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今どきの映像通話は胡乱がいっぱい

 映像通話ソフトを立ち上げ、上司につないだ升島が見たのは、草原の中にくつろぐ仮想ユニコーンだった。
「あー、あー?但馬さん?」
「おお、升島君。時間通りで何よりだ」
 仮想ユニコーンは、バカバカしい位に人間らしい表情芸と共にバリトンの深い声色で答えた。偏頭痛にこめかみを押さえる升島。
「いや、いや、別に映像スキン何使ってもいいっちゃ良いんですよ、ね?」
「その通りだとも、プロジェクト責任者である私が身を持って示した方が皆もはっちゃけやすいだろう」
「それはまあそうですが……」
 単に自分が遊びたいだけじゃないだろうか、というツッコミは喉奥にねじ込んで飲み込んだ。IT業界も仕事が減っているので、いらないマイナスポイントを稼ぐのは得策ではない。
 続いて、モニターの分割ウィンドウに割り込んできたのは、どう見ても畑から抜け出たニンジンに顔がついた怪生物だ。
「……ダレ?」
「やだなぁ升島さん、大葉ですよ大葉」
 軽めの女性の声が升島の聴覚を揺さぶるが、いかんせん見た目はやけにリアルなニンジンなのでニューロンがチリチリと焼けてくる。
 その次に通話をつないだのは、異次元空間が人型に抜けた様な存在だった。七色のゲーミング発光を伴っており、人智を超えた生物感が出ている。ここで升島はカメラの前から席を外して一回ビールをあおった。
「今度はダレだよ!」
「牧田でーす。ネットニュースでネタになってたの真似してしました!」
「お前ら真面目に仕事する気あるのか!?」
「いーじゃないですか、但馬さんからしてユニコーンですし」
「升島君はこう、面白アバターにする気は無いのかね?」
「いーやーでーすー。仕事中におちゃらける趣味は無いんで」
 憮然として答えた升島が、通話先からは信楽焼の狸に見えていた事を知るのは、一週間ほど後のことであった。

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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