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Vol.1 REALITYプロダクトマネージャーが振り返るアプリ立ち上げからグロースまでの戦略 ~1年目~

最近、コンビニの冷凍ほうれんそうを食べることにハマってます。倉淵彩あらため、ぶっちーさん です。

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今は無き REALITY Avatar の企画から関わっていて、現在は REALITY のプロダクトマネージャーチームのシニアマネージャー(ややこしい)をしています。

REALITYは2018年8月にリリース。2021年7月にはアメリカのストアランキングにもランクインするなど、リリースから3年間でグローバルでも人気のアプリへと進化しました。

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現在63地域にストア公開しており、海外のユーザーが約8.5割を占めている状態です。※海外ユーザー数が非常に伸びている最中で、今後より増加する傾向です。

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今回はREALITYがどのようにしてここまで成長してきたのかを、プロダクトマネージャーの目線から振り返りたいと思います。※あまりにも長くなってしまったので、とりあえず1年目だけ紹介します。

① あらゆる機能を削ぎ落とし最速リリース

REALITYはユーザーコミュニティが形成されることが非常に重要になるサービスです。コミュニティ形成は非常に時間がかかりますし、一度どこかに定着してしまうと、そのコミュニティを持ってくるのは非常に困難になります。

当時はスマホでアバター配信できるアプリがなかったこともあり、REALITYが先陣を切れるよう「高機能に作り切った上でリリースすること」よりも「機能を最低限に抑えつつ最速でリリースすること」を重視しました。

視聴(REALITY)と 配信(REALITY Avatar)の機能をわけて別アプリにしたのもその理由です。

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私は REALITY Avatar の企画をメインに関わりましたが、最低限の機能に絞った上でユーザーに楽しんでいただける状態を作るため、以下を行いました。

1.アバターアイテム点数の削減とモチーフ厳選

3Dアバターアイテムは作成に非常に時間がかかります。カスタマイズできるアバターアイテムはたくさんある方が良いですが、当然いきなりたくさんのアイテムを用意することはできません。

そこで、アイテム点数を減少させるためアバターが「上半身のみ映る仕様」にしました。ライブ配信において、視聴者からみたときに配信者の全身が映り続けているケースはあまり多くはありません。そのため上半身のみが映るカメラ位置にすることで、下半身のアバターアイテムを作り切っていない状態でもリリースできるように落とし込みました。

さらに、一人一人の個性が出せるよう上半身のアバターカテゴリの中でも特に人の印象を左右しやすい「髪型、目、眉、トップス」に絞りアイテムを量産することで、最低限個性が出せつつアバターカスタマイズができる状態を作りました。

2. iPhone Xユーザーのみに限定して "α版" 形式でユーザー公開

REALITY Avatarは、ストア公開するのではなく「α版」という立て付けでTestFlight経由で事前に先行応募した人にのみアプリを提供しました。

アプリがまだ製品版でないことが自明になるため、機能が揃っていない状態でも製品を受け入れやすくなります。また利用ユーザー数を絞ることができるため、小規模のユーザーテストを行うことができます。

またアバターは配信者のカメラで記録するフェイストラッキング技術により動作をしていますが、iOSはiPhone X以上の場合 TrueDepthカメラが備わっているため開発工数が少なく実現できることから、α版の時点ではiPhone X以上のユーザーに限定してリリースを行いました。

Twitter経由で募集を募りましたが、約300名の方に応募いただけました。

3.配信が可能な時間を18:00~24:00に限定

REALITYは配信者・視聴者の両方がいないと成り立たないサービスである一方、特にリリース初期はユーザー数が非常に少ない状態になることが想定できました。

仮に24時間いつでも行える状態にした場合、少ないユーザーの利用時間がさらに分散してしまうことになり、誰も配信していない状態が増えてしまう / 配信しても人が誰もこない状態になる可能性があります。

そのため、ユーザーのアクティブ率が高い夜の時間帯のみに絞りユーザーのアクセス時間を集中させることで、配信がなるべく賑わう状態を作るようにしました。

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また、有名Vtuberさんなどをお呼びした公式番組の配信を夜の時間に行っていましたが、公式番組を目的に来訪したユーザーがアプリ配信者の配信にも流れていきやすいようにもしています。

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これらにより、アプリ開発が本格的にはじまったのは6月以降でしたが、9月28日にはα版をリリースすることができました。(約3か月!)

また当時ユーザー数も多くはありませんでしたが、ユーザー間のコミュニティ形成をα版から行っていくことができました。(α版からREALITYを使ってくれていたユーザーが3年経った今でも交流している姿を見ると嬉しくなります)

② 配信者にとって居心地が良い場所になることを意識する

リリースしてからは、不足している機能やアバターアイテムを作成しつつ、ユーザー数を増やすことに努めました。

ユーザー数を拡大させるために、よく「配信者を増やすべきだ or 視聴者を増やすべきだ」というにわとりたまご話が話題にあがります。これについて、個人的には配信者に焦点を当てるべきだと考えています。

全体でみたときに、配信者の方が熱量が高い状態になりやすく、配信者がインフルエンサーとなりユーザーを連れてきてくれる可能性が高いからです。また「配信者が活躍できる・楽しめる場をつくる」ことの方がコントロールしやすく意図的に作り出すことができます。

そのため、当時からユーザー、特に配信者にとって何が必要とされているのかを考えながら企画設計することを意識しています。

1.配信者のための配信イベント機能を早期リリース

コミュニティがどのような居場所になるか、その文化がある程度形作られるまで、非常にシビアに向き合う必要があります。一度作り上げられた文化を変えていくことは非常に困難であるからです。これを怠慢してしまうと、気づいた時には居心地が悪いアプリになってしまうし、REALITYが目指すビジョンから遠ざかってしまいます。

イベントの初期導入を決めたのもその一つです。配信活動を通じて収益を得られ、そして新しい活躍の場が生まれることで、なりたい自分で生きていける人がいる状態を目指しています。

そのため、配信活動を積極的にしたい方にとって活躍の場があることが一つの文化になるように、イベント機能を早い段階でリリースすることを決めて11月にリリースしました。

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※記念すべきREALITY初イベントの入賞ユーザーたち!

今では、配信者の活躍の場としてイベントが定着しています。今後もイベントを通じてなりたい自分で生きていくためのサポートができたらと思います。

2.さらなるアバターカスタマイズ性の向上

初期にアバターアイテム点数を落としてリリースを行いましたが、理想の状態ではありません。ユーザー数も増えるにつれ、どうしても人と同じアバターになってしまう確率が上がっていきます。

そのため、カスタマイズできるアバターアイテムの拡充を行いました。イヤリング、ボトムス、シューズ、また背景の壁紙など、カスタマイズできるカテゴリを増やし、また各カテゴリの中のアイテム点数も増やしていきました。また、体型に関しても F型 の1種類しかなかったのですが、より表現力を高められるよう M型 の体型も増やしました。

これらにより表現できるアバター数を高めることができ、ユーザー数が増えた中でもアバターで誰かを認識できる状態を維持できているかなと思います。(現在も引き続きアバターアイテムをたくさん提供できるようにアートチームと協力して進めています!)

3.REALITY Avatarの機能を結合、そして儚いクローズ

無事に初期状態リリースを終えましたが、配信者が増えるためには、アプリが分離していることがボトルネックになります(そりゃそうだ)。配信するためにわざわざ別のアプリをストアからインストールしなければならないのは手間がかかるからです。

そのため、2018年9月にREALITY Avatarはリリースされたばかりでしたが、2019年4月には REALITY Avatar の機能をREALITYへ結合しました。(エンジニアのみなさんが非常に頑張ってました、おつかれさまです)REALITY Avatarは短い命でしたが役目を果たしてクローズしました。

これにより配信の利便性が向上しましたが、もう一つ大きい意図があります。

REALITYユーザー全員が、アバターの姿をもっている状態にすることです。

当時、配信アプリにのみアバター機能が入っていたため、視聴者は自分のアバターがない状態でした。この変更により、REALITY全員がアバターを持てるようになり、将来目指すメタバースの世界に一歩近づくことができました。

とにかくユーザーに向き合い続けた1年だった

1年目に関しては、最低限の機能に絞った上で最速リリースすること、そしてユーザーにとって楽しく居心地の良いコミュニティになることを徹底して行いました。

こうして振り返るとユーザー数は圧倒的に成長したものの、開発者の人数が追い付いていませんね。おかしいな。ぜひ私たちにみなさんの力を貸してください。

次回は2年目の動きについてまとめたいと思います。ここまで見てくれた方はきっと スキとフォロー、シェアもしてくれるんだろうなあ…。(嬉しい!ありがとうございます!)

それでは、まったねー!