全裸の呼び声 -38- #ppslgr
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全裸の呼び声 -38- #ppslgr

 視界が、何もかもが揺れる中、相手の瞳とだけはアンカリングされたかのように合ったままだ。目の前の存在はアノートの手を取ると、首を横に振った。

 そして次の瞬間、目の前の少女像は、ザクロが弾けるように爆発四散。血の紅が一面に飛び散り、手足が無造作に転がった。続いて部屋全体が夏にさらされた蝋細工のように歪んで溶け出し、血と混じり合って流れ出していく。ひどく気分が悪い。世界の揺れはますますひどくなって、とても身を起こしてはいられなかった。

「起きろッ!」

 かけられた一喝に、アノートは眼を見開いた。目の前にあるのはレイヴンの顔でひどく近くにあり、ついで天井が目まぐるしく後ろへ流れていっている。とっさに、何が起こっているか把握しようとするも吐き気と目眩だけは現実で、頭が全く回らない。

「起きた!?起きたな!なら自分で走ってくれ!」
「あ、ああ……しかし君は先に寝たはずじゃ」
「もう起きたさ!」

 レイヴンが投げ出すようにアノートを放り出すと、投げ出された方は猫めいて身を丸め着地。そのまま走る仕事仲間の背を追う。

「一体なにが!?」
「まだわからん!急に地震で叩き起こされてこの有様だ!脱出しようにもそっちはうんともすんとも言わないから、やむなくひっつかんでトンズラこいてた所さ!」
「それはご丁寧にどうも!」

 地の底から突き上げるような衝撃が、駆けている今この瞬間にもドゥン、ドゥンとホテル全体を揺らしている。ひかえめに捉えてもよくある地震等ではない。そして階段にたどり着く前に、客室から一斉に人影が飛び出してくる。薄暗がりの中で、それらの人影はワカメめいて揺らめいた。

「ミュルミュルーッ!」

 薄紫色の細触手で作ったような奇怪触手人間の群れは、広くもない通路を埋め尽くしまっすぐに二人に襲いかかる!ムチめいて繰り出される触手殴打が、絨毯をえぐり壁をヘコませる!

「ええい鬱陶しい!」

 黒い閃きが瞬くたびに、触手人はバラバラとウッドチップ解体されて飛び散り、肉片はすぐさま壊死して崩壊するも数がとてつもなく多い。レイヴンが切り倒すたびに、後から後から湧いてくるのである。個体が弱くてもこう多くては少々厄介ではであった。

「やはり罠だったかね」
「どうかな、利用されたのかも」
「フムン?どうやら夢見は良くなかったようだ」

 高性能稲刈機器めいて触手人を狩り倒すレイヴンの後衛より、大口径決闘銃を次々うちはなつ。不幸な触手人が、風穴を開けてちぎれ飛んだ。

「だが後だ。現実は袋のネズミ、そして敵だらけ。まずはここを出る」
「了解」

 またたく間に討ち取られるほどに、そのままではらちがあかないとみたか、触手人の残存数体が寄り集まって紐を撚り合わせるように絡み合うと通路を塞がんばかりの大型触手人へと変貌する。すぐさまアノートが一発かますも、銃弾はいくらか肉をえぐった後に浅くとどまった。

【全裸の呼び声 -38-:終わり|-39-へと続く第一話リンクマガジンリンク

注意

このものがたりは『パルプスリンガーズ』シリーズですが、作中全裸者については特定のモデルはいない完全架空のキャラクターです。ご了承ください。

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