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デザイナー志望の学生必見!現役デザイナーはポートフォリオのココを見ていた

こんにちは、Goodpatchライターインターン生のかずです。

学生がデザイナーを目指して就活やインターンに参加する際に、必ず提出が求められるといっても過言ではない「ポートフォリオ」と呼ばれる作品集。

僕もUI/UXデザインに本格的に興味を持ち始めた3ヶ月前、各社インターンを受けるにあたり、知識も実績もないところから1ヶ月でポートフォリオを作りました。

今回は、僕含め「ポートフォリオの作り方がイマイチ分からない...」「選考においてポートフォリオのどういうポイントが見られているの!?」という疑問を持つ学生さんに向けて、最前線で働くGoodpatchのデザイナーと新卒採用担当者に聞いた、デザイナー視点のポートフォリオ作りのヒントをご紹介します!

お話を伺った方:
Goodpatch リードデザイナー 野崎さん
Goodpatch 新卒採用 森岡さん
Goodpatch リードデザイナー 山木さん
(左から順に)

「学生目線で気になること」をズバリ聞いてみる

ーー 採用の際にどのくらいポートフォリオを重要視していますか?

山木さん:
私はとても重要な部分と思っています。ポートフォリオは作り手の人柄やスキルが如実に出るところなので、言葉よりポートフォリオ1つ見る方が伝わるものが多いです。

森岡さん:
人事的にもポートフォリオ提出は書類選考の上で必須にしており、プロセス上ポートフォリオが通らないと面接に進むことができないので、とても大事なものと捉えています。思考プロセスなどを見せてもらえるという意味においても役に立つと感じています。

ーー 特にどういったポイントを見ていますか?

山木さん:
きちんと相手に伝えようとしている内容かどうかを最重要視しています。
作ったものをただ並べたものよりも、作ったものに対する思いやプロセスを「読ませる前提・理解させる前提」で作られているかどうかを見ています。

野崎さん:
まず最低限なスキルがあるかどうか、あとはグラフィックやUIを見た上で、これからの伸びしろも見ます。でも僕が1番見るのは、作品自体よりもどういう思想や意図を持ってそれを作っているかですね。

デザイナー視点のフィードバックから分かった4つのポイント

早速ポートフォリオを見てもらいながらフィードバックをいただくことに。

(今回見ていただく自作のポートフォリオのトップページがこちら)

1)「意図あるデザイン」を意識しているかどうか

野崎さん:
(ポートフォリオを見ながら)...なんというか、英語多くない?
受けるのは国内企業だけじゃないのかな?

(作品ページを見てくださっている野崎さん)

山木さん:
英語にした意図はありますか?

ーー アイルランドに正規留学しているので、英語力も自己PRの1つにしつつ海外企業でも通用するものを作りたいと思いました。どう伝えるべきだったのでしょうか?

野崎さん:
海外・国内どちらの企業も受けるのであれば、言語を使い分けてどちら向けにも作ったほうが良いと思います。使う言語もそうですが、会社によって欲しい人材は異なるので、その会社の特性に合うものを見極めて、ポートフォリオの見せ方(作品の吟味や入れ替え)は変えても良いかもしれません。

山木さん:
タイトルが画像(ロゴ)に被っちゃってるのがもったいない。これも意図的だとするならば、誤解が生まれないように、説明がなくても分かるように伝えなければいけないと思います。

野崎さん:
ビジュアル的に、KAZU ON THE EARTHというロゴとナビゲーションのフォントが似ているところがまず気になります。機能的にも、Webサイトは通常ヘッダーがあり、横並びにナビゲーションが並ぶのが一般的なものですが、なぜAboutとContactを縦に並べたのか、ここからは伝わってきませんよね。

僕が基本的に見るのは意図あるデザインかどうかで、面接に上がってきた際には「これはなんでこうなってるの?」という感じでデザインの意図について掘り下げて訊きます。

POINT:読み手に合わせて伝え方を工夫し、細部まで意味を込めよう

2)情報の詰め込みはマスト!しかし抑えるべきコツがある

野崎さん:
この情報だけだと、何の仕事をやったのかあまり伝わらないですね。どのような役回りで、どのようなフローでこのアウトプットに至ったかの経緯を書いたほうが良いと思います。

(ポートフォリオ内の作品ページ)

ーー そういった情報はポートフォリオにすべて盛り込んだ方がいいですか?

山木さん:
詰め込み方によります。テキストだけが多すぎる状態だと、多分読まれないです。例えばワークフローのような、『テキスト+図』にして説明するといいかもしれません。

あとは可能ならば「こういう目的で作った」ということに加えて、作った後の結果があった方がいいかもしれないですね。失敗談でもいいですが「どう改善した、こういう声や評価があった」というのがあってもいいですね。

プロジェクトの成り立ちからリリース後までの一連の流れと、それに対する感想・反省までがあると、1つのプロジェクトの中でプロセスを回して、自分の中で仮説検証を立てながら組み立てていくことができる人なんだという、1つの判断基準が増えていくと思います。

POINT:結果のその先までを、イラストや図も混じえて伝えよう

3)ポートフォリオは「作品数」より「プロセス」を見ている

ーー デザインを勉強し始めたばかりで、ポートフォリオに載せられる作品が少ない時の見せ方についてアドバイスがあれば教えてください!

野崎さん:
力作でないものを多数掲載するよりも、自分の自信のある作品についてのプロセスや意図などを綿密に書く方が良いと思います。

山木さん:
作品数が少ないならば、作品ひとつひとつのプロセス(PDCAサイクル)をしっかり書いて、読ませる工夫をしてみるといいかもしれません。
現実的に考えて、質の高い作品の数を増やすのは難しいことだと思うんですよね。丁寧に説明することの方が工数は絶対にかからないはずなので、そこで充実度を図るのも手かなと思います。
(補足:PDCAサイクル...「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を1つのサイクルとし、業務効率を上げ改善を図る際の手法の1つ)

POINT:初心者は、一つ一つの作品の伝え方、見せ方に力点を置こう

4)ポートフォリオのフォーマットは「料理の器」

ーー ポートフォリオには既存フォーマットもたくさんありますが、オリジナルで作っている場合とで評価の差は生まれますか?

野崎さん:
デジタルのポートフォリオの場合、ポートフォリオ自体のビジュアルデザイン力や自分で実装までしたエンジニアリング力を証明できるポートフォリオであれば自作でもいいかなと思います。そうでないのならば、既存フォーマットでも良いですね。

山木さん:
新卒・中途の採用にしても、本人と会うよりも前に、1番最初にポートフォリオは接点になると思うんですね。ポートフォリオは、履歴書のような「文字だけの定型フォーマット」ではない、その人を表現する1つの手段です。
確かにフォーマットを使うのも手だとは思うんですけど、インパクトの点では、一歩劣ってしまう可能性はありますね。
時間がないとか、理由があるなら全然使っていいとは思います。

森岡さん:
人事的にもそれで評価を変えるようなことはしていません。
今までの内定者のお話しすると、どちらもいます。けれど確かに今その話を聞いて、なるほどと思いました。そこで見せられる印象はかなり変わるし、オリジナリティで勝負できるというのは私も感じました。

(フィードバックをくださる森岡さん)

山木さん:
ポートフォリオを自由に作れる料理に例えるとしたら、作る料理(作品)がどんなに独創的で良いものだとしても、料理を乗せる器(見せ方)まで自分で作れたり選べるならば理想的かと思います。器を定型のフォーマットにするのもありだとは思うのですが、適切な表現として見せられるか、作った作品が効果的に伝わる状態なのかにも配慮できるといいですね。

POINT:フォーマットは自己表現!こだわれる技量があるならば見せ所

総括!このポートフォリオは何点か?

ーー このポートフォリオに「一緒に仕事がしたいを100、ご縁がないを0」にした時の点数をつけていただけますか?

山木さん:
そういう意味で言ったら、正直5点ぐらいかなという風に思います(笑)

森岡さん:
うーん、私もちょっと言いづらいですけど山木さんの5点も納得な感じですね...

野崎さん:
伸びを考えて、真面目にいっちゃうと今は10点かなぁ。

ーー これからポートフォリオを作る新卒デザイナーへ、メッセージをください!

山木さん:
最初は客観的にポートフォリオを見返した方がいいと思います。最後に自己表現を盛り込むぐらいで、言葉で説明することができないポートフォリオは、自分が思っている以上に人には伝わらないものです。

(「見た人がどう感じるか、誤解が生まれないかを意識して、何度も仮説・検証を立てる作業をしましょう」と語る山木さん)

このポートフォリオにこの色や文字を置いたら、見ている側はこう反応するのではないか、こういう言葉が出てくるのではという見る側の反応やリアクションを1個1個考え続ける。
配置・配色から客観的に見続けるのが大事だと思います。

編集後記

僕自身、作成当初はポートフォリオと履歴書の違いすら分からず、正直闇雲に作っている部分がありました。

しかし、インターンや就活といった『働く』ことを目的にポートフォリオを作るならば、「私はこういうことが出来るんだ!」という肩書きやスキルを前面に押し出すのではなく、ユーザー視点でまずは作らなければならないと痛感しました。

今回のインタビューで厳しいコメントもいただきましたが、学生が思う「デザイン」のズレを修正するためにも、読んでくださった皆さんも「どんなクオリティであろうと恥ずかしがらずに作品を見せて、他者評価を受けること」の重要さを感じていただけたでしょうか?

ReDesigner for Studentは他学生のポートフォリオを見ることができるサイトです。
特にデザインを始めたてで、何を参考にすればいいの?という方は、同年代のライバルの作品を参考にしながら、まずは手を動かして作ってみるといいというコメントをいただきました。

作品を投稿したり、実際にデザイナーさんに持ち込んでどういう点を修正すべきかフィードバックをもらうと、次のアップデートに繋がります!