世界をつなぐ無線のイヤホン

 今日も、私の耳には、聞いたことのない世界の言葉が流れてくる。
ある日拾ったワイヤレスイヤホンは、ペアリングも充電も無しにずっと何処かの世界の、誰かの言葉を拾い続けてる。
拾ったあの日から、面白がってずっと聞いてるんだけど、友達に言っても気味悪がってつけてくれない。声が聞こえるだけだから怖いことなんてなにもないのに。
 一昨日は中国っぽい言葉、昨日はロシア語かな?でも、機械翻訳にかけてみても判別出来ないから、きっと別世界のことばなのかもしれない。
 今日はどんな言葉が聞けるんだろうと魔法のイヤホンを耳にいれた私に、今までイヤホンでも聞いたことがないような奇妙な言語が流れ込んできた。
 心がざわつき、心臓が高鳴る。それは唄、詩?伸びやかな歌声は私の耳朶から私の存在を侵食して、全身に満ち満ちるまで響き渡った。
 どれほどその奇妙で心地よい唄を聴き込んでいただろうか。ベッドに転がっていた私は、起き上がってふと姿見へと向いた。心臓が止まりそうになった。
 私の部屋に、知らない人がいる。陽光を反射する金の糸の髪に、透けるような、白い柔肌。私とは似ても似つかない整った顔立ちには、ファンタジーでしか見ることの無いはずのエルフの尖り耳が伸びていた。
 追い出そうと思って振り向いても、部屋の中には誰もいない。恐る恐る、鏡を覗き込む。知らない人は私だった。さっきまでの私は何処かに消えていた。
 あの日から、私はもう魔法のイヤホンはつけていない。お母さんには、よくわからない物を着けてはいけませんってすっごい怒られたし。

空想日常は自作品のワンカットを切り出して展示する試みです。
要するに自分が敬意を感じているダイハードテイルズ出版局による『スレイト・オブ・ニンジャ』へのリスペクト&オマージュになります。問題がない範疇だと考えていますが、万が一彼らに迷惑がかかったり、怒られたりしたら止めます。

現在は以下の作品を連載中!

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ロボットが出てきて戦うとかニンジャとかを提供しているぞ!

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