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溺れている人を見つけてもすぐには助けてはいけない 義務教育に水泳がある理由

ドイツの友人を日本の各地を観光に連れて行った際に、
「なぜ学校にプールがあるのか」と聞かれた
当たり前過ぎて考えたこともなかった
調べてみたら、世界の国では
水泳の授業がある方が珍しいようです

溺れている人を見つけても、
す ぐ に
助けてはいけません
なぜなのでしょうか

すぐに助けようとすると
思いつく方法が泳ぎにいって
助けようとする可能性が高いのです
そうするとどうなるのでしょうか
かなりの確率で助けに行った人も
溺れていた人も一緒に
溺れて亡くなることが多いのです

溺れている人はまさに自分の生存が危ぶまれる状態です
そうすると近くにあった物や人に
力の限り抱きつこうとします
人間は身体が壊れてしまうので、
全部の力を普段は使えないように
脳がセーブしています
ところが生存が脅かされる状態では
リミッターを解除します
すると助けに行った人に
ものすごい力で抱きつきます
そうするとどんなに泳ぎが得意な人も
一緒に溺れてしまうのです

では溺れている人を見つけたらどうしたらいいのでしょうか
一番いいのは、溺れている人がつかまれる物を
投げて渡すことです
浮かぶことができればパニック状態から
落ち着いて行動することができるようになります

では投げて渡す物がない場合はどうしたらいいのでしょうか
これはかなり難易度が高いのですが、
溺れている人がいったん
大人しくなったタイミングを待つことです
いわゆる仮死状態です
そのときに初めて泳いでいって助けるのです

逆に言うと意識があるときに
泳いで助けに行くことが
いかにリスクが高いか分かります
「火事場のばか力」と言われるように
火事の時に、家の中から
普段では絶対に持ち運べないピアノを
持ちだした事例があるなど、
リミッターを外した人間の力を
甘く見るべきではありません

なぜ日本の義務教育では水泳の授業を行っているのでしょうか

もう分かりだと思います
自分の命を守るためです
小学校の低学年では、水泳とは言いません
「水遊び」と言います
水深の浅いプールで遊びます
学校の授業で遊びなんてけしからん
何て言わないでください
「遊び」という言葉を使って
水に触れることを楽しいと
子どもたちに感じてもらえるようにしているのです
ここでは無理やり泳がせるようなことはしません

お子さんの得意不得意、特性の違いなどがあるため
徐々に水になれるようにしていきます
顔に水がかかるのを極端に嫌がる子も
遊んでいるうちに慣れてきて
気にならなくなります

中学年なると少し泳ぐ準備を始めます
まず水に顔をつけられるようにします
できたら水中で息をはけるようにします
これは息継ぎにつながっていきます
そこまでできるようになると
次に水中での正しい「姿勢」を覚えます

「姿勢」というといかにも学校って感じがしますよね
ところが水中ではこの「姿勢」を
身につけないと泳げるようになりません
では、どんな姿勢を覚えるのでしょうか
いわゆる「伏し浮き」という、
身体をまっすぐに伸ばした姿勢です
なぜこの姿勢でなくてはいけないのでしょうか

これは泳ぐのが苦手な人は分かると思いますが、
泳げない人は水面から顔を上げて出そうとします
そうすると必然的に残りの身体は水中に沈んでしまいます
特に下半身は斜めに水中に沈みます
そうすると泳ごうとしても足の力をほとんど使うことができまぜん
一所懸命に泳ごうとしてもほとんど進まない状態となってしまうのです

ですからこの「姿勢」が身に付くように
繰り返し練習していきます
逆に言うとこの姿勢が身についてしまうと
あとは割と楽に泳げるようになっていきます
泳ぐの難しいののは
力をいくら入れても
それが逆に水の抵抗になり
進まないという段階で
諦めてしまいがちというところです

ところが水中で力を抜くことができると
すーと泳げます
むしろゆったり泳いだ方が
速く進むくらいです

このようにスモールステップで、
水泳の授業は進んでいきます

なぜ日本は世界でも珍しく
水泳の授業をおこなっているのでしょうか

日本は水の豊かな国です
逆に言うと水の害にも悩まされて国です
川の氾濫、海の津波
国民がまったく泳げない状態だったらどうでしょうか
何かのはずみで水に落ちてしまった場合、
ほとんどの人がパニックを起こして
溺れてしまう可能性が高いです

義務教育9年間で水泳の授業を
習っていたらどうでしょうか
わたしは水泳が苦手だったという人も
泳げないまでも
パニックを起こさずに
水面に顔を出すことはできるのではないでしょうか

それができればかなり生存の可能性は高まります
水中でパニックを起こして
水を飲んでしまったら
かなり難しいです

教育の現場ではさらに
自分の命を守ってもらえるように、
服を着たままで泳ぐ練習も取り入れています
水に濡れた服は泳ぎにくいという感覚を
体験してもらいます
また合わせてペットボトル1本あれば
しばらく水面に浮いていられる
体験もしていきます

また座学では、水のレジャーの際に
事故にあわないように
どうしたらいいかを学びます
また、初めにお伝えしたような
溺れた人を見つけたときの対処方法に
ついても学びます

酷暑で水のレジャーに出かける人も増えてくると思います
楽しい水のレジャーになるように溺れない方法を
事前に確認してもらえたらいいなと思います

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