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【コブクロ】「桜」はなぜ人を魅了するのか

【#54】20210823

人生は物語。
どうも横山黎です。

このチャンネルでは、作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。
是非最後まで、聞いていってください。

ということで、今回は「コブクロさんの楽曲『桜』はなぜ人を魅了するのか」というテーマで話していこうと思います。


☆原点にして頂点


言わずと知れたコブクロさんのが代表曲「桜」
繊細な歌詞と切なくもたくましいメロディー、そして美しいハーモニーが掛け合わさった、コブクロさんの魅力が全て詰まった楽曲です。


リリース自体は2005年なんですが、楽曲が生まれたのは1998年。
コブクロ結成以前からある楽曲なんです。

黒田さんから「曲作れへんの?」と訊かれ、
小渕さんが「作れますよ」と軽い返事をしたことがきっかけでした。

仕事のかたわら、小渕さんは詞と曲を紡いでいき、やがて一輪の花を咲かせました。
それが「桜」だったわけです。

約束通り、曲を作って、黒田さんに渡したわけですが、黒田さんのギターがおぼつかないのを見て、小渕さんがギターを担当。

同時にコーラスもやるようになり、今のコブクロの形ができあがったわけです。


初めて路上で「桜」を披露したとき、大勢のオーディエンスが集まったといいます。
歌い終わって、誰かのカバーを歌うと、お客さんは消えてく。
黒田さんも小渕さんも、目の前の現象がにわかに信じられなかったそうですが、もう一度その場で「桜」を歌うと、また人が集まってきた。


「桜」という楽曲の持つ力、二人で歌うことに可能性を感じ、やがて正式に一緒にやっていくようになったわけです。


いわゆる「できちゃった結成」なんですよね。


「桜」という子どもが先にできちゃって、「コブクロ」という関係が結ばれるのが後っていう、、(笑)



コブクロさんの原点である「桜」が2005年に12枚目のシングルとして世に出されたことが、彼らの名を世に轟かせることになります。


「桜」を収録したアルバム「NAMELESS WORLD」は初のミリオンを達成し、ベストアルバム「ALL SINGLES BEST」は現在300万枚を超える驚異的なセールスを叩き出しました。


「桜」という楽曲は二人の原点でありながら、頂点にも君臨する楽曲といえます。


☆普遍的であるから


ということで、今回のテーマ「『桜』はなぜ人を魅了するのか」について話していきます。

まず、一つ目の理由としては、「普遍的であるから」です。


つまり、誰にも心当たりのある歌詞だからってことです。


そもそも、「桜」という題材を選んでいる時点で、普遍性が宿っているんですよ。

千年以上前から、日本人は桜に魅せられて、歌にしてきたわけじゃないですか。
古の時代から変わらない美しさが、桜という樹には確かにあり、それを題材にした歌をつくれば、多くの人が美しいと思える曲に仕上がるわけです。


その証拠に、森山直太朗さんの「さくら」もいきものがかりさんの「SAKURA」も川口恭吾さんの「桜」もヒットしましたし、長い間愛されていますよね。

福山雅治さんの「桜坂」は、ダブルミリオン達成していますしね。

日本人×桜って、トップクラスに相性がいい。


その普遍性が「桜」が魅力的な理由の一つだと思っています。



☆物語があるから


二つ目の理由は、「物語があるから」です。


コブクロさんの歩んできた歴史にもすっごい奥深い物語があるんですが、
「桜」という楽曲にまつわる出来事をピックアップしても、とても濃度の濃い物語があります。


さっきも述べた通り、コブクロというアーティストが生まれる前から「桜」はあって、全てはそこから始まったんですよね。


CDデビューの前日に、小渕さんの地元宮崎で野外ライブをしたんですね。
小渕さんにとって久しぶりの帰省で、親戚や同級生が集まってくれたんですね。

感動的なムードに包まれる中、ライブは始まったんですが、なんと、ノスタルジアに浸っているはずの小渕さんではなく、黒田さんの方が泣き出してしまったんですね。


このあたり、本当に心優しい人だなあって思うんですが、地元に帰らずずっと努力してきて、やっとデビューのチケットをつかみ、故郷に錦を飾るように久しぶりに帰ってきたわけで、そういったことを思い、相方として込み上げるものがあったらしいんです。

その涙のあと、歌われたのは「桜」。
全ての主旋律を黒田さんが担当していますが、涙のせいで詰まりっぱなし。
そのとき手を差し伸べるように、小渕さんが代わりに歌ったんです。


もう、泣けますよね(笑)


この他にも、NAMELESS WORLDツアー最終日、コブクロ初の日本武道館で開催されたんですが、これまでの道のりに感極まったのか、この日に歌われた「桜」の途中から、黒田さんは号泣。

抑えられない涙に、ちゃんと歌うこともままならない。
そんな黒田さんに手を差し伸べたのは、小渕さんだけではありません。
目の前のお客さんが一緒になって、「桜」を歌ってくれたんです。


アカペラで、黒田さんの声と、小渕さんの声と、お客さんの声が響き合ったあの瞬間は圧巻です。


それから、コブクロさんは一度活動休止をしていますが、
その報告を正式にしたライブで、最後に歌われたのが「桜」だったり、

そして、
活動休止から完全復活をして執り行われたツアーのアンコールの最後に歌われたのが「桜」だったり、

散るときも、もう一度咲くときも、コブクロのお二人を見守ってくれた歌なんです。



僕が個人的に好きな「桜」の歌唱シーンは、「Twilight」ツアーのアンコール一発目で歌われた「桜」。

なんと、バンドもギターもなし。

黒田さんと小渕さんの声だけで歌われた「桜」に、僕は神秘的なものを感じました。
なんかね、教会で讃美歌を聴いているような、そんな感覚でした。



あと、比較的最近の話になりますが、ATBツアーの一曲目で披露された「桜」も良かったですよね。

これもギター一本で演奏されましたけど、
僕ね、なんか泣けてきちゃって。

一曲目なのに、号泣しちゃって。

多分僕だけじゃないと思うんですが、
本当にね、この楽曲には不思議な力が宿っているなあと思います。


その不思議な力というのは、「物語の力」と言い換えることもできると思います。



桜の歌唱だけで、いくつものアレンジがあり、いくつものエピソードが伴っているんですよね。


最後に話しておきたいのが、
この「桜」という楽曲自体を、一つの要素として歌詞に取りこんだ歌がいくつかあるんですよね。


「ANSWER」、「STAGE」、「晴々」、そして「Always(laughing with you)」


「桜」とか「花」のイメージが強いコブクロさんの楽曲ですが、「桜」というワードが使われているのは、「桜」を除いて、「ANSWER」と「STAGE」だけなんですね。


ANSWERの2番のAメロが、

桜 咲く頃に 進みだした僕を
絶えることの無い 風が吹き付ける
眠ってた僕を 眠らない夢が
導いた場所に 君が立っていた
(引用:https://www.uta-net.com/song/43795/)


STAGEの最後にサビの一部が、

夢を拾った桜の下で
君に出会わなければ 今 ここにいない
(引用:https://www.uta-net.com/song/209386/)


「桜」が使われているんですよ。

で、お分かりの通り、これは一般名詞の桜ではなく、コブクロの「桜」。
固有名詞なんですよね。


「桜 咲く頃」というのは、「『桜』という曲が完成する少し前の頃」という意味だし、

「夢を拾った桜の下で君に出会わなければ今ここにいない」というのは、
「小渕さんが音楽の夢を拾うことができた『桜』という曲を通して、黒田さんに出会えたから今このステージに立っている」という意味と受け取れます。


結成20周年を記念した「晴々」の歌詞の中にも、通算10枚目のアルバムのラストをかざす「Always(laughing with you)」の歌詞の中にも、「桜」という単語は出てこずとも、「桜」を思わせる歌詞が含まれます。



こんな風に、コブクロさんにとっても、「桜」という楽曲への思い入れというのは測り知れないし、他の楽曲とは次元の違う領域に位置するものだと思うんですね。


だからこそ、

「こういう大事なときこそ『桜』を歌おう」

「この曲は自分たちのことを描いた歌詞にしたいから『桜』を取り込もう」

そんな風に、彼等自身が「桜」の物語を綴っていっているんです。


大切だからこそ、物語がそこにあって、
物語があるからこそ、深い思いを込めて歌うことができて、
深い思いを込めて歌うことができるから、それを聴く僕らは魅了されるんだと思います。



ということで、今回はコブクロさんの楽曲「桜」はなぜ人を魅了するのかというテーマで話していきました。


最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
横山黎でした。



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