言葉の進化は合体から?

 漢字は中国で考えられ、つくられた文字だけれど、その漢字だけでは足りず日本人の想像力でつくった漢字がある。「国字」と呼ばれるものがそれ。中でも「躾(しつけ)」は秀逸。身を美しくするのが躾とはなんとも日本らしい考え方だと思う。右から美しいがやってきて、左から人そのものを表す身がやってくる。合体して、躾となる。

 言葉というものは合体させて、新しい意味をつくることを得意としている。国字も好きなのだけれど、考え方としては西洋の「oid」という接尾語も興味深い。若い人にはあまり馴染みがないかもしれないが、セルロイドのロイドもそのひとつ。セルロイドは世界初のプラスチック素材と言われていて、象牙の代替品だったときく。ぼくの勝手な類推だけれど、Shell+loidだったりしないのかな? と思った。マーブル模様が多かったり、貝殻のような模様が美しかったのをよく覚えているので、想像してみた。実際は原料がニトロセルロース(硝化綿)だったので、そのセルを使ったのだろうか。

 ぼくのセルロイドの思い出はペンケースだったけれど、調べてみると写真のフィルムやレコード、おもちゃ、ピンポン球など変化自在に形を変えた。プラスチックなのだから、そんなものだ。セルロイドは発火しやすいという弱点がある。映画「ニュー・シネマ・パラダイス」でもフィルムが燃えてしまう、悲しいシーンがあったのを思い出した。そのため、セルロイドほどんど姿を消してしまった。

 アンドロイドもそうなのかな? と思ってWikipediaを見たら、「ギリシア語のandro-(人、男性)と接尾辞-oid(-のようなもの、-もどき)の組み合わせ」とあるので、セルロイドはセルでできたもどきという感じだろうか? フィルムで思い出したけれど、ぼくの大好きなポラロイド(Polaroid)も調べてみた。どうやら偏光板(polarizing plate)もどきという意味らしい。

 20代の頃、インディーズマガジンで小説を発表したことがあるのだけれど、そのときも「ポラロイド、アンドロイド」という言葉を文字にしたことを思い出した。好きなものは変わらないんだな。

 そんなわけで、合体させる概念が好きなのでした。


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