【鬱屈飯】#4 高級焼肉
うっくつ-めし【鬱屈飯】
意味: 素晴らしいご飯が精神状態により憂鬱になってしまった飯。「鬱屈飯を食べる」「鬱屈飯になる」
食とは見た目、匂い、音、触感、そして味と五感全てで楽しむ素晴らしい文化であるがガラスハートの著者はメンタル状態によってはその五感が全て0になる。そんな日々の鬱屈としてしまった飯の紹介をするメランコリー食ブログ
いつ、なんどきでも美味しい心の支えになってくれる存在であるのは「焼き肉」です。
好きな子にフラレても
バイトをクビになっても
授業の単位を落としても
会社で怒られても
電車の中ですごくお腹が痛くなって、最悪漏らしてしまっても
その日、焼き肉の予定があればいつでも頑張れますよね
僕は焼き肉の予定を中心にスケジュールを組むのが好きなんですよね
例えば前日から甘いものを中心に食べるとか
その日の午前中から体を動かすとか好きなんですよ
完全に体が焼き肉を欲している状況をつくって食べにいくんですね。
梅雨の真っ只中
暑さと湿気で過ごしにくいようなそんな日のことでした。
久々に学生のころの友人から連絡があり
彼とご飯を食べに行くことになりました。
社会人になってかなり稼ぐようになっていた彼はポルシェを4年目にして購入していて、その車でご飯にいくことに
(酒飲まないのか…?)
彼のおすすめで店を探すものの、どこも美味しいお酒のある店ばかり
運転がネックとなり、どの候補もどんどん潰れていきました。
そんな中、美味しそうな四ツ谷にある高級焼肉をみつけ、電話するとたまたま2席のキャンセルがでたとのこと
意気揚々と二人でポルシェにのって向かいます。
いつもの僕ならそんな高級焼肉というだけで鬱屈飯になりかねませんが
今日の僕には横にポルシェオーナーがいるという強みから堂々とお店に入っていきました。
メニューをみるとどれも高いメニューばかり…
(焼き肉一人前で安安の店ごと買えるんじゃねえのか…)
ビクビクしながら注文をしようとすると
彼はたんたんと大量のメニューを注文
(これいくらになるんだ…)
そんなこんなで彼との話を進めると、彼は最近臨時収入があったとのこと
「臨時収入なければ俺もさすがにこんな焼き肉くえないよー」
笑顔で答える。
その時、僕の脳裏に一つの活路が見えた…
(まさかおごってくれるのか…ポルシェのオーナーが臨時収入がないと来れない店なのに、臨時収入がない僕を誘ってまできた場所だ…しかも久々に会う旧友との飯…条件はそろっている…)
安心して、焼き肉を食べ始める僕
彼は適当に肉をつまむと、もうお腹いっぱいとのことでほとんど食べなくなってしまった…
卓上に残さされる大量の焼かれる前の肉、貧乏性の僕はこれを残すという選択肢はない
黙々と食べ続け、全て食べ終わるころには良い時間になっていた。
お会計を見ると、4万5千円の数字が
「じゃあ、2万円だけもらっていい?」
いや待て!!!いや待たなくていいのか!!
彼は5千円も多くだしてくれる!
というかなんで僕はおごってもらえるつもりだったのか!?
いや5千円も出してくれてるんだからおごってもらっている!
僕の思考は完全にバカになっていた。
そもそも、なんでおごってもらおうとなんて思ってしまったのか…
しかも、多くだしてもらっているにもかかわらず、一瞬でも自分の頭の中にハテナを浮かべてしまった自分に本当に嫌気がさす…
店を出た後、別々の帰路についた。
1人電車に揺られる中、胸焼けで喉の奥から上がってくる呼気が
灼熱に焼かれた牛たちの念が溜まっているようで、鬱屈な気持ちになる…
今日もまた鬱屈飯になってしまった…
みなさんは楽しい旧友との食事、美味しい焼肉
美しい気持ちで食べてくださいね。
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