
「棄却」と「取り消し」の違い?独特の役所言葉を解説
社会保険労務士の松原です。
【本日のテーマ】
「「棄却」と「取消」の違い?独特の役所言葉を解説」
ではどうぞ。↓
社会保険手続における不服申し立ての多くは、“障害年金の決定に納得できない”というものです。この点については、社会保険労務士の間ではよく知られている常識です。
しかし、不服申し立て手続は必ずしも社会保険労務士だけが行えるという決まりではありません。初めから国相手の訴訟前提なら弁護士を雇われる場合もあるでしょうし、患者さんご本人やご家族、福祉関係の支援者が取り組まれることも少なくありません。
ただし、役所とのやりとりで目にする文書には、独特の言葉遣いが実に多いです。それらの内容を正確に理解するのが、(難しいな)と感じる方も大勢いらっしゃいます。
極論すると、書類を受け取って読んだのは良いが、“結局、主張が認められたのか、それとも退けられたのか”がさっぱりわからないという場合もあります。そこで今回は、役所の文書を読む上で押さえておくべき基本的なふたつの用語の違いをご紹介しておきます。ちなみにこの違いは、実は、社会保険労務士にもよくわかっていない人がいるようなのです…….

【棄却】の意味
不服申し立ての審査が終わって役所から届く文書に、“この(再)審査請求を棄却する”と記載されている場合は、“主張は認めません”という意味です。
“棄却”という言葉自体の国語的意味は、“取り上げず捨て去ること”とされています。それを役所用語としては、次のように解釈します。それは「審査はしたけど主張を認める理由がない。だから言い分は退ける」。
この一文を読めば、不服申し立てが認められなかったことになります。
【取り消し】の意味
一方、“◯◯処分を取り消す”と記載されている場合は、“主張を認めます”という意味です。
◯◯には、不服申し立ての対象となった国の最初の判断が入ります。「不支給」か「却下」です。
例えば◯◯に「不支給」が入る場合、「あなたが不服と主張した国の最初の判定である不支給を、最初からなかったことにします。」と解釈します。最初の判断から不支給ではなくなるので、「最初から支給する」という意味になるワケです。
(ややこしいですね)
もうひとつ。“取り消し”は、最初の決定があった時点まで遡ります。
つまり。当初“不支給”と判断されていた請求が不服申し立てにより“取り消し”となれば、最初の不支給決定は一切なかったものとして扱われるということになります。
勘違いしやすい【撤回】
このように、不服申し立てで求めるのは「取り消し」を求める必要があります。実務で言うと、不服申し立てで提出する文書には、
・不支給を取り消して支給してください
・却下処分を取り消して初診日を認めて支給してください
ー このように記載する必要があるということです。
ここで間違えやすい用語は「撤回」です。撤回は、その効果が遡るものではありません。例えば「不支給を撤回してください」との文言は、行政文書的には誤りです。役所内では意味が通じないことになるのですが、そこは、話を合わせてくれているのが実情です。
ただ、相手が相手なので、なるべく正しく使うに越したことはありません。

届いた文書の読み方
“棄却”または“取り消し”との文言表現は、通常、審査機関から届く書類の最初のページにある“主文”というタイトルのすぐ下に記載されています。この部分を読むだけで、主張が認められたかどうかは、判断できます。
そしてその後の部分には、どの役所がどんな理由でどんな決定をし、それが妥当であったか誤りであったかの詳細が記載されます。そして最終ページに向かってまとめが整理されるのが一般的です。
まとめ:
この記事は、“棄却”と“取り消し”というキーワードを押さえることが重要、との趣旨で掲載しました。この基本を知っていれば、不服申し立てを行うときも理解して書類を作成できますし、書類を受け取った時にも内容を正しく把握する助けになるからです。しかし、最も大事なのは、「不服申し立ての主張の中身」です。このポイントを外すと、結果を覆すことは難しくなります。
どういうロジックを組んだら良いのかお悩みでしたら、お早めにご相談ください。
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