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▶︎Vol.5 在宅勤務の生産性というナゾ

前回の記事で「Saas活用」と「職住近接」がキーワードであると書きましたが、これらを考える上でも非常に重要な『在宅勤務』について改めて見直します。

※業種業態によっては感染リスクがありながら在宅勤務の導入が難しいワーカーの皆さんも多くいらっしゃると思いますが、本記事の主旨により在宅勤務を導入された企業様のトピックを中心に展開することをご理解いただければ幸いです。


昨年の緊急事態宣言によって半強制的な在宅勤務が始まり、多くのワーカーが自宅での勤務を経験することになるのですが、この時期において最大のトピックは『在宅勤務の生産性』でした。

色々なアンケートデータが発表されましたが、パソナ総合研究所さんが昨年12月にリリースしたデータは非常によくまとまっており、大変参考になりました🙇🏽‍♂️
▶︎ パソナ総合研究所 全年代の在宅勤務経験者1,000名に聞く『コロナ後の働き方に関する調査』結果を発表


いきなり話が逸れますが、私自身が考える「在宅勤務でも生産性高く仕事ができるために必要な要素」というのは非常に明確で、以下のように分類できます。

■ モノ要素
 ・ネット環境
 ・PC及びガジェット(周辺機器)環境
 ・仕事ができる場所(デスク&チェア、ソファ、コタツなど人ぞれぞれ)

■ ヒト要素
 ・社会人として(もしくは職務遂行上)自立していること
 ・社内外から信用信頼を得ていること
 ・職務遂行に必要なIT及びツールリテラシーがあること


加えて、単身者の方が住居スペースを占有しているという意味では、同居家族のいるワーカーよりも働きやすい環境にあると思いますし、若い世代の方がネット活用やITリテラシーが高いという点も有利です。
「共働きで夫婦ともに在宅勤務、昼過ぎには子供が学校から帰って来る」という環境での業務は、非常にハードルが高い筈です。

つまり、在宅勤務に向いているのは、『単身者か、自立したワーカー』という事になり、モノ要素よりもヒト要素の方が比較的重要なのがお分かりいただけると思います。
簡単に言ってしまえば「場所を問わずパフォーマンスを発揮できるビジネスパーソン」以外はオフィスワーク同等の生産性を在宅勤務で発揮するのは現実的には難しく、何らかの方法でケアやフォローが必要になります。
(それすら非対面で行わなければならなかった訳ですが。。)

そうした状況の中で感染症対策と従業員の在宅勤務体制を整え、事業の継続と雇用を守るべく尽力された経営者の皆様のご心労はかなりのものだと思います。


話を戻しますが、、
昨年は、先程のパソナさんのデータ以外にもワーカーの生産性やエンゲージメントに関するデータや提言が続々と発表されるのですが、私はある時から非常に大きな疑問を持っていました。

「ワーカーは、何を基準に『生産性』の良し悪しを回答しているのか?」

消化できるタスクが増えたから?
売上や成果が上がった?
給与や収入が増えた?

それとも、、

通勤がないから?
監視されてないから?
業務中に声を掛けられて、仕事が中断しないから?

もしかして、、
「生産性」と「満足度や快適性」が混同していないか?という疑問です。

「ワークエンゲージメントはワーカーの生産性に大きく影響する」という視点もあり、これには大いに賛同しますが「ワークエンゲージメントが高い=生産性が高い」ではないため、ここでの混同は非常に興味深い事象です。

また、ワーカーの考える生産性と経営層の考える生産性の乖離点が『場』を通じて浮き彫りになった、これからのワークプレイスの在り方を考察する上でも非常に貴重なデータではないかと感じています。

そもそも経営層が従業員の生産性を意識する(もしくは従業員に意識させる)ことはあっても、従業員の側が「自らの生産性を意識する」というのは(一部のエグゼクティブ層を除けば)殆ど行われて来なかったのではないでしょうか?
突然の在宅勤務による「オフィスという場」と「通勤というルーティーン」からの解放は、ワーカーが自らの最適な働き方を考える機会となり、更にはワークライフバランスを再考するキッカケになった訳です。

同時に、マネジメント層の多くの方々がコミュニケーションや空間共有の機会を失い組織運営に苦慮されたように、在宅勤務ではオフィスワークを前提としたマネジメントが引力を失います。
そして、失った分の引力を取り戻せるだけの代替マネジメント手法やITツールリテラシーの必要性が実感としてあったと思います。

これらの事実が、アンケートデータ(=サーベイデータ)として数値化され公表されており、ここから得られるフィードバックこそが「どのようなワークプレイスを、どのように運用していくか」の最大のヒントになり得る訳です。

『どこで?』と同じくらい『どうやって?』が大事だという事です。

更に、「オフィスか?在宅か?」という二者択一論ではなく「広義でのワークプレイス有効活用と、これに合わせた制度設計」を検討する事が非常に重要であり、ワークプレイス改革には急務であると言えます。


パソナさんのデータとの対比ではありませんが、最近公開された東京商工会議所の調査結果は、その重要性を痛感させられます。
▶︎ 「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査(2021年8月実施)」調査結果

この中に、非常に考えさせられるデータが掲載されていましたので抜粋します。

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東京23区の中小企業でも70%以上が一度も在宅を実施した事がないというデータは正直驚きましたが、このデータこそが「日本のワークプレイスの現状」とさえ感じますし「在宅勤務の生産性を語る以前の問題」という現実も大きく存在しています。
また、今日はTwitter上で『強制出社』というワードがトレンド入りしました。
これらの事は、ワークプレイス産業がまだまだ発展途上であり、もっともっと進化していかなければならない事を示していると感じます。
(私自身も、もっともっと頑張らないといけませんね。。😓)


最後になりますが、「〇〇導入で生産性向上!」のようなサービスプロモーションをよく拝見します。
確かにツールやサービス自体に一定の効果はあるのだと思いますが、自社の現状を把握していない中でのツールやサービスの導入、システムの変更は本当に危険です。用法用量を無視した薬の服用や、肌に合わない化粧品の使用と同じです。

『手段の目的化』に陥らない為にも、市況データを収集する以上の熱量を持って自社のデータを収集してください。
そして、そのデータを基に多くの選択肢の中から最適なワークプレイス環境構築を実現しましょう。(※下図は参考資料です)

BTE事業案内Ver.2(図表保存用)210927.003

余談ですが、様々な構造や様式を大きく変化し改革していくチャンスであるVUCA時代に、サーベイデータの蓄積と活用は非常に重要です。
是非とも『従業員サーベイの導入』をご検討ください。


今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
一部でも皆様の参考になれば幸いです。


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