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コングレス未来学会議 The Congress

(サムネイルは上記動画より引用)


あらすじ

時代は2014年。娘と息子と暮らすシングルマザーのロビンは若き日には大人気の女優だった。しかし、スキャンダルなどでお騒がせ女優となり、年齢も40を超えた今では世間から見向きもされなくなっていた。

それと同時にハリウッドでは役者の身体をスキャンしデジタルデータ化、そのデータに芝居をさせるという撮影手法が生まれていた。女優として旬を過ぎたロビンの元にも、スキャンの話がくる。最初は断るロビンだったが、息子の持病が悪化していると医師に告げられ、選択の余地はなくなりロビンは多額の報酬を受け取る代わりに、20年間のスキャンデータの使用、さらに実際の自分は一切の女優活動をしないという同意書にサインをする。

そして20年後、技術はさらに飛躍を遂げていた。未来学会議と呼ばれる会議で、ミラマウント社が自由選択の化学式を解明したと宣言される。その化学式は薬品として体内摂取が可能になり、誰もが夢になる技術が確立される。その技術によってまたもロビンは翻弄されていくと物語。

感想

さいっっっっっっっっっっっっっっっっこうの映画だった!!

ここまで衝撃を受けれる映画はなかなか無い。鈍器で頭を殴られる衝撃を受けた後、血管を締め上げあれ、血の巡りという生が乱されるのをじわじわと感じながら、安らかに眠らせてもらえる。そんな感覚の2時間だった。

あのストーリーと画面構成が素晴らしい。

ストーリーはとても思索的なものだ。特に人間を薬で化学式に変えるというのがいい。原作は1971年に発表された小説らしい。その時代で化学式に変えるというアイデアを生み出すってどんな変態。かっこいい。

人間という有機体をデジタルなフォーミュラとして描くアイデア。脱人間としてのトランス。最高。そして、それをアニメとして描く画面構成。ネットでパラパラと見ただけだけど、やっぱりあの絵を描くのにはかなりの労力がかかったそう。お疲れ様。そしてありがとう。

人が完全に思い通りに生きられる世界。抑圧はなく、誰しもが幻想の中を生きられる世界。それは果たして本当にディストピアなのだろうか。それでも、現実を生きなければならないとする物語も多い。しかし、同時にあまりに辛すぎる現実から目を背けたい時もあるだろう。

現実逃避ではなく、現実脱却。リアルであり、バーチャルである世界に突入しつつある現代を描いたこの映画。最 高。

そして作者の先見性凄過ぎ。

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