ついに始まった!「建設崩壊」そして「不動産崩壊」


中古マンションの値崩れ=不動産崩壊が始まる
 ここ数年、建築コストの急上昇や地価の高騰により、新築マンションの販売価格が一般的なサラリーマンの収入では購入できないレベルとなっている。マンションの購入層は中古マンションへ流れ、首都圏や近畿圏と比べ物件数が少ない福岡では、中古マンションの価格が高い次元で推移している。

 福岡と大阪で比較した場合、オフィス街からの通勤時間が同じような立地で同年代のマンションを比べると、大阪で2,000万円台後半の物件があっても、福岡では3,000万円台となっている場合がある。マンションのグレードなど、さまざまな条件の違いがあるが、感覚的には1割前後の価格差があるように感じられる。

 福岡の中古マンションは件数が限られており 少々高値でも売れるので、相場が上昇しているものと思われる。しかし、コロナウイルス蔓延による不安が拡がっているのか、福岡で中古マンションの値下げが始まった。一例をあげると博多区内の駅から徒歩数分の立地にあり3,490万円で販売されていた中古マンションが値下げとなり、3,000万円を下回る価格となった。コロナウイルス以外の要因もあると思われるが、築16年、リフォーム済みの駅近マンションとしては苦しい値引きである。

 緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出自粛が求められている。不動産会社への来店やマンションの内見などは まさに不要不急である。不動産会社を対象にした調査では、「コロナウイルスの影響がある」と回答した不動産業者は83%に上るという結果が出ている。また、営業時間短縮などを始めた不動産会社もある。

 コロナウイルスの影響で職を失う人々や破綻する会社がある一方、医療の現場などでは過酷な勤務で、いつ体を壊してもおかしくない状況が続いている。ボーナスや毎月の給料どころか雇用さえも先行きが全く予想できない情勢において、自動車や大型家電などの耐久消費財を購入することは誰もが見合わせるであろう。数千万円もするマンションなど尚の事、購入できない。

 東京では、オリンピック選手村に使用した後のタワーマンションがすでに販売されているが、オリンリック延期により入居時期が1年延びた。選手村跡以外にも東京湾岸エリアでは多くの開発が予定されていたが、これらも暴落することが予想される。また、昨年の豪雨によって武蔵小杉のタワーマンションが浸水した事例があり、タワーマンション人気にも陰りが出ている。

 不動産関係者に話を聞いても、今後は 中古マンションをはじめ不動産価格の暴落が始まるという意見が多い。特に都心部ほど現在の価格が高いので下落幅は大きくなるという。

 現在、マンションを所有し、住宅ローンを返済している人の中にも、コロナウイルスの影響により収入が減少し、ローンの支払いが難しくなる。国がローン返済据え置きなどの支援策を実施すれば良いが、コロナウイルス対策に関する政府及び官僚の無能ぶりを見る限り期待できない。結果的に、マンションを手放さざるを得ない状況に追い込まれるケースが続出するのは間違いない。中古マンションの売却が増える一方、購入する人が減少し、外国人によるマンション購入も減少する。こういう状況になれば、マンション価格の暴落は必至である。

コロナウイルス以外の原因でも マンションの暴落が始まる?
 コロナウイルスの影響によるマンション価格の暴落が起こるとしても、原因は疫病なので、いわば天災である。しかし、以前お伝えたような耐震偽装が、いくつものマンションで表面化している。設計の偽装や施工の欠陥を抱えたマンションの資産価値は限りなく低いものとなり、売却は不可能となる。すなわち、コロナウイルスに関係なく 数千万円の資産を失ってしまうのである。

 構造設計一級建築士・仲盛昭二氏の警告によれば、多くのマンションにおいて高い確率で、設計や施工の偽装が潜んでいるということである。実際に仲盛氏に相談が寄せられたマンションを調査したところ 偽装が判明したケースがあり、さらなる検証が進められている。

 設計の偽装や施工の欠陥があるマンションが販売され、住宅ローンを組んだ場合は、ローンの担保となっているマンションそのものに金額に見合う担保価値がないということになる。逆にいえば、提携ローンを組んだ金融機関は、実際の価値よりも、はるかに高い金額の住宅ローンを購入者に組ませたのである。耐震偽装マンションで提携住宅ローンを組んだ金融機関にとって、今後大きな問題に発展していくことが予想される。



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