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『歴史は不運の繰り返し』レビュー

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『歴史は不運の繰り返し』
セント・メアリー歴史学研究所報告

ジョディ・テイラー(著) / 田辺 千幸(訳)

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みんな大好きタイムトラベル。
わたし大好き女性主人公。
そんでもって舞台はイギリス。(なぜかアメリカは国境閉鎖している世界)

この段階で好きな本っぽい三要素そろってますw

さてさて、その主人公、マデリーン・マクスウェル(マックス)は大学出たての歴史学者の卵。博士号PhDは持っているものの就職先のあてのない、いわゆるポスドクです。(どこも同じなのねぇ……><)
そんな彼女に恩師から紹介されたのが〈セント・メアリー歴史学研究所〉という謎めいた場所。面接時にいきなり業務内容もわからないまま終身守秘義務契約書にサインを求められます。なんだかわからないいかがわしさ満杯です、でも、勝気な彼女は迷うことなくサインをして、『歴史学者』の仲間入りを果たすわけです。

ここでいう歴史学者というのは、インドアで資料片手にうんちくを垂れる学者ではなく、めっちゃフィールドワークをする者を指します。
そう、彼らはタイムマシンに乗って、実際に歴史が大きく動く瞬間へ向かい、その歴史的事実を体験して、実際にはどうだったかということを報告する任務をもっているのです。

実際にドンパチしてるところへ向かったりするわけなので、入所そうそう彼女にかせられる訓練はウルトラベリーハード。座学だけでなく肉体的に徹底的に鍛え上げられます。まるで軍隊の訓練ブートキャンプみたい。でも、これが後から効いてきます。なにしろ、『歴史は不運の繰り返し』なのです。

そうそう、タイムトラベルといえば、切っても切れないのがタイムパラドックス。
歴史を変えちゃったら自分が生まれていないことになってしまうかも? という大きな問題は、この本でももちろん生きていて、歴史学者にとってかなり致命的に作用します。なにか後の歴史に問題が発生するような干渉を過去に行ってしまうと、「歴史」自体が元に戻ろうとして、とんでもない「不運」が歴史学者を襲います。したがって、この学術的な歴史の探求は、がぜん冒険めいてくるのです。
実際、タイムトラベラー=歴史学者の損耗率は異常に高く、ほんとうは歴史学者が12人いなくてはならない研究所に、マックスたちが入所する段階で4名にまで減ってしまっていたというぐらいです。

いやー、このあたりの次々(ほんとに!)襲い来る危機と不運。苦難の連続と、予算削減(!)の波がもうなんというかめちゃくちゃタイトルどおりですw
歴史学者ってこんだけタフでハードなお仕事だったとは知りませんでした。
読んでいるほうはスリルあって面白いんですけどねぇw

そんなこんなで波乱万丈の〈セント・メアリー歴史学研究所報告〉シリーズ。もともとはセルフパブリッシングで出されたのだそうですが、出版そうそう大人気となり、この本を皮切りに英国ではもう11冊も出ている人気シリーズとのこと。
スリル満点の連続ドラマのような危機につぐ危機が襲い来る系の冒険ものが好きな方、ワタシのように勝気で有能で紅茶好きな英国女性主人公が好きな方(狭そうw)にはこたえられないお話になっています。続きも読みたいのでみんなで買いましょうw おすすめよー☆

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