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チェスのレシピ(32) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために

大駒を取られてしょんぼりした経験は誰にでもあると思います。

上の局面は何もしないと詰んでしまうので対応が必要です。受けとしては、Ne1かg3の二択です。

g3とするとルークを取られてしまうので多くの人がNe1を選ぶのではないかと思われます。

ところが、ルークを取らせる選択は実は評価値が上がるのです。

一瞬、「えっ?」と思いますよね。

どの局面であれば取らせてもいいかについてはかなり複雑な話になり説明しきれない(というか全部説明できない)のですが、まずは序中盤であることが絶対的な条件です。加えて、相手の手が遅れていることも必要です。

なぜルークを取られても評価値が上がるのか? 簡単に言うと、ルークというのは概ね中盤から終盤にかけて攻守に活躍する駒なので、それまでは眠っていることが多いと言えます。つまり使っていないのです。

それならば、相手のビショップかナイトをひとつ消しておいたほうが攻めやすく受けやすいという傾向があります。

ただし、駒の損得が勝敗に直結する終盤になると部が悪くなります。

ルークを取らせた(取られた)時には着実にしかしやや急いで攻める必要がありますが、相手はビショップもしくはナイトがひとつない状態なので、あまり厳しい攻めはできません。うまくバランスを取れるのであれば、あえてルークを取らせて戦うという選択肢もあります。とはいえ、この戦略を殊更におすすめしているわけではありません。

しかし、うっかりルークを取られてしまっても局面次第ではしょんぼりしなくていいですし、ルークを取られてもまだやや優勢もしくは互角だという認識があらかじめあれば、あくまでも局面次第ですが、あえてルークを取らせることも選択肢に入ってきます(もちろんタダで取られてはダメですが)。

付記:ビショップかナイトでルークを取らせたほうが形勢が良くなる局面は今回ご紹介した以外にも存在します。存在しますが、まだ研究途上なのでそのすべてを無闇に提示していいものかどうか悩ましいところです。というのは、ルークを取らせて一旦形勢が良くなったとしても、それ以降その優勢を維持することが可能かどうかまで明確な判断ができていないからです。その点ご承知おき下さい。とはいえ、ルークを捨てるなんてソフトやAIがなかった時代には考えもしなかった手かもしれません(考えた人がいたらすみません)。


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