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「僕たち」から「僕ら」へ──新刊の制作秘話(ボツ表紙も少々)


 8月9日に発売された新刊「郷愁ポルノ 僕らの五号機」(匠芸社・シトラス文庫刊)。
 こちらのnoteでもひんぱんに宣伝させてもらっていますが、今回は制作秘話を書かせてもらおうと思います。

 まず、本作は昨年末よりnoteを始め、ライブドアブログなどで「僕たちの五号機」というタイトルで書き始めました。

 いつも表紙デザインのお願いしている「彼女、」さんに、サムネも作ってもらっていました。

 童貞でナヨナヨしている苫田潤、ヤンチャで女慣れしている山谷勇吉、とタイプの違うふたりの男子高校生が、村に住む女性たち(人妻、未亡人、女教師など)と、男2×女1の3Pを繰り広げていくという官能小説で、王道といえば王道。そこに自分の作品の持ち味である昭和感や郷愁感を組み込んでいった感じです。
 作品自体は、最初に決めたプロット通り、ほぼブレることなく最後まで書き進められた、と思っております。

 書籍化が決まったのは、今年の4月頃。版元の匠芸社で、ちょうどその時期、『姉枕』という官能小説を出してもらったばかりだったので、その流れで、「僕たちの五号機」も夏に発売してくれるという話になりました。

 書籍化にあたって、編集サイドからタイトルは『僕らの五号機』のほうがいいのでないかとアドバイスを受けました。確かに「僕たち」よりも「僕ら」のほうが、しっくりくるし、語呂もいい。

 ただ、『僕らの五号機』だけでは、タイトル的にも内容が伝わりにくいので、これは官能小説ですよ、ということを伝えるため、「官能ノスタルジー小説」とか「郷愁ポルノ」という言葉も付け加えようとなりました。

 表紙の撮影は、5月に行いました。カメラマンはグラビアアイドルやコスプレイヤーの写真集を数多く手がけている夢路歩夢さんで、モデルはYouTubeを一緒にやっているちづ姉さんにお願いしました。

 撮影の詳細はこちらでも書いております。


 原稿が仕上がったのは七月始めで、そこから校正に入りました。

 当然といえば当然ですが、原稿は自分以外の人の目できっちりチェックしてもらうことが大事です。
 誤字脱字はもちろんのこと、表現が足りていない部分や、余計な心理描写、ひとりよがりになっている意味不明な言葉などは、書いている本人ではなかなか気づかないもので、今回もたくさんのお叱りを受けました笑


主人公がどういう状況になっているのか。自分ではわかっているつもりでも、読者にすれば、わかりにくくなっているシーンはけっこう多い
余計なことを書きすぎて、セリフがうるさくなっていることも…
こういう細かい指示は本当にありがたい。
ちょっとした文章の入れ替えで、一気に読みやすくなることも。
たまに、褒めてもらえる

 そして、今回の校正で、意外と大事だったのは、↓の部分でした。これは、ちづ姉さんが校正してくれたもので、

 小説を書くとき、編集者からは「読者が頭の中で地図を描けるぐらい、その場所の地理をしっかりと描け」とよく言われるものです。
 主人公の家はどのあたりにあるのか、友達の家はどこか、海までの距離はどれぐらいか。
 そういう地理的な説明をするとき、なにかしらの目印があると書きやすくなります。

 今回ぼくは主人公の家と海を結ぶ地点に、「喫茶店」を当初描いていました。ところが、
「田んぼばっかのとこには、そんなお洒落なものはない!」と、北関東ののどかな町で生まれ育ったちづ姉さんに指摘されて、あ然…。
 野菜の無人販売所か、商店にしたほうがいい、とのこと。
 その後、一枚の画像が送られてきました。それは、ちづ姉さんの地元にあったという、いまは営業していない鄙びた「商店」でした。
 結果、最初に書いていた「喫茶店」は、
【道路沿いには、オレンジの縞模様の看板を掲げた商店『こばやし』があった。このあたりで唯一の店舗で、日用雑貨や食料品を扱っているのだが、いまは営業していないようだ。祖母の家は商店『こばやし』の前を曲がった先の、だんだん畑の続く集落にある】
 という文章になりました。
 この「商店こばやし」という、わかりやすいランドマークが、その後の地理描写にとても役立ちました。
 ありがとう、商店こばやし!


 校正をしているなか、表紙のデザインもあがってきました。ここでは最終候補にまで残っていた表紙をいくつか取り上げさせてもらいます。

初期のころに作ってもらった表紙。黒下着の肩紐がはずれているところと、どこか切なげな雰囲気がお気に入りでした


表紙サンプルは数人の知り合いにも見て選んでもらうのですが、そのなかで一番人気の高かったのがコレ。おそらく一般受けは一番よかったと思う。モデルのちづ姉さんも気に入ってくれていました。ただ、ぼくのなかで少しお洒落すぎるというか、昭和感が感じられず、迷いに迷った末、却下しました。


モノクロの表紙で、味わい深かった。指をくわえている表情や、髪の流れ具合も気に入っていました。


表紙は「彼女、」さんが作っていますが、こちらはそれに編集部のデザイナーさんがアレンジを加えたもの。色をつけて、目立つように工夫してくれています。


本決まりとなった表紙にかなり近い。胸の谷間をアピール!


ほぼこれに決まりかけていたのですが、編集部から「著者名はもっと大きくしたほうがいい」というアドバイスを受けて、最終的なかたちが決まりました。


 いつも思うのですが、こんなエロ小説に数人の人間が集まって、やんややんや言いながら一緒に作ってくれているのは、本当にありがたく、心強いものです。
 もちろん、みんな〝商売〟といえばそれまでですが、それでもやっぱり商売以外のなにかクリエイター魂のようなものも感じられて、著者としては感謝の気持ちでいっぱいになります。
 みんなのためにも、もっともっと面白いもの、エロいものを書こうと思えるのです。

 名前は出しませんが、以前、フランス書院で長年書いている、大御所の人気作家さんにインタビューさせてもらったことがありました。(ちなみに自分の本職は週刊誌の記者です)
 そのとき、ぼくも小説を書いていることを伝えると、「ひとつだけ教えてあげる。官能小説では、一文字でも気を抜いた表現をしたら、読者が離れると思いなさい」と教えてもらいました。
 厳しい言葉ですが、本当にその通りだと思いました。
 正直、自分なんてまだまだ未熟者で、なかなかそこまでストイックには出来ないのですが、いまの自分にできる限りの力を振りしぼって、今後も書いていこうと思っています。

 新刊『郷愁ポルノ 僕らの五号機』。
 昭和の夏を舞台にした、ギンギンギラギラの青春ポルノ小説です。
 よかったらご一読していただけると、なによりも嬉しいです。

8月9日発売!
新刊「郷愁ポルノ 僕らの五号機」

匠芸社・シトラス文庫刊
定価 880円


「イケよ、イケ! 俺の親友にオ○コ舐められて、イケよ!」
おまわりの嫁、未亡人、元担任、海辺のお嬢様、そして親友の姉。
海とだんだん畑の広がる田舎の村で、二人の男子高校生が年上の美しい女たちと……。 
掘っ立て小屋で親友の顔を見ながら初体験。
風鈴の鳴る夜の縁側で「十回交代ピストン」。
懐中電灯に照らし出された優等生の秘穴。

郷愁の官能作家、柚木怜が織りなす〝昭和の夏休み〟を舞台にしたギンギンギラギラの青春ポルノ小説!

表紙デザイン……彼女、
モデル……ちづ姉さん
撮影……夢路歩夢
編集……若林育実
著者……柚木怜

楽天ブックス

Kindle版

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他、DMMブックスや、Googlebooksなど、40以上のオンライン書店で発売中です!

著者プロフィール

柚木怜(ゆずき・れい)

京都出身、東京在住。1976年生まれ。
23歳の頃よりフリーライターとして、週刊誌を中心に記事を執筆。30歳の時、週刊大衆にて、初の官能小説『白衣の濡れ天使』を連載開始(のちに文庫化されて『惑わせ天使』と改題)。
おもに、昭和末期を舞台にしたノスタルジックで、年上女性の母性溢れる官能小説を手がける。
また、YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」にて、作品を朗読配信中。

著書

『惑わせ天使』(双葉社)
『おまつり』(一篇「恋人つなぎ」 双葉社)
『ぬくもり』(一篇「リフレイン」 双葉社)
『初体験』(一篇「制服のシンデレラ」葉山れい名義 双葉社)
『明君のお母さんと僕』(匠芸社 電子書籍)
『お向かいさんは僕の先生』(匠芸社 電子書籍)
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 夢幻快楽編』(匠芸社 電子書籍)
『姉枕』(匠芸社 電子書籍)
『郷愁ポルノ 僕らの五号機』(匠芸社 電子書籍)






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