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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 11

 突き抜けるような青空の直下の荒野に信じがたい物体がコーデリア達三人が上がってきたホワイト・アーコロジー社の自社ビルの屋上に向かって歩んできていた。

 端的に造形として表現するならば、中世欧州の城塞に手足を雑に付けて歩かせているような、そんな突飛な物体だ。煉瓦造りの様にも見えるが、ずしんずしん歩いてくるからには遠目からそう見えるだけで本質的には全く別の物体なのだろう。

「なんでしょう、アレ」
「どっかのバカの権力誇示の産物だろうな」
「アレの内部メンテナンス人間使って維持してるのかな?」
「だとしたらただでさえ足りねぇ人材が余計足りなくなるわけだ」

 巨大歩行型城塞は神話の存在めいて威圧感を発しながらエンジ達が立つビルの目の前で停止した。城塞中央の時代がかった民衆に対して王者が姿を現すが如き突き出したベランダ上の舞台にこまっしゃくれた感じの少女、髪色は栗色で豊富な髪をくるくるとドリルの様に巻髪にし、ドピンクのけばけばしいドレスをまとった……そんな感じの子が手すりに身を乗り出しながら姿を見せた。少女はその手にバズーカめいたスピーカーを手に宣言してくる。

「アーッハッハッハッハ!どうだ驚いたか下々の者ども!」
「見かけ倒しなんだろ?」
「何を言うか!上から下までぎっちり我が社の最先端技術がつまっているわ!張りぼてではないぞ!」

 心底ウンザリした表情のエンジと普段崩さない笑顔を引きつらせるシラセの間でおろおろするコーデリア。三者三様の反応を見て満足したのか胸をはる少女。

「さあ、お前たちも我が社のグループ企業になるがよいわ!断るならば物理的に潰してくれる!」
「その為にわざわざこんなでか物持ってくるとかアタマイカレトンチキにもほどがあるだろ!」
「王者の横綱相撲は愚民には理解できないと相場が決まっているのだ!」
「そんなのが理解できる位なら平民でいいわバーカ!バーカ!」

 売り言葉に買い言葉で罵倒をエンジが返し始めると両者の間で罵声のリレーが始まる。そもそも少女は自分がどこの誰だかすら名乗っていないが多分どこぞの大企業社長の令嬢なのだろう、なんだかやけに時代錯誤だが。

「ムッフッフッフッフ……その様子だとどうやら我が社の軍門に下る気はないようだな?」
「そんなこけおどしが今まで通用したっつーならそいつらはトンだ玉無しどもだな!」
「良かろう!このビスマルクがこけおどしではない事をその眼に焼き付けるが良いわ!」

 二足歩行型城塞兵器「ビスマルク」は主の宣言に応じて赤茶色の拳、かつての日本の国会議事堂位ありそうなそれを鈍重に振り上げては勢いよく振り下ろした!

【続く】

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