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【鬱屈飯】#5 グラタン

うっくつ-めし【鬱屈飯】
意味: 素晴らしいご飯が精神状態により憂鬱になってしまった飯。「鬱屈飯を食べる」「鬱屈飯になる」

食とは見た目、匂い、音、触感、そして味と五感全てで楽しむ素晴らしい文化であるがガラスハートの著者はメンタル状態によってはその五感が全て0になる。そんな日々の鬱屈としてしまった飯の紹介をするメランコリー食ブログ


家族とのご飯はいつでも美味しく幸せに感じさせてくれます。

秋も終わりの冬将軍がドアの隙間から顔をのぞかせるような11月の半ば

久々に家族とご飯を食べる日がやってきました。

僕には結婚している姉がいます。もうすぐ2歳になる子供もおり絵に描いたような幸せな家庭を築いています。

そんな姉と旦那さんと一人娘と僕でご飯を食べに行きました。

僕とって姪っ子にあたる姉の娘は地上にまいおりた天使の如く可愛く、僕に通っている血と同じ血が少しでも入っているようにはまったく思えません。

目はくりっくりで手足は小さく、時折出す笑顔がとてもかわいい姪っ子です。


せっかくなので、少し高級な洋食を食べにいくことにしました。

幼児OKで少し値段ははりますが、メニューも豊富で姪っ子も食べられるものもいくつかあるようなお店


僕も姉も姉の旦那さんもお店のおすすめのコースを注文。

姪っ子にはグラタンを注文しました。

こんな幸せな家族がいるでしょうか。ここなら一回捨てて踏みつけた泥まみれのおにぎりをだされて1万円と言われようとも良い思い出だったなと思えます。

そんな鬱屈飯から一番遠い食事でした。


とはいえ既に僕にも負い目はあります。

姉がこんな幸せな家族を築いているにも関わらず僕は結婚すらしていませんし、その予定もありません。

そのことを思うだけで少し鬱屈飯になりかけますが、さすがは姪っ子の笑顔!

そんな悩みはどこか遠くに逃がしてくれます。


さてさて、美味しそうなグラタンが来ました。

姉が丁寧に冷まし、娘の口に運びます。

口元からソースをこぼしそうになりながらも、両手をグングンと振り大喜びで食べます。

その笑顔がまた僕を幸せにしてくれます。

姪っ子が半分ほど食べたときでしょうか。僕らは皆、コース料理を食べ終わりました。

あとは姪っ子が食べるのを眺めるだけの最高空間…


すると姉が

「もうお腹いっぱいだね、あとは残そうか?」

姪っ子にいつまでもいつまでも食べてほしかったですが、姪っ子がもういらないの顔

続けて姉が

「私達、もうお腹いっぱいだからこれあんた食べちゃって」

僕にいいます。

僕もある程度お腹いっぱいでしたが、せっかくの料理を残すのももったいないので快諾し、一口食べました。

すると姪っ子が大泣きし始め

「やーーーだーーーーーーー」

どうやら僕がグラタンを盗ったと思った模様

なので僕があわてて

「まだ食べる?あげるよ?」

「や!」

「え!?!?!?いらないの?じゃあもらっていい?」

「やーーーだーーーーーーー」

「!?!?!?!?!?じゃあ食べる?」

「や!」


グラタンはもう食べないけど、僕には食べてほしくない姪っ子


そこで姉が

「わがまま言わないの!!!」


姪っ子「いやーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」

そう言いながら大泣きしだしてしまいました…

姉が

「これ以上泣く前に食べちゃって!なくなれば泣き止むから!」

僕はマジ意味がわからずどういうこと????状態でしたが

焦りまくって、急いでかきこみます。

それに対して姪っ子がわんわん泣き続け

さっきまで楽しく食べていたのに冷え切ったグラタンは

ただのエネルギーの摂取でしかないものに…


しかし姉の言う通り、僕が食べきると姪っ子は泣き止みました。

さすが母親と思うところでしたが、大きな目から溢れていた涙の跡に僕の心はズキズキと痛みます…

そのまま会計を済ませ、帰路に着こうとしました。

僕はもう既に鬱屈飯になってましたが、姪っ子も小さいし、すぐに忘れてくれるだろうと思ってなんとか気持ちを立て直しかけたそのときに姉が

「この子昨日まで高熱出してたけど、今日は元気になったのよ…あれあんた同じモノ食べたけど大丈夫かな…」

完全に姪っ子の中にウイルスが残っている状態で関節キスしてました。

それが原因ではないと信じたいですが、3日後鼻水と咳がとまらなくなりました。

冬の寒さにやられた…そう今でも信じています。


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