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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2021年2月の記事一覧

『危険なヴィジョン』〔完全版〕レビュー

『危険なヴィジョン』〔完全版〕①~③ ハーラン・エリスン編 ◇ 新しいコンセプトやタブー視される主題を全面に押し出したアンソロジー。 従来からの基調路線で読み手や編集に迎合した「売らんかな」な作品を集めるのではなく、SFの殻を破るような、挑戦的なSF(スペキュレイティヴ・フィクション=思弁的小説)を集めたい。と、あのハーラン・エリスンの掛け声でかき集められた、業界全体が第一次成長期だったころのSF界の精鋭作家たち。 大部数を誇るSF雑誌に「売れる作品ではない」作品たち

『知的生産の技術』レビュー

『知的生産の技術』梅棹 忠夫(著) ◇ 温故知新です。 なんと初版が1969年。 半世紀以上前に、京大式カードシステムを生み出した梅棹忠夫先生が、個人が知的生産を行うための方法・技術について書かれた本です。 知的生産というと、今でこそプログラミングやテクニカルライティング、デジタルデータ作成なんかが頭に浮かんできますが、なにしろ50年前ですから、当時はコンピュータなんて黎明期もいいところ。当然個人では使えっこありません、パーソナルコンピューターなんて影も形もなく、あ

『独学大全』レビュー

『独学大全』読書猿(著) ――― この本はあまり賢くなく、すぐ飽きるし諦めてしまう人たちのために書かれた。独学の凡人である私には、これが精一杯である。しかし独学の達人が書いた書物よりもきっと、繰り返し挫折し、しかしあきらめきれず、また学ぶことを再開したような、独学の凡人であるあなたの役にたつだろう。 ――― いきなり扉裏ページから引用させていただきました。著者は独学の凡人などと謙遜されておりますが、タイトルどおり、「独学」するすべての者のバイブルたりえる大著です。