俺が好きなもの、バズらないでくれ

 週刊少年ジャンプの新連載「ルリドラゴン」の話ですよ。

 ジャンプは一昨年の2月に始まったアンデラの1話に惚れ込んで読み始めたんだけど、今年の初めに「破壊神マグちゃん」が完結したのをきっかけに読むのをやめてしまっていた。

 みんなも読もう。マグちゃん。

 で、気になる新連載が始まったんで復帰しようと思った次第だ。

 それがルリドラ。あんまり長く語って「オタクの性癖開示バトル」だと思われたくないので慎重に書くけど、俺はドラゴンが大好きなんですよ。
 それはもう、自分しかいないDiscordのサーバーにドラゴンのイラストを集めるためだけの部屋を作ったりするぐらい好きなんですよ。ろくに絵も描けないのにドラゴンの目と鱗だけは上手に描けるようになっちゃったくらい好きなんですよ。別にドラゴンを性的な目で見ているわけではないので誤解しないでほしいんですけど、竜人のことを考えない日はないくらい生活に侵食してる「癖」なんです。そんな俺の前に突如こんなマンガが現れたんですよ。これは事件。即ジャンプラをインストールして試し読みしましたとも。するとどうだ、俺のために描かれた、いやむしろ俺が描きたかったとすら思うほどに刺さったんですよ。で、精神が壊れました。
昨日の夜、夜の閑静な住宅街を「ドラゴンになりたい…」って泣きながら歩いたんですよ。自分でも信じられないけど、マジなんです。元々俺はドラゴンになりたいと常々思っていたんです。そのコンプレックス(?)をこんな形で刺激されることになるとは思ってもみなかった。

 ルリドラがなんでこんなに俺の精神を壊すまでに刺さったのか、ということに関してはいくつも原因があるんですけど、まずは上にあげたように俺の人格形成の要のど真ん中を撃ち抜いてきたことで、もう一つはこのマンガがそこそこバズっていること。マジでなんで?こういうタイプのマンガってジャンプの読者層にウケるっけ?それでなんでマグちゃんはバズらなかったの?絵柄?いや最終回はバズってたしあのマンガは民度が低いジャンプ感想勢に下世話な消費をされるようなマンガじゃないと思うからそれでいいと思うけど、ルリドラはTwitter民のどこに刺さったの?ジャンプって定期的になかなかに良質な何も起きない日常系マンガを出してきて中期連載ぐらいで打ち切ってるイメージなんだけど、今作もその系譜じゃない?
まあでも確かに、Twitterって作者の性癖を勝手に想像して「ダダ漏れ」、「なんとしても〇〇を描こうという意志を感じる」みたいにツイートするのがお約束みたいなところがあるから、竜人の女の子っていうニッチの中ではメジャーな性癖がオタクの性癖開示バトルの環境に刺さったのはわからなくもない。特に最近はちいかわとか宝石の国といった、一見牧歌的な第一印象をハードなストーリー展開で裏切られるような作品が流行ってるし、そういうのを期待してるツイ民とそれを断固阻止しようとするツイ民とで論争が生じるのもバズってる一因ではあると思う。

 好きなものに人が集まるのは嬉しい。特にジャンプなんて人気がない作品はすぐに終わっちゃうし。嬉しいけど、なんとなく自意識にヒビが入る。バズと人気は違うんだ。別に逆張りがしたいわけじゃなくて、中規模のコミュニティ内で良さを共有するのが自分の性に合っているってだけの話。マグちゃんもそうだったしね。自分の理想としては、ルリドラにはバズは落ち着きつつも一年はこのまま続いてもらって、そこから2年ちょいくらいで綺麗に完結してほしい。とはいえ、このまま何も起きないドラゴン女子の日常を描くのか、設定を掘り下げていってファンタジー路線に行って長期連載になっていくのかもわからない。まだ3話だからね。なんで、どんな形であれこの作品は完結まで見守りたいし、ジャンプ本誌の可能性を広げうるポテンシャルを秘めていると思うから是非とも長く続いてほしい。マンガに泣くほどに心を抉られたのは久しぶりだから。

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