品質第一、選別を徹底し、良いものを送り出す
三浦雄也さんプロフィール
三浦さんは二戸市でカラー、トルコギキョウ、ラナンキュラスなどの花卉を栽培する農家である。市場勤務、長野県松本市にある大規模な花き農家で2年間の研修を経て、2019年に二戸市にUターンし、新規就農している。
三浦さんが農家になるまでのプロセス
三浦さんが農業を職業の選択肢として捉え始めたのは大学生の頃だった。当初は「仕事としての農業に魅力を感じていなかったが、大規模経営を行えばなんとかなるかもしれないと漠然とした思いがあった。岩手県ではりんどう栽培が盛んであり、全国流通量の約7割を占める。二戸市も栽培が盛んな地域であり、三浦さんはもし就農するならば花き栽培と考えていた。
いきなり新規就農をしても、市場や生産、経営のことがわからなければうまくいかないと考えた三浦さんは、新卒では流通などのことも知りたいと考え、市場への就職を決めた。その後、き栽培を行うにしても、生産についても、経営についても学ぶ必要があると考え、ラナンキュラスを中心に大規模経営・栽培を行う長野県松本市の花き農家で研修の道を選んだという。
品質第一、選別を徹底し、良いものを送り出す
現在は、三浦さんはカラー、トルコギキョウ、ラナンキュラスの花卉を、ハウス11棟、総面積は750坪の規模で、ご自身とパート3人で運営している。
こだわりを伺うと、三浦さんから「品質第一」との回答があった。特にカラーについては球根の立ち上がり本数や出荷、選別に厳しい基準を設けているという。
「収穫時に良いものと悪いものを分け、作業場での花の束ね作業でも選別を徹底し、最後の箱詰めでも選別する様にしています。目利きが重要なので、パートの皆さんにもこのスキルを身につけてもらっています」
農業経営の面では、パートの皆さんとの人間関係も重視している。目利きが重要になるが、すぐに会得できるものではないため、同じ花を育てる仲間として対等に接し、声を聞くことを心がけているそうだ。
課題は運送
販路については、研修した松本市の花き農家の暖簾分けとしてスタートしたため、そこからお客さんを紹介いただいたそうだ。他にも新卒で就職した市場にも出荷し、過去の経験・つながりから販路を開拓している三浦さん。
一方、運送には課題があるという。岩手県県北地域の花き栽培といえば、りんどうか菊が主流である。三浦さんが育てているカラー等の品種はいずれにも当てはまらず、近隣で同じものを育てている人もいないため、現在はJAを通さずに出荷している。物量も個人農家レベルなので、運送会社を見つけるのには苦労したという。三浦さんが出荷するものだけではトラック1台分にはならないため、他の作物の運送と一緒に運んでくれるところがないか、アプローチを重ねたそうだ。
高冷地の特性を活かして差別化を図る
岩手県県北地域は、冬は非常に寒く、冬にできる花がほとんどない。安定した雇用を確保するためには、冬に栽培できる品種が必要だと考えた三浦さんは過去の研修先に足を運んだり、調査を重ね、冬場に栽培できるラナンキュラスを栽培するようになった。
カラーは、当初は生産するつもりはなかったが、市場関係者等と話す中で、多くの産地では夏場カラーを出荷できないことを知り、三浦さんはチャンスだと捉えた。実際に、夏場にカラーを出荷できる地域は、高冷地の特性を活かせる東北以北に限られているため、現在は差別化を図った戦略を打ち出している。
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キマバイトサービスを活用し、ハウスの片付けなどの作業で効果的に人手を確保
いわて農業未来プロジェクトでは、二戸地域の農家の皆さんからのヒアリングを通じて、繁忙期の人手不足の課題があることがわかった。2024年4月に株式会社タイミーとの連携を発表し、スキマ時間で働きたい人と、必要な時間だけスポットで人手が欲しい農家のマッチングを支援することにしたところ、三浦さんが手を挙げてくださった。
「最初は岩手でタイミーに登録している人がいるのか不安でしたが、募集を開始してから約1時間でマッチングが成立して驚きました。ほとんどの人がしっかりと仕事をしてくれています。当初は長期で働いてくれる人を探していたため、半日程度の業務時間では、すぐに人が埋まってしまい、都度作業する人が変わることが課題でしたが、活用を進める中で使い方がわかってきました。収穫シーズンが終わった後にハウスを片付ける作業が後回しになることが多く、時には秋口までずれ込むことがあり、土作りの準備に影響が出ていました。今回、タイミーで片付け作業で4人ほど募集をしたところ人が集まり、一気に片付けることができました。これで、土作りの準備などを余裕を持って進められます」
当初はお花屋さんと思って応募する人もいたそうだが、今は実際の仕事の内容で募集することで、作業内容に合った人を募集できるように工夫を重ねているとのこと。
三浦さんのお花を購入するなら
https://hitohana.tokyo/farmers/miura/calla