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これからの仕事術はふるきよき仕事術

「働き手に裁量がやってくる」という意味でのリモートワークが実現するとき、「仕事術」もまた、「これからの仕事術」へと変化していきます。

かつてドラッカーは以下のように述べました。

今日の組織では、自分の知識あるいは地位のゆえに、組織の活動や業績に実質的な貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。

この「エグゼクティブ」とは何でしょうか。意思決定を行う人のことです。

組織のそのような能力に実質的な影響を及ぼすために、知識労働者は意思決定をしなければならない。命令に従って行動すればよいというわけにはいかない。自らの貢献について責任を負わなければならない。

命令に従って行動すればよいというわけにはいかない

この言葉が、ほとんどすべてを表しているでしょう。旧態然とした「管理」では、ともかく命令することが管理だと認識されていました。その視点のまま、在宅勤務に移行すれば、いかにして家にいる人間に命令を下すか、という監視社会的な考え方ににじり寄ることになります。それは効率も悪く、能率も上がらない考え方です。

一方で、裁量を働き手に返し、命令するのではなく、いかにすれば企業の成果に貢献してもらえるかを考えられるようになれば、まったく新しい働き方が生まれてきます。一挙手一投足を管理するのではなく、働き手にその力を発揮してもらえるための環境を作ること。それが、真のマネジメントだと言えそうです。

しかしながら、裁量が働き手に返ってくるということは、働き手が自分自身をマネジメントできなければいけません。それが「これからの仕事術」なのですが、実はそれを見つけるために新しい鉱山を探しに行く必要はありません。

というのも、少し前に話題に上がっていた「仕事術」の多くが、フリーランス発の仕事のやり方だったからです。自分の仕事について自分で裁量を持つ人たち。使う機材やツールを含めた、働く環境を自分でデザインできる人たち。その人たちの方法論が「仕事術」として流通していました。

その時代では、まだ「管理」主体の意識が強く、「そんなこと言っても、うちの職場ではそれは使えないよ」という声も多かったのですが、今まさに、それが使えるときがやってきているのです。

「やること」のリストを使ったり、自分の行動にかかる時間を測定してみたり、タイマーを使って仕事を進めたり、作業と運動のバランスをとったり、ときには瞑想したりと、自分のテリトリー(自宅や作業場所)で仕事を進めるための方策はいくらでも見つけられます。そして、それが役立つときがやってきたのです。

だから、「これからの仕事術」は、新しいコンテンツの模索というよりは、今でも役立つコンテンツの発掘だと言えるでしょう。

そして、どんな仕事術があるのかについては、次回紹介してみます。

(つづく)

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