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フランス生活 DAY50

なんとなく数えてみたらフランスに入国してから今日がたまたま50日目でした。
50日間で気持ちの変化が二転三転あり、忘れないうちに書き留めておくことにしました。

【DAY 0-10】再会、ひたすら寝る、ノスタルジー

9ヶ月ぶりに旦那と再会。旦那の家族と再会。
嫌味を言ってくるような姑や近づきたくない家族親戚は一人もいない。
これってすごくラッキーなことだと思う。
とても歓迎されていると感じた。

それなのに私は日本出国前の3ヶ月の忙殺と毎日誰かにお別れを言ってきた心の疲れで殆ど一日の半分は眠り続けていた。
なんだかとても疲れていたし、外に出るのがなぜかとても怖かった。
海外生活は3回目だし、土地勘がある場所なのに、
まるで知らない国に来たみたいな感覚だった。

【DAY 10-20】連日筋肉痛、戸惑い

旦那が予め契約してくれていた新居への引っ越し開始。
EVが無い3階だと聞いていたけれど、実際はフランス式の3階だった(日本の4階)。
引っ越し屋さん等ないので(いるのかもしれないが日本クオリティではないし基本自分でやるのが一般的)4階まで全て手で運ぶ。
新しく買った大きな冷蔵庫は若いお兄さん3人がかりでやっとな程重たかった。
それでも義両親や義兄がたくさん手伝ってくれた。
東京だと私は女の子の友達が多いし、近くに手伝ってと気軽にお願いできる力持ちの男子などいないので無条件で手伝ってくれることを新鮮に感じた。
つい先日まで東京で家具を譲ったり物を大量に捨てていたのに、今同じような物を新調していることにもったいなさを感じる。

ワクチン1回目の接種を受ける。

近所のお花を摘んで、覚えたての投げ入れで花瓶に活けてみた。
日本でも咲いているようなお花だけれど
お花が持っている生命力がこちらの方がシンプルで強い気がしている。
色がはっきりして濃いのもあるかもしれない。
けどお花でさえ、なにか強い目的と意識をもって生きているような気がした。
同じようにお花を活けていても、お水や空気が違うから全然違うもののように見える。異空間にかろうじて居場所を見つけたいという
私の中の和の一面はいつ埋もれてしまうのだろうかと不安になった。

8年前まで学生でこの街にいたけれど、8年前の私と今の私はぜんぜん違う。
日本でたくさん経験してきたから、それを誇りに思っているし、無駄であったわけではない!
というのすら懐疑心を持ってしまうから証明したい。
だからどこかでこの屈託もない、シンプルで、カラフルな新しい居場所が
新バージョンの私を消し去ってしまうのではないかと、
何かにしがみついているような日々が続いていた。

【DAY 20-30】物理的、心情的に取り戻していく

本業がリフォームの内装屋の義父がキッチンをいちから作ってくれた。
壁に穴開けていいの!?と不安になったけれど、返すときは原状回復しなくていいらしい。
木目調のとても素敵なキッチンが出来上がった。お料理が得意な旦那は嬉しそう。天井のシーリングファンも取り付けてくれた。
これをまる2日かけてヒョイッとやってしまう義父と旦那を見て、家に男の人がいるっていいなと思った。
日本から送った荷物がどんどん届き始める。
箱を開けるごとに、あの特に大変だった梱包→郵送作業が思い出される。
(この話はとても良い超大作なので追々。)

少しお休みしていたピラティスのオンラインレッスンを受ける。
今はどこにいてもオンラインでレッスンが受けられることが当たり前になった。
とても重い気持ちがずっと続いていたけれど、この1時間でピラティスは私ととても相性が合うという確信が持てた。

【DAY30-40】過去に新鮮と感じたものを思い出す

週末に旦那のアイスホッケーの試合合宿についていく。
旦那の友達はみんな陽気で、優しくて、はしゃいでいた。
この辺からだんだん気づいていく。
必要以上に警戒していたのは私かも知れない。
なんでもいいからしゃべるとみんな聞いてくれるし拾ってくれる。

思い出してきた。フランスってこういう国だった。
仕事中に出会う人へは塩対応だけれど、とにかくおしゃべり。
知らない人でも会話をすることでぐっと距離が縮まる。
そういえば東京の満員電車はあんなに人が押しつぶされるほど乗っているのに異常なほど静かで音を立てると睨まれる。
カフェではみんな隣の人と話をしない。
そういえば日本に帰国したときの私はそれを逆に新鮮に思っていた。
息が詰まるような湿気がある日本の夏も、東南アジアにバカンスに来たようだとはじめは喜んでいたっけ。

【DAY 40-49】意外と大丈夫なことに気づく

ワクチンの2回目接種を受ける。そして制限なく外出ができるようになる。
以前モンペリエにいた時からの数少ない友人に連絡を片っ端から取ってみる。ダンサー仲間、元クラスメイト、インスタで出会った人にも会ってみた。
以前毎日歩いていた街は思ったほど変わっていなかった。
土埃と、カフェやレストランの美味しそうな匂い、香水や体臭、糞尿の混じったような悪臭と、草花の香り。この街の匂いだけはずっとおんなじ。
久しぶりに会う友人は想像以上に私との再会をとても喜んでくれた。
少しずつ、今後ここでの自分の居場所についてイメージができるようになってきた。

【そして今日。DAY 50】

365日中300日は晴天というモンペリエ(あながち嘘ではない)には珍しく
今日は曇り空。
カラッとピカッとした夏が続いたので、たまにこんな日があると
グレーの空もそれはそれで風情があるなと思う。
東京では空を見上げてもこれから雨が振りそうだな、とか、
今日は満月だとか「確認」のような作業だったけれど
ここは大きな窓があるおかげで外の景色全体が動く絵のようで
そんなことに気付けるようになった心の余裕や穏やかさを取り戻せたことがとても嬉しいし幸せだしこの瞬間が愛おしい。
そろそろ踏み出してみようか、という気になってきた50日目。

あ、雷がなってきた。そろそろ雨が降ってきそう。
50日目にして初めての雨。

リビングに飾っているゴッホの絵のようなヒマワリと一緒に
窓の外を眺めています。

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