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土泥棒、逃げるは恥だが役に立つ

「魔法をかける編集」&「風と土の秋田」出版記念イベント 北九州ツアーから家に戻って、ようやくそらことスプラトゥーン2大会! やっぱ楽しいわー。しかしまだ、ゼルダもクリアしてないのにまいったなあ。

ということで、とにかく少し落ち着いたので、北九州ツアーを整理したいと思うんですが、特にね、1日目の八女がちょっとすごかったんですよ。何がすごいって、夜のイベントも盛り上がったんですが、実は企画者である「うなぎの寝床」白水くん&なべちゃんが、朝からずーーーっと八女を案内してくれて、その一つ一つが猛烈濃かったんです。

これは早いとこアウトプットしとかなきゃマジで熱出そうなやつなんで、ここに記録しておこうかと。

さて、白水くんたちが、最初に連れて来てくれたのは、八女市星野村にある、陶芸家の山本源太さんの工房。

もう、ほんっと文句なしにいいとこなんですよ〜。蓮の花とか咲いて、極楽浄土感すごいし、母屋の玄関には、魔除け的に飾られたナマハゲ感たっぷりな面があったりして、これが超かっこいい。

「これいいですよねー。欲しいんですよー」って耳元で囁く白水くん。源太さん、白水くんこれ狙ってますよー! で、そうそう、こちらが源太さん。

このスタイル最高じゃないですか? うなぎの寝床で買ったという麦わら帽も素敵だし、なんつってもそのTシャツどこで買えるんですか?! 欲しい! 奥田民生感ヤバい。っていうか、いまだったら、う〜ん誰だろ。

最初はなんだか寡黙な人なのかな? と思ってましたが、窯の前でいろんなお話(特に失敗談!)を聞いていくうちに、どんどん人懐っこさが顔を出し始める源太さん。生まれは鳥取県の八頭町で、15歳から各地を放浪した後、三重県伊勢市の窯元や、福岡の小石原焼の窯元で陶芸を学び、とあるご縁から、長く途絶えていた星野焼の再興を託され、この村にやって来たそうです。

よそ者としての数々の苦労を、終始にこやかに話してくれる源太さんのお人柄に僕はどんどん引き込まれていきました。

母屋に戻って「まずはお茶でも」と出してくれたのが、甘い梅漬けと、クコの実が入った甘酒の寒天。これが美味しかった〜。そして家の裏で摘んだお茶と、好みの茶葉を源太さんがブレンドしたというお茶を、片口に注いで入れてくれて、片口=酒!って思ってた自分にとっては、それがなんとも素敵だったんです。優しくも少し野性味を感じるお茶とともに、これらすべてが源太さんそのもののように感じました。

そこで白水くんが僕の紹介を兼ねて、自著「魔法をかける編集」を源太さんに見せてくれたんですが、さらりと目次を追いかけるだけでいろいろ理解してくれたばかりか、本文の中に「板散華」棟方志功の文字を見つけた源太さんは、初版本みたことある? といって二階からこれを持って来てくれました。

文庫版しか持っていない僕は、かつての書籍の一冊入魂な装丁に感動。さらに、若いころなけなしのお金で買ったという棟方志功の作品集をつぎつぎと見せてもらって、それで僕は源太さんのつくるものの根っこが、少し理解できたような気持ちになりました。

仕事場はとても美しく、長年使い続けてこられた道具ひとつひとつが、用の美に溢れていて、僕は源太さんのつくるものを買って帰りたい気持ちを抑えるのに必死。だってまだ北九州ツアー初日ですよ。これからまだ熊本ー別府ー長崎と続くわけで、とにかく旅に買い物はつきものだから、初っ端から買い物しちゃったらダメダメダメと何度も言い聞かせます。

近くの崖から採って来たという土について嬉しそうに話してくれる源太さん。土の仕込み方や、てづくりの釉薬などもみせてもらいながら、ふと思い出したのが、実はさきほどお茶をいただきつつ見せていただいた、源太さんの御本。

タイトルは「土泥棒」。自らを陶芸家と呼ばず、土泥棒という源太さん。そこに源太さんという人の全てが込められている気がします。

さらに、茶室のある別棟に案内してくれる源太さん。わんぱくな借景がなんとも源太さんらしくて、心底かっこいいなあと惚れ惚れします。
しかしこの後の予定もあるからと、泣く泣く出発しようとする僕に、源太さんは、二つもお土産をくださいました。その一つはこれ。

源太さんの本の版元さんであり、『逝きし世の面影』渡辺京二著、などで知られる、かつての地方出版の星、葦書房。その創業者である久本三多さんの生涯がまとめられた書籍。一部の方に届けられた非売品の一冊を「あなたが持っていた方がいいから」とくださったんです。
実は最近出したもう一冊の自著「風と土の秋田」(リトルモア)のインタビューのなかで、葦書房のことが出てくるんですね。以来、僕は葦書房がとても気になっていたのですが、そんなことを源太さんが知るわけはありません。僕はうれしいやらびっくりするやらでもう大変でした。そしてさらに、

このお猪口をひとつくださいました。源太さんが「夕日焼」と名付けた赤茶色の焼き物は、僕にはもはやお守りのように思えました。

自らを土泥棒なんて言いながら、こんなにも美しい焼き物を生み出す源太さん。星野村で一時は途絶えた星野焼を引き継ぐ源太さんと、最後に工房の前で記念写真を撮ろうとしたときのことです。

これまでのさまざまな経験を背景に、土臭さを滲ませながらも、なんだかオシャレでPOPな源太さんの姿。奥田民生というよりは、もう少し今っぽいんだよなあって思っていたけど、こういうことでした。

はい、これまさに、星野源だ。

こうやって自然体に生きてると、突如世の中とマッチする瞬間ってあるんだね。ほんと奇跡。八女の星野源こと源太さんの器、最高だからぜひ。
ということで、ここで一句。

土泥棒、逃げるは恥だが役に立つ

おそまつでした。

八女のお話、続きはまたあらためて。

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編集者。1974年兵庫県在住。『Re:S』『のんびり』編集長。著書に『風と土の秋田』『ほんとうのニッポンに出会う旅』共にリトルモア、『魔法をかける編集』インプレス。『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』など手掛けた書籍多数。

コメント2件

素敵なお写真と読みやすい文章拝見しました、生活がそのまま焼き物に出ているようですね。突然コメント失礼しました。
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