障害年金だけ年金見込額が教えてもらえない理由?!-意味のある試算と意味のない試算?
社会保険労務士の松原です。
【本日のテーマ】
「障害年金だけ年金見込額が教えてもらえない理由?!-意味のある試算と意味のない試算?」
ではどうぞ。↓
公的年金には、老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類があります。それぞれ次のような仕組みです。
老齢年金:高齢になった際の生活を支えるための制度。一定年齢に達した際に受給資格が生じます。
障害年金:病気やケガによって働くことが困難になった際の生活を支える制度。初診日や障害等級が審査の対象。
遺族年金:家計を支える人が亡くなった際の遺族の生活を支える制度。故人から見た一定範囲の遺族が対象。
共通するのは、「働くことによって収入を得るのが難しい」あるいは、「身の上事情がガラリと変化する前と同等に維持するのが困難」というものです。
だったら、権利を得たらいくらの年金が受けられるか?これがあらかじめわかっていれば計画しやすいというもの。
事実、老齢年金は「年金見込額」なるものが具体的数字で通知されますし、遺族年金も役所の窓口で簡単に試算が受けられます。
っていうかそもそも保険なので、保険事故があったらいくら保障されるかあらかじめわかってて当たり前。
なのですが、障害年金は試算提供されることが通常ありません。
実務上は、老齢年金や遺族年金にも形式的審査は存在します。しかし、その審査内容は「年齢に達したか?」とか「遺族に間違いないか?」といったとてもシンプルなものです。
これに対して障害年金は、「初診日」「初診日までの保険料納付要件」「身体の状態」の確認が必要。これらの要件を満たしている・満たしていないという違いが、年金額に直接作用するという点が特徴です。
■ 老齢年金と遺族年金の相談対応
老齢年金や遺族年金では、窓口で相談した時点で見込額を教えてもらえます。そして、見込額が記載された資料を受け取るのも一般的です(というか、持って帰るように言われます)。特に老齢年金に関しては、積極的に告知され、将来の計画を立てやすくなっています。
だから、生活見通しを立てやすいです。
■ 障害年金の見込み額が伝えられない理由
一方、障害年金においては、見込み額が伝えられることはあまりありません。全くないワケでもありませんし、むしろ見込み額試算がないと作成できない書類もあるにはあるのですが、一般的ではありません。
その理由として考えられるのは次のような背景です。
・審査で対象外となった場合、受給額ゼロ円になるから
・不必要な期待を煽ることを避けるため
実は、見込み額をもとに何かを購入しようとされる方がおられます。本人さんがそうされなくても、お身内の方が知りたがったり、生活支援されている福祉職の方が強く求める場合もあります。
動機としては、何やら疚しいお考えがあるのだろうと察してしまうこともありますし、そうではないこともあります。例えば「年金がいくらあれば、このグレードの器具が揃えられるから」というもの。お気持ちはわかります。
しかし、資金の裏付けがない状態の購買活動は、リスクが高い。あまりお勧めできません。それに、役所の人がよけれと思って見込み額試算を伝えたばかりに「役所の人がこういったから」と言質を取ろうとする方もおられます。
それで障害年金が支給されなかった場合、問題にしかなりません。だから役所の人も言わないですよ。
試算額を強く求めることが、かえって障害を抱える本人さんのために全くなっていない、という現状もあるのです。
■ 窓口対応と社会保険労務士の役割
このような背景から、役所の窓口では見込み額を伝えない対応がほぼ統一されているようです。ただ、システム上の試算は可能。しかし、初診日や等級が変われば、その試算も意味を失うため、結果的に役に立たない無意味な数字となる場合もあります。
だったら、「あえて示さない」という判断になるのが合理的です。
社会保険労務士に相談された場合も似たようなものです。「仮にこうだったらこう」といったレベルに留まります。
ただし、老齢年金と障害年金と遺族年金のどれかを選択して届出する必要がある場合、しかも、初診日が揺るぎなく確実な場合。こういう場合は試算を受け、しかるべく整備して手続する場合もあります(というか、そうします)。
この試算は、とても大きな意味を持ちます。
まとめ:
繰り返しになりますが、障害年金は国の保険なので、保険事故があったらいくら保障されるかあらかじめわかってて当たり前だと思います。また、数字がはっきりしていれば生活見通しが立てやすい、これもその通りだと思います。しかし、制度上の理由だけでなく本人さんの周辺事情も踏まえ見込み額が明らかにされていないのが実情です。
幅に余裕を持たせた家計運営が必要というお話でした。
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