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「できる人」が「できない人」を理解するのは至難の業です

このnoteでは基本的に「みんなができることができない人」や「周囲に同調しない人」といったマイノリティの視点から書いていますが、今回は逆に世の中の9割(数字は適当です)を占めるマジョリティの視点で書いてみたいと思います。

というのも、私が研修などを通じて接する受講者の方の大半は世間の常識に沿って行動し、社会人に求められることは問題なくできる人ですが、このような人から出てくる悩みの中で最も多いのが「普通のことができない、常識に沿って行動できない部下や後輩の扱いに困っている」ことだからです。

要はマイノリティの扱いに悩むマジョリティが多いということです。

特に管理職やトレーナーといった指導を担う人が「できる人」で、部下や新人といった指導する相手が「できない人」だと結構辛い状況になります。

このとき、指導する側は「できない人」を「できる人」にすることを考えてしまいますが、これが実は悲劇の始まりで、「できない人」はそもそも「できる人」とは何もかもが違うので、いくら頑張っても自分と同じような「できる人」にはなれません。

しかし、指導する側の人は相手を「できる人」にすることが自分の仕事だと思っていますので、つい無理をしてしまいます。

その結果、「できない人」はいつまでも成長しないまま上司やトレーナーから責められ、上司やトレーナーは相手を育てられない自分を責めて互いが潰れてしまうことがあります。

そんなわけで、「できない人」の指導に悩む上司やトレーナーの方には次のようなアドバイスをしています。

  • まず、「できない人」ができるようにならないのは皆さんが悪いわけではありません。「できない人」を指導するのは最初からものすごく難しいことなんです。

  • 「できない人」はそもそも皆さんとは違う個性の持ち主なので、自分と同じような「できる人」にはならないと思ってください。

  • 「できない人」に自分と同じことを求めても無理なので、相手に合ったやり方を探しましょう。

  • とはいえ、何が相手に合っているのかはやってみないとわからないので、試してみてうまくいかなかったらやり方を変えましょう。

  • 皆さんは「できる人」なので、「できない人」の気持ちが理解できないのは当然です。理解できるようになるまでには相当の時間がかかりますが、逆に言えば時間をかけていいということです。

「できない人」はその人の個性に合った生き方をするしかありません。例えば性格上細かいことが苦手な人に対していくら口酸っぱく注意してもミスは減りません。

それよりも「この人は細かいことを意識できない人なんだ」ということを知ったうえで、ミスが許されない場面は他人がフォローし、その人ができることを頑張っていただくほうが最善の結果につながります。

もし自分がマジョリティである「できる人」であれば、部下や後輩も自分と同じ「できる人」なら問題ないのですが、マイノリティである「できない人」であった場合は「自分とは違う人に当たった」と割り切るしかありません。

「できない人」を育てるのは相当難しいことですが、一方で自分の成長にも大きくつながります。仮に相手をうまく成長させることができなかったとしても、試行錯誤している過程で貴重な経験を積めるからです。

ということで、部下の育成に悩んでいる上司の方にはこれからも「できない人」を「できる人」にする必要はありませんよ、と伝えていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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