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チェスのレシピ(88) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために

「チェスのレシピ」でご紹介する序盤戦術は、白だとクイーンズ・ギャンビット、黒だとシシリアン・ディフェンス&ダッチ・ディフェンスに偏っています。他にも魅力的に序盤定跡はあるにもかかわらず・・・。

あるひとつの定跡を使いこなすには、少なくともおそらく数百局の実戦対局が必要になると思います。なぜなら、ひとつの定跡にもある局面、ある局面ごとに無数の手筋が存在し、初見に近い駒組みになった場合には、その先を含めた形勢の判断も必要となり、それを実戦の短い時間の中で正確に指し、判断しなくてはならないからです。

しかし、あるひとつの定跡に精通すると、パターン認識ができるようになってきます。この駒組みの時はこうしておけば後数手で自分が良くなる(あるいは悪くなる)などを瞬時に判断し、それをもとに適切な指し手の判断が可能になります。

白でクイーンズ・ギャンビットを例にすることが多いのは、黒の左右どちらからの攻撃にも対応しやすい点を重視してのものです。黒においてシシリアン・ディフェンス&ダッチ・ディフェンスのふたつの定跡を採用するのは、不利と言われる後手番では精通する序盤定跡を最低でもふたつは持っていたいが為です。白の一手目がe4かd4であることが多いという事情もあります。シシリアン・ディフェンスとダッチ・ディフェンスはそのどちらかに対応しています。

さて、前置きが長くなりましたが、パターン認識に関わる局面です。

白のクイーンズ・ギャンビットの出だしから数手進みました。黒がe6としてきた局面です。クイーンズ・ギャンビットを指し慣れている人にはすぐにピンとくるはずです。そう、黒のビショップ(f5)の可動域が狭まったことに。

そのビショップを狙います。

被害を最小に留めるために交換を促してくるかもしれませんがその手には乗りません。

後々のためにh5の地点への駒の効きをビショップによって強化しておきます。いまはこのように黒のビショップとナイトを敵陣近くで働けないようにしておけば十分です。

黒はこのように使っていないナイトを動かすかビショップを動かすかしかありませんが、ここで白はキャスリングをします。

キャスリングをするということは相手に次の手を渡すことになります。つまり、相手に手を渡しても安全な時でないとキャスリングはしないほうがいいわけで、この局面はキャスリングに最適なタイミングです。

このように、パターン認識が培われると数手先までの手筋が即座に見えるようになります。

チェスは10数手(将棋風に言うと20数手)で決着がついてしまうこともあります。初手から詰将棋を作っている感覚で緻密に指していくことが求められているゲームだと言えます。


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