまして、九名の第三者から成ります口蹄疫対策検証委員会が設置されまして、八月五日に第一回目の委員会を開催したところでございます。また、本委員会は、今回の口蹄疫の発生前後からの国、宮崎県などの防疫対応を十分に検証しまして、問題点を把握した上で、我が国でこのような大惨事が二度と起こらないように、今後の防疫体制の改善方向を提案したわけでございます。
 本委員会の開催の経緯でございますけれども、本委員会では、口蹄疫疫学調査チームの調査状況を詳細に聴取するとともに、宮崎県、県内市町村、生産者、生産者団体、これは全国段階でございます。それから他県、獣医師会、獣医師、防疫作業従事者等の多数の関係者からのヒアリングを行いました。これらのヒアリング結果などを踏まえまして、意見交換を行い、九月十五日の第七回の委員会におきまして、これまでの議論の中間整理を行ったわけでございます。そして、公表を行いました。
 その後、ヒアリングの対象をさらにふやしまして、地元マスコミ関係、さらに家畜衛生の専門家などを加えまして、これまでの議論の整理につきまして意見聴取も行いました。
 ヒアリングの実施対象者数は、合計で四十一名に上ったわけでございます。
 加えて、十月十九日の第十二回の委員会におきまして、宮崎県口蹄疫対策検証委員会との意見交換も行いました。そして、議論の客観性のさらなる向上にも努めまして、合計十七回の委員会を開催したわけでございます。十一月の二十四日に第十七回を開きまして、最終取りまとめを提案させていただいたわけでございます。この文書の中身は、九名の検証委員会の方々に分担して執筆をしていただいたのが現実でございます。
 まず、検証委員会の報告書の内容でございます。
 今言いました経緯で開催したわけでございますけれども、口蹄疫というのは、皆様御存じのように、国際連合の食糧農業機関などでは、国境を越えて蔓延し、発生国の経済、貿易及び食料の安全保障にかかわる重要性を持ち、その防疫には多国間の協力が必要となる疾病と定義されました越境性動物疾病の代表例でございます。伝染力が他に類を見ないほど強く、一たん感染しますと、長期にわたり畜産業の生産性を著しく低下させまして、また、外見上治癒したように見えますけれども、継続的にウイルスを長期間保有し、感染源となる可能性を有した厄介な疾病でもございます。
 口蹄疫が蔓延いたしますと、畜産物の安定供給を脅かしまして、地域社会、経済社会に深刻な打撃を与えるものでございます。国際的にも、口蹄疫の非清浄国として信用を失うおそれがございまして、そうなりますと、現在の科学的知見のもとでは、口蹄疫の清浄国では、早期発見及び迅速な殺処分、埋却処理を基本とした防疫対応を講じているところでございます。御存じかと思いますけれども、二〇〇一年、英国では六百四十五万トン殺処分をいたしまして、一兆四千億の被害が出たわけでございます。
 口蹄疫ウイルスは国内に侵入する可能性は今でもどこでもあるということを前提にいたしまして、実効ある防疫体制を早急に整備する必要があるということでございます。最もその中で重要なのが、発生の予防、それから続きまして早期の発見、通報、さらに初動対応でございます。そうすることが国民負担を小さくすることにつながるのではないかなということにまとめたわけでございます。
 今回の防疫対応の問題点を幾つかお挙げして御説明申し上げます。
 まず、防疫体制が十分に機能しなかったということでございます。といいますのは、国と県、市町村、これらの役割分担が明確ではなくて、意思の疎通が図られていなかったということに落ちついたわけでございます。
 それから、豚への感染が起こったことにより急激に発生件数が増加いたしまして、五月の初めには防疫対応の改定が必要となってまいりました。五月十九日に殺処分を前提とする緊急ワクチン接種が決定されましたけれども、結果的には、この決定がタイミングとしては遅かったのではないかなということでございます。
 さらに、宮崎県が所有いたします種雄牛の特例措置は現場に多くの混乱をもたらしたということでございます。
 さらに、国際空港、海港においては靴底消毒などの検疫措置を実施しておりましたけれども、オーストラリアやニュージーランドのような徹底した入国管理は実施されていなかったということも判明いたしました。
 それから、畜産農家段階におきまして飼養衛生基準が十分守られていたとは言いがたいという結論になったわけでございます。特に、バイオセキュリティーが高いはずの宮崎県の畜産試験場、さらに宮崎県家畜改良事業団、JA宮崎経済連の施設でウイルスが侵入したことを許したことは、関係者は深刻に受けとめるべきだということでございます。
 そしてさらに、宮崎県の家畜防疫員一人当たりの管理頭数、農家戸数は、他県に比べまして格段に負担が大きいということがわかりました。といいますのは、端的に言いますと、一家畜防疫員、一獣医師当たりの管理戸数が、全国平均五十二戸でございますけれども、宮崎県ではそれが二百四十六戸に及んでおるわけでございます。また、家畜単位というのがございますけれども、家畜単位から見ますと、一獣医師当たり、全国平均は四千二百四十四単位、それが宮崎県の場合には一万五千三百四十二単位と非常に多いということがわかったわけでございます。そして、その結果、家畜を飼育している場所の所在地とか、それから畜種、種類とか、頭数などにつきまして、宮崎県は十分把握ができていなかったということがわかったわけでございます。
 今回の事例では、異常畜の発見の見逃しや通報のおくれがあり、感染を広げる大きな原因となったということでございます。
 診断確定後二十四時間以内の殺処分、七十二時間以内の埋却ができなかったことが感染を拡大させた大きな要因であるということ、さらに、殺処分、埋却などの具体的な作業のイメージがないために作業が円滑に進まなかったということも言えます。
 今回、我が国で初めて、健康な家畜にも殺処分を前提としたワクチンの接種が実施されたのでありますけれども、経済的な補償を含めた法的裏づけがなく、その決定及び実行に時間がかかり過ぎたということも言えます。
 我が国では、国際競争力強化や生産効率向上のため、規模拡大政策が進められてきましたけれども、大規模化に伴って、規模に見合う防疫体制がとられるべきでありますけれども、必ずしもそうした体制がとられていなかったということも言えます。
 今後の改善方向、これが一番重要かと思いますけれども、国と都道府県、市町村などの役割分担、連携のあり方をもう少し明確にすべきだということが言えるのではないかなということでございます。また、国は、防疫方針の策定、改正に責任を持つとともに、その方針に即した都道府県段階の具体的措置が確実に行われるよう、必要な改善指導を行ったり、さらに防疫演習を実施したり、そして緊急支援部隊などを派遣するなどの支援を考慮すべきだということも書いてございます。
 それから、防疫方針のあり方でございます。
 国が定める防疫方針につきましては、海外におけます発生の状況や科学的知見、技術の進展などを常に把握し、常に最新、最善のものとして準備しておくべきだということも設けております。それから、初動対応で感染拡大が防止できない場合には、速やかに防疫方針を改定することが必要でありますし、国は、第一例の発生後直ちに防疫の専門家を現地に常駐させ、感染の実態を正確に把握した上で、感染拡大を最小限とするための防疫方針の改定を判断できるようにすべきだということでございます。
 それから、種雄牛を含む、畜産関係者の有する家畜については特例的な扱いは一切すべきではないと結論づけました。といいますのは、これはヒアリングでもかなり厳しい批判が出ておりました。
 それから、我が国への口蹄疫ウイルスの侵入防止の措置のあり方でございますけれども、オーストラリアを初め諸外国では非常に厳しい対応をしているわけでございますけれども、我が国への口蹄疫ウイルスの侵入を防止するための措置をもう少し強化すべきではないかということに至ったわけでございます。
 さらに、口蹄疫ウイルスの畜産農家への侵入の防止措置のあり方でございます。
 これは、畜産農家にも飼養衛生管理基準を確実に遵守すべきための家畜防疫員による定期的な立入検査を行うべきではないかということでございます。ほとんどこれが行われていなかったということでございます。それから、飼養衛生管理基準を遵守していない畜産農家には、何らかのペナルティーも科すべきではないかということでございます。さらに、飼養衛生管理基準を実効あるものにするためには、もう少し具体的なものにすべきではないかということもございます。
 さらに、農場間を移動する車両につきましては、日ごろから消毒を徹底し、そこに立ち入る獣医師とか人工授精師とか削蹄師、家畜運搬業者、死亡獣畜処理業者、飼料運搬業者などにつきましても消毒をさらに徹底すべき必要があるということでございます。
 それから、発生時に備えた準備のあり方でございますけれども、都道府県は、問題点から言いましてもわかりますように、家畜を飼っている農場の所在地とか、それから畜種とか飼養頭数とか、飼養管理の状況などを日常的に詳しく把握しておくべきだということでございます。そのためには、全国平均に比べまして家畜防疫員の数が少ない都道府県は、家畜防疫員の増員に努めるべきであるということでございます。
 さらに、患畜の早期の発見、通報のあり方でございますけれども、ここも非常に大事なことでございます。
 口蹄疫が発生した際には、防疫措置が一日おくれても被害が飛躍的に増大することがOIEの提言でわかっております。このため、早期の発見、通報を徹底するための手段として、具体的な通報ルールをつくるべきだということを提案いたしました。例えば、国があらかじめ示した一定の症状に照らして口蹄疫を否定できない家畜につきましては、症状がわかる写真を添付した検体を直ちに国、動物衛生研究所のようなところに送るといったルールを定めるべきであるということでございます。それから、そのようなルールに従わない、いわゆる情報をおくらせたような畜産農家とか都道府県などに対しましても、何らかのペナルティーを科すべきではないかということでございます。
 それから、早期の殺処分、埋却などのあり方でございます。
 日ごろから、都道府県は、埋却地の事前の確保とか、作業のやり方、手順の明確化を、民間獣医師、自衛隊などの協力体制のもとに準備を進めておくべきではないかということでございます。さらに、国は、今回の経験を踏まえ、作業現場で実践的に活用できる作業マニュアルを定めて、防疫演習により現場に定着させるべきであるということでございます。
 それから、その他の初動対応のあり方でございますけれども、日ごろから、都道府県は、消毒ポイントの具体的な設置場所や消毒方法についても準備しておくべきであるということでございます。
 それから、初動対応では感染拡大が防止できない場合の防疫対応のあり方でございます。
 初動対応では感染拡大が防止できない場合の防疫方針につきましては、国が責任を持って機動的に対応する必要があり、第一例の発生後直ちに防疫の専門家を現地に常駐させ、的確に判断すべきであるということでございます。それから、ワクチンに安易に依存すべきではなく、現在のワクチンの限界などについても十分に周知を図るべきであるということ。それから、初動防疫では感染拡大が防止できないときの対策として、経済的補償も含めて、予防的殺処分を家畜伝染病予防法に明確に位置づけるべきであるということを提案しております。
 それから、防疫の観点からの畜産のあり方でございます。
 規模拡大や生産性の向上といった観点だけではなく、これが今大きな問題になっているわけでございますけれども、防疫対応が的確に行えるかという観点からも十分見直すべきであるということでございます。いわゆる飼養規模とか飼養密度などを含めた畜産経営のあり方につきまして、一定のルールを定めたり、コントロールできるように法令整備も検討すべきであるということでございます。
 それから、あともろもろの、その他でございます。
 産業動物に関する獣医療体制を実効あるものにするように強化推進すべきである。それから、口蹄疫の検査方法とか、ワクチン接種、それから抗ウイルス薬とか、消毒の方法、効果など、口蹄疫全般について実効性の高い研究を進めるべきであるということでございます。さらに、動物衛生研究所につきましては国立の機関として位置づけることについても検討すべきである。これはイギリスでもやっていることでございます。
 それから、終わりになりますけれども、本報告書を踏まえまして、国におきましては、家畜伝染病予防法の改正、的確な防疫指針の提示を初めとしたさまざまな具体的な改善措置を早期かつ着実に実施するべきである。それから、都道府県におきましては、具体的防疫措置の実行責任者であることを深く自覚し、国の防疫指針に基づき、市町村、獣医師会、生産者団体などとの連携協力をしつつ、予防、発生時に備えた準備、発生時の早期通報や的確な初動対応に万全を期すべきであるということでございます。さらに、畜産農家には、人、車、物の出入りに際しまして消毒に万全を期し、みずからの農場にウイルス侵入をさせないようにするなど、衛生管理を適切に実施することを期待するというものでございます。
 最後になりますけれども、最も重要なのは、発生の予防であり、さらに早期の発見、通報であり、さらに早い初動対応であるということを、力を入れまして、まとめさせていただいた次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
○山田委員長 ありがとうございました。
 次に、郷原参考人、お願いいたします。
○郷原参考人 郷原でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、今回の口蹄疫の対策の検証全般については、専門でもございませんし、今座長の方から詳しく説明もありましたので、私の本来の専門の立場の話をちょっと前置き的にさせていただいて、今回のこの問題にかかわった感想といいましょうか、印象について少しお話をさせていただこうと思います。
 私はもともと法律を専門にしておりますが、とりわけ企業、官庁などのコンプライアンス、クライシスマネジメントなどを特に専門にしておりまして、いろいろな不祥事が発生したときに、それにどう対応し、どうやって組織が信頼を回復するのかというようなところ、いろいろな事例にかかわってまいりました。
 そういう一般的な、問題が発生したときにその問題にどう対応するのかという観点から考えますと、何といっても重要なことは、その発生した問題の本質は何なのかということを正確に認識し、そこで実際に起きている現象について、その本質との関係で、何が、どういう利益が害され、どういう利益を回復しようとしなければいけないのかという根本的な視点から対策を考えることが必要なんじゃないかと思います。
 そういう観点から、今回の口蹄疫の問題の対策の検証にかかわって私が全般的に思いましたのは、非常に重大な、畜産という分野にとって大きな問題であることは間違いないと思いますし、口蹄疫の発生による社会的、経済的影響というのは非常に甚大なものなんですけれども、この問題がどういう性格の問題なのかということについて、必ずしも関係者の中でみんな同じような認識を持っているとは限らないとも言えるのではないか。ましてや、報道だけでこういう問題を知っている国民の間には、この口蹄疫という問題がどういう不利益を生じ、どういう影響を生じる問題だから徹底した殺処分まで行わないといけないのかということについての理解が本当に十分に得られているだろうかというような感じがいたします。
 非常に伝染性の強い家畜の伝染病であるということはわかるんですが、そのかかった家畜がばたばたと死んでいくというようなものではなくて、比較的症状が緩やかであるということもあって、徹底した殺処分まで行って封じ込める必要があるというのが、家畜の健康そのものを守るためなのか、あるいは、場合によっては人にまで影響が生じる可能性がないとは言えないということなのか、そうではなくて、清浄国という一つの評価を維持することの経済的なメリットが重要なのかといったところについて、人によって少し受けとめ方が違う点があるのかもしれない。
 今回の口蹄疫の発生に関しても、最初、初動の段階での県の対応のおくれとか、いろいろな問題が発生したわけです。それから、種雄牛を保存するかどうかということについてもいろいろな議論がありました。そういったことの背景に、この問題をどうとらえるのかというところについての認識の若干のずれなども影響している面がないとは言えないのではないかなというふうに考えております。
 ヒアリングとしていろいろな方からお話を聞いたわけです。宮崎県の課長のヒアリングの中で、これは非常に率直な発言だと思いますけれども、まだ口蹄疫だと確証が持てない間に検体を国の方に送るのは相当ちゅうちょされるということを率直に述べておられましたけれども、まさにそれが、この問題をめぐる非常に複雑な要因というのを示しているんじゃないかという気がいたします。
 こういった点を踏まえて、やはり、まず、この問題をどうとらえ、基本的に何を重視して、どういう目的でこの対策を行っていくのかということを明確にし、農水省の方でも、そういったことについての理解を深めていく努力をしていくことが重要なんじゃないかと思います。
 そして、私の本来の専門分野でありますコンプライアンスという観点から考えると、個々の畜産農家のこの問題に対してとるべき対応というのが、やはり規模によってそこに違いが出てくるんじゃないかなという感じがいたしました。
 本当に零細な、それほどたくさんの家畜を飼っていない農家であれば、十分な補償が得られるという見込みがあれば殺処分なども特にちゅうちょすることはないでしょうし、通報をちゅうちょする理由も余りないわけですが、今回のこの問題に関して若干問題が指摘されたのは、大規模な企業で畜産を営んでいた農家といいましょうか、業者の対応が相当おくれたということがこの報告書の中でも指摘されています。
 やはり、企業の対応というのは個々の畜産農家の対応とは違った動機、誘因が働く面があります。そして、企業の中での意思決定のプロセスは、個人事業主としての農家とは違ってくる。ですから、そういう大規模な農家で望ましい対応、早期に通報し対策をとるという対応をさせるためには、やはり、その企業のコンプライアンス対応の骨格になる、こういう問題に対する方針の明確化が企業として行われないといけないし、その点について従業員一人一人に十分な周知徹底措置が行われ、対応がとられるということが必要なんじゃないかと思います。
 とりあえず、私の方からは以上です。(拍手)
○山田委員長 ありがとうございました。
 次に、津田参考人、お願いいたします。
    〔委員長退席、梶原委員長代理着席〕
○津田参考人 津田でございます。
 今回は、口蹄疫疫学調査チーム長として、今回の口蹄疫の発生の原因究明、それから再発を防止するための対策を提示するために疫学調査というものを行いました。その調査の概要につきましては、お手元に、資料として、口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめとしてまとめたわけでございます。これにつきまして手短に概要を説明いたします。
 まず、目的は、先ほど申しましたとおりでございます。
 疫学調査の方法でございます。
 我々は疫学調査チームでございますが、すべてここでやったわけではございませんで、発生直後から、農林水産省に疫学調査班、それから宮崎県にも疫学調査班というのを立ち上げまして、そこが連携して、すべての発生農場それから関連するところについて調査を行っております。その結果をもとに我々の調査チームの中で分析、検討して、どこがリスクが高かったのか、どこが考えられるかということをしたわけでございます。
 調査項目でございますけれども、すべての農場につきまして、感染源、要するにウイルスの感染のもととなる家畜あるいは人、車両、物等の、可能な限りそういった動きを調べたということがございます。
 それからもう一つでございます。口蹄疫ウイルスです。
 今回の発生で見つかりましたウイルスにつきましては、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所、私のところでございますが、ここの海外病研究施設で、これは日本で唯一口蹄疫を取り扱うことのできる、封じ込め施設を持っているところでございます。ここでウイルスの遺伝子を解析いたしまして、その解析データを、国際的に、ワールドレファレンスラボラトリーと言っているんですけれども、世界じゅうのデータを集めて解析しているところがございます。イギリスのパーブライト研究所、ここと連携しまして、解析してもらいました。
 その結果、O型まではうちで分析が終わっているんですけれども、このウイルスが、同じO型で、データベースにある中では、香港、韓国、ロシアでことし分離されたウイルスと極めて近い。九八%、九九%の相同性があるということで、こういったウイルスと非常に近いんじゃないかという結論を得ております。
 こうしたことから、今回のウイルスは、こういったアジアの地域で流行している、これは三カ所、香港、韓国、ロシアということで、ではここから来たかということになるんですけれども、データがあるのがこれだけでございまして、実際には発生はもっと広く起こっております。ですから、こういったことから、こういった地域から日本にウイルスが入ったのではないかということを推測したわけでございます。
 それから、今度は侵入経路でございます。
 侵入経路を特定するためにまず何が大事かといいますと、順番を決めなければいけません。今回の発生が、いつ入ったのか、同時多発なのかそうじゃないのかということを決める必要があるものですから、今回は、各発生事例につきまして、立ち入り時にいろいろな検査を行っております。その際の臨床症状、症状はやはり日にちがたつごとに少しずつ変わっていきます。そのときの写真をもとに、どのくらい日にちがたっているのか。それから、検査結果によって、もっとたてば抗体が上がってきます、感染した証拠が出てきます、その抗体があるかないかということを含めて検討しまして、疫学の専門家、病理の専門家を入れて、そのルールで、一応、感染日、発症日を推定いたしました。
 そうしましたら、今回の例では、二百九十二例ございますけれども、一番早かったのは六例目、これが三月の二十六日ぐらいに発症したんじゃないかということでございます。その次が一例目。要するに、最初に見つかったのが必ずしも最初に発生したところじゃないということでございます。それから七例目の順になるんじゃないかということです。
 この中でわかったのが、四月の二十日、発生が確認された時点で、もう既に十数戸にウイルスが入っていた可能性がある。その中では、幾つかの農場ではもう既に発症して症状を出していた可能性もあるということがわかったわけでございます。こうしたものの感染の確認がおくれたことが、その後の防疫対策が追いつかなかった一つの原因になるんじゃないかということが思われます。
 こういった事例につきまして、では、最初どこから入ってきたかということで、調査の中から、発生農家とそれから海外渡航者、そういったものの接点をいろいろ調べていったわけでございますが、まず、畜産関係の資材等につきましては、明確な、これが入ったということは得られておりません。とすると、やはり人あるいは物の出入りに伴って国内にウイルスが侵入したのではないかという可能性がどうも否定し切れないということでございます。
 ただ、個々の人の動き、あるいは物の出入り、要するに畜産関係以外のものですけれども、そういったものについては正確な記録がやはりとられておりませんので、これが限界かなというところでございます。ですから、報告書の中では、ここで完全に特定には至っていないということです。
 それから、最初の三例、先ほど言いました、六例、一例、七例というふうに言ったんですけれども、その関連でございますけれども、これにも、特定にこれはという、特定できるような要因は確認されておりませんでした。可能性は幾つかありますけれども。
 その後、近隣の伝播と、その後の周辺の伝播がございます。
 この中間取りまとめでは、初期の発生事例につきまして、伝播が、どのようにウイルスが広がっていったのかということをまとめております。それから、途中で、えびのあるいは都城といった離れたところに感染が起きました。これの原因につきましても、どういったもので動いたかということを調べました。その結果、一番可能性が高いのは、やはり人あるいは車両がウイルスを運んだのではないかということでございます。
 それからもう一つは、近隣農場。中心部の川南地区、一番感染が多かったところですけれども、やはり非常に密集地帯でございます。さらに、その中で非常にウイルスを拡散すると言われます豚への感染が起きたということで、この豚の処分も間に合わなかった、おくれたということから、環境中でのウイルスの濃度が非常に高まって、これが、そこに生活されている皆さん方の生活上の移動、一般生活上の移動、あるいはそういったものに伴って広がったのではないかということでございます。中には、野鳥とか、それから物理的なものもあったかもしれませんけれども、ちょっと特定できない。近隣伝播と言われる、数キロ内へのウイルスの広がりはあったのかと思われます。
 遠くの、範囲外への移動というのは、やはり人あるいは車両という可能性が一番高いということでございます。
 それから、野生動物につきましては、今回は野生動物では感染したという証拠は得られておりません。最後の抗体検査につきましても、野生動物からはそういった感染の証拠は得られておりませんし、発生の形態からいっても、野生動物の関与はなかったろうというふうに思われます。
 結論ですけれども、こうした感染経路で広がったんですけれども、最終的には、今回の防疫対策、かなりの犠牲は出しましたが、これで日本としては口蹄疫は一応清浄化できたのかなということで、こういったこともまとめて、現在、農水省の方からOIEに対して清浄国認定の申請を出しているというところでございます。
 今後、この疫学調査に関しましては、最後まで発症しなかった農家と発症した農家の違いがどこにあるのかということを調べていくということ、それから、今回の口蹄疫のウイルスについてさらに時間をかけて詳細な調査を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔梶原委員長代理退席、委員長着席〕
○山田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○山田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。道休誠一郎君。
○道休委員 民主党の道休誠一郎でございます。
 私は、今回、先生方、口蹄疫対策検証委員会報告書並びに口蹄疫の疫学調査に係る中間取りまとめ等に御尽力をいただきましたことに対しまして、宮崎県選出の国会議員の一人として、また宮崎県民の一人として、厚く御礼を申し上げたいと思っております。本当にありがとうございます。
 私自身、参考人の先生方への質問というのは初めてやらせていただくものですから、非常になれないところもございまして、国会の質問はやったことがあるんですけれども、失礼のないようにさせていただきたいと思いますが、ひょっとして失礼な発言をしてしまうかもしれませんけれども、そのときはお許しをいただきたいと思っております。
 口蹄疫、我がふるさと宮崎県にとりましては、非常に苦しい、そしてつらい、また多くの犠牲を伴った疫病として、四月の二十日に発生が確認されました。十年前に、宮崎、一度発生した過去がございます。私も、今回の四月二十日の発生確認という話を聞きまして、当然、農家に一軒一軒入ることはしませんでしたけれども、発生以降、毎週末、関係の役場やJAさんのところへお邪魔をしながら状況を聞いていたんですが、五月の第二週の日曜日でしょうか、現場の役場に参りまして、お話を聞いた。しかしながら、発生から三週間以上たっている状態の中で、先ほど先生方の御指摘もございましたけれども、非常に現場が混乱してしまっている。
 国と県は、四月の二十日当日に口蹄疫防疫対策本部というのを設置いたしました。加えて、五月の十七日に、国は政府口蹄疫対策本部及び現地対策本部を設置いたした。そして、続く十八日、宮崎県は非常事態を宣言して、翌十九日にはワクチン接種の決定を行わざるを得ない状況にまで拡大しておったということでございます。
 先ほどから御指摘がございましたけれども、やはり、口蹄疫の拡散防止あるいは発生防止というのは、まずウイルスの侵入を防ぐ、そして初動をしっかりやっていくということが不可欠であると私は確信しております。どこから侵入したかについては、先ほど先生方のお話がございましたけれども、一例目、六例目、七例目という非常に大きな事例がございます。その中でも恐らくは六例目であろうというような御推測をいただいておるわけですけれども、ひょっとしたらほかの農場でも既に発生があったのではないかというような御指摘もこのレポートの中でもございます。
 特に、七例目につきましては、ここに書いてございますけれども、四月の八日ごろには既に食欲不振の牛が出ていた、そして、四月の十七日においては全農場でかなりせきとか鼻水の、風邪の症状を示す牛が多発しており、また、十八日以降、全頭に対して抗生物質の投与をされておるということがございます。
 六例目の水牛農家に対するレポートも出していただいておるんですが、ここについては、外からの人の出入りについて確認はできない、資料がないということ以外は、基本的には感染のルートを確認するようなことはなかったということでございます。
 今、韓国でも清浄国宣言をした後に再び口蹄疫が蔓延し始めているという状況の中で、やはり現場の皆さん、これは日本全国の皆さんが心配していらっしゃると思うんですが、今回の口蹄疫の経験、非常につらい経験でございますが、これを経験した後の、現在のいわゆる水際対策の状況、先生方の御報告書にある徹底した防疫体制がとられているのかどうかについていかがお考えかをまずお聞かせいただきたいと思います。
 これは宮崎の口蹄疫とはちょっと離れてしまうんですが、今、恐らく畜産農家の皆さん、あるいはほかの方にとっても、韓国の口蹄疫が来ちゃ困る。そして、たくさんの方々が韓国に毎日行ったり来たりされておるわけですけれども、こういう事象についてどうお考えか、先生方の御意見を伺いたいと思いますが、お願いします。
○山根参考人 検証委員会でも相当その方に時間をかけまして議論した内容でございます。
 確かに、現場のヒアリングを聞きましても、ほとんどそれがなされていなかったに等しいということなんですね。事実、私は、十月の二十三日から韓国に行きまして、そして二十七日からは北京に行ってきたんですね。きのうは台湾から帰ってきたところなんです。ところが、三回とも注意をして、空から入る、この国はみんな三カ国とも発生しているわけですから、そこから帰ってきているにしては、全く空からの水際作戦ができていないに等しいということが言えるのではないかなと思うわけでございます。やはり、マットが敷いてあって靴がぬれて困るというようなクレームがつくぐらいの対応をしておかないと、私は無理じゃないかなという気はいたします。
 ですけれども、そうやって入るのも大事でございますけれども、もう一つは、先生の御指摘のように、農家に聴取しても、どういう見学者が来たかとか、韓国からどういう畜産農家が見学に来たとか、全く記録がないどころか、県は聴取さえできないというんですね。こういう体制では、私は、今後また同じことを繰り返す可能性は十分あるのではないかなと思いまして、この取りまとめの中にはかなり厳しく記入させていただきました。
○道休委員 津田先生にも同じ質問についてコメントをお願いしたいんですが、よろしくお願いいたします。
○津田参考人 今現在どういう対策がとられているかということにつきましては、やはり日本の行政なりに聞いていただいた方がよろしいかと思います。
 今、日本の周辺でも、モンゴルでも口蹄疫が出ております。これは野生動物なんですね。そういった意味からしますと、やはり、日本のように周りを海で囲まれているということからすると、防疫、侵入防止という意味ではやりやすいかもしれません。だけれども、今山根先生がおっしゃったように、やはり人の動き、これに伴った侵入という可能性が非常に高いと思います。
 そうした中で重要なのは、動物に接した後に、やはりその同じもので国内の動物に接しないということですね。ですから、一つは、国としてのそういった守り、バイオセキュリティー、それからもう一つは、農家段階でのバイオセキュリティーというのが必要だと思います。
 ただ、もう一つ足りないのは、畜産をやっている方だけがそれを注意しても、ほかにもいっぱいいるわけですね、直接畜産じゃない人も。そうした方々の意識を高める意味では、やはり地域として、あるいはそういったぐるみの、県なり市町村なりの、畜種あるいは職種を超えた取り組みを私は期待したいと思います。
 現在についてはちょっとわかりかねます。
○道休委員 ありがとうございます。
 今回の宮崎の口蹄疫の拡散の中で私自身も気になりますのは、まず四月の二十八日に豚へ広がったわけです。やはりこれが非常に大きなターニングポイントになったわけですね。しかしながら、この第一例が県の畜産試験場支場で出たということと、さらに加えて、その後、家畜改良事業団でも種雄牛に感染してしまったということについて、これはもう、現場で口蹄疫は怖いからしっかり消毒をやっていこうとやっていらっしゃったそれぞれの農家の皆さんに大きな衝撃を与えてしまったと思います。
 この報告書の中でもその体制についての御指摘がございますけれども、再度、こういう本丸と思える組織の防疫のあり方についていかがお考えか、まず山根先生にお願いします。
○山根参考人 やはり、先生御指摘のように、公的機関というのは、この検証委員会でも議論したのでありますけれども、ある意味では民間の避難場所なんですね。お手本にならなきゃいけぬところなんですね。それが、実はシャワーもあって完備はできているのに、発症してからでもそれを使っていなかったというのもわかったわけなんですね。
 ですから、やはり根本は、危機管理意識が育っていなかった。十年前の経験が、全くどころか、むしろ悪い方に作用して、余りにも見事に抑えたものですから安心感を与えてしまった。ましてや人にはうつらないというのが一般的なものですから、そういう面ではちょっと油断があったのではないかなという気はいたします。
○道休委員 先生、どうもありがとうございます。
 今まさにおっしゃいました十年前の経験というのが、今回、私自身は現場でお話を聞きながら、どこへ行っても、おれも十年前やっていたよ、口蹄疫を抑え込んだんだからということをおっしゃる方も結構いらっしゃったので、その経験が逆に成功体験としてマイナスになったのかなという側面も否定できないなという感じがします。
 それから、先ほど郷原先生の方からコンプライアンスについてのお話がございました。
 私自身、金融の世界におりまして、いわゆる四大証券が巻き込まれたような金融の事件もあったんですが、その業界の常識が世の中の、業界で利益を求めることや、あるいは個々の企業が利益を最大化する中で、やはり社会的な責任が問われる。
 まさに今回は、この口蹄疫の拡散によって、畜産業、特に大規模農場におけるコンプライアンスの徹底、これが逆に社会的にはマイナスになったのではないかというような御指摘もございます。社内の連絡等に追われて当局への連絡がおくれてしまった、こういうことについては、やはり意識の改革、あるいはコンプライアンスの徹底というのは非常に必要になると思うんです。
 具体的に、先ほどペナルティーなんというお話もされていましたけれども、先生、どういうような方法が考えられるでしょうか。よろしくお願いします。
○郷原参考人 今回の企業の対応、企業農場の対応に関しては、社内の連絡、報告を優先したために早期の通報ができなかったということが指摘されています。やはり、それは、本来のコンプライアンスという考え方からすると、基本方針が恐らく間違っていたんだろうと思うんですね。
 社内での報告、連絡は何のためにするのかといえば、その企業として適切な対応を行うためにするわけですね。そこで求められていることが、とにかく早期に口蹄疫を把握、発見して通報することが企業として最も重要なことなのであれば、社内での報告、連絡というのも、とにかく速やかに意思決定者のところに行われて、速やかに対応することが最優先されないといけないと思うんですね。
 そういう方針自体が社内で徹底されていなかったから、結局それがこういう対応の誤りにつながったんじゃないか。それを、形式的にコンプライアンスを考えると、いつも大体社内で何かあったときにはこういうルートで伝達をして、こういうしかるべきところでそれぞれ判断を経た上で最終決定するとかいうような、形式にのっとってやるのがコンプライアンスのような勘違いをしていた可能性もあると思いますね。
 そういう意味で、目的を明確にして、方針を明確にして、そのために最も実効的な方法をとるような企業としての対応をやらせなきゃいけない。それがどれだけできているかによって、結果的におくれたかどうかということだけじゃなくて、企業のコンプライアンスのレベルに応じて、場合によっては、十分じゃなかった場合には補助金の削減とかというペナルティーも考えなければいけないんじゃないかと思います。
○山田委員長 ちょっと郷原参考人に私から一つ聞きたいんですが、今回、現地に行って本当につくづく思ったんですが、個人情報保護法のもとにという形で、一例目とか二例目とか、例えば近くにいても、同じ農家同士が、どこが発症したかわからない、非常に疑心暗鬼になっていて、防疫措置も十分でなかったという気が非常にしたんですが、個人情報保護の見地から、先ほどの企業型のコンプライアンスがなかったということもそうなんですが、私は、疫学調査の内容においてもどんどん名前を出すべきだ、そう思ったんですが、そこは法律家の立場からどうお考えですか。
○郷原参考人 全くおっしゃるとおりだと思います。そういう重要な情報、人の生命身体にかかわる問題とか、この場合は家畜の伝染病に関する重要な情報を、個人情報保護法を振りかざしてその情報の提供をしないというのは、法律の趣旨を完全に履き違えた考え方だと思います。
 本来、個人情報保護法というのは、情報を最大限に活用するために、その目的に反するような情報の悪用、転用を防ぐということを事業者に義務づけているわけでありまして、常識で考えても、その情報が提供されることによって社会的な利益が図れるという場合に、そこでマイナスの方向に働くような個人情報保護法の使い方をする、持ち出し方をするというのは全く本末転倒ですので、やはり社会全体の法律に対する誤解がこういった事態を招いているんじゃないかという気がします。
 宮崎県の個人情報保護条例でもちゃんとそのあたりは例外規定が設けられているはずですし、法的に見てもそこは問題ないと思います。全くの無理解がそういった事態を招いたんじゃないかと思います。
○山田委員長 その意味では、今回の疫学調査でも、検証チームでも、相変わらず一例目、二例目とかと、情報を開示していないというのはおかしいという気が私は非常にしているんですが、そのことだけ言わせていただいて、あとは引き続き……。
 道休委員。
○道休委員 委員長に、私次にお尋ねしようと思いました質問を先取りされてしまいまして。
 まさに、現場に入りましても、個人情報ということの保護から、どの地区で口蹄疫が出たと言われても、実際、自分の住んでいる地区なのに、どこで出たかわからない、どういう対応をすればいいかわからない。風評被害を非常に恐れた、あるいはプライバシーの侵害を恐れたという発言はあるんですが、やはりその辺の、何が本当に大切なのかということに対しての認識は本当に必要だと思います。
 それから、私自身、現場に入っていろいろな方と今お話をするんですが、先生方に対してのリクエストも一つ来ておりまして、ヒアリングなんかも非常に行っていただいていると思うんですが、もうちょっとたくさんの人間にお話しさせていただくような機会もいただきたいという話もございますので、その辺、ちょっとつけ加えさせていただきます。
 一つ、私が気になっておりますのは、県の家畜改良事業団、ここでの発症というのが非常に、いつの時点でというような問題もございますけれども、先生方のつくられたレポートの中に、実はウイルスの侵入はもう既に五月四日に推定されている、そして、推定の発症は五月十一日であったと。あの地区の方々のお話を聞いていますと、五月の十二日に、夜、いろいろな工作機械が動いているような音が聞こえたとか、そういうような話も伝え聞くわけです。
 私も確認のしようがないんですが、県の家畜改良事業団からの病気の発生というのはその後なんですけれども、この辺について、情報収集されたと思うんですけれども、もしつけ加えていただけることがございましたら、津田先生、いかがでございましょうか。
○津田参考人 家畜改良事業団の調査結果につきましては、すべてこの中間取りまとめで書いてあることだけでございまして、これ以上のものは今のところございません。
 ただ、移動させました牛につきましては、ずっとその移動後も毎日PCR検査をしておって、その後に一頭だけ発症した後も、残った牛についてもさらに二週間の追加検査をしているということで、それについてはほかの牛とは全然違ったモニターをしておって、そこだけは間違いないんです。
 ところが、残された牛については、そういったプログラムがなかったものですから、それ以上ちょっと言及できないというのが現状でございます。
○道休委員 今回の口蹄疫、我々としては、宮崎県民の一人として、もう三度目はない、そういうような対応を県民一体となってやっていく所存でございますし、現在やられていると思います。
 私、今回の口蹄疫の一連の流れを見たときに、先生方のレポートで出していただいております早期発見、この早期発見というのが非常に、やはり、現場でお仕事をされている獣医さんなんかのお話を伺っていると、非常に若い獣医さんたちもいらっしゃいまして、今まで自分が経験したことのない病気でございます。人間でも、日本でマラリアなんかにかかっていても風邪ですよと診断されてしまうくらいの状況でございますから、逆に、この早期発見について、口蹄疫がかなり広がった後半の段階では、もう写真を撮られてそれで判断していく。
 委員長も非常に、現場の対策本部で、いろいろなところへ出ていっていただきまして、畜産農家の方と意見を交換していただいたりしておるんですが、この早期発見、もう三度目をなしにするためにはやはり日ごろからの防疫体制の強化とか、そういうことを先生方もレポートで書いていただいておるんですが、特に、畜産農家の気にすべきこと、あるいは行政が注意しておかなければいけないこと、そして一般の住民が気にしておかなければいけないこと、これがあると思うんです。
 これについて、御意見を三先生方から伺えればありがたいと思います。
○津田参考人 早期発見につきましては、私が一番やはり今回強調したいところでございます。
 二〇〇〇年のときもそうでした。今回も、一例目を診察された獣医師の方は、いつもと違うということで届けられているわけでございます。やはり、そういった獣医師の炯眼といいますか、これが一番早期発見につながるわけでございまして、その次がやはり家畜保健所の方々でございます。
 家畜保健所は、材料を送るのをためらったというような報道もされておりますけれども、現実には、口蹄疫ということで動き始めますと、当然出荷もとめなければいけない、市場も閉鎖しなければいけないという、やはり周りに対する影響が非常に大きくなってくるんです。
 だけれども、獣医師のやはり見た目、要するに、いつもの異常と違うぞという目というのは、これは結構重要でございまして、そのときの判断というのが、どこまでの対策をとっておけばいいのか。だから、その農場だけをちょっと立ち入り規制、移動禁止をかけておいてやるのか、それとも、全体の、周辺地域までとめてしまうのかということは、やはりそのときの感覚でしかないと思うんです。
 そうした意味では、もう少し診断の場所にちゃんと持っていけるような体制に持っていければいいと思いますし、それから、そういったパンフレット等を通じて農家以外の方にもいろいろ教育していくというようなシステムも必要かというふうに思います。
○山根参考人 ちょっと追加発言になると思いますけれども、一例目と六例目の農家の方は、早く発見なさって獣医師さんの診断を受けておられるわけなんですね。特に、都農町に出ました一例目の発症の場所なんかでは、四月の七日におかしいと。そして九日には、青木獣医師が診まして、そして、これはふだんと違う、口蹄疫が疑われるということで家保に通報しているわけなんですね。ですけれども、何ゆえそれが二十日まで延びたか、十九日まで検体を送るのが延びたかということなんですけれども、それを聞いていましたら、今、津田参考人の言われますように、やはり被害がかなり広がるのではないかなということが非常に懸念されたということなんですね、市場を閉鎖したり移動禁止をやったりしないといけないということで。それでちゅうちょしたということはやはりヒアリングの中で述べておられました。
 ですから、だれでも通報できやすいようなシステムをつくらないと、恐らくまた同じ繰り返しをやるのではないかな。その点は、イギリスが、長い大きな経験を参考にしまして、DEFRAという国家機関をつくっておられるわけなんですね。これは、だれでも通報できるような、それから地方にも支社をつくりまして通報できるような体制をつくって、国が責任を一元化する。だから、おかしかったら、ある基準をクリアしたなら報告しなさいというようなシステムをつくっているということは、日本も大きく参考にすべきだなという気はいたします。
○郷原参考人 行政の対応ですけれども、一般的に言って、こういう重大な問題に関して事前に基本方針がしっかり定められていることが重要だと思うんですね。それが担当者レベルの判断にゆだねられると、結局、いろいろな悩み、迷いが生じてしまって対応がおくれるということになるので、口蹄疫の問題に対して、どういう状況が認められたときにどういう対応をするのかということを、まず県として方針を事前に明確にしておく、ルールを定めておくということが重要なんじゃないかと思います。
○道休委員 本当にありがとうございます。
 時間が来てしまいましたが、私どもは、これから家伝法の改正等を含めまして、二度とこのような口蹄疫、本当に国を滅ぼす怖い病気でございますから、このような疫病が再発しないように、また、法制度面での整備も含めましてこれから頑張っていきたいと思いますので、先生方の今後一層の御支援等もお願いして、質問とさせていただきました。
 どうもありがとうございます。

○江藤委員 大変有意義なお話をいただきまして、ありがとうございました。示唆に富んだお話であって、大変参考になりました。私も自民党の畜産・酪農対策の委員長をしておりますので、今後、年末に向けて、宮腰部会長の御指導のもとにこれを年内にまとめることになっております。きちっと参考にさせていただきたいと思います。大変感謝をまずは申し上げたいと思います。
 たくさん質問がありますので、続けざまにやらせていただきます。よろしく御協力お願いします。
 三つまとめて質問させていただきます。
 今回の初発がどこだったか、このことは、口蹄疫疫学調査チーム、大変よくやっていただいたなというふうに私は思っています。届け出順が発生順位ではないんだ、非常に重要な点だったと思いますね。このことは非常に高く評価しますし、感謝をいたします。
 そして、初発について科学的により明確に解明できる疫学的な調査のルール、これはやはりこの機会にぜひとも私はつくっていただきたい。これは、我々政治家でなくて、専門家でないとできない話でありますので、このことを御提案したいと思います。その点につきましては、農場ごとに、採材の、いわゆるとる数、一農家一つというのではなくて、規模によって、あんたのところは十個だよ、あんたのところは一つだよ、ルール化も必要なのではないかということがまず一つ目の質問でございます。これは津田先生、よろしくお願いいたします。
 それから、六例目の三月二十六日の水牛農家の話になりますけれども、これは、いろいろ言われますけれども、よだれと水疱といった症状がなかったんですね、現実問題には。そして、アジアの水牛はほとんど学術的にも研究されておりません。大きいということもありますし、近づいて口の中を見ることもできないということであれば、獣医を責めるのはやはり酷ではないかなということを感じております。また、初期段階では、ウイルスが少ない場合、症状が明確に出ないということも間々あるわけでありますから、このこともやはり考えなければならないだろう。
 私が何を言いたいかというと、郷原先生からも御指摘がありましたし、先ほど津田先生の方からもイギリスの新しい機関についても御提言がありました。しかし、現実には、宮崎の一獣医が動物衛生研究所に検体を送るというのはやはり非常にハードルが高いです。実際に、小林は市場がとまって、結局白だったというようなこともありましたからね。
 こういうことについて、私が思うに、口蹄疫というのはこういうものなんだということがどうも何か固定観念化している気がするんですね、水疱ができるとかよだれが垂れるだとか、体重が落ちるとか食欲がないとか。そういうことではなくて、専門家の先生方に、もっと幅広に、こういったものも口蹄疫を疑うべきだよというような、いわゆるフレキシビリティーのある指針のようなものをつくっていただいて、現場の獣医の方々にぜひ御徹底をいただいたらいいのではないかというのが二つ目の私の意見というか御指摘でございます。
 三つ目は、中間報告では、「アジア地域の口蹄疫発生国から人、あるいは物を介して我が国に侵入したと推定される。」こういうふうに書いてありますが、どのように日本に入ったのか、どのようにして宮崎県に入ったのかということについては、残念ながら、中間報告ですけれども、今のところはっきりしていないということであります。引き続き御努力をよろしくお願いしたいと思います。
 それに当たりまして、ぜひ今度は、やはり調査について、先ほどコンプライアンスと個人情報保護法の話もありましたけれども、行政に立入検査権それから強制調査権、これを地方に与えるのか、県に与えるのか、なかなか難しい問題ではありますけれども、こういったものをきちっと付与した上で調査を徹底しないと、時間がたつにつれて追跡は難しくなるわけですから、こういうものを付与することが私は必要だと。これは家伝法に書くべきかどうか、私たち悩んでいるんですけれども、御意見をぜひお願いしたいと思います。
○津田参考人 それでは、今の質問ですけれども、お答えします。
 まず、口蹄疫の疫学調査のルール化ということでございます。
 毎回、口蹄疫は、今回のインフルエンザもそうですけれども、発生しますと必ず疫学調査を行います。この疫学調査は二つ目的がございます。まず、発生したところに、発生農場に入りまして、そこから出ていった動物なり畜産物あるいは人がいないか、要するにどこまで拡散したかということ、それから、どこから入ってきたかという入り口の調査をして、それを広く押さえて防疫につなげる、そこまで全部摘発してしまうというふうな防疫目的の疫学ですね。それと、今回のように、どこからどういうふうに広がっていったのか、それから、どういう要因がウイルスの侵入を許したのかという本当の意味での疫学ですね。そういった二つのやり方があります。
 従来はやはり防疫上の疫学ということで、最初の疫学は一生懸命やられておったんですけれども、なかなか後の方が、要するに、今防疫で人が忙しいのに何をそんなことをやっているんだという事情もありまして、なかなか後者の方が充実していなかったというのが現実です。ですから、今回は、それにあわせてやはり後者の方も充実していなければいけないということもあって、やっていこうと思います。
 それから、もう一つ、日本ではやはり獣医の疫学というのが若干弱かったというところがありまして、でも、これはもう十年前からでございますけれども、やはり疫学の研究者の育成あるいはそういった学問の発展というのをやるために、我々の独法でございますけれども、そこにも疫学研究チームというのをつくって人材育成等を行っているところでございます。
 ですから、今後、先生のおっしゃったようなことにつきまして充実させていこうと思いますし、発生の都度、そういった、本当の意味でのリスク要因を見つけ出すような疫学が進んでいくというふうに思っております。今回の鳥インフルエンザに関しましてもそういったことでスタートしているところがございます。
 それから、二番目です。口蹄疫の診断指針という話でございます。
 これは、先生方は御存じと思いますけれども、宮崎の方では、最初の連休前は口蹄疫に関する意識というのはそんなに強くなかったと思います。それは二〇〇〇年もそうなんですね。非常に症状が軽いものですから、見ていればおさまるだろうというところなんですけれども、これが口蹄疫の怖さでございまして、ある程度ウイルス量が高まってくると症状もどんどんどんどん激しくなっていくんですね。郷原先生に言わすと、一般論としては余り死ぬような病気じゃないとおっしゃるんですけれども、豚はもう一日で立てなくなってしまいます。ほとんど死んだも同然なんですね。それくらい悲惨な病気なんです。最後の方には、農家の方から、早く殺してくれというような要望が出るぐらいの強い病気でございます。
 これを、どの時点で口蹄疫ととるかというのはかなり難しいことでございまして、先ほど言いましたように、やはりある程度想像力も必要になってくるということです。
 そうした中では、今宮崎県の方でも計画されていると思うんですけれども、今回いろいろな症状を、これだけ数がありましたから、病変の進みぐあいであるとか症状を写真化したものをつくるというような話も聞いております。そうしたものを活用していただければというふうに私は思っております。
 それから、次の立入調査権についての話でございますか。調査権ですね。
 我々、疫学調査を行いましたけれども、やはり最初は聞き取り調査でございます。ここで強制的にできればということもあると思うんですけれども、現実は、やはりそれぞれの方々から聞いてスタートするということがありますから、今回の疫学調査の中ではそういった必要性を感じなかったというわけではございませんけれども、では、あったから画期的に進んだかというと、ちょっと疑問符がつくところでございます。
○山田委員長 ちょっといいですか。
 郷原委員に、立入調査権について、今の家伝法の範囲でどこまでなのか、それも含めて答えていただけますか。
○郷原参考人 現行法でも立入検査の権限はあるんですね。ただ、ほとんどそれが使われていなかったというのが実情だと思います。
 ただ、考えなくちゃいけないことは、今回のケースは、本当にこれだけ大規模な感染が起きちゃった、それを後講釈的に振り返るから、このときにもっとこうすべきだった、こうすべきだったということが言えるんですけれども、今後起きる事態というのはいろいろな事態があり得るわけですね。最初は疑ってみたけれども実は白だったというケースもある、症状もそれほど大したことがないというケースも中にはあるかもしれないです。そのリスクの程度に応じた対応がとられ、それについてのしかるべき周知措置がとられるということじゃないといけないと思うんですね。
 ですから、そこに、非常に複雑で微妙な判断が求められる面が出てくると思うんですね。立入検査というものを実際に行ったときに、それがその対象者に対して、そして世の中に対してどういう影響を及ぼすのかということもあらかじめ想定しておかないといけないと思うんです。独占禁止法の立入検査は、このごろ例外なく報道されて、もうそれだけで企業は悪いことをやったというふうに決めつけられるのが実情です。それと同じように、立入検査というものが何か黒の判定のように受けとられるとすると、それ自体が風評被害につながる可能性がある。
 そういったことで、先ほどの個人情報の問題にも関連してきますけれども、本当に、白のおそれがあるような段階で個人情報の問題を余り拡散させてしまうことも当然問題ですし、そういったことに関して、さまざまな要因を考慮した適切な対応が求められるんだろうと思います。
○江藤委員 大変示唆に富んだ御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 次の質問に入らせていただきます。郷原先生にちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。
 患畜や疑似患畜は、家伝法に基づきまして五分の四がまず補てんをされるんですね。これは委員会で私はたびたびやったんですけれども、経営再建支援補助金という形で、その五分の一足りない部分を宮崎県が払ったんですよ。今度は、共済がさらに払うと。だから、現実問題は、概数で言うと大体五分の六ぐらいになったんですね。
 ところが、ワクチン接種農家は、特措法に基づいて五分の五支給されましたので、共済の対象にならないんですよ。となると、無事戻ししかないわけですね。七百七十農家、ワクチン農家があったんですけれども、無事戻ししかされないで、非常に不公平感が今蔓延しております。
 今回は、国を信じて、補償内容は明示されませんでしたけれども、ワクチンの接種を受け入れました、宮崎県は。受け入れました。その後はちゃんとフォローしてくれたのでよかったのでありますけれども、これがちゃんとクリアされないと、次に発生したときに、ワクチン接種だと損をする、患畜もしくは疑似患畜になった方がもらいが多いというようなことになると非常に問題だということを私はずっと委員会で主張しているんです。
 そして、宮崎ではさらにもう一つ問題が起こっておりまして、豚の預託というのがあるんですよ。豚も、えさも、それから薬も、全部豚の持ち主さんから来ているわけですね。自分は畜舎を持っていて、畜舎は自分のものなんですよ、豚を飼って出荷をしている。ところが、今の法律に基づいてやると、全然、所有者にしか金が払われないということです。
 ただ、我々が、民主党さん、それから公明党さんと一緒に協力して特措法をつくったときには、口蹄疫にかかったすべての畜産農家を救済するのだ、プラスアルファ、二次的、三次的被害に遭った経済損失も補てんするのだという趣旨でつくったんですけれども、完全にその預託の豚の農家さんが漏れちゃった。これは政治のミスで、先生方の責任では全くないのではありますが、ここも、私は何とかこれは修正しておかないと、法律の専門家でいらっしゃいますので、今後、ワクチン接種の段階でそごを来すおそれがあるのではないかと思いますが、ちょっと御意見をいただければと思います。
○郷原参考人 私も、今おっしゃったことは存じませんで、そういう不公平感が生じているということを初めて今お聞きしたんですが、そういうことだとすると、やはりそれは問題だと思いますね。
 感染畜というのは、その農家の責任かどうかは別として、それでも、かかってしまったということについての何がしかの責任もあるかもしれないですよね。ところが、ワクチン接種で殺処分というのは、言ってみれば、そのままほっておいても別に家畜としては特に困らなかったものを、まさに国に協力したということになるわけですから、むしろそちらの方が手厚い保護を受けるべきだというふうに思いますし、そこのところの納得感がしっかりないと、やはりできるだけ広く農家全体に協力を求めるということにならないと思います。
 ちょうど、法律違反に対するペナルティーを何かつまみ食いみたいにへんぱな形で行使していくといろいろな不満が出て法律が徹底できないのと同じで、そういう不公平感はできるだけなくすようにしていかないといけないと思いますし、後者の問題である、実質的な補償を受けるべき立場の業者とか人がだれなのかということも、これは制度の設計、構築に当たって十分に考慮しないといけない問題だと思います。
○江藤委員 大変ありがとうございます。
 これは、いわゆる基金でやるのか、家伝法なり、それからそれこそ政令、省令でフォローするのか、これから与野党を超えた議論をしなきゃならない問題だと思います。法律の専門家の先生からそういうお言葉をいただいたので、意を強くして、何とかこういう不公平はなくすような制度設計に努力をしてみたいというふうに思います。
 それでは、ちょっと突拍子のないことを言わせていただきます。ちょっと時間がありますので。
 今回、殺処分と埋却の具体的な方法が確立していませんでした。こんなに大規模に死ぬとは思っていませんでしたし、これは仕方がないことといえばそうなんですけれども、口蹄疫対策検証委員会の最終報告書、国と宮崎県、市町村などの役割分担が明確じゃない、先ほどおっしゃっていただきました。これは大問題でしたね。頭がいっぱいあるような状況。国は第一例の発生直後に直ちに防疫の専門家を現地に駐留させ、的確に判断できるようにするべきだというふうに山根先生は御指摘をいただきました。
 私は、報告書を読ませていただいて考えましたが、省内に家畜防疫対策室というのを常設するということがやはり必要なんじゃないかと思います。鳥フルも今起こっておりますし。そうなった場合に、まず指揮権のようなものをこの対策室のしかるべきメンバーに政府は委譲して、発生したら、その日のうちにすぐに行けと、すぐ。そして、家伝法なりそれなりの中に、最高責任者は農林水産大臣である、農林水産大臣はできる限り早く、出張していることもあるでしょう、いろいろな事情もあるでしょうから、できる限り早く現場に入って指揮をとるべきだということを明記することが非常に有効なのではないかというふうに私は実は思っております。
 時間がないので続けて質問させていただきますけれども、今後は獣医の問題。
 殺処分の問題で随分問題がありました。人が足りないとか、なれていないとか、注射をまともに打てないとか、いろいろありました。ですから、今度は、農業共済の獣医師それから民間の獣医師の活用、これはやはり考えていかなきゃなりません、今のうちから。
 これまた突拍子もないことを言うようで笑われるかもしれませんが、例えばこういう人たちを、自衛隊でいうところの即応予備自衛官ですか、こういうような形でふだんから押さえておく。年に一回は、演習なり教育なり、訓練を義務づける。そして、大規模にこういう越境性の家畜伝染病が発生した場合については、国の命令で、家畜伝染予防法という根拠法をもって、法律に基づいて招集をかけて、そして、家保の人間と同じ権限を持たせて、みなし公務員として現場で働かせるというのはいかがかなというふうに実は思っておりますが、山根先生、御意見をいただければと思います。
○山根参考人 基本的には全く先生の御指摘のとおりでございまして、今の家畜防疫員、ほとんど、九九%県の職員なんですね。昔の県の職員さんというのは幅広い活動展開をやっていましたから十分経験も積んでおられたんですけれども、今の若い家畜防疫員は、ほとんど牛にさわったことさえないという方が多いんですね。これはヒアリングでもはっきり出てまいりまして、早くから、ぜひとも経験者をよこしてくれと県に要請したのだけれども、県は県だけで対応できると言って何にも対応してくれなかったという強い批判が出ておりましたけれども、全くそのとおりだと思います。
 これは家畜改良センターの場長さんもヒアリングの中で言っておられました。獣医師が、保定から始まって、注射器の整理から始まって、消毒から全部やらないけない、こんな無駄なことはない。だから、経験者をリーダーに置きまして、チーム医療の体制みたいなものをきちっと、それこそ今、動物看護師も、獣医師会は全国組織を進めておりますけれども、そういう消毒とか後片づけとか準備は全部看護師に任せて、それから保定等は飼い主さんも協力すると言ってくれておりますので、こんな一日に一頭しか処分できないようなことでは、我々はもう見るに見かねておるということが出ておりました。
 ですから、そういう体制をつくって今から訓練しておくというのは私はすばらしいことだと思いますし、先生の御指摘のように、自衛官にもそういう緊急時には出るような体制ができておりますね。これは獣医師会の中でも相当前から議論しておりまして、ですから、家畜防疫員と任命しなくても、それに準ずる体制づくりをやっておいて、その方々は絶えずある種の訓練をやったり、まあ訓練をしなくても、経験者ですからこの方々は、家畜共済の先生とか開業の先生というのは。ですから、そういう体制づくりはぜひともやっていただきたいな、家伝法の改正の中ではぜひともやっていただきたい。我々の希望でございます。
○江藤委員 御賛同いただいて大変ありがたいんですが、ただ、この即応予備自衛官も、何らかのお手当を日ごろから払わなければなりませんので、このことについてはちょっとまた国会内で議論が必要だと思います。
 ただ、今回、先ほど先生から指摘がありましたように、宮崎県は余りにも急激にやはり飼っている頭数がふえ過ぎました。増頭運動というのを徹底的にやったんですよ。そのために足りないのと、それから、宮崎県は非常に財政が厳しい。また、プラス言わせていただくと、今回補正予算を一千億円以上組みましたから、もう基金が完全に枯渇しちゃって、では県の責任で家保の人間をふやせといったって無理なんですね、現実問題。
 ということであって、どうしたらいいのかなと考えたときに、これぐらいしか解決策がないのではないかというので、これを、だから県の責任でやるのか、それとも国の責任でやるのか、また山田委員長あたりとぜひ意見交換させていただく機会があればありがたいなと思っております。
 ちょっと時間がありますので、次に移らせていただきますが……
○山田委員長 少し、関連で。申しわけないんですが。
 防疫員に民間の獣医師を任命することはできませんよね、山根先生。
○山根参考人 今のままではだめなんですね。もう家伝法の中でうたってありますから、ですから何らかの……
○山田委員長 やっているところがあったんじゃなかったかな、県が。
 どうぞ、引き続き。
○江藤委員 それでは三番目の質問ですけれども、埋却について少しお尋ねをさせていただきたいと思います。
 二十四時間以内の殺処分と七十二時間以内の埋却ということは、これは基本、これは守るべきだと私も思っています。世界の潮流では、殺処分しないで経過観察するなんということを言っていますけれども、清浄国に復帰する近道として、私は、やはり基本殺処分という方針を貫くべきだという意見を持っている人間でございます。
 今回、恥ずかしい話でありますが、宮崎県は殺処分まで、殺処分ですよ、埋却じゃないですよ、かかったのは九・六日です、九・六日。二十四時間の九倍ですからね。ただ、それはなぜかというと、埋却地がなかったからですよ。埋めるところがないから殺せなかった。三週間も、殺処分することが決まって、それで殺すことができなかった。そのときの農家の気持ちたるや、悲しいものがありますよ。
 ですから、埋却地について、いろいろ赤松大臣のころに私もちょっと激しくバトルがあったんですけれども、これはやはり国できちっと議論をしておく必要があるのではないかと思います。
 最終報告では、「都道府県は、埋却地の確保状況を把握し、埋却地を十分に確保できていない畜産農家に対して必要な指導を行うとともに、畜産農家による事前確保が十分でない場合の対応を準備すべき」というふうに先生御指摘いただいていますね。おっしゃりたいことは十分わかるんです、おっしゃりたいことは。
 ただ、私の選挙区は中山間地域が物すごく多いんですよ。私の田舎は、例えば椎葉村という村がありますが、そこは人口は三千人ちょっとしかおりません。そこには九百二十一頭の牛がおります。そして、椎葉村の総農業生産が五億五千万弱なんですけれども、そのうちの約半分、これは牛なんですね。椎葉の村長と話をしましたが、村長、埋却地あるね。ないと。せいぜい十頭も埋めりゃ、もう場所はないと。急峻な山ですから。そんなところにもう既に家を建てちゃっているわけですよ。
 そういう状況になりますと、家畜伝染予防法に余り厳しい埋却地の要件を書き込んでしまうと、土地の条件の恵まれているところ以外は牛や豚を養ってはいけませんということになるわけですね。ただ、これをやられちゃうと中山間地域は滅びますよ、本当に。シイタケとか、それとか畜産とか、花とか高原野菜とか、そういったもので何とかかんとかやっているんですから。棚田の収入なんていうのは知れているんですよ。ですから、ここら辺の書き込み方をどうやってしたらいいのか、私も非常に実は悩んでおります。
 そして、もうちょっと御指摘させていただきますと、三年間の時限立法でありますけれども、私たちは口蹄疫対策特別措置法をつくりました。この第五条三項には、国は、埋却の用に供する土地の確保その他の必要な措置を講ずる、国の責任だというふうに書いたわけですね。第四項には、地方公共団体は、埋却地の確保その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすると、若干緩いトーンで書いたわけでございます。
 ということになりますと、これは最後の質問になりますけれども、これらの状況を踏まえて、田舎の状況とか、こういう特措法と家伝法との若干そごがあると思うんです、法律上の。そういうものを踏まえた上で山根先生は、現地のことは国は、農林水産省の役人は知らないんですよ。そういう国が埋却地に対して責任を負うよりも、やはり都道府県の方が適切であるという御判断のもとにこういうような最終結論を出されたんですか。これは質問ですけれども、よろしくお願いします。
○山根参考人 全くそのとおりでございまして、というのは、検証委員会の中でもいろいろな意見が出ました。その中で、このような厳しいことを、埋却地まで持たなければ飼育できないというようなことになりますと、日本の零細畜産農家は壊滅状況になるんではないかなという意見が出まして、我々の意図するところはそこにはないのでございます。
 そのような小さい農家には余り発生してないんですね、今回も。やはり問題は、大型の、企業経営の畜産農家なんですね。ですから、これからは、新規の畜産農家は、やはりそれなりの適正規模というのが地域によっては私はあると思うんです。そういう審査体制を、許可体制をとらなければならないのではないかなと私は思っております。
 そういう意味でこの項目をつくらせていただいたわけでありまして、従来、もうやっている方は、なかなかこれを当てはめてやるのは難しい。やるとするならば、やはり国じゃなくて県、市町村が一番現場をよく知っておりますので、そういう公有地とかをちゃんと見繕って、もう鹿児島県は進めているようでございますけれども、そういう体制づくりを各県ごとに私はやるべきではないかなと思っております。
○江藤委員 大変ありがとうございました。
 家伝法の改正、それから防疫マニュアル、指針、政令、省令の精査、これは急がなきゃいけないけれども、拙速にやってはいけないことだなということがよくわかりました。
 ぜひ、諸先生方におかれましては、今後も私どもにいろいろな御示唆をいただいてお力添え賜りますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
 きょうは、お三方の参考人の皆さん、本当に御苦労さんでございます。
 また、私も検証委員会の報告を読ませていただきまして、大変精力的に会議を開いていただいておまとめいただいたこと、心から敬意を表したいと思います。
 それで、いろいろと、行ったり来たりになるかもしれませんが、御質問させていただきたいと思います。
 今回も、やっと清浄国の申請をした、その途端にお隣の韓国で発生をして、今また大変な勢いで広がりつつあるということで、私は、やはりまた九州の方、日本の畜産農家の方も大変な御心配を今されているんではないかと思います。
 一つは、今回の宮崎の口蹄疫についても、今のところ、最終的に感染経路がわからない。結局、どういう形で発生をしたのか、そこがどうも結論が出ないので、一体どういうことだったのか、不安な点がまだ残っているんじゃないかと思うんです。
 これは津田参考人にお聞きをしたいんですけれども、今、いろいろと疫学調査もやっていただいていると思いますが、これは、ある意味でいえば、可能性のあるところを全部つぶしていく以外にはないと思いますけれども、参考人の御意見として、幾つか、複数、こういうことが考えられると、現時点でお話しいただけることで結構でありますけれども、まずお聞かせをいただきたいと思います。
○津田参考人 この中間取りまとめにまとめているとおりでございまして、今回の発生は、一番最初に発生したのが六例目と言われるところでございまして、ここは水牛を飼っているところでございます。幾つかその前後に、前後というか後の方ですけれども、大規模農場であるとかという話も出ているんですけれども、そこの間には、いろいろ、症状等の進みぐあいを見ても約十三日ぐらいの開きがあります。ですから、その順番は恐らく変わらないだろうと思います。
 そうすると、その六例目が初発だとすれば、そこに持ち込まれた可能性のあるものをいろいろ調べてみました。飼料運搬車なり外国産の飼料なり、それからほかの、いろいろな畜産関係の機材等、持ち込まれたものを調べたんですけれども、その中では、ちょっとこれはというものはほとんどなかったということでございます。否定する材料ばかりでした。
 もう一つは、やはり人です。人が出入りしたかということを調べたんですけれども、実際には記録がございません。非常に地理的には山の中でございますので、そんなに人は行かないというふうなこともあったんですけれども、観光じゃないですけれども、ちょっと有名な、特徴的なチーズをつくっているところでございまして、そういうこともあって知っている人は知っているということがあって、人が来たということもあったようです。ただ、記録がないものですから、そういった辺のことはわからなかった。
 口蹄疫の伝播を考えますと、やはり、ほんのちょっとでも感染量のあるものが動物に接触すれば感染は成立します。ですから、必ずしも、量が必要だ、例えば一トン必要、二トン必要というものではありません。ほんのわずかの接触でも十分感染が成立します。そうすれば、やはりそういうことを考えると、人の可能性というのも必ずしも否定できないかなということでございます。そうすると、そういったところに何らかの形で国外からそういった汚染したものが持ち込まれて牛に接触したのではないか。今回、そこから順次広がっていったというふうに推察されます。
 ですから、それを踏まえて、対策としましては、今、鶏あるいは豚等の農場ではかなり徹底されてきているんですけれども、ここは伝染病予防のために無断立ち入りを禁じますということで、まず出入り口でほとんど関係者以外は入れないようになっています。そういったふうなことを多くの畜産施設についてはやはりやる必要があるのかな。あるいは逆に、そういうところを訪れる人は、何も畜産関係者じゃなくても、そういうところに立ち入るのは控えていただきたいということがありまして、そういった畜産以外の者で外部との接触もなるべく予防するということをしていただきたいというふうに考えているところでございます。
 ですから、原因が特定できなくても、やはりそういった対策を日常的にやるということが今後必要になっていくのかなというふうに思っております。
○石田(祝)委員 どうもありがとうございます。
 私も、物とかいろいろあるんでしょうけれども、やはり人の移動が一番の大きな原因だったのではないのかなと。ですから、これは一切だれも入れなきゃ一番いいわけですけれども、そうはいかない。そうすると、やはり入り口を一カ所に絞るとか、そこで徹底的な消毒をして入ってもらうだとか、入った人の記録をつけるとか、その人が近々そういう心配なところに行ったことがあるのかどうかとか、その辺もやはりしっかりやらざるを得ない、こういうことだろうというふうに思います。
 それで、この報告書の内容で、最も重要なのはということで、一つが発生の予防、それから早期の発見、通報、さらに初動対応、ここに財政資金の投入も含めて関係者が力を注ぐことが結果的に国民負担も小さくすることにつながると。私はまさしくそのとおりだと思います。
 ですから、発生の予防ということになると、日本では今起きていない、清浄国の申請をしているということですから、侵入を防止する以外にないわけですね。そうすると、侵入防止ということになると、これは少々不自由、不便をかけるかもしれないけれども、ある意味でいえば、御理解をいただいて、徹底的にやる以外にはない。
 ですから、私は今回、心配しているのは、韓国で出ている、韓国と九州というのは地理的にも非常に近い、人の往来もある、そこで、やり過ぎてもやり過ぎることのないぐらいこれをやらないとまた大変な事態を招きかねない、こういうふうに心配を実はしているんですが。
 ここで、侵入防止、ある新聞を見ますとニュージーランドの水際の例が出ておりますけれども、例えばこれは、山根先生もそれから津田参考人もそういう専門家ですから、この侵入防止、水際でとめるということで、具体的にどういうことをお考えになっているか、こういうことをぜひ行政にやってほしいということがありましたら、それぞれ簡潔にお願いします。
○山根参考人 先ほどの中でもちょっと触れたのでございますけれども、やはり水際作戦が日本国としてはかなり、充実していないといいますか、他国に比べまして、特に畜産立国に比べたら非常にルーズなんですね。
 といいますのは、韓国、中国、北京ですけれども、台湾、この一、二カ月で回ってみたんですけれども、帰ってくるチェックの中に、どこの国に行ったというのはわかりますね、当然これは。税関申告などでも。ただ、どの農場に寄ったとか、農産物はどうだとか、触れたとか、そういうのはニュージーランド、オーストラリアは全部チェックさせるんですね。ところが、それさえないんです、日本は。ましてや、おりた空港でも、本当に消毒どこでしてはったんかなと思うぐらい何にもわからないんですね。わからぬようにしているという説もありますけれども、ちょっとそれは余りにもひどいじゃないかなという気はいたします。
 オーストラリアなどは相当厳しい規格をつくっておりますから、何だったらもう国外に出てもらうような厳しいこともやっていますし、靴も全部捨てるようなこともやっているようでございまして、そうやって見ると、やはりちょっと弱いなという気はいたします。
 ですから、せめて、どこの国に行ってどういう行動をとったかという調査ぐらいは、性善説でございますけれども、やはり申告させるような体制をとらないと、今度、先生の言われましたような、発生経路を探すときにも、何にも申告さえもしていなければ、農家の方も記述もしていないとなってくると、私は皆目わからなくなってしまうんじゃないかなという気はいたします。
○津田参考人 靴底消毒というのを今発生国から来る場合にやっているということはあるんですけれども、あれも、イギリスを見てみますと目立たないようにやっているんですよね。カナダとか、アメリカもそうですけれども、空港の、おりたところにでっかい看板があるんですね。口蹄疫の侵入防止ということでちゃんと靴底を消毒しましょうとか、もう明確に、ここから先はきれいにして入ってくださいということを意識づけしているんですね。
 先ほど山根先生もおっしゃいましたように、入国審査カードの中にも、そういった、農場に行ったことがあるかとか、それから国内に入ったら何日間は、例えば五日間は農場に近づかないとかいうことをちゃんと宣誓させるようにチェックがありますので、そういった意識づけというのが私は一番重要かなと思います。
 一々頭から消毒薬をかけるわけにいきませんので、やはりそういった意識づけをさせて、それからもう一つは、農場の手前では必ずそういうことを意識させて、これ以上は入っちゃだめですよということを二重三重にやっていくということが必要じゃないかなというふうに思います。
○石田(祝)委員 私も航空機で移動するときに、関税の問題で、持ち込みの問題があって申告させますけれども、確かにそうですね、やはり、入ってくる、帰ってくるときに、また、いろいろな国へ行く、入るときに、そう言われれば、農場に行ったとかいうのをチェックする項目はないですよね。
 これは、今後そういうのを、航空会社の協力も得て、少なくとも日本に帰ってくる、入ってくる便については、どこから来たのか、どういうところへ寄ったのか、明確にしていただかないとなかなか水際で防ぐことは難しい。これは私は大変大事な点ではないかというふうに思います。
 それで、郷原参考人にちょっとお伺いをしたいんですけれども、国と県とそれから当該の農家、これを一つの組織と考えた場合、こういう、今回のような口蹄疫が起きたわけですから、これはどこかに何かミスがあったとか、漏れがあった、穴があいていたということだろうと思いますけれども、これは参考人の専門のコンプライアンスの観点からいきますと、どこをどういうふうにこれから、国、県、農家の関係というのが縦の、上下の関係ではもちろんないとは思いますけれども、一つの組織体として考えたときに、これはどういう改善点を考えられるか、ちょっと御見解をお願いします。
○郷原参考人 今委員がおっしゃったように、国、県、農家というのを全体として一つの組織として見る、そういう考え方は非常に重要だと思います。
 ただ、実際に、一つの組織として動いてほしいんだけれども、それぞれの利害とか目指すものが違うところがあって、一つの組織としてなかなか動けない面があるわけですね。国は恐らく国レベルでの防疫ということ、そして経済的な利害ということ、それから畜産全体のことを考える、県は地域の畜産農家の振興ということをやはりかなり強く考えるというところにどうしてもずれが出てくる可能性があるし、農家になると、やはり農家の個人的な利益の問題になります。
 だから、それが、そのそれぞれの立場で重要視している利益が何であって、そこにどういうような違い、そごがあるのかということを本当に実質的によく考えた上で、そのギャップのところを埋めるような法律の手当てだとか財政支援だとかということを考えていかないといけないと思うんですね。
 そういう意味でも、全体として一つの組織体として動けるようになるために、どこにどういう考え方のギャップ、違いがあるのかということを改めて見直していくということが重要だと思います。
○石田(祝)委員 発生が確認されたときに私たちが一つ考えたのは、日本はワクチンを使っていない清浄国だ、そういうことで、ある意味では牛肉の輸入をお断りする理由にもまたしていたことも、これは確かにあるんですね。ですから、結果的にワクチンの使用がおくれた。これは、相当な議論があって、政府の中でも随分議論して、悩んで結論を出されたとは思いますけれども、そういう問題もこれはありました。
 それからもう一つは、農家の側からしたら、牛というのは、ある意味でいえば、これから売れたらお金になるわけですから、それを処分するに際して、豚もそうですけれども、ある一定の、政府がしっかり最後まで面倒を見るんだと。だから、これは私たちも当初から、明確なメッセージを発しないと、要するに、どこまでも政府が責任をとるんだという明確なメッセージをわかりやすくするために、私たちの党は当時の官房長官に、一千億というお金を構えろ、こういうことを申し上げたわけですね。やはり農家の方にしたら、ある意味でいえばこれから収入の糧になるものをみすみす処分しなくちゃならない、そこで十二分な補償というものを考えていただかないとなかなか踏み切れない、こういうことも私はあったんじゃないかというふうに思います。
 ですから、そういうものを含めて、やはり戦力の逐次投入はだめだ、最初にどんといかないとこれは抑えられない、こういうことも、今回、私たちも改めて学びました。
 それで、きょうは山根参考人が獣医師会の会長ということで、今回おまとめいただきました。それで、御指摘にもありますように、宮崎県の獣医師の態勢が、非常にお一人お一人が過重なものになっていると。これは宮崎県の経済の問題も、財政の問題もあると思うんですけれども、獣医師会の会長もなさっておりますから、現在の獣医師の育成、養成の体制、また産業動物からペットの方にどうしても行きがちである、そういう点も踏まえまして、これからの獣医師教育、獣医師を育成することに対して何か御提言があれば、せっかくの機会ですからお聞かせいただきたいと思います。
○山根参考人 まことに、大学の教育が、文部科学省の調査研究協力者会議で今審議を進めているところでございまして、今の獣医学の教育内容が、こういう公衆衛生関係と産業動物の動物医療が諸外国に比べまして非常に遅くなっているんですね。ですから、教育体制も充実させなければならないというのが一点だと思います。
 ただ、誘引といいますか、誘導作戦もほとんどとられていないんですね。産業動物のモチベーションを持って入ってきたいという若者がたくさんいるわけなんですけれども、余りにも悪い面ばかりが出てきますから、皆ヘジテートしてしまうというのが現実なんですね。
 今回も、宮崎県も獣医師は結構いるんですよ。獣医師会員が産業動物だけで二百二十四名おりますから、そのうち、産業動物の診療をやっている先生も百名近くいるんですね。移動禁止区域だけで三十名、それから搬出区域だけで十五名、四十五名おられたわけですから。今聞いてみましても、幾らでも私たちはボランティアで協力できると言ってくれているわけなんですね。
 ですから、それらを利用しない手はないと私は思いますので、県が、各県に言えることなんですけれども、各県が獣医師会と絶えず親密な太いパイプを構築すべきだと私は思いますね。そして、獣医師会はすべての人材のマップをつくっておりますから、こういう先生はどこに所在していてどういう技能を持っているかとか、全部網羅しておられますので、各県自体がそういう個々の緊密な体制づくりを構築する必要があるのではないかなと私は思っております。
○石田(祝)委員 津田参考人にお聞きをしたいんですが、中間報告の中でだと思いましたけれども、発生農家と最後まで発症せずワクチン接種となった農家の違い、ここのところはこれから研究するということをおっしゃっておりました。比較的近いところにありながら最後まで発症しなかった、そういうところもあったようでありますが、これは現時点でわかることで結構ですけれども、この違いというのは一体どういうものが考えられるか、参考のためにぜひお聞かせいただきたいと思います。
○津田参考人 実際に今回処分された戸数が千三百七戸でしたか、千三百ちょっとあります。そのうちの発生戸数が二百九十二ということからすると、大体千戸ちょっとが感染しなかったというふうに考えていいかと思います。あの地域、特に一番発生が続いた地域の中でも、最後まで発生しなかった、最後はワクチン接種で処分されたというところがございます。
 ここの要因ですけれども、いろいろなことが考えられますが、全部調査したわけではございません。ただ、やはり外との接触を絶って籠城したとか、それがよかったんだと言う方もいらっしゃいますし、それから子供さんがいるところは実家に帰してそこから学校に通わせたとか、かなりの不自由をかけたと思います。ただ、それが全部が全部感染と関係したかどうかというのをやはりこれから検証しなければいけないと思うんですね。
 移動禁止というのは、目的はやはり拡散を防止するためだったんですけれども、動物の移動、畜産物の移動、車両の移動だけをとめてもなかなか今回は口蹄疫の蔓延がとまらなかったということがありますから、そうしたときに、生活活動の中でどういった要因がウイルスを広げたかというのを調べようと思っているところでございます。
 ですから、今述べたのはちょっと極端な例でございますけれども、そうした中から、本当に広がらなかったのは何でだろうかということを調べたいと思っています。今のは極端な例で、とにかく全く外界と隔絶したら病気が入らなかったというような話もあるということでございます。
○石田(祝)委員 三人の参考人の先生方、どうもありがとうございました。
 きょうの御意見をまた参考にさせていただいて、家畜伝染病予防法も改正しなくてはなりませんので、しっかりとまた取り組んでいきたいと思っております。きょうはまことにありがとうございました。
○山田委員長 次に、吉泉秀男君。
○吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。
 本当に、先生方の方からこれだけ大変すばらしい報告をまとめていただきまして、そしてまた御指導いただいている、このことにまず心から敬意と感謝を申し上げさせていただきます。
 当委員会において、一番踏ん張っていただいたのが委員長だろうというふうに思っております。現地にずっと張りつけをしながら、対応を一生懸命やった。
 これだけ被害が拡大する、だれもが予想はしていなかったというふうに思っています。当初、議論をずっと思い起こすと、いろいろなことが思い出されるわけでございます。しかし、先ほどもありましたように、一番、被害がどんどん広がったということについて、埋却処分の土地、それぞれ畜主の責任のもとで、こういう一つの法のもとで、それがなかなか対応でき得なかったという部分がありまして、そして、それぞれ、ワクチンが接種されてもそのまま、殺処分でき得なかった、こういう状況からどんどん広がってきたという一つの反省点も私方あるんだろうというふうに思っています。
 今座長の先生の方からお話がありましたように、埋却処分、土地、このことについては、県なり自治体がやはり責任を持つ部分も必要なんだろうというふうなお話がございましたけれども、今現在の段階でも、それぞれ、個人の土地、さらには公共的な部分の土地、そういったところもあるわけでございます。
 これだけ広がってきた、そういう中において、例えば、埋却それから焼却という部分はあるわけでございますけれども、ほかの外国の例、そういう面から見ると、この埋却という、これだけ広がっているところについての土地の確保、こういったところについては、ほかの、外国の例は、どういう対応をしているのか、ちょっと御指導いただきたいというふうに思います。
○津田参考人 津田でございます。
 全部を調査したわけではございませんけれども、聞くところによると、例えばイギリスでございますけれども、埋却もやっておりますが、あそこは土地の関係で、泥炭地があったりするということで、必ずしも埋めても腐らないということもあって、埋め立てという、ちょっと違うんですけれども、かなり大規模に上から土をかぶせるような方法も使っているというふうに聞いております。
 それから、オランダですけれども、あそこは地下水位が高いものですから、基本的には全部レンダリングということで、国内でのそういった動物は、大体それだけのレンダリング施設は確保しているというふうな話は聞いております。
 それから、ドイツも、やはり基本は埋却というんですけれども、日本と同じ状況で、いざ起こったらどれだけできるのかというようなこともちょっと疑問が残っているということも伺っております。
 ですから、緯度が高いところではなかなか埋めてもさっさと腐っていかないということもありますし、それから岩盤がかたいとかいうところもあって、それぞれお国によって、お国柄で大分違うというふうなことは伺っております。
 ただ、基本は埋却あるいは焼却です。オランダの化製処理は除いて。(吉泉委員「それは個人の土地、個人の責任ですか」と呼ぶ)
 土地については、ちょっとそこまでは把握しておりません、個人かどうかはわかりません。
○山根参考人 追加をちょっとさせていただきますけれども、家伝法の中には、飼い主が埋却地を確保しなさいというのがうたってありますね。ですけれども、現実はそうはなっていないというのがあります。
 特に日本は特殊なんですね。面積が小さいところに物すごくたくさん飼育された。特に宮崎県は爆発的にふえていますので、ですから相当よその状況とは違う。諸外国、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドというのは広い土地を持っておりますから、参考にするならば、イギリスなどが日本にはかなり参考になるのではないかなという気はいたします。
 検証委員会の中でも、レンダリングがいいか、それとも埋却がいいか、いろいろな議論、意見が出ましたけれども、まだまだこれは検討の余地があるということに落ちついたと私は理解しております。
○吉泉委員 それから、宮崎牛というブランド、そんなに簡単に、十年、二十年でできるものではない、これが全滅をする。そういう中において、国と県のそれぞれの食い違い、こういうことがあったわけでございますけれども、そのことについて、それぞれ考え方、意見、そういうものがあるというふうに思っていますけれども、最終的な結論は結論でいいんですけれども、このことについて、弁護士の立場で、あの当時の状況というものについて、何かそのときの感想みたいなものがありましたらば、ちょっとお伺いしたいな。
 それと、先生の方から、疫学上の問題で。
○郷原参考人 法的な面で考えたら、やはりこの報告書に書かれているとおりになると思います。やはり県の対応に問題があったということにならざるを得ないと思うんですが、やはりそれだけでは割り切れないものが世の中には必ず残るわけでして、県の立場とか、県の背後にあった、そういった動きを支えるような声とか、そういったものがまた同じような問題が起きたときに国と県との間の考え方の違いとか対応のばらつきみたいなことにつながらないように、よくコンセンサスをとっておく必要があると思いますし、法律だけで割り切れる問題ではない部分もあるような気はいたします。これは感想的な面にとどまります。
○津田参考人 今、国と県あるいは市町村との役割分担という話だと思うんですけれども、今回の疫学の取りまとめの結果からいきますと、そういったことはともかくとして、とにかく、発生が非常に拡大した後に防疫がスタートせざるを得なかったということでございます。ですから、これが一戸、二戸であれば、県でも、二〇〇〇年のときのように十分対応できたかもしれません。だけれども、こうした発生が大きくなった時点で、連携といいますか、それが本当に県だけで対応できたのかなというところはやはり問題があるのかもしれません。
 ただ、どの時点で国が関与するのか、どこまで、市町村までやるのかということは問題があると思うんですけれども、この発生規模に対して、やはり、対処する人的、物的なものが最初のうちは不十分だったということがあるとは思います。
○吉泉委員 それで、今のチームの中で、侵入経路、このことについても議論、さらには先生方、御指導いただいたわけでございますけれども、ここのところについても、発生してからのそれぞれの人の出入りなり、そういうところについてきちっと台帳をつくってという指導もなされ、それも徹底をされたというふうに大変感謝を申し上げたいというふうに思っております。
 ただ、今の状況の中で、やはり最初の段階での対応というふうな部分からいったときに、発生の予防、早期発見、それから初期対応という、その三つが大変大事だ、こういうことで報告なされてあるわけでございますけれども、それを常にやるということについては非常に無理な部分もあるんだろうし、さらには実際には見学者なんかもどんどんやはりいるわけでございます。
 その辺なんかは、ほかの国々のそういう対応というものについて、こちら日本のところがやはり足りない、常に予防対策として足りない、こういったところについて、少し報告の中にはあるんですけれども、もう少し丁寧に御指導いただければありがたいというふうに思います。先生の方からお願いします。
○津田参考人 外国の例とか、いろいろ挙げられると思うんですけれども、今回、日本の発生はかなり外国でも注目されております。我々のところの職員も海外でいろいろ学会発表とかするんですけれども、やはりこの日本の発生例というのは非常に興味深く皆さん見ておられます。中でも一番注目されているのは疫学、今回の話ですね、どのように入ってきたのかということでございます。やはりこういった報告をある程度外国の方も見ておりまして、その上で、それぞれの国が各農家向けにメッセージを発信しております。
 一番言っているポイントは、とにかく通常のバイオセキュリティー、これをきちんと維持しなさいということでございます。バイオセキュリティーとは何かといったら、侵入防止と蔓延防止なんですね。要するに、農場の中と外とを明確に区別しなさい、それから入れるものはちゃんといつも、常に把握しておきなさい、それから出所が明らかなものを持ってきなさい、それから自分のところで異常な動物、異常があれば必ずそれは検査をしなさいというようなことをやっております。そういった注意なんですね。
 ですから、やはり基本は同じかなと思うんですね、日本も。特にこれをやりなさいとか、今回口蹄疫が出たからこういうことをさらにやりなさいではなくて、やはりそういうことが日常的にできるようなシステムをつくっていくということが一番重要かなというふうに私は思っております。
 外国もそういうことです。
○吉泉委員 ありがとうございました。
 今のあり方の問題で、飼養の衛生管理基準に十の項目を挙げてそれぞれ畜産農家の方にも渡しているわけでございますけれども、その中で、今回の報告の三章の「今後の改善方向」ということの中で、この基準を遵守していない畜産農家に対しては何らかのペナルティーを科すべきである、こういうふうにうたっているわけでございます。この点について、自分自身も、見落としという部分もあるんだろうというふうに思っていますけれども、この項の意味という部分について山根先生の方の考え方をお伺いしたいというふうに思います。
○山根参考人 口蹄疫は、これまでは日本では家畜農家、発生農家が被害者というような位置づけがあったと思うのでございますけれども、今は全く違いまして、もう農家どころか、市町村どころか、県どころか、国どころか、世界に迷惑をかけることになるんですね、一農家の発生が。ですから、そういう面からしますと、これからは生産者もそれなりの責任が伴うものだということをもう少し自覚していただこう。ですから、今先生が言われましたように、飼養衛生管理基準を、念仏をつくっても魂が入らないと意味がございませんので、実効あるものにするためにはどうやったらいいかということなんですね。
 今、農家にはみんなこれが文書で配られているとは思うんですけれども、ほとんど守られていないというのが事実なんですね。目を通して、ああ、また来たかというようなもので。
 今本当に真剣に考えておるのは、豚、大きな養豚農家ですね、そういうのとか、それから肥育牛を飼っておられる方、酪農がやはり一番そういう面では、人の出入りも多いですし、危機管理意識も低いというのがヒアリングの中でわかってきたことなんですね。ですから、やはり一農家がしっかりと危機管理を持っていただかないことにはだめじゃないかな。ですから、飼養管理基準をしっかりとした実効あるものにするためにはどうしたらいいかということに力を注いだつもりでございます。
○吉泉委員 どうもありがとうございます。
 それぞれ被害者という部分でなくて、まさしく生産者も加害者であるという立場でやはりこれからの畜産行政の施策なんかも私たちしっかり考えていかなきゃならない、こういうふうに今肝に銘じたところでもございます。
 そんな中で、全体的に、郷原先生の方から弁護士の立場ということで最初に感想を述べられたわけでございますけれども、今のいわゆる個人情報の問題なんかも含めて今意見があったわけでございますけれども、まとめられた中で、さらには、今現在の今後の方向性というふうな部分を見たときに弁護士の立場で先生どういうふうに、もう少し感想を述べていただければありがたいなというふうに思います。
    〔委員長退席、森本(哲)委員長代理着席〕
○郷原参考人 私、弁護士でもあるんですけれども、単に法律だけでこういった問題が割り切れるのか、適切な対応ができるかといったら、そうではないと思います。むしろ、最初に申しましたように、組織として全体として適切な対応を行うためには、どういう認識を持って、何を目的にしてどういう問題意識を持って行動していったらいいのかという、コンプライアンスの観点から考えることが重要だと私は思いますし、特にこういう、目的自体が非常に微妙な複雑な様相を帯びているような問題について、それを全部きれいにカバーしてきれいに解決できる法律というものをつくっていこうと思っても、これはなかなか容易なことではないと思うんです。
 法律によって基本的な枠組みを定め、そして必要な権限を与えていかないといけないと思いますけれども、最終的には、国、県、農家の協力関係、連携関係をどうやって高めていくのかという、やはり人と人との問題になっていくんじゃないかというのがむしろ私の率直な印象です。
○吉泉委員 私も現地に入らせていただきました。後半のところで入らせていただいたんですけれども、畜産農家から聞くと、畜主が一番最初になるのは嫌だ、自分のところからほかのところに飛び火をするというふうに見られるのは嫌だ、だから黙っている、そしてだれかが出てきたらうちのもというふうな、畜産農家の方の人方からそんな話なんかも含めてお聞きをしたわけでございますけれども、そんな面からいうと、やはり、今はもう少し、地域さらには集落段階における畜産農家の全体的な固まり、さらにはその意識改革、こういったところが重要なところになっているのかなというふうにも今先生方からお聞きをして思ったところでございます。
 そうした中で、最後、時間になりますけれども、山根先生の方から、今回のこれだけ大きな勉強を私たちはさせていただいたわけでございますけれども、やはり常に緊張感を持ってやっていかなきゃならない、危機管理、こういう部分だというふうに思っているところでございますけれども、自分自身、この報告書を読んで、やはり大変、国、県それから市町村、さらには生産者の連携、その危機感、こういったところのまずさというものが相当随所に指摘をされてきているわけでございますけれども、そんな面の中で、今後の方向性も含めて、座長の山根先生から、何かありましたらば最後に教えていただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
    〔森本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕
○山根参考人 検証委員会を通しまして幾度となく出てきた問題は、やはり企業経営の畜産体制、これが非常に問題になっておりました。
 といいますのは、今先生の御指摘のように、口蹄疫というのは人には原則行かない、うつらない。ただ口をつぐんでおけば、治ってしまう。御存じのように豚の場合には激しい症状が出ますけれども、牛の場合には結構そういうことが言われているわけなんですね。いわゆる、隠ぺい工作と言ってはなんですけれども、黙っている方が得だというようなムードもなきにしもあらずということがヒアリングの中でも随所に出てきたわけでございまして、やはりオープンにするようなシステムをつくらなきゃならないんじゃないかな。
 といいますのは、調べてみましたら、企業経営の農家は何百頭牛を飼っておられるわけなんですね。ひどいところは一千頭以上。そうなりますと、塀をしてしまって、そして、そこには管理獣医師がいますけれども、全国を飛び歩いている管理獣医師でございまして、地元獣医師会とは全く疎遠になってしまう。ですから、国の講習会の案内も出せない、研究会の案内も出せない。それで全く孤立しちゃっているわけなんですね、情報が入っていかないわけなんですね。会社の中では動いていますけれども。そういうことと、それから、隣の、近隣の畜産農家との交流も余りないということがわかってまいりましたので、今後は、そういう体制をどのように明るみに出していくかということも我々は考えていかなければならないのではないかなと思っております。
 ですから、獣医師のライセンスのある方は、二年ごとに二十二条の届けを出すだけで済むんですね。そうじゃなくて、具体的にどういう仕事についているかということもこれからはある程度デューティーを負わせないけぬではないかな、そうでないと責任が全うできないのではないかなという意見も出ておりました。
○吉泉委員 どうもありがとうございます。
 やはりこれから、経営が厳しいという状況の中で、どうしても多頭飼育、そして最終的には法人化、こういう流れというものがつくられてきている。それには、それぞれ集落段階で二頭、三頭飼いということについては環境問題といったところもあって、ほかの、いわゆる郊外の方に大きくしていくという状況もある。そんな中で、今先生からお話しになりましたように、企業経営感覚、その中における一つの危機管理、こんなところなんかをしっかり私ども勉強させていただきながら、これからの対応をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
 本当にありがとうございました。
○山田委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
(中略)

○小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。
 まず、口蹄疫に関連しましてお伺いをいたします。
 競り市が再開をされましてから、七月から九月に競り市に出された子牛に対して補てん金が出ることになりました。また、余分に支払うことになったえさ代等についても補てんが出る。その支払いは、十月に計算をして十一月に出るという話でありました。私どもは、資金繰りに困っている畜産農家のためにもっと支払いを早くできないかということを要請してまいったところであります。
 ところが、まだ支払われていないんです。少なくとも鹿児島県においてはこの支払いがございません。どういう状況になっているのか、どういう支払いの予定であるのか、確認をさせてください。
○篠原副大臣 二つの点のお尋ねかと思います。
 十一月中にということで現場では努力しておったようでございますけれども、事務手続が煩雑で全部まとめ切れないということで、我々が聞いているところによりますと、肉用牛繁殖経営支援交付金の支払い手続につきましては、十二月三日に、事業実施主体である県団体から独立行政法人の農畜産振興機構に概算払い請求がありました。十二月三日です。そして、十二月十日に農畜産振興機構から事業実施主体への概算払いが行われ、その日のうちに農家に支払われる予定と聞いております。
 ですから、十一月中には間に合いませんでしたけれども、十二月三日に支払い請求があり、十二月十日に支払いが行われる予定でございます。(小里委員「全部支払えるんですか」と呼ぶ)はい。それで、農家にその日のうちに行くことになっております。
 それから、もう一つの子牛出荷遅延に伴う飼養費等の一日当たり四百円の助成でございますけれども、こちらも、牛ごとの補助対象期間の確認に意外と時間がかかってしまったことから、今のところ、十二月十七日に、事業実施主体である県団体から農畜産業機構に概算払い請求が行われる予定でございます。十二月十七日に。そして、一週間後の二十四日に機構から事業実施主体への概算払いが行われ、その日のうちに農家に支払われる予定になっております。
○小里委員 あれほど早期の支払いを要請してまいったわけでありますが、非常に残念な状況でございます。少なくとも年を越すことのないように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
(中略)
 ありがとうございました。
○山田委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十七分散会

103