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1行の欲しかった言葉の話

 嫌なことがあった。久しぶりに怒りが爆発しそうになった。

 でも大人だから耐えた。泣き出しそうにもなったけどこらえた。

 すごく疲れてベッドに潜り込む。まだ気分が晴れない。

 眠れないけど何もする気になれない。

 そういえば、とタイトルに惹かれて買った小説を読んでないことに気づいた。

 少しずつ読んでいく。がんばり屋の主人公が何もかもを請け負って、空回りしても笑顔でいる。

 そんなときに、主人公の友人から言われる一言で彼女は救われる。

 「お前は、怒りをコントロールするのがうまいんじゃない。不器用に飲み込んで、平気なふりをするのがうまいんだ。」

 主人公は何も言わない。私も何も言えなくなった。

 そして、彼は最後にこういう。

 「吐き出せ、飲み込むな。その姿すら愛しいから。」

 救われたのは主人公だけじゃなかった。私は気づけば子どもみたいに泣いていた。

 ずっと、誰かにこう言われたかったのかもしれない。

 ずっと、誰かに怒りも涙も見せられなかった。

 それは役に立つけど、誰よりも孤独なこと。

 たった1行の言葉がそれを気づかせてくれた。

 「リアルでこんなこと言ってくれる人いないかなぁ…。」

 落ち着いたころにそう、願いを込めて呟いた。

 以上、らずちょこでした。

 ※この物語はフィクションです。

 ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

 ではまた次回。

 

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